ページ

2015年11月22日日曜日

正直者は何を見る

 このブログには度々私の友人である上海人が出てきますが今日はその彼のお話し。

 彼は私と同じ大学のゼミ同期生で、正確には元々学年は一つ違っていましたが私が中国留学のため一年間休学したので復学後に同学年となり、ゼミも一緒となりました。同じ学年なもんだから卒業ももちろん一緒で、就職活動の時期も同じだったのですがこの時のことについて後年、度々彼と話すある話題がありました。

 私はお世辞にも就活上手とは言えず、決して景気が悪くない時期であったものの書類選考を含めて百社は落ちておりそこそこ苦労はしたのですが、上海人も順風満帆にとはいかず、大手企業とされるところには全部お断りされてしまいました。その中でもある大手電機メーカーには最終面接までこぎつけたもののそこで落とされてしまったのですが、この原因について面接時のある質問に対する回答が原因だろうと彼は分析しております。

 それはどんな質問だったのかというと、「将来、中国に帰りたいですか?」というものでした。この質問に上海人は、「出来れば、中国の赴任地で働かせてもらえるとありがたいです」と答えたのですが恐らくこれが命取りとなったと分析しており、私も彼の考えに同感です。
 基本的に日系企業の面接は服従と肯定しか許されないのは言わずもがなで、さっきの質問時には「日本に骨をうずめる気持ちで働きます」とか、「仕事がある限りは日本でずっと頑張るつもりです」などと答えていればOKだったことでしょう。上海人自身もそういう日本の価値観を理解していながらもこの時は敢えて正直な気持ちを出したところ落とされてしまったわけです。

 本人もこの時の体験は相当衝撃が大きかったのかお互い社会人になって昼間から上海のバーで飲み合ったりする際、大体年に一回はこの話題を持ちだしていました。数ヶ月前に会った際も話題になり上海人は、「あの時、もし別の言い方をして受かっていれば僕の人生はどうなっていたんだろうか」という風に洩らし、それに対して私はこう応じました。

花園「そうだよね。なんせあの、シャープだしな( ・∀・)」
上海「せやでほんま。きっと今頃僕はリストラされてるか転職迫られてるかで安定なんてしてられへんかった。危なかったわ(;><)」

 念のため言っておきますが別に作っているわけでなくこれら全部事実です。友人が最終面接までこぎつけたシャープは現在経営再建中、というよりマグロの解体中で大量のリストラはもとより若手社員の流出も続き今後の先行きもよっぽどの名経営者かスーパーな発明が出ない限りはある程度見えてきているでしょう。
 少なくとも自分が直接見聞きした中ではりこれほど見事な「塞翁が馬」ともいうべきエピソードは見当たらず、なんというかやっぱ人生は正直でいる方が日が当たるんだなと思えてきます。言い方変えて意地悪な言い方すると、正直な気持ちを吐露する人間より心にもないこと言う人間ばかり採ってたからこうなったんじゃないかな。

2015年11月21日土曜日

朝青龍の北の湖理事長への追悼コメント

元朝青龍 北の湖理事長を悼む「悲し涙が止まらない」(スポニチアネックス)

 さっきまでスカイプで話してたので短い記事を一言いれますが、本日元横綱で相撲協会の理事長であった北の湖理事長が亡くなりました。この突然の訃報に各所からコメントが出される中、こちらも元横綱で現役中は北の湖理事長といろいろとやり取りのあった朝青龍ことドルゴルスレン・ダグワドルジ氏のコメントがなかなかに目を引きます。
 現役中は北の湖理事長と対立している、仲が良くないなどというようなことも言われてましたが、この突然の訃報に対してリンク先記事の見出しにある「悲し涙が止まらない」とその死を強く悔やむコメントが書かれてあり、見ているこちらもその悲しみが伝わってきそうな言葉で表現されています。

 朝青龍はツイッターなどで日本語文書をこれまでも書いて発信しておりますが、彼の日本語会話は外国人でありながらほぼ完璧だと思う水準にあるものの、ツイッターにて出される文書はちょっと拙いというかきちっとした日本語文書になっていないことが多いです。とはいえ外国人でこうやって文書書くだけでも大したものというべきか、そもそも自分も中国語できちんと文書を書く自信がないだけに「下手でもいいから発信するのが大事なんだ」と常々感じさせられるのですが、こと今回の追悼コメントに関してはかえっていい表現になっているような気がします。

