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2012年1月23日月曜日

日本に影響を残した外国人~シーボルトの子供たち

 相変わらず連休真っ只中。今日は午後1時から4時まで昼寝して過ごしました。寝る子は育つというが本当だろうか、ってそもそももう成人しているけど。

 さて以前にこの連載でシーボルトを取り上げたことがありますが、彼自身が日本に与えた影響は紛れもなく非常に大きいのですが、彼の子供たちも父親に負けず劣らず様々な方面で日本に対し大きな貢献をしてくれております。そこで今日はシーボルトの子供たちについて、決して暇で時間が有り余っているからじゃないけどちょっとまとめてみることにしました。

楠本イネ(Wikipedia)
 楠本イネはシーボルトが最初に来日した際、長崎の出島で日本人女性のお滝との間でもうけた子供で、当時としては珍しいハーフの女性でした。父親のシーボルト自身は彼女が幼い時に国外追放を受けることとなりましたが彼の弟子たちがイネらの生活を支え、シーボルト流の西洋医学からオランダ語を教えたとされています。なお彼女にオランダ語を教えた人物の中には村田蔵六こと後の大村益次郎もおり、皮肉な運命というべきか大村益次郎が京都で襲撃され落命した際には看護助手としてイネが看取っております。
 イネが32歳の1859年、日本が開国したことを受けて父親のシーボルトが再来日し、親子は感動の再会を果たします。またシーボルトが母国で設けた異母弟のアレクサンダー・フォン・シーボルトとも初めて会うこととなります。
 彼女自身は当時としては非常に珍しい西洋医学を修めていたことから幕末期には宇和島藩主の伊達宗城などから厚遇を受け、明治初期にも宮内省ご用達の医師として活躍していますが、1875年に医師業を資格制とする医術開業試験制度が始まり、当初この制度は女性医師を認めていなかったことから医療現場の第一線を退くこととなります(その後1884年に女性の受験も認められる)。

アレクサンダー・フォン・シーボルト(Wikipedia)
 アレクサンダーはシーボルトが国外追放を受けオランダに帰国した後に生まれた、彼の長男です。日本には若干12歳の頃に父の再来日に同行する形で初めてやってきて、通訳を行う外交官として幕末の様々な事件処理に数多く関わっております。主だったものを上げると生麦事件、薩英戦争、下関戦争とまさに歴史の大事件に陰ながら関わっているわけですが、1867年のパリ万博の際には幕府名代として派遣された特区側義信の弟である徳川昭武に同行して一時帰欧しております。
 その後、1869年に幕府の命令を受ける形で弟のハインリッヒ・フォン・シーボルトを伴い日本に再び来日します。帰国後は正式に明治政府から任官を受けて通訳兼秘書として様々な人物の下につき、不平等条約改正に取り組んでいた井上薫の秘書として欧州各国政府との交渉にも参加し、これは青木周蔵(駐英公使)の部下だった時代ですが日英通商航海条約の調印にも立ち会っているようです。
 アレクサンダーは1911年に死去しますが、それまで明治政府の下で実に40年以上も外交官として働いており、文字通りお雇い外国人として明治期を代表する人物の一人と言って間違いないでしょう。

ハインリッヒ・フォン・シーボルト(Wikipedia)
 ハインリッヒは兄の再来日の際に同行し、既に明治に時代の入った1869年に初来日します。日本でハインリッヒは兄同様に通訳兼外交官として仕事を得て、1873年には兄とともにウィーン万博の日本館の準備に関わって連日の大盛況に導いています。
 こうした外交官として活躍する一方、この前紹介したエドワード・モースとほぼ同時期に大森貝塚を発見するなど日本の考古学の発展にも深く寄与しており、骨董品を集めては日本人仲間との間で紹介し合っております。
 最終的に彼はオーストリアで没しますが、この時に彼を診ていたのはこれもまた今度紹介したいと思うエルヴィン・フォン・ベルツことベルツ博士です。本当にこの時代の外国人はみんなつながってるなぁ。

