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2012年9月17日月曜日

反日デモに対する日系企業の対応

 昨日に引き続いて中国の反日デモネタです。日本のメディアでもあれこれ報じておりますが、こちらでは週を開けて工場や店舗の閉鎖を発表する企業が続出しております。自分の周り、というより仕事にも既に影響が出ており、今週に取材に行く予定だった日系企業の開業式典が次々と延期しており、展示会に出展する企業に至っては、「展示会には出ますが取材は受けられません」という何のために来るんだと言いたくなるような発表をする企業まであります。それも一社だけじゃなく複数社も。

 このほか伝え聞く情報によると、既に駐在員の家族、または駐在員を含めて帰国命令を出している企業もいるとされ、再来週から国慶節の長期休暇が始まりますがそいつと合わせて丸々休みにしてしまう会社も出ているそうです。あと明日が満州事変の勃発日であることからいわゆるXデー、今まで以上に大きなデモや暴動が起こる可能性があるとして大使館なども注意喚起を行っています。
 ただ今日うちの編集部内で出た意見をまとめると、確かに明日は記念日的な日ではあるものの平日であることから先週末ほどの大規模なデモにはならないんじゃないかというところに落ち着きました。一応うちの会社でも営業は外出禁止、編集も自宅作業可(自分は出社するが)と通達して備えてはいますが、場所が上海なだけによっぽど挑発的な行為をデモ隊の前で行わない限りは心配するようなことはないと考えています。

 それにしても今回のこの騒動、昨日の記事にも書きましたが勤務地が上海だからこうしてお気楽にしていられますけど、これが地方、それも内陸の都市だったら自分もあれこれ焦ったことでしょう。割と日中の経済関係についてこれまで楽観視した意見を発信してきましたし、2010年の中国人船長による尖閣諸島接近、拿捕事件の際も中国投資は減らないと断言してましたが、今回ばかりはちょっと自信がないです。一気に投資が引き上げられることはないでしょうが、投資計画の延期とか駐在員数の削減などは行う企業は出てくるかもしれません。折悪く今年から外国人駐在員に対しても中国は社会保険料を徴収を開始し駐在コストが高まっていることから、ある程度減る恐れがあります。煽りを食うのは日系の飲食店等ですが、あくまで個人的な感想ですが、既に今日一日だけでも街中で見る日本人は急速に減った気がしてその影響は計り知れないかと思います。

2012年9月16日日曜日

上海の反日デモの状況

 当初は儲けている業種と儲けてない業種の話を書こうとしましたが、期待しているというか聞きたい人も多いと思うので、昨日に上海に戻ったので反日デモ関係の話を書きます。
 まず簡単に今の私の状況を書きますが、昨夜飛行機で上海に帰り現在はこっちの自宅でくつろぎながらブログを書いてます。昨日は空港から地下鉄で自宅最寄駅まで帰りましたが、地下鉄車内で敢えて電話をかけて割と大声で日本語で話をしましたが、特段周囲からにらまれたりするようなことはありませんでした。夜遅い時間帯だったからかもしれませんが、少なくとも日本語で話をするだけで、日本人だとわかるだけでいきなり殴られたりすることは上海ではありません。

 開けて翌日の今日、会社の同僚が今朝に上海にある日本領事館前に行ってきたので話を聞きました、まず早くから民間のバスをチャーターしてまで武装警察が次々と集結し、領事館を守るべく陣営を築いたそうです。その後、午前中にデモ隊がやってきたそうですが領事館前の通りを通過することは一回、しかも立ち止まらないように指示されており、特に石投げたり殴り合ったりというような派手な行動はなく平和的なデモだったそうです。自分もちょっと行こうかなとか思いましたが、会社からも不用意に近付かないように言われていたので今日は仕事終えた後はまっすぐ帰りました。もっとも、こんなこといったら同僚はどうなのかって話ですけど。