 追悼コメント中には「悲し涙」という言葉が使われていますがこの言葉はあまり一般的ではなく、こういった場面で使う日本人は多分いないと思います。恐らく音からして「悔し涙」という言葉から感情を表す漢字を置き換えて使ったのではないかと思いますが、あまり見ないだけに新鮮であり斬新で、なおかつ「かなしなみだ」という音も聞いてて悪くありません。
 一般的ではない表現、さらに文書の拙さもあってストレートな表現ですが、悲しみを表現する上でこの拙さはかえって伝わりやすい表現ではないかと思います。それだけに今回のコメントからにじみ出る朝青龍の気持ちは見ているこっちも感じやすく、素晴らしいコメントを残してくれたと彼には感謝と共に高く評価する気持ちを送りたいです。

  おまけ
 朝青龍の現役時代のライバルといったら「青白時代」と一時期言われたように現在も横綱を張っている白鵬関が普通は上がってきますが、実際は横綱審議委員会の内館牧子氏との土俵外のバトルの方が見ていて一番熱かったし、彼の真のライバルだった気がします。またいつかやってくれないかなぁ。

2015年11月19日木曜日

中国のファーストフード市場 その2、大手チェーントップテン

 ようやく風邪が直りつつあるのか昨夜に比べれば大分体のだるさも取れて記事執筆に迎えます。何というか抵抗力が落ちてたのか昨日は左耳が中耳炎になったのかずっと痛かったし、あと早朝髪の毛を櫛でといていたら何故か根本からバキッて折れるし。櫛を折るなんて人生で初めてだよ……。

2014年中国快餐连锁十大品牌企业排行榜(中商情報網)

 そういうわけで昨日に引き続き中国のファーストフード市場について紹介していきます。今日引用する元記事は上記のリンク先ですが、こちらはビジネス関連情報の記事を発信している「中商情報網」というサイトの記事で、2014年8月に出されたやや古い記事であるものの中国におけるファーストフードチェンのトップテンを独自に選びランクづけています。なお中国の経済メディアは何故だかこういうトップテンとか100強、500強といったランク特集をしょっちゅう組んでおり、ランクをつけるのが明らかに好きであるように感じます。共産党が序列主義だからかな。
 などとどうでもいいことはほんとどうでもいいので、早速そのトップテンにランクされたチェーンを下記に列記します。

<中国ファーストフードチェーンのトップテン>
1位  ケンタッキーフライドチキン(肯德基KFC)
2位  マクドナルド(麦当劳)
3位  真功夫
4位  Dico's(ディコス、德克士)
5位  ピザハット(必勝客)
6位  永和大王
7位  麗華
8位  味千拉面
9位  馬蘭拉面
10位 大娘水餃

 上記の順位を見た私の感想を述べるならば、恐らくこの順位で大きな間違いはないだろうと行ったところです。中国で生活している私の肌実感でも大体こういう順位というか思い当たるファーストフードチェーンがしっかりと入っているように感じます。

<ケンタッキーのがマクドナルドより多い>
 個別解説に移りますが、日本でファーストフードチェーンの王者と言ったらマクドナルド以外の何物でもなく、これに誰も異論を挟む余地がないでしょう。しかし中国ではなんとケンタッキーの方が人気で、実際街歩いていてもケンタッキーとマクドナルドの店舗数で言えば3:1くらいの割合で断然ケンタッキーの方が多いです。
 そのケンタッキーですが売っている代物は日本とはこれまで異なっており、日本でお馴染みのフライドチキンが去年まで全く売られずにバーガー系メニューを中心に、手羽先っぽい奴とかフライドチキンとはまた別な唐揚げで、最近だとご飯にお惣菜が付いた定食メニューみたいなのも用意してます。去年の夏ごろからお馴染みのフライドチキンを中国でも売るようになったのですが、なんで今までなかったんだろうかと不安に思いつつこのところはそのフライドチキンを毎週一回は食べに行ってたりします。

