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2008年9月17日水曜日

事故米自殺事件に見る農水省の無自覚

 まだ民放などは細かくチェックするに至っていませんが、今日は昨日に引き続きリーマンブラザーズ社やAIG社のニュースばかり取り上げられ、ここで紹介するニュースの扱いが非常に小さい気がします。なので、ここで私が思いの限り文章に起こすことにしました。

「事故米」流通先社長が自殺…奈良(YOMIURI ONLINE)

 リンク先の記事によると、すでに私も「三笠フーズ事件の再考」の記事の中で取り上げている事故米事件において、事故米の流通先として農水省によって公表された奈良県の食品販売会社社長が自殺に追い込まれてしまったようです。この事件について私の感想を素直に述べると、農水省への怒りで何も言えないというのが本音です。

 政府は先週頃から、今回の事故米事件で三笠フーズが事故米を流出させた業者を次々と公表していきました。何故政府、というよりもこの場合は農水省ですが、彼らは業者名を公表するに至ったのかと言うと、あまり他のメディアなどでは言及されていませんが、まず間違いなく自分たちの保身のためでしょう。

 どういうことかというと、今回の事故米事件において前回の私の記事でも既に言及して、先週末によってメディアによって明らかになったように、案の定農水省にて本来これらの流通を監督する部署にいた元課長が三笠フーズから接待を受けていたことが明らかになりました。本人は安い食事をしただけだと言っていましたが、公務員服務規程によって一般人から食事等の接待を受けることは割り勘を含めて基本的に禁止されており、外務省にいた際に佐藤優氏などはこの規定によって人との夕食では自分が毎回おごる羽目になったと言っているくらいなので、職務に関係する企業ともなれば言語道断ともいえる行動です。

 恐らく、この事件が業者名の公表に至った一つの契機であったと私は見ています。なぜなら、事故米を使用したなどと衝撃的な言葉とともにこれらの業者名を上げることによって世間の耳目をそらし、この事件による農水省への批判をそらすのが連中の目的だからです。この農水省のもくろみは見事に当たったのか、今日になるとこの農水省の元課長のニュースはほとんど上がってきません。しかしその代わり、本来農水省が職務を果たさなかったばかりに流通することとなった事故米をつかまされて、被害者であるはずなのに名前を挙げられた業者の方々は風評被害によって大きな打撃を受けることになりました。マスコミもマスコミで、さっきもNHKが、「有名なお店でも使われてた」、などとくだらないことを報道しています。

 しかも、この業者名公表は相当に急いで行われたという事実も明らかになりました。

業者名公表めぐり混乱=事故米転売問題で農水省(時事ドットコム) 

 リンク先に貼ったニュースによると、なんと農水省が最初に発表した業者名のリストは九十箇所以上も間違いがあり、中には実際には流通していない企業名まで含まれていたそうです。もしこれが民間の報道機関であれば、風評被害を与えたとして社長以下役員が記者会見で頭を下げて謝罪をしなければならないほどの大問題です。何故こんなに間違いがあったのか、それは私が予想するように農水省がなんとしても批判の矛先をかわすためでしょう。

 思えば農水省は昔からこういうことをしょっちゅうやらかしています。かつてBSE問題が発生した際も、牛の全頭検査をやる傍から感染牛が見つかった場所を大々的に公表し、そのあまりの報道の過熱振りに感染牛を割り出した何の罪もない検査者が自殺に追い込まれています。

 こういった健康被害に関する情報を隠すのは間違いです。しかし、報道があまりに過熱する可能性があるような情報の場合、誤解を与えずにかつ正確な情報で公表することが大前提です。何も難しいことを言っているわけじゃありません。普通に考えて、公表すべきものを公表し、公表すべきでないものは公表しなけりゃいいだけです。そういった目で見るならば、今回の業者名公表は明らかに公表すべき問題ではありませんでした。なぜなら風評被害が確実に起こることが目に見えており、またその事故米は農水省側の不手際によって流通してしまったからです。第一、農水省側の発表では、この事故米を食べても健康被害はないというのだから、なおさら業者名を公表する理由がわかりません。

