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2008年4月17日木曜日

評価の逆輸入

 まずは取って来たコピペから見てもらいます。これは最近ネット上で良く流行っているギャグですが、

『アメリカのNASAは、宇宙飛行士を最初に宇宙に送り込んだとき、無重力状態ではボールペンが書けないこ とを発見した。
 これではボールペンを持って行っても役に立たない。
 NASAの科学者たちはこの問題に立ち向かうべく、10年の歳月と120億ドルの開発費をかけて研究を重ねた。
 その結果ついに、無重力でも上下逆にしても水の中でも氷点下でも摂氏300度でも、どんな状況下でもどん な表面にでも書けるボールペンを開発した!!

 一方ロシアは鉛筆を使った』

 という内容なのですが、まぁ普通に見る分には面白いけど、どうも私はこの話を素直に面白がることが出来ませんでした。
 まず無重力下でのボールペンですが、他のサイトなどでもあれこれ説明されていますが、その構造から実際に使いづらくなるようです。そのため、NASAはかなり以前に無重力下でどのペンが最も使用に適しているのかを研究したというのも事実です。そしてその際、NASAが採用したのはなんと日本のサインペンだったのです。

 ボールペンというのはペン先のベアリングの回転によって中のインクを紙につけるという構造ですが、サインペンというのはペン先が繊維で出来ており、その繊維と紙の浸透圧の差によってインクをつけるという画期的な構造で、これが宇宙空間だとボールペンのようにインクが飛び出したりかけなかったりすることもなく自由に書けるということで、NASAに採用されたという経緯がありました。
 しかし先ほどのコピペを引用するならば、「一方日本はまるでサインペンを評価していなかった」とでも言うべきでしょうか。このサインペンはNASAに採用された当時、全く日本では評価されていなかったようです。私自身、今でもサインペンを愛用しておりその構造と使いやすさに毎回感動するのですが、日本人が全く評価せず、アメリカ人が評価したことによって普及したという歴史を考えると、どうにも複雑な気持ちになり、最初のコピペを見る度にも、「見るところが違うだろっ!」と、なんというかやるせなさを覚えます。

 ついでに書くと、日本はこのような評価の逆輸入とも言うべきケースが度々あります。現在の電波放送の基礎を生んだ八木秀次氏の八木アンテナは日本で全く評価されずに、アメリカなどの国が先にこれを応用し、航空機用レーダーを作ったという歴史もあります。なお二次大戦中、相手の極秘文書を奪った日本軍が捕虜に対して、「この、何度も出てくる『YAGI』というのは何なんだ?」と聞いて、相手の度肝を抜いたというエピソードすらあります。

2008年4月15日火曜日

中国のチベット問題について

 最近やけに人から聞かれるので、このチベット問題について私の意見を載せておきます。

 人に聞かれる点は、なぜ中国はチベットを中国の領土としようとするのかで、チベットと漢族の中国は文化的にも歴史的にも背景が異なるのに、なぜ同じ中国とするのかというように聞かれますが、その回答は実は簡単で、単純に中華思想から来るものです。
 中国の中華思想はわざわざここで説明するまでもなく、漢族の文化や歴史が世界で最高だ、ひいては中国は世界で最も偉大な国だと考える思想で、まぁ隣国にとってすれば厄介この上ない代物なのですが、この世界最高という考え方のほかに、「大きいことはいいことだ」と、昔のグリコでやってたCM張りの考え方も含んでいます。今でこそ一人っ子政策の下で人口を抑制していますが、昔の中国はそれこそ生めよ増やせよで、毛沢東も人口がこのまま行くと大変なことになるといった学者に対して、「人口が多ければいいことづくめじゃないか」といって、当時から餓死者が出ていたにも関わらずに相手にしなかったくらいです。

 この考え方はそのまま領土にも当てはまり、領土はでかければでかいほどいいという考え方が未だに根強いと私は見ています。はっきり言って、恐らく素人目でもわかるくらいに、中国政府の反乱を無理やり抑え、チベットを占領し続けるコストはチベットから得られる収入やメリットと比べても遙かに高いでしょう。いわばチベットを占領することで中国は余計な出費を払っているということですが、それでも先ほどの中華思想からチベットを分離や委任統治させることはありえないでしょう。
 特に、現首席の胡錦濤氏は江沢民が香港返還によって歴史に名を残したのならば、自分は台湾を帰属させて歴史に名を残したいがために台湾に対して辛辣だと言われるくらいですから、チベットを離して領土を失ったという評価は絶対に拒否するでしょう。

 ただこのチベットに対する考え方は中国人の中でも分かれそうです。私の上海人の友人は、外国のオリンピックボイコットなどの批判についてうれしく思わず、それならばいっその事チベットなんて独立させてしまえと言っており、多分大半の日本人に近い考え方を持っているように思えます。恐らく彼に限らず、都市部に住んでいる中国人は少なからずそう思っていることでしょう。

