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2023年4月7日金曜日

万引きを例としたタブー破りの快感の計算式

 前回記事で私はこのところの迷惑行為動画事件の犯人らは動機を「周りに受けるため」などと言っているものの、実際にはタブー破りの快感を自制できなかったゆえの結末じゃないかという主張を説明しました。

 ここでいうタブー破りの快感という言葉ですが、これは自分がこの前適当に作った造語で、意味としては「禁止されているからこそやりたくなる、でもってやると快感を覚える」といった心理を指します。正式な用語はないのかなと探してみたところ「カリギュラ効果」という単語があるそうですが、この言葉の正式な学術用語でないらしく、また字面から内容がぱっと連想できないので、自分の造語のままこのまま突っ走ります。まだ「見るなのタブー」の方がカリギュラ効果よりも通りがいい気がする。

 さてそのタブー破りの快感ですが、自分はこれを人間の本能に近い心理現象だと考えています。そう考えるのもアダムとイブのリンゴ丸かじり事件や、イザナギによるイザナミのすっぴんノーメイク目撃事件をはじめ、世界中のどの神話にも「禁止されている、だからこそ破りたい」的な話が存在するからです。また日常生活においても「押すなと言われているボタンほど押したくなる」のは誰もが経験あるし、子供であるほどいわゆるいたずら行為が見られることからも、原始的な本能に近い心理または行為と考えています。

 では具体的にこのタブー破りの快感ですが、どういった状況で起こるのかと言えば割と簡単に数式化できる気がします。具体的には

・タブー破りで得られる快感>タブー破りで支払うこととなる代償

 この計算式が成り立った瞬間、人はタブーを破ることになると私は思います。でもって「タブー破りで得られる快感」は、その支払う代償にある程度連動するというか比例する、言い換えればタブーの禁止度合いが大きければ大きいほど「やっちまったぜ(・∀・)ヘヘヘ」的に得られる快感がでかくなる気がします。
 この数式でもう少し掘り下げると、「タブー破りで支払うこととなる代償」はまさしく主観的なものであり、絶対的な基準は存在しません。具体例を出すと、万引き行為に対して過去に何度か企図して成功している人物に対し、一度も企図したことがない、または企図したものの捕まったことがある人物からすれば、その「支払う(と見込まれる)代償」は当然大きくなり、実行に至る確率も低くなるでしょう。
 まぁ人によっては、何度も捕まることで「どうせ捕まってもあの程度で済む」と思うようになり、逆に予想する代償を低く見積もるようになるかもしれませんが。

 またこのタブー破りで支払うこととなる代償ですが、実際にはタブー破りで負う代償というより、「タブー破りが発覚した際に追う代償」と言った方がより正確です。先ほどの万引きの例でいうと、100%捕まるとわかっているお店で万引きやる馬鹿はいないでしょう。いるとしたら、精神にかなり重篤な障害があると言ってもおかしくないと思います。
 やはり万引きが行われるのは、「バレずに済む」確率が存在するからに尽きます。仮にバレずに済むならタブー破りで支払う代償はゼロになるわけで、上記数式に当てはめるなら確実にタブー破りで得られる快感が代償を上回ることになります。

 もっとも、全くリスクを考慮しないでやるというわけではなく、実際は各人が見積もる捕まる確率が分かれており、その確率で代償を乗算した期待値で比較されるのではないかと思います。適当な数字を当てはめると、

<万引きを実行に移す人と移さない人のリスク計算モデル>
万引きで得られる快感(≒スリル):100
万引きで捕まることによる代償:500
Aさんが見積る万引きで捕まる確率:50%
Bさんが見積る万引きで捕まる確率:10%

万引きに対するAさんの見方:100<250(=500×0.5)
万引きに対するBさんの見方:100>50(=500×0.1)


 こんな感じの損得勘定して、万引きを実行に移すか否かが分かれるんじゃないかなと考えています。もっとも最初に書いたように得られる快感も固定ではなく変動的であり、代償に連動すると思うので、

万引きに対するAさんの見方:125(=100+10×2.5)<250(=500×0.5)
万引きに対するBさんの見方:95(=100-10×0.5)>50(=500×0.1)
※得られる快感=ベース値(100)+係数(10)×代償ベース値の変動倍率

 の方がより実態に近いかもしれませんが。

 仮に上記計算式の通りとなる場合はBさんは、よくスリルと表現されるタブー破りの快感を求めて万引きを実行に移すわけですが、Bさんの万引きを止めるにはどうするかとなると、最も直接的なのはBさんが予想する代償を大きくさせるのが一番です。
 具体的な手段としては、万引きによって失うもの(社会的評価など)をより意識させる、または防犯対策を行って捕まると考える確率を引き上げるというのが有効打になるわけです。回りくどい方法使うならタブー破りの快感そのものを引き下げる、具体的には「万引きしてもスリルを得られない」ように思わせるというのもありますが、これはさすがに回りくどすぎるやり方です。

 その上で万引き、もとい迷惑行為をやる人間というのを上記数式をベースにして分析するなら、リスクを低く見積もる傾向のある人物が当てはまる気がします。悪いことしても自分は捕まらない、捕まってもそんなに失うものはないと低く見積もるからこそ予測快感が上回り、ああいう行為をしでかしてしまうんじゃないかと思います。
 子供であればこうしたリスク見積りが甘くなるのはまだ理解でき、教育によって矯正することも十分可能でしょう。しかし一定の年齢にもなってリスク評価がまともにできずタブー破ってしまうのであれば、まぁぶっちゃけあまり仕事は任せたくない迂闊な人間だと言えそうです。

2 件のコメント:

片倉(焼くとタイプ さんのコメント...

クレプトマニア(窃盗病)と呼ばれる病気によって 万引きを繰り返す人もいるようですね。何度警察に逮捕されても万引きをやめられない人はこのクレプトマニアの患者の可能性があります。中には一生食うに困らない大富豪の令嬢であってもクレプトマニアになる人もいます。生活苦や貧困がクレプトマニアの発動要因ではなさそうです。

花園祐 さんのコメント...

 まさにこの記事はその手のクレプトマニアを想定して書いています。いわゆる飢餓などによる生存本能からの窃盗であれば別ですが、そうではなく、スリルと快感を求めた窃盗行為などは恐らくこのタブー破りの快感が主原因じゃないかなと考えています。
 もっともこの手の人らって、何度も使っているうちに快感度合いが薄れているんじゃないかと思うのですが、その一方で代償に対する感覚も鈍っているかもと思い、どっちやろ的にシミュレーションしながら計算式とか作ってました。