昨夜、待ちに待った念力使える少女とインテリヤクザのドタバタギャグ漫画「ヒナまつり」の11巻が発売されたため、深夜にもかかわらず電子書籍版をダウンロードして(何度も失敗しつつ)夜中に笑い転げてから眠りました。この巻に収録されている話の中身についてネット上では、「くつ、なめますから!」というセリフが見どころとしてよく取り上げられていましたが、個人的に一番ツボにはまったセリフは、「新田が不幸過ぎてヤバイ」でした。
この漫画は結構巻数を重ねていますがギャグの切れは全く落ちておらず、対抗馬の「監獄学園」がやや引き延ばし傾向が目立ってきて面白さがなくなってきたこともあり、今連載中の漫画の中で何が一番面白いかといったら私の中では間違いなくこの漫画が上がってきます。
この漫画のギャグの特徴としては、話の構成が優れていることもさることながらこの作者はコマを外さないというべきかここぞというところで確実に大ゴマを振り、そのコマが見事なくらいにその直前の場面からの展開が上手く、単純コマ使いが非常に上手い作者だと思います。なんでもこの漫画がこの作者にとって初めてのギャグ漫画だったそうですが、どうしてこれほどのセンスをそれ以前からも発揮できなかったのか不思議に感じるくらいの凄みを覚えます。
引き続いて別の漫画ですが、Kindleで1~3巻が無料だったので「無限の住人」も購入しました。タイトルだけなら前から知ってて擬音に漢字が使われるっていうこと以外は全く知らなかったのですが、読んでみてこれもとても面白かったです。内容は江戸時代を舞台にした自体劇物で、父親を殺された一人娘が仇討のため切っても刺しても死なない不死身の剣客を雇うという話ですが、剣客物のだけに戦闘シーンが非常に多いものどれも見事な画力で表現しており、動きも激しいながらきちんと描き切っています。しかも背景もめちゃきれい。
ただ、この漫画を読んでて気になったのは画力よりも画風です。作者の沙村弘明氏のWikiを見ると美大学生時代は大友克弘氏の影響が強かったと書かれていますが、この無限の住人に関して言えば一目見て、「ああ、冬目景だ」と思いました。っていうか「黒鉄」。
冬目景氏というのはこちらも漫画家で一般層の認知はそれほど高くないものの熱狂的なファンが非常に多い作者であるのですが、沙村氏の漫画を見て何故冬目氏が出てくるのかというと画風が完全に一致しているからです。どちらも非常に特徴的な描き方をしておりページ全体がデッサン風にクロッキーで書いたかのようなざらざらとした質感の絵で、風景画の中に実際の頭身に忠実なキャラクターが動くような描き方をしています。
それもそのはずというか冬目氏は沙村氏が美大で入っていた漫研の先輩だったそうで、冬目氏によって沙村氏は女装させられたこともあったそうです。っていうかひどくね?
最後、これは今日一気に六冊まとめ買いしましたが「乙女戦争 ディーヴチー・ヴァールカ」です。この前にやってた火砲の歴史で西欧で初めて火砲が集中的に軍事運用された戦争はフス戦争だと書きましたが、まさにこのフス戦争で銃火器を使って戦ったフスは農民軍に参加する少女を主人公とした漫画で、前からも興味ありましたがフス戦争についてちょいと調べたし、ちょっとメジャーでない漫画を読みたいと思っていた矢先なのでマルクス主義的に今が買い時と決心して買っちゃいました。なお私が「マルクス主義的に」という言葉を使う際は、「空虚な、意味のない」という意味合いで普段から使います。
この漫画を読んでて思ったのは、ストーリーについては実際の歴史をよく読みこんで非常によく寝られているなと思い、絵については当時実際使われたマスケット銃、大砲、ワゴンなどをしっかりと書かれてあり歴史を題材に取った漫画としては必要十分な条件を揃えているという気がします。ただ少し気になった点としてはただでさえ一般人に馴染みの薄い中世ヨーロッパ世界で神聖ローマ皇帝や教皇、プラハや公会議といった単語が頻出され、読者の理解が追い付く前に展開が早く進んでしまっているのではと思う節があります。
漫画において展開は早ければ早いに越したことはありませんが、歴史漫画の場合はどうしても歴史背景や事実関係を読者が追わなければならないため、背景や補足説明なりをナレーションやキャラクターを使って行わなければならず、この「乙女戦争」もやってないわけではありませんがもうちょっと多めにやっておいた方がよかったのではという気がします。あと、戦争の場面ではもう少し火力の威力がわかるように表現できればというか、はっきり言って表現しきれていないとも見え、この辺りは少しテコ入れすればかなり良くなる場所であるようにも見えます。
なおこの漫画でうちでも外でもいつでも素っ裸のキリスト教異端派が出てきて彼らが登場する会はいつも彼らは素っ裸でいるのですが、みんながみんな素っ裸でいる場面を見る度に私の中では漫☆画太郎氏の名前が何故か浮かんできます。
0 件のコメント:
コメントを投稿