 あくまで私個人の印象ですが、少なくとも上海市内であれば日本で報じられているような揉め事はないんじゃないかと思います。上海の人は比較的所得も高ければ文化度も高く、商売と政治をきちんと分けられるため多少の嫌がらせはあるでしょうが暴動に押し入られるようなことは恐らくないでしょう。
 ただこれはあくまで上海、または警備の厳重な北京限定の話であって、日本でも報じられているでしょうが南部や内陸の都市では話は変わってきます。湖南省長沙市にある平和堂(アルプラザ)とかしこたまやられたそうですが、仮に自分の赴任地がこういった都市であればさすがに危機感を覚えた事でしょう。そういう意味では今の中国は日本人にとって危険かどうかというなら、やっぱり危険と言わざるを得ません。

 しかも今後の展開を考えても、あまりいい状況ではありません。既に報じられている通りに丹羽大使に代わって来月から中国大使に就任する予定だった西宮大使が急死し、恐らく日中双方で後任人事を巡ってかなりドタバタしていると思います。さらに上に書いてある通りに中国政府は今回の反日デモに対して武装警察を大集合させるなど相当に手を回してくれていますが、穿った目で見るなら来月に開かれる中国共産党中央党大会の前にドタバタが起きてほしくない時期であるからこうするのであって、党大会が終わった後はどうなるか、それこそ「こんな大事な時期に余計な騒動起こしやがって」というノリで報復措置を取ってくる可能性もあります。それだけ今の中国は、この前に習近平が姿を表さなくなって大騒ぎしたように非常にピリピリした状況にあります。

 最後に個人的な感想として、日本人が気を払わなければならないのは長沙市など内陸などの都市で暴動のようなことをしでかす中国人よりも、上海で平和的にデモを行った中国人だと思います。暴動みたいに暴れる中国人はこう言ってはなんですが反日とかそういった政治思想はあまり関係なく、ただ単に社会に不満があって暴れているようにしか見えず、また所得水準もそれほど高くないでしょう。翻って上海の平和でも集団ですが、こちらこそがまさに日本製品を購入しているメインの層で、彼らが日本製品をボイコットしたり冷静に日本を批判したりすることが一番の痛手です。もっとも対処法ったって、ほとぼり冷めるまで待つしかないというのが今の状況ですが。

2012年9月15日土曜日

不況下の空気の違い

 先日に友人がスペインに旅行に行ったのですが感想を聞いてみたところ、「明るかった」というのが第一声でした。知ってる人には早いですがスペインは現在、若者の半数が失業中で景気的にも日本と比べて絶不調真っ盛りです。まぁそれをいったら私なんかいつも、日本の景気は世界的に見れば好景気もいいところだと常々言っておりますが。

 どのタイトルの記事か忘れましたが私は以前にいくら景気が悪いといっても気分まで暗く落ち込む必要はないのに、何故か日本人は毎日生活できるだけの収入があるにもかかわらず「人生が充実していない」などと言っては自分を卑下したりするところがあると指摘しました。仮に明日食べるパンがないならさすがに自分も焦りますが、そこそこの贅沢、そこそこの生活であれば日本だとそれほど難しくないにもかかわらず、この一週間テレビを見ていてもやたらと苦しさをアピールするというか、これも前に書きましたが、苦しんでいる(と自称する)自分に酔っているように私は感じます。

 もっとも、なんで日本人はこんななのかというのは単純明快で原因ははっきりしており、ずばり言えば比較基準が高すぎるからということにつきます。平均的な収入、平均的なライフラインというものを日本人は明らかに他国より気にして、平均以下は上から下まで全部一緒で劣等、平均以上でなければ人に非ずみたいな心情がやけに強く、他人は他人、よそはよそと割り切れないところがあります。
 その点でスペインなどはわけが違います。友人によると、もう向こうでは若者が自立して生きていくことなんか不可能だと割り切っているらしく、結婚後も親と同居してすねかじりながらも生きてるそうです。日本もそう遠くない未来にこういう割り切りができるようになるかもしれませんが、そう考えるとまだ追い込まれ足りてないのではないかと思えます。

 最後に繰り返しになりますが、いくら全体景気が悪いからと個人が気分を落ち込ませる必要性はまったくもってありません。しかも景気が悪いといっても儲からない企業もあれば儲けている企業もあり、不景気な業種ばかりに目を向けるというのも不健全です。
 っというわけで、次回あたりに今も受けている業種をいくつか紹介しようと思います。

