河野太郎氏の在中企業問題について何ら触れることなく総裁本命視され、他候補を侮蔑しておられましたが、先の問題に言及されないのは、貴殿が現地当局の手先だからですか?現地で日本sageしてヌクヌクと暮らせるのはそのためじゃないのですか。訪中されること度々で現地にも知己がおられるという、筆坂秀世氏の秘書を務めておられた元日共専従のジャーナリストの篠原常一郎氏を見習われればいかがかと申し上げます。
率直に言えば、一目見て「( ゚Д゚)ハァ?」と感じるコメントでした。そもそも、中国に関する話題で自分に張り合おうとしている時点で身の程知らずも大概でしょう。
・日本端子に学ぶ、中国進出企業はネットで叩かれないため何をすべきか(ITメディアビジネスオンライン)
上記の先日の総裁選で敗れた河野太郎氏に関する「在中企業問題」とは、上のITメディアの記事に大まかにまとめられています。私自身は上記のデマが総裁選の最中に流れていることも知らなかったのでコメントを受けた段階で軽く調べ、でもって5分で「ああ、根も葉もないデマだな」と判断するに至りました。判断ポイントを疑惑として指摘されたポイントごとに取り上げると以下の通りです。
1、河野氏の親族企業が中国に現地法人を設置しており、中国と利権で結んでいる
→中国に現法のない上場企業の方が今は少なく、仮にこの通りなら日本の全産業は中国に利権を握られているということになります。
2、河野氏の親族企業は中国企業と合弁で、合弁先の企業トップは共産党員である
→中国企業と合弁して事業を展開している日系企業はいくらでもあり、またそのトップが共産党員というのも別段珍しくないです。ちなみに中国だと最近は審査厳しくなってきているものの、ライン工の人にも共産党員がいるなどかつては入党条件が緩く、割と町中に溢れています。
3、河野氏の親族企業の中国現地法人の出資比率は6:4で、通常は49:51で中国側が過半となるのに、特別な優遇がなされている
→事実無根もいいところ。実際には2:8とか5:5とかもあり出資形態や産業種類によって千差万別。当該企業(日本端子)の取扱製品は端子という比較的汎用性の高い部品であることを考慮すると、進出時期(1995年)を考慮しても特別な配慮がある出資比率とは考えられません。っていうか49:51じゃないとおかしいという人は、ビジネスを知らないにもほどがあるでしょう。
4、河野氏の親族企業の中国現地法人は太陽光発電機器用の端子を製造しており、だから河野氏は脱原発を訴えて太陽電池を日本に買うよう訴え、中国と親族企業に利益を誘導させようとしている
→この辺に関してはITメディアさんの方がよく調べてくれており、実際には日本端子の売上げの大半は自動車用端子で、太陽光発電機器用端子の売上比率は微々たるもののようです。自分も日本端子、そして件の中国法人である北京日端電子有限公司(北京日端)の製品ページを見ましたが、扱っているのは汎用端子製品で、特に太陽光発電機器に特化している印象はありません。
っていうか、太陽光発電機器用の端子ってあるのか疑問です。割と端子って汎用的な部品だから、○○用というよりかは○○向けみたいに、製品特性よりも川下顧客が誰かによってその製品種類が定義されるような部品であるように思うし。
一番否定的に言われている4についてもう少し掘り下げると、そもそも論として「太陽光ビジネスとの癒着」と書かれているのを見て私は即疑問を感じました。というのも、太陽光関連機器の市況は絶賛大不況で、なんでこんな惨澹たる有様の市場で癒着しようとするのか意味不明だったからです。
・中国の「太陽光パネル大手」、業績悪化の背景事情(東洋経済)
上の記事は財新から引用した東洋経済の記事でジンコソーラーの苦境を伝える記事ですが、これに限らず太陽電池関連企業はいずれも死に体です。普通癒着しようってんなら利益の大きな産業になるはずで、この時点でこのデマはまともな人間なら相手にしないし、そもそも信じる奴がいるのかと激しく疑問に感じました。
その上で決定的におかしいのは、やはり北京日端の合弁相手です。この合弁相手はBOEこと京東方で、恐らくこのデマを流した連中はBOEがどんな企業なのかを全く理解していなかったのだと思います。
このBOEは直近データまでは見てませんがこのところ世界の液晶ディスプレイパネルの出荷量で世界最大を誇るディスプレイメーカーです(大半の日本人は知らないのだろうが)。ディスプレイ以外にもいくつか事業がありますが、産業属性としては基本的に家電、スマホ系に属す企業で、太陽光関連でなんか投資とか激しい事業しているってのは自分は聞いたことないです。
液晶ディスプレイの生産ラインは太陽光パネルの生産ラインと材料からして近く、転用も可能で、実際にシャープなどは液晶ディスプレイパネルと太陽光パネルの両方を取り扱っています。ただそれを踏まえても前述の通り太陽光関連機器業界はいま世界中でやばいくらいの大不況で、BOEがこの分野に手を出すのかと疑問だし、何度も書いてる通りBOEが太陽光に力入れてるなんて聞いたことがないです。
私の個人的な推測ですが、デマを流した人間、若しくはデマを発案した人間はBOEが「(ディスプレイ)パネルメーカー」だと知り、勝手に「(太陽光)パネルメーカー」と勘違いしたのではないかと見ています。真面目に太陽光関連で利益誘導させようってんなら、北京日端の取引先、合弁先にガチな太陽光関連企業がなければお話にならないでしょう。
以上、果たして自分がこんな当たり前すぎることをいちいち解説しなければならないのかと頭が痛くなる内容をまとめましたが、追加検証をするまでもなく、冒頭のコメントの主張は根も葉もないデマ、っていうかあれを真実と考える人間の頭を疑うくらい穴の多い内容で、こんなアホらしいデマにつき合わされる辺り自分も落ちたなと思わざるを得ません。
その上でコメント書いた人が今この記事を読んでいるかわかりませんが、己が自分に口きけるような立場ではないことをもっと自覚してください。最低限の判断力、知識力にすら事欠き、こんな穴だらけなデマを真に受けて無関係な他人まで批判しようとする辺り、今後どれだけ努力したところで人の足を引っ張ることしかできないでしょう。なので己の無力さを自覚し、口をつぐんで生きていくことがあなたにできる唯一の世の中への貢献となるでしょう。
一点だけ加えると、このところマイブームな日本人の属性主義もよく出てたなぁと感じます。どんな政策を訴えているのかではなく、どんな人物背景なのかだけで総理候補を選ぼうとしているあたり。