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2015年11月29日日曜日

危機を切り抜けた名パイロットたち その二

 昨日に引き続きまた航空事故もののネタです。微妙に反応ないからどう思われながら読まれているのか気になりますが、昼飯に牛丼食べたしあまり考えないようにしましょう。

4、USエアウェイズ1549便不時着水事故(2009年)
事故内容:ハドソン川の奇跡  乗客乗員数:155人

 この事故は有名なので知っている人も多いかと思います。
 ニューヨークを飛び立ちシャーロットへ向かった同便は離陸直後に空を飛んでいた鳥がエンジンに吸い込まれ(バードストライク)、一瞬で左右両方のエンジンが停止するという事態に陥りました。突然の事態に機長は元の空港へ戻ろうと即決断しますが何分離陸直後の事ゆえ、戻ろうにも高度も速度も足りない状態でした。そこで機長はどのような行動を取ったのかというと、なんと陸上ではなく近くを流れるハドソン川に緊急着陸をしようと決断し、管制などへ状況や目的を伝えてすぐその着陸を実行しました。

 軽く書いていますが水上に、しかもエンジン噴射の調整なしで飛び込むなんて普通なら有り得ない行為ですし、成功させるには超高難度な技です。しかし機長はこの着陸を見事に成功させ、着陸時の衝撃で乗客数人が怪我を負ったものの結果的には誰ひとり死ぬことなく生還を果たしました。しかも着陸時、マイナス数℃という川の水が機内に浸水する中、機長は何度も機内を見て残っている人間がいないか確認するという冷静な周到さを見せています。


5、タカ航空110便緊急着陸事故(1988年)
事故内容:フレームアウトによるエンジン完全停止  乗客乗員数:45人

 中央アメリカのベリーズという国から米国のニュー尾綸子へ向けて飛び立ち順調に飛行していた同便は途中、雨雲の中へ入った際にエンジンが雨水や雹を吸いこんだことによってフレームアウトと呼ばれるエンジン停止状態に陥ることとなりました。このフレームアウトは今日ではほとんど発生しないよう対策が施されていますが当時はまだそうでもなかったようで、同便も警戒こそしていたもののこの突然の発生によってすべてのエンジンが完全に停止するという事態に見舞われました。
 機長はエンジンの再始動を何度も試みるも上手くいかなかったため、到達できる範囲内にあったNASA組立工場敷地内の草地へと飛行し、なんとそのまま滑走路のない草地へ向けて不時着を敢行してしまいました。でもって、無事に着陸してのけた上に火災も発生させず、乗客乗員を誰一人危険にさらすことなくミッションを達成してのけてしまい、地味にすごい腕を持ったパイロットだったと思える事故例です。

6、アロハ航空243便事故(1988年)
事故内容:金属疲労による機体外壁損傷  乗客乗員数:94人(1人死亡)

事故機写真(Wikipediaから引用)

 ハワイ島内の空港を結ぶ定期便を飛んでいた同機はその日もいつも通りに離陸して安定飛行へと入ろうとしたその時、突然轟音と共に前方部の機体外壁がめくれ上がり、引きはがしたかのように大きな穴が開きました。乗客はシートベルトを締めていたため吸い込まれることはなかったものの、たまたま穴周辺に立っていた乗務員一人が一瞬で空へと放り出され、そのまま行方不明となる事態となりました。
 原因は高温多湿という厳しい環境下での金属疲労で、ハワイの海上を飛び続けたこの機体には目にははっきりと見えなかったもののダメージが蓄積されており、金属内部で亀裂が走りまわり、それがこの時の飛行で限界に達して機体が破れ、またそのまま与圧洩れに伴う強力な衝撃が続けて襲ったことによって一挙に剥がれたのだと考えられています。

 先ほど述べた通りに乗客は座席でシートベルトを締めていたため飛ばされなかったとは書きましたが、開いた穴からは気流によって生まれる豪風が吹きすさび、いつ吹き飛んでもおかしくない状況だったそうです。また吸い込まれなかった一部の乗務員はたまたま体が機内設備に引っかかり命をつなぎとめましたが、飛行中ずっと強烈な風を受け続け重傷を負いました。
 機体も穴が空いた影響でバランスを崩したもののすぐに墜落するほどの物でなかったため、姿勢を復元すると機長はすぐに最寄りの空港へと運び、そのまま無事に着陸を成功させました。

 この事故は現地のテレビ番組で再現ドラマが作られ、日本でも放送されたことがあります。たまたまですが私が子供だった頃にその番組を見ており、機内から雲が見える状態のまま飛び続け、乗客は物凄い風を受け続け息も絶え絶え、機長もすぐ後ろでぽっかりと大きな穴が飛ぶ中で必死で操縦し続けるという壮絶な状況を再現しており、見終わった後はしばらく飛行機がトラウマになりました。今は全然平気だけど。

2 件のコメント:

歩行者 さんのコメント...

 私は興味深く見させていただきました。

 少し方向が違いますが、TVで見たのですが全日空61便ハイジャック事件の機長さんも、犯人をうまくなだめながら、自動スイッチを入れるなど最大限の行動をされていましたし、日航機123便県なども思い出しながら、見ていました。

飛行機は怖いので極力利用しませんが(笑)、空港に行くと多くの人の支えがあって快適に利用できることが感じられます。それは目に見えににくいだけで、鉄道、バスなども一緒なんでしょうけどね。

 ところで、この記事を見て思ったのは、あの高度とスピードの状態で壁が壊れても生きていけるのか、というのが一番の驚きでした…。

花園祐 さんのコメント...

 コメントありがとうございます。反応少ないから心配してましたけど、こうしてお言葉かけてもらえて「ヽ(・∀・ )ノヨッシャ」って心境です。
 全日空のハイジャック事件の機長もおっしゃられている通り、英雄と呼んでいい機長でしたね。あの事件の折は何故この人一人だけが死ななくてはならなかったのかという思いを覚えましたが、決して忘れてはならない人物だと思えます。
 アロハ航空の事故ですが、自分が見た再現ドラマでは穴近くの乗客はみんな流血していて見た目に怖かったです。死ななかったものの裂傷や打撲、もしかしたら重度の骨折もあったかもしれませんが、現場はとんでもなく壮絶だったことでしょう。しかしおっしゃられている通りにこんな穴開いて死亡者が一人で済んだというのは奇跡で、何か色々運命めいたものとかを感じてしまいます。