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2013年3月8日金曜日

中国で働くには

 大分以前にも同じ内容で記事を書いておりますが、中国での転職を考えている人にとって有益な情報を出せるのではないかと思うので、改めて注意事項などを加えて書くことにします。

 まず中国での働き方というか雇用方法は二種類あり、一つは企業に日本で採用されて中国法人に派遣される駐在方式、もう一つは現地の中国法人中国企業に直接雇用される現地採用方式です

 どっちがいいかと言ったら言うまでもなく駐在方式で給与は日本水準であるだけでなく会社によっては家賃補助果てには駐在手当なども手厚く出ますただ駐在方式は基本的に元からいる従業員充てられるため転職してこの方式で中国送ってもらう以前実績でもないとあまり可能性はないでしょう
 一方我らが現地採用方式では給与は中国水準私が転職した頃などは初任月給800014換算したら12万円ベースとなっており、これより高いか安いか交渉材料となっておりましたが、現在もあまり変わってないように思えますでもって家賃補助駐在手当なんておいしいものはまずなくて海外保険も自己負担であるケースがく、あるとしたら年に一回だけ日本への一時帰国チケットを会社が負担してくれるくらいですただ給与が安い分現地採用方式は募集数が多いので希望の職種見つけやすいという利点と単純に中国で仕事してみたいならまず確実に入り込むことが出来ます言うまでもないですが雇用形態はこの現地採用方式でした

 では具体的にどうすれば中国での仕事をGETできるのか駐在方式であれば日本転職サイトで探すほかありませんが、現地採用方式であれば現地の人材紹介会社登録するのが近道です現在中国各地では既に日系を含む人材紹介会社が多数進出しており中国 転職でも検索すればたくさんヒットするので、複数の会社に登録すれば何かしら当たるでしょうたまに別々の人材会社から同じ会社の紹介が来るのが鬱陶しいですが
 紹介を受けた後面接は基本的に現地で行いまごく少数ではありますが日本本社で面接して現地採用として中国に送る会社もありますがいろんな会社を受けたいというのであればあらかじめ面接日程を組んだ上で中国に渡航するといいでしょう中国に渡航する場合滞在日数が15日以内であればノービザでOKですが、これ以上となる場合はビザが必要となるので観光ビザを申請取得する必要あります

 ただこうやって実際に中国での仕事を求めて転職活動をする前にいくつか確認すべき注意点があります一つは言うまでもないですけど具体的なビジョンもう一つは日本での正社員での勤続年数です
 昔は違ったのですが中国も増え続ける外国人労働者によって国内の雇用が減少する恐れから労働ビザビザ発行するに当たりいろいろと条件を出すようになってきております具体的には

中国語の会話能力があるのか 
四年制大学卒業しているか
特定の仕事を行える技術知識を有するか

 このうち最初の中国語の会話能力はあまり突っ込まれることはありませんが番目ビザ申請時に卒業証書提出がほぼ義務付けられますそして番目のですがこれが一番重要ではっきりと書けば日本で正社員として2年間働いた実務経験がないとほぼ突っぱねられます会社の総務によっては年間でなくても力技コネ無理矢理ビザを発給させてのけますが年間経験があるかないかは中国での転職に当たって非常に重要ですそのため過去に実務経験があるなら話は別ですが中国で留学を終えてそのまま現地で就職みたいな話は現実にはあまりありません今現在日本では新卒で正社員となることが難しい時代ですがだからと言っていきなり中国に行ってもビザは発給され辛いので気を付ける必要があります

 最後に自分のケースについて少し感傷を入れて話しますが別に隠してたわけじゃないですが中国に渡った時の年齢は26歳でした日本での正社員経験年半あり、四大を卒業してなおかつ中国での年の留学経験もあったことからビザ発給では何も障害はありませんでした
 中国に渡った当初中には新卒で駐在出張来ている人間もいるのだろうし26歳という年齢出遅れという劣等感があったのですが、いざ実際に渡ってみると20中国働いている日本人は思ったよりいませんでした大学の校友会でも最年少部類に入っていましたしやはり来ている日本人メインは40前後30代前半も多いとは言えませんおまけに仕事で取材赴くとやっぱりいことからどういう経緯で来たの質問される回数も多かった気がします


 周囲から言われている間はそれほど気にしなかったものの自分が上から見下ろす立場というか同じ会社に26歳の後輩が入ってきてからこんなくて頼りなさそうのに大丈夫なのか(;゚Д゚)思うようになりおいおいお前もその年齢中国に来たんじゃねぇか自分でツッコミ入れるようになりました
 ややまとまりのない締め方ですがこれから中国での転職を考える人に言いたいのは必要以上に焦る必要はないという一点です30代になってから来るのであっても決して遅いわけじゃないのですから自分みたいに色んなものを犠牲にしてくることはない言いたいです海外にいた結果、自分も祖母の葬式には行けませんでしたし、両親の死に目に間に合わなかった人もたくさん見ています。あらゆることを考慮した上で、海外転職は考えるべきでしょう。

2013年3月7日木曜日

北朝鮮の休戦協定白紙化宣言について

 友人から直々にリクエストが来たので本日は北朝鮮が5日に発表した、朝鮮戦争の休戦協定を白紙化するという宣言について自分の意見を紹介します。発表当日の5日から少し時間が経っていますが、元々このブログはワンテンポ遅れてからじっくり解説するのがスタイルですし、そういう意味ではいいタイミングです。

 まずこの休戦協定ですが、この場合の北朝鮮のカウンターパートは米国と韓国です。そもそもこの白紙化発言は北朝鮮側の言い分によると、米韓の合同軍事演習に抗議するためだとしており、期日は今月11日以降、つまり今度の月曜日以降となります。
 期日に関してはどうして11日を選んだのかはわかりかねますが、休戦協定の白紙化というかなり踏み込んだ行為に出てきたのは米韓の合同軍事演習だけが原因ではないでしょう。そもそも合同軍事演習自体はこれまでも何度も行われているだけに別の何か、具体的にはやはり前回に強行した核実験とそれに伴って国連で採択された制裁強化により態度を硬化したためではないかと思います。

 では白紙化されることによってどんなことが起こるかですが、現時点ではまだ何とも言えません。仮説をいくつか挙げると、いつもの様な瀬戸際外交よろしくより危機感を煽って交渉で譲歩を引き出す戦略なのか、続けての核実験を強行するのか、はたまた嫌がらせにまた韓国の領土や艦船に遠距離射撃を実施してくるのか。もちろん、一番いいのは何も起こらないことですが。

 それにしても休戦協定の白紙化とは随分と踏み込んだ内容のように思えます。ただ日本としては既に行えるだけの制裁をやり尽くしている感があるだけに特に新たな対策はほぼありません。一方、国連の安保理ではこれまで何度も北朝鮮をかばってきた中国の外務省に当たる外交部がかなり早い段階で制裁決議に同調すると発表しています。

外交部:朝鲜半岛应以和平机制取代停战机制(北京晨報)

 自分のバックグラウンドもあるためやや中国に沿った解説となりますが、やはり今回のこの行動は中国側も相当怒り心頭に来ているように思えます。というのも中国では今週から日本の国会に当たる年に一回の全人代が開催され、習近平体制も今回の国家役職任命を経て正式にスタートするわけです。そんな晴れの舞台、しかもやや緊張した状況下でほぼ間違いなく確信犯で北朝鮮がこんな宣言をしてきたことに対し、中国政府内でも反感が芽生えているのかもしれません。
 もっとも、反感という意味では北朝鮮でも同じかもしれません。というのも金正日政権の頃は中国に対して警戒をするものの一定の譲歩というか気遣いはありました。しかし金正恩政権になってからは中国に対する意識はほとんど見られず、まさに傍若無人な行為ばかりが目立つようになってきました。

 だからといって中国は北朝鮮に対する軍事制裁に同調するかと言ったら、さすがにそれは望まないでしょう。それは米国、韓国、ひいては日本も同様で、各国の思考としては如何に難民を流出させず資本主義化させるかの一点に尽きます。それにしても、中国が北朝鮮を資本主義化させたいっていうのもなんだか妙な言い方です。

2013年3月6日水曜日

陽月秘話、約2年ぶりの復活!\(^o^)/

 昔からの読者の方々、並びにgooブログの陽月秘抄から移って来た方々、この記事を読んでいる方には恐らくこの2種類の方々が大半を占めるかと思いますが、こうしてまたbloggerの陽月秘話を再開することになるとは管理人の自分にとっても意外で、なおかつ感慨深いものがあります。

 このブログは2010年の12月から私が中国で働くことになったものの、中国ではbloggerに対するアクセスが禁止されていたため泣く泣く更新を停止いたしました。その後、中国でもアクセスできるgooブログにプラットホームを移して「陽月秘抄」として記事の更新を行うようになったのですが、今年2月に日本に帰国し、アフィリエイトサービスなどを利用するに当たりあまりにも仕様が制限されることからこうしてまたbloggerに舞い戻ることとなりました。
 我ながら自分の無計画さに色々呆れてくるのですが、元々このbloggerは他のブログと比べて構造が非常にシンプルで、徹底したシンプルにこそ機能美は宿るというダイハツ・ブーンのキャッチコピーに共感する自分にとってはやっぱり使っていてそこそこ愛着を感じます。

 あと地味に、過去記事を右バーにあるツリーで見出しから検索できるのが非常にいいです。何故かほかのブログはこの機能を初めから持っておらず、こんな便利なのにどうして採用しないのかなかなかに不思議です。
 それにしても記事入力画面も昔と違ってなんていうかシンプルになっていて、なんか書いてて前と違うなぁとつくづく思います。地味にこの入力画面の構成から入力文字数とか推量するために、恐らくこれからしばらくはやや短めの記事が増えてくことでしょう。むしろ「陽月秘抄」に移ってからは長くダラダラした記事が増えていたから、ここで短めを意識した方が文章が締まってくかもしれません。

 そんなわけで心機一転、また陽月秘話を今後ともよろしくお願いします。

2013年3月5日火曜日

中国の大気汚染と石油会社

 あいも変わらず報道が続いている中国の大気汚染のニュースが続いているのでちょっと向こうの石油会社の事情を書いていきます。

 中国には半国営の巨大な石油会社が3社あり、片っ端から挙げると中国石油天然気集団公司(中石油、ペトロチャイナ)、中国石油化工集団(中石化、シノペック)、中国海洋石油総公司(中海油、CNOOC)となります。一つ一つちょこっとエピソードを書いていくとペトロチャイナな数年前に株式をB株で公開して有望銘柄として当時に大きく注目され、うちのお袋も確かこの頃に売り抜いてます。あとCNOOCはつい先日にカナダのエネルギー企業、ネクセンを中国企業の海外買収としては確か史上最高額となる151億米ドルで買収しました。シノペックはなんも思い浮かばないな。
 これら石油大手3社は中国国内、ひいては海外での石油探査、発掘、精製まで、それこそ川上から川下まで幅広く事業を行っているのですが、彼らが何故大気汚染と関係するのかというと、中国国内で流通する自動車用ガソリンなども作っているからです。

 中国の大気汚染は複数の要因があるため一概に何が最大の原因とは言い切れないのですが、都市部においては近年急増している自家用車の排気ガスが少なくない影響を与えております。それもそのはずというべきか中国は昨年も一国の自動車市場として世界最大で、私もレポートを書いておりますが2012年は1930万台もの新車が販売されております。たった一年で1930万台もの車が増えたのですから、いくら国土が広いったって排気ガスの増加量は半端じゃないでしょう。
 ただその排気ガス、元々の生成原料は燃料ことガソリンです。このガソリンがなかなかに曲者というべきか、中国で流通しているガソリンは日本のガソリンと比べて鉛や硫黄の含有量が多く、私も報道ベースでしか確認してませんが単位量当たりの汚染物質排出量では日本製をはるかに上回ると言います。それ故に中国の各地方政府は独自に自動車用ガソリン規格を定め、たとえば北京では「京5」などと基準を作り徐々にガソリンの鉛、硫黄含有量の低下を図るほか、燃費効率が悪く汚染物質の排出量の多い旧型車の淘汰(買い替えに補助金を出すなど)を進めております。

 それで話は石油会社に戻りますが、率直に言って上記の大手企業はガソリンの品質向上にあまり乗り気ではありません。品質を向上させるためには新たな設備投資が必要ですし、小売先となるガソリンスタンドなどともいろいろ協議する必要があり、大気汚染が悪化しようが日本をはじめとする先進国並みの品質に高めようとする気はほとんど感じられません。そう思う根拠として先日に読んだ中国の記事で、確か中石油だったと思うけど堂々と、「中国のガソリン品質の向上速度は決して遅くない」と言ってのけて、いくら先進国と品質面で差があるとしても、これまでも品質向上にはちゃんと取り組んでいるという主張を展開していました。
 経営的な判断からすれば上記のような中石油の主張もわからないでもなく、また日本も東電というとんでもない企業がいるわけだし「これだから中国企業は」などという批判は少しし辛い気がします。ただ先にも書いた通りに中国は今や世界最大の自動車市場です。そうしたことを考えると日本から技術を購入して積極的に導入してはどうだと、あくまで助言するような感じで強く主張してもいいかなとも思います。汚染された空気の直撃を受けるわけだし。

 なお汚染空気の話だとハマコーこと浜田幸一氏が生前、「俺の地元の千葉県は東京で汚染された空気を受けているんだから、補助金でもなんでももらって何が悪いんだ」とテレビで言っておりました。この浜田氏の意見は決して間違いではなく、昼間に自動車の排気ガスなどで汚染された空気は風にはこばれ西から東へ、千葉県へちょうど直撃する形で運ばれてきています。環境問題のミソというのはまさにこういうところにあり、加害者と被害者があまり一致しない点にあります。まぁその辺を中国に理解しろというのも、国境をまたぐもんだからなかなか難しいのではありますがね。

2013年3月1日金曜日

千載不決の議

 中国史に詳しい方なら一度は耳にしたことがあるかもしれませんが、世間一般にはあまり知られていないと思うので今日は宋代における「千載不決の議」を解説します。

千載不決の議(Wikipedia)

 この千載不決の議とは10世紀の中国を支配してその後も長期政権を維持した宋の時代における皇帝継承問題というか事件のことを指します。主役は初代の趙匡胤と、その実の弟である趙光義の二人です。

 趙匡胤は元々、宋の前身にあたる後唐という軍閥の将軍でした。しかしある日、部下や弟に無理矢理推薦される形、恐らくは非難を免れるために敢えてそういう形を取ったのでしょうが、主君を裏切り自らが軍閥の主にのし上がって皇帝へと即位しました。ただ彼の簒奪はほかの政権とは違って、後唐のラストエンペラーこと恭帝とその一族は殺したりせずにむしろ積極的に保護しております。まあその恭帝自身は7歳の頃に簒奪された後、21歳で若死にしてますが。
 また趙匡胤は本人がもともと軍人出身だったにもかかわらず自分が政権を握るや軍部の勢力を徐々に削ぎ落とし、逆に文官の権限を大きく拡充するなど文治政治を展開します。この政治姿勢は徹底されており、後継の皇帝達に対して石刻遺訓という碑文を残し、その碑文中には「言論を理由に士大夫(官僚/知識人)を殺してはならない」と書かれ、自由に議論をさせるようにと伝えています。このような人物だったことから趙匡胤の評価は現代においても高く、私自身も好感が持てる人物であります。

 ただそんな趙匡胤は皇帝即位から16年後に死去するのですが、その死因が非常に怪しいというかあからさま過ぎて「千載不決の議」、つまり千年議論をしても結論が出ない死に方となっているのです。
 趙匡胤は976年に死去しているのですが、その様子について後代の歴史書はただ「死んだ」とだけしか書かず、具体的な記述がほとんどされておりません。巷間で伝えられている内容では雪の降るロマンチックな夜、趙匡胤は弟の趙光義と共に兄弟水入らずで酒を飲んで夜を明かしたところ、朝になって趙光義が起きたら趙匡胤は既に死んでいたとされています。元々、趙匡胤は大酒のみであったことから深酒による脳溢血ではないかという説もあり、この後に何もなければそういう風に信じられていたと思います。そう、本当に何もなければ……。

 もったいぶらずに書くと、初代の趙匡胤の死去後に皇帝に就いたのは既に成人していた彼の息子ではなく、なんと弟の趙光義でした。しかも趙光義は皇帝位に就いた後、ちゃっかり本来跡目を継ぐとみられていた趙匡胤の息子を自殺に追い込んで、自分の後には自分の息子を皇帝にしております。こうした即位形式は以前にも全くなかったというわけではないのですが趙匡胤の曖昧な死に方といい、宋代にあってもおかしな即位の順番だと批評されており、早くから「弟の趙光義は兄を暗殺し、皇帝位を簒奪したのでは?」という噂が出ていたようです。仮に趙匡胤と趙光義が昔から仲が悪かったらほぼ疑いようもなかったでしょうが、一応この兄弟は若いうちから一緒に頑張って来ていたこともあり、またはっきりと暗殺したことを指摘する歴史書もないことから真相は藪の中のままです。

 私個人の意見を言わせれば、誰がどう見たってこれは弟がやっぱり暗殺してるでしょう。疑わしきは罰せずとは言いますが、歴史評価においては確かチャーチルが言ってた言葉だと思いますが、「政治の世界に偶然はない」です。
 もっとも、こうして2代目皇帝に就いた趙光義こと太宗は若い頃から揉まれていただけあって皇帝としての仕事を着実にこなし、中国の再統一も見事に果たしております。これで施政も悪かったら完全に暴君扱いされたでしょうがやることはやってるだけに、「千載不決の議」ってことになってるのでしょう。

2013年2月28日木曜日

ジョジョ第五部における「覚悟」とはッ

 先日に後輩当てのメールでもやたら濃い内容で送りましたが、まだその熱気が冷めないのでブログにも書くことにします。

PS3「ジョジョの奇妙な冒険 オールスターバトル」第3弾PV(Youtube)

 バンダイナムコが作っているこの新たな「ジョジョの奇妙な冒険 オールスターバトル」というゲームがなんか面白そうです。これまでに公開されている映像ではツボを押さえているというか原作漫画「ジョジョの奇妙な冒険」の名セリフをきちんと再現しております。それにしても声優たちも、「オラオラオラオラ」とか「無駄無駄無駄無駄」とやたら叫ばないといけないのは北斗の拳並に大変だと思う。

 上記にリンクを貼ったのは第3弾のPVですが、このPVの最中にジョジョ第5部の主人公であるジョルノ・ジョヴァーナが登場し、「覚悟とはッ、暗闇の荒野に進むべき道を切り開く事だッ!」というセリフを発します。ちなみに声優は浪川大輔氏で、なんか最近見るアニメ全部にこの人出ていて売れてるなぁって印象があります。昔は「嘘だと言ってよバーニィ」って言ってたのに……。
 話は戻しますが、ジョジョ第五部ではこの「覚悟」という言葉が非常に多く出てきます。たとえばシリーズ屈指の人気キャラクターであるブチャラティも敵のマフィアもろとも走行中の電車の外に飛び出す際に、「任務は遂行する、部下も守る。両方やらなくっちゃあならないってのが幹部の辛いところだな。覚悟はいいか?オレはできてる」というジョジョファンにとって有名なセリフを発します。

 この覚悟という言葉、多分起業してフリーの立場になったからこそでしょうがなんかこのところずしんと腹に来ます。それこそ最初のジョルノのセリフをPVで聞いた際には鳥肌が出るような感覚を覚え、自分が言いたいことがこの一言に凝縮されているように思えました。
 私の言葉で直すと、覚悟というのは複数ある選択肢の中から何か一つを腹括って選ぶ様なものではなく、選択肢すらない追い込まれた状況下、現状より苦しい立場に追いやってでも可能性を信じて実行するということを指すと思います。それこそジョルノのセリフにあるように「暗闇の荒野」における行動のような。

 ここだけの話というか、自分もはっきり言って起業なんかしたくないと思っていましたし現時点でも早くやめたいと思って仕方ありません。ならなんで実行するに至ったのかと疑問に思われるでしょうが、私に言わせればほかに選択肢がなかったというべきか、自分が起業しなくても誰も損することはないが誰も得することもないでしょう。一方、起業しても損する人は自分以外誰もいませんが、まだ得するというか現代の自分を含めた若者に対して何かしらの効果がまだ期待できるのではないかという思いがあるからです。そして少なくとも、上手くいくかどうかは別として自分が会社を立ち上げようと思えば起ち上げることが出来る立場だったこともあります。

 そんなわけで年食ってきたせいか、このところまた違った意味でジョジョを楽しんで読めるようになってきました。さすがにブチャラティみたいな「覚悟」まではとても持てませんが、ひとしきりの覚悟をもって行けるところまで行ってみようというのが今の本音です。

  おまけ
 最近後輩へ送るメールのタイトルにジョジョのセリフを付けるようになり、これまで使ったことがあるものは以下の通りです。

・かかったなボケが、オラオラオラオラ!
・アツアツのピッツァが食いてえ
・最高にハイって奴だぁー!
・覚悟はいいか、俺はできてる
・康一君…君は本当に頼もしいヤツだ
・いいや限界だ、押すね!

