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2024年5月3日金曜日

日本の労働災害死の全体概要

 今日は上海市内にある低い山(佘山)まで往復で3時間自転車に乗り、30分で登って降りてきたので今なんかだるいです。数ヶ月前に自分が血栓症になりやすいことに気が付いて対策してからはめちゃくちゃ体調良くなって、今日も比較的好調に走り続けられて筋肉痛も起こしてないけど、絶対的な運動量が足りないからか疲労がたまりやすくなってる気がします。
 っていうかあんま意識してなかったけど、この年齢に至っても高校生時代とほぼ全く変わらない体重と体型を維持してるのは自分でもびっくりです(;´・ω・)

労働災害で亡くなる人はどれくらいいる?(生命保険文化センター)

 話は本題ですが、先日のデイリー新潮が出した山崎製パンの工場で死亡事故が相次いでいるという報道について、ヤマザキ製パンの死亡事故数はそこまで多いかということを疑問視する記事を書き終えた後、果たして実際の労働災害死というのは年間でどれくらいの規模なのかが気になりました。
 なので即調べたのですが、統計が出ている直近の2022年を例にとると死亡者数は774人、また休業四日以上の死傷者数は132,355人(どちらもコロナ関連を除く)だそうです。死亡者数は2014年までは千人を超えていたのですがそれ以降は漸減していたものの、2022年は再び前年比プラスとなっています。背景としてはコロナ規制が緩和されて現場就業者数が増えたものの、経験の浅い人員が多く配置されたことにより事故も増えたのではないかという分析が出ています。

 以上の統計を踏まえると、この10年間において大体9000人が労働災害で死亡しているという計算になります。このうち4人が山崎製パンとなると、山崎製パンは日本の労働災害死亡事故の約0.04%を占めているという計算となり、これを大きいと取るか小さいと取るかで新潮は前者を取ったようです。
 ただやっぱり世間の共感は得られなかったというか、自分が見る限りこの報道に関してはその後に後追い報道は出てきませんでした。自分が感じたようにこの数字をデカいと取る人はあまりいなかったというでしょうが、記事書いた人間は工場勤務経験がないんだなということだけはよくわかる記事であったという風に思います。


 さらに気になったので新調の報道以降に見かけた労働災害死亡事故の記事を自分が見た範囲で保存していましたが、上記の通り探そうと思えばいくらでも出てきます。労働現場において死は身近なもので、発展途上国とかでしか起きないようなものではないです。多分本気で探せばもっといくらでも出てきて、毎日それだけで記事を書くこともできると思います。


 一応こちらもブックマークしてたので貼りますが、なんでITメディアの記事はどれも無駄に長いんだろう、無駄に長くて起承転結がはっきりしない記事ばかりなんだろうとか思いますが、参考までに貼っておきます。

 工場勤務経験者としてこの労働災害について少し語っておくと、現在日本のどの工場でもかなり厳しく安全については指導されます。というのも労災事故が起きた場合、取引先の大メーカーなどからも厳しく追及されるし、その大メーカーとかも下請けメーカーを招いて安全講習を度々行い、各社の取り組みを毎年報告させるくらい徹底しています。
 こうした安全意識が広まってきた時期についてはさすがに定かじゃないですが、やはり90年代くらいまでは結構いい加減で、プレス工場とかでも指1本潰してから一人前という感覚が残っていたそうです。話を聞く限りだと00年代に入ってきた辺りからこの手の安全意識が強まり、現在に至っては製造業全体でほぼ定着するに至ったのではないかとみています。

 具体的な安全指導としては、基本的には現場猫でネタにされている事故例を見せつつこういうのはやっちゃだめだよ的な指導が主です。自分が受けた中では回転機動をする装置には用もなく近づいてはならない、装置周辺に書かれた白線の内側に入ってはならないなどということを厳しく教えられました。
 一方、さっきにも言及した大メーカーでの安全対策指導ですが、聞いてていくつかは「これお前らも実際はしっかりやってないだろう」と思うくらい効率性が悪く、無駄に大掛かりな対策を下請けに強要する大メーカーもありました。中には質問時に「こんな現場に無茶を押し付ける大メーカー側に正義はあるのか?」と質問した人もいて、その際には会場で大拍手が起こるなど、安全を題目に現実性を無視した指導も少なくないと感じました。

