話は本題ですが、ガンダムのゲームとかでよく「宇宙世紀機体、大集合!」などというキャッチコピーが使われるものの、そこに本来宇宙世紀シリーズに入るVガンダムの機体は入ってこないことが多いです。また宇宙世紀シリーズから世界観を一新したGガンダム、ガンダムW、ガンダムXの三作を「平成三部作」と呼ぶことも多いのですが、放映年数でGガンダムに連なっているVガンダムはここでもハブられ、「平成四部作」とも誰も呼びません。
以上の通り、テレビ放映されたガンダムシリーズとしてはVガンダムは異例なくらいにハブられることが多く、ゲーム化や外伝作品の制作も他のシリーズと比べると極端に少ない傾向がある気がします。かといって作品として評価や人気が低いというわけではなく、エキセントリックな女性キャラクターが多いこともありファン層も自分を含め根強いと思うし、エヴァの庵野監督もVガンダムがあったからこそエヴァは作れたと話すなど影響力も大きいです。
では何故それにもかかわらずVガンダムはハブられるのか。一つの仮説として、テレビ放映時のマーケティングの失敗によりファンの年齢層が歪になったからではないかとみています。
まず放映当時の90年代前半について触れると、この時代のガンダムといったら基本的にBB戦士などの二頭身なガンダムでした。Vガンダムが放映されるまではテレビ放映のアニメ作品が一時中断しており、新たな機体が出ることもなかったため、新規のプラモ作品が作りづらい時代にありました。そのため当時は過去作品に使われた機体や、それら機体を二頭身にした上でリデザインしたナイトガンダムや武者ガンダムが多く出され、逆に背の高いリアルな造形のプラモは完全に旧来ファン向けと割り切られ、新規ファン向けには作られませんでした。
そこへきてようやく待望のテレビシリーズとしてVガンダムが始まったのですが、上記の通り当時の、少なくとも小学生世代にとってガンダムといったらSDガンダムだけだったのですが、実はVガンダム放映当時はSDガンダムのプラモや他メディアへのコラボはほぼ一切行われていませんでした。放映中はリアルな造形のプラモデルしか販売されず、放映終了間際になってようやくSDガンダムのプラモが発売されるようになりました。
実際私も、かねてからSDガンダムはよく作っていたことから放映中のVガンダムも早く作りたいと願っていたものの、なかなかSDガンダムでのプラモが発売されず、えらくやきもきしたことを覚えています。あまりにも出ないものだからそれまであまり作ったこととのないV2のリアルモデルキットを作り、SD版では放映終了間際に出たV2アサルトバスターのみ作ったことを今でもはっきり覚えています。
なおこうした傾向はプラモデルに限りませんでした。当時はゲームの「ザ・グレイトバトル」シリーズをはじめ仮面ライダーやウルトラマンなどほかの版権キャラとコラボさせた、二頭身キャラのゲームで遊ぶコンパチヒーローシリーズというものが展開されていました。もちろんガンダムもこれらシリーズに登場するのですが、何故かVガンダムは採用されることはなく、初代のガンダムかVガンダムより1世代前のキャラに当たるF91がコンパチヒーローシリーズに使われ、現代だけじゃなく当時からもゲームなどでハブられていました。
一体何故当時の子供の間で最も流行っていたSDガンダムでVガンダムのキットは作られなかったのか。自分が過去に聞いた話では、これは明確なマーケティングの方針によるものだったそうです。
具体的には、SDガンダムで育ったファン層をリアルな造形のプラモデルのファンへと昇華させるため、敢えてVガンダムはSD化させていなかったそうです。実際上記の通りそうと思える節が多く、この方針が確かにあったのではと私も考えています。
ただこの方針は成功したとは言い難いです。今もそうですがVガンダムに登場した機体の任期はそれほど高くなく、また当時を思い返してみてもリアル造形のプラモに移った子供は多くなく、SDガンダム自体が退潮的となったガンダムWの時代あたりでようやくファン層が転換したような気がします。むしろVガンダムでSD化キットの販売を出し渋ったことで、当時の小学生くらいのガンダムファン層にVガンダムがうまく浸透せず、またZガンダム以来の旧来ファンも思ったより入り込まず、ファン層がどっちつかずな作品になってしまったのではとみています。
この結果、Vガンダムは確かに好きな人はいるっちゃいるけど、年齢層が余り固定されておらず、斑上にファン層が形成されてしまった感じがします。具体的には宇宙世紀シリーズファンの10%、当時小学生だった世代の10%、それ以外の層の10%というような感じで、Vガンダムとコラボした作品を作っても売り上げを立てづらい歪なファン層になっている気がします。
私個人としては、以前にも書いたように「周り全体が狂っているから自分がおかしくなっていることにすら誰も気が付かない」ストーリーや、カテジナをはじめとするエキセントリックなキャラクターのオンパレード、あとシンプルイズベストを貫くV1のデザインなどでVガンダムのことが大好きですが、志を同じくするファンとはいまだ出会ったことがないです。それもこれも、上記の中途半端なマーケティングの失敗だと思うとなんか悔しさを覚えます。
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