 マクドナルドのメニューに関しては基本的に日本とも共通していますが、日本オリジナルの「てりやきチキンバーガー」がないかわり、中国オリジナルの「ピリ辛チキンバーガー」みたいなのが用意されています。ケンタッキーでもそうですが売れ筋のメニューはどちらかというとこういった鶏肉を辛めに揚げた具材をバンズ挟んだバーガーで、これは間違いなく中国人の嗜好に合わせたメニューでしょう。また同時に、中国人自体が牛肉を食べ慣れていないことからビーフハンバーグを具材に使ったバーガーがほかの国と比べると勢いが低いのではと推測しています。まぁもちろんビッグマックとか中国人も食べますけどね。

<中国オリジナルのファーストフードチェーン>
 3位に入っている「真功夫」は日本人には馴染みが薄いものの、中国ではどこ行っても見かけられるファーストフードチェーンです。ここでは丼物っぽい料理を始めとした中華料理のファーストフードを出しており、スープやおかずがついた定食形式で頼んでからチンして出すのか、マクドナルドのようなカウンターで支払いと受け取りをやって店内で食べたり、持ち帰ったりすることもできます。私自身も何度も利用しており、トラックスーツを着たブルース・リーのロゴは嫌でも目立ち、中国らしいファーストフードとして上手く成立している印象を覚えます。

 そして4位の「Dico's(ディコス、德克士)」ですが、実はここには前から注目しています。というのもここはマクドナルドと同じようなハンバーガーを中心としたファーストフードチェーンですがケンタやマクドと違って欧米からのフランチャイズではなく、先の「真功夫」同様に完全中国資本、中国オリジナルのファーストフードチェーンだからです。このディコスも何度か利用しましたが味的にはマクドナルドに大きく劣るようなものではなく、メニューにも工夫が見られ決して悪くない印象です。更にディコスの店舗はこのところ明らかに増えており、上海市内でも気が付いたらここにもディコスがと思くらい拡大を続けていて、中国オリジナルのハンバーガーチェーンなだけにどこまで成長するのか実は楽しみに見ているところがあります。
 ちなみにディコスは西安に上海人と旅行に行き、現地にいる後輩と合流して3人で何度も入りました。三日間の西安旅行で休憩の度に入っていたからどれくらい行ったのかわからないくらい入りました。

<味千拉面が日系で唯一のランクイン>
 中国には今後の成長を見込んで数多くの飲食チェーンが進出しておりますが、その中で最も大きな勢力を持っているのは間違いなく8位の味千拉面です。中国経済を多少なりとも触れた人間なら誰もが知っているであろう熊本発のラーメンチェーンで、大都市はもとより地方都市でもしょっちゅう見かけるくらいにその店舗数は圧倒的で、日系としては唯一このランキングに入るのもうなずける話です。
 ただつい今さっき大学の先輩にもスカイプで解説しましたが、味千がなんでこれほど多く店舗数を広げられたのかというとフランチャイズの条件が緩いためだとされ、日本国内でも「餃子の王将」がまさに当てはまりますが、店舗によって料理の味の差が大きいところがあります。同じ市内の店でも食べてておいしい店もあればなんじゃこりゃというくらい不味い店もあり、私もこのところは昆山市内でおいしいと思う店にしか足を運びません。スープ自体は工場で粉末状にして各店舗に配ってるそうなんだから普通は差が出ないはずなんだろうけど、なんだろう、店によって薄められてるのだろうか。

<その他短評>
 そのほかランクインしたチェーンについて短評を加えると、ピザハットは日本同様安いピザを高値で吹っかけている、もといやや高級路線でやってます。「永和大王」は中国ラーメンを中心としたチェーンで、何気に上海来て最初に食べた料理がここの牛肉麺だったのをやけに覚えてます。7位の「麗華」は自分は使ったことがなく、調べてみたらケータリングのお弁当配達がメインのお店のようです。9位の「馬蘭ラーメン」も街中で見かけるものの使ったことはありませんが、10位の「大娘水餃」は餃子のチェーンで、鉄道部と組んでるんじゃないかと思うくらいどの鉄道駅構内にもお店があります。街中にも多くあって、前は「大娘(おばちゃん)」ってことからデフォルメしたメガネのおばちゃんがロゴデザインでしたが、最近変わってマダムっぽい女性の後ろ姿になりました。