 それでも公表に至ったのですから、ここは是非農水省の側も今回の公表を決めた課長級以上の関連する人物名をはっきりと公表するべきでしょう。同様に、最初に三笠フーズから接待を受けていた元課長の名前と現在の部署もです。このブログでハンドルネームを使っておきながら私もこんなえらそうなことを言うべきではないかもしれませんが、批判を恐れて名前を隠すなら発言自体するべきではありません。私は中間をとって、メールアドレスは公開してますが。

米FRB、AIG救済について

 本当は昨日こっきりのサブプライム話でしたが、なんか大いに盛り上がっているので続きを書きます。

 さて昨日は風評だからあまり信じちゃいけないけど今じゃ信じられないことすらも起きちゃうからねと言っていた米保険業界大手のAIG社について、本日、案の定滅茶苦茶に株が売られて下がるところまで株価が下がったところ(一時一ドル台まで落ち込んだ)で、アメリカのFRBがなんと日本円にして約九兆円もの融資をして救済すること発表しました。

 先日のリーマンブラザーズ社はFRBに同じく融資を申し込んでいたにも関わらず拒否されて、今回AIG社は逆に救済されました。簡単にネットで検索をかけてみましたが、まだあまり日本の報道社などはリーマンブラザーズ社と違って情報を集めきっていないようでやや情報不足ですが、その中でもいくつかこの対応についてコメントしている記事を読んでみると、やはり証券会社と比べて保険会社は公益性が高く、その影響が大きく広がることを懸念したためだという風に書かれていました。

 実を言うと、私も三年前にこのAIG社の保険に加入しておりました。どんな保険かというと、留学生保険です。
 外国に留学している間というのは日本国内のように健康保険が適用されず、ちょっとでも病気をしようものなら現地でものすごい額の治療費が必要になってきます。私が加入したのはそのような場合を想定して、何かあった場合にその分の費用を補填してくれるという保険でした。もっとも先々週に突然倒れて意識を失った私ですが留学中にはこれといって病気をすることはなく、この保険は一回も活用することなく満期終了に至ることになりましたが。
 しかし後から調べてみると、中国では企業などの雇用先が病院等を経営していることが多く、そうした雇用先に属していない人間が治療を受ける場合は相当な治療費が必要になるそうなのです。何も病気せずに保険代を無駄にしたかなと思っていましたが、そんなリスクを改めて考慮するとこの保険は無駄ではなかったと思うようになりました。

 昨日、AIG社が相当やばいという話を聞いた時、すぐさまこの際の保険のことを思い出しました。それこそAIG社が破綻したら、加入している保険も恐らくは有名無実化されていたでしょう。そんな時、私のように留学生保険をかけている留学生などは大きな被害を被るでしょうし、ましてや中国で非常に多い交通事故にそんなときにででもあったら、本当にえらいことになるのではないのかと思ったので、今回のFRBの対応もまぁ確かにわかる気がします。

 今横でやっているNHKのニュースでも、救済された理由は影響力の大きさとコメントしています。私なんかは疑り深い性格をしているので、単純に国への献金額が多かったからではないかとすら類推してしまいます。どちらにしろ、今回の救済は決して安いものではないことです。

 なにしろ本来市場に出回るはずのなかったお金が九兆円もばら撒かれるのです。今後ドル価格はどんどん下がり、昨日の私みたいにユーロや人民元が買いだという人間がこれから続出すると思います。日本としては唯一利益を上げている輸出産業が打撃を食らうので、巻き添えを食うことは間違いないでしょう。まぁその分、原材料コストは下がってくるかもしれませんが。

 そしてもう一つの懸念が、救済はまだ続くかということです。恐らく、FRBとしては先週の政府系銀行の救済で締め切って、後はリーマンブラザーズ社のように見捨てていくというシナリオだったはずでしょうが、今回のAIG社でそう行かなくなりました。今後も救済を続けるのか、それとも後は市場に任せるのか。日本の過去の経歴だと、大枚をはたいておきながら実質ほとんど効果のなかった日本長期信用銀行などの例があり、見切りをつける時期が今後の一つのポイントとなると思います。

2008年9月16日火曜日

文化大革命とは~その二、概略~

 のびのびになっていましたが、連載二回目です。

 早速文化大革命についてあれこれ書いていこうと思いますが、前回の記事でも書いたように、この文化大革命は本当に複雑な事件なのです。私も今こうしてウィキペディアの記事を読み返していますが、何度も読んだはずなのになんかいまいちピンとこれずにいます。
 そこで今回は最初の方ということもあり、文化大革命の概略とその流れについて書いてみようと思います。今後の連載でも恐らく読んでいる方は何度もわけがわからなくなると思いますが、そのたびにこの記事を読み返してくれればというつもりで書きます。

