2018年7月1日日曜日

米中関税摩擦の日本への影響

 詳しくは次の水曜のJBpressで出す記事に詳細を書いていますが、このところ、真面目に数年ぶりと言っていいくらいに毎夜安心して寝られることから体力が戻りつつあります。一方、感覚の変化からなんかブログ記事の質がおかしくなっていましたが、今日久々に感覚を取り戻したというか、てんかんキャリア的に言えば電気信号がよく通るようになったので、久々にまじめな時事ネタ且つ専門分野でもある米中関税摩擦に置ける日本への影響について自分の見解を書きます。
 結論から書くと、不安視する意見や報道が多いですが私個人としてはこれは日本にとって漁夫の利を得る大きなチャンスに見え、腰砕けな能書きばかり垂れてないでチャンスをものにする前向きな意見が欲しいといったところです。それにしても、かつて専門だと主張したのは国際政治でしたが、最近はすっかり経済・税務・コンプライアンスになってしまったのは自分でも歯がゆいところです。

 解説に移りますが、今回槍玉に挙げる米中関税摩擦とはトランプ大統領が米国の膨大な貿易赤字の解消、並びに製造業の米国内回帰を掲げて公約に挙げていた、対米輸出への関税引き上げ政策に端を発します。これは中国に限らず日本やEUなども対象で、すでに一部除外項目を除き鉄鋼の関税を引き上げることを決定しています。今後も引き上げ品目を拡大する方針を示しており、日本もEUとともにWTOの理念に反すると批判に加わりました。
 先ほどは「中国に限らず」とは書いたものの、今回の米国の関税措置が中国からの輸入品を念頭に置いていることには間違いありません。また深圳のエレキメーカーであるZTEへの半導体輸出禁止など個別策も打ち出しており、これに対して中国側も反発して米国からの輸入品に対して報復関税を出すことを決め、先週にも品目リストが一斉に発表されました。実質的に関税を軸に米国と中国は戦争状態にあり、今後の帰結はどうなるのか、政治妥結するのか、それとも両国ともに関税競争がエスカレートするのか予断を見せない状況ですが、今しばらくは後者のエスカレートが続くとみられます。

 こうした米中の関税摩擦について日系メディアは、「日本も巻き込まれて痛手を食う」という分析がやや支配的だなと感じます。実際に株価は影響を食らってやや下がり気味で、為替にもいくつか影響は出ていますが、私自身は非常に楽観視しています。その理由というのも、米国からの輸入分の埋め合わせとして日本製品入り込む余地が広がる可能性が高いとみているからです。

 米国の関税政策は中国のみならず日本も入れられていますが、中国の報復関税の対象は米国のみであり、日本やその他国々は含まれていません。また中国の米国輸入品の多くは食料などで、これらの代替輸入先の確保はそこまで難しいとは思えず(半導体関連を除き)、現状では中国側がやや有利な状況と私は見ます。また米国内でもハーレーダビッドソンが、「こんなんじゃやってらんない」と、米国内回帰どころか欧州への生産移転を発表するなど、逆方向への効果が起こるなど米国にとって不利な状況がどんどん起きています。

 第一、今回の米国の急な関税引き上げは明らかに国際秩序を乱すものであり、理念的にも日本が応援する義理はなく、かつてでこそ中国もレアアース輸出規制をやらかしはしたものの、今回に限っては中国や欧州とともに日本も米国を批判するべき立場に回るべきです。同時に、これを機に中国へ売り込みをかけ、米国製品を締め出してそのお株を奪うべきでしょう。
 具体的な製品を挙げると、一番狙い目なのはエタノールやゴムといった化学原料、次に完成自動車、そして最後に食料といったところです。何気に日本は中国と距離面で圧倒的な有利があり、代替輸入先として手を挙げることでこれまで米国から輸入してきた分をそっくりそのまま得られるチャンスが大いに広がっています。また中国側もこのところの米国との貿易摩擦を受けて日本との関係構築に目を向けてきており、先日の李国強総理の日本訪問もそうした期待があってのものとみて間違いありません。将来的にはどうなるかわからないものの、今この場は商売に徹して中国と関係を深めるべきだというのが私の考えです。

 既存メディアについてはどうして上記のような視点が一つも出てこないのか、そもそも米中貿易摩擦にどう巻き込まれるのかがどこも具体指摘しておらず見ていてイライラを通り越して、ここまで日本には人材がいないのかと不安になってきます。米国の完成自動車輸入関税引き上げについても、1社だけまさに同じ指摘をしていましたが、現時点で日系メーカーは米国現地生産率が高いため、この関税引き上げでダメージを負うのは米国に工場のないマツダくらいでしょうに。

 何もこの件に限るわけじゃないですが、状況の変化をマイナスと見るかプラスと見るか、この一点でも人間の良し悪しはわかってくるでしょう。無論、上記の私の見解もあくまで「チャンス」であり「現金」ではなく、実現するかどうかは今後によるものの、チャンスと捉えて行動をするか、チャンスだと気づかずに見過ごすかでは過程は大きく変わるものです。この点、やはり日本は全体としてもうチャンスをチャンスとして見られなくなっているのかという懸念ももたげます。

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