2012年9月14日金曜日

日本に帰って思うこと

悠々自適 マレーシア在住記☆

 いつもコメントをくれているれすりーちょうさんがブログを新規開設しましたので、このブログとも相互リンクを結びました。一方、フリーダムさでは右に出るものがない友人のブログ(二件)はここ一年更新が全くないので、思い切ってもうリンク切っちゃいました。前からもういいとも言われてましたし。またフリーダムさに磨きをかけていつかきっと帰ってくることでしょう。

 昨日はそのフリーダムな友人とは別の友人と幕張で合流し、千葉ロッテと日本ハムの試合を見に行った関係でブログを更新することができませんでした。友人が面食いなためか斉藤選手贔屓だったので二人とも千葉県民でありながら日ハム側外野スタンドで観戦しましたが、五回までゼロ行進という行き詰まる投手戦だったのが後半は毎回点数を入れあう猛烈な猛打戦と化し、最終的に六対六のドローという結果になりました。見ている側としてはホームランも飛び交って白熱したことから非常に楽しかったですが、途中まではレフト守備の中田翔選手の尻ばっか見ていて、無駄にデジカメで撮影してたりしました。

 話は変わって日本に帰国して一週間経ちリアルに明日また上海に戻りますが、変な意味で中国になれたというべきか、日本で生活していていくつか違和感を感じるところがありました。
 まず一番感じたのは建物の高さ。中国は日本と比べて地震とか気にしなくていいためか、商業ビルはもとより住宅用マンションでも高さが半端なく高く、なんか日本の建物がどれも小さすぎるような気がして気分的に自分がでっかくなった気がしてなりません。特に個人的に衝撃だったのは、昨日行った幕張は中学高校と合計六年間も嫌々通った場所で、自分の中では高層ビルが比較的多い場所だというイメージだったのですが、今の自分からしたらホテルにしろ担保にかけられるシャープ本社ビルも、「こんなちっちゃくて容積率とか大丈夫?」と本気で感じました。

 建物同様、日本人の体格に関してもなんだか小さいような印象を受けました。かつていた北京市内と比べれば日本人の方が男女ともに体格は上でしたが、上海と比べると男はほぼ同じ程度であるものの、女性に関しては明らかに上海女性の方が上であるという印象を受けます。
 また体格は同じくらいでも、あくまで私の印象ですが日本人は全体的に猫背であるのに対し、中国人は割かし背筋が伸びていることもあって上背というか目線が高いような気がします。なお知ってる人には早いですが私は高校時代にわけのわからない実験、ぶっちゃけていうと背中に雑誌挟んで背筋を伸ばす妙な訓練をやったせいか冗談抜きで猫背ができないくなり、傍から見ても異常なくらいに背筋が伸びているのですが、なんか電車に乗っていると同じくらいの身長の人に対して見降ろすような視点になっているのではとはたと気が付きました。上海じゃこんなこと感じないのに。

 あと非常に細かい点を挙げると、テレビのCMに番組宣伝が異常に増えているように思え、逆に半年前に多かった外国車のCMが減ってる気がします。単純にスポンサーがつかないんでしょうが、これは以前家電メーカーの知り合いにも言いましたが、今テレビが売れない原因の一つは単純にテレビ番組がつまらない、いいテレビを買ってでも見ようと思う番組がないというのも大きい気がします。そういう意味では家電メーカーも、もっと内容を吟味してスポンサーになればいいのではと思わずにはいられません。

2012年9月11日火曜日

尖閣国有化に対する中国の反応

 7月なんかネタ切れでブログ執筆に非常に苦しんだ一ヶ月でしたが、今月はやけに書く話題が多くてこの前に始めてた「平成史考察」の連載もなかなか続きが書けれません。ただこのところ閲覧シャスは毎日300人の大台を超えているうえ、昨日なんか500人を超えていたので地味に評価が上がってきているのかもしれません。

 そんなわけで今日もまた飽かずに中国ネタ、それも尖閣問題です。といっても今自分は日本にいるので情報もとは全部新華社の発表とかです。まずざっくばらんに言うと日本のメディアでも同じような内容が報じられていますが、日本政府の尖閣国有化に対して文面上はめちゃくちゃ起こっています。外交部をはじめとして主だったメディア担当者が日本の行動を批判していることはおろか、国防部こと軍隊も「姑息な手段だ!」と批判しているようです。
 この尖閣国有化ですが、ちょっと考えがまとまっていないというか結果が見えていないというか、「これこれこういう背景できっとこうなる」という確たる予想はまだ私の中で出来上がっておりません。なのでこの二週間くらいわけのわからない文脈が続いていますが、ちょっと同じノリで思いつくことを片っ端から一気に書いていきます。