 まずこの文化大革命は誰によって起こされたのかというと、それは間違いなく毛沢東です。こんなことを言うと中国では捕まるんじゃないか、という思われる方も多いでしょうが、今じゃちょっとわからなくなりましたがちょっと前だったらニュアンス的には間違っていないんじゃないというように、中国人にもちゃんと受け取ってもらえたと思います。ここで書いておきますが、日本の方は中国人を必ずしも侮らないように。きちんと彼らも隠し様のない事実くらいは理解しております。

 日本の歴史教育だと毛沢東は中華人民共和国が成立して以降、一貫して権力者であったかのように誤解されがちなのですが、実際には彼は一度失脚しています。何故失脚したかというと、農業政策や社会政策などで明らかな失政を犯してしまい、一度鄧小平といった経済政策などに明るい政治家らに引退を迫られ、一旦は政権の中枢から降りています。しかし彼自身は未だ引退する気はさらさらなく、表面上は穏やかに政権の座を譲ったかのように見えましたが、その後自らは隠遁したふりを見せ、未だ政権に残っている自らの腹心を使い徐々に世論を誘導して、「鄧小平らは毛沢東を騙して政権から追い出した」、というような世論を作っていきました。

 以前に大学の授業にて中国政治の先生がこの文化大革命のことを、毛沢東が権力を奪回させるために敢えて社会を混乱させたところ、終いには自分にも手がつけられなくなったと評しましたが、まさに的確な表現でしょう。毛沢東は民衆、特に精神的に純粋な十代の少年少女らを使い、自らを神格化させることによって見事鄧小平を追放し、政権の奪回に成功します。しかし少年少女らを扇動する際に毛沢東は、

「お前たちが正しい。しかし大人は間違っているから、お前たちが修正してやらなければならない」

 といったような言葉で動員し、この言葉を真に受けた若者たちは一切権威を信じず、自ららが組織した団体の決定を強引に推し進め、更には本来それを取り締まる警察や軍隊は毛沢東らの中央政府の命令によって鎮圧ができずに静観するだけという、悪循環な環境を生んでいくことになります。
 この時代について私に中国語を教えてくれた中国人教師の方などは、当時は軍隊が全く機能しておらず、子供だった先生は勝手に基地の中に忍び込んでは手榴弾を取ってきて投げて遊んでいたというくらいですから、その混乱振りがうかがえます。
 このように、ごくごく一般の社会機能がほぼすべて失われ、当時の中国はさながら無政府状態のように、殺人があっても誰も気に留めず、また好き勝手に泥棒や強奪が頻発したらしいです。

 毛沢東も途中からはこうした暴徒と化した若者を押さえにかかり、あの悪名高き農村への下放を推し進めていくのですが、それでも彼の存命中はこの混乱が収まることはありませんでした。
 しかし毛沢東が死んで鄧小平が復権すると、やはり中国の民衆は当時の状態が間違っているということはきちんとわかっていたのか、鄧小平の指示の元に一気に体勢を立て直していくに至りました。

 一説によると、この文化大革命の死者は1000万人を越し、生きていても社会的に大きな打撃を受けた者となると当時の中国人の半数以上とまで言われています。私の日本人の中国語の恩師は60歳を少し過ぎた年齢ですが、先生によると、中国には先生と同じ年代の学者はいないそうです。文化大革命中、少しでも学識のある人間は「知識分子」と呼ばれ、激しい批判や暴力を受けて社会的にほぼすべてが抹殺されたと言われ、ちょうどこの年代に当たる知識人層が何十年も立った今でもすっぽりと抜けているということを知った時、寒気にも似た気持ちを覚えました。

リーマンブラザーズ破綻について

 三年前のある日、後輩にこんなことを聞かれました。

「先輩、今一体どんな業種の会社が調子いいんですかね?」
「そうだなぁ。調子がいいと言えば自動車会社だろうけど、伸びているという意味では不動産証券化業界じゃないかな」

