たった今ふと、「いいないいな、人間っていいな」の歌詞がリンダリンダで歌えることに気が付きました。だからなんだって気もしますが。
話は本題ですが日本のメディアもこのところ散々報じているように、中国は今全土で不景気の波に包まれています。これまで何度も中国バブル崩壊論が実現しなかったこともあって本当にそうなのかと疑う人もネットを見ているといますが、確実にリーマンショック以降としてはこれまでに体験したことのない不景気だとみんなして口にしています。またどこそこの会社でリストラが起こっているとか、知り合いが解雇されたなどといった話題が後を尽きず、私自身もコロナ流行時なんかとは比べ物にならない経済的変動が起きていると実感しています。
そうこうしていたら今日中国は若年層の失業率の発表を突然中止すると発表しました。直前の発表では確か24%くらいでしたが、大学院への進学や就職活動を停止した若者を含めると約50%くらいになるという学者もいたようですが、私自身の実感でも50%くらいだとみています。
実際にというか以前私が面接した新卒予定の子を例にとると、多くの超有名企業でインターンをしていて、尚且つ留学経験もあり、語学能力もマナーも非常に優れているにもかかわらずまだ内定がないと話してて、マジで普通じゃあり得ないと感じるくらい優秀な人材が転がっています。マジな話、日系企業は日本語または英語の使える優秀な中国人人材を今のうちに中国本土からかき集めた方がいいでしょう。生半可な日本人より確実に貢献すると断言します。
それくらい今の中国の大卒就職率は悪化していますが、前述の通り既存雇用者も大量リストラにあっており、どっちを向いても全年齢で不景気です。でもってこの景気は最低でも今年いっぱいは続き、10月までに効果的な対策を打ち出せなければ来年いっぱいは確実に続くと見込んでいます。ただ現在の中国政府はその適切な対策を打ち出せないと私は見込んでおり、来年以降も不景気状態が続くともう半ば確信しています。
一体何故中国政府が適切な対策を打てないのかと言いたいところですが、本来ならば既に何か打ち出されていなければもう遅いという段階です。夏くらいには何か出すかなと思っていたらもう8月の半ばを過ぎており、これほど時間が経過しながら景気が悪化するのを中国政府は傍観しているだけでした。ようやくここにきて事態の深刻さに気が付いたのか、焦って先の失業率をはじめ経済指標の公表をやめたり、都合のいい数字だけやたらアピールするようになりましたが、その一方で未だ何も対策を出さないあたり、よほどまともな政策運営者がいないのでしょう。
この経済対策を出さないという点ですが、理由は非常にはっきりしており、今の中国政府の指導層は「ゼロコロナをやめれば景気はすぐ好転する」とガチで信じ込んでいた節があります。確かにゼロコロナは多くの面で中国経済の活動を制約していましたが、だからと言ってやめたら再びかっぱつかするなるかと言ったら安直もいいところでしょう。
それ以前に、私自身の実感でいえばゼロコロナにおける極端なロックダウンによる拘束などを受け、一般消費者は抑えられていた消費に餓えるどころか、生活することそれ自体に対する疲れのような諦念を覚えたような気がします。なんとなく私自身もお金をパーっと使うことに対し以前ほどの快感を覚えず、「なんでもいいからそっとしといてくれないかな( ´Д`)=3」みたいな気持ちを抱くことが多いです。ゲームの購入金額が先月えらい金額になったことは置いといて。
またあの極端なロックダウンを受け、職を失った人たちは数万人どころじゃないでしょう。飲食店などは特に大きな打撃を受けていましたし、経営を続けられている人たちも、去年は数ヶ月分の売上をそのまま失った一方、何の保証もなく経費は発生し続けているのですから自分のために出費するお金なんてほとんどないはずです。でもって雇用環境は現在進行形で悪くなっていく一方ですから、消費がこれから増えるかっていったら、恐らく数年は増え続けるでしょうが景気を回復させる効果はほとんどないでしょう。
この点が肝なのですが、今の中国政府の景気対策は消費、特に個人消費の拡大しか打ち出しておらず、この点こそが中国の経済対策が失敗する主要因だと私は見ています。
中国が何故消費拡大に躍起になっているのかというと、確か経済に占める消費割合は米国が40%台、日本が30%台に対し中国は20%台くらいしかなく、拡大余地があるためだとよく国内で喧伝していますが、そもそも消費が景気の浮沈に影響するかと言ったら自分は疑問に思っています。
もちろん経済全体に対する要素として消費は非常に大きく無視できませんが、景気が下り坂となっているシーンにおいて、消費拡大は転落から立ち直るてことなるかと言ったら、恐らくほぼ全くならないと私は考えています。
こう考えるのも日本の先例があるからで、バブル崩壊から約10年間、日本国内では実はずっと個人消費は拡大し続けていました。しかし消費が拡大しながら企業業績は改善せず、90年代後半に入るとその消費すらも縮小し初め、いわゆる氷河期という時代を迎えることとなりました。
その後の小泉改革などを見ても、消費拡大がきっかけとなって景気が拡大したというより、企業業績、つまり生産高が拡大して初めて景気が良くなったように思え、下り坂においては消費が景気を立て直す効果はほぼ薄いとみています。まぁ金融効果の方がでかかっただけかもしれませんが。
そういう意味では個人消費以上に企業活動、特に金融の不良債権処理こそが今中国に求められる政策だと思うのですが、そのような対策を今の政権は打ちだそうとしません。恐らくは分かってはいながら、不動産業界をはじめ開けてしまえば一気に大混乱が起きるパンドラの箱化しているため、なるべくなら開かずに何とかしたいと考えみすみす立ち直る猶予を失っているように見えます。
この点を少し掘り下げると、不動産業界は中国政府の官僚や幹部ら、特に地方政府なんかは深く噛んでいるため、不良債権処理を行うと彼らの資産も大損をこくため、やるにやれないのではないかと疑っています。また不動産業界ばかり注目されていますが、地味にもっと深刻なのはその上こと金融、つまり銀行じゃないかと少し訝しんでいます。ただでさえ日本以上に手数料が入ってこない業界だし。
以上のような観点、具体的には景気回復にあまり効果のない消費拡大に固執し続けている、自らの懐を痛めるような不良債権処理に手を付けられないという点から、中国は効果的な対策を打ち出せず、この不況は来年以降も続くという結論になります。真面目な話、首相を退任した李克強に対して、あなたなら今どんな政策を打ちますかと聞いてみたいです。彼らが政権から去ったことこそが、最大の景気変動要素だったかもしれません。