 意味わかんない人が見たらスパムメールにしか見えないタイトルがずらり。しかもさりげなくブチャラティのセリフも使ってるし……。 

2013年2月27日水曜日

アベノミクスに対する評価

 このところ身の回りと中国の話ばかりしてきたので、久々に国内の大きな話題ことアベノミクスを取り上げようと思います。まずこのアベノミクスという言葉ですが、もはや世界語になったと言っても過言ではないでしょう。中国のニュースでも「安倍経済学」という訳し方がされて頻繁に出てくるほか、G20関連の英字系ニュースでも読者が知っていること前提で多用しています。
 そんなアベノミクスの具体的な定義ですが、基本となるのは「デフレ脱却のためにありとあらゆる手段を使う」という点でしょう。これまで金融緩和に慎重、というよりインフレになるくらいならデフレがいいと思っていた日銀の方針をひっくり返し、インフレになるまで金融緩和をし続けるという単純かつ強烈なメッセージを出したことから昨年末から急激な円安が続いており、私の周囲でも1米ドル=100円超えも有り得るのではないかという声が出ております。

 ただこの急激な円安、各方面というか日本の競争相手国からは不評です。真っ先に文句を言ってきたのは自動車をはじめとした輸出産業が競合しているドイツで、続いて韓国、そして現在では中国なども「日本の政策が世界に為替競争を生み出す」などと言って批判的な論調が出ております。しかしこの問題で一番文句を言ってきそうなアメリカは特に批判せず、むしろ円安によって日本経済が復活することを期待するかのようなエールをオバマ大統領が出しています。
 こうした態度をアメリカが取る背景には単純に、TPP交渉が影響していると私は思います。アメリカとしては為替には目をつむってやるかわりにTPPに日本は参加するべきだというスタンスで、安倍政権もそれを呑む方針であるため先のG20でも日本の円安が大きな議題にならなかったというか日本は批判を受けなかったのだとにらんでいます。

 そのG20に対する反応ですが、中国の経済紙では「安倍の一人勝ち」という見出しを取り、本来批判されるべき日本の行動が全く批判されず容認されて、これでは大問題だとばかりの主張が載っておりました。まぁ「一人勝ち」というのは間違いじゃないと私も思いますが。
 もっとも為替に関してあまり日系メディアは言いませんが、一番操作しているのはどこかと言ったらほかならぬアメリカ自身でしょう。金融緩和を取り続けて米ドル安に誘導しているほか、有り余った資金が先物取引市場に流れ込んで数年前から大きな混乱を招いております。私としてはそんなアメリカに為替誘導がどうのこうのと文句を言われる筋合いはないと思うのですが、腐っても世界最強国ですし表だって批判できな日本とほかの国々の政府の気持ちは理解できます。

 あとG20で日本が円安で批判されなかったポイントとしては、あくまでデフレ脱却のための国内政策を実行したら円安になっただけで、円安に誘導する為の政策を直接的に実施するつもりではないというスタンスだったからだという気がします。仮に今回日本が批判されれば、今後デフレ脱却策を実施する国は同様に批判を受けざるを得ず、そうした悪しき慣例を作ってはならないという判断もあったのではとも、これは素人考えですが思います。

 ではそんなアベノミクスに対する私の表かですが、確か以前に書いた記事でも似たようなことを書いていますが基本的には全面支持です。デフレを脱却することが物事すべてをよくするための必要条件であり、これをはっきりと政策目標に掲げたことは非常に合理的です。しかし前にも書いた通りに付随効果として円安が進むことによって貿易赤字はどんどん拡大するため、政策猶予は以って2年。この2年の間にどれだけ輸出産業を持ち直せるかが重要です。逆に持ち直せなかった場合、どうなるか自分もちょっと聞いてみたいです。

2013年2月26日火曜日

56%が14万8千円超、中国人の1人当たり年間旅行予算

 中国のニュースサイトを閲覧している最中に運営している「中国景気観測局」に載せるのにいい記事を見つけたので、久々に前職でやっていた記事翻訳をやってみました。

旅游者意愿调查报告:半数游客将带薪休假出游(東方網)

 その見つけた記事というのは上記サイトです。見出しを翻訳すると、「旅行者意識調査:半数が有給利用」と書かれており、2012年における中国人の国内旅行データが事細かに載っております。調査を行ったのはCtrip(シートリップ)といって、日本ではなじみが薄いですが中国のネット旅行予約業最大手の会社で、定期的に詳細なデータを発表してくれるので前職在職中もお世話になってました。
 それでは早速、書かれているデータを片っ端から書いていこうと思います。

Q1、旅行に行くタイミングは?
 見出しにも書いてある通り「有給を取得して」が49%と最多で、次いで「土日利用」が15%、「国慶節(10月第一週にある長期連休)」
が12%、「黄金説(5月のゴールデンウィーク)」が最低の9%でした。

Q2、今年(2013年)に予定している旅行回数は?
  ・1~2回:37%
  ・3~4回:47%
  ・4~6回: 7%
  ・7回以上: 9%
  ・予定なし: 0%

 上記の通りに1~4回に8割超が集中する結果となり、日本人と比べてもそう大差はないかと思います。また「予定なし」が一人もいなかったということからも、旅行市場が今後も拡大していくと期待できそうな内容といえるでしょう。

Q3、今年の旅行予算は?
  ・増やす:57%
  ・横ばい:37%
  ・減らす: 6%

 こちらも全体的に増加傾向にある結果となっており、Q2の結果共々先行きの明るい内容です。では2012年の旅行予算はどれくらいだったのか、その気になる結果は以下の通りです。

Q4、2012年通年の1人当たり旅行予算額は?(1元=14.8円で計算)
  ・2000元(2万9600円)以下: 5%
  ・1万元 (14万8000円)以上:56%

 今回この記事を翻訳しようと思ったのは、年間予算とはいえ旅行支出に中国人の半数が14万8000円以上を支出しているというこの衝撃的な数字を出したかったためです。仮に1年間の旅行回数が3回だと仮定すると1回あたりの予算は約4万2700円以上ということとなり、決して低くない数字に思えます。また1万元以上と答えたうちの約5%は、「5万元(74万円)以上」という果てしない金額を上げております。
 今回のこの調査は国内旅行に限定されているため、海外旅行の予算はさらに高くなる可能性が高いでしょう。なお参考までに下記のトラベルズー・ジャパンの調査によると、同年の日本人の年間旅行予算(海外旅行も恐らく含む)は37万5000円だったようです。

日本人の年間旅行予算の平均は37.5万円(@DIME)

 このほかの中国の国内旅行調査結果で面白いと思えるものとしては、旅行プランとして好むのは「フリープラン」が75%、「パックツアー」が25%で圧倒的にフリープランが人気だということです。ちなみに少し専門的な話をすると、中国人向け日本旅行ツアーはパックツアーが大半で個人向けフリープランやフリーツアーがやや不足しており、熱心な中国人旅行者の需要を満たしきれていないと以前に取材したことのある業界関係者が言っていました。

2013年2月24日日曜日

映画「テルマエ・ロマエ」の気になるお値段

 昨日の晩はWBC前の日本対オーストラリア戦を見た方が多かったと思いますが、私は何故かこの時間帯、試合中継があることを知らずTBXの「ジョブチューン~アノ職業のヒミツぶっちゃけます!SP」という番組を見ておりました。この番組はいろんな業界の第一人者がその業界の内情をぶっちゃけトークをするという内容なのですが、ゲストも番組全体の構成もよく、落ち着きのない性格で1時間以上テレビの前に座ることがほぼない自分が珍しくじっと見続けておりました。出演したゲストはスピードスケートの清水宏保元選手やプロゴルファーの片山晋呉選手、モデルの冨永愛氏などいる中で、去年映画化して大ヒットを記録した漫画「テルマエ・ロマエ」の作者であるヤマザキマリ氏もおりました。
 この番組でヤマザキ氏は映画「テルマエ・ロマエ」について語ったのですがその内容というのも、「映画化に伴ってヤマザキ氏に入ってきた収入は、わずか100万円」という衝撃的なものでした。

 ヤマザキ氏によると、映画化が決まった段階で編集部から連絡があり、「100万円を振り込んでおくけどこのお金は映画の原作使用権の物だから」とだけ言われ、公開された映画が興行収入が50億円を超える大ヒットを記録した後も追加報酬は一切なかったようです。それどころか映画化に伴うキャンペーンで日本中のあちこちを訪問することとなったがそれも全部ノーギャラとのことで、同じ番組に出たゲストたちからも「編集部に騙されているのでは(;゚Д゚)」とコメントするほどでした。
 映画やドラマなどの映像化に伴う漫画家への収入は少ないとは聞いてはいたものの、まさかこれほどまでに少ないとは想像だにしませんでした。幸いというか「テルマエ・ロマエ」は単行本が売れているからまだいいのではとも思いましたが、ヤマザキ氏は現在アメリカに滞在している関係で日本にいる人より余計に税金がかかっていることも明かしておりました。

 同じくお金の話だと片山晋呉氏が、「日本のプロゴルファー約5000人のうち、賞金だけで暮らしているのは約50人」という事実を明かしておりました。一見華やかそうに見える職業でも、大変なものはやはり金銭的に大変何だということをつくづく思い知らされます。

2013年2月23日土曜日

近衛文麿について

 先日、「松岡洋介について」の記事のコメント欄でリクエストを受けたので、松岡洋介とはある意味切っても切れない縁である近衛文麿について今日は私見を書いていこうと思います。

近衛文麿(Wikipedia)

 日本人なら近衛文麿と聞いて大体どんな人かはすぐに頭に思い浮かぶかと思います。また日本史に詳しい方なら、「歴代総理のうち最も暗愚だった人物」という評論を聞いたこともあるのではないでしょうか。もっとも現在において暗愚な総理ときたらぶっちぎりで鳩山由紀夫元総理の名が挙がってくるでしょうが。

 近衛文麿の簡単な来歴から書いていくと公家の最高位である五摂家の中でも筆頭に当たる近衛家、いわば公家の中の公家の出身です。父の近衛篤麿も貴族院議長をしており活発な政治活動を行っていた人物なのですが、長男である近衛文麿がわずか12歳の時に借金を残して逝去しております。幼少時は同じく公家出身の政治家であり総理も務めた西園寺公望の庇護を受けて育ち、長じてからは貴族院議員として父親同様に活発な政治活動を開始します。
 彼が政治家として優れていた点を挙げると、身も蓋もないですがそのルックスです。現代で言うなら、本人にとっては心外かもしれませんが小泉進次郎氏のようなイメージに近いように思え、イケメンで背も高かったことから早い頃から有権者の間で高い人気を得ることとなります。また本人もその後の動向を見る限りだとどうも乗せられやすい性格をしていた節があり、周囲から寄せられる期待の声を真に受けたのか貴族院内で独自グループを作るなどやたら熱心に活動しております。

 そうした努力が実ったのか、1937年に日本の総理としては伊藤博文に次いで最も若い45歳7ヶ月で総理に就任します。彼が総理に就任できたのは政界、軍部、有権者から高い人気を得ていたことに加え、当時の日本が置かれたやや特殊な状況があります。どういう状況かというと、世界恐慌と冷害によって日本国内では明日の食事もままならない大量の貧困者が生まれていた一方、政党政治が発達したことによって政界では賄賂をはじめとした汚職が酷かったようです。また予算獲得などのために軍部が徐々に政界に対して過剰な要求を行うようになり、五一五事件や二二六事件など首相暗殺を含む過激な行動に出る軍人も現れるほどでした。この状況下で首相に求められた人物像というのは、国民、政党、軍部のどこからも納得される人材だったのだと思います。良く言えば一つに偏っていない、悪く言えば自分の色が薄い人物がこれに当たり、近衛文麿がそれに適合したためではないかと私は考えています。

 何はともあれそうやって総理に就任した近衛でしたが、就任早々に日中戦争の端緒となる盧溝橋事件がいきなり勃発します。ちなみに日本人は7/7と来ると七夕を連想しますが、中国人はリアルにこの盧溝橋事件の開戦日を覚えており(中国語では「七七事変」のため)、中国にいる間は少し注意が必要となる日です。
 この盧溝橋事件が起きた当初、近衛はあくまで満州にいる日本軍と中国軍が偶発的にぶつかっただけとして、中国政府と話して紛争として処理する方針を打ち出しました。ただそう言っている一方で軍部に臨時予算を認めたりさらなる派兵を匂わせたりなど言行が一致せず、中国というか蒋介石側も徐々に不信感を持っていったと聞きます。そして盧溝橋事件から約1ヶ月後の第二次上海事変を契機に蒋介石との交渉を打ち切り、具体的な攻略目標もないまま全面戦争方針を出すに至ったわけです。

 よく日本と中国が戦争に突入した経緯に対して、「中国側が日本を挑発したり交錯するなどして無理矢理戦争に引き込んだ」という説を主張する人がいます。私としては確かに当時、中国共産党などのように蒋介石率いる国民政府と日本がぶつかることで得する団体や人物がいたことからそうした説が全く有り得ないとは思うのですが、それ以上に日本が中国との全面戦争に至った背景にはこの時の近衛の優柔不断さも大きな要因になっていると言わざるを得ません。
 私個人の意見としては、近衛が「不拡大方針」を掲げながら派兵や軍事予算増額などあべこべな態度を実行したのは、仮に戦闘が本格的になった時への備え程度の感覚だったんじゃないかと思います。そう思うのもこの後の近衛の判断というか行動がどれも場当たり的で、確固たる信念というか政策規範が一切なく、バックボーンがない政治家の典型みたいだからです。いろいろ意見はありますが、まだこの時期であれば近衛が本気で行えば軍部の暴走も抑えられたような気がしますし。

 その後、一旦は総理を辞職しますが間隔を置いての再登板後は「新体制運動」を提唱し、国家総動員法などを作るなど全体主義的な政策を展開していくようになります。また再登板後は松岡洋介のこちらも骨のない外交に振り回され、以前以上に強圧的となっていた軍部も抑えきれず流されるままに太平洋戦争までの過程を突き進むこととなり、開戦が視野に入ってきたところで事実上、投げ出す形で総理職を東条英機に明け渡しております。
 太平洋戦争開始後は戦況の悪化とともに木戸幸一、吉田茂などと協力して終戦工作を展開。終戦後はどうも政界復帰を目論んでいたようで新憲法策定に乗り気だったと伝えられますが、GHQは戦犯として処分する方針を固めたことを悟り、SPが逮捕に訪れたその日に服毒自殺を遂げております。

 近衛に対する私の評価をありのままに書くと、とにもかくにも優柔不断であることに尽きます。対中政策が一致しなかったことはもとより軍部に対する対応、また国内での全体主義路線への傾倒などを見るにつけこの人は日本をどこに持っていきたかったのか全く見えません。ただ唯一一貫していたと言えるのはこちらは公家らしく、国体の護持こと天皇制への高い忠誠心です。
 戦時中の終戦工作もどちらかといえば日本のためというより天皇家を守るために動いていた節があり、最後に服毒自殺を図ったのも佐藤優氏をして「公家は逃げ足が早い」と言わしめております。同じく公家出身の総理大臣としては細川護煕氏がいますが、両者ともに何が何でも何か一つの政策をやり遂げようというよりも、与えられた役割を自分のできる範囲で実行しようというような態度がある気がします。ちなみに、細川護煕氏の父親である故細川護貞は近衛文麿の娘婿で、戦時中の宮中動向を記した詳細な日記を残しております。でもって息子が総理に就任した際のインタビューでは、「あれの性格ではいずれ投げ出すだろう」という、その後現実となる予想を述べているのですが、間近に近衛文麿を見ていたせいもあるんじゃないかと密かに見ております。

2013年2月21日木曜日

ゲームクリエイター・飯野賢治氏の死去について

 ひとつ前のブログを書き終えてネットニュースを再度閲覧してみたところ、度肝を抜くニュースが出ていました。

ゲームクリエーター飯野賢治さん死去 「Dの食卓」作者(朝日新聞)

 知っている人には話が早いですが、「Dの食卓」というゲームを製作した飯野賢治氏が亡くなられたそうです。正直に言って、このニュースは自分にとってもショックなニュースです。

 飯野氏の経歴を簡単に紹介すると、彼は非常に若い時代に「ワープ」というゲーム会社を興し、当時としては珍しかったフルCGのアドベンチャーゲーム「Dの食卓」を世に送り出しました。この「Dの食卓」は日本のみならず世界中でヒットしたことから名クリエイターとして一躍その名を轟かせ、その後もかなり破天荒なキャラクターと風貌(当時は大きく太っていた)からゲーム業界における特異な人物として多数のメディアでよく特集されておりました。

 私自身が遊んだことのある飯野氏のゲームは「Dの食卓」だけですが、やってみた感想としては通常のゲームではなくやはり「特異」という一言に尽きます。豹変した医者の父親が病院で大量殺戮しているのを説得に行くというホラータッチの世界観に3D特有の狭い視界でキャラを動かすという内容が他のゲームと一線を画しており、特別面白いとは感じませんでしたが確かな印象を覚えたゲームでした。
 この「Dの食卓」以降も「エネミーゼロ」、「リアルサウンド」などとはっきり言ってどれもクセの強いゲームを出し続けたことから業界内でも完全な奇人として扱われていましたが、クセの強いゲームばかり出し続けたことからゲーム政策自体は「Dの食卓2」を出したところで一歩引いていたようです。ただ会社経営自体はアプリ製作などに事業を拡げて、多くの有名ゲームクリエイターが独立しては会社を潰していった中、倒産させることなく存続させ続けています。

 今回の記事によると、飯野氏の享年は42歳だったようです。かなり昔から活躍していますが、それにしたって早すぎる死だと感じるとともになんかのリメイクで自分がやったことない「エネミーゼロ」とかでないかなとちょっと思います。ちなみに「エネミーゼロ」が出た当時のインタビューで飯野氏は、街中を歩いていると子供たちに、「あ、あの人、エネミー」って指差されながら言われて「俺は敵か!?」といちいち腹の中で突っ込んでいたと語ってました。

携帯電話の契約完了☆-(ノ゚Д゚)八(゚Д゚ )ノイエーイ



 昨日は契約できないことを散々愚痴っておきながらですが、中国から日本に帰国して二週間強の今日、ついにやっと携帯電話を契約することが出来ました。契約したのは月500回(1回10分)までなら通話料タダのウィルコムで、正確には携帯電話ではなく昔懐かしのPHSですが。

 事の経緯を昨日の時点から話すと、昨日訪れたウィルコムを含む複数の携帯キャリアの契約業務を行っているアンテナショップでは、法人が出来てても法人口座がなければ法人契約はできないとして追い帰されてしまいました。しかしパンフレットには「法人口座、または代表者名義の口座」と書いてあるのでウィルコム専属のアンテナショップ行ったらまた何か違うんじゃないかと思い、今朝に家近くにある地方法務局で登記証明書を取りに行った後に訪れたところ、「登記証明あるならOK( ゚∀゚)o彡°」と、法人口座なくてもあっさり契約してもらえました。なんだったんだ昨日の店の対応は( ´・ω・)ファッキン

 そんなかんだで今日ようやく手に入れた携帯電話が上の写真の物ですが、派手好きな自分にしてはまた随分と大人しいカラーリング、デザインになっています。ちなみにメーカーはウィルコムは京セラ製が多いのにシャープ。
 見方によっては女性ものっぽいデザインですが、今回この機種を選んだのにはちょっとした背景があり、まず色についてはこれまで使用してきた携帯がほぼ全部白色だったので、なんかこの色以外は自分の中ではあり得ませんでした。次にデザインですが、角ばった携帯だとポケットに入れると足に刺さるようになり痛いので、なるべく丸っこいものにしようとした結果、これに落ち着きました。改めて書いてみると大した理由ではないな。



 どれくらいの大きさかを図るために、上海からちゃんと持ち帰ってきた阿修羅像をまた比較対象として置いてみました。並べておいてみたはいいけど、これじゃ携帯電話の大きさというより阿修羅像の大きさがどれくらいかを測っているように見える。



 ついでに自分が学生時代にスーパーで買った「世界の勇者シリーズ」という食玩で当てた、「剣闘士」も置いてみました。なんでこんなものを後生大事に未だに取っているのか自分にもよくわかりません。

2013年2月20日水曜日

HSK問題集にある謎の文章

 HSKと聞いてパッと反応できるのは中国と縁のある人。このHSK、英語で言えばTOEICやTOEFLに当たる、中国語能力試験を指します。中国語で書くと漢語水平考試。

 このHSKは昔、初・中級が1~8級、上級が9~10級で二種類の試験に分かれており、級の数字が高いほどレベルが高くなる仕組みで、留学中に私は7級を取得しております。ただこのテストは数年前に方式が変わり、現在は1~6級の6段階になり、前回は一回当たり2種類のテストでその成績によって級が決まりましたが、日本で実施されている英検同様に各級ごとに6種類のテストが毎回実施されるようになっております。

 ひとつ前の記事に書きましたが、自分の会社が設立されるまでのこの2週間は特にやることがなかったので、今まで受けた事もないのだし来月に実施される新HSKで級資格を取っておこうと勉強をしておりました。受けるのは上海で新聞翻訳の仕事をしていたのだから最上級の6級、と行きたいところですがいきなり落ちたらちょっとカッコ悪いので、今回はひとまず5級を受けることにして既に申請も済ませております。
 そんなわけで今現在、やることもないので問題集をちょくちょくやっているのですが、なんていうかいろいろ気になるというか変な文章が問題に出されてます。一つ具体例を挙げると、

 ”ある所に小鳥がいて、木のてっぺんまで上りたいと思いつつも実際に飛ぶことが出来ませんでした。そんな小鳥を見て牛は、「僕の糞を食べなよ。そうしたら高く飛べるよ」というので実際に一口食べてみたところ一つ目の枝にまで飛ぶことが出来て、二口で二つ目の枝、三口目でてっぺんまで飛ぶことが出来ました。しかし小鳥がてっぺんまで飛ぶや、猟師に鉄砲で撃たれて死んでしまいました。”

 どこから突っ込もう、というのがこの問題文の感想です。いくら何でもフリーダム過ぎる問題文です。
 これ以外にも(;゚Д゚)エエーって思うような問題文がいろいろあるのですが、全体的な特徴として一つ感じたのは、やたら「チャンスを逃すな」というような問題文が多い点です。「その若者は目の前のチャンスを気づかずに通り過ぎた」とか「準備を続けた物がチャンスを得る」というようなテーマの問題文が多く、文化の違いからか日本語の問題文とは異なる印象を受けます。

会社設立完了も……(;一一)

 中国から帰国して2週間+1日の今日、ようやく自分の会社の設立手続きが完了しました。これまで名刺も作れなかったのでこれでやっとおおっぴらに営業できるとワクワクしてまずは法人口座を作りに三菱東京UFJ銀行へ行ったところ、自分の持ってきた登記事項証明書では対応できない(より詳細なものを発行する必要がある)と断られてしまいました。別にこれだけなら法務局行ってくりゃいいだけなので何とも思わないのですが、そうした必要書類を全部提出した上で口座開設にはさらにあと一週間かかると言われました。

 個人名義の口座ならその日中にさっと作れるのになんでだといろいろ言いたいのですが、どうも振り込め詐欺への対策強化のため、どこの銀行でも同じように審査に時間をかけているらしいです。それにしたって一週間、三営業日もあれば審査には充分だろと言いたいのですが末端の人に言っても仕方ないのでそのまま帰ってきましたが、そもそもそういった審査をすることで果たして対策に効果があるのか強く疑問です。それなら法人登記の際に代表者、社員の過去の犯罪経歴などを調べた方が効率がいいような気がします。

 そんなこんだでむかっ腹立ちながら、じゃあ先に携帯電話を契約しようとウィルコムのアンテナショップへ向かいました。実は帰国から大分経っているのに今まで携帯電話を契約してこなかったのですが、そうした理由というのもウィルコムが今法人向けにキャンペーンをしていて、事務手数料をただにするほか基本使用料をずっと半額にしてくれるということだったので、不便を覚悟で今まで我慢してました。ついでに言うと、こっちで再会を約束していた面々とも、携帯電話を契約してからきちっと連絡しようと今まで控えてきております。
 ここまで書けば分かるでしょうが本日、契約できませんでした。理由は法人口座がまだないためです。サービス案内冊子には代表者名義の口座でいいとか書いてあるのにいざ行ったらダメとか言われて、「一体何なんだよこの国の手続きの遅さと制度の温さは」とリアルに門前で怒鳴りながら出てきました。八つ当たりで言っているのはわかりますが、法人登記に二週間も時間かかっているというのに、何故別の手続きでも一様にこんな時間がかかるのか、最初の審査がまるで何の証明作用も持ってないじゃないかと強く言いたいです。

 正直な所、携帯電話の契約が出来ないと名刺すら作れません。会社を作るのに二週間かかるのは納得できるとしても、実際に営業開始するまで一カ月弱かかる今の状況はあまり腑に落ちません。明日は千葉銀へ行って三日くらいで何とかならないものかと聞いてみて、ウィルコムに対しても案内冊子を片手に別のアンテナショップ(今日行ったのより大きい)へ乗り込もうかと思いますが、このところ本当に日本に帰ってきたんだなと悪い意味でよく感じます。審査に慎重になるのはいいとしても、慎重になることでどれだけの効果が得られるのか、一人の犯罪者の行為を防止するために健全な利用者を何人煩わせることになるのかという検証が足りないのではともう言いたいこと言って筆を止めます。

2013年2月19日火曜日

武漢市のタクシー事件

 昔自分が記事に書いた話題が今日続報が出ていたので、一つ四方山話として武漢市のタクシー事件を紹介しようかと思います。
 この武漢市のタクシー事件が発覚したのは去年の12月。確かCCTV(中国中央電子台)が特集で報じたのがきっかけで、武漢市のタクシー車両に使われているプジョーシトロエンの車両に一般車両には搭載されているABSが搭載されていないばかりか、ブレーキパッドも一般車両より小さいという特別仕様車であることが報じられました。しかもそんな仕様でありながら購入価格は一般車両より高く設定されており、しかも武漢市のタクシー業者は当局からこの問題ある車両を強制的に買わされていたというおまけつきでした。そうした当局の仕業もあってこの事件が発覚した当時、武漢市全体のタクシー車両全体に占めるシトロエンの車種比率は99%という冗談みたいな数字を叩きだしてました。
 それにしても、今どきABSがついていない車なんて探す方が難しいのに……。