 この話を思い出すにつれ、この時自分はちゃんと勉強していたんだなぁと我ながら感心しています。当時、確かにこの業界は非常に伸びて、伸びて、そして去年になって一気に縮んじゃいました。不動産証券化業界というのは日本語で、英語にするならば即ち、サブプライムと呼ばれる業界です。

 今日は友人からリクエストがあったので、先日に破綻して今日はもう大騒ぎになっているリーマンブラザーズ社について書きます。本当は私などより別の友人のほうがこの問題にも詳しいのですが、まぁ情報を整理する意味合いで持てる情報と予測を書いてみようと思います。

 まずこのリーマンブラザーズ社ですが、テレビなどでも昨日から散々報道されていますが、かつてはライブドアによるニッポン放送買収事件の資金源となるほどこの世の春を謳歌したアメリカの巨大ヘッジファンドでしたが、同様にサブプライムローンの総元締めでもあったために去年のサブプラムローン破綻でとんでもない額の損失を出し、この度アメリカ政府に対して破産申告をするにいたりました。順位的に言うならこのリーマンブラザーズ社はアメリカの証券会社の中で四位に位置し、敢えて卑近な例で比較するなら、かつて野村、大和、日興と並んで四大証券会社と呼ばれた山一證券の位置に属し、山一證券同様に破綻したという構図になります。何気に、破綻理由が実体のない不動産価格上昇に乗ってしまった故の損失という点でも一緒です。

 次に破綻のきっかけになった理由ですが、報道されているのを見る限りアメリカの連邦準備理事会、通称FRBがリーマンブラザーズ社が公的資金の注入、いうなれば資金の救済を願い出たのを断り、また引き受け先としてリーマンブラザーズ社の買収を協議していた別の金融会社が救済をあきらめたという情報が入り、株価が下げとどまらなかったことが止めを刺したようです。
 それでこのFRBなのですが先週に、同じくサブプライムで大損失を食らった別の銀行会社複数には公的資金を注入しております。先週に銀行を保護したことから当初、市場関係者らは今回もリーマンブラザーズ社は救済されるだろうと見ていたようなのですが、現実はさにあらず見事に袖にされてしまったようです。この対応の違いについて確か日経新聞が書いていましたが、FRBはこれ以上公的資金の注入を行うことによるドルの下落を恐れたというのが原因ではないかと予想していました。確かにただでさえ下がっているドル価格なのですから、これ以上流すと下がることは必定でしょう。

 またまたこのFRB関連の情報ですが、やはりFRBとしてはこれ以上自前で金を出したくないようです。そこでFRBは米証券業界の一位と二位であるゴールドマンサックス社とJPモルガン社に対して他社を救済せよとハッパをかけているようです。それで早くも風評が飛び交っていますが、本当は書くべきじゃないんだけどこの次は米保険業界の大手であるAIGが破産する、もしくは買収されると言われております。風評を簡単に信じ込むのはどうかと思いますが、今回のリーマンブラザーズ社も先月辺りから危ない危ないと言われ続けてきているので、風評といえども今の状態では見逃すことはできません。
 また救済をするようにと言われているゴールドマンサックス社とJPモルガン社はまだ今期の営業成績を発表しておらず、実際にはこの二社も相当な損失額を計上するのではないかとも言われています。さすがにゴールドマンサック社は……と思うのですが、仮にこの二社までとんでもない損失額を計上していたらアメリカ経済はえらいことになりますよ。

 では、今回のこのリーマンブラザーズ社の破綻による日本への影響ですが、まさに太平洋を挟んでるからといって対岸の火と見てはいけないのではないかと思います。なぜなら、既に一部で報道されていますがあおぞら銀行を筆頭にいくつかの邦銀が相当額のリーマンブラザーズ社の社債を保持しており破綻のあおりを受けて損害を受けることが予想されています。また現在の日本企業で利益を上げている企業というのはすべて海外での取引によって儲け、国内では赤字という企業ばかりです。代表的なのはトヨタなどの自動車業界ですが、今後もアメリカ金融市場が混乱することによってドル価格は下落し、その分円高になるので輸出による儲けは全体的に落ち込むことは明白でしょう。
 どうでもいいけど、今年の五月くらいに日本の自動車業界で唯一マツダの株価が上がりました。なぜかというと、調子の悪いアメリカへの輸出が最も少ない日本の自動車会社だから(その分ヨーロッパへの輸出でマツダは成り立っている)というだけで、市場がどれだけアメリカに対して警戒感を持っていたかというのがわかります。