 ファーストフード、というよりは飲食チェーンの解説となりましたが、どうも中国では飲食チェーンとファーストフードチェーンの区別があいまいで、有名レストランのチェーン以外は全部ファーストフードチェーンのカテゴリに入れてしまっているように見えます。といっても日本でもこの辺のカテゴリ分けは案外独特で、同じチェーンでも「ファミレス」、「バーガー&チキン」、「牛丼」という感じに分けられ、ファーストフードとされるのは真ん中の「バーガー&チキン」だけです。冷静に考えたら「牛丼」もファーストフードに入れるべきではと思えてくるのですが。

 これはあくまで私の持論ですが、中国と日本の飲食チェーンで決定的に異なっているのは「ファミレスチェーン」というカテゴリが中国にはないということです。今日のランキング内ではピザハットが一番これに近いと思うものの、日本のガストやココスといった要職を提供するファミレスの形式はまだ主流ではなくむしろマイナーな部類に入ります。
 しかし需要は全くないわけではなく、むしろ家族間のつながりが強い中国なだけに逆に求められているのではと思う節があります。そう思うのも日本の「サイゼリヤ」がこのところ中国で躍進しており、中国でファミレス市場を開拓するかのように店舗を増やしていっているからです。時期はまだはっきりと言えませんが、この記事の続きとして今度は中国における日系飲食チェーンの調査記事を準備ができ次第にアップします。

2015年11月18日水曜日

中国のファーストフード市場 その1、概要

 先日、潮風大使さんより「中国のファーストフード業界について紹介してほしい」というリクエストを受けたのですが、このリクエストには素直に魂が震えました。というのもこれまであまり中国のフラーストフード業界をテーマにした記事を見ておらず、成長が見込める市場なのにやけに解説が少ないので自分が手掛けてみたら意外と面白いかもしれないという妙なジャーナリズム魂が動きました。
 そんなわけで密かに下調べを進めておりましたがなんにせよこのところほかにも書きたい記事ネタがやたら集中しており、先週土曜もなるべく消化するため一挙に4本も記事をアップしましたがそれでも他に優先する記事が多かったため、今回のこのテーマでの出稿が遅れに遅れました。当初は先々週にもアップしようと思ってたのに。

 そうした事情は置いといて、このテーマは分野別に攻めていった方が面白いのでしばらく連載形式で取り上げていきます。一発目の今日は見出しにもある通りに概要で、中国のファーストフード業界を取り巻く各種のマクロデータを紹介します。

1、飲食業界の市場規模
盘点:2015年快餐行业发展现状和趋势(天財商龍)

 データの引用元は上記リンク先の記事です。と言っても中国語ですので、閲覧する際は中国語使いをつけて読んでください。

 まず中国のファーストフード業界を含む総合的な飲食業界の市場規模の解説から入りますが、率直に言って大幅な成長を続けています。同業界は2008年の年間市場規模が1兆2650億元だったのに対し2014年は2兆7860億元と、6年間で倍以上の成長を見せ、この間の複合年成長率も15.1%に達しています。今年2015年の中国経済は製造業がどこもガタ落ちしていますがサービス業は全体的に好調を維持しており、ファーストフード業界も1~9月の市場規模が前年同期比11.7%増の2兆3071億元となって二桁の高成長を保ちました。
 雇用面でも飲食業界は経済に対して非常に大きな貢献をしており、関連企業は300万社以上にも上り従事者数も1億人を超えるとされ、この雇用数は不動産、自動車業界に次ぐ水準とされています。仮に中国の人口を13億人と見積もるならば、8%前後が飲食関連業界で働いているってことになるのかな。

2、ファーストフード業界の各種データ
 成長著しい飲食業界の中でも、ファーストフード業界の成長は特に著しいと上記記事では指摘しており、ここ数年の複合年成長率は17.5%に達したと紹介されています。成長が著しいだけでなく潜在的な成長性はまだまだ高いと見られ、その根拠として中国における一人当たりのファーストフードへの年間消費額は63.7米ドルで、欧米が600米ドル以上であることを考えるとまだまだ低い水準としています。もっとも年間消費額についてはほかの項目でも欧米と比べて大幅に低いだろうから、ファーストフード業界に限るわけじゃないけど。