 無論、労働災害は少なければ少ないほどよく、その対策はいくらやってもやりきれないというのは間違いないでしょう。ただ一部の労働災害に関しては、自ら機械に飛び込むような例も聞き、電車に飛び込むじゃないですが半自殺的な労災も耳にします。そういう意味では物理的な対策はもとより、自分も前回記事で書いたように自殺対策としての精神面のケアも、労働現場だからこそ必要なんじゃないかと思います。

 などとITメディアの記事に負けないくらいの脱線記事を書いていますが、結論を述べると山崎製パンを非難するなら、もっと掘り下げて労働災害の現状や対策についてまとめた方がいい記事になったんじゃないの、というのが私の見方です。っていうか鉄工所とか探せばもっと人死んでる現場は見つかると思うだけに、変に山崎製パンを狙い撃ちにするのは失敗であったような感じもします。

2024年5月2日木曜日

上海の次郎ラーメン人気


 去年もGW中に映画を見に行ったのを思い出し、どうせ暇なんだからと思って何か見に行く映画はないかと探したところ、ちょうど「スパイファミリー」の映画が公開されていることを知って見に行きました。映画観る前にトイレに行ったら扉に上の写真のような絵が描かれていたのですが、わかる人には巣がわかる「パルプフィクション」でユマ・サーマンとジョン・トラボルタが踊るあのシーンです。
 「パルプフィクション」は暴力性からテレビ放映はまずされない作品ですが、上のダンスシーンをはじめ自分も深く印象に残った作品なのでまだ見てない人にはお勧めです。

 で以って「スパイファミリー」ですが入場前に係員から「中国語版だけど大丈夫?(;´・ω・)」と聞かれましたが「なんとかなるよ(੭ु´・ω・`)੭ु⁾⁾」と答えてみたものの、さすがに陰謀シーンの下りは全部聞き取ることはできませんでした。それ以外は大体聞き取れたけど、中国語字幕もついている方がまだ楽です。
 朝10時からの上映でしたが大体半分弱くらい客席は埋まり、子供連れがやはり多くおっさん一人で見に来たのは自分だけでした。中国語版の声優は原作に寄せた声の人たちでしたが、さすがにアーニャのあの声だけは再現できてませんでした。こればっかりは仕方ない。


 で、話は本題ですが上の写真は上海のAPITAというショッピングモールにある次郎系ラーメンのお店です。運営主がどういう形態、直営かフランチャイズなのかは知りませんがオープン時に次郎系ラーメンのお店ができると日本人社会では噂になってました。でもって見ての通り、いつ行っても行列ができてるくらい繁盛していて、最近の日系飲食の進出ではスタートダッシュにかなり成功している方だと思います。

 元々、日本のラーメンは中国だと「うまいけど量が少ない」と量にこだわる中国人から不評が出ており、その点をカバーできる、っていうか量が多すぎる次郎系ラーメンは元から売れる要素を多分に備えており、この繁盛ぶりも納得できます。逆を言えば日系ラーメンはもっと、一杯当たりの麺の量を増やした方が中国では売れやすい気がします。
 なおその量について補足すると、多分日本ではラーメンと一緒に白米とか餃子ーを食べる習慣がありますが、中国ではこの習慣はないです。中国人からしたらこれらの組み合わせは炭水化物+炭水化物で、パンをおかずにご飯食ってるような感覚するらしく、ラーメン屋ならラーメンだけ食べに行くものと考えているそうです。それを踏まえると日本のように副食を前提とした麺の量だと中国的にはNGとなり、上の自分の理論も正しいことが証明されるでしょう。

2024年5月1日水曜日

けじめをつけた読売、けじめをつけられるか日テレ

 先日買ったパソコン用の無線キーボードですが、購入から1ヶ月もしないうちにEnterキーが硬くなって押しづらくなりました。会社用に同時に買った同じメーカーの有線キーボードも会社でBackspaceキーが異音を出すようになり、いくらなんでも耐久性がなさ過ぎて驚いています。
 レビューを見ると同じようにすぐ壊れたと書いている人が非常に多く、メーカー名は「双飛」ですが、最近この手の安かろう悪かろうな中国製品を見ることが少なくなっていただけに、まだこんなメーカーあったんだなと感慨に耽っています。