武汉公布“缩水版出租车”调查进展 两人因涉嫌受贿被立案(毎日経済新聞)

 上記リンク先は中国語のニュース記事ですが、この武漢市の事件に対する続報が書かれてあります。内容を一部翻訳して伝えると、この問題で当局の責任者二人が賄賂を受け取っていた容疑があるとして立件されたようです。ただ立件されたうちの一人は問題の車両が販売されていた時期に統括する役職についていなかったことから事件に関わっていたとは思えず、暗にトカゲのしっぽ切りにされているのではないかと毎日経済新聞は指摘しております。実に中国らしい幕引き策ではあるんだけど。

 なお日本ではタクシーとくれば全国どこでもトヨタ・クラウンが走っておりますが、中国は地域によってはっきり車種が変わります。基本的にはその地域に本社を置いている自動車メーカーの車種が主流となる傾向があり、北京市ではヒュンダイ・ソナタ、上海ではフォルクスワーゲン・サンタナ、合肥市では江淮汽車製の車(車種は忘れた)が走っております。広州市は知らないけど日系車種はあまりタクシー車両では見かけないのですが、香港では逆にトヨタ・クラウンのタクシーしかなくてなんだか奇妙な思いをしたことがあります。

2013年2月18日月曜日

ワコールの注目に値する調査

 メディア職から離れたとはいえ一応義務的に毎日中国のニュースサイトと日系企業のプレスリリースを見ているのですが、今日の企業プレスリリースで見て驚いたものが二件ありました。

PS Vita、2月28日より値下げ ― Wi-Fiモデル&3Gモデル、どちらも1万9980円に(インサイド)

 一つは上記のPS Vitaの値下げです。かつてニンテンドー3DSも一万円の大幅値下げをしましたがここにきてソニーも果断に実行してくるとは夢にも思わず意外性を感じます。ただ発売から間もないのに任天堂は3DSの大幅値下げを断行したことが、昨年末に発売した「Wii U」もまたすぐ値下げするのではと懸念されて販売が伸びないと聞くだけに、今回のPS Vitaの値下げもどれだけ効果があるかとなると未知数です。

 そんなソニーのプレスリリース以上に私が今日目を見張ったのが、以下のニュースです。

「ブラジャーの捨て時・捨て方」実態アンケート結果について(ワコール)

 一体何故男の自分がこんなニュースにいちいち反応するのか我ながら疑問ですが、たまにワコールはこういう面白い調査してくるから京都市民に「下着屋」と罵られてても大好きな会社です。
 それでこの調査、いくつか結果を抜粋すると「自分は捨てられない女」だと考えている女性の割合は約6割に達するそうで、「ブラジャーを捨てるのをためらう女性・・・約2人に1人」だそうです。だからどうしたと言われればそれまでですが。

 参考までにうちのお袋にもこの調査結果を見せたところ、確かにブラジャーを捨てるタイミングは悩むそうで、金属ワイヤーが入っているだけに燃えるごみにそのまま出していいものかどうかためらうとか言ってました。ワコールも多分この編わかってるんでしょうけど、自分たちでやっているブラジャーのリサイクルプロジェクトの内容も調査結果と一緒に載せております。
 なお男の自分はブラジャーとは全く縁もゆかりもなく、自分の下着はいつも擦り切れるまで捨てていません。そんな生活を送っている自分ですが一回だけ不思議なことがあって、履こうとしたパンツが三日連続で一枚ずつ破れるという事がありました。靴ひもじゃないですけど何かこの時は大きな事故でも起こすんじゃないかとちょっと戦慄したのを覚えております。結局何もありませんでしたが。

2013年2月16日土曜日

平成史考察~パナウェーブ研究所騒動(2003年)

 今朝、日本に帰国して初めてランニングを行いましたが、上海で走った時と比べて息が上がらないというか、走っている最中に咳をすることがありませんでした。ペース的にはそんな差がないと思うのですが、これって大気汚染の差?ぶっちゃけ、中国でランニングすることが体にいいのか悪いのか判断しづらいんだけど。
 話しは本題に入りますが、今回は覚えている人も多いと思われるあの白装束集団ことパナウェーブ研究所の騒動を取り上げます。

パナウェーブ研究所(Wikipedia)

 この騒動が起こったのは2003年の4~5月、パナウェーブ研究所と名乗る全身白づくめの宗教団体の動向がお茶の間のテレビを席巻しました。この団体は千乃裕子を代表とする宗教団体で、方針としては統一教会と同じく反共主義を掲げていたようですがそれ以上に「スカラー波」と呼ぶ電磁波が人体に悪影響を与えるとして、防護策として白装束を着るだけでなく周囲に白布をかけたりするといった行動が注目を集めました。
 ウィキペディアの記事によるとパナウェーブ研究所が注目を集めるきっかけとなったのは当時、多摩川に流れ着いてこちらも注目を集めていたアゴヒゲアザラシのタマちゃんに対して捕獲保護を試みようとする動きがテレビで報じられたことからだったようです。その白装束という見た目のインパクトがあった上、テントでの集団移動生活を続けていたことから他のメディアも追従するようになり、この年のGWは岐阜県あたりにいたこの集団の一挙手一足が生放送で報じられました。当時の私もテレビで見ており、それこそ朝から晩まで、いつどの程度動いたかなども詳細に報じられていたことをよく覚えております。

 この騒動自体はGWの終了とともに視聴者の興味が離れたことから徐々に落ち着いてきたのですが、確かGWの後半あたりに、それまで一度も姿を見せなかった千乃代表がどこかのテレビ局のインタビューに応えて初めて姿を見せてきました。それまで千乃代表の姿は若い頃に取られた写真(そこそこ美人)しか出回ってなかったため、テレビで出てきた姿はお婆ちゃんだっただけになんとなくがっかりみたいな気持ちにさせられました。なおそのインタビューで千乃代表は、「私はもうすぐ(電波攻撃によって)死ぬけど、タマちゃんを早く保護してあげて」と訴えておりましたが、千野代表が死去したのはそれから3年後の2006年でした。調べてみて自分も初めて知ったけど、これ以前から「もうすぐ死ぬから」っていうのがこの人の口癖だったようです。

 そんなパナウェーブ研究所の現状ですが、先にも書いたとおりに千野代表が2006年に死去したことから自然消滅していったようです。これだけ見るなら言い方は悪いですが寿命の短い一種のカルト集団だったとして片づけられるのですが、自分が少し気になるのは「スカラー波」こと電磁波という概念です。
 パナウェーブ研究所に限らず日本では「米国が電磁波で日本人を攻撃してくる」とか「メタトロン星の電波によると~」などといった主張を行う人がそこそこ多く、ちょっと変わった精神をしている、神憑りしやすい人を表すスラングとして「電波系」という言葉まであります。この電波系ですが、ネットでの情報だけで二次確認を行ってはいないのですが、その始まりは深川通り魔殺人事件の犯人にあるという説を聞きます。

 この深川通り魔殺人事件の詳細はリンク先のウィキペディアの記事に書かれていますが簡単に私の方から説明すると、覚せい剤中毒者だった元寿司職人の男が路上で児童や主婦を次々と殺傷した事件です。この犯人は勤め先で毎回といっていいほど騒動を起こしており本当に救いようのない男なのですが、逮捕された後の供述で、恐らく薬中の影響もあるでしょうが度々「電波が引っ付いて」などと「電波」という言葉を多用しわけのわからない主張を繰り返しております。
 それ以前から電波系と呼ばれる人々が存在したのかどうかはわからないのですが、仮にこの深川通り魔殺人事件の犯人から現在の様な電波系の概念が生まれ、パナウェーブ研究所をはじめとする団体などにも影響を与えたとすると世の中、実に不思議なものだと感じます。あとこの電波でもう一つ気になる点として、この概念ってもしかして日本にしか存在しないのではないかという疑念を持っております。欧米はどうだか知らないですが中国においては「電波が精神を惑わせる」という概念は少なくとも私が見る限りほとんど存在せず、改めて考えると独特な概念のように思えてきたりします。最後に一応断りというか、私はこのような電波が精神を惑わすという概念は全くと言っていいほど信じておりませんが、社会学で言うと無機論というか、人間はその環境や条件によってロボットみたいに大半の行動や思考を決めるという立場を取っております。

2013年2月15日金曜日

猛将列伝~藤堂高虎

 歴史好きの人間なら誰しも自分を重ねる歴史上の人物の一人や二人はいるかと思いますが、私の場合は一番重なるのはほかでもなく、新撰組局長の近藤勇です。理由はいくつかありますが学生時代に私は実家のある関東から大学のある京都へ学期ごとに往復しており、このルートが近藤勇の辿った足跡とほぼ完全に重なるからです。あと彼は水木しげる氏をして「星をつかみ損ねた男」と評されており、私もそうした生き方に変に共感するところがあります。
 ではこのほかに自分を重ねる人物はいるのか、戦国時代の人物で挙げるとしたら本日紹介する藤堂高虎が入ってきます。

藤堂高虎(Wikipedia)

 戦国史が好きな人物なら藤堂高虎のことは誰もが知っているでしょうし、その能力の高さから歴史ゲームではいわゆる「かわいがられる」キャラクターであります。私もこの前に「太閤立志伝5」というゲームでこの人を使用しましたが、そのあまりの能力値の高さによってゲームが簡単になってしまい、かえって面白くないという妙な状態に陥りました。

 ではそれほどまでにKOEIさんからも能力値が高く評される藤堂高虎はどんな人物なのかですが、簡単に言ってしまうと現在の三重県に当たる伊勢国津藩の藩祖です。彼の出身地は近江(滋賀県)で初めは地元の浅井長政に仕えており、織田家と浅井家が激突したあの姉川の戦いでは一兵士として奮戦しており浅井長政から感謝状も受け取っております。ただ主家の浅井氏が織田家によって滅ぼされるとその後は主を転々とし、豊臣(羽柴)秀吉の弟である羽柴秀長の家臣となったところで一気に世に出ます。
 羽柴秀長の家臣となってからはその才能を戦に、施政に存分に発揮し、秀吉からも高く評価され秀長の死後も順調に出世していきます。この時(安土桃山時代後期)の藤堂高虎の事績として注目に値するのは数多くの名城を築城している点で、和歌山城をはじめ宇和島城、今治城、篠山城、津城、伊賀上野城、膳所城などと、森ビルや大林組も真っ青なくらいに全国各地で築城工事を指揮しております。「その時、歴史が動いた」の松平定知氏も藤堂高虎の高い築城技術を指摘した上で、コアコンピタンスを発揮して出世した好例だと以前に著書で評価しておりました。

 このように豊臣政権下で大活躍し出世を続けた藤堂高虎ですが秀吉の死後は真っ先に徳川家康の側につき、関ヶ原の戦いでも西軍大名の切り崩し工作を担当したほか大谷吉継隊とも死闘を行っており、家康から戦後は20万石に至る加増を受けております。その後の大坂の陣でも真正面で戦って奮戦したことから家康にも「有事の際には高虎を先鋒とせよ」と評されるなど絶大な信頼を勝ち取り、死の直前に枕元に侍ることを許された数少ない人物となっております。これらの業績から藤堂高虎の国津藩は江戸時代にあって「別格譜代」という扱いを受けており、外様大名でありながら譜代大名と同様の扱いを受けていたと言われます。

 以上が藤堂高虎の事績ですがよく言われる彼への評価としては、「能力は高いが主君を変え過ぎ」というものが大半です。本人も「武士たるもの七度主君を変えねば武士とは言えぬ」と居直っており、特に豊臣家から徳川家への転身ぶりには批判も少なくありません。ただ自分がそういうキャラだからかもしれませんが家臣が暇乞いした際には快く送り出し、他家で思うようにいかなくて戻ってきた際にはこれまた快く迎え入れて元の役職に就かせていたといいます。こうしたことから現代で言えば「風見鶏」と呼ばれた中曽根康弘元首相同様に、実力のある主君を見極め転身を図るのも一つの必要な才能と割り切っていた節があります。

 ただそのように仕官というか就職に関してはドライな感覚であったものの、数寄というか風流が全く分からない人物でもなかったようです。そう窺わせるエピソードがいくつかあるのですが一つは関ヶ原の合戦直後の石田三成との話で、捕縛された三成に「此度の戦、ご苦労でござった。ところで我が隊はどのように見えた」と尋ね、「鉄砲隊が良くないように見えた。指揮官を変えるべきでは」との答えに「まさにそのように思っていたところです。ご助言、ありがとうございます」と交わしたと伝えられております。
 また宇和島藩主だった時期に隣国の今治藩を修める加藤嘉明とは境界争いで不仲であったものの、蒲生騒動で会津藩を治めていた蒲生家が取り潰された際に後釜を誰にするか徳川秀忠に問われ、「要衝である会津を治めるに当たっては加藤嘉明が適任」と答え、遺恨なく実力の足る人物として推挙しております。

 このような藤堂高虎に対して何故自分がやたらと親近感を覚えるのかというと、良くも悪くもマイペースな人だからだと思います。周囲から「不忠者」と罵られながらもそれが処世術とばかりに次々と主君を変え、それでいて奉公人でいる間はこれと決めた主君のために手抜きせず存分に力を発揮する姿勢がビジネスライクで強い好感を覚えます。
 昔というほどでもありませんが二年前に同僚から、「花園さんが最初に勤めた会社は花園さんを持て余したのでしょうね」とやけに突然言われたことがありましたが、はっきり言って同じことを自分も考えて退社しました。忠誠といえば聞こえはいいですが、自身の才能を使い切れない会社というか環境に留まるのは自分以外にとっても損だと思え、たとえ後ろ指を指されてもより自身の成長を期待できる環境へ身を置こうと決断し、私は中国へ行きました。そうして実行した決断に価値があったのかどうかはこれからの自分にかかっているわけではありますが。

 それにしても「七度主君を変えねば武士とは言えぬ」という藤堂高虎のセリフ。自分はもう三回変わっているからあと四回しないと武士にはなれないのかなとか不遜なことを思っちゃったりします。

  おまけ
 藤堂高虎が起ち上げた津藩ですが、幕末の戊辰戦争の頃は幕府軍として出陣したにもかかわらず真っ先に官軍へ裏切っており、藩祖が藩祖だけに「さすが藩祖の薫陶著しいことじゃ」と罵られたそうです。

2013年2月14日木曜日

短期集中的な報道をする日本のニュース番組

 先週に日本に帰国後、出会う人みんなに十中八九聞かれたのは「中国の大気汚染はどう?」という質問でした。あまりにも質問が多いもんだから前にも記事化しましたが、一体何故これほどまでに日本人が中国の大気汚染を気にするのかというとその原因は間違いなく日本のテレビ局による報道によるものでしょう。
 私の帰国直後も中国の大気汚染はどこも朝、昼、夕方、夜のどの時間帯でもトップニュース扱いで報じており、あんな報じ方されれば中国に関心のない人ですら嫌が応にも気にするようになるでしょう。ところがそれほどまでに報道が集中していた頃から一週間も経たない今日の報道は、中国の大気汚染はほとんど報じられずにグァムで起きた無差別殺傷事件で一色といっていいほどに報道が集中しました。

 独立するとは言ってもまだ会社の設立登記が済んでないこともあって(来週完了予定)ニートと変わらない生活を送っておりニュース番組ばかり見ていますが、NHKはまだ違いますが、民放のニュース番組はほとんどどれも同じ時間帯に放送されるにもかかわらず報じる内容、報じ方、果てにはフリップに書かれている内容までほとんど瓜二つであるような印象を受けます。特に今回のグァム島の無差別殺傷事件に関する報道では、生放送のある番組で現地日本人向けメディアの記者がインタビューに応じており、一通り話し終えたので別のチャンネルに回すとさっきまで別番組に出ていた同じ記者がまた同じようなインタビューに応じるという一幕もありました。もちろん、話す内容は一緒です。

 どのチャンネルを回しても同じような語り口、同じ内容のニュース番組が報じられており、はっきり言ってしまってなんか自分、洗脳されいるんじゃないかなという印象を日本のニュース番組に持ちます。確かに一番注目度の高いホットな話題を大きく取り扱うのはメディアとして当たり前の姿勢ではありますが、日本の民放におけるニュース番組関してはその集中度合いがあまりにも高すぎる気がしてなりません。
 たとえばNHKなどはトップニュースに長く時間を割くとしてもせいぜい開始10分程度で、残りの時間はその他のニュースを淡々と報じます。一方、民放のニュースでは放送局にもよりますが長いところだと30分以上も長々と報じ、その他のニュースに関しては非常に短くさらりと流してしまいます。さっきも言いましたがこれでは視聴者を洗脳したいのかといいたくなるような報道で、延々と同じ話題を取り上げ続け、コメンテーターも同じようなことを言い続け、さらにはほかの番組でも同じような内容が続くときたらその報じられている内容通りにしか物事が考えられなくなるのではという懸念すら持ちます。

 またトップで報じる内容にも少し疑問を覚えます。先週まではほかに注目するニュースがなかったためかほぼ毎日中国の大気汚染について長々報じていましたが、今週に入って北朝鮮が核実験をしたと発表するや大気汚染は忘れて核実験一色、そのすぐ次の日にオリンピックでレスリングが除外されそうだとなるや核実験の報道時間は一気に急減し、グァム島の無差別殺傷事件が起こるやレスリングもほとんど扱われなくなりました。なにも無差別殺傷事件より核実験を大きく取り扱えと言うつもりは毛頭ありませんが、内容が大きなものであるだけに放送時間の配分などはもう少し考慮する余地があるのではと強く疑問に感じます。そしてレスリング問題、無差別殺傷事件が起きなければ、今も核実験について延々と報じていたのかもと考えるといろいろ複雑な気分にさせられます。

 私は常々、何事も過小にも過大にも評価してはならないと自分に言い聞かせております。たとえばあるニュースの話題性が百分率で言って50程度だったとすると、70とか80のような価値があるように報じてはならないと、くだらないニュースを実態以上に大きく報じてはならないと考えております。そういう目で見て今の民放ニュース番組は、やはり一つのニュースに対して過剰に大きく報じ過ぎているように見えます。
 もちろん、それならば民放のテレビニュースを見なければいいのではないのかという意見もあるでしょう。実際に自分もこれからNHKだけ見てればいいかなと考えてますが、それでも民放にはもっと工夫してもらいたいという一心があり、今回こうして記事にしたためました。

2013年2月13日水曜日

中国の新型エイズ報道について

 コメント欄で質問をいただいたので、かなり昔に出た中国の新型エイズ報道について私の見方と意見+中国のエイズ事情について簡単に解説します。

唾液で感染する新エイズが中国全土で蔓延中です!(ひめのブログ)

 引用した記事自体は3年前の2010年の物ですが、逆を言えばその後3年間に全く続報がないとも言えますね。
 書かれている内容は中国では通常のエイズとは異なる新型エイズが発生しており、唾液からも感染することから各地で患者が増加していると報じるものです。でもって中国政府はこれら新型エイズの存在を隠蔽し、患者たちは「エイズ恐怖症患者」と呼んで実際にはエイズに感染していないのに自分がエイズと信じ込んで精神的に参っているだけだと説明していると書かれています。

 さすがに自分は医者ではないので断言することはできませんが、まぁこれはデマもいいところでしょう。そう思う根拠としてこのブログの筆者が情報ソースの一つに、大紀元というニュースサイトを引用している点があります。

「未知のウィルス」=エイズに似た怪病、中国で急速に拡散か(大紀元)

 この大紀元というニュースサイトは中国政府に弾圧されている宗教団体、法輪功が運営しているニュースサイトで、中国に関するネガティブな情報を東スポばりになんでもかんでも報じるところです。直近だと去年の秋頃、酒鬼酒というメーカーの白酒に可塑剤が混入していた事件が発覚した際、「中国で売られているリプトンの紅茶にも可塑剤が混入されている!」と大々的に報じてました。大紀元だから信用するなよと上司から言われていたので記事化せずに一応眺めていましたが、リプトン側は「ほかの国と全く同じ成分で作っていてどうして中国だけ可塑剤入っているんだ!」と反論し、中国の国家質検管理当局も「問題の成分は混入していない」と発表したことにより、しりすぼみに消えていきました。

 はっきり言って大紀元をニュース元とすることは東スポをニュース元にするのと同義で(東スポ自体は私は好きだが)、しかも内容はただ過激なものでかつエイズでよく誤解されがちな、「唾液で感染する」という話であるだけに、真実であるとは私には思えません。なおエイズは血液などからは非常に感染しやすいですが、唾液から感染するためにはバケツ数杯分を一気に飲みきる必要があります。
 こうしたニュース元の怪しさに加え、中国の報道を見ていてこの新型エイズに関する報道は少なくとも私はほとんど見受けません。仮に中国本土だけならともかく、こういうネタに飛びつきそうな香港メディアもほとんど取り扱っていないようですし、まぁ引っかかるネタではありませんね。

 そんな具合でこの新型エイズ自体はデマだと私は主張しますが、中国のエイズ事情、特に記事中にある「エイズ恐怖症」に関しては実際にあるとよく報じられています。このエイズ恐怖症はあくまで「自分がエイズ感染者だと思いこむ」ことによって身体的変調が起こる症状ですが、中国ではエイズ感染者が増加しており、市民が持つ恐怖感は日本と比べても高いような気はします。去年にもタクシー車内にエイズ患者の物と思われる注射器が転がっていて気づかずに座席に座ったら注射器が太ももに刺さり、感染したのではないかと感じたその男性が思い悩んだという事件が起きています。検査したら陰性だったようですが。
 中国政府もエイズの感染拡大には様々な防止策を打ち出しておりますが、歯止めをかけるには至っておりません。国立艦船研究所によると日本はやや横ばいの状態のようですが、目的は一致しているのだしこういう方面で両国が協力しあってければいいなと個人的に思います。

2013年2月12日火曜日

アベノミクスの円安メリット、デメリット

 本日北朝鮮が核実験をやったと発表し、国際政治を専門にしている当ブログの方向性からは取り上げるべきなんでしょうが、報道ベース以上の内容は語れないし、日本のメディアが今日はこの件ばかり報じているのが少し煩わしさを感じるので、延び延びになっていたアベノミクスについて今日は書いてきます。日本帰ってきてから気になるけど、どうしてどの放送局のニュースも同じような切り口ばかりなんだろう。

 話は本題に入りますが、もはや海外でも「アベノミクス」と報じられるほどに日本の円安が昨年末から一気に進みました。これほどまでに円安が進んだ理由はいうまでもなく安倍首相が前回衆議院選挙前から主張してた、インフレ目標を2%に定めるという強い方向性が最大の要因でしょう。そしてこの方針に当初反対の姿勢を示していた白川日銀総裁も退任が決まっており、後任にはより安倍首相の考えに近い人が就くでしょうから、円安が1ドル=100円を大きく上回ることはないでしょうが円高に再び戻ることはしばらくはないと見てもいいでしょう。
 その上でちょっと下世話な予想をすると、今夏に予定されている次回参院選で自民党が大勝すれば株価は現状よりさらに跳ね上がる可能性があると勝手に見ています。今のままならまず間違いなく大勝するでしょうが、まだ失言など波乱もあるかもしれず、4月くらいまでは様子を見る必要があるのでしょうが、4月まで波風なく政権運営をし続けていれば株は買い時かなと友人と話してます。