2012年1月22日日曜日

増税案に対する野党の姿勢について

 明日が旧正月の元旦に当たるため、先程から外では爆竹の音が鳴り響いております。私にとって旧正月は留学時代に一回、去年にも一回軽系しており、今回が三回目となりますが上海市内ということもあってまだ比較的おとなしい夜になりそうです。それにしてもこのブログでも何度も書いておりますが、同じ旧正月前でも去年と今年では全然立場が変わっていることに自分でも色々感じるところがあります。去年なんて変な会社にいたせいでひどい目に遭っており、ひどく気分が落ち込んだまま過ごしてたことを思い出すと現在の環境が現実なのかという気すらします。

 そうした前振りは置いといて今日の本題に入りますが、国会開会を前にして自民党を筆頭とする野党らは早くも野田首相が掲げる消費税増税を含む税の一体改革の提案を批判しており、解散をしないというのなら審議拒否をも辞さないという姿勢を見せております。こうした野党に対する私の意見はというと、議論に加わらないのなら早く議員辞めてくれという一言に尽きます。

 まず消費税に対する私の意見を紹介すると、増税のタイミングは遅すぎているくらいで、2010年までに上げておくべきだったのにと考えております。確かに東日本大震災の翌年ということもあって上げるべきタイミングかと言えばあまり好ましくない状況ではありますが、それでも日本国家予算の国債依存度は明らかに異常な状態で、少しでも償還のペースを進めなければかえって将来への不安が増して経済に対する影響も非常に大きくなるという危惧があります。
 たまに日本の国債は国内債務であって、現在のギリシャやイタリアが抱えて火の車にしている対外債務とは違うから大騒ぎするほどではない、むしろ日本は資産基準では世界的にも珍しい黒字国(日本以外には米国、中国のみ)だという意見を見受けますが、だからと言ってこのまま国内債務残高の膨張を放っておけばいいというのは極論もいいところではないかという気がします。このまま残高が伸びていって支払う余裕がなくなったら徳政令よろしく国内の金融機関には泣いてもらえば済む話ではなく、また「インフレを誘導させて実質価値を落とせばいい」という意見もありますが、長年ゼロ金利政策を維持しながらデフレが進む今の状況で、インフレを進めさせる策があるならぜひ聞かせてほしいものです。

 こうした考え方から、私はかねてから野田首相の財政健全化路線こと増税路線を支持しております。もっともこういう風に言えるのも中国で生活していて日本に税金を全く納めていないからとも指摘されるかもしれませんが、仮に日本にいても自分は同じ主張をしたでしょうし、なによりも自分たちの世代は増税で潰れても後の世代につながるというのなら喜んで踏み台になろうと私は考えております。むしろ自分の世代が楽をするためだけに、核廃棄物のように後の世代にツケを回すような真似だけはしたくありません。
 これに対し野党はいろいろ理由を付けてこの野田首相のこの増税路線を批判しているのですが、少なくとも現在に至るまで私が納得できる批判理由はまだ見当たりません。むしろ何が問題なのかもよくわからず、代案を出すなりそうしたところを国会で議論していくことが大事だと思うのにもう「審議拒否」と言い出すのは如何なものかと思います。

「自民はせこい」前原氏が批判、増税協議は要請(産経新聞)

 こうした自民党に対して上記リンク先記事のように前原氏も苦言を呈しているのですが、私としてもこの前原氏の発言に全く以って同感です。言ってはなんですが、かつての民主党より今の自民党はひどいように思え、仮に現在解散されたところで私は民主党に次回選挙でも票を投じると思います。

「こんなやつに話させるな!」自民党大会で経団連会長にヤジ(産経新聞)

 なんか自分でもちょっと批判し過ぎかという気もしないでもありませんが、同じ産経新聞からはまた上記のような記事が出ております。基本的に産経は自民贔屓なのにこのところはこうした自民を批判するような記事を見ることが多いです。敢えて理由を深読みすれば、今の野田首相の増税案は古い自民党の政策になんか似ている気がするからじゃないかとにらんでいます。

 夕方に小腹がすいたのでかっぱえびせんを食べましたが、そのせいで夜を回っているにもかかわらずなんか全然おなかがすきません。食べるタイミングを間違えたか……。

2012年1月20日金曜日

今日の大相撲の取組(#゚Д゚) プンスコ!