 話は本題ですが先日自分もこのブログで取り上げた読売新聞の小林製薬事件を巡る談話捏造問題について、捏造を行った記者を休職させ、記事捏造を暗に促した主任を解雇したとのことです。このほかの上長らも給与返上の処分が下されており、捏造自体は悪いことながら読売はこの問題についてきちんとけじめをつけたという印象を受けます。
 以前の記事にも書きましたが、今回のよりもっと激しい捏造報道を行った中日新聞では担当記者にのみ短い謹慎だけさせており、処分の軽さにほとほと呆れることがありました。記者にとって捏造は自殺も同然であり、本人のみならず関係上長らに対しても処分を行い、また直接責任者を解雇した点は評価できると思います。


 一方、まだやってんのかと呆れてくるのがこちらの日テレのセクシー田中さん問題です。原作者の自殺というショッキングな事件が起きた当初は「関係ないから」という態度を取り、世間の批判を受けて自殺に至った経緯などを調べる調査委員会を作りましたが、その時に5月初めには結論を出すと語っていたものの、このスケジュールだとやっぱ難しいと言い出したのがこちらの報道です。

 かねてから5月に発表すると思って続報なきやと思って検索したら上の記事が出たわけですが、確か制作子会社は直接子会社で実質的に同じ社内であることを考えると、外部脚本家を除けば調査なんてすぐ終わるだろうし、どう長く見繕ったって3日もあれば十分じゃないかと思います。にもかかわらず数ヶ月の時間を敢えてかけたということは、問題の鎮静化を優先するあまり日テレは実態解明をわざと遅らせたていると断言してもいいでしょう。逆を言えば、ハナから原因を究明するつもりすらなかったのかもしれません。

 それだけにこれだけ待たせたんだからさぞや立派な報告書が仕上がってことだろうと、私の中で日テレに対する期待感が膨らんでいます。っていうか厳格に関係者の処分を行えるんだし、読売新聞がこの件についてもっと日テレに対して取材、報道したってもいいんじゃないかと思います。
 ただマジな話、もしこの調査が中途半端な結論に陥った場合、今後日テレのドラマ制作に対する原作提供に影響が出てくる気がします。これを機に漫画原作者らも声を上げるようになってきていますし、実際原作者の地位が日本だとまともな契約書も交わさないなどひどい状況なだけに、きちんと団体同士でガイドラインとかこの際作るべきだと思います。

2024年4月29日月曜日

タイガー・ジェット・シンはサーベルを持って授賞式に来るのか?

 なんか今日はやたらスポーツニュースが盛り上がるというか、目につく記事が多いです。

 まず野球だとソフトバンクが何と3試合連続のサヨナラ勝ち(西武は逆に3試合連続のさよなライオン)で、今日にいたっては9回2アウトに主軸の柳田選手がお釣りなしの3ランでフィニッシュを決めるという役者ぶりでした。
 またヤクルトと中日はともに2桁得点で勝利し、ヤクルトは「火ヤク庫」と言われるだけあって打つときに急に打つのでまだ珍しくありませんが、貧打に定評のある中日に2桁得点が見られるあたりなんか明日は嵐になるのではないかと思います。

 去年と比べるとセパ両リーグとも比較的順位がもつれてチーム間格差は小さくなったというか、順位の変動も激しくて見ていて楽しいです。特にパリーグに関してはここ数年の改革が実ってか新庄監督率いる日ハムが2位につけ、今日も1対0で理想的な勝ち方しており、ほかの人のコメント見てても特に注目が高まっているチームな気がします。
 なお今日セーブを決めたジャスティスこと田中正義選手は1点を守り切ったものの、頓宮選手への死球を気にするという紳士ぶりを見せてました。これを見て私は、そんな気にしてたら藤浪選手はどうなんだよという思いがしました。