 さっきから話が脱線しまくっていますが既に1ドル=90円を超えており、円高によって青息吐息だったメーカーをはじめとした輸出産業は復活の兆しを見せております。この円高、私はアメリカが先に「いい加減にしろ(#゚Д゚) プンスコ!」と言ってくるかと思いましたが、意外というのもなんですがドイツのメルケル首相の方が先に「日本の為替操作だ(#゚Д゚)ゴルァ!!」と怒ってきました。このドイツの主張に対して麻生財務相は昔には1ドル=120円だったこともあり、今以上に円高は進んでいたので為替操作に当たらないと言い返しましたが麻生財務相にしてはといってはなんですが、うまい切り返しだったように思えます。本音としては「あれだけ日本円高でボーナスタイムあげたのに、それしかシェア取れなかったの?( ̄ー ̄)フッ」とまで言ってもよかった気がしますが。
 ただこの時のやり取りを見て少し感じた事なのですが、思っている以上にドイツが焦っているようです。ドイツ、日本と同じく輸出がメインの韓国も円安に加えてウォン高が始まり苦しんでいると聞きますが、逆の見方をすればこれらの競争相手から恐れられるほど昨今の円安は強烈なパンチになっていると言えるでしょう。

 ただこの円安、メディアでは万事が万事福を運ぶものとして経済的に歓迎する報道が多いですが、私は必ずしもメリット一辺倒のものではなく大きなデメリットも含んでいると考えております。もったいぶらずにそのデメリットを指摘すると、輸入費用の増大です。
 円安は基本的に輸出企業にとってはメリットしかありませんが、輸入企業にとっては100万円で輸入できたものが120万円になるなど、マイナス要因でしかありません。日本は確かに輸出企業が多いことは多いのですが、その一方で食料とエネルギーの大半は輸入に頼っており、市場規模も決して小さくありません。特にエネルギーに関しては原子力発電所が止まっている関係で火力エネルギーの輸入量が増大しており、昨年末に戦後かつてないほどに貿易赤字が拡大した原因ともなっております。

 敢えてクエスチョン形式に書きますが、どうしてこうした円安のデメリットについての報道は少ないのでしょうか。答えは非常に簡単で、重工業をはじめとした輸出企業が日本ではやけに発言力が強く、食品など輸入企業の声は非常に小さいからです。まだ東電などは声がでかい方ですがそれでも円安は絶対的な善とまで報じられるのはこうした日本の産業構造というか、財界での発言力の差が大きいと私は見ています。
 皮肉な話ですが、東日本大震災以降に日本は円高に振れて大きく助かったという面も少なくありません。先にも書いた通りに震災以降は減少した原子力発電量を火力発電で補ったために重油などの輸入量が増えましたが、円高によってその費用は少なからずペイできておりました。それが今回円安になって、関電なんかは役員給与などもうちょっと絞れるでしょうが、やっぱり電力会社はこの先厳しさを増すでしょう。

 では日本は円高のままがよかったのか。この問いに対する私の答えはNOで、円安に誘導するアベノミクスを支持します。その理由というのもあまり深く考えた物ではありませんが、あのまま円高が続けば日本の産業全体が打撃を受けたままで、即死とはいきませんがジリ貧になるのは見えていたからです。それならば輸入企業には多大な負担をかけ貿易赤字も一気に広がる可能性を孕んでいるものの、輸出企業の活性化を促して外貨を稼ぎ、その上でエネルギー対策をするという博打に出る方がまだ活路があるような気がします。
 ただ円安に誘導するこのやり方、決して簡単な道程ではないでしょう。それこそ1ドル=120円くらいまで一気に飛んだら冗談抜きでエネルギー資源の輸入に支障をきたすでしょうし、外国からも猛烈な批判を受けダンピング措置を取ってこられる懸念もあります。そういう意味では現在政府が出している1ドル=95円前後という指標は私からしても適切な数値に思え、これ以上に円安にぶれるようであれば政府も本腰で抑えにかかってくるのではないかというのが私の意見です。

2013年2月11日月曜日

続、中国艦船のレーダー照射事件について

 以前にも取り挙げた、中国の艦船が火器管制レーダーを日本の艦船に照射した問題について、続報が出てきたので軽く自分の意見も書いていきます。

中国艦船のレーダー照射を「面子」から考える (1)

 上記のページは国際政治学者の六辻彰二氏のブログの記事ですが、言いたいことは基本的に私も同じです。六辻氏は上記のページにて今回のレーダー照射問題の背景には下記二つのシナリオがあると指摘しております。そのまま抜粋すると、


1、国際常識に乏しく、なおかつ反日的な末端の兵員が、勝手にレーダーを照射した。それを公にすれば、人民解放軍の管理能力に対する評価を著しく損なうため、「事実でない」と強弁している。

2、日本に対してプレッシャーをかけるため、実は政府レベルから、明示的であれ暗示的であれ、フリゲート艦にレーダー照射の指示があった。それもやはり公にできないので、知らなかったふりをして、「事実でない」と強弁している。


 現状出ている情報を見ている限りこの二つのシナリオのうちどちらかでほぼ間違いないでしょう。その上で私の意見を述べると、やはりシナリオ1、つまり政府の指示がないままに現場の人民解放軍が勝手に照射してしまったという可能性が高いとみております。今日ニュースを見ていたら自分が尊敬する富阪聰氏も同じこと言ってたし。
 こう考える理由は一つ、事件発覚直後の中国政府報道官の反応です。記者団にこの件を触れられた報道官は当初、「この件に関して把握しておらず現在回答できない」と、ビデオ映像で私もこのように述べているのを確認しました。正直に申してこのような回答は異例中の異例で、事件発生に中国側も明らかに戸惑っているように私には見えました。では何故戸惑ったのか、やはりレーダー照射が行われていたことを政府は把握しておらず、対応を当時検討していたからだと思えます。

 ここで少し話は変わって、中国政府と共産党の関係を少し解説します。中国の政治は共産党一党独裁なため基本的に共産党=中国政府と考えていいのですが、役職とかそういうものは国と党とで微妙に異なっております。たとえば「総書記」という役職は共産党の最上級役職であって、中国政府の役職ではありません。一方、「首相」というのは中国政府の役職で共産党の役職ではないのですが、共産党のナンバー3とか4が就く役職なので、共産党内の「総書記」の命令には従うという仕組みになっております。
 そうした事情を踏まえて述べると、「人民解放軍」というのはあくまで共産党の軍であって中国という国家の軍ではないのです。最近は制度上でも国家の軍になりつつはありますが、共産党の言うことを聞く理由はあっても中国外務省など国家の機関の命令に従うという制度規則はあるのかないのかあいまいな状態です。それゆえ上記のシナリオ1のようにレーダーを照射したかどうかで、中国外務省は確認に戸惑ったのもさもありなんという話になるわけです。

 それだけに今回の事態、政府の意向を関係なしに人民解放軍が勝手に行ったとなるとなかなか怖い話だと思います。仮に六辻氏の言う通りに現場の指揮官が国際感覚に疎くてちょっと脅かしてやろうっていうつもりで照射したならともかく、確信犯で紛争になってもいいやとばかりに、政府のコントロールなしにそう判断して実行したとなると、何かひょんなことで実戦に移る可能性も否定できません。可能性は低いとはいえ。
 実際にこの問題、人民解放軍にとっては前々から非常に都合のいい問題だと考えています。軍隊というのは平和になれば予算は削減される傾向にありますが、危機感が高まれば高まるほど強く予算増額を要求できます。連中にとって、尖閣問題が大きくなればなるほど都合がいいのです。もっともそれを言ったら日本の自衛隊にも当てはまる節がありますが。

 私が何を言いたいのかというと、中国政府のコントロールがあまり効いてないようであれば人民解放軍はより危機感をあおるような過激な行動を取りかねないことです。もし中国政府が事態を発展させたくないと考えているのであれば、この点に関して日中両政府でしっかり押さえていくことが肝要になるというのが私の結論です。

2013年2月10日日曜日

日本人の視線

 自分のパソコンは中国関連の単語をタイプすることが多いので「しせん」と入力すると「四川」と変換されて「視線」にならないことが多いです。それとはあまり関係はないですが、日本帰国から五日経ち日本人の視線について思うことがあるので今日はこのテーマで一本書いていきます。

 日本に帰ってから当初は自転車で自宅周辺を回る日々でしたが、昨日は用事があって東京の方へ電車に乗って遠出しました。その電車乗車中、駅に停車して乗客が乗り込むあの瞬間に何故だかよく乗り込む客が自分に視線を向けてくるのでこちらも視線を向けたところ、パッと逆方向に視線を向きかえられるということが異常に多かった気がします。もっとも前から日本にいる人からしたら当たり前の光景かもしれませんが、つい一週間前まで上海で過ごしていた自分からしたら違和感があり、なんでそんな視線の向け方するのかなと少し不思議に感じました。

 あくまで私の実感ですが、中国でも道歩いていて向かいから歩いてくる中国人がこっちに視線を向けてくることは多いにあります。でもってその視線にこちらが反応して相手に向けると一瞬目が合い、「ん、なに?」って具合で見据えるとまた自分の進行方向、または周囲へ自然と視線を戻すというパターンが大半です。これに対し日本人(自分もだが)はやたらめったら周囲の人間に視線を送る、それも相手にばれないようにそれこそ忍者みたいに視線を張り巡らそうとする人が多いような気がします。といっても視線なんて後ろからならともかく正面180度以内から向けられでもしたらいくら忍んでいたってすぐわかりますし、私が反応して逆視線を向けるといかにも「マズっΣ(゚Д゚;)」っていうくらいに真逆の方向に視線そらすから、こういってはなんですがバレバレです。

 私がクエスチョンを持つのは、全員が全員ではありませんがどうして日本人はやたらめったら周囲に視線を向けるのか、でもって逆に視線を向けると何故そんなに慌てるのかの二点です。私個人の考えとしては普通に歩いてりゃ進行方向などに注意向ける必要があるのだし他人と目が合うことはおかしなことではないのだから忍んだりせず堂々と見りゃいいのに、はっきり言えば何故それほど怖がるようなそぶりを見せるのかがわかりません。ただこういうのは思い起こすと関西では中国と同じく全くこういうことはなく、関東限定の現象なのかもしれません。
 ちょっと紙幅が余っているので帰国後の近況を書くと、環境の変化に伴って躁鬱状態になるだろうと予想してそれなりに対策を立てておりましたが、案の定というか昨日までハイテンションな状態が続いておりました。今日昼寝したあたりから前ほどの高揚感はなくなったので鬱期に突入したかと思いますが、鬱といってもなんとなくだるいなぁって思う日が続く程度なので、そこそこ対策が奏功したかと考えています。後ほんとどうでもいい話ですが先程スーツを買いに洋品店行ってウエスト測ったところ、長い中国生活で細くなってたせいか「このサイズに合うのはうちでは一着です」と言われてしまいました。そりゃまぁ、選びやすいんだけどさ。

2013年2月8日金曜日

レールアウト、トライアウト~後編

 前回に引き続き今回も自分語りですが、前回では自分が中国に渡ったところまで話しました。少し解説し忘れた点があるのですが、中国での私の雇用形態は現地採用方式で、雇用に関する基準も日本の法令にではなく中国の法令に沿ったものでありました。これが何を意味するかと言うと、一番大きな影響は賃金にあり、時間給では確実に日本の最低賃金をブッちぎっててリアルに年収は為替変動もありますが、日本円で150万円を切っておりました。ただこの賃金の低さ自体は契約前に提示されており私も納得してサインしているので文句を言うのは筋違いですし、むしろ未経験者が入り辛い編集業務に入れてもらったことに強い恩を感じております。まぁこれで給与も高かったらもっと良いに決まってますが……。

 何はともあれそうして編集職での生活が始まったのは2011年3月からで、最初は中国語の翻訳すらおぼつかなかったものの何とか仕事も少しずつできるようになり、また2011年10月から12月には香港へ長期出張に出かけるなど、2011年の一年間は今以てしても中身の濃い一年だったと記憶します。本格的に中国、上海での仕事生活が始まったのは香港から帰ってきた翌2012年1月からですが、この頃からは取材などにも頻繁に出かけるようになりそれなりに充実していたかと思います。
 知ってる人には早いですが私はもともと記者職に就きたいと考えていたものの、この業種への就職では不利となる関西圏の大学に進学した上に見事に新卒で入れなかったことからもうかかわることはないと思っていただけに、中国に来てこのような職に就くとは非常に運命はわからないものだと強く感じました。先にも書いてある通りにこの業界は異業種からの転職が難しく経験者が優遇される業界だけに、恐らく日本国内に留まっていれば全くチャンスはなく、最低限翻訳することのできる中国語能力が求められた現地採用だからこそうまくもぐりこめたと思うし、実際に会社の上司らもそう言っていました。

 ただそうして憧れの職業に就いたものの、迷いと言うかこのままでいいのかという気持ちは常に抱いておりました。というのもこれは新卒の就職活動時にも考えていたことですが、仮に新聞社なりで編集職に就いたらほかの大多数の人間が就く仕事、たとえば営業なり経理なり事務なりといった仕事が一切体験できない、分からないままで一生が終わるのでは、それはそれでなんかおいしいところを逃してしまっているのではという懸念がありました。まどろっこしい言い方せずにストレートに書くと、記事しか書けない人間で終わってしまうのはもったいない、記事も書ける、営業もできる、経理もできる、経営もできるような人間の方が圧倒的に強くて楽しそうじゃないかと考えてました。幸いと言うか自分の場合はまだ日本で就職した会社で貿易事務をやり、簡単な営業とかも経験してはおりますが、それでも仕事内容は新人の範囲に留まっており個人的にはまだ納得できる量ではありませんでした。

 そんなわけの分からない思想を持った自分が出した結論というのも、もったいぶって言うほどのものではありませんが三度目の退職でした。素知らぬ振りしてブログも更新し続けておりましたが、実は三日前に日本に帰国し、現在自分の会社の設立手続きを進めております。編集職に未練がなかったわけではありませんが、もっと自分の力量を試してみたい、伸ばしてみたいという気持ちと共に、中国への転職前にNHKの取材を受けた際、「やる気のある若者を日本はどんどん海外に送り出すべきだ。そして将来、そういう人たちに日本に帰ってきてもらって国内の成長を担ってほしいです」と、NHKの記者に言われた言葉を自分自身で実行すべきだという、また妙な結論に至ったわけです。前から単純に、今日本に何をするのが一番ためになるのかと言えば少しでも雇用を作るべきだと思っていたし。

 そういうわけでプロフィール欄もちょっと変更し、また心機一転でこのブログを運営して行こうと思います。最後になりますが現時点でもう自分は、日本において一般的な社会地位向上のレールから大きく逸脱したと考えています。多分この後は落ちる一方でしょうが、少なくともそれはすべて自分の責任に由来するもので納得することはあっても後悔することはないと思います。
 それにしても、我ながら思い切った性格してるなぁとため息出てきます。

2013年2月7日木曜日

レールアウト、トライアウト~前編

 学生時代に何気なく友人に言われた一言の中で印象に残っているものとして、「花園君って、これまでパーフェクトな人生を送ってきたんでしょ」というものがあります。この発言をした友人は自分の出身大学に入学するまで二浪していたというのが大きな要因でしょうが、中高一貫の私立校に入学してストレートで四大に入った自分は確かに一見すれば日本で典型的な学歴獲得ルートで、そのように見えたのかもしれません。
 ただ私個人としてはこう言われてやや心外だったという気分を当時に持ちました。というのも私立中学への進学は自分が望んだものでなく、なおかつ当時の同級生にこのところ「そこまで嫌だったの?」と言われるくらいに中学、高校時代は楽しいものではなく、なんていうか非常に制限が多くて煩わしいの一言に尽きる時代だったからです。もっとも、別の学校に行っていたら違っていたのかといわれればそうではなく、多分大きな違いはなかったでしょうが。

 ただ大学への進学は浪人を経験することなくストレートで、満18歳での入学は今じゃ決して珍しいものではありませんがスタート的には恵まれた状態だったと言えますし、横並び的な年齢価値観で言えば一応最前列ではありました。そんな自分が初めて最前列から降りたというべきか、年齢の基準を一段落としたのは大学三回生の頃で、通っていた大学を休学して一年間中国に留学に行ってきました。休学した関係から帰国後は学年が一つ落ちてかつて同学年だった友人らは就職内定を得て卒業を待つ身となっておりました。
 もっとも、学年が一年落ちたといってもブラブラ遊んでいたわけでなく留学だったので、見方によればプラスな経験ともとることができます。その後も無事に就職内定を得て大学卒業後はきちんと正社員の身分で社会人生活もスタートでき、細かい内実はどうあれ終身雇用的な価値観では経歴的に全く傷のない状態がこの時も続きました。

 そんな自分にとって初めて、ドロップアウトとまでは行かないまでもレールアウト、脱線的な事件が起きたのは三年前の2010年で、新卒で入社した会社を退社して中国にある会社への転職を図りました。今現在を以ってしても最初に自分を拾ってくれた会社には強い恩義を感じておりますし退社したことに後ろめたさを感じておりますが、はっきり言ってしまえばどうしても譲ることのできない事件が起こり、自分の意に反して引かざるを得ない立場に追い込まれたことが退社の理由です。
 こういうとなにか大きな事件に巻き込まれたように見えますが、事件自体は非常にごく些細なものです。ただ当時もそうですし今現在も同じ考えですが、あれだけごく些細な問題にもかかわらず、周囲も自分に全く責任がないと認知しつつも自分に謝罪するよう要求したことを受け、「このままこの会社にいたら、問題の大小にかかわらずなんでもかんでも責任をおっ被せられるかもしれない」という懸念を抱きました。この辺は「~に過ぎない」か「~にもかかわらず」のどっちかを取る議論となりますが、自分は後者を選びました。

 今時入社数年で転職すること自体はそれほど珍しくありませんが、それでも終身雇用的な価値観が強い今の日本で転職、それも国内ではなく海外に求めたというのは経歴上、明確な脱線に当たると思います。私個人としてもこれが一つのルビコンに当たると当時認識しており、一般的なレールの上から外れて別のレールに乗り移るか、レールのない荒野を走るかのどちらかになるだろうと自覚しながら中国にやってきました。
 もっとも最初の転職は見事に失敗というか、グラスワインを5杯くらい連続で一気飲みすることを強要したり、自分の入社前の問題(仕入れ発注ミス)を自分におっ被せるような前近代的な会社に入ってしまっていろいろ苦労し、乾坤一擲のつもりで中国に渡ったものの運がなかったとこの時はつくづく思いました。ただ自分の運は尽きていなかったというべきか、中国に渡って4ヶ月目で別の会社に再転職し、曲がりなりにも経済紙の編集職を得ることができました。もはやこの時点で三回目の新入社員体験をする羽目となり、変わった星の下で生まれたのだろうと自覚し始めておりましたが、この時点できっとまだ波乱はあると内心考えておりました。続きは次回で。

2013年2月6日水曜日

中国の大気汚染について

 先日に日本にいる友人とスカイプで会話をした際、「そっちの大気汚染ってどんな状況なの?」と真っ先に聞かれました。何でまた急にそんなこととか気になるのかなと当時は思いましたが、どうもネットニュースとかを見ている限りだと中国の大気汚染について華々しく報じられているようで、その友人以外の人間に誰に聞いても同じような質問がされるので、今日はこの辺で私の知っている話を軽く紹介しようと思います。

 まず中国の大気汚染の状況ですが、現地の報道でも年々悪化していると報じられております。悪化している原因というのは複数ありますが、一番大きなものは経済成長に伴う生産増加によって工場などの煤煙排出量が増えていることで、その次としてモータリゼーションに伴う自動車の排気ガスが来るといったところです。汚染の程度は地域によって差があるのですが、もとより交通渋滞が激しく乾燥した土地の北京市が最悪とも伝えられており、先月には北京市郊外にある鉄工所などに臨時で休業するよう当局が命令を出すなど矢継ぎ早に対策を出しております。少し経済情報的なものを流すと、こうした臨時休業命令は今後拡大する恐れがあり、北京市に工場を持っている日系企業も対象となってくる可能性があります。また市街地に近い場所にある工場に補助金を出して移転させるという政策も既に実施されており、設備移転や拡張を考えている日系企業にとっては考慮していく材料にはなるでしょう。
 北京以外の都市でも内陸部を中心に大気汚染がひどく、たとえば先週に私が行った合肥市などは滞在中、ついぞ一度たりとも青空を見ることができませんでした。この辺などは中国にいったことがない人にはあまり感じづらいかもしれませんが、日本に帰国するたびに青空がきれいだと心底感じるほどに中国では空が澄み渡ることはほとんどありません。夏場などはまだマシですが、冬場はほぼ毎日に渡って曇った日が続きます。あと上海市に関しては、工場の郊外移転や排出基準などがある程度厳しく設定されているのと、しないに黄浦江という川が流れ海に近いことからまだほかの都市よりはマシだと思え、青空も見ることができます。

 話は変わりますがこれら大気汚染の程度を測る基準として、日本でも報じられておりますが「PM2.5」という物質の飛散量が中国では採用されております。このPM2.5という物質ですが自分も具体的にはどんなものかまでは専門でないので分かりませんが、非常に細かい微粒子のためマスクをしても貫通して喉に入るという物質らしく、厄介そうなものだとはつくづく思います。
 このPM2.5、報じられるようになったのは去年の春頃でそのときにも大気汚染がニュースの大きなテーマとなっていたのですが、確か5月くらいにアメリカ大使館が、「俺たちも自前で測ってみたけど、中国政府の発表以上に飛散量が多い」と発表したことがありました。これに中国政府が「勝手に計測するな(#゚Д゚) プンスコ!」とマジになって怒り、アメリカ大使館側も「だが断る(゚ω゚)」と言い返した後はなんか急に尻すぼみになって報じられる回数が急減したのですが、何故か今年になってまた急に報道回数が増え始め、この辺に何か意図があるのではないかと思います。

 ちょっと回りくどい言い方になりましたが、中国の大気汚染は何も今に始まったことではなく以前からです。確かに程度は徐々にひどくなっている実感はありますが、今突然急に悪化したのではなく、今突然急に報じられるようになったというのが真実だと思います。一体何故急に報じられるようになったのか、推論で申せばこれから中国政府こと習近平政権は環境問題とその対策を大きな政策テーマに持っていこうとしているのではないかと思います。
 専門家には話が早いですが江沢民政権は「科学的発展」というスローガンの下に経済成長を、胡錦濤政権は「和階社会」というスローガンの下に格差改善を最大の政策テーマに掲げました。日本だとあまりなじみがありませんが中国ではこうしたスローガンが大きく意味を持つというかいろいろあるのですが、これまでの軌跡とかを見ていると習近平政権は「緑色社会」など環境改善をテーマに持ってくるのではないかと前々から感じております。そのためお膳立てとばかりに、今の中国は環境が大きく悪化していると報じて危機感をあおり、それを改善させることで支持向上につなげようとしているのではないか、というような考え方もできるというわけです。あくまで推論ですが。

 最後に中国の大気汚染が日本に与える影響ですが、言うまでもなく偏西風は西から東へ流れるので日本の空気も巻き添え食って悪くなるのは自明で、勝手な見立てだと黄砂も一緒に飛んでくる4月あたりが花粉とのダブルパンチになって最悪な状況になるんじゃないかと思ってます。この辺に関しては日本も中国に対して対策実施を強く主張するべき位置にあるのでもっと強気に攻め、それこそ日系企業の環境対策グッズを率先して買うように話を持っていくべきでしょうし、政府だけでなく一般市民に対して、「日本製を使えばよくなる」という事実をしっかり伝えていくことが肝要です。