 ただ、中国政府がチベット独立を認めない気持ちは私にも痛いほどわかります。というのも、中国国内、漢族の文化圏の中ですら分離独立の意識は未だ根強いからです。言ってしまえば広東や福建などの南方や、内陸部の人間達は反北京の意識が強いといいますし、それこそチベットの独立を認めてしまえば、一挙にこれらの地域からチベット以上に激しく独立運動を展開しているウイグル自治区の人間らは勢いづくでしょう。現政府もそれを認識し、抑えるだけでなくソフトランディングする手法を考えていないわけではないらしいです。

 と、ちょっと今日は専門的なネタを展開しました。まぁ自分の真骨頂だけど。

2008年4月13日日曜日

NTTドコモについて

 確か去年のソフトバンクが正式に携帯事業に参入してきた頃かな、
「そろそろ反撃してもいいですか ドコモ2.0」
 という、かなり挑戦的なキャッチコピーを打ってきましたが、現在の状況を見ると言うこと言った割には一人負けの様相を示してきています。

 私自身はあまり携帯に執着しない、言ってしまえばメールと電話が出来ればそれでいいので、五年前に契約した頃からずっとドコモで変わりはないのですが、なんというか宣伝で見るならば圧倒的に他者の方が上回っているように見えます。細かくは言わないけど。

 そんななので、今後ドコモが打ちそうなキャッチコピーを私なりに考えてみました。

「いい加減、本気になっちゃいますよ ドコモ3.0」
「いいんですか、怒らせて ドコモ4.0」
「もうどうなっても知りませんよ ドコモ5.0」
「お前は俺を怒らせた ドコモ6.0」
「そろそろ撤退してもいいですか ドコモ9.99」

 てな感じになっていくのかな。個人的には、なんで「ドコモ2.0」って、妙な数字をつけるのかが気になります。野球でもストレートが好きな自分はいっその事、「ドコモ改!」とか「ドコモZ」とかつけてくれたほうがうれしかったです。

猛将列伝~韓信~

 また歴史関係のを書こうと思うので、今日は韓信について解説します。

 さて韓信という人物を知っているでしょうか。恐らく一般の方には、「あの背水の陣という言葉を作った人だよ」といえば通りがいいでしょう。この人は前2世紀あたりの人で、中国の漢楚攻防時代の将軍です。
 まず率直に言って、あらゆる歴史を私は勉強してきた自負がありますが、この韓信以上に強いと思われる軍人はまだ見たことがありません。それこそあらゆる戦いにおいて窮地らしい窮地に落ちることなく、文字通り一度進軍すると電光石火の如く敵軍をことごとく倒していっています。

 この韓信本人も、自分の指揮能力に相当自負があったのか自分の主人である劉邦との宴会中に、
「殿は軍を率いるとしても、せいぜい十万人ぐらいが限界でしょう」
「なら、お前はどれほどまでいける?」
「あればあるほどいけます」
 と述べています。
 実際に、漢楚の最終決戦である垓下の戦いにおいて、各地域からやってきた軍団をまとめて率いており、それも見事な統率振りだったと記されています。

 ただこの韓信について、「背水の陣」という言葉はやや独り歩きしているように思えます。この言葉は韓信が趙を攻めた北伐の最中に、敵軍は自軍より多い数を頼みにして自分から攻めてくる。なおかつ、謀略を謀れる人物がいないという状況を見定めて、陣を敷いたという背景があります。そしていざ実際の戦闘が起こると、その伝えられているように川を背にした韓信の軍隊は必死で防戦し敵の攻撃を持ちこたえていましたが、その間に韓信は別働隊を放っており、すっかりもぬけの殻となっていた敵軍の城を奪い取り、その上で改めて挟み撃ちにし、敵軍を破っております。

 一般に、背水の陣というと死中に身を置いて逆転するという意味として捉えられがちですが、実際には必勝の布陣の上での一つの要素にしか過ぎません。ただやたらと危機感を煽ったり逆境にいればいいというわけではなく、きちっとした勝算をもって物事を謀るべきだと私は思います。

2008年4月12日土曜日

ガソリン税一般財源化問題の報道について

 先日漫画喫茶に行ったらカイジの最新刊が発売されているのに置いていませんでした。明日朝一でもう一回行こうと思います。

 そんなかんだで政治ネタです。あまり意識していませんが、やっぱり政治関係がこのブログの中で最も多くなっていますね。今日のネタは何度もやっているガソリン税問題ですが、このガソリン税自体については散々解説しているので以前の記事を見てください。今日ネタにしたいのはこの問題に対する昨今の報道についてです。

 すでに知っての通り、福田首相はトップダウンで自民党内の反対を無視してガソリン税の来年度からの一般財源化を明言しました。しかしすでに解説したように、自民党内では古賀誠選対委員長を筆頭に、いわゆる道路族議員が未だに反対しており、同様に党内が一致していないといわれる民主党もあいなかばといった状態が続いています。