 以上のようなプロ野球ニュースもさることながら、今日最大のスポーツニュースは何といっても昭和から平成にかけての悪役レスラーとして人気の高かった、あのタイガー・ジェット・シン氏に旭日双光章が授与されるというニュースでしょう。リングではヒールながら慈善活動には熱心で、また東日本大震災の際にも日本へ義援金を送ってくれるなどしていることから、その受賞に異議を唱える人は全くおらず、むしろ彼が受賞してくれたことに往年のプロレスファンらも大喜びしていて見ているこっちもうれしくなるほどでした。
 ちょうど彼と何度もリングで戦ったアントニオ猪木が2022年に逝去されていることもあり、改めて猪木の偉大さを振り返る上でも今回のタイガー・ジェット・シン氏の受賞はタイミングが良かったのではないかとも思います。あまりプロレスに詳しくない私ですらタイガー・ジェット・シン氏についてはかねてから知っており、芸能人の勝俣州和氏が観客席で殴られそうになったことなどを語ってたのを覚えてたりします。

 そんなめでたい今回の受賞ですが、ネット反応を見ていてちょっと気になった点は、あの代名詞ともいうべきサーベルを授賞式にも持ってくるのかという指摘でした。
 実際のリングの上ではサーベルで切りかかったりはせず、柄の部分で殴ることが多かったそうですが、確かにあれがないとタイガー・ジェット・シン氏と認識するのは難しい気がします。しかし旭日双光章は皇居で、しかも天皇が直接授与する賞であるだけに、サーベル持ち込みはさすがに許されないのではないかなどといろいろ議論になっています。

 ここで思い出したのがかつてのさかなクンさんの授与式です。知ってる人には早いですがこの時にさかなクンさんは天皇の前でも自身のトレードマークであるハコフグの帽子を脱帽せず、被ったまま参列しています。一応、礼装用としてか黒一色のハコフグになってましたが。
 通常、目上の人に対して脱帽しないのは深刻なマナー違反とされますが、この時にさかなクンさんを批判する人は一般人はおろか、極右思想を持つ人の間でも全く見られませんでした。何故批判がなかったのかは簡単で、さかなクンさんは何もこの時だけではなく、常にあのハコフグの帽子をかぶっており、自身のスタイルとして強い一貫性を持っていたということに尽きるでしょう。むしろこの授与式でも帽子を取らなかったエピソードは、そのスタイルを貫いたとして称賛すらされていました。

 以上のさかなクンさんの例を踏襲するなら、やはりタイガー・ジェット・シン氏もサーベルを持って授与式に臨むのがいいんじゃないかと勝手に期待しています。さすがに刃は潰しておいた方がいいし、鞘に納めて持って行った方がいいかとは思いますが、英国でも大学の優秀な卒業生には帯剣しての卒業式参列が認められたりするので、日本もこういう例があったっていい気がします。

 ちなみに自分は成人式の際、大河ドラマで「新選組」がやってた頃なので新選組の羽織に鉢巻きつけて、何故か一人だけコスプレ会場と間違えたかのような格好で行きましたが、この際に京都のお土産屋で売ってる模造刀も帯剣していたものの、会場に着く直前にうちのソ連人民の敵でこの前もレオパルト2のプラモ作ってたけど何が何でもソ連製戦車は作ろうとしない親父に、「それはやめとけ」と言われ、直前で刀は置いていきました。
 今思うと、置いていく判断は正しかったです。下手すりゃ暴れる新成人みたいに報道されてたかもしんないし(;´・ω・)

2024年4月28日日曜日

日本で影響力のデカかった暗殺事件

【すごい無駄遣い】133人に対し45億円、1度は廃止の憂き目にあったパスポートの電子申請(前編)(ロボティア)

 上のロボティアに書いた自分の記事ですが、アップロードからわずか数時間で2万PVまで行ったそうです。手を抜いたつもりはなかったもののそこまでしっかり詰めて書いたわけではなかったので正直以外であるとともに、やはりこういう小ざっぱりした分量の記事のが受けるのかなと正直迷ってます(;´・ω・)