 まず今回の政府の国有化ですが、この行動が吉と出るか凶と出るかは判断が難しいです。元々、地権者からの買収は東京都が進めておりましたが、今週に入り地権者は突如売却先を政府にするということを東京都川に通知しました。この対応に石原都知事なんか恨めしげに文句ばかり言っていますが、これは地権者が突然考え方を変えたのか、それとも東京都川を含めて出来レースだったのかやや疑っています。
 というのも先月の段階で石原都知事は、東京都側が一旦買収した後に政府(国)に売却する案を披露しており、またこれまでに集めた買収基金も東京都が買収するのなら譲り渡すといった発言があった気がします。こうしたことから考えると、売却先が政府に変わったことに対して石原都知事がこれほど恨み節を披露するのはなんか芝居がかっているように見えなくもありません。何が言いたいのかと言えば、初めから東京都が買うようなそぶりを見せて実は都と政府は初めから話がついており、最終的に政府が買うような筋書きだったのではないかという仮説が立てられなくもないという、なんか遠回しな言い方が続くことになるのです。

 では何故こうした回りくどい行為を行うのか、やはり一義的には中国への対応が最大の目的でしょう。もっともこうした手続きを取ることで中国の反発が減るわけでは全くないのですが、今日ちょっと新華社の報道を見ていて気になったことがあります。その気になる点というのも、何故中国は日本政府が日本の法律上の地権者から尖閣諸島を購入することにこれほどまで大騒ぎするのか、ということです。
 あくまで私個人の考え方ですが、尖閣の主権が本当に中国にあるのなら、日本の法律上の地権者なんて初めから無効だと言えるんじゃないでしょうか。理論上、中国は今でも公地公民で領土内のすべての土地の私有はないはずですし。

 何を言いたいのかというと、ここに日中の思惑が交差しているのではないかということです。中国側としてはいくら日本の法律上地権者でも政府が所有者になることは個人が所有者であることよりも具合が悪く、批判するような対応を取らざるを得ないから今こうなっている。そして日本側としては、かなり大胆な推測ですが島の地権者が日本人で、ずっと以前から所有していたことを中国国内に中国自身に報じさせるというのが最大の狙いだったんじゃないかと自分のゴーストがささやいてます。
 言ってしまえば、日本の法律で日本の登記で所有者が日本人だったということを中国が認めるということは、いわば日本が管理してきた領土だったということも認めることになるんじゃないでしょうか。そのため中国が本当に取るべきだった対応は、「日本政府だろうが日本人だろうが、管理者が変わろうともそれは尖閣諸島を不法に占拠している日本国内の話で、中国が領有権を持つことに変わりはない」という具合に、そっけないふりをするべきだったんじゃないかとちょっと思います。ただ中国は今回そういうそっけないふりができなかった、そしてそれを日本も知っていたから仕掛けてきた……飛躍しすぎかもしれませんがね

 何故中国は今回、日本の尖閣国有化に反応したのか、というより反応しなければならなかったのか。それは第一に国内世論がありますがそれともう一つ、詳しくソースを確認してませんが、大分以前に中国政府側が尖閣の地権者に接触し、売却を申し込んだという話を聞いたことがあります。仮にこれが本当であれば中国は日本の法律にのっとって尖閣を買収しようとしたわけですから、日本の領有権を認めているよねぇってことになるのではと個人的に思います。うまいこと言い表せられないですが、こうした背景があるからあえて日本政府、もしかしたら東京都とタッグを組んで今回中国に仕掛けてきたのではと思うところがあります。

 今回の内容はかなり妄想に近いものがあるのであまり引用なんかせず、こういう風な考え方もあるというくらいに受け取ってください。といっても、文章がまとまってないから引用のしようもないでしょうが。