3、中華系ファーストフード
 日本でファーストフードと言ったらマクドナルドやケンタッキーに代表される洋食系のチェーンが思い浮かび、和食のファーストフードと言っても牛丼がギリギリ入るくらいでしょう。もっとも市場的に前者がファーストフード業界、後者は牛丼業界って感じで分けられることのが多いですが。
 中国では事情が日本とは異なっており、中華料理を中心としたチェーン店もファーストフード業界に加えられております。こうした中華系ファーストフード店は私もたまに利用しますがお店はマクドナルドみたいにカウンターで注文して料理が出される形式で、メニューは餃子や点心、丼物などそこそこバラエティに富んでいます。

 では中華系と洋食系ではどっちが多いのかですが、これは中華系の方が軒数で言って圧倒的に多いのではないかと示唆するデータがあります。中国はマクドナルドもケンタッキーも電話一本でどこでも配達してくれるほど何故だかケータリングがやけに普及しており、中華系ファーストフード店も洩れなく電話一本出前一丁で持ってきてくれるのですが、中華系シンクタンクの調査によるとこのケータリング件数を比較すると中華系が63.4%、洋食系は17.5%だったとのことです。売上げ比較ではないので一概にこのデータだけで判断できませんが、街中を歩いていても店舗数、特に地方を含めると洋食系よりは中華系の方が多いという気がします。まぁ運営企業別の売上げなら洋食系チェーンの方が圧倒的に大きくはなりますが。

 以上が元記事データを丸々引用した内容となります。もう少し続けたいけど昨日から風邪気味でめっちゃ体だるいので続きはまた次回に回します。次回では中国の各飲食チェーンブランド別の人気度というかファーストフードトップテンを取り上げる予定です。まだ今日よりはオリジナリティが含められる記事になると信じてます。

2015年11月16日月曜日

上海蟹レポート


 昨日は自分の所属しているサイクリング部のメンバーと共に、上海蟹を食べるため昆山市内にある陽澄湖へ行ってきました。この一文を読んで、「なんで上海蟹なのに昆山に行くの?」と思った方もおられると思いますが、元々上海蟹というのは昆山市内にある陽澄湖という湖から陸揚げされる蟹を指しており、昆山が上海の隣であることからネームバリュー的に「上海蟹」という名称が定着して今に至るわけです。なんとなく、千葉県にあるのに「東京ディズニーランド」的なノリを感じます。

 上海蟹のシーズンは9月の秋口からで、これは質の悪い蟹が先を争って市場に出るのを防ぐために毎年販売解禁日が設けられています。とはいえ9月だとまだ走りであるため味はそれほどよくなく、おいしいとされる旬の時期となるのは11月から12月の初旬くらいで、1月にもなるともうほとんど食べられなくなります。
 ちなみに今年は市場に出回る量が多い、もといぜいたく禁止令で共産党幹部への付け届けが減ったせいなのか値段は例年に比べて安いと言われています。

お土産用に箱詰めするおじさん

 陽澄湖は昆山市内中心部から西へ約20km行った蘇州市との境にあ広い湖でかなり広いです。なお湖のほとりには公園とリゾートホテルがありますが、このリゾートホテルは昆山市内で一番高いと言われ一泊どんだけ安くても1000元は下回りません(約2万円)。逆に安いとこだったら130元(約2600円)くらいで泊まれたりしますが。

 話は戻りますが、今回訪れたのは陽澄湖近くにある上海蟹専門店が軒を連ねるレストラン街の一店です。食事に入る前に蟹を見せてくれと言ったらすぐに案内してくれて上記写真の様に生きた蟹を一匹ずつ縛っては箱に詰め込んでいる様子などが見られました。っていうかこの写真、いい感じに腕がぼやけてるな。