 話は本題ですが先日発売された漫画の「だんドーン」の3巻を読みましたが、この手の幕末漫画にしては非常に珍しいというか、桜田門外の変に至るまでの過程が細かく書かれているような印象があります。日本の幕末はペリーの黒船来航(1853年)から始まるとされていますが、娯楽作品においてはむしろこの大老であった井伊直弼が暗殺された桜田門外の変(1860年)から始まるのが大半です。「あずみ」の幕末編に至っては、あずみ自身が井伊直弼を暗殺するところから始まるし。
 にしてもいま「あずみ」と入力したら「安住」と変換され、後の世に「安住」というアナウンサー物語の漫画が連載されるのかと思いました。まぁ彼の人生は漫画化しても受ける気がするけど。

 話を戻すとこの桜田門外の変は歴史的にも大事件というか、日本史への影響度は半端じゃありません。仮にこの事件が起きるのが1年早くても、1年遅くても、その後の日本の歴史は大きく変わったんじゃないかと思う節があります。
 1年早ければ安政の大獄で獄死した人間が生き残るものの、かえって優秀な人材が多くいて意見がまとまらず、また幕府への権威も残って明治新政府は発足しなかったかもしれません。逆に1年遅ければ有為な人材が多くなくなり、攘夷ムードが停滞してこの後にオピニオンリーダーとなる長州藩が台頭しなくなったかもしれません。

 以上のシミュレーションを踏まえると、暗殺による政局全体へのインパクトとして桜田門外の変は日本史においてもトップクラスに入るような気がしました。でもって、もっと他に影響力のデカい暗殺事件はなかったものかと思案を巡ったところ、やはり歳出駅にトップとなるのは歴史的にもエンタメ的にも本能寺の変かという結論に至りました。
 言うまでもなく、この本能寺の変がなければ豊臣秀吉の台頭はなく、徳川家が天下を取ることもなかったと言い切れます。武田信玄、上杉謙信亡き後で、また49歳とまだまだ元気だった当時の最高権力者の織田信長の急死のインパクトはあまりにも大きく、暗殺実行者である明智光秀もある意味でMVPみたいな人物と言えるでしょう。

 このほか影響度の大きい暗殺事件としては、鎌倉幕府3代目将軍であった源実朝の暗殺が思い浮かびます。仮に実朝が暗殺されなくても承久の乱は起きたかもしれませんが、鎌倉幕府と天皇家の対立が一気に先鋭化するきっかけになったのと、鎌倉幕府の世襲制が終わることとなった、でもって後の南北朝の対立の原因となった天皇家が二派に分かれる遠因にもなったことを考えると、長いスパンで見ての影響度なら本能寺の変を超えている気がします。

 あと単純に失った人材の惜しさで言えば、原敬の暗殺事件が浮かびます。仮にこの事件がなければ原は確実に元老となっており、その後の総理指名権と相まって日本政治をリードしたことを考えると非常に惜しい人材をこの時失った気がします。

 逆にですが、「だんドーン」にも出てくる大久保利通が暗殺された紀尾井坂の変については、暗殺事件としてみたらその歴史への影響度は高くないと思います。というのも、大久保はすでにあの時点で明治政府が目指す方向性というかグランドデザインを築いており、またそれをしっかり踏襲する岩倉具視や、伊藤博文、山形有朋といった人材を残していたからです。
 特に伊藤に関しては大久保の方向性をしっかり理解し、且つそれを実行する能力も備えていたのが大きく、ある意味、この伊東の存在によって大久保の暗殺はその歴史的価値を低めているともいえるでしょう。言い方を変えると、後進をしっかり作っていたという大久保の功績という風にも見えます。

 直近の暗殺といえば言うまでもなく安倍晋三が最も新しいですが、こちらに関しては総理在任中ではなかったとはいえ、将来の歴史においてどう評価されるのかは若干興味深くあります。まぁ彼が行った政策として一番歴史に残るのはアベノミクスでもなくアベノマスクでしょうが。

2024年4月27日土曜日

小出もと貴氏の漫画が実は好き

あくまでクジャクの話です。 - 小出もと貴 / #1/性淘汰(コミックDAYS)