 そういった、明言はしたものの実際に実行されるのかといった状況なだけに、各報道を見ているとこの一般財源化の討論の記事はどれも決定打を欠くような、どうにも論点のつかめない記事や報道がこのところ目立ちます。
 たとえばスポーツ新聞などだと、「自民党、造反議員七人」とか、「民主、造反者続出」などと、誰が何に対して造反しているのか、そして何で自民と民主双方で起こっているのか疑問符が浮かんできそうな見出しが躍っています。同様に全国紙などでも、きちんとチェックは最近出来ていないのですが、討論の中身や各党内の情勢などよりも、周辺人物ばかり挙げたり、果てには解散総選挙があるとかやや抽象的な記事が目立つように思えます。 テレビ報道に至ってはこの一般財源化自体取り上げず、あまり解説なども行われていません。

 別にこういった報道が悪いというわけではありません。いい加減なことを言うくらいなら、はっきりしない情勢で何も言わないという方が正しい報道でしょう。それは逆に言えば、これから情勢がどうなるか、みんなそろってあまりわかっていないという可能性があります。
 しかししかし疑り深い性格なのか、私はというとちょっとうがった考えを持っています。それはさっきもちょっと言った解散総選挙です。場合によっては解散がありうるため、どこも慎重になって報道した結果が今の状態という可能性です。実際に、今日家でだらだらしていたら外から選挙カーがなにやら演説していました。議員らも、そろそろ活動を始めないと覚悟しているのかもしれません。

 どっちにしろ、ちょっと今の状況は不気味です。週刊誌などは「麻生クーデター」説をとる雑誌が多いですが、それもどうなるかわかりません。目下の所、私がほしいのはガソリン代が再び戻ったらどれだけの混乱が起こるかという予想くらいです。

2ちゃんねらーの死生観

 かなり以前の記事で、基本的に人間は比較しないと対象を理解できないので、生死についても生の側面ばかり教えても全く効果がなく、生と死をそろって教えないと生のありがたみがわからない。にも関わらず、小中学生向けの自殺防止教育などは生の側面しか取り上げないので、今の子供達は生きる実感がわかないのではと書きましたが、ちょっと面白い続報がはいったのでそれを紹介します。

 先日、この以前の記事の内容を友人らとの話の種にしたところ、友人の一人がネット界の住人こと「2ちゃんねらー」について、
「あいつらは逆に死しか見ていない」
 と、評しました。
 一般に今の日本社会では死という事実を出来るだけ隠そうとしており、大人から子供まで死生観というよりは、現在の生のことしか話題にしません。収入が足らず、生活保護世帯がふえているにもかかわらず、ホームレス問題が全く改善していないにもかかわらず、そのような事実が報道されないのはこういったところに原因があると思います。実際に、この哲学の根幹とも言うべき死生観について私が議論しようとすると、大抵が「そんな話はよそうよ」と言って拒否されます。

 それがネット上だと、先ほどの友人の通りに逆に死の側面ばかり強調されています。たとえば、大型掲示板の2ちゃんねるだとどの掲示板に行っても「ニート」という言葉が飛び交い、「鬱だ氏のう」や「オワッタ」といった、表現が活発に使われます。まぁ「逝ってよし」という言葉は最近あまり見ませんが。
 言われてみて、確かにネット上では生死の死の側面ばかり強調されているような気がします。率直に言ってこれはよくないことだと思いますが、それは強調されるのが死だからというわけじゃなく、一つに偏っていることが問題で、生の側面ばかり強調されるのと同等の意味で悪いという意味です。

 私自身、思想面で捉えるなら儒学徒とも言うほど論語マニアで、世の中を捉える際にいわゆる中庸の状態、何事もほどほどな状態が最も良いと考えています。中途半端は良くないけど。
 なので死生観についても、死のことばかり考えるのも良くないし、生のことばかり考えるのも良くなく、双方をバランスよく考えることが死生観を持つ上で一番正しいと考えています。逆に、生と死のどっちか一つを偏って考えてばかりいるのは、下手をしたら全く生死について考えない状態より良くない可能性すらあります。

2008年4月9日水曜日

また新しく買ったマンガ

 あちこちでうわさになっているので、鈴木央の「金剛番長」を購入。この鈴木央氏は以前は週刊少年ジャンプで「ライジングインパクト」を書いていたのですが、回りまわって一つ前の作品からサンデーで書いています。この人は「ライジングインパクト」の頃から好きだったのですが、去年完結したサンデーで書いてた「ブリザードアクセル」が一番好きです。いまどき珍しいスポ根物で、呼んでて何度涙を流したことか。

 それともう一冊、「ノノノノ」も購入。作者は岡本倫。読者を裏切る漫画家としたら、相当上位に上る人でしょう。この人は前作の「エルフェンリート」が、個人的にかなり来た作品だったので新連載のこの「ノノノノ」もこれからも読んでこうと思います。さすがに、前作ほどの暴力表現はないが。