 そんなこんだで出てきた料理がこれです。
 上海蟹は基本的に縛ったまま茹でて、雄蟹と雌蟹の二匹を同時に食べます。上の写真だと上に乗っかっているのが雄蟹で、下が雌蟹です。両者の違いは雄蟹は体がやや大きく蟹肉が多いのに対し、雌蟹は卵を持っているので蟹味噌おいしいというところで異なっており、どちらかと言えば雌蟹の方がおいしいとされるので先に雄蟹から食べるのが一般的だそうです。

 さてここまで話を進めてきてなんですが、知ってる人は知ってるでしょうけど実は私は蟹を始めとした甲殻類、そして貝類といったいわゆるシーフード系の食べ物はあまり好きじゃなかったりします。別に食べられないというわけではなく単に食べるのが七面倒くさい割には食べられる量が少なく、しかも値段がやや高いというのであまり率先して食べたいとは思いません。そんな施行しているもんだから今まで上海蟹をそのまま食べるということは一回もなく、以前に香港でスープなど料理にされた物しか口にしたことがありませんでした。

 なもんだから何気に今回が初めて口にする上海蟹だったので、あまり好きじゃないという素振りはほかのメンバーに対して微塵も見せずに面倒だと思いながら殻割って食べてみました。食べてみた感想として最初に思ったのは、生臭い臭いというかいわゆる蟹臭さがほとんどなく、手づかみにも拘らずそれほど手もかゆくなったりはしませんでした。ここら辺は海水と淡水の差なのかもしれません。
 そして肝心の味については定説通りに雌蟹の方がおいしく、雄蟹もまずくはないですがどっちかっていうとといったところです。こう思うのも上海蟹はそれほど大きな蟹ではないため蟹肉も食べれるところはそれほど多くなく、必然的に蟹味噌の部分を一番多く口にするからです。
 なお蟹肉、特に足部分は上手い人はさっと糸通しみたいに蟹肉だけ抜いて食べてましたが、私はそんなに器用ではないので片っ端から奥歯で殻を噛み砕いてから食べてました。最近固い物かじってないけど、その気になれば多分今でも胡桃の殻くらいなら歯で割れるほど無駄に丈夫です。

 そんなこんだでいろいろ食べて、ほかの料理と合わせて最後の清算時に支払った一人当たりの金額は160元(約3200円)でした。サイクリング部のメンバーがお土産用に雄雌一対を帰り際に買ってましたがその値段は120元(2400円)で、上海で買うよりずっと安いと話していました。蟹に興味ないから安いか高いかと言われて正直わからないのが本音です。

 あとどうでもいいですがこの日は9時半に昆山市内で合流して自転車乗ってレストラン行きましたが、前日の晩は何故だかこの時期にもかかわらず蚊が室内を飛んでおり、時折耳元で羽音を鳴らすもんだから夜中2時に起こされたりとやや睡眠不足気味でした。翌朝、準備を整えて出発する間際に窓ガラスに蚊が一匹張りついているのを見て速攻ではたき、地面に落ちたところをスリッパの裏でグリグリと踏み潰してから出ていきました。
 最近休日は一切昼寝せず睡眠不足だというのに。

2015年11月14日土曜日

昆山市のアウトレットモール


 今日はこれで四本目の記事ですがそれは置いといて、昼食を馴染みの日本料理屋で食べた後で自転車を走らせ最近出来たばかりという昆山市内のアウトレットモール「首創奥特莱斯」へ行ってきました。

 アウトレットの定義に関しては省略してなんでここへ来ようと思ったのかというと、自分が参加している自転車クラブのメンバーが先日の会合の際、ここでいいGジャンを安くで買えたと教えてくれたからです。その人が言うには品質は悪くないし金額は明らかに安く、それまで日本国内でもあまりアウトレットモールを利用したことなかったが今回行ってみてまた通いたいというほどという大絶賛ぶりで、昆山のローカル情報取り上げる人なんてそうそういないんだし自分も行って取材してくるかと思ったのがきっかけでした。

 また地味に気になった点として、「中国でGジャン買えるの?」とも反応しました。というのもGパンはどこでも売ってますが意外とGジャンは中国だと取り扱っている店が少なく、前も上海で必死こいて捜したものの見つからず泣く泣く日本帰国時に上野で買ったこともありましたが、本当に昆山で買えるのならどんな店かと見てみたいという興味を持ちました。元々、真冬でもGジャン一枚でどこへでも行くことから大学時代は「ダブルデニムの花園」という異名が陰でリアルで付けられていた私ということもあってGジャンにはこだわりがあり、一昨年の年末もマジでGジャン一枚で北京へ乗り込み万里の長城へ行って凍死しかけました。