 うちの会社は一応メディア企業らしく編集部の中にはテレビが置かれており、中国の経済チャンネルとNHKをずっと映しております。なので今日は仕事の傍らチラチラ横目で大相撲の取組を見ていたのですが、思わず机を叩きなくなるほど見ていてカチンとする取組がなんと二本もありました。

把瑠都変化に「帰れ」コール連呼/初場所
日馬「だますような相撲だった」/初場所(日刊スポーツ)

 取組内容を説明すると、ちょうど優勝争いをしている把瑠都(「ばると」で一発変換出来たよおいおい)と白鵬(こっちも一発だ!)の取組で、なんと二度も立ち会いの変化が起きたのです。相撲をあまり知らない人に説明すると「立ち合いの変化」というのは取組が始まるやいきなり横によけて相手を後ろからついて送り出す、いわば不意打ちのような手段を指します。本来相撲は真正面から力士同士がぶつかるからこそ価値があるので、確かに変化をやってはいけないとは定められてはいないもののこれを使ったらやっぱり評価はしてもらえず、観客も勝った力士に対して誰も拍手をしないのが決まりです。

 私としてはまぁこれも駆け引きなんだし、平幕なら一場所に一回くらいならやってもありなんじゃないかなとは思うんですが、これが横綱や大関だったら話は全く別です。横綱や大関はその地位からして最上位であって、ほかの力士の模範たるべき存在です。そのため常に真っ向から向かう必要があり、特に横綱に至っては相手力士の攻めを一旦受け止めなければならないとまでされており、現実に白鵬の取組は相手を受け止めてから対応しています。これでいつも勝つんだから本当にすごい。

 それが今日、なんと把瑠都対稀勢の里の取り組みで把瑠都がいきなり変化して勝ち、もう一方の白鵬対日馬富士も日馬富士が変化をして勝ち、把瑠都が全勝で白鵬は二敗目を喫するなど優勝争いに水を差される結果となりました。今回引用した日刊スポーツの記事にはどちらも変化した力士の言い訳が見出しになっておりますが、「体が自然に動いた」とか言っていますがあれは誰がどう見たって明らかに確信犯で、初めから変化する気じゃないと絶対にできない動きです。把瑠都に至っては勝った後は意気揚々と引き上げてるし、朝青龍じゃなくったって怒るぞこんなことされたら。
 もうはっきり言っちゃいますが、そこまでしてお前ら勝ちたいのかと目を見て言いたいです。特に日馬富士に至ってはここ数年で変化の回数が明らかにほかの力士より多く、もう大関の地位を返上するべきじゃないかとすら思います。しかもなんでまた優勝争いが盛り上がっている最中にこんなことするのか……。

 ついでにgooブログにも、なんでスポーツのジャンルの中に「大相撲」がないのか文句を言いたいです。私は相撲は国技だなんて言うつもりはさらさらありませんが、野球やサッカーがあるんならこれだって入れろよと言いたいです。まぁさすがにWRCとか入ってたら逆に引くけど。
 それにしても、まさか中国でこんなに熱く相撲について書くことになるとは思わなかったな(∀`*ゞ)テヘッ

2012年1月18日水曜日

私の選挙制度改革案

小選挙区「0増5減」比例は「80減」 民主が方針(朝日新聞)

 やる気あんのかなと思っていたら意外と進んでいた選挙区改革案。上記リンク先に詳しいですがかねてから裁判所に一票の格差を違憲とされてきたこともあり自民、民主ともに選挙制度改革案を出してきたわけでしたが、今回民主党は自民党が提出してきた「小選挙区で5議席減らす」という内容に加え、従来からの「比例区で80議席減」を合わせて法案を用意しているようです。自民党の石原幹事長はなんかこの案に「議論もせずに出すなんて最悪だ!」とか言って批判しているわけですが、私としては今回民主党が出してきた案の方が踏み込んだ内容のように思え、石原幹事長に対しては無駄にやかましいなという印象しか覚えません。
 どちらにしろ現在の一票の格差は明らかに問題なので早めにこの問題が解決されることを祈っているのですが、それとともにこの際だから選挙制度を抜本的に改革したらどうかと以前から考えております。そこで今回はどのように改革すればいいのか、私個人の意見をいくつか紹介しようともいます。