 なおこれは恐らく蛇足になるでしょうが、日本のテレビ番組で本日テリー伊藤氏が、「中国人は日系企業が中国で製品を作るために煤煙を出しており、日本人が大気を汚染させていると主張している」という発言を行いましたが、少なくとも私が見ている限り、中国の主要メディアでこのような主張をしている媒体は見たことがありません。テリー伊藤氏には是非出典を明らかにしてもらいたいのですが、勝手な想像だとそれこそネット上の一意見をさも代表性があるかのように言ったのではないかと思います。
 先にも申している通りにこの問題では日本は中国に対して対策実施を強く主張できる立場にあると思います。しかし不必要に日本人の対中感情を煽ってまで問題の深刻性を主張するのは筋違いでしかなく、このような主張に対しては批判的な立場をとらせていただきます。

2013年2月5日火曜日

中国艦からの火器管制用レーダー照射について

中国艦、海自艦に火器管制用レーダー照射(読売新聞)

 もう今日は合肥の旅行記事だけで終わりにしようかと思っていましたが、大きなニュースが飛び込んできたので簡単に現地の報道などを紹介しようと思います。
 まず上記ニュースの内容を簡単に説明すると、尖閣諸島付近に出張っている中国の軍艦がミサイルなどの火器照準用レーダを日本の海上自衛隊の護衛艦に照射してきたと日本側は主張しています。さすがに根拠もなくここまで日本も主張することは考え辛く、実際に中国側は照射してきたのだと私は思います。そしてこの行為はいくら示威行為だとしても、軍事関係に疎いのでどうかはわかりませんが、やっぱり極端な行為だと思え日本側が取った抗議も正当なものだと考えています。

 それで今回のこの事件、中国ではどのように報じられているか調べてみました。新華社の記事を見る限りではレーダを照射したという上記の日本側の主張と、その行為に日本が抗議したという事実だけを簡潔に報じており、特に解説とか反応に関しては何も報じておりません。明日、どのように書いてくるかが注目でしょう。

安倍晋三の苦しい踊り(人民日報 日本語版)

 少し気になったので人民日報の日本語版も見てみたのですが、レーダー照射に関しては何も書かれていなかったものの、上記の安倍政権を批判する論説記事が載っておりました。中国メディアが安倍政権を批判するのは何も今に始まったことではないのですが、今回のこの内容はかなり過激にかつ強力に批判しており、考えすぎかもしれませんが掲載タイミングにきな臭さを覚えます。

 ちょっとこれだけでは短いので少し私見を加えると、何故このタイミングなのかというものを感じます。というのも先日、公明党の山口代表が習近平総書記と対談するなど去年9月に冷え込んだ日中関係は回復の兆しを見せており、日系自動車メーカーの販売台数などもまた盛り返してきております。政治的、経済的にも雪解けが起こり始める中でどうしてすべてを無碍にするような今回の行動を取るのか、勝手な推論を書けばこの行動は習近平総書記をはじめとする共産党幹部が承認しての行動なのか、人民解放軍が独自に行っての行動なのか、ここが気になります。また中国は今週末から旧正月こと春節が始まり経済はおろか政府機能がほぼ停止します。そうしたことも考慮されて今回のような行動を取ったのか、考えればきりがありません。
 どちらにしろ、相手がどのような反応をするのかを見極める必要があり、余裕があればまたこの件で続報を書いていきます。

  おまけ
 今回の記事を書くに当たって新華社のサイトを見ていたら、「日本の”変態的”女子相撲文化」という記事が目に留まり、思わず見入ってしまいました。その内容、相撲は女性禁制で太田房江元大阪府知事が土俵に上がれなかったことやら、相撲の歴史は日本書紀に遡るとかやけに詳細に書いており、明治や大正時代の女子相撲の写真やポスター、この前青森で開かれた女子相撲の世界大会の写真など驚くくらいに充実しており度肝を抜かされました。それにしても「変態的」と書かれても強く言い返せないなと素直に感じます。

合肥旅行~包拯と李鴻章

 昨日に引き続き合肥の旅行記です。昨日は動物の写真ばっか載せて「合肥関係ないやん」と自分でも突っ込みたくなる内容でしたが、今回は合肥出身の有名人二人こと、包拯と李鴻章を中心に書いていきます。


包拯(Wikipedia)

 包拯(包公)というのは北宋時代に活躍した官僚で、日本ではあまりなじみがありませんが裁きが厳正だったことから悪人からは恐れられ、善人からは親しまれるという絵にかいたような名役人で、死後は講談などにも取り上げられてますます人気となっていった人物です。この人物、日本風に言うならば「大岡越前」に当たる人物で、講談などではよく裁判シーンが取り上げられて名裁きを下す人物として描かれております。
 先にも書いたようにこの人は合肥出身で、市内には彼を祭った祠、そして併設する彼のお墓があります。友人の上海人は包拯のことはもちろん知っておりましたが、彼が合肥出身だとは知らず墓を訪れた際は非常に驚いておりました。なおこのお墓ですが、案内書きを見てみるとつい最近までどこにあるのかでもめていたそうです。恐らく合肥にあるのだろうとは考えられていたものの確証がなく、20世紀に入って発掘調査が行われ、彼の遺骨を納めた石室が見つかったことからはっきりしたそうです。この石室ですが小さなトンネルとなっており入ることも出来るのですが、さすがに罰当たりだと思って写真は撮りませんでした。


 何故か包拯の祠の前の水がめにはコインだけでなく紙幣が投げ込まれておりました。ここはコインだけにすませばいいのに。


 上の写真の胸像は包拯と同じく合肥出身で、日清戦争で北洋軍閥を率いて明治の日本軍と戦った李鴻章です。日本史だと清側の敗軍の将で下関条約(中国では馬関条約としている)の代表として人物名は覚えるもののあまりパッと書かれてはおりませんが、実際の中国史では自らの民兵組織を元に北洋軍閥を起ち上げて、西洋技術の導入を目指す洋務運動を推進するなど超重要人物です。私個人的にも興味のある人物で彼の住居跡が博物館になっていると聞いて今回訪れてみたのですが、何に一番驚いたかっていうと招商局を作ったのがこの李鴻章だったということです。

 招商局というのは現在は香港系コングロマリット(複合企業)で、海運から不動産、金融まで幅広くやっている企業団体です。中国本土なら招商銀行というATMが充実した金融機関が一番目につくかと思いますが、中国本土以上に香港での影響力は半端じゃありません。香港で開かれる国際見本市にはほぼ必ずここが協賛しており私もよく見ていたのですが、この招商グループを李鴻章が作っていたというのは正直言って意外でした。調べてみると官営海運会社としての位置づけで作られたようですが、設立から地味に100年を既に越しております。

 この日はその後、宿泊先のシェラトンホテルへと向かったのですが、捕まえたタクシー運転手に「シェラトンだ」と伝えると、我々が予約した本物のシェラトンではなくみんな偽物のシェラトンホテルへと行こうとするので、住所を何度も説明させられる羽目になりました。それにしても、偽ブランドなのにこうもみんな信じるのだからやっぱり効果はあるのだろうな。
 そのシェラトンですが、合肥駅の近くにあるものの道路が一部修理中のために大回りをさせられる羽目となり、また渋滞がひどくてなかなかたどり着かず6時半くらいになってようやく着くことが出来ました。そして次の日は午前中はぶらぶらし、午後一の列車で上海へと帰ったわけです。

 ざっとこんな感じで合肥旅行を終えたのですが、昨日にも書いたように交通事情は最悪といってもいいほどでした。同じ内陸部でも合肥以上に日本から遠い武漢や重慶と比べても日系企業の進出は少ないのですが、あの交通の悪さを見るにつけ、自治体のガバナンスが弱いというか外資誘致の仕方とかがうまくないのではないかと思わざるを得ません。断言してしまうと、合肥に進出するくらいなら武漢や重慶へ行った方がマシです。
 ちなみに合肥の交通ですが地下鉄はなく移動は基本タクシーかバスしかないのですが、タクシーが全然少なく待っても待っても来ません。その一方、正規に営業許可を取っておらず違法にタクシー業に従事する、通称白タクは跋扈しており、ただ路上で信号待ちしているだけでも「どこ行く?」って車を止めて聞いてくるので、友人の「無秩序な場所で秩序に従ってはいられない」という言葉の元に大いに活用しました。意外に料金もリーズナブルだったし。

 ただ一回えらいことがあったというか、自分と友人の二人を既に乗せているにもかかわらず別の歩行者にも「どこ行く?」とさらに乗っけようとする白タクがいたのですが、まさにその現場を警察官が見ていて、そのまま運転免許証を取り上げてしまいました。「免許証ないからここで降りてくれ」と言われてそのまま下りてまた別の白タクを捕まえましたが、二兎を追うものは一兎をも得ずを間近で見ることとなりました。

2013年2月4日月曜日

合肥旅行~大気汚染と野生動物園


 昨日にも書きましたが、先週末に安徽省合肥市に友人の上海人と旅行に行ってきました。なんで合肥に行こうかと思ったかというと、割と近場で三国志の「合肥の戦い」で有名だし、ちょうどいいから行ってみようということになりました。結論から言えば、そんないい旅行じゃなかったです。

 まず上の写真を見てもらえばわかる通り、というか日本でも大きく報じられてるかと思いますがめちゃくちゃ空気悪かったです。上海なんかはまだ空気はマシな方だし昨日はきれいな夕焼けも見ることが出来ましたが、合肥にいる間は青空なんて一片たりともありませんでした。また空気が悪いだけじゃなく、路上を走る車が中国の都市の中でも異常に多く排気ガスがリアルにきつかったです。これまで中国で渋滞が起こりやすく道路が悪い都市といったら真っ先に北京を思い浮かべていましたが、下手したら合肥は北京以上にひどいかもしれません。実際にタクシーに乗ってホテルに向かう際、渋滞がひどくてなかなか前に進みませんでした。

 時系列に沿って日程を説明しますが、2/1(金)に上海駅から高速鉄道に乗り込み、合肥市へと向かいました乗車時間はわずか3時間で距離を考えると非常に早い移動です。合肥に着いたのは午後5時過ぎだったのでそのまま宿泊先のインターコンチネンタルホテル、今回の旅行は近場な分、いいホテルを選んだのですが、タクシー乗り場を見ると凄い長蛇の列。結局、タクシーに乗ったのは一時間過ぎた6時半くらいで、ホテルに着いた頃には8時前となっておりました。
 ホテル自体はインターコンチネンタルなだけあって立派でしたが、部屋に入って驚いたのは浴室です。




 ちょっと見た目わかりづらいですが、なんとバスタブが浴室の外から丸見えという驚きの設計。普通、カーテンレールとかあるのにこのホテルに至ってはそんなの皆無。奥にはちゃんと仕切りが設けられたシャワー室がある分、何故浴室は丸見えなのか理解に苦しみました。結局、それで使わなかったんだけど。


 一夜明けて次の日、ホテル近くにある合肥野生動物園に行ってきました。野生というだけあってかなり近距離から動物を見ることが出来て非常に楽しめました。上の写真は鹿ですが、何故か奈良のと同じでカメラ目線の鹿が多かったです。それにしても奈良市内は野生動物園ってレベルじゃないよな。


 こちらはテナガザルですが、ピーナッツなりみかんなりを投げるとジャンピングキャッチで取ったり、遊具につかまって回転しながら受け取ったりするなど、動画を撮っておけばよかったと思うくらい動き回っており、友人がえらく興奮してました。確か30分以上はここにいたような。


 客にもらったペロキャンを人間っぽくなめてる写真です。


 テナガザルのほかにもこの動物園はやけに猿が多く、しかも客からエサをもらい慣れているというかこうして露骨に手を伸ばしたりする猿を多く見受けました。中には隣の猿がエサをもらっているのを見て、俺にもよこせとばかりに檻を揺らして音を鳴らすのもいたくらいです。




 自分が好きなレッサーパンダももちろんおり、写真のように二本足で立ってはエサをねだってました。それにしてもレッサーパンダは風太君以外も普通に立つんだな。



 本当は野生動物園の後に三国志の古戦場である「合肥新城跡」に行く予定でしたが、中心部から非常に離れた距離にあるだけでなく、一度行ったことのある同僚が「期待するな」と言っていたので、そのまま敢えて見送りました。郊外だから渋滞はないとはいえ、ほかにも回る所もあったし。そんなわけで、続きはまた次回に。

2013年2月1日金曜日

春節前の中国人大移動



 本日旅行から帰ってきたので、このブログも再開です。旅行先を先に明かしてしまうと安徽省の合肥市といって、三国志を知っている方なら魏と呉の「合肥の戦い」で有名なところです。詳しくはおいおい書いていきますが、今日は夜も遅いので中国のお正月に当たる春節前の民族大移動について紹介します。

 上の写真は2/1に上海駅で撮ったものですが、確か2/8から始まる春節を目前に控えて非常に混雑していました。この春節前の大移動、中国語で「春運」といいますが、ゲルマン民族もびっくりなくらいの大移動で中国の鉄道部にとってはこの時期をどれだけ上手く捌けるかによってその後の昇進などに影響してくると聞きます。中国は昔の日本のようにお正月は一族が集まるべきだという意識が強く、都市部に出稼ぎに出ている人間もこの時期だけは何としてでも帰ろうとするので鉄道チケットもすぐ売り切れてしまいます。

 今回自分が移動したのは上海~合肥間なのでそれほど長い距離ではなかったことからそれほど激しいものではありませんでしたが、これが上海から湖北省や四川省行きとかだったらいろんな意味で半端じゃなかったと思います。というのも鉄道のチケットは原則、指定席予約制となっておりますが「席なし」というチケットもあり、廊下とかに何時間も立ちっぱなしで乗り込んでくる客も珍しくなく、実際この時期に乗ったことないけど相当混雑するのではないかと思います。また洗練された上海人と比べて地方出身の中国人ははっきり言ってマナーが悪く、車内だろうとなんだろうと唾を吐くわ大声で話すわであまり同道したくない輩が多いです。そのためこの時期の鉄道移動は体力的にも精神的にも負担が大きいです。

 ややオチが弱いのでもう少し付け足すと、中国の経済統計を見る上で1~2月は要注意な月です。というのも春節は旧暦で決まるため年によって変動し、1月になることもあれば2月になることもあります。休暇期間は大体2週間弱ですが、この間はほぼすべての工場と企業が活動を停止するため経済は動かず、例えば自動車の販売台数なんかは春節のある月は前月比で大きく落ち込むわけなのですがこれらは季節的要因であるため景気的なものではありません。
 にもかかわらずたまに日系メディアで、「住宅販売が前月比で急落、中国バブルが崩壊」などという見出しを取っては春節のある月の経済指標を取り上げるところが見受けられます。きっと確信犯でしょうが、春節のある月はほかの月と違って特別な月であるため混同したりせず、経済指標を見る上では1~2月の前年比で測る必要があります。日本もお盆のある8月は同じような傾向があるため、こうした社会的事情を考慮した上で経済指標は考えることが大事という、当たり前といえば当たり前ですが肝に銘じなければならない点だというのが今日の私の意見です。既に日付変わってるけど。

2013年1月31日木曜日

日本で歴史を動かした女性

 このところまた帰宅がほぼ毎日10時過ぎるほど忙しい、というかいろいろ人と会っているだけなのですが、帰ってきてからブログ書くのも一苦労です。そこで今日もささっとかけるネタないかと思案していたところ、仕事中にチラ見していたNHKのヒストリアで豊臣秀吉の妻であるおねが特集されていたので、日本で歴史を動かした女性についてちょこっと書いてみようと思います。

 まず先ほど出てきたおねですが、彼女に関しては間違いなく歴史を動かした女性の一人だと言って問題ないかと思います。というのも豊臣秀吉の覇業の傍で的確なアドバイス、今日やってたヒストリアでは信長への歳暮にほかの武将は現金とか送っていたところ、派手な着物200枚を送るように進言して秀吉の株を大いにあげたと言います。そのほかでも随所に発言した内容が秀吉の行動を決めているとされ、秀吉の死後も大阪城の秀頼を巡って重要な立場にあり、その影響度は淀君とは比べ物にならないでしょう。

 このおね以外で日本の歴史を動かした女性となると、日本最古の女帝こと推古天皇をはじめとした女性天皇などが上がってきますが、影響力一つを取るとしたら私の中では北条政子が第一に上がってきます。北条政子もおね同様に夫である源頼朝を多方面で助けてる、というか頼朝は政子と結婚しなければ北条家の支援を受けれずに平氏に反旗を翻すことすらできなかったことを考えると、実質的に鎌倉幕府設立の最大の立役者といっていいでしょう。また幕府創立期において最大のピンチとなった承久の乱も、吾妻鏡が正当性を誇示するためにわざと大げさに書いている可能性が捨てきれないものの、北条政子の一喝で鎌倉武士団がまとまったのが事実であれば歴史の方向性を決定づけたと言ってもいいほどの影響力です。

 今回紹介したおねと政子ですが、共通点を上げるとしたら二人とも当時としては珍しい恋愛結婚組で、ほぼ駆け落ちの様な事をした上で結婚にこぎつけています。婚姻においてタブーの多かった時代にこれほどの行動力を示せたからこそ歴史の波にとらわれることなく、むしろその波の一つにもなれたのかなとも見ることが出来ます。では現代にこれほどの行動力ある女性はいるかとなったら、男でもいないじゃんとか思ってしまうあたり日本はちょっと人材不足なのかもしれません。

 明日も帰宅はきっと10時過ぎるので先に予告しますが、金曜日から中国国内の旅行に出かけるためしばらく更新を休みます。復帰は日曜日の予定です。

2013年1月29日火曜日

中国のゲーム機事情

中国当局、ゲーム機の禁止政策を見直し=報道(ロイター)

 なんか気になるというかちょっと一家言あるニュースが昨日出てたので、今日は上のリンク先にあるニュースを軸に中国のゲーム機事情について解説します。
 まず上のニュースの内容ですが簡単に言ってしまうと、2000年から禁止してたゲーム専用機の国内流通を解禁するのではないかという内容です。このニュースに対して私が何を言いたいのかというと、「俺の立場は!?」っていう一言です。というのも私は去年の7月にこの「解禁するのでは?」という記事を書いており、多分日本語媒体ではどこよりも早く報じたつもりです。さらに当時気が進まなかったけどなんか会社が情報提供している関係から電通に対しても記事の内容を細かく説明までさせられました。それが今更こう大きく報じられてもなぁって感じです。

 そんな個人的な愚痴は置いといて中国の事情について説明すると、2000年以前は全く規制がなく日本国内同様にどのゲーム機も流通しておりました。私の友人の上海人などは「プレステかサターンのどちらを買おうか悩んだけど、鉄拳があったからプレステにした」と話しており、日本同様に90年代中盤には次世代機競争があったと証言しております。さらにここ最近で一番ビビった事件として、たまたま知り合った20代前半の中国人の女の子が、「魂斗羅?もちろん知ってるよ、上上下下左右左右でしょコナミコマンドは」とまで言ってのけて、意外に日本のゲームが中国にも深く浸透していたのだと思い知らされました。っていうか今の日本の20代の女の子は魂斗羅なんて知らないだろうけど。

 それほどまでに浸透していた日本のゲーム機ですが、2000年に法令で禁止されてからは表だって国内流通することはなくなりました。一体何故中国政府が禁止措置を取ったのかというと表向きは青少年の精神教育に悪影響が及ぼすと言っておりますが、実態としては国内のソフトウェア産業ことゲームメーカーの技術力が非常に弱く、彼らを育成するために外国製ゲーム機をすべて排除したのです。
 ここら辺は電通に対して説明する際にもかなり細かく解説させられたのですが、仮に当時出たばかりのプレイステーション2やXボックスの流通を国内で認めてしまうと、技術力で中国に勝る日米のゲームメーカーが作ったソフトが大量に出回って中国のゲームメーカーは一切育つことなく淘汰されるのではないかと中国当局は懸念したそうです。そこで文字通り締めだすというか、外国のゲームを入ってこないようにしてその間に国内メーカーを保護しようとしたわけです。

 この辺の発想ですが、偏見かもしれませんが非常に理系的な発想だと思えます。最近は文系卒が増えていますが今の中国当局幹部連中はほぼみんな理系出身で、具体的にどうやって技術力を向上させるとか保護できるか、そういった意見が日本の政治家に比べて非常に鋭いことが多く、このゲームの措置一つとってもそれがうかがえます。
 それはともかくとしてそうやって中国はゲーム機の国内流通は禁止したわけですが、中国で製造して第三国へ輸出する分には昔からOKで、聞くところによると任天堂のWiiとかXボックスは台湾のホンハイことフォックスコンがシンセン市でみんな作っているそうです。あと名目上は国内流通を禁止しているものの、並行輸入こと個人業者などが輸入して販売していることに対しては黙認しており、実際に中国でもPS3とか入手しようと思ったら簡単に買えますし、PS3で遊んでいる中国人もたくさんいてこの前なんか「ガンダムエクストリームバーサスでネット対戦しようよ」とか私も誘われました。

 そんな中国がどうしてまたこのタイミングで解禁しようとしているのかですが、私が読んだ現地報道によると中国のゲームメーカーが力をつけてきたからだと分析しておりました。中国のゲームメーカーが作るゲームというのは基本的にパソコン上で遊ぶゲームが主なのですが、10年以上前と比べれば大分技術力を付けてきて今だったら黒船を迎え撃つことも出来るし、むしろPS3やXボックス360が国内で流通することによってゲーム市場が拡大すれば売り上げ増など恩恵が得られる可能性が高いと当局は踏んでるそうです。これはつまり、保護政策によって力をつけてきたので今こそ打って出るべき的な守りから攻めへの発想の転換です。
 こういってはなんですがその見方は正しいと私も思います。実際に中国製ゲームで遊ぶことはありませんがパッケージデザインやゲーム画面などを見ている限りだと日本のゲームにも負けていませんし、国内にいる中国人好みのゲームを作るという点において優位があることを考えると十分に市場が成り立つように思えます。私としてはあと一言言うと、解禁してくれれば日本製ゲームが中国にも流通して相互理解が進むのではとも思え、まぁ固いこと言わないで早く解禁しておくれってところです。

 最後に私が去年の7月に書いた記事執筆時のはみ出し話をすると、上司に指示されたので日本のゲーム大手のソニー・コンピュータエンタテインメント(SCE)と任天堂にこうした報道にどう思うのか電話をかけて尋ねてみました。まずSCEは広東省に法人を再設立させたということを知っていたから具体的にいつ設立してやっぱり解禁を期待しての動きかとアジア部門に電話を掛けたところ、「担当者がいなくてわかりません」と言われ、いやいや自分とこの部署が海外法人設立した日くらいわかるでしょ、調べなおしてまた電話頂戴と言って切ったらしばらくして、「やっぱりわかりません」と言われてなんなんだこの部署はと呆れました。
 次に任天堂。自分も京都で4年間過ごしてるんだからはっきり言って嫌な予感はしてましたが、広報部につないでって言ってつないでもらって中国のこの報道についてどう思うかと単刀直入に聞いたところ、「すいません担当の者がいないのでまたあとで電話をかけ直します」と返してきたので私の電話番号を伝えたところ、未だに返答の電話がありません。まだ待ってるつもりなんだけど任天堂さんはいつ電話くれるのかな、早くしないと自分も会社からいなくなっちゃうってのに。

 今日は別に酒飲んでるわけじゃないのにやけに跳ね飛んだ文章になってます。晩飯後にドーナツを4個を一気に食べたのが良くなかったのかもしれないなぁ( ´ー`)