 話はアウトレットモールに戻りますが、場所は市内中心部から東へやや離れた郊外にあり、歩行者の少ない道路を昨日パンクしてすぐ修理した自転車すっ飛ばして乗り込みました。到着したモール内は駐車場こそそこそこ埋まっていたものの、よく晴れた週末の昼過ぎにもかかわらずちょっと人はまばらだったような気がします。イベントスペースには人がそこそこ集まっていたけど、各店舗内はほぼ無人だったし。
 入っている店舗はほとんど海外ブランドで、ナイキやJeep、Diplomatとかとかとか。施設は新しいだけあってどこもきれいでまだテナントの入っていないスペースもそこそこありましたが、一見すれば日本にあるアウトレットモールと区別がつかないくらい立派な施設でした。飲食店のコーナー(3F)はまだテナントが決まってないのか工事が終わってないのかまだ入ることすらできなかったものの1Fにもいくつか飲食店はあり、私は今日買い物を済ませてから一軒入ってバナナジュース飲んできました。意外とこのバナナジュースも中国だと飲める所少ないからマジでうれしかった。



 そんなわけで、今回購入したのが上のスニーカーです。なんでGジャンじゃないのかと肩すかしくらったかと思いますが、実は先週急に寒くなったので近くのスーパーで薄手のデニムジャケットを買ってしまい、Gジャンは日本の潜伏拠点にもあるし今回はいっかと見送ったわけです。一応はLevisの店で売っていることを確認しており、気が変わったら買いに行こうかと思います。
 なお先週買ったそのデニムジャケットは室内で着ており、外出する際には必ず脱いでいます。意味わかんないだろうけど私は動くとすぐ発熱するから外いる時は着てて熱く、逆にあんま動かない室内にいる時のが寒さを感じる妙な体質してるからです。

 それで今回どうしてスニーカーを買ったのかというと、単純に靴がなかったからです。今年の2月に一足スニーカーを買いましたが、今年はやたら大雨降ることが多くその靴履いて何度もザブザブ水に浸かったもんだから先月に靴底がべろっとめくれるわ側面に割と大きな穴が開くわで、ガチで破損させてしてしまいました。中国製だからやわとかそういうもんじゃなく、過酷な扱いをしてしまってその靴には本当に申し訳なかったです。
 ひとまず今日までは前に履いていた別のスニーカーを履いてました、このスニーカー、デザインは悪くないものの靴底がやたら薄く、歩いていると地味に足裏がジンジン来るので出来ればほかの靴底厚いスニーカーが前から欲しかったりしました。
 なおその靴は普通に履く分には全く問題ありませんが、私の場合だと知ってる人には早いですが歩く速度と距離が尋常じゃありません。友人曰く、まるで軍人のように走るように歩く上、その距離も絶対おかしいというくらい数キロ単位で移動します。だから今回は山靴みたいに靴底厚くて丈夫そうなのを選びましたが、お値段はアウトレット価格323元(約6400円)でケチな自分にしてはよく払ったなという気がします。

駐車場近くから撮影した写真。手前は自分の自転車

気高き医師たち

 ひとつ前の記事でちょこっとだけ出てきますが、人気作でドラマ化された「Dr.コトー診療所」という漫画を連載中は購読していました。最初に読んだのは高校二年生の時でそれから最新刊が出る度に買ってはクラスメートの間で回し読みさせるくらい熱中し、現在においても文句なしに素晴らしい漫画だったという評価に変わりありません。やや残念な点としては、本人もブログで書いていますが作者の体調不良によって2010年以降は連載が中断しており、このまま未完の作品として終わりそうであるということです。
 なんでまた急にこの漫画の話をするのかというと、主人公のモデルとなった鹿児島県の下甑島で長年離島医をされていた瀬戸上研二郎医師がこのほど退任されるというニュースを見たからです。

「Dr.コトー」のモデルが退任へ…離島医療37年(読売新聞)