 上の漫画ですが、先日1巻が発売されているのですぐ購入し、読了後はしばし満足感に包まれました。っていうか読んでる最中、ガチで地下鉄で停車駅乗り過ごしかけた。

 この漫画の簡単に説明すると、高校の男性教師である主人公が生徒や同僚などから恋愛が絡む相談を受けるや、生物学大好きっ娘の生徒が割り込んできて、生物学に基づいた恋愛価値観というか自然原理を説明するという流れになっています。
 例えば上の第1話ではクジャクの尾羽を例にとり、何の実用性もないが尾羽がでかいと何故かメスに持てることから、尾羽のデカい雄しかクジャクは生き残らなくなったこと説明し、「見た目がほぼすべて」という教訓を伝えます。ただこれは逆を言えば見た目をどうにかすることでもいくらでも逆転ができるということも意味し、別の鳥では偽の尾羽をつけても雄が持てるようになった例も紹介しています。

 こんな感じで生物学と絡めていろいろ問題をこじれさせまくるヒロインですが、利己的であるほど生物としては強くなると踏まえた上で、「女子高生に手を出す教師もいてもいいはず」という超理論を振りかざして主人公に迫ってきたりします。最近こういう綾波レイ系のクールなヒロイン見なかったな。

 そんなこの漫画ですが、作者は小出もと貴氏(漢字が変換し辛い)と言って、過去にも何度か作品を連載しています。一つ前の「iメンター すべては遺伝子に支配された」は自分も読んでいるのですが、この作品で小出氏を知り、そんなに有名ではなさそうだけど器用な作家がいたもんだと思い、「iメンター」の連載終了後も新作を出さないものかと定期的に作者名で検索をかけていて、それで上の「あくまクジャク」も知りました。

 こちらの「iメンター」についても簡単に触れると、アニメの「サイコパス」みたいにいわゆるディストピア的な作品であり、すべての人間の遺伝子が出生時点で解析されている社会で、一定の年齢(高校入学前後)以上に使用が許されるアプリを通して健康度、職業適性、果てには特定の相手との結婚愛称まですべてAIが事前に教えてくれるという世界のお話となっています。
 そのアプリは国が管理しているので完全に公平公正、というわけではなく、実際は管理局側の人間によって恣意的に数値が操作されており、職業適性の数値も適性が高い人物には特定の職種に向かわせるよう、その他の職種の適正値を意図的に低く通知したりすることで誘導したりします。また遺伝性の病気を抱えている人物には、治療法があるにもかかわらず一切教えず、安楽死を選ばせるようにこちらも誘導したりします。

 こうしたややもすると暗そうな話ですが、どの話も割と明るい感じに終わるというか読者の意表を突く展開が多く、ストーリー構成が他の作家と比べ明らかにうまいと感じる内容でした。完結まで3巻と決して長くない作品で、そのせいか終盤はやや駆け足な展開でしたが、なかなか稀に見る作家だと思い密かにマークするようになりました。
 そんな小出氏のストーリーセンスですが、「iメンター」よりさらに前のオムニバス的作品である「愛リウム」の方が非常に凝っています。こちらは飲んでから24時間後にその間の記憶を失う、つまり本人の意識的には24時間後の世界にワープするような感覚を得る薬の話で、これも面白かったです。

 小出氏の作品に限るわけじゃないですが、基本的に創作というのは読者に展開を読まれたその点で面白さが半減するもので、如何に意表を突くかが一番重要な気がします。「五等分の花嫁」も主人公がどのヒロインとくっつくのかが一番話の肝だったし、如何に予想を裏切る展開にもっていくかが作家としての持ち味が測られるとこでしょう。
 その点でこの小出氏は展開の運び方も含め非常にうまいと思え、個人的におすすめな作家です。

 にしてもさっき出た「五等分の花嫁」の作者ですが、多分「五等分」が売れたから連載開始前の時点でアニメ化決まってたんだろうけど、今連載している「戦隊大失格」は見ていてやばいと思うくらいつまらなくて途中で読むのやめちゃいました。あれ、このまま本当にアニメ化するのだろうか。

2024年4月25日木曜日

吉村府知事の0歳児選挙権発言を見て

大阪府・吉村知事「0歳児にも選挙権を与えたい」(ガハろぐ)