2013年1月28日月曜日

日系企業の中国拠点リスト販売、始めました

 前々からちょくちょく紹介しておりますが、こちらが予想する以上にアクセス数が伸びてないので、ちょっとこちらのブログでもでっかく宣伝させてもらいます。

中国景気観測局

 多分このブログを始めてから初めてフォントサイズもおっきくしましたが、上記ページは私と友人が新婚夫婦のケーキカットよろしく初の共同作業によって作ったサイトです。一体どんなサイトかというと、中国の経済解説、それも数字データに集中した経済レポートを公開しているサイトです。
 前から見ている人には早いですが、このブログで取り上げる範囲は果てしなく広いです。プライベートでも「花園さんって守備範囲広いっすね」と常々言われてますが、何にでも興味を持つせいか政治から経済、社会ネタ、果てには思想哲学関係など好き勝手な主張をこのブログで展開しています。ただそのせいか、一応大まかなカテゴリーは設けておりますが何か具体的なテーマに絞って記事が読みたい人の需要にはいまいち応えられてないんじゃという風には前からも自覚しておりました。そこで上記の「中国景気観測局」を作ったわけで、ここではブログではないことから図表データも載せやすく、いろいろデータを作っては中国経済に関するレポートを今後も増やしていこうと考えているわけです。

 そんな中国景気観測局ですが現時点で何が一番すごいかっていうと、中国に進出している日系企業の電話番号、住所を網羅した拠点データを売っているって点です。載せている企業数(日本での登記ベース)は1417社、中国拠点数は6871拠点と、かなり果てしないデータとなっており、製作に関わった自分が言うのもなんですがいい仕上がりとなっております。価格は税別で1万円となっており、1本売れるごとに自分にも歩合でお小遣いが入ってくるシステムとなっているので、浅ましいことは自覚しておりますが興味のある方は下記連絡先、私宛でもいいので是非連絡ください。また興味のない方でも、周りにいる買ってくれそうな人に紹介していただけたらありがたい限りです。

 それにしても、こうやってネットで情報を売ることが出来るようになったというのは凄い時代だなと思うのと同時に、自分もそういう一人になったのだなとしみじみ感じます。

  中国拠点リストに関する連絡先:neida1919@gmail.com

2013年1月27日日曜日

続、教員の早期退職問題について

 先日書いた「教員の早期退職問題について」の記事で少し気になるコメントがあったので、今日は一つこの問題で追加記事を書くことにします。それにしても前の記事書いた金曜日は酔っぱらった状態で夜遅く家に帰ってきて、なにかちゃっちゃと書けるネタないかなと思って適当に書いた記事だったのにやけにコメント伸びたな。

 話は本題に入りますが、その気になるコメントというのは「教員を含む公務員の退職金は平均で2700万円程度で、今回の給与改定に伴い減少する額は150万円程度で、減少した後も民間と比べて約15%高い」という内容です。このコメントの中で気になったのはそのまんま2700万円という金額なのですが、この金額が民間と比べて15%高いという記述が果たして本当なのかと強く疑いました。なので今日は面倒くさい仕事が片付いた週末ということもありちょこちょこ調べてみましたが、ほかの報道などを見る限りだとどうやらこの数字の根拠となっているのは下記の人事院の調査結果からのようです。

民間の企業年金及び退職金の実態調査の結果並びに当該調査の結果に係る本院の見解について(人事院)

 人事院というのは読んで字の如く公務員の人事や給与を決める機関なのですが、はっきり言って私はここの連中は信用しておらず胡散臭い組織だと考えています。そう考えるきっかけとなったのはまさに今回の給与改定で、民主党政権時に政府が人事院が勧告した数字以上に公務員給与切り下げを断行しようとした際、実際にはそんな条文などないにもかかわらず「人事院の勧告に政府が従わないのは憲法違反だ」と恥ずかしげもなく堂々と言ってのけて、なんなんだこいつらと怒りを通り越して呆れたことがあったからです。この時は最終的に政府が押し切って微減ではあるもの切り下げが断行されたのですが、今回こうしてその議論のベースとなる人事院が調査した民間平均の金額を調べてみたところ強く疑問を感じる金額であり、はっきり言ってしまえば自分たち公務員が多く受け取るために統計を操作しているのではないのかという印象を受けました。

 順を追って説明しますが公務員給与というのは民間企業の平均給与を調査・算定した上でその金額に合わすような制度となっております。ただこれまでも調査対象となる民間企業は上場企業など大企業が多く、いわばてっぺんの上澄み部分だけを取って実際の民間平均以上に高い給与を公務員は受け取っていたという批判がありました。
 今回私がやり玉に挙げている退職金も基本的にこの人事院が自分で調査して決めているのですが、昨年にこいつらが発表した退職金の民間平均額は2547万円で、公務員の2950万円より低いとしてます。そこで歩み寄るために今回引き下げるという話なのですが、そもそも民間平均が2547万円に達するのか、自分の感覚からして正直言って信じられない金額です。

 あくまで私の感覚ですが、周囲から見聞きしている範囲だと大体1000万円前後のような気がします。もっとも私の会社に至っては単位時間当たりで最低賃金をブッチしている上に退職金制度自体ありませんがそれは置いといて(置いときたくないが)、肌感覚から言ってこの数字は実態から乖離し過ぎている気がしてなりません。そこでほかの機関が調査したデータはないのかと調べてみたところ、5年前になりますが東京都産業労働局が同じような調査を実施しておりました。

公務員退職金水準引き下げ案再浮上、民間データの怪しさ
 民間企業の退職金水準2547万7千円、これはどこの企業の平均なのか?
(日本生活設計)

 日本生活設計さんが上記ページで東京都産業労働局と人事院の調査データをきれいに比較しているのですが、東京都産業労働局が出した中小企業が出した退職金額の平均額を抜粋すると以下の通りです。

<大卒者の企業従業員数別平均退職金額>
100人から299人:1401万円
  50人から99人:1117万円
  10人から49人:1265万円

 見てもらえばわかる通りにどれも1000万円強です。従業員数1000人以上の大企業だったらもうちょっと行くでしょうが、日本の従業員数の大半は中小企業に属していると考えると、全体平均では人事院の調査結果のように2000万円を突破することは考え辛いです。また上記の東京都産業労働局のデータは東京都内限定であることを考慮すると、より零細企業の多い地方を含めた全国平均だとさらに下がる可能性が高いです。
 日本生活設計さんもこうしたデータを元に人事院にツッコミ入れておりますが、私個人としても同じテーマの調査で1000万円超も数字が乖離するなんて有り得ないように思えます。となるとどちらかが統計を歪に操作していることとなるわけですが、先ほども言ったように私の肌感覚からすると今の日本の退職金額は1000万円前後で、そうした見方からすると東京都産業労働局の方が信頼性を感じます。

 久々に長々書いてきましたが、結論を言いますと「公務員の退職金額は民間より15%高い」という意見に対して私は「15%どころではなく2倍超なのでは」と言いたいわけです。もちろん、公務員とはいっても教員の退職金額が約2700万円かどうかはわかりませんが、仮に2000万円を超えるというのであれば民間に比べ非常に優遇された金額であると断言できます。
 だからといって退職金額が減額される前に早期退職する教員に対して、前の記事にも書きましたが批判する気は私にはありません。多くもらえるのだったらそっちの方向に動くのが人間の常ですし、それぞれに生活があるのだからとやかく言うべきではない、そして何よりこれは友人の口癖ですが私は他人の生活にそこまで興味がありません。それでも二言だけ申すと、退職される教員の方はこの金額が非常に優遇された金額であることだけは意識してほしいのと、公務員の退職金額はもっと下げた方がいいのではという提言です。民間に合わすというのであれば、現行の2分の1でもいいのではないかと思います。

 最後にこれは前の記事のコメント欄にも書きましたが、この問題で真に批判すべき対象は中途半端な時期に給与改定を行った行政側であるはずだと思うのに、何故だか振り回された当事者である教員へ批判が集中し過ぎているように見えます。何故教員に批判が集中するのか、はっきり言いますがこれはメディアの報道の仕方が原因だと思います。ネットニュースとNHKしか見ていませんがどちらも早期退職する教員がさも無責任な人間のように報じている上、行政への批判がなんかやけに緩い気がします。
 そもそも何故直前ともいえるこの時期に急にこの問題への報道が増えたのか、細かいことですがこれも疑問です。言いたいことを言ってしまうと、何か意図があってどこかがこのニュースを報じるように仕向けたのではと作為的なものがある気がします。具体的にどこがどんな意図で流そうとしたのかまではまだ目測がついていませんが、非常にきな臭いニュースだなとよく感じます。

2013年1月26日土曜日

書評「永遠の0」

永遠の0(Wikipedia)

 以前に知り合いに借りて読んだので(忙しい合間を縫って一週間で)、今日は小説「永遠の0」の書評を書こうかと思います。ちなみにひとつ前の書評は「積み木くずし 最終章」ですが、あれはドラマ放送時にえらくアクセス数を稼いでくれたので、今回も映画が公開される今年12月頃にヒット数を稼いでくれないかと早くも期待感で胸がいっぱいです。

 この作品のあらすじを簡単に書くと、司法試験浪人でうだつの上がらない生活をしていた主人公はある日、ジャーナリストの姉から太平洋戦争中に特攻隊となって60年前に戦死した祖父、宮部久蔵について調査するよう依頼(ほぼ命令)されます。戦友会を通して知り合った祖父の戦友達は一様に、宮部久蔵は坂井三郎を始めとした歴史に残る名パイロットにも劣らない零式艦上戦闘機、通称ゼロ戦の凄腕パイロットだったと証言するも、戦闘では積極的に戦うことはせず「臆病者」と呼ばれるほどに慎重かつ用意周到な性格で、宮部久蔵本人も戦争では絶対に死にたくないという自信の心情を周囲に隠すことはなかったと話します。一体何故死にたくないと広言していたにもかかわらず特攻隊となったのか、当時の戦況と共に主人公たちは20代で散った祖父の短い生涯を追っていくという内容です。

 まず予備知識としてゼロ戦について触れておくと、これは日本軍が太平洋戦争中において幾度かの改良を経ながら一貫して使い続けた戦闘機なのですが、開戦初期は破格の性能であまりにも強かったことから米英軍は、「ゼロ戦と単独で遭遇した場合は直ちに離脱せよ」と、敵前逃亡するよう命令を出すほどでした。どうしてゼロ戦が他国の戦闘機より強かったのかというと非常に単純で、装甲が極端に薄い代わりに航続距離、旋回性能が高いという、防御を捨てて攻撃に特化した機体だったからです。その為にちょっとでも被弾したらすぐに撃墜されるのでパイロットの消耗が激しく、またこうしたゼロ戦の構造を分析した米英軍がゼロ戦が飛行出来ない高々空から急降下して攻撃するという一撃離脱戦法を編み出したことによって、戦争後期になっていくにしたがって徐々に活躍が失われていくこととなりました。

 話は戻って「永遠の0」ですが、表現に関して気になった点を挙げると全編を通して戦友たちの語りが中心となっており、作者は元々放送作家ということからこういうインタビュー形式の文章になったのかなという気がします。一方、ちょっと専門的なことを言わせてもらえば語り以外の叙述ではほとんどが短文で区切られてて複文が少なく、やや表現力が甘いようにも感じるのですが、語りの部分を敢えて際立たせるために確信犯でこういう書き方をしているというのならば逆に大した表現方法だと唸らされます。
 そして肝心の内容に関してですが、太平洋戦争の戦史に詳しくない主人公の視点が常に維持され、読者に対しても順番にかつ丁寧に当時の状況を説明しており物語の運び方は私からも太鼓判を押します。また宮部久蔵の顛末も最後の最後で大どんでん返しが待っており、ラストの方は「おいおいここでこういう展開かよ」と驚かされる結末となっており、一言で言って非常に面白い作品でした。

 あと個人的に強く感じたとして、この作品の初版は2006年の発行ですが特攻隊の記述に関してまさに2000年代の作品であるというように思えます。というのも特攻隊の隊員たちは志願という形式で募集がされたことにはなっているものの、実態的には軍隊内で強制的に指名されて無理矢理実行されたということは1990年代の時点からも指摘されていたものの、2000年代に入ってからそうした強制があったという当時の証言が多く世に出るようになってきました。また特攻隊にされたパイロットたちもこうした作戦に意味があるのか、自分たちの様な熟練パイロットを捨て石にする作戦は破綻しているという証言も発見されるようになり、決してお国のためになどと狂信的な思想で実行していったわけじゃなく、本人たちも疑問と忌避感を持ちながら実行していたということが明らかとなってきました。

 作品中でもこうした点をよく指摘しており、現在イスラム系テロリストらが実行している自爆テロとは一線を画す行為だったのだと強調されています。私個人の主観ではありますが、1990年代は戦時中の日本の教育や思想が歪んでいて自分の命よりも国のためという奉公意識が強かったから特攻は実行されたのだ、当時の人と現代人とでは思想が全然異なるという意見があったように思えるのですが、実際には現代人と当時の軍人に大きな思想の違いはなく、みんな死にたくないと思いながら死を強制されていたというのが真実のように思え、こうした見方が歴史家の間でも徐々に強まっているように見えます。この作品はその点を重要なテーマとしており、現代の思想も一つの価値観であって絶対的に正しいというものとは言い切れないものの、時代が異なろうとも人はそれほど大きくは異ならないというのを訴えたいのだと思います。

 書評は以上の通りなのですが、私が読んだ文庫版の解説には一昨年に亡くなられた児玉清が寄せており、非常に表現しづらいのですがいろんな思いが頭の中を過ぎました。読んでる人には早いのですが死の直前に文芸春秋に寄せたこの人の寄稿文を読んでただけに、どういう思いで国家を見つめていたのだろうかとしばし考えました。


教員の早期退職問題について

 各報道によると日本全国各地の学校でこのところ、教職員が4月を待たずに早期退職するというケースが頻発している層で。一体何故3学期終了を待たずに早期退職するのかというと、公務員給与体系の改正に伴い4月まで残って退職した場合、現在早期退職する場合と比べて退職金が総額で150万円前後減少するということが原因だそうです。この教職員の早期退職について文科相も発言をしたようですが、私の意見を述べると人生なんて人それぞれなのだし早期退職する人を責めるべきではないと思え、またこの件がニュースになること自体に違和感を覚えます。

 まず150万円という金額ですが、これははっきり言ってでかいです。自分なんか今、年収が為替変動の直撃を受ける立場で去年なんかリアルに150万円切ってたけど、100万円余分に使えるか否かはその後の方針策定に当たって大きく影響します。しかも今回早期退職する教職員はその後は基本的に収入がなくなるわけですし、多くもらえるというのであればそちらを取りたいというのも理解できますし、それが普通だと思えます。
 今回の問題に対する意見ではクラス担任を受け持つ教師も早期退職を行うということからか、卒業を待たずに生徒を放り出して無責任だというような批判もありますが、早期退職する教師一人一人にも人生があるわけですし、結構大きな金額を犠牲にしてまで仕事を奉仕しろというのはちょっと酷なように思えます。それだけに、無責任だと批判する声が多く感じる風潮は私個人としては如何なものかと思うのと同時に、他人の人生にそこまで口出しするべきではないという主張をさせていただきます。

 あともう一点このニュースを見ていて思うのは、教師が大量に早期退職することで引継ぎなどに問題があるなどという意見に対して、何故これが論点になるのかがわかりません。既に実施している自治体もありますが早期退職自体は認めた上で2月、3月の2ヶ月間を臨時採用すれば引継ぎにしろ通常業務にしろ何も問題がないように思え、上記の点と合わせてこの問題がニュースとなるほど大騒ぎする問題なのかに対し疑問を感じます。そもそもの話、いくつか同じような意見も見受けますが現場を無駄に混乱させるような日程で給与改正を実行しようとした行政側を攻めるべきではないのかとも思えます。

 最後に教員の臨時採用について触れたのでこの際書いてしまいますが、真に議論すべきはこの早期退職ではなく臨時採用という一時雇用の身分で採用される教師が増えていることのような気がします。簡単に背景を説明すると今どの自治体も赤字で新規雇用を絞った上で、いつでもクビが切れるように正式採用にはせず臨時採用でしか教員を雇用しないと聞きます。この煽りを受けるのはもちろん若年世代で、昇給も強く望めない中で教育にモチベーションを持てというのも無理な話でしょう。もっとも、雇用の保証に関しては日本全体で強すぎると思うのであまりなくてもいいとは思いますが。
 ただ教育の充実化を図る上で、優秀で多くの仕事をこなす教師にはそれなりの待遇を用意しなければ成り立たないでしょう。更にもう一歩踏み込むと、先日の大阪市立桜宮高校の教師、あと大津のいじめ事件の学校の教師のように問題のある教師が何故その時まで現場に居続けたのか、これも日本社会全体に言えますが「淘汰」というものがあまりにもなさすぎるし、淘汰がないからこそ若い世代が割を食って社会全体でおかしくなっているのではないかと感じる次第です。

2013年1月23日水曜日

続、大阪市立桜宮高校の事件について

 このところ本業が忙しく、ようやく今日ひと段落してまたブログ復帰です。どうでもいいけど先週は知り合いに借りた「永遠の0」を一週間弱で読まないといけなかったのが地味に忙しかった。

 前にも一回さらりと書いたし部外者があまり口出すべき内容ではないと思ってこの件にはもう触れないでおこうと考えていましたが、なんかちょっとメディアの報道でこの点誰か突っ込まないのと思うところが多いので、また桜宮高校について差し出がましいとわかっていながらも意見を書こうかと思います。

 前回記事でも書いたように、といっても前は学校名を敢えて書きませんでしたが、この学校のスポーツ科に通うバスケ部の男子生徒が顧問教師からの体罰を苦に自殺しました。この自殺を巡って体罰と教育について非常に多くの議論が交わされるようになりましたが、私としては体罰云々以前に学校からの聞き取り調査にこの顧問教師が明らかな嘘をついていた一点をとっても教育者としてふさわしくないと主張しました。
 私が見る限り産経新聞だけが唯一言いたいことを言ってくれたのですが、どうしてこの顧問教師自身の謝罪文などが未だに出てこないのが不思議でしょうがありません。また発覚当初ならともかく懲戒免職なり明確な処分もまだ出ておらず、それでいてスポーツ課の入試をどうするとか議論になるのは順番が違うような気がします。重ねて言いますが、この顧問教師は謹慎中だそうですが一日も早く懲戒免職した上で教員免許を剥奪してから今後の検討をするべきです。

 それで入試の件に移りますが、既に奉じられているようにスポーツ科は普通科に統合で結局やるようです。順を追って私の意見を解説すると、まずスポーツ科はやはり廃止にし、このまま潰した方がいい気がします。というのも仮にこのバスケ部だけの問題であればこの顧問教師一人がおかしかったで済みますが、この学校はバスケ部以外にもバレー部の顧問が体罰を行っていたことが発覚しており、しかもその問題で謹慎を受け田にもかかわらずバレー部顧問はまた体罰を行っていたと聞きます。それ以外にも結構怪しい話がちらほら聞こえ、顧問教師個人ではなく学校それ自体の体質にやはり問題があるように感じるからです。
 そして今回この記事を書こうと思ったきっかけにもなった、下記のニュースの件も見逃せません。

尾木ママ怒り心頭「誰がこんなことやらせたの!」 桜宮高生徒が記者会見
「ええ加減にせぇ はしもと、殺すぞ」「部落民がいきんな」 桜宮高校生徒がツイッターで暴言(J-Castニュース)

 上のニュースにある、生徒が入試中止に反対を主張した記者会見は私も見ていて強い違和感を覚えました。仮に生徒全員、または生徒を代表する生徒会長の様な人間が行うならともかく、運動部の主将8人だけというのはこの学校の生徒の総意とはとても思えませんし、また記事にも書かれている通りに誰かの入れ知恵でやらされているのではないかという疑念も覚えます。その上で言えば、人が一人死んでいるにもかかわらず具体的な対策案を出さずまた新たに生徒を募集しようとすることに何とも思わないのか、また同じことが起きた場合にどう責任を取るのかとも聞いてみたいです。
 下のニュースについては細かく語る必要もありませんが、これ以外にも問題と思える発言をする生徒がおり、それこそ試合に勝てば人間性はどうでもいいという、教育の前提がひっくり返る勝利至上主義が学校全体にはびこっているのではとも思わせられます。

 また繰り返しになりますがスポーツ教育というのは運動を通して人間性を育てるのが本意であって、人間性を捨ててまでも運動能力を鍛える形であってはならないのです。大学での運動部であれば年齢もそこそこ上がり本人の責任でもあるので多少は勝利至上主義に走っていいとは思いますが、高校の段階ではやはり人間性に重きを置いた部活動でなくてはなりません。聞けば桜宮高校はスポーツ科があるということで受験生を集めているらしく、より実績を高めて受験生を集めようとする風潮、勝利至上主義があったのではないかとも思えます。
 そういったことを踏まえると、今回のこの事件は一人の顧問教師が引き起こしたのではなく桜宮高校という構造が起こした事件とも思え、さすがに教員全員を交代すべしという橋下市長の主張は極端すぎると思いますが、問題の禍根を立つという意味でスポーツ科は廃止し、今後一切募集するべきではないというのが私の意見です。

 最後に蛇足ですが、スポーツ科が廃止されることについて桜宮高校の入学を希望していた中学生が不条理だ、ひどいなどと言っているとよく報じられていますが、子供相手にやや大人げない気がするものの、この程度の不条理で音を上げているようであれば先が知れません。それこそ今の時代、就業で言えば内定切りもあればリストラだってありますし、友人の言葉を借りればこの世の中は不条理が蔓延して不条理によって成り立っていると言っても過言ではありません。はっきり「たかだか」この程度の問題でと言わせてもらいますが、まだ受験校を選べるこの時期でこんなことを言っていてはならず、事情が変わったのだからとパッと切り替えて次善の策をすぐに実行しないのはただ弱いだけだと思います。
 やや極端な話に持って行くという気もしますが、一番最初に上げた「永遠の0」という小説は特攻隊の話です。自分が今のモチベーションを持つようになったきっかけはこの特攻隊の手記と大坂の陣に臨む浪人の願掛けからですが、特攻隊の人はある日突然上官によって指名されて、ほかに選択肢のない中で死なざるを得ませんでした。たとえ現在がどれだけ苦しい環境であるとしても、ほかに選択肢があるというだけでも自分は恵まれていると強く感じます。

2013年1月21日月曜日

自らを欺くなる時

 自分でかくのも少し気が引けますが、自分はやや馬鹿正直と言ってもいい性格をしているかと思います。一昨日も利用したラーメン屋で会計を済ませた際に半熟卵のトッピング代(8元=112円)が含まれていなかったので店員に指摘して差額をわざわざ自分から支払いましたが、なんか店員の方が驚いた顔していました。恐らく友人なら向こうの落ち度なのだから気づいたとしても余分に支払う必要はないと言うでしょうが、私自身もそういう行動を取ったとしても何も咎められることはないと考えています。なんかこういう書き方をすると、さもその友人が悪人みたいに見えますが……。

 なんでこんな性格するようになったのかというと、一つの原因は子供の頃に失敗しでかした際に嘘ついてごまかそうとして、余計に事態を悪化させることが多かったことがあります。実際にこれでかなり痛い目に遭っており、「たとえ立場を危うくさせることになっても、ミスった時は正直に言った方が最終的にはお徳だ」といつも肝に銘じています。
 こうした経験のほかもう一つ理由を上げると、やはり嘘をついた時に自分自身に感じるあの違和感がどうにも慣れないというのがあります。これは直接的な嘘というより表面的な嘘を言う際、たとえば本当は好きでもない食べ物を「花園君もあれおいしいと思うでしょ」と言われて周囲に合わせて「うん、まぁね」などと言う時に腹の中で感じる、「本当は違うんだけどなぁ」っていうあの感覚です。更に話を深く落とすとこういう風に違和感を感じられる間ならばまだいいですが、「違和感を感じなくなる」ところまで行きたくないという拒否感をはっきり持っております。