 私は今年の景気はオリンピック景気が終わることによる世界の工場たる中国の成長が止まり、中国を発端にして景気は後退するのかと思っていましたが、実際には逆でアメリカが原因で後退するに至りました。せっかく一時期は1バレル150ドルを超えていた石油価格が100ドル台、つまり三分の二まで戻ったのに、こんな風に景気が混乱するというのはなかなかに皮肉な結果です。アメリカ企業への投資はもう駄目だから再び金や石油に投資が集まるだろうという予測がありますが、私なんかはかえってこのタイミングで人民元とか買ってみたら面白いと思います。それにしても人民元も、四年前だったら日本で買うことできなかったのに時代は変わるもんだなぁ。

2008年9月15日月曜日

ゲーム「ペルソナシリーズ」のレビュー

 ちょっとまだ体がだるいので、気を抜くがてらにゲームのレビューです。今日やるのはアトラスから出ている「ペルソナシリーズ」です。

 もともとこのシリーズはアトラスの人気シリーズである「女神転生シリーズ」から派生した作品でしたが、本家よりいつの間にかこっちのほうが人気が出てしまい、現在では一シリーズとして独立しています。
 私がこのゲームをやりだしたのは最初の作品である「女神異聞録ペルソナ」が中古で安かったのと、同じくアトラスから出ている「グローランサー」というゲームをやったついでにという形で入りました。

 これは多分私だけではないでしょうが、このシリーズの最高傑作と呼べるのはこの初代ペルソナでしょう。はっきり言ってゲームバランスは他のアトラスのRPG作品同様に崩れまくっており、この作品もご多分に漏れずレベルはなかなか上がらないわ、敵はむやみやたらに強いわでなんど放り投げかけたか。しかもレベルがかなり上がらないと使えないペルソナ……説明し忘れましたが、このゲーム、漫画「ジョジョの奇妙な冒険」に出てくる「スタンド」とまんま同じな「ペルソナ」というものを使って悪魔と戦うゲームです。このペルソナはいろいろ種類があってレベルがそのペルソナに設定されたものに達しないと使うことができないのですが、タダでさえレベルが上がりづらいのに普通にレベル80は行かないと使えないものがごろごろしていて、どれだけユーザーをなめているのかと何度思ったことか。

 それでもこのシリーズが人気が出たのはやはり練りこまれたシナリオでした。漫画版も私は全部そろえましたし、なんかあちこちで評判を見ていると今でも高く評価されており、PS2でのリメイクも期待されています。そんなわけでいちおうクリアできて、また面白かったということもあって続編の「ペルソナ2 罪」が出たときはすぐに買ってやったのですが、なんと言うかこっちの終わった感想は非常に消化不足な感しか残りませんでした。一応前作の続編ということで、前作のキャラクターたちも出てくるのですが、これがまた申し訳程度で全然ストーリーに絡みはしないわ、新キャラクターは新キャラクターで、主人公からヒロインを含めて有名な声優は使ってはいるのですが、あからさまなミスキャストでゲームをプレイするたびに萎えさせるボイスでした。

 更に致命的だったのは、この頃辺りから当時のアトラス作品のメインイラストレーターであった金子一馬氏の衰えが目立ち始めてきました。金子氏は悪魔を描かせたら日本一と言われるだけ世界中の神話のキャラクター達をこれまで写実化してきた偉大な人物ではありますが、それまでの作品では非常に癖のある絵でしたが、彼が描く人間のキャラクターには不思議な魅力があり、悪魔同様に大きな存在感がありました。しかしこの「ペルソナ2」の辺りからは非常に癖のある画風はそのままで、存在感だけがすっぽりと抜け落ちてきたように見えました。特にひどいのは人物画の配色です。各部位の色は基本一色で塗りたくり、なんというか全体的にのっぺりとした絵になってしまいました。「ペルソナ2」の主人公なんか、髪の毛を原色に近い茶色一色で塗りたくっているから、ヘルメットかカツラを被っているようにしか見えないし。