 結論から述べれば、おおよそまともな人間とは思えない発言です。一般人が言ってもおかしいのに、公職に就く政治家がこのような発言をするなんて理解しがたく、なんで大阪の人はこういうやばい人ばかり公職に就けようとするのか、わざと自分の所在地域を貶めようとしているのかという気すら覚えます。

 発言の経緯などに就いてはとやかく説明しませんが、この発言というか0歳児に選挙権を持たsることの問題点についていくつかのベルト、まずその選挙権は子供ではなく親が行使するということですが、これは完全に1人1票という民主主義の根本的前提を崩します。それこそ投票数を増やすため、無意味に子供を産む、または養子に取る人間すら出かねず、その手の人間はごく一部だとしても社会秩序を悪い方向に招きかねません。

 次に、投票に対する有権者の責任というものが揺らぎます。民主主義は自分たちで代議士を選ぶことで、その機会と結果を有権者に持たせることを前提としています。いうなれば、良いも悪いも投票次第というかまともなリーダーを選ばなかったらこの大阪府みたく自滅を招くという結果責任を負うことで、社会に対して有権者に責任を持たせます。
 これは言うまでもなく、有権者に一定の選挙知識を義務教育によって持たせ、各人が候補を自らの意志と判断で選ぶことを前提としています。それが子供に選挙権を持たせるとなると、それこそ10歳くらいの子供が世の中の仕組みなどわからないままに目についた候補に投票するということが起きかねません。

 無論、大人でも社会のことがわからなかったりする人もいますが、それは義務教育に問題があるとして、ある意味で社会がその失敗の責任を負います。しかし義務教育段階が終わらない段階の子供のおかしな投票に対し誰がどう責任を負うのか。吉村知事が負うのは当然ですが、弊害はそれだけにとどまらないでしょう。

 それにしてもこの発言、少子化対策として子供を持つ親の層が社会でより発言権を持たせるようにと説明していますが、上のまとめ記事にも書かれている通りに「投票数が増えるから子供産もう」っていう人はふつういません。いるとしたら、思想が若干やばい人くらいでしょう。っていうかこれが少子化対策になると思っているとしたら、頭やばいとはっきり思います。
 そもそも少子化対策にお金をかけたり社会が支援するということは、すでに日本中で多数派を確実に形成できるくらいコンセンサスが取れているし、実際にかなり費用も傾けられていてそれが無駄だ、削減しろと言っている人もほとんど見ません。さすがに独身税に対する反発こそ強いものの、ここへ子供の分の投票権を持たせたからと言ってこれ以上政策が拡充することもなければ、子供が増えることもまずないと言い切れます。

 それにしてもこの吉村知事、万博の費用追加投入はないと発言しておきながらその後どんどん増額していくし、また無駄なモニュメントなどを削って費用を抑えるようなことも一切せず、過去の大阪府知事もおかしな人が少なくありませんでしたが、歴代で見てもトップクラスに問題のある人物なのではと最近思うようになって起案した。先日の玉川徹氏への万博出禁発言といい、何となく自分は何したっても、何を言っても許されると思い込んでいる節があるようにも見え、コロナ時のイソジン発言も含めて考えると、なんかまともな判断力をとうに失っているのではないかという風にも見えます。
 その万博の予算や玉川氏への発言などでは非常に態度のブレがみえ、こう言っては何ですが比較した場合、岸田首相がすごい一貫性を持っている様にすら見えてきます。

 はっきり言ってしまえば、彼が府知事の座にいればいるほど大阪は衰退していくように思え、本気で大阪をもっとマシにしたいのなら大阪の人は次こそまともな人間を府知事に選ぶべきでしょう。基本的に維新の会といい、なんか大阪の人は能力よりも目立ちたがり、口がうまいというこの二点だけで候補を選んでいるような節があり、ちゃんと政策ビジョンや実行能力を備え、リーダーとして適格な人物を持ってくるようもう少し考えた方がいいでしょう。
 こう言っては何だけど、地味だけど着実に仕事するという人物像を大阪の人は持っていない気がします。全部ホームランで一発解決みたいにして問題に向き合おうとするところがあり、まずはその現実離れした価値観をただすところから始めた方がいい気がします。