 上記リンク先の記事によると瀬戸上医師は74後歳となる今年まで37年間も下甑島で離島医をされていたとのことで、離島医療の現状を伝える活動など様々な方面で活躍されてきたとのことです。漫画の中でもまともな医療設備もなければ輸血用の血液にすら事欠く有様が描かれていましたが、都市部で暮らす人間からは想像もつかないような苦労が数多くあったと思われるだけに瀬戸上医師の長年の勤務については本当に頭が下がります。

 このニュースについて友人と話したところ、「そうは言っても地方の医師は漫画ほどうまく地域に受け入れられないんじゃないのか?」と切り返してきました。私はこの返答でぱっと思いついたのですが、以前に限界集落ともいうようなとある村に外部から医師が赴任してきたところ、なんと村八分にあってせっかく来てもらったのに辞めざるを得なくなったというニュースがありました。村名を出すのはなんか忍びないので、興味ある方は自分で検索して調べてみてください。

 恐らくこの友人のいう通りに、どの医者も村の人間たちとの関係も築けて上手くやってけるというわけではないでしょう。しかし現実問題として日本の各地では無医療無医村ともいうべき限界集落は増えており、該当する自治体では赴任してもらう医師の確保に苦しんでいるとも聞きます。村八分の恐ろしさはもとより、都会と比べて不便な地方での生活、給与面での問題など様々な障害はあり、普通に考えればなんでもってそんなところへ働きに行かなきゃならないんだと傍観者的な価値観からすると思えてしまいます。

 しかし、以前というかかなり昔に読んだコラムで、ある人(名前や団体は失念)こうした無医村に医師を斡旋する活動を始めたところ本人が思っていた以上に多くの医師が応募してきたと書いてありました。応募してきたどの医師も自分が地方の医療を支えるんだという強い意志を持っており、また都会の大病院では大量の患者を診るため文字通り「患者を捌く」ように診療しなければならないため、もっと患者とじっくり向き合って診療をしたいという希望を持つ方もいたそうです。
 仮にこの話が本当であるならばなかなか世の中も捨てたもんじゃないと思えると同時に、気高い医師というのは存外に多いのではとも思えてきます。実際、医療現場の方々は看護師にしろ医者にしろ全体的に高いモラルを保っているとされ、彼らの献身あって予算も人員も減らされるなかギリギリのラインで医療現場は水準が保たれているという話をよく聞きます。

 しかし、残念ながらというか彼ら気高い医師たちよりもメディアはどちらかというと不祥事を起こした医者の方をより多く取り上げようとします。かなり昔ですが「ポケット解説 崩壊する日本の医療」鈴木厚医師の講演を聞いたことがありますが、彼曰くテレビに出てくるようなゴッドハンドとか呼ばれ名医とされる医師たちはテレビに出る時間だけ診療をサボっている医師で、もっと毎日現場を底辺で支えている「ゴッドハート」のような医師たちこそ取り上げるべきだと強く主張されていました。もっともそのすぐ後、「ならお前もこんなところ講演してる場合かと言われるのですが」と、自分でツッコミを入れていましたが本当に漫才師かっていうくらい話のうまい医者でした。

 しかし鈴木医師の言わんとしていること、現場を支えている日の当たらない医師たちこそもっと注目すべきであるというのは同感です。離島医をされていた瀬戸上医師もそうですがこういった医療の最前線ともいうべき場所にいる医師というのはなかなか知る機会がなく、彼らが日々どれほど診療し、どんな勉強をして、どんな治療を行っているのか、普通は目に入ることはありません。
 これは前にテレビで見たある獣医師の例ですが、朝から夕方まで診療し、一時帰宅して食事を取ると夜間の急患対応に出て、夜寝る前に外国の医療論文を睡眠時間を削ってまで読むなどして勉強をするという、本当に頭の下がる生活をされていました。このような生活リズムはこの獣医師に限らないことでしょう。

 少子高齢化が進み医療問題が紛糾する中、ついつい医療費の制度とかばかりに目が行きがちですが医療の根本ともいうべき医療従事者にももっと目を向けるべきではないか、その上で現場を支える気高い医師たちをもっと知るべきだと友人と会話していて思ったわけです。