 そしてこの作品の最大の失敗は、このシリーズの戦闘における最大の醍醐味である、悪魔との交渉が非常にめんどくさく面白みのないものとしてしまったことです。これは他のRPGにもいえますが、基本的にザコ敵との戦闘は一分以内に終わるものがベストです。一回の戦闘に三分以上かかるとレベル上げの作業が非常に面倒になるだけでなく、ゲーム全体のプレイ時間、テンポに大きく影響させてしまいます。ドラクエ、FFシリーズなどはどれも短く終わるように設計されており、逆に駄目なRPGほど戦闘時間は長いものが多いような気がします。

 それでこのペルソナシリーズですが、大体一回五分くらいかかるのがざらです。なぜならこのゲームはドラクエ5以前に悪魔と交渉して敵を仲間にするシステムを導入しているため、戦闘中にあれこれ選択肢を選ぶように作られています。これが「ペルソナ1」の頃なんかは面倒と思うこともありましたがなかなか面白く、各キャラクターごとに「歌を歌う」とか「おだてる」などと交渉コマンドが決められており、キャラクターの個性化に成功したのですが、「ペルソナ2」になるとこの交渉がただただ面倒な作業になり果て、しかも交渉の結果得られるものが明らかに前作より少なく、前作以上にこの交渉を多くしなければならなくなるという不手際を犯してしまいました。

 こんな感じでもうどうしようもなかったのですが、多分そうだろうなぁと思っていたら悪乗りして「ペルソナ2 罰」という作品まで作ってしまいました。しょうがないからやりましたけど、これもまた面倒なだけの作品で、「ペルソナ1」でよかったシナリオはどこ行ったのかと思うようなくだらない自己完結作品でした。またこれは「ペルソナ2」全体に言える事ですが、確かに「ペルソナ1」ほど不条理に満ちたゲームバランスではなくなり難易度も落とされているのですが、前作は難しいなりに、ボス戦などには抵抗属性などを用いた対策が非常によく効き、戦闘に戦略を持ち込むことができたのに対して「ペルソナ2」は全くそういったものがありませんでした。まぁ、「ペルソナ1」の場合は対策が効き過ぎて、私の場合ラスボス戦がノーダメージで終えられたというのがありますけど。

 そんなわけで多分今後もこのシリーズは駄目だろうと、その後にアトラスは「女神転生Ⅲ」とか出しましたけど、私は一切手を出しませんでした。しかし全然知らなかったのですが一昨年に「ペルソナ2」の発売から七年も経過して、いつの間にやら「ペルソナ3」を出していたことをちょっと前に知りました。そしてあれこれレビューを見てみると非常に高評価だったので、ちょうど手持ち無沙汰だったのもあってつい最近に購入してやってみました。結論から言うと、前作よりは大分マシになっています。

 まず悪魔のイラストはこれまでどおりに金子一馬氏ですが、キャラクターのイラストを副島成記に変えており、これは高く評価できます。私に限る話ですが、キャラクターに対して前作にはできなかった感情移入が非常にしやすいデザインとなっており、また声優陣もどれもキャラクターにあった人を選んでいます。
 肝心のゲーム内容も、今作は「弱点システム」というのが搭載され、非常に戦略性が重視されるものになっており、現段階でなかなか評価できます。

 まだやり始めている途中ですが、この作品はまだ人にも薦められる内容です。でもこれをやるよりも、やっぱり一作目をやったほうが全然いいと思ってしまいます。何もゲームに限るわけじゃないけど、早くに作品として完成させてしまうと、続編を作り続けるのが非常に難しくなってしまいます。同じような例だと、KOEIの「三国無双2」とかかな。これなんて2で完成しちゃったもんだから、その後はどんどんつまらなくなっていくし。特に「戦国無双シリーズ」の一作目に、本田忠勝を使用キャラに選ばなかったときはKOEIは頭がおかしくなったのかとすら私は疑いました。