 諺にも「うそから出たまこと」という言葉がありますが、人間というのは基本的にそれほど思考が自立しているわけではなく、周囲や環境、果てには自分が出す言葉にまで影響され思考が変わっていくと聞きます。先程の例ですと元々おいしいと思っていなかった食べ物を周りに合わせておいしいものだと言い続けているうちに、本当にそれをおいしいと感じるようになっていくという具合です。
 仮にこう言った思考の変化が意識的でかつポジティブなものだったらそれほど問題ではないですし、スポーツのメンタルトレーニングなどでは困難な練習を敢えてイージーなものだと自ら思い込むことに負担を下げたりすることもあるそうです。ただこれが無意識的にかつネガティブなものだとしたら、やはりそれは嘘を言う本人にとっていい結果を生むことはないでしょう。また嘘を多用することによって思想が変わるにとどまらず、思想自体なくなるということもあり得るのではないかとも考えています。

 こう考えるのも、やっぱり嘘ついても平気な人に自立した思考が感じられないからです。自分もこれまでに息を吐くかのように嘘をつく人に何度か出くわしたことがありますが、そういう人たちは利己的な判断で嘘をついていると自分自身では考えているのかもしれませんが、その実本当は自分が今一体どんな内容の言葉を発しているのか、真実を言っているのか嘘をついているのかすらも理解できていないのではないかと思う時がありました。言ってしまえば、その場その場で思考が変わるので本音というものが何も存在しないような人間です。

 嘘をつくというのは結局はこうなることだと思います。利己的な判断から適当にごまかす嘘を重ねるうちに最終的には自分自身の本音すら消し去ってしまう、自らをも欺く結果になるのだと思います。もっともこんなこと書いておきながら自分自身も、正直な方ではあるものの一つも嘘をつかない聖人というわけではありません。ただ曲げてはならない点、譲ってはならない点では、それこそリアルファイトに発展しそうな瀬戸際でも絶対に折れることはなく、見方によれば頑固に見えるでしょうが自分自身の価値観はまだほかの人よりは見えやすいと考えている次第です。

2013年1月18日金曜日

今日の中国紙一面

 書かなくてもいいかなと思うけど知り合いに借りた「永遠のゼロ」を今日中に読まないといけないので、短くまとめる感じで書きます。

鳩山由紀夫元首相「日本兵の犯した犯罪行為についておわび申し上げる」(人民日報日本語版)

 説明するのも馬鹿馬鹿しいですが、鳩山元首相がまたイランことしてくれて、中国に来てわけのわからない行動を取っております。リンク先は人民日報の日本語版ですが今日の中国紙の一面はどれも例外なく鳩山元首相の写真で、あまりにも頭に来るから記事は結局読みませんでした。それくらい読めよと自分でも思いますが、同僚が頭痛起こして出社が遅れたのもあるし……。

 長々書くような話題じゃないし言いたいことだけ書くと、今からでも遅くないから検察は無実の村木さんを捕まえるくらいなら早くこいつを脱税容疑で逮捕しろといいたいです。結局あの事件では秘書を含めて誰も逮捕されてませんが、これはいくら脱税しても逮捕はあり得ないと受け取っていいのかといいたくなります。この際、国策捜査でもなんでもいいから、二度とシャバに出すなと本気で言いたいです。
 あと本人には中国なんか行く暇あったら自分の思い付きで散々振り回した沖縄県の普天間と鹿児島県の徳之島に行けよと言いたいです。それにしてもこのニュースのせいで2012年の中国のGDP成長率が7.8%だったのは全然話題になってないな。話題にしているところはところで見当はずれなこと言っているのばっかりだし。

2013年1月17日木曜日

ばらまきの矛先

 本題と関係ありませんが、先週日曜日はNHKが大王イカの映像を世界で初めて公開して大きな話題となったようです。ただ大王イカの裏に隠れて映画「アバター」のロードショーがあったのですが視聴率をすっかり食われて、配給元の20世紀FOXホームエンターテイメントがツイッターで、

「(´-`).。oO(ダイオウイカ・・・絶対許さない」

 などと発信していたのがおもしろかったです。でもってこんなこと言いながら、「(´-`).。oO(ダイオウイカの好物がイカってどうなんだろう・・・」とも言ってたそうですから、結局見てたようです。
 それにしてもこういう余談、発信したいのはやまやまだけどブログ本題とはずれることが多いし、そろそろ別発信も検討しなきゃ。

 それでは真面目な本題に入りますが、自民党に政権交代していこうというものの日本は円安が進んで株価も上がり、その変化の大きさに非常に驚いております。特に円安に関しては日本の貿易額がマイナス成長したり経常収支が赤字になったりしたのも原因でしょうが、安倍首相のインフレ目標2%発言が最も大きいと私も認めます。正直に言ってインフレ目標は確かに一つの手段ではあってもどれだけ効果があるのかと考えておりましたが、短期間とはいえここまで円安に誘導できたのであれば価値ある発言といえるでしょう。自分の見識もまだまだ甘かったようです。
 ただこうした方面は評価できる一方で、過去最大級の補正予算を組んでまた無駄なばらまきをするのではないかと懸念もしております。

現金給付、1万円超検討=消費増税8%時の低所得者対策―自民(時事通信)

 上記の時事のニュースはまだ真偽を取っておりませんが、仮に報道が事実でまた現金給付をしようというのであればちょっと呆れます。小渕、麻生内閣の時にもはっきり言って何の効果もなかったにもかかわらず、一体何故またこのような行為に出るのか理解に苦しむ、というか公明党を引きつなぐ手とはいえいい加減にしろと言いたいです。
 また現金給付だけでなく、どうもこの前のトンネル事故を契機に道路建設にも手を出しそうな雰囲気です。耐震補修が必要な道路の工事はまだ理解できますが今までの自民党のパターンから言うと津軽と函館の間に橋を作ろうとか言い出しかねず、実際に道路以外への公共投資話が一切見えてこないため無駄な箱物投資は確実に増えていくかと思います。安倍首相自身は無駄なばらまきはやらずに精査した上で必要な方面へ投資すると言っていますが、本当に有言実行できるのかは私個人として信じたい一方、やはり疑わしいです。

 念のため、愚痴になりますが自分の周囲の人間相手ならこういうこともいちいち言う必要ないんだけど、ばらまきというか公共投資自体は否定しません。私は財政規律派ではあるもの何もテコ入れなしじゃ今の状況が続くし、無駄な支出を削減してからという意見もありますが必要な投資は果断に実行するべきだと思っております。そう踏まえた上で言うと、道路やダム建設は果たして今必要なのかというと疑問です。ではどこに公共投資すればいいのかですが、恐らく同じ意見を言う人はほかにいないでしょうが、いま日本が何よりも投資すべきなのは送電網だと思います。

 なんでこんなところに着目したのかというと、実は今日、私の住んでいるサービスアパートメントで電力メーターの付け替え工事がありました。別に私が立ち会うわけじゃなく昨日に告知があって今日に完了の連絡が会っただけですが、どうもアナログ式からデジタル式に切り替えられたそうです。実際の性能を見たわけじゃないですが、多分以前より検測コストとか下がってるんじゃないかと思います。
 あまり日本で報じられていませんが、中国ではこのところこのようなスマートメーター、スマートグリッドと呼べるような送電網設備の交換が政府主導で進められています。機器を交換することによって電力消費量をより細かく調べ、効率よく供給できるようになるのですが、中国は去年はそうでもありませんでしたが経済成長が激しいから電力が不足しがちで、この方面にはかなり気を配っております。

 中国の状況は日本も同じです。日本も原発を止めて電力供給がシビアになってきており、こういう時期だからこそスマートグリッドの推進し電力メーターなり送電線、変圧器などをより効率の高い機器に交換していくべきです。それこそ交換にかかる費用なんかは全部税額負担でも、長期的に見ればプラスじゃないかと考えています。
 そしてなにより今やらなければいけないのは、東日本大震災時にも問題となった東日本と西日本で異なる周波数の統一です。周波数が一ヶ国で異なるのは先進国でも日本だけですし、東日本大震災直後もこの妙な違いが残っているせいで西日本から東日本へ電力の融通が出来なくなるという、かなり笑えないお粗末な事態を招いております。今後も大地震なり火山噴火なりで一部地域で電力が停止することもあり得るのだし、一刻を争うくらいに急いで統一化を果たすべきです。それこそ繰り返しになりますが、どれだけ税金を使ってでも。

 喉元過ぎれば熱さを忘れるとは言いますが、それにしたってスマートグリッドも日本では死語となっている感があります。重ねて言いますが今日本に必要なのは送電網効率化への投資であって、道路ではありません。そして周波数統一は今このチャンスを逃したら問題を先送りするだけで、ガンダムファンにしかわからないけどアムロ・レイばりに、人は……同じ過ちを繰り返してしまいます。全く。

 最後にスマートグリッドを推進する上で進めたい政策ですが、夜間電力の割引を日本はもっと広くやるべきだと思います。というのも上海では電力消費量が少ない夜10時以降であれば電気料金は昼間の半分になるため、私もこの時間に敢えて洗濯機とか回しています。なかなか面白いことをしているなと親父に紹介したらしたり顔して、「日本でももうやっとるやろ」と言ってましたが、自分が調べてみると日本で夜間電力割引を受けるには電力会社との契約が必要で、しかもその契約、一度結んだら今度は昼間の電気料金が契約前より上がるというわけのわからない仕組みです。
 基本的に電力というのはピークが低ければ低いほどいいので、もっと夜間電力を振興するべきです。電力会社もわけのわからない料金設定なんかせず、どんどん押していけばいいのに全く。あと発送電分離も、自民はなかったことにするんじゃないかと警戒中です。今日は割と筆のノリがいいなぁ( ´ー`)

2013年1月15日火曜日

ジャンプを久々に読んで

 先日知り合いが、正月に日本から持って返ってきたからといってジャンプをくれました。私はジャンプを小学校高学年の頃から大学3回生の頃まで毎週購読していたのですが、北京留学から帰ってきてからは単独の作品をコミックスで読むことはあっても雑誌で読むことはほとんどありませんでした。
 それだけにえらく久しぶりに今回読んでみたのですが、まず真っ先に読もうと思った漫画は松井優征氏による「暗殺教室」でした。この人の以前の漫画の「魔人探偵脳噛ネウロ」を気に入ってて、なんか新連載を始めたということだったので気になっていたのですが、期待に違わず面白い作品だと思いました。ネウロの方もまた読みたいと思っているだけに、機会があったらコミックスを前漢買い集めてみたいと考えております。

 その次に読んだのはこちらは購読していた頃から連載していた「銀魂」です。はっきり言って昔と全く変わらない絵柄と展開でそれなりに楽しめたのですが、この漫画の最大の欠点である「一コマにおける膨大なセリフ量」がやや気になりました。ある意味この漫画の長所でもあるのですが雑誌ならともかくコミックスになると文字が小さくて非常に読みづらくなるきらいがあるにもかかわらず、どうも前よりひどくなっているような印象を受けます。この点を解消できたらもっとよくなると思うのですが。

 そのほかの連載作品はもはや全く知らない作者ばかりだったのですが、唯一面白いと思ったのは「烈!!!伊達先パイ」という漫画です。非常にベタなギャグ漫画ながらキャラクターの表情が豊かでなおかつ一話完結もののショートストーリーなので読みやすかったです。ぜひ応援したいと言いたいところなのですが掲載順が最後の方でネットでも、「打ち切り候補ナンバー1」とまで書かれており、どうも危うい立場のようです。

 あとこれは全体の感想ですが、どうも連載漫画がマガジンの作品っぽい漫画が多いような気がします。マガジンっぽいとは如何にと自分でも問いたくなるのですが、絵柄や構図、ストーリーなどが往年のマガジンを連想させる、具体的には細い線にスクリーントーンを多用しベタが少ない絵の漫画が多いように思え、さっきの「伊達先輩」のように太い線に濃い絵柄のジャンプらしい漫画が減っている気がします。考えてみればもう「ジョジョ」も連載してないんだし。
 逆にというか、今マガジンで一番勢いのある「進撃の巨人」という漫画は系統的には明らかにジャンプ系列に属すんじゃないかと前から考えてます。お互いに前ほど雑誌のカラーにこだわらなくなっているからこんな風になっているのかなというのが、今日の私の意見です。意見も何もという気もするが。

2013年1月13日日曜日

平成史考察~ノストラダムスの予言(1999年)

 昨日もブログ休んでおきながら今日もあまりテンション上がらない、というか午後2~5時の間に昼寝したせいで肩とか痛いので、ささっとかけるノストラダムスを仕上げて今晩またゆっくり寝ようかと思います。それにしても我ながら眠り過ぎ。

 中国では昨年、12/22あたりがマヤの暦が終わるやらなんやらで世界で終末の日になるというデマが流れましたが、この手の話で日本で最も大きかったのは1999年7月に世界が滅亡するというノストラダムスの予言でしょう。もっともこの噂が最も流れたのは日本の高度経済成長期絶頂期の1970年代ごろだと言うので、先ほどのマヤの暦といい終末論というのは景気のいい時代に流れるものなのかもしれません。

 では1999年7月の日本の状況はどうだったのか。はっきり言ってノストラダムスの名前自体もそれ以前と比べてあまり大きく取り扱われることなく、「予言?そんなのあったね」というような雰囲気だったと思います。唯一盛り上がっていたのは伊集院光氏をして「マガジン史上最高のギャグ漫画」と言わしめた、オカルト内容を毎回強引な解釈で「つまり、人類は滅亡する」という結論に持ってきていた「MMR マガジンミステリー調査班」が最後の追い上げというか悪あがきを見せただけでした。今でも覚えているのは当時の朝日新聞に、実際に1999年の7月を目前に控えたけれどもサブカルチャー業界では盛り上がっておらず、ゲームでもドリームキャストで「JULY」というゲームが出ただけだと書かれていました。その「JULY」というゲームはやったことないのですが今回の記事を書くに当たってAmazonのレビューを見てみると、こんなのが書かれてありました。

“「1999年7の月、空から恐怖の大王が降りてくるのじゃ~」というノストラダムスの大予言は今ではすっかり風化してしまいましたが、その予言への恐怖がこんなゲームを生んだのかもしれません。内容は濃いキャラクターが繰り広げるサスペンス・ホラー・アドベンチャー。
 システムに斬新な点は見られないし、選択肢総当り作戦でクリアできるので、結論としてチープなソフトなのですが、個人的に、物語後半に登場するクリーチャーが「こんな姿で生き続けるのには疲れた。もう十分生きたから殺してくれ…」という台詞に、モテない街道まっしぐらの自分自身がオーバーラップして思わず涙してしまいました。
 ドリキャスで何かやり残したゲームはないかと探している濃いキャラクターが平気な御仁は是非。”

 まぁ読んでみて、やってみようとは思えないレビューです。

 話はノストラダムスに戻りますが、先程のマヤの暦の所でも書いたようにこういう噂は景気のいい頃に流れやすい傾向があり、逆を言えば1999年にあまり盛り上がらなかったのは日本の景気が非常に悪く、気分的にも悪かったことが一つの原因ではないかとみています。当時は中高年の早期退職ことリストラという言葉が流行ってうちの親父も会社側の募集に応じようとしてましたし、若年層にとっては就職氷河期の真っただ中で、世の中を明るくさせるようなニュースが確かに少なかった気がします。
 じゃあ今はどうなのかって話ですが、上海で生活しているせいかもしれませんが今の方が1999年よりまだ日本のニュースは明るい気がします。さすがに一昨年の東日本大震災の時は自分も少しブルーを感じましたが、景気が悪いからって気分まで悪くなる必要性は本来ないはずです。お金がなくても気分だけは明るい状態を維持する、そういう姿勢こそが今の日本にとって大事なんじゃないかと思います。それにしても、ノストラダムス関係ないな最後のオチ。

2013年1月11日金曜日

中国地下鉄の恐怖

 昨日は「南方週末」という中国の新聞と現在怒っているその騒動について記事を書きましたが、仕事柄、毎日読む中国語の新聞の数は多いです。今度あたり各新聞のレビューをしてもいいのですが、数ある中で最も評価しているのは「毎日経済新聞」という新聞で、独自取材記事が多いこともさることながら解説がしっかりしているので、同じ話題を取り扱っていてもほかの新聞の記事は読まずにこちらを読むことが多いです。
 ただこの毎日経済新聞は会社が契約している新聞屋では取り扱っていないのでいつもネットで読むのですが、今日サイト上で見たら「荊楚網」というニュースサイトからの転電ではあるものの、えらく目を引き付けられる記事というか写真が載ってました。


 一目見て、「なにこれ怖ぇΣ(゚Д゚;)」と会社で声出しそうになりました。最初は心霊写真か何かかと思ったのですが、その後の解説を見るとどうやら地下鉄壁面に貼られている広告写真がちょうど車両ドアの窓にうまい具合に入り込んだだけの写真だったようで、別角度での写真も貼られておりました。


 右の写真の女性がこの広告のモデルらしく普通の立ち姿ならまだ綺麗な人だと思えるのですが、この地下鉄の広告は明らかに貼り方というか写真の撮り方を間違ってるでしょう。まだ自分はこの広告が貼られている地下鉄に乗り込んだことないですが、駅に停車するたびに一番最初の写真のように覗きこまれたら心臓に悪いです。


 写真ネタということでついでに、中国のオンラインショッピングサイト最大手のアリババグループを率いる馬雲(ジャック・マー)についても前から言いたかったことを書きます。この人は元英語教師という異色の経歴ながら成長著しい中国IT業界の中でも大御所的な人物で、日本で言えばソフトバンクの孫正義に当たるほどの大物です。そんな大物に対して一体何が言いたいのかというと、「この人、顔のパーツが真ん中に寄り過ぎじゃね?( ゚Д゚)」という素朴な疑問です。検証のため、正面向いた写真も貼っときます。


 明らかに寄ってるとしか言いようがありません。見方によっては宇宙人っぽくも見える。
 そのためほかの人は誰ひとり言ってませんが私だけ、「中国版顔面センター」、「中国の前田敦子」などと呼んでおり社内の業務時間中も、「顔面センターがまたなにか発表したようですよ」などとニュースが出る度に呼んでますがあまり浸透しておりません(´・ω・`)ガッカリ…

2013年1月10日木曜日

南方週末の騒動について

 期待されていると思うので、この件でも記事を一本投下しておきます。
 日本でも報じられていると思いますが、広州市に本社のある「南方週末」という新聞がどうも民主化への改革を進めるべきだという意見を新年号の社説に載せようとしたところ、例のごとく当局からストップがかかり、記事が差し替えられたそうです。この当局の行動に対して南方週末側は検閲の事実を公表した上で、検閲を行った担当者は辞任するよう公に発表するという手段に出てきました。

 この南方週末ですが、実は自分も読んでいる新聞の一つで、ほかにはない記事が多く正直に言ってそれなりにおもしろい中身をしてます。広州市に拠点がある有名な新聞としてはほかにも「南方都市報」というのもありますが、この新聞も以前に中央政府を暗に批判する記事、というか写真を乗っけたことがあるのですが、南方、具体的には広東省当たりの中国人は距離感もあって中央政府(北京)に対する反発心が強いと聞きます。それだけに今回の問題で南方週末が一歩も引かない姿勢を見て、さもありなんとか見ています。

 この問題では北京の「新京報」というこちらもまた私がひいきにしている新聞でも事態鎮圧のために当局が用意した社説掲載を巡って社長が退任したとか報じられていますが、少なくとも私が見る限りではここ中国内ではおおっぴらに報じられてません。当たり前といえば当たり前ですが、この中国語の記事に書かれているように社説掲載を巡って問題が起きているということは報じられてます。
 今回の事件を見るにつけ思うのは、中国が自由な報道を許さないというのは昔からのことで特段驚くほどのことではないのですが、それにしてもここまで検閲し切れなくなってきたのかと、こうやって情報がいくらか漏れているという事実を少し感慨深く思います。このようになったのは何をおいてもインターネットの普及に尽き、今後も中国でネット社会は発達していくことを考えれば検閲の範囲にも限界というものが出てくるようになるでしょう。

 なお報道の自由についてですが、私は完全な自由化は中国ではやるべきではないと思います。私の周りにこういう人が多いせいかもしれませんが中国はやはり日本と比べても圧倒的に人口が多い国で、なおかつこういってはなんですが教養のない人も少なくありません。そのため簡単にデマが拡散される可能性もあり、今ほどの当局の締め付けは正直言って私もうっとうしく感じますが、報道の自由化は徐々に進めていくべきだと思います。
 最後にこの報道の自由、それも日本についていえば、記者クラブに入っている日本のメディアがこれを主張するのはおこがましい以外の何物でもありません。

2013年1月9日水曜日

大阪市高校の体罰事件について

高2自殺、主将就任以降に体罰集中か…母に話す(読売新聞)

 最近こういう時事社会ものを取り扱っていかなかったので、少し興味があるとの言いたいことがあるので取り上げることにします。日本でも散々報道されていると思うので事件の説明は省きますが、ネットニュースを見ている限りですと体罰を行った教師に対して真面目な先生だとして擁護する声も出ているようです。人にはいろんな見方があるのでそうした擁護をする人も別に何かが悪いというつもりは毛頭ありませんが、私個人の考え方としては結果責任であり、やはりこの教師は問題のある人物のように思えます。

 この事件の論点はいくつかありますが、まず体罰を認めるべきかどうかという議論にはあまり与したくありません。というのもこの手の議論は高校体験によって印象が大きく変わることが多く、私などは教科書忘れたら「すいません」と自ら頭を差し出してひっぱたかれる程度の体験しかありませんが、運動部の強い学校に行った知り合いなどは、「赤点取ったテストの数だけ騎乗用鞭で叩かれた」と言ってて、そもそもなんで教師が騎乗用鞭を持っているのかというところから突っ込みたくなるような学校もあるそうです。もっともその知り合い自身は、通っている生徒はみんな体育会系で変に口頭で長々説教されるくらいなら叩かれた方がマシだとみんな思ってたと証言しており、また同じ学校でも運動の苦手な生徒に関しては別メニューのお仕置き(一定時間正座)が用意されていたというので、体罰をどの程度許容するかは人それぞれ、学校それぞれだと思います。あくまで常識の範囲内にとどめるのであればですが。

 以上のような言い方からしたら今回体罰を行った教師は問題ないのでは、という意見を言うように見えるかもしれませんが、先ほど書いたようにこの事件は体罰を認めるか認めないかの議論じゃないと思います。あくまで報道ベースで真実かどうかはわかりかねますが、生徒が自殺した直後にこの教師にこれまでに体罰を本当に行ったかどうか学校が尋ねたところ、「一度や二度は」と答えていたそうです。実態的には同じバスケ部のアンケートでたくさんの生徒が体罰を受けた、もしくは目撃したと言っていることから、その回数は決して「一度や二度」にとどまらないでしょう。何故回数を過少に申告したのか、私の想像ですがやはりこの教師自体も体罰が問題ある行為だということを自認していたのではないでyそうか。指導のためにどうしても必要と言い切るのであればまだしも、自殺を引き起こした後でそんなにしょっちゅうしてなかった振りするような人間が何を指導するのかという気分です。