 まず現在の選挙制度についてですが、よく「小選挙区制にしたことが自民党を弱くした」という意見がこのところ出ていて中選挙区制に戻すべきだという話をよく見ます。言わんとすることはなんとなくわかるし決して的外れな意見だとは思わないのですが、私は中選挙区制から小選挙区制に移行した事による影響は実際はそれほどではなく、むしろ現在の状態で中選挙区制に戻したらもっと自民党は弱くなると考えています。理由はと聞かれたら「私のゴーストが囁くのよ」というのが正直な回答ですが、いくつか理由付けするとまず小選挙区制の利点を生かして自民党は2005年の郵政選挙で大勝しており、ごく最近の選挙でも敗北こそしているものの小選挙区制だからなんとか持ちこたえているのではと思う節があるからです。
 そういう意味で小選挙区制というよりむしろ比例代表制の方が弊害が大きく、前回衆議院選挙でも町村議員を始め落選した大物が復活当選を数多く果たすなど、議員の新陳代謝を阻害させているように見えます。また比例制は目立ったもん勝ちということもあって当初は参議院限定ではありましたが今では衆議院でも元スポーツ選手や芸能人などいわゆるタレント候補が数多く立候補するようになり、その人らが実際に政治に対して強い志を持っているのならともかく、誰とは言いませんが傍目にも如何な人物が数多く当選していることを考えると真に廃止するべきはこちらの方でしょう。

 そんなわけで衆議院選挙について私は小選挙区でも中選挙区でも構わないからまずは比例制を完全廃止、もしくは復活当選を禁止し、その上でどちらかと言われるのなら小選挙区制の維持が望ましいと考えています。中選挙区制は中選挙区制でいいところもあるのでいろいろ悩むのですが、仮にこっちに移行すると我が心の故郷こと鳥取県はその人口の少なさから一県では選挙区にならない可能性もあってちょっとまずいかなぁとか思っている上、選挙区が広くなると候補者が選挙活動を行わなければならない範囲も広がるため必然的に有権者も投票対象を見極め辛くなるのではという懸念もあります。

 上記までの内容が衆議院選挙制度の改革案ですが参議院選挙についてはこの際、根底からひっくり返して参議院の役割も変えるべきだという意見をかねてから私は主張しています。参議院は理屈上では「良識の府」として年長者や知識のある議員によって構成される議場とされていますが現代に至っては衆議院選挙で落ちたから参議院に、またその逆で参議院選挙に落ちたから衆議院にと議員の鞍替えが一般化しており、そこにある差異は解散があるかないかしかないと言わざるを得ません。さらに言うとここ4年くらいの間で日本政治の停滞を招いているのは参議院と衆議院のねじれ現象で、なんで独自性も何もなく解散もない参議院の連中がここまでエラそうなんだよと見ていてあまり納得が行きません。

 これは何も私だけじゃなくいろんな人が参議院はもっと改革すべきだと言っていて、中には任期中の歳費(給料)は一切出さないことにして社会的に成功を納めて引退した人だけで構成してはどうかという面白い案を出している人もいます。この案でも悪くはないのですが、それだったら私はもうアメリカの上院と同じようにして、各都道府県ごとに2人ずつ選出してみてはどうかと考えています。
 現在の都道府県は47つなのでこの方法だと合計94人。数字は揃えた方がいいというのなら全国区というのを作ってここから6人を付け加えるのもありかもしれません。私の狙いとしては衆議院は「国の代表」の議場、参議院を「地方の代表」の議場とすることで専門とする役割をある程度分けることなのですが、ちょうど道州制や地方分権も盛り上がっていることですし、この手の議論を新たな選挙制度で構成する参議院に一括して任してしまうのも面白そうです。

 どちらにしろ今の選挙制度はやはり制度疲労が来ていると思います。私の性格もありますがちまちまとしたことをいちいち議論してないで、もっとドラスティックにスケールのでかい選挙改革を期待します。