2008年9月14日日曜日

文化大革命とは~その一~

 私が中国に留学中、授業時間が余ったのである程度中国での生活を過ごしてきた私たち外国人学生に対して、中国人の先生がある日、「あなたたちから見て、中国人はどんな風に映る?」と尋ねてきました。すると一人の学生が「行列に並ばない」、とお決まりのセリフを言いました。それに対し、他の数人の学生もうんうんと無言でうなずきました。
 先生も苦笑しながらその通りねと言いながら続けて、「何で中国人は行列に並ばないのかしらね」と、逆に聞いてきました。すると間髪をいれずにドイツ人の学生(チャイニーズネームなら「郭焼磊」)が、「並んだところで、目当ての物が手に入らないことがわかっているからだ」と答え、先生も再びその通りと頷きました。
 ここまで話すと先生は改めて私たち学生に向かって、こう話しました。

「少し前の中国は文化大革命といって、非常に社会が混乱した時期がありました。その頃は今言ったように、お金を持って並んでも何も手に入らない生活を中国人は強いられ、その時の体験から中国人は行列に並ばなくなったのだと、私は思っています」

 この先生の言ったことは間違いなく正しいと私も考えています。よく中国人が行列に並ばなかったり信号を守らなかったり、果てには商取引上の約束を守らないことを中国人の大昔からの民族性だと言う人もいますが、日本人が古くから民族性と思っている習慣や行動形式の大半というのは、案外歴史が意外に浅かったりします。
 たとえば日本人は逆によく自分たちは行列好きと自認している節がありますが、これもあれこれ調べてみたところ、どうも戦中の配給制で行列を作ることを強いられたことから始まったようです。イギリス人も全く同じですし。

 このように、思考方法や行動形式はそれほど大きく歴史を掘り下げなくとも、割と近現代史をみることによって形成過程を追うことができます。そこで中国の場合ですが、現在の中国人に最も影響を与えたのはほかならぬ、これから連載して解説していくこの文化大革命に間違いありません。行列を守らないことから相手の意見に対する反応など、さらには現中国の国家体制からその存在意義もこの文化大革命を否定することで成り立っています。それほどまでに、文化大革命が中国に与えた影響は計り知れないのです。

 それほど現代中国に大きな影響を与えた文化大革命ですが、その内実を詳しく知っている日本人というのは非常に少ないと私は思っています。私は留学中、中国に来た日本人の多くが中国に対する知識をほとんど持っておらず、中には満州事変すら何のことだかわからない日本人がいた事に怒りすら感じましたが、この文化大革命についてはわからなくてもしょうがないと納得します。何故そんな風に思うのかというと、それほどまでにこの文化大革命は問題が複雑で、大まかな流れだけでも政治学、歴史学、私の専門とする社会学のそれぞれの見地からで全然構造が変わってきてしまうからです。大学のある中国政治に関する授業においても講師が、もしこの文化大革命を取り上げるならば授業時間が一年あっても足りないと言うくらい、非常に理解が難しい問題であります。

 実際のところ、私もどこまでこの問題を理解しているか自分でも疑問です。しかし中国との関わりが増えていく中、日本人でもこの文化大革命の知識を持つことは非常に重要になってきますし、また解説サイトはいくつか見受けられますが、やはり非常に読みづらいし理解し辛いものが多いので、自分の表現力で可能な限りわかりやすくできるように挑戦してみようと思います。

 解説は基本、私の専門とする社会学的な見地で進めていきます。私の理解でも、この文化大革命は一大政治事件というよりは人類史上最高のモラルパニックというように見ております。参考資料はまたも安直にウィキペディアの「文化大革命」の解説ページと、現在も活動なされている中国人映画監督の陳凱歌氏の著作「私の紅衛兵時代」と、同じくこの時期に青春時代をすごしたユン・チアン氏のベストセラー作の「ワイルド・スワン」に拠ります。特に「ワイルド・スワン」は文化大革命の資料としては簡単に手に入れることができ、内容も一級品といってよい作品なので、もし本格的に調べたい方などがおられれば手にとることをお薦めします。

 皮肉な話ですが、この連載は日本に来ている中国人留学生の方々に一番読んでもらいたいです。先ほども行った通りに現中国政権はこの文化大革命を否定することで成り立っており、比較的国内でも検証が進んでいるのですが、それでも聞くところによると、現代の中国の若者はこの辺の知識が全くないと言われています。個人的な見解ですが、やはり文革を経験した方からするとこの歴史は口をつぐみたくなる内容だからなじゃないからだと思います。また先ほどに挙げた「ワイルド・スワン」は世界中で売られていますが、中国語版は未だ出版されていません。なので一つの礎石という具合に、私のブログを活用していただければと思います。