 昔にも一回記事にしていますが、基本的に私は体育会系のノリが嫌いです。選手殴って強くなることはまずないでしょうし、妙な上下関係とか尋常じゃないトレーニング量とか、果たしてそれで本当に強い選手が生まれるのか、むしろ才能の芽をつぶしているんじゃないのかという疑問を以前から持っています。更にいえば、大学の運動部なら話は変わってきますが高校の部活はあくまでも教育の延長で、試合に勝つことではなくスポーツを通して立派な人格を育て上げることにあるはずです。その点を今の世の中、といっても昔からですが、どっか置いてきたことが今のギスギスした日本社会を作ってるんじゃないかなぁとかたまに思います。

2013年1月7日月曜日

みぞれ交じりの雨の寒い日

 上海は本日、みぞれ交じりの雨が降って非常に寒かったです。これまでにも何度か雪も降りましたが、変に湿気が高い分、体感的には今冬で一番寒かったです。私の感覚ではありますが、日本の東京あたりの天気は上海の天気がちょうど二日くらい遅れてやってくるので、恐らく明後日の東京はシャレにならないくらいに冷え込むのではないかと思います。

 ちなみに知っている人には有名ですが、私は冬になっても一切コートを着ることがありません。極端に寒さに強い体をしていて、さすがに何度か雪の日には着たことがありますが日本にいた頃の出勤時は常にスーツだけしか着なかったために、職場の同僚からはよく不思議がられてました。しかもそのスーツも春用で、冬用は未だに一着も持っておりません。
 現在は仕事の関係上、割と自由な服装が許されているので上半身はYシャツ、パーカー、Gジャンで通っております。何故最後にGジャンが来るのかはよくわかりませんが。あとダウンジャケットに関しては子供の頃はよく着てましたが20歳過ぎてからは決して冗談ではなく一度も着ていないような。友人からは見ているだけで寒いからもう少し厚着してくれとは言われるのですが。

 最後にホント全然関係ないですが、ネタにして悪いと思うもののこのYahoo知恵袋の質問がえらくツボにはまってしまいました。内容は結婚を考えている相手がいるが、その人は卒業から数年経つのに未だに奨学金をほとんど返済しておらず、なおかつ結婚後は専業主婦を希望していてどうもその奨学金の返済を肩代わりされそう。金銭感覚が違ってうまくいけるかどうかという至極真面目なものなのですが、自分の金銭感覚の説明として、「私は大学卒業後から現在の会社にずっと勤めており、年収は500万円ほどで1人暮らしの生活水準を気に入っていて、数百円程度の貯金もできています。」と、書いていたのが目に止まっちゃいました。
 さすがに「数百円→数百万円」の間違いでしょうが、もったいぶった言い方しながら全然貯金できてないじゃんと思わず突っ込んでしまいたくなるほど致命的な誤字といわざるを得ません。こんだけ誤字脱字の多いブログを運営していながら言うのもなんですが。

2013年1月6日日曜日

二世タレントについて

 先日に日本のテレビ番組でダウンタウンの浜田氏が長男と共にラジオに出演したそうです。なんか浜田氏の奥さんの方がブログで「決して親の七光りで出演できたわけじゃありませんから」といっていたそうですが、そんな風に考えてるならわざわざ口にしなくてもいいような。
 今回の浜田氏親子に限らず、芸能界では親も芸能人という二世タレントは昔から多くおります。この二世タレントについて一部ではさっきのように七光りだと揶揄する声もありますが、私個人としては芸能界であれば親が有名人であると名乗ってもいいと思いますし、全く問題ないと思います。というのも芸能界は政界と違ってやはり実力主義が徹底されている世界で、どれだけ親の影響力を持っていても数字が取れない芸能人であれば自然に淘汰されるだけです。確かに親の影響力があれば縁もゆかりもない人と比べてデビューこそ華々しく飾れますが、実力が足りなければ一年もしないうちに画面から消えていくでしょう。

 そういう風に思う一つのケースとして、小泉孝太郎氏が私の中で真っ先に上がってきます。小泉孝太郎氏の父親は名字からもわかる通りに元首相の小泉純一郎氏で、デビュー時からその事実を公表しており在任中でもあったことから大きな話題となりました。あくまで私の印象ですが、父親が現役首相である事実を公表していた小泉孝太郎氏に対して周囲からは批判する声が多かったように覚えます。私が覚えているのだと北野武氏も批判した一人で、売れた後で実は父親が総理だと言えばいいのにまだ売れるかどうかわからないデビュー段階で明かすのはおかしいと言っていました。もっとも、そういう北野氏も娘の北野井子氏が歌手デビューした際には自らプロモーションビデオに出演、監修するなど力が入っており、基本的にこの人は好きですがこの一点に関しては言ってることとやってることが違うよねと前から思ってます。

 話は小泉孝太郎氏に戻りますが、確かにデビュー時は首相の息子という話題性が独り歩きしていた雰囲気はありましたが、テレビで見る限りだと非常にさわやかそうな外見な上に穏やかな性格していて、デビューこそ父親の影響力を借りたけどきっとこの人は芸能界でやっていけるなと当時に感じました。そんな予想が当たったというべきか、小泉孝太郎氏はその後も着実にキャリアを重ねて既に父親の純一郎氏が政界から引退しているにもかかわらずコンスタントにテレビドラマなどに出演を重ねております。なんかさっき調べてみたら、今日からやってる「八重の桜」にも徳川慶喜役でキャスティングされているし。

 またもう一人、こちらも元首相の血縁者であるDAIGO氏に関しても常々同じようなことを思います。DAIGO氏は小泉孝太郎氏とは違って歌手デビューした際に自分が竹下登の孫だということをひた隠しにしていたそうですが、その期間、確か10年くらい全く日の目を浴びなかったそうです。年齢も二十代後半にさしかかった頃、本人曰く「このままだとさすがにまずい」と思うようになってカミングアウトをするに至ったそうですが、多分「踊るさんま御殿」からだと思いますがこの番組の出演を契機に急に売れ出すようになって、本人も後年に同じ「踊るさんま御殿」に出演した際、「カミングアウトするまでのあの長い期間はなんだったんだろう」とやや複雑な心境を語っておりました。

 仮にDAIGO氏が竹下登の孫でしかなかったら現在に至るまでテレビ番組のレギュラー出演をし続けることは叶わなかったでしょう。以前に読んだあるコラムでは、DAIGO氏がテレビ出演時に話す若者言葉は取りようにとっては相手に対してかなり失礼な言い方であるが彼が言うと全く悪意があるように聞こえず、彼自身の穏やかな性格はもとより育ちの良さがこれを可能にしていると批評しておりましたが、非常に的確な分析だと思います。先の小泉孝太郎氏にも重なりますが、DAIGO氏に関してはこうした育ちの良さから来る雰囲気が視聴者に求められているのだと思うし、だからこそ芸能界で今も活躍し続けられるのだと思います。それだけに初めから無理せずカミングアウトしとけばよかったのにとも思うのですが。

 逆に実力がない故に明らかに淘汰されていると思うのは、名指しして悪いとは思いますが明石家さんま氏と大竹しのぶ氏の娘のIMALU氏です。両親が大物ということもあってデビュー時は大きな話題になっていろんな番組にゲスト出演しましたが、その後は徐々に低迷し、現在に至っては母親の大竹しのぶ氏関連の番組にしか出ておらず明らかに親の影響力だけで命脈保っているような状態です。私も日本にいた頃に何度か出演した番組を見ましたが、声が小さい上にトークの内容も面白くなく、同じ二世タレントでも関根麻理氏とは雲泥の差だなと感じました。父親の明石家さんま氏は娘の芸能活動をあまり快く思っていないとかねがね言っておりますが、その眼はやはり正しかったと思います。

  おまけ
 今日取り上げたDAIGO氏は実は密かに尊敬している人の一人です。なお彼の姉の影木栄貴氏も現役の漫画家ということで有名人ではありますが、以前に彼女の自叙伝的な漫画を読むことがありました。その漫画によるとこの家は三兄弟で影木栄貴氏が一番上で、DAIGO氏は三人目、真ん中に一般人の弟がいるそうです。影木栄貴氏は真ん中の弟とは子供の頃にしょっちゅうケンカするなど関わりはあったものの、DAIGO氏とは7つ違いと年も離れていたことから子供の頃はあまり接触がなかったそうです。また上二人がしょっちゅうケンカする姿を遠くで眺めていたことから、DAIGO氏は今のような穏やかな性格になったのだろうと姉の目線で書かれてありました。
 ただそんなDAIGO氏と一対一で子供の頃に接触したエピソードも一つ載せられており、なんでもゲームのドラクエでDAIGO氏がうっかり影木栄貴氏のデータを消してしまったことがあったらしく、影木栄貴氏がその件で問い詰めるとDAIGO氏は知らないふりをしようとして、「余計に腹が立った」と書いておりました。政治家の家でも案外、同じような問題で兄弟げんかが起こるのだと思わせられたエピソードです。

2013年1月4日金曜日

松岡洋右について

 たまには歴史の話でもと思って何か人物を取り上げようとしばらく考え、当初は甲斐宗雲でもやろうかと思いましたが最後に考え直して題にも掲げた松岡洋右を取り上げることにしました。結論から言うと私はこの人が大嫌いで、後述する議論において私が片方の立場を取る主要な原因となっている人物です。

松岡洋右(Wikipedia)

 日本史をやったことのある人間ならまず知っているでしょうが、この人は戦前に活躍した外交官で近衛内閣では外務大臣にも就任しております。この人がやった、というかやらかしたことは以下の通りです。

・国際連盟の脱退
・日ソ中立条約の締結
・日独伊三国軍事同盟の締結
・日米交渉の失敗

 このうち最初の「国際連盟の脱退」は当時の外務省の方針であったために松岡に責任があるわけではないですが、後ろ三つに関しては本人が強力に推し進めていただけでなく、それ以前からも独断で物事を決める人間であっただけに間違いなく彼の責任のなせる業と言い切れます。これら松岡の決断がその後どのように日本を追い込んで行ったのかそれこそ何万字もかけてでもじっくり紹介してやりたいところですが、その前に彼の構想とやらを簡単に紹介します。
 まず松岡の来歴を簡単に説明しますが、彼は若い時期にアメリカに留学して優秀な成績で帰国し、外務省に入省しています。ただ外務省は41歳の頃にに辞めて、その後は伝手のあった満州鉄道に入社して後に首相となる岸信介、日産(というかむしろ日立)創業者の鮎川義介と並んで「満州の三スケ」と呼ばれるほどの実力者となりました。そのまま満州に引きこもっててシベリアにでも連れていかれればよかったものを途中で政治家に転身し、元外交官という立場から外交にあれこれ口出しする議員となりました。

 その後紆余曲折あって一旦議員を辞めて満鉄総裁職を経た後、近衛文麿に請われて外務大臣に就任します。外務大臣に就任するや幹部官僚のクビを一斉に切って独裁大勢を確立するのですが、その後に彼が構想していた四国同盟の結成へと動き出します。この四国同盟というのは日本、ドイツ、イタリアのいわゆるアクシズ三カ国にソ連を加えたもので、この構想の背景には当時も世界最強国であったアメリカ、そしてイギリスに対抗するという狙いがあったのだと思います。先に書いてしまいますが、留学中に嫌な目にでもあったのかどうも松岡の思想や行動というものは「アメリカ憎し」というか反米を基軸にして動いているように思え、それがためにしなくてもいい余計なことをことごとくやってのけてくれたのだと私は考えています。

 話は戻って外務大臣に就任した松岡はまずドイツに向かい、ヒトラーに会います。ドイツに行く前まではあまりドイツにいい感情を持っていなかったようですが、反米以外にバックボーンを持っていないので歓迎されるやコロッと考え方を変え、四国同盟の手始めとばかりに日独伊三国軍事同盟を結びます。
 この交渉の前後で松岡はどうも、ドイツとソ連がお互いの利益が一致したためあくまで一時的として結んだ仮初めの独ソ不可侵条約を、ドイツとソ連は相思相愛の関係だと本気で信じていたようです。そのため実際には既にドイツがソ連との開戦を計画していたにもかかわらず三国軍事同盟を結ぶことによってソ連を味方に引き込めると誤解し、交渉中にソ連との同盟締結の価値をドイツ側にも強く主張していたようです。

 それに対してドイツ側は暗に開戦する可能性があることを示唆して日本はソ連とは同盟を結ばず、ソ連を背後から牽制してくれるようにと注意していたのですが松岡はそのシグナルを全く受け取れず、三国軍事同盟締結後に直接モスクワへ行ってスターリンと交渉し、ドイツの好意を無碍にするかのように日ソ中立条約を結んで帰ってきます。スターリンとしてはこれによって後顧の憂いなくドイツと戦えるので狂喜乱舞し、松岡の帰国時に異例ともいえる見送りを敢行しているくらいです。
 ウィキペディアの記事ではこの時松岡は首相の座を狙っていたと書かれていますが、功を焦っているようにも見えるので非常に頷ける話です。もっとも日ソ中立条約が結ばれた直後に独ソ戦が開戦して面目丸つぶれとなり、時の平沼内閣も「欧州事情は複雑怪奇」という言葉を残して引きずられるように総辞職しています。ただ当時の世界情勢から言って、少なくとも外交の世界では独ソ開戦は確実視されていたようにも思え、ドイツとソ連は仲がいいままだと誤解した松岡、ひいては日本の外務省はいくらなんでもひどすぎると言わざるを得ません。松岡に至っては日ソ中立条約締結前に、チャーチルから独ソ開戦は近いとはっきりとした忠告を受けておりその手紙まで残ってますし。それにしてもイギリス人は抜け目ない。

 松岡の酷いところは明らかに時勢が読めてない点だけでなく、外交の基本姿勢を反米以外に持っていないという点も挙げられます。ソ連との同盟が散々必要だと言いながら独ソ戦が開戦されるや、日ソ中立条約を破棄してソ連に攻め込めと言い出したそうです。この時点で精神病院にでも放り込んでおけばよかったものを、外遊中に外務省が中心となって割と穏便に進めていた日米交渉にも途中から条件面でおかしいとか言って口出ししてややこしい事態に発展させております。これには昭和天皇、ひいては近衛文麿も怒ったようで、現在のように閣僚の交代が認められていない旧憲法下で異例とも言っていい、松岡を外務省から外すためだけに総辞職してすぐに組閣という方法を実践しております。

 こうして野に下った松岡ですが、米国との戦争は避けなければならないと主張し続け、日米開戦時には天皇に申し訳ないと言いながら号泣したと言われております。ただ彼のこれまでの行動を見る限りだとどう見ても反米しか思想がないように思え、私は彼の対米戦回避主張というのは一種のパフォーマンスに過ぎないのではないかと疑っております。実際に開戦直後に徳富蘇峰に送った手紙では、真珠湾の戦果に興奮したと書かれていたそうですし。最終的には終戦まで生き残ってA級戦犯に指名されましたが、公判中に罹患していた結核が悪化して病死しています。

 ざっと来歴をまとめましたが結果論ではあるものの重要な場面でことごとく誤った判断をかましており、決して誇張ではなくこの人一人がいなければ日本はもっとマシな結果になっていたのではないかとすら思え、亡国の臣と呼ぶにふさわしい人物だと心から思えます。同じ亡国の臣でも東条英機と比べて活動期間が長く、また外交という役職からその影響度も半端なく上でしょう。
 その上で言わせてもらいたいのですが、何故こんな男が靖国神社に合祀されたのか、当時の政策決定者は明らかに間違った判断をしたと言わざるを得ません。起こす必要のなかった戦争に巻き込んだ外交官、個人的感情から兵隊を無駄死にさせた指揮官、こんな人間たちが死ねといわれた当事者である兵隊と一緒に祀られるということに一種の不気味さを感じます。

 靖国神社側はA級戦犯の分祀は出来ないと言っています。あまり知識はなく間違ってるかもしれませんが仏教には魂抜きといって、宿った魂を別の位牌とかに移す行為はOKだと聞きます。元々靖国は神社でもなかったのだし、この際だからA級戦犯以外の兵隊の魂を魂抜きして、仏教施設で供養した方がいいじゃないかと、松岡洋右の件を考えるにつけ本気で思います。

 軽い歴史物を書くつもりだったのに、三千文字オーバーの長文になってしまったなぁ(;´Д`)

2013年1月3日木曜日

日系ブランドの驕り

 見る人によっては不快感を覚えるかもしれませんが、何人かの友人に話したところ比較的反応が良く、また愚者も百に一つはいいことを言うと言うので思い切って書くことにします。もっとも、そもそも周囲の意見を気にする自分ではありませんが。

 私はこれまで上海、香港に赴任しておりますが、どちらでもシーズンである10~12月の間はしょっちゅう国際展示会に行かされては出展している日系企業相手に取材活動を行ってきました。行った展示会の業種は自動車や電機はもちろんのこと繊維や食品などかなり幅広い分野に渡るのですが、どの展示会に行っても何を強みに海外市場で売り出すのかという質問するとほぼ必ず、「日本製ならではの高品質性……」という言葉が返ってきます。そのためこの手の展示会の取材記事の見出しは「高品質性をアピール」としか書けず何度も続くもんだからいろいろと突き上げを食らう羽目となっております。
 そういった個人事情は置いといて、敢えてここで疑問を提言するなら「高品質性以外になにか強みはないのか」ということを強く言いたいです。それこそ価格と性能のコストパフォーマンスに優れているとか、デザイン性の面で他国の企業を上回っているとか、他のメーカーにはない独自機能があるとか、マーケティングで競争力があるとか挙げられる項目であればいくらでもあるのに、日系企業関係者は誰一人としてこのようなことを口にしません。皆一様に性能や品質は高いが価格も高くてなかなか買い手と交渉で折り合わないと言うのですが、厳しい言葉を投げかけるのであれば高品質性で競争力があるのであれば買い手はつくのでは、何も強みがないことを「日本製ならではの高品質」と言いつくろっているだけなのでは。さらに言えば、そもそも本当にその商品は他国製と比べて品質面で勝っているのかとすら思え、「日本製」という過去に作られたブランドイメージにしがみついているだけではというように感じる時が何度かありました。

 話は飛びますが、私がこのように考えるようになったきっかけというのはちょっと意外な所というか、北京で去年末に行われたキヤノンの納会みたいなところの話からでした。私はこの話を人伝に話を聞いたのですが、なんでもキヤノンは去年に中国で起きた反日デモを引き合いに出して、「キヤノンはこれからは無国籍ブランドにならなければならない」と重役か何かが言ったそうです。
 無国籍ブランドというのは、敢えて言うならマクドナルドやマイクロソフトのように、その企業の商品なりサービスを受ける際にいちいち「アメリカの会社」というイメージを抱かない、世界中どこにあっても自然で意識することがないと思えるブランドを指すようです。キヤノンとしては日本に籍を置く企業ではあるものの「日系企業のキヤノン」ではなく「キヤノンはキヤノン」というように国籍ではなく企業単体で成立するブランドイメージを今後作る必要があると言ったそうです。

 話すことはいちいちもっともだし、キヤノンが言うのなら説得力があると私も感じます。というのも反日デモ以降、日系メーカーの商品は自動車や家電を中心に中国で大きく売上げが落ちましたが、キヤノンとニコンのデジカメだけはそれ以前と全く変わらずに売れ続けたそうです。その理由は単純で、高性能なデジカメを選ぶとなるとこの二社以外に選択肢がないというものからでした。ちょっとさっきから持ち上げ過ぎな気もするので一つ突っ込んでおくと、どちらも過去、かなり問題な規模で偽装請負をやっていた会社ではありますが。光学機器メーカー同士で性格似てるのかな。
 何が言いたいのかというと、やはり性能や品質が本当に優れているのなら消費者は多少値段が高くても、尖閣諸島の問題で腹立ってもその商品を選ぶのだと思います。逆に性能面で劣っていないにしろ、他のメーカー製とほぼ競合しているのであれば何かの「きっかけ」によって売り上げが大きく落ち込むこともあるのでしょう。

 具体的な業種について話していくと、自動車に関してはトヨタのハイブリッドエンジン、日産のルノーとの提携による国際販売体制などを中心に日系メーカーには確かに他国のメーカーにはない大きな強みがあると思います。ただ残念なことに中国ではこれらの強みがあまり効果を発揮しない(そもそもトヨタ自体が中国でのハイブリッド車販売に乗り気じゃなさそう)場所であり、また暴徒によって車が破壊される映像がテレビで大きく流されたことで去年の一件では大きく販売が落ち込むことになりました。
 ただ家電に関しては文句なしに、もはや大きな競争力はないと思います。確かにまだ性能や品質面で日系家電メーカーは海外メーカーを上回っているのかもしれませんが、たとえば中国メーカーと比べた場合、この品質面での差はこの十年で確実にかつ大きく埋まってきております。ではその埋まった品質面での差の代わりに何か新しい強みを身に着けたかというのであればさに非ず、発表とか見ているとやっぱり「高品質性をアピール」としか言ってないように見えます。

 結局のところ、「高品質な日本製品」というブランドイメージに日系メーカーは依存し過ぎなのではないかと思います。昔は確かにそうだったかもしれませんが、少なくとも現代においてはそれだけではもう商品が売れる時代ではないでしょう。それこそキヤノンの言う通りに、「日本製」ということを隠しても消費者はその商品を選ぶか否か、そんな商品を作れるのか作れないのかではないでしょうか。はっきり言って、今の日本企業は日系ブランドであることに明らかな驕りがあるように見えるだけに、使えるものは何でも使うべきではあるものの、真に競争力を養うためにはもうそうしたことは口にしない方がいいのかもしれません。
 どこぞの誰かともわからない会社だがいい商品を作る、ここの商品しか希望に合わない。ブランドに頼らずそんな商品を作ろうとする気概、さらに言えば消費者に求められていない高品質性以外の強みを追及する姿勢こそが今必要なのだと思う次第であります。

2013年1月1日火曜日

ベアテ・シロタ氏の死去について

 本題とは関係ありませんが、中国では昨年末の12月22日がマヤの予言での終末の日だから世界は滅亡すると軽い騒ぎになりました。結局何も起こらないというノストラダムス以来のオチでしたが、こっちで出ているLCCのエアアジアの公告に、「終末の日の後だからこそ旅行はなお楽しい!」っていうキャッチコピーが書かれてあって、中国にもいいコピーライターがいるもんだと感心させられました。

ベアテ・シロタ・ゴードンさん死去=日本国憲法起草に従事(時事通信)

 今日はごつい記事でも書こうと考えてましたが、ちょっとまた頭痛がするのと、個人的に印象的なニュースが出てきたのでこっちを取り上げます。上記リンク先に書かれている通り、日本国憲法の起草に関わったベアテ・シロタ氏が12月31日に亡くなっていたそうです。ベアテ・シロタ氏、というよりその父親のレオ・シロタ氏については以前にも記事を書いておりますが、新憲法起草を通して日本の戦後史に非常に強い影響を与えた人物と言っても過言ではなく、このニュースを見て一つの歴史が終わったと強く感じました。
 彼女の死が直接何か、新しいことにつながるというわけではないのですが、歴史というのは他の物事と同じように基本的に始まりがあれば終わりがあります。何か一つの事件が始まれば、その直接の影響を及ぼす期間なり時期というものには終わりがあります。それこそ民族や国家も例にもれず、繁栄を誇ったローマ帝国ですら滅び、今あるアメリカや日本という国家もいつの日か終わりを迎えるという方が自然です。

 ちょっと自分でもわけのわからないことのたまっている気がしますが、終わりを連想させるような一つの区切りとなる事件があるからこそ歴史というものは認識しやすくなる気がします。今回のこのニュースもそういうものを連想させるものとして、一応記念に書き残そうと思った次第です。