2012年1月17日火曜日

ネット上のレビューについて

 リンクは貼りませんがこのところカカクコムで発覚したステルスマーケティングのニュースをよく見ます。ステルスマーケティングとは簡単に説明すると、「作為的に見せずに行うマーケティング」のことで、今回騒ぎになっている手法としては一般ユーザーからの投稿と見せかけて飲食店など特定の対象を持ち上げるレビューを載せるやり方が行われましたが、カカクコム本体がこの問題に積極的に取り組んだことによってこれによって報酬を得ている業者の存在が明らかとなりました。
 まず私自身のこれらネット上のレビューに対する姿勢を説明すると、飲食店などについてははっきり言って全く見ることがありません。もともと食に興味がないということもあり、宴会の幹事になっても近くで安くて電話番号知っているところしか予約をしません。そういう意味では今回のカカクコムの事件とは全く無縁なので当初はそれほど大した印象を覚えなかったのですが、仮にこれが別の対象であったらちょっと話が違います。

 ここだけの話ですが、実はアマゾンのゲームソフトに対するレビューは常日頃からよく見ています。アマゾンのレビューを見るきっかけとなったのは以前のブログでも散々悪口を書いたPS3の「ガンダム戦記」というゲームで、すごい期待してPS3本体と一緒に買ったのに、ふたを開けてみたらびっくりするくらいイライラさせられる内容で悔しいやら腹立つやら、たまたま家に誰もいなかったのをいいことに口汚い言葉で怒鳴りながら遊んでました。仮にお袋がいたら怒られて家追い出されていただろうに。
 そんなわけであまりにも憤懣やるかたないのでほかの連中はどう思ったのか見たくてアマゾンのレビューを開いたわけですが、まず開けてみてみて驚いたのは、自分が不満に思った点について漏れることなくほかの人も同じく指摘していたことでした。というかこれさえ見とけば買わずにすんだのにとも思いましたが、案外みんな同じことを考えるんだと変に感心し、これ以降は何かゲームを買う前にレビューでどう書かれているか必ずチェックするようにしています。クソゲーだと書かれていたのに買った「絶対説明都市3」はやはりクソゲーだったが。

 だからといってどうなのかちょっと話のつなげ方に悩みますが、やはりネット上の口コミというものは馬鹿にできないと思います。特に飲食店については自分が興味ないだけで、実際にはすごい影響力があるんじゃないかという気がします。実際にニュースで引用されていた飲食店関係者の声は切実ですし、ユーザー自身が書いたのならともかく、業者が意図的にある方向へ誘導する書き込みをするというのは個人的にやはり許せるものではありません。

 紙幅が余ったのでもう一件ネット上のレビューについて書かせてもらうと、自動車のレビューも一時期熱心に見ていた時期がありましたが、これはゲームとは逆に全くあてにならないように感じました。理由をいくつか述べると、まずみんな数百万もはたいて車を買うせいかどのレビューも基本的に誉めるような内容が多く、比較対象もそれ以前に載っていた車に限られます。だからといって車を何台も乗り換えている人のレビューだと今度は逆に専門的過ぎて、「高速でカーブを曲がる時にややアンダー気味」とか普段使う上では必要のないことばかり書かれていてあまり当てになりませんでした。ゲームや食べ物と違って車の場合はやはり玄人というか、専門雑誌のプロドライバーによるレビューがやっぱり一番参考になる気がします。
 なお私はそんなに運転はうまくないですが、一時期にレンタカーを短期間によく利用してコンパクトカーに限るなら主要車種はすべて運転したことがあります。ホンダのフィットはハンドルやアクセルの効きがいいことで親父なんかは気に入ってますが、自分はあまりスピード出すのは好きじゃないためじんわりとアクセルがかかるマツダのデミオのが好みです。ただ単純に自家用車として見るなら日産のキューブが頭抜けてて、車内の広さには特筆すべきものがありました。唯一の欠点は外形が平べったいせいか、高速になると虫がフロントガラスに当たってバンバン死ぬことだけど。

