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2024年10月6日日曜日

中国が本当に仲良くすべき相手はインド

 仮に中国が本当に利害関係のみを考慮するならどの国と付き合うべきか。

 こんな問いを、「しごきが相手のためだと思って日本人は行うことがある→だからいじめも起こる→いじめた相手からは当然嫌われる→中国も高圧的で友達が少ない→なんか『僕は友達が少ない』みたいな感じになってきた→そもそも、中国はどんな国と仲良くすべき?」という思考パターンで思うに至りました。我ながら無駄に発想が豊かだと毎度ながら思います。

 で結論から言うと、中国が本当に仲良くすべき国は世界最強国の米国を敢えて除外というか米国打倒、世界覇権の奪還を目的とした場合、日本でもロシアでもEUでもなく、私はインドがそれにあたると考えています。

 「一体何故インド、カレーがあるから?」などと思う人もいるでしょうが理由はいくつかあり、まず第一に現在インドが日米などによる中国抑え込み戦略における扇の要となっているからです。
 現在日米はインドやオーストラリア、ベトナムなどとともに中国を北を除く全方位から軍事的に抑え込む戦略を描いています。オーストラリアはほぼ引き込みを終えていますが、インドはこの構想に対して若干まだ距離を置いてはいるものの、中国とインドはカシミール地方の領有をめぐって常に争っていることもありかねてより関係は悪いこともあって、日米に対しては「消極的協力」のような立場にあるとみられます。

 この日米の戦略ですがインドの役割は地理的位置から非常に重要で、仮にインドが乗らなかった場合、中国は欧州に対する陸路接続が実現します。文字通り包囲に穴が開く状態となり、日米の戦略はインドが中国に引き込まれた時点で破綻するというかインドが中国と対立することを前提としています。それだけに中国がインドを引き込むというただこの一手のみで、日米が長年多大な投資をして作ってきた包囲戦略を突き崩すことができます。

 そもそもインド自体も米国べったりな国ではなく、ロシアとも外交を続けるなど一定の距離を置き続けています。隣国パキスタンが逆に米国寄りな立場だけに、インドにとっても反米方面で中国と共同歩調を取る価値が全くないわけではないようにも見えます。
 まぁ「パキスタンに肩入れするなら中国と付き合っちゃうかも(/ω・\)チラッ」という取引材料に使うのが、インドとしては最も賢いかもしれませんが。

 こうした軍事的な理由もさることながら、経済的な面でも中国に対するインドの価値は高いです。まず中国もインドもBRICSに入る国同士ですが、ほかのBRICSメンバーと比べ中印のみ関係が悪いままです。むしろロシアとは中国もインドも比較的仲がいいだけに、BRICS間の連携は中印の二ヶ国によって疎外されているようにも見えます。
 仮にこの中印関係が改善した場合、BRICSを通した経済的連携は確実に深まることでしょう。特に東南アジア市場においては、ネパールやバングラデシュはインドの影響力が強いのに対し、ベトナムやマレーシアは中国の影響力が強く、中印が共同で東南アジアに対する影響力強化で協力した場合、この地域のイニシアチブを一気に高めてくる可能性があるような気がします。

 同時に、中国とインドは経済的には今ちょうどぶつかり合う関係にないというか、景気悪化に苦しむ中国にとっては人口が膨大で消費市場が成長しつつあるインド市場は非常に価値があるように見えます。関係を改善してインド市場に販路を作ることができれば不況脱出の一手になるとともに、前述のBRICS連携を通してロシア市場の拡大にもつながる可能性もあるでしょう。

 以上のように実利だけで見れば、今の中国にとってはインド以上に仲良くなる価値のある国はほぼ存在しないように見えます。とはいえ言うのとやるのでは大違いで、実際にやろうとしてもこれまでの長い対立関係から外交的に修復することは困難の一字に尽きます。
 しかし仮にかつてのニクソン大統領の如く、中国が冷え切った対インド関係を劇的に改善させることができた場合、文字通り世界のパワーバランスを大きくひっくりかえすことになります。それも米国が不利な方向へ。

 はっきり言って外交下手な中国にそのような劇的な外交転換をしてのける政治家は今いないと私には思いますが、仮にこの中印友好構想を立ち上げて実行してくる政治家が中国から出てきた場合、真面目に日米にとっては大きな打撃になると思います。それだけ日米も中印にくさびを打ち続けるでしょうが、本気で中国にとっては今インドが重要な相手国となり得るだけに、やらないにしても構想をあげる人くらいは出てきてもらいたいものです。でないと一人で主張している自分がバカのように見えてしまうし(;´・ω・)

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