話は本題ですが地味に自分の家系は代々広告屋で、私自身は広告関連企業で働いたことはないですが一時はメディア業界にいて、案外こういうものは続くもんだと思ったことがあります。なお今は広告とは無縁な業界でもう10年近くも同じ会社にいます。
その広告というかマーケティングですが、大別するとマスマーケティングとダイレクトマーケティングの二種類に分かれます。前者はテレビや新聞広告などで、社会の中で対象を選ばず幅広く商品やブランドを訴える広告です。後者はウェブ広告などが主で、マスとは逆に対象を絞りに絞って関連商品を購入したユーザーなどに「こんなのもありますよ」と同種の商品やサービスを紹介する広告です。
で結論からいうと、全く無価値になったとまではいわないもののマスマーケティングはかつてと比べその効果は比較にならないほど落ちており、それどころかリスク満載で主要な広告手法とはもはや言えないというのが自分の見解です。
・ファッションリーダーが消えた(´・ω:;.:…
上のリンク先は前に書いた記事ですが、このファッションリーダーが現代においてほとんど存在しないこと一つとっても、マスマーケティングがもはやほとんど通用しないことを示す証左だと思います。端的に書くと、かつてと比べると「あの人が使ってるから自分も使いたい」という消費欲求が起きることがほとんどなくなっており、広告でアイドルに商品やサービスを使わせたところで一般消費者もその通り動くかと言ったらほとんど動かなくなっています。
こうなった背景は非常に単純で、嗜好の多様化が原因です。チキンカレーが好きな人もいればポークカレーも好きな人がいるなど、人によってその趣味嗜好はバラバラで、かつてのように誰もが巨人を応援したり、バーチャファイターで遊んだりと一つの対象に多くの人が殺到するシーンはもはやほとんどなくなっています。
そもそも何故嗜好が多様化したのかもう少し掘り下げると、非常に単純化して言えば娯楽が溢れるようになったからでしょう。かつては余った時間に消費する娯楽コンテンツが少なかったため麻雀やテレビ番組をみんな共通して消費したでしょうが、現在はゲーム一つとってもたくさんあり、動画に関してもテレビ番組だけでなくネット動画も溢れ、海外の動画でも字幕つけて見られるくらいです。
当然ながら一個人がありとあらゆるジャンルのコンテンツを消費しきれるわけなく、それぞれの嗜好に合わせて好きなジャンルのコンテンツを消費するようになり、かつてのように少ないジャンルに多くの人が集中することはなくなりました。この時点で、マスマーケティングの効果は大きく薄れたと言っていいでしょう。
その上で述べると、かつてと比べるとポリコレなどが厳しくなっており、マスマーケティング一つ打つにしても多方面のリスクに気を配らなくてはなりません。ダイレクトマーケティングなら対象が絞られており、多少きわどい言葉や表現でもその対象の嗜好範囲に合った表現なら誰もとがめることはないものの、「トチ狂ってお友達にでもなりに来たのかい?」なんて某ガンダムのセリフをマスマーケティングとかで打ったりしたらかなり叩かれること間違いないでしょう。
またマスマーケティングで芸能人を使用した場合、その芸能人が不祥事を起こすリスクも抱えなければなりません。私も去年の今頃なんか家の鍵を締めるたびに「吉沢亮がはいってくるかもしれんしな(´・ω・)」などと常に口にしていました。
もちろんマスマーケティングが完全に価値をなくしたわけではなく、新興企業が知名度やブランド価値を高めるために有名芸能人を出して社名連呼させるだけのCMなんかは費用対効果的にも割に会うと思います。しかし既存の商品やサービスに関しては、新規消費者層の獲得においては口コミの重要度の方が近年ますます高まってきており、であればダイレクトマーケティングで既存消費者層をより固める方が経営的にも正しい気がしてなりません。
実際こうした動きを反映してか、昔なら年末のこの時期の年間広告大賞のニュースとかが出て今年一番評価されたテレビCMなんかが紹介されてた気がしますが、この10年くらい広告大賞のニュースなんかほとんど見ませんし、そもそも話題になるCMの噂すら誰もしなくなりました。昔は日清のベルリンの壁崩壊を使ったCMとかいろいろあったのに。
逆にというか炎上した広告に関する報道は前よりよく見るようになっています。この一点で持っても、マスマーケティングが得られる価値が低いのにリスクはうなぎ登りという悪循環に陥っているように見え、どっちかっていうのならダイレクトマーケティングに注力した方がいいんじゃないのと思えてなりません。
その上で、変にいい広告を選ぶ広告大賞なんかやるんじゃなくて、今年一番炎上した広告は何かという炎上広告大賞をやる方が盛り上がるような気がします。自分の中では今年一番ヤバいと思ったのは巨人の「父のキゲンは、巨人が決めている。」で、一目見た瞬間に「ああこれ炎上するな」とすぐ直感で感じました。っていうかこの広告を企画した奴、OK出したやつは正直言ってかなりヤバい奴にしか思えてなりません。
逆に一番印象に残ったのは、東洋水産のジークアクス使った赤いきつねと緑のたぬきのマーケティングです。っていうかこれ見た後、まるでジークアクスはこの商品をプロモーションするために作られたんじゃないかって思うくらいぴったりな配色とキャラだと思え、最初に企画出したやつは上の巨人とは真逆にいい意味でヤバい奴だと思いました。
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