2012年1月15日日曜日

日本に影響を残した外国人~エドワード・モース

 自分は恐らくほかの歴史好きと共通するでしょうが、子供の頃に歴史漫画を読んだことから歴史に興味を持つように至りました。ちなみに好んで読んだのは編年体ではなく紀伝体というべきか特定の人物にスポットを当てた歴史漫画で、何故かそのころから戦国時代の登場人物を贔屓にして読んでいた気がします。ただ紀伝体の歴史漫画も読み終えるとやはりつまらないもので、仕方ないのでとようやく手に取ったのは確か小学館の「日本の歴史」シリーズだったと思いますが、その第1ページ目に登場したのが今日紹介するエドワード・モースです。

エドワード・S・モース(Wikipedia)

 エドワード・モースはアメリカの動物学者で、明治初期にお雇い外国人として来日を果たした人物です。来日理由は節足動物の標本を集めていたことからこの手の種類が多数生息するという日本に興味を持ったことからだそうですが、彼を現在の日本で有名足らしめたのはこの専門の動物学ではなく、日本考古学の創立者としてでした。
 モースは西南戦争の起きた1877年に来日し、明治政府から標本採集の許可を取るために横浜から新橋へ鉄道で移動中、日本初の考古学発掘の現場となる大森貝塚を見つけます。当時の日本人からすればこの貝塚の考古学的価値に気づく人間はいなかったようですが外国人には魅力的に映ったのか、モースのほかにもかのシーボルトの二男であるハインリッヒ・フォン・シーボルトも同時期に発見して発掘に強い情熱を持っていたと言われております。

 話はモースに戻りますが、元々モース自体が動物学以外にも考古学にも造詣が深かったこともあり、明治政府に対して正式にこの貝塚の発掘許可を申請しました。無事許可が下りるやモースは東大の学生を引き連れて発掘を行い、土器や人骨など様々な発見をして論文で発表し、重複した土器などを一時離日した際にアメリカへ持ち帰り紹介を行ったようです。その後1878年に再び来日すると今度は出土品を細かく整理した上であちこちで講演し、また論文発表や学会の創設などによってこの分野における開拓にいそしんだとされます。

 恐らく通常の日本史だと彼について紹介されるのはここまでで、後はせいぜい「日本で初めて進化論の講義を行った」と書かれる程度でしょう。私自身も彼の名前と功績については強く認めていたもののこれ以上の知識は持ち合わせていなかったのですが、最近になって調べてみると最初の離日の際に東大に対し、「哲学講師が必要ならフェノロサを呼べ」と、なんとあのアーネスト・フェノロサを日本に引っ張り込んだ張本人だったということを知っていろんな意味でしびれました。これはこの時期のお雇い外国人みんなに共通して言えることですが、みんなどこかしこで接点を持っていてそうした縁が数珠つなぎに繋がって来日してきています。

 フェノロサについてもこの連載でいつか取り上げる予定ですが、彼がいなかったら今の奈良の観光産業はまず成り立たないことを考えるとその影響度は半端じゃありません。もうこの時点で私にとってのモースの評価は格段に上がったのですが、その後に起きた関東大震災によって東大図書館が全部焼けたと知るや自分の蔵書1万2千冊をすべて東大に寄付するという遺言を残す(モースの死後、実際に寄付された)など、日本の学術分野における彼の功績は計り知れないものがあります。
 実はこの連載を始めるきっかけとなったのはこのモースにほかならず、明治のお雇い外国人はみんなどこかしかで接点を持ってその縁が伝手となって来日していることを意識した際、こうやってひとりひとり取り上げてみた方がいいのではと思ったからでした。その上で上記の関東大震災のエピソードも、既に知られている人物でもこうしたまだ知られていない面もあり、特に日本に尽くしてくれたエピソードというものは広く認知させるべきだと考えたのも突き動かす一つの理由となりました。最初の歴史漫画と言い、何かと自分のスタートに縁がある人だとつくづく感じます。