2012年9月10日月曜日

日本の電力事情考察

 日本帰国四日目。こっちでのネット接続は2010年に購入した東芝製ネットブック(ダイナブック)ですが、今まであまり使わなかった分、現在大活躍しています。前に買ったエプソンのネットブックは会社の後輩に貸出し中ということもありますが、性能面でそちらを東芝製が上回ってていろいろ感じるところがあります。
 そろそろ本題に入りますが、そんな具合に体力、気力が充実してきているので、原発議論を筆頭にちょっと日本の電力事情についてあれこれ考察を書いていきます。

 まず直近の話題からふれていきますが、東電がまた役員報酬を復活させるとの報道が出ています。利用者に対して電気料金引き上げを実施する一方でこの役員報酬の報道は私としてもさすがに聞き捨てなりませんし、今度再上場するJALの破綻時と比べると危機感が足りないというレベルじゃなく、まだ締め上げる余地はあると断言してもいいでしょう。
 そしてもう一つのニュース。そろそろ自分でも調べようかなと思っていたら主要メディアなどが取り上げてくれましたが、「大飯原発を稼働させなければ電力が足りない」と散々にわめいていたくせに、関西電力管内は今夏、一度も電力危機に陥らなかったばかりか他の電力会社から融通を受けることで十分に足りたということが試算されています。私の記憶では大飯原発分があってギリギリという主張だったように思えるのですが、当時からわかってはいましたが発電量以上にコストを気にしての再稼働だったといっていいでしょう。

 私が上記二つのニュースで何が言いたいのかというと、やはり電力会社は信用できないという一点に尽きます。見え透いた嘘を堂々とついてくるというか、その発表は全く鵜呑みにすることができません。この点で個人的に日本のメディアにあきれたのですが、東日本大震災直後の福島原発事故の際、管首相(当時)は「東電が全面撤退を申し出てきた」と証言しそれを許さなかったと話していたのに対し東電側は、「一部従業員の避難は提案したが全面撤退は一度も言ったことがない」と反論しました。結局、事故調査委員会は「全面撤退の提案はなかった」と結論付けましたが、この前に事故当時の福島原発の映像がようやく公開されましたが、全面撤退しようよみたいなことを言っていたという報道があります。
 私としては東電だから全面撤退の話もさもありなんと思っていましたし、多分本当に言っていた気がします。にもかかわらずそういう提案はなかったと全く呵責なく弁明する姿を見ていて、平気で嘘をついてくる集団ではないかと見えてきます。

 ここでちょっと論点を変えますが、原発廃止議論に関して言えば私は基本的に廃炉に賛成です。理由はただ一点、日本の電力会社があのような危険なものを管理する能力もなければリスク管理ができないということに尽きるわけですが、だからと言って多くの反原発団体に対してはやや不信感を感じます。
 理由はいくつかあり、まず明日にいきなり廃炉でもしようものなら産業界を中心に各方面に多大な負担を生むことになりかねず、代替エネルギーの切り替えを進めつつ長期的に廃炉を進めていく必要があります。にもかかわらず反原発団体、具体的に言えば野田首相が面会した団体は「なぜ明日に全て廃炉できないのか」と題目を繰り返すばかりで、なんか議論していても何も発展しなさそうな人に私には見えました。

 さらにこれは一部でほかの人も言っていますが、妙な団体がこの反原発運動にどうも関わっているように見え、実際に主張を見ていると反原発とは関係なく妙なイデオロギー、具体的には格差論などを一緒に主張する団体もおり反原発を隠れ蓑にうまいこと扇動しているような連中が少なからずいるように見えます。批判をするなら対論を出すのが基本です。たた悪しざまにピーチクパーチク罵るだけの団体は私は政府も相手しなくていいと思うし、むしろ叩き潰すべきでしょう。

 最後にちょっとこのところ感心している中国の電力事情についてはなしますが、この前の引っ越しの際に部屋の電力メーターを見たのですが、上海の家屋は電力メーターが二つ付いています。片方は昼間のメーターでもう片方は夜十時以降のメーターなのですが、上海では夜十時以降(何時までかは知らないけど)は電気代が半分になります。これはピーク需要を避けるための手段で、半額とすることで一般家庭に対し夜間の電力使用を誘導しています。私もこれを利用して冷房は夜十時ピッタリにオンにして、また洗濯機も夜に回すことにしています。
 仮に日本でやるとなれば電力メーターを総取替しなければなりませんが、妙な公共事業に手を出すくらいならこういうことをしていた方がずっと価値がある気がします。こういう案を電力会社が積極的に出してこない限りは、いつまでも自分からは信用が得られないでしょう。

