2017年7月27日木曜日

経済記事の神髄

 最近上海では気温が30度を切るようになって涼しくなってきました、つっても最低気温の話ですが。なお最高気温も昨日今日は40度を切ったので、なんとはなくピークは乗り越えたかなって気がします。
 それだけに、日本で最高気温35度前後で大騒ぎしているのが見ていてちょっと腹立たしいです。

 話は本題ですが、この前JBpressの次回記事用の取材をしてきましたがその後で記事を編集している最中、撮影してきた写真の映りがやけによくて自分でビビりました。っていうか私は写真の良し悪しは八割方カメラの性能で決まると考えていますが、自慢の富士フイルム製デジカメではなく携帯カメラで撮ったというのにここまできれいに撮れるものかと呆れ半分感心半分でした。
 あまり知らない方も多いのではないかと思いますが、報道写真というのは専属のカメラマンではなく案外記者が自分で撮影していることが多いです。なので私の記事に使われる写真も、特に撮影する内容がないものは冒頭に適当な画像をはっつけてもらっていますが、基本的にはすべて自分で撮影しています。それどころか、写真だけでなくグラフもまた全部自分で作っています。

 私は元々は社会部系の報道記者になりたかったのですが生憎新卒時ではどこからも門前払いを受け、仕方なく商社に勤務した後で中国にわたり経済系の新聞社に入社しました。今思うと社会や政治部系の報道だったら思想信条で社とぶつかる可能性が私にはあり、そうした思想とは関係なく「仕事だから」と割り切れる経済記事をメインで書く新聞社というのは案外相性が良かったと今更ながら思います。もっとも思想や信条と関係ないと言いつつも経済系の内容は学生時代から不得手ではなく、分析や知識なら当時から経済学部の学生を遥かに凌駕する水準は持っていましたが。

 そんなかんだで経済紙記者として一時期を過ごした私に、経済記事とはどのように書くのか、どうあるべきかという問いに答えるとしたら、突き詰めれば文字こと地の文はいらないと考えています。一番理想的なのは参考に足るグラフだけを見せて、あとの内容は読者に判断させるというのが経済記事としてあるべき姿だと思います。それだけにグラフのない経済記事というのはこの一点をとっても価値は低くなり、もちろんすべての経済記事にグラフつけるのは骨なので無理でしょうが、なるべくグラフは多くつけるべきだというのが私の考えです。

 経済記事というのは突き詰めれば数字データがすべてベースになっており、売上なり経済指標なり、それらの数値がどれだけ且つどのように変動したのかを通して社会の変動を分析します。新規投資の話も投資額や建設する工場の敷地面積や予想生産量、稼働率などの数字が何よりも物を言い、なおかつほかの事例の投資と比べて何が違うのかを図表にまとめて比較すればなおよいでしょう。
 無論、実際にはそのようなグラフだけの経済記事など存在せず文章も付け加えられますが、基本的にそうした文章は発表された数字の紹介、そして変動を解説するものです。前者はグラフをつけない場合に使うもの(企業の業績発表データ)でとやかく言いませんが、後者については基本的に記者自身やコメンテーターの視点を通した分析で、少なくない主観が入っており必ずしも毎回事実を表すものではありません。

 一例を書くと、前期と比べ増益減収し、その理由が市場に問題があるのか単純に当該企業の経営に問題があるのかといった一言コメントなどがそれに当たります。もちろん読者からしたらどっちが理由なのかを推察でもいいので付け加えてくれた方が詠んでて楽しいでしょうが、私としてはやはりデータだけ見せてそれらも含めて読者が考えるような記事が一番いいのではないかと思います。というのも、百人いれば百通りの答えがあるのだし、現実は非常に寛容で、どのような解釈も自己責任であれば許されると思うからです。

 もっとも本気でそんな記事書いたら、例えば私が先週出した日銀の金融緩和に関する記事で暦年の設備投資額と対外投資額データグラフだけ出して見せて、「これが答えだ!」と言っても、記事としては成立しないでしょう。逆を言えば、見るだけで記者が言いたいこと、主張したいことが誰にでもわかるようなグラフを用意できるのであれば、それこそが経済記事の完成形と言えるでしょう。
 実際にそのようなグラフを作るのは非常に困難であるものの、そうしたグラフを作ろうとする心意気こそが経済記事を書く上で最も重要で、どれだけ価値ある数字の比較グラフを作れるか、経済記者としての腕はここにかかってくると考えているわけです。

 それだけに、最近ブログでは経済記事はあまり書かなくなっていますが、JBpressで経済記事を書く場合はとにもかくにもたくさんグラフを作ろうと意識して取り組んでいます。もっともこう言いながら、「このデータはよほど勘のいい人じゃなければ価値が分からない」と判断したら容赦なく見せないということもやったりするのですが。
 まとめとして何が言いたいのかというと、経済記事、もしくはそのようなレポートを書こうというのならまず第一にどのようなグラフを作るかについて考え、その上でグラフの意味を解説する文章を考えるのがベターだということです。また解説文については短ければ短いほどよく、説明が要らないほどはっきりわかるグラフを心がければモアベター(この言葉は80年代産?)というわけです。

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