ページ

2024年10月3日木曜日

中国の年金の運用状況

 かねてからこのブログで紹介しているように、不景気の中国にとって今後最大の社会不安要因となりかねないと睨んでいるのが年金です。というのも日本国内は近年はやや沈静化していますが、一時は一にも二にも年金が関心事となり、成人式の新成人が気になるワードランキングでも00年代中盤は年金が常にトップでした。

 その中国の年金ですが、表記としては「養老金」と書きます。かなり制度が複雑で自分も完全に把握し切れていないのですが基本としては3種類の年金があり、即ち国民年金、企業年金、個人年金です。これらの年金種類の意味は日本の制度とほぼ同じと考えていいのですが、国民年金に関しては日本と異なり、支給額が戸籍のある自治体ごとに決まっていて、地域によって水準が異なるという状況となっています。
 つまり、地方の省だともらえる金額が少なく、大都会の沿岸部地域だと高くなるわけです。日本人からしたら、いいのかよと思うような不公平ぶりです。

 話を戻すと、肝心の運用状況に関しては少なくとも近年は良好で、特に問題は見られませんでした。コロナ初年度の2020年のみ収入に対し支出がマイナスとなったものの、それ以外の年は常に黒字で、運用益もプラスを維持しています。ただ問題なのは少子高齢化が激しくなるこれからで、いろいろな記事を見ていても政府は問題ないことを強調していますが、不安に感じている人は多く懸念が述べられている記事もよく見ます。
 ちなみに去年から中国では外国人にも年金を徴収するようになり、自分の手取り給与がそれ以前と比べ結構減りました(´;ω;`)ウッ…

 生憎というか人口減少ペースや金利なども交えた詳細な分析記事は見つけられず、またそのような複雑な分析を行えるだけの知識もないので中国の年金が安心かどうかはわからないものの、今回調べてて感じた点としては、第一に中国も年金に対する不安が広まりつつあること、次に政府も先行きに対してかなり不安を持っていることは確実だと思えます。
 このように考えるのも去年あたりから中国政府が個人年金の価値をやたら訴えるようになっているからです。老後の所得確保を考えるなら個人年金の運用が重要だなどと、納税者に対して個人年金の活用を訴えるとともにその制度的支援を拡充することを宣言しています。恐らく、掛け金に対する減税などを今後追加していくのでしょう。

 実際に中国人の間でも個人年金に関心を持つ人は増えており、自分も何人かから相談を受けたことがあります。日本も人のこと言えませんが、中国も公的年金から民間年金の比重を増やし、政府負担の比重を下げようとしているのかもしれません。

 真面目にこの年金はひとたび不安が爆発すると一気に社会不安を高める要素なだけに、今後10年内に火が付くかどうかは中国にとってかなり大きなトピックになると考えます。今後も折を見て自分も分析していきたいと思っていますが、中国人自身が先に分析すると思われ、その結果がどうなるかはかなり見物です。

0 件のコメント: