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2024年11月16日土曜日

Vガンダムがハブられる理由

 本題と関係ないけど昨日最終回を迎えた人気漫画の「推しの子」の最終回が炎上している件について、中国でも意図せずに記事を見つけるなど大きく報じられていることにビビりました(;´・ω・)

 話は本題ですが、ガンダムのゲームとかでよく「宇宙世紀機体、大集合!」などというキャッチコピーが使われるものの、そこに本来宇宙世紀シリーズに入るVガンダムの機体は入ってこないことが多いです。また宇宙世紀シリーズから世界観を一新したGガンダム、ガンダムW、ガンダムXの三作を「平成三部作」と呼ぶことも多いのですが、放映年数でGガンダムに連なっているVガンダムはここでもハブられ、「平成四部作」とも誰も呼びません。
 以上の通り、テレビ放映されたガンダムシリーズとしてはVガンダムは異例なくらいにハブられることが多く、ゲーム化や外伝作品の制作も他のシリーズと比べると極端に少ない傾向がある気がします。かといって作品として評価や人気が低いというわけではなく、エキセントリックな女性キャラクターが多いこともありファン層も自分を含め根強いと思うし、エヴァの庵野監督もVガンダムがあったからこそエヴァは作れたと話すなど影響力も大きいです。

 では何故それにもかかわらずVガンダムはハブられるのか。一つの仮説として、テレビ放映時のマーケティングの失敗によりファンの年齢層が歪になったからではないかとみています。

 まず放映当時の90年代前半について触れると、この時代のガンダムといったら基本的にBB戦士などの二頭身なガンダムでした。Vガンダムが放映されるまではテレビ放映のアニメ作品が一時中断しており、新たな機体が出ることもなかったため、新規のプラモ作品が作りづらい時代にありました。そのため当時は過去作品に使われた機体や、それら機体を二頭身にした上でリデザインしたナイトガンダムや武者ガンダムが多く出され、逆に背の高いリアルな造形のプラモは完全に旧来ファン向けと割り切られ、新規ファン向けには作られませんでした。

 そこへきてようやく待望のテレビシリーズとしてVガンダムが始まったのですが、上記の通り当時の、少なくとも小学生世代にとってガンダムといったらSDガンダムだけだったのですが、実はVガンダム放映当時はSDガンダムのプラモや他メディアへのコラボはほぼ一切行われていませんでした。放映中はリアルな造形のプラモデルしか販売されず、放映終了間際になってようやくSDガンダムのプラモが発売されるようになりました。
 実際私も、かねてからSDガンダムはよく作っていたことから放映中のVガンダムも早く作りたいと願っていたものの、なかなかSDガンダムでのプラモが発売されず、えらくやきもきしたことを覚えています。あまりにも出ないものだからそれまであまり作ったこととのないV2のリアルモデルキットを作り、SD版では放映終了間際に出たV2アサルトバスターのみ作ったことを今でもはっきり覚えています。

 なおこうした傾向はプラモデルに限りませんでした。当時はゲームの「ザ・グレイトバトル」シリーズをはじめ仮面ライダーやウルトラマンなどほかの版権キャラとコラボさせた、二頭身キャラのゲームで遊ぶコンパチヒーローシリーズというものが展開されていました。もちろんガンダムもこれらシリーズに登場するのですが、何故かVガンダムは採用されることはなく、初代のガンダムかVガンダムより1世代前のキャラに当たるF91がコンパチヒーローシリーズに使われ、現代だけじゃなく当時からもゲームなどでハブられていました。

 一体何故当時の子供の間で最も流行っていたSDガンダムでVガンダムのキットは作られなかったのか。自分が過去に聞いた話では、これは明確なマーケティングの方針によるものだったそうです。
 具体的には、SDガンダムで育ったファン層をリアルな造形のプラモデルのファンへと昇華させるため、敢えてVガンダムはSD化させていなかったそうです。実際上記の通りそうと思える節が多く、この方針が確かにあったのではと私も考えています。

 ただこの方針は成功したとは言い難いです。今もそうですがVガンダムに登場した機体の任期はそれほど高くなく、また当時を思い返してみてもリアル造形のプラモに移った子供は多くなく、SDガンダム自体が退潮的となったガンダムWの時代あたりでようやくファン層が転換したような気がします。むしろVガンダムでSD化キットの販売を出し渋ったことで、当時の小学生くらいのガンダムファン層にVガンダムがうまく浸透せず、またZガンダム以来の旧来ファンも思ったより入り込まず、ファン層がどっちつかずな作品になってしまったのではとみています。
 この結果、Vガンダムは確かに好きな人はいるっちゃいるけど、年齢層が余り固定されておらず、斑上にファン層が形成されてしまった感じがします。具体的には宇宙世紀シリーズファンの10%、当時小学生だった世代の10%、それ以外の層の10%というような感じで、Vガンダムとコラボした作品を作っても売り上げを立てづらい歪なファン層になっている気がします。