三笠フーズの事件の再考

 なんか昨日今日とやけにだるいです。昨日友人と夜まであれこれ話していたからかなぁ。

 そんなこんだでまた三笠フーズの汚染米事件についてです。時間の経過とともにだんだんとこの事件の背景も明らかになってきましたが、まず三笠フーズ側ですが社長を除き従業員を解雇し、今後は事件の後始末だけをするために活動を続けるようです。偽装をしたきっかけはやはり利益確保のためだったようです。

 今回新たに明らかとなった事実の中で見逃せないのが、どうやら農水省側はかなり早い段階でこの偽装の事実を知っていたという事実で、私自身そうであってもおかしくはないと考えています。というのもかつての牛肉ミンチ偽装事件があったミートホープの例でも、内部通報者が農水省の監督部署に何度も連絡していたにもかかわらず、農水省側は全く調査に入らないどころかミーとホープの経営者側に内部通報があったという事実を逆に伝えていました。なので今回も発覚するかなり以前から農水省側が偽装の事実を知っていた可能性は高いでしょう。

 そう考えれば、今農水省が必死で汚染米を摂取した場合の危険性が少ないと喧伝しているということも理解できます。なぜなら、もし実際に危険性が高いとしたら農水省の責任が大きくなり、今後省内で処分者を出さざるを得なくなるからです。こうした前後関係を考えれば考えるほど、仮に発覚以前に偽装を知らなかったといっても、偽装をした会社はもとより農水省の事件への責任も非常に重いということがわかってきます。

 インターネットの掲示板でも指摘されていましたが、現農水大臣の太田誠一は今回の事件を以前に起きた中国餃子事件と比べ、あの餃子より残留していたメタミドホスの濃度は低いと発言しましたが、そんな農薬の量なんて比べる問題でもないし、また安全性がどうとかこうとかこの期に及んで弁明すべきではないでしょう。それだけ安全だと言いたいのなら、農水省の役人共々この汚染米を一年くらい食べ続けて自分の体で証明して見せたらいかがでしょうか。第一、福田首相辞任ですっかり追求報道がなくなってしまいましたが、この大田農水大臣は事務所の不正経理の疑いがもたれている中にありますし、この偽装事件はもとより、自分の事務所費でももっと国民が聞いて納得のできる回答を早くすべきでしょう。全く、パーなんだから。

 それにしてもこう何度も食料の偽装事件が連続しますが、思い起こすと農水省は昔からこういう無様な対応ばかり見せております。かつては私の憎悪してやまない小渕政権時にO-157の事件の際、大した確証もないのにもかかわらず感染源をカイワレ大根と疑い大きな風評被害を起こしていますし、その頃から対して組織は変わっていない、何の反省もしていないのではないかと呆れるばかりです。

 更に言うと、私の目からみてこうした明らかになった食品偽装はまだまだ氷山の一角だと思います。先日も自分の家で鹿児島産と銘打たれたうなぎを食べましたが、明らかに日本産とは味が違いました。何故こんなことを自信満々に言えるのかというと、私の場合は中国に一年行ってた位ですから汚染食品なんて何のそのとばかりに、うなぎはいつも決まって安い中国産しか食べないからです。たまたまうちのお袋が大そうな国産うなぎを買ってきたかと思ったら、どう噛んでも中国産の味しかしないし。しかもパックに入っていたもう一尾は全然違う味、こっちはちゃんとした国産の味をしてました。

 牛肉の偽装もまた然りです。素人目、といわれてもしょうがないのですが、国産牛と書かれている牛肉でも明らかにそうと思えない形質をした肉がパックにされてよくスーパーに並んでいるのを目にします。まぁその分確かに値段も安いんだから文句は言えないんだけどね。

 本当はこれに繊維業界の外国人研修生の問題と絡めてあれこれ書こうと思ってましたが、思ってた以上に長くなってきたのでそろそろ切ります。結論として私がこれらの問題に対して言いたいことは、処罰と監視をもっと厳格にすべきだということです。結局のところ真面目にやっているところはこのところのコスト高でどんどんと潰れていく一方で、こうした小賢しいインチキを行っているところは延々と儲け続けるなんて、そんな社会だったら潰してしまったほうがマシでしょう。