2012年9月8日土曜日

中国の悪口本が日本の書店で並ぶ光景

 日本一時帰国二日目。今日はなんか自転車磨いて乗り回してましたが、どうもブレーキの利きが前ほどガツンと来ません。100円ショップでブレーキパッド勝手交換しようかと考えましたが、ちゃんと専門店で買おうと思ってひとまず延期中です。自転車こぐのもかなり久しぶりですが、自動車でいうならトルクが上がって回転数が落ちたというべきか、踏むペダルがやけに軽いと感じる一方で前ほど高速度を維持できないというか息が上がりやすくなってました。明後日あたり、片道30キロくらい走ってこようかと思ってますが。

 そろそろ話は本題に入りますが、なんか思想関連の本が読みたくてこのところ書店に通って新書コーナーを探しましたが、これという本がなく、しょうがないから今日哲学の入門書をまた買ってきました。Amazonで「荘子」とか取り寄せることも検討しています。
 ただこうした思想関連書が少ないということ以上に、中国を批判する新書が膨大に並んでいることに少し驚きました。曰く、「中国経済のメルトダウン」とか「虚構大国、中国」などといった見出しが並んでおり、作者名までいちいち明かしませんが漢字二文字と三文字の二人があっちこっちの出版社で出しています。

 こういう中国の批判本を見て何を思ったのかというと、まず最初に考えたのは「俺もこういう本書いたら売れるんじゃないの?」ということです。それこそ適当に根拠をでっち上げて中国の政治なり経済なりをネガティブに書くぐらいならお茶の子さいさいですし、新書で200ページくらいなら多分一ヶ月あれば余裕で書き上げる自信があります。次に考えたのはこの逆で、「中国ビジネスをうまくやる指南書が意外に少ないな」ということで、出版点数が少ないからこっちも書いたら書いたでいろいろいけるんじゃないかと。

 ただそういった個人的なビジネス話は置いといて、なんていうかこういう中国批判本を見ていて日本は少し危機感が足りなくなったのではと思います。それこそ中国経済のバブル崩壊論は8年位前から終末予言みたいに何度も繰り返されててもういい加減、「またか……」と感じますし、こうした本が未だに出続けているのを見ると日本人は中国経済が悪くなることを願っているのかと感じます。
 断言してもいいですが仮に中国の経済が悪化したら、中国のGDP成長率が年間5%以下になったら日系企業もシャレにならない大打撃を受けることになります。製造業を中心に中国で利益を上げている企業は数多いですし、インドを初めとしてBRICs諸国もここにきて中国を除き急激に勢いを落としていることから、真面目に今の世界経済は中国の勢いにかかっているところがあります。

 ただそういった経済的な事情以外に、「どうせ中国は駄目になるから」と、嘗めてかかる態度が私には気に入りません。本気で相手を殺そうとするなら相手が死ぬその瞬間まで気を抜いてはならず、むしろ怖がり過ぎだと思われるくらいに警戒心を抱くべきであるでしょう。中国のウィークポイントばかり目を向けるのではなく、ストロングポイントもしっかり把握していかにその部分を利用するのか、無力化させるのか、孫子じゃないですけどきちんと分析することが大事です。

 多分私がひねくれた考え方をしているのも影響しているでしょうが、他人、もしくは他国から侮られている限りは笑っていていいと思います。むしろ実力を認めるような発言が出たり感情的な批判が出なくなったら、つけ込める隙が減ったようなもんで、あまりいい状況じゃないと判断するべきでしょう。それこそ中国が「小日本」というような蔑称を使って格下と侮っている間はいいですが、日本を油断ならない脅威というように表現してきたらまぁちょっと困っちゃいますね。

 なにか尻切れトンボなまとめですが、本気で中国との競争に勝ちたいのなら、妙な楽観に基づいた崩壊論なんて目もくれず、黙々と叩き潰す手段の検討とその実行をするのみです。