 私個人としては、以前にも書いたように「周り全体が狂っているから自分がおかしくなっていることにすら誰も気が付かない」ストーリーや、カテジナをはじめとするエキセントリックなキャラクターのオンパレード、あとシンプルイズベストを貫くV1のデザインなどでVガンダムのことが大好きですが、志を同じくするファンとはいまだ出会ったことがないです。それもこれも、上記の中途半端なマーケティングの失敗だと思うとなんか悔しさを覚えます。

4 件のコメント:

ルロイ さんのコメント...

Vガンダムの問題点はまさにその通りなのですが、そうなった理由を辿るとF91をSDガンダムに展開しすぎたせいで本編の人気が出なかったという分析があったからだそうなんですよね。
今の視点ではそれも間違いだと思うのですが、その間違った分析をマーケティング材料にした結果奮わなかったというのがVガンダムですね。初めから勝ち目がなかったという感じです。
そもそもF91が失敗したのが問題で(次世代ガンダムスタートと言い切って、関連企画も同時並行でやって、劇場版でプロローグをやって爆死というのは経営としてヤバすぎる)、当時F91の続きが始まると思ってたのに全然知らんキャラばっかりでてきて、シーブックとセシリーはどうなったんだよ!ってずっと思ってました。メカは大好きでしたけどね。換装できるのが良かったです。

最近F90のプラモ化を進めたり、F91の漫画を始めたりしてるので、もう一度F91〜Vのあたりの整理を図ってくれると信じているのですが。

花園祐 さんのコメント...

 いや言われてみて本当に納得というか、F91は確かにSDガンダム展開が異常に激しかったですよね。同時期の0083なんか存在しないくらいにSD化展開はF91に集中していて、宇宙世紀ファンからするとかなり引いてたんじゃないかと思えます。でもってその反動で、VガンダムはSD化を極限なまでに抑えつけられたってのも納得です。
 真面目に自分がイーロン・マスクみたいに金持ちだったら、資材投じてF91のテレビシリーズを制作してます。せっかくいい素材と背景設定あるのに逆シャア周辺ばかり新作を作る最近のバンダイは理解できません。F91のデザインは自分も大好きだし、F90、というよりスーファミゲームの主人公の三国無双みたいな活躍ぶりもこの際映像化した方が絶対売れるのに(´・ω・)

片倉(焼くとタイプ) さんのコメント...

知合いに「Vガンダムってどんなガンダム」と聞かれたので「額にV字型アンテナが付いているガンダムだよ」と答えておきました。
冗談はさておき、F91 とVガンダムはガンダムシリーズを再生するために生まれた作品だが、生まれるのが遅すぎたガンダムだと
思っています。ガンダムシリーズは Zガンダム以降 本編で完結出来なかった内容を続編で解決するという展開を続けてきました。
Zガンダムで決着がつかなかったネオジオン(ハマーン)との決戦はZZで決着をつけました。Z・ZZでは描かれなかったアムロと
シャアとの決着は逆襲のシャアでついに決着がつきました。ですが、行方不明になったミネバ・ザビやブライト・セイラのその後等
続編・派生作品を作る余地はありました。F91が出たころにはガンダムシリーズの「続編でストーリーを進行させる」というパターンが
完全にファンの中で強固に定着しました。F91とVガンダムそれまでのガンダムから離れて「新しくガンダムを再スタートさせる」
という枠割を担うには「遅すぎた」のです。そしてガンダムシリーズはGガンダムという「劇薬」によって「ガンダムを再スタートさせる」事に成功するのです

花園祐 さんのコメント...

 基本的にガンダムってファーストを除けば話を畳みきれないパターンが多いですしねぇ。まぁターンエーは他のシリーズも含めて畳みきってますが。
 真面目にGガンダムの役割はほかのどのシリーズよりもでかいというか、あれのおかげで世界観も設定も無視して、ガンダムと名の付くロボットだしとけばそれがガンダムだと言えるようになり、あれがなければ今日のガンダムブランドはなかったでしょう。
 またVガンダムの役割を真の意味で果たしたとするなら、やっぱガンダムSEEDかなという気もします。あれでファン層の世代交代を完璧に果たしたと思え、GガンダムとSEEDが後ろ20年のガンダムブランドを確立させたと考えています。