2012年1月14日土曜日

部下から評価する管理職

 戦争における優秀な指揮官を指す表現として、「弱卒を以って強兵となす」という言葉があります。これはそれほど訓練されてなかったり、身体的に劣っていたりする兵士でも戦闘を勝利に導くことのできる指揮官を指しており、私の中では補給もままならない中で占領地で食糧を強奪することもなくインパール作戦で善戦した帝国陸軍の宮崎繁三郎がこの評価に値すると思います。それにしてもさっきグーグルでセーフサーチ強で検索したら、上記リンク先(元自分のブログ)が出てこなかったのはなんでだろう……。
 話は戻りますが、逆に言うのなら強兵を率いているのであればよっぽど不利な状況でない限りは勝利するのが当たり前です。そういう意味では指揮官への評価というのは率いる兵や装備の質で決まるようなもので、強い軍隊を率いておきながら負けるというのは無能の証明以外の何物でもありません。話はまた二次大戦中に戻りますが米軍側は日本軍に対して、「兵員は優秀であるが指揮官が無能故に戦いやすい」と分析しており、私も当時の日本軍の作戦を見るにつけ一部には粘って粘って相手を苦しめた栗林忠道などもおりますが、基本的にはアメリカのこの分析に同感です。

 こうした考えは何も軍隊に限らず、私は現代社会の一般企業における管理職についても同じことが言えると考えています。たとえば二つの部署で同じ成果を上げているとしてもそれぞれの管理職が率いる一般社員の質によってはその評価は全然変わってきて、評価変数としては率いる部下の人数、人種、技能、資格、経験などなどたくさんありますが、真に評価する上ではこうした部分に光を当てる必要があるでしょう。世間一般ではよく売上げや収益といった表面的な成果ばかりが評価対象となりますが、こんなのは二度繰り返しますがあくまで表面的な数字を表しているにすぎず、会社経営を考える上では重要ではありますが管理職の評価項目としては実に薄っぺらいものだと常々感じます。重要なのは、どのような戦力でどれほどの成果を挙げたのかです。

 それこそ去年のプロ野球に例えると、阪神タイガースの真弓監督は成績不振からとうとう契約期間を残しながら退任を余儀なくされましたが、去年の阪神は日本人年棒だけ取ってみれば12球団トップで、また8月までは球界一のストッパーと信じている藤川球児選手を全く使おうとしながら2年連続で9月に入るやありえないくらい連投させるという妙な采配を見るにつけ、やはりあの解任は仕方がなかったかと思います。逆にこっちはパリーグですがオリックスの岡田監督なんか補強らしい補強はほとんどない中、というか元々の選手層がそれほど厚くない中でクライマックスシリーズの出場争いに最後まで絡むなど非常に善戦しており、阪神時代からそうでしたが現役監督の中では一目置かされる実力です。

 ちょっと過分に趣味の話が入りましたが今日何を一番言いたのかというと、「お前らが無能だから成績が上がらないんだ」と部下に向かって言う人は「俺は無能だヽ(`Д´#)ノ 」と自分で言っているだけだということです。部下が優秀でないならそんな部下をどのように使っていくのか、どうやって能力を引き上げていくのかを考えるのが管理職の仕事で、先ほどのセリフはそうした責任をうっちゃって自らの無能ぶりを明らかにしているだけです。まぁさすがに暴力事件とか交通事故などの問題をしょっちゅう引き起こす人間が部下だったらいろいろ同情するけど。
 逆に経験年数や実績をたくさん積んでいる部下を付けてもらいながら、標準の成果しか上げられない管理職というのもまた問題で、大きな成果を上げたとしても人員配置によっては取り立てて大きく評価するべきではないかと思います。そういう意味だと去年のソフトバンクホークスの秋山監督への評価はあの戦力だと難しくなる……。

 ちなみに上記の「お前らが無能~」のセリフはさすがに私は言われたことはなく、まだこれまでマシな上司に巡り合っているような気がします。ただ今までついた上司はみんな揃って私に対し、「お前ほど言うこと聞かない奴は初めてだ」と、口裏合わせているんじゃないかと言いたくなるくらいに同じことを言ってきます。以前はそれほど気にしませんでしたが最近になってようやく私も自覚症状が出てきたというか、確かに言うこと聞いてるフリしてスタンドプレーが多く、上司からすると扱いづらいことこの上ない部下だろうなという気がしてきました。