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2021年1月31日日曜日

選り好みされて報じられる他国の感染対策

 最近の検索ワードは「彼岸島 カニパン」です。

荷物に消毒液、ドアにはアラーム…特派員が体験した中国の“厳戒”水際対策 「日本よりも安全に感じる」の声も(ABEMA TIMES)

 話は本題ですが上記記事で取り上げられている中国における海外からの流入者に対する14日間の隔離措置、感染対策についてですが、私が把握している情報とも内容は基本一致しています。ちなみにここだけの話をすると、中国入国後の隔離中はアルコールが一切飲めないからといって、末後の酒とばかりに泥酔状態で成田空港に登場する日本人派遣者もいたという面白いうわさも聞きます。

 逆にというかこの記事でも書かれている通り、中国で暮らす日本人駐在員からしたら日本の感染対策は緩すぎて「わざと感染広げているんじゃないのか?」とくらいに思われています。記事にある通り、日本到着後の移動に関して全く監視が付けられず、しかも感染対策が採られているとはとても思えないハイヤーでの移動とかも認めているなど、真面目に正気を疑います。
 それ以上に自分がびっくりしたのは先日の英国での変異種が報告された後の英国からの帰国便で、乗客には検査した一方、航空機のパイロットはノー検査で通し、案の定陽性だったという話です。国際移動の激しいパイロットだからこそ乗客以上にリスクが高いように私には思えるのですが、どうやら日本はそうでなかったと知り、何とも言えない感情を覚えました。

 その上で、最近の日本における各国のコロナ感染対策について、思い違いかもしれませんが一つの傾向があるように見えます。具体的に言うと選り好みされた報道の仕方がなされており、欧米など流行爆発が続いている地域の内容ばかり報じて、台湾、またタイやマレーシアなど流行が欧米に比べると落ち着いている地域の話がほとんど見られません

 中国に関しては上記の記事を始め、また最初の感染地域であったことからまだ報じられている方かとは思いますが、実質的に抑え込みにほぼ成功している台湾の措置や予防対策の話となると、この数ヶ月の間に私は一度も報道されているのを見たことがありません。本来ならばもっとも見本とすべきモデルケースの一つであるように思うのですが、何故か日本では逆に、反面教師ともいうべき欧米の措置ばかりがやたらと取り上げられている気がします。

 何故こうなるのかという理由についてはいくつか考えられますが、単純に台湾の事例は報道したら具合が良くないと考える人間が多いのではないかと見ています。具体的には、

・台湾なのに対策に成功しているという事実が気に入らない
・日本の対策に不備があるということが分かってしまう
・被害を強調する方が報道価値が高い

 このうち二番目の理由が特に大きいように思います。というのも日本の感染対策の報道で各国を比較する際、「欧米に比べ日本はよくやっている」という不文律を外さないような報道が見え隠れします。これは政府の指示なのかメディアの独自判断なんかわかりませんが、「感染者は増えてはいるけど欧米に比べれば日本の対策はしっかりしており、これは不可抗力なんだよ。これ以上の対策なんてないんだよ」的な言い訳じみた報道の仕方が強いです。

 特にこうした方針が強く出されているのは、都市封鎖に関する報道の時です。都市封鎖に関しては決まって欧米の例を出して「あまり効果がなかった」、「都市封鎖はしたけどその後も感染者が増え続けた」的な報道の仕方がなされ、中国が最初にやった武漢とか、最近にやった石家庄市の例は引用されることはありません。しかもその欧米の都市封鎖例は、ゆるゆるというか封鎖に反対する人が反抗して外出しまくっているという比較にならない例だったりします。

 現実には中国や台湾の例など、感染対策でもっと引き締めるべき点は日本には数多く存在すると私には思いますが、上記の通り報道規制なのか自主規制なのかプロパガンダなのかわかりませんが、感染対策の国別比較においては明確に選り好みされている傾向が見えます。はっきり言うと感染爆発が続いている欧米諸国なんて報じる価値なぞほとんどないのに、欧米ほど「英国では現在、こんな対策が~」という風に報じられています。
 それこそ以前にこのブログでも取り上げた感染確認アプリとか、日本では効果を発揮した例どころか、きちんと感染を申告したにも関わらず家族のアプリには通知が来なかったなどとの不備例がよく見られます。前にも書きましたが、このアプリの責任者は無駄なものが無駄だとわからない無能としか言いようがなく、可能な限り早く職を辞すべきでしょう。この時期に無駄なリソース使いやがって。

 はっきり書いてしまうと、上記のような報道のなされ方がされるのは日本人の優越意識が働いているのではないかと疑っています。自分たちの対策が他国に劣ることはない、無茶苦茶な対策は中国だからできたのであって日本のような民主国家には不可能という主張や思想において、同じ民主主義であり比較的抑え込みに成功した台湾の事例は日本人のプライド的にあってはならない事例になっているのではと私には見えます。
 その上で冒頭にも書いた通り、今の日本の対策は抑え込むどころか感染を自ら広げていると感じる節があります。何故そんなことを続けるのかというと、担当者らがワクチン頼みな思考しているからではないかと推察されます。

3 件のコメント:

ルロイ さんのコメント...

個人的な印象としては、感染対策をちゃんと報道しない一番大きい理由は「自分達が感染対策したくないから」なのかなーとおもいます。マスコミ、政治家、芸能界ってどうしてもたくさんの人と会ってなんぼ、人を集めてなんぼ、人脈広げてこそ価値が認められる世界なので、あまりにもコロナと相性が悪いんですよね。
これまでの発言とかみてもこの辺の層がどうしてもコロナ対策をなるべくやらずに済ませたいという感情が見え隠れしている印象があります。
これらの層は普段から金銭的にも法的にも性的にも色々「我慢」をしない世界に生きてるのもより拍車をかけている気がしますね。

感染対策が進んでる国が報道されないのは、日本が真似しようにも難しいものが多いというのもあるかと思います。簡単にできることなら、報道される前にネットで広まって、正しい手法を理解せず他人にも対策を押し付ける人や悪徳商法に利用する人がたくさん出るはずですし。
そう書いて思いましたが、日本人は本当に問題解決能力が低いというか、問題意識の共有が苦手なんだなと思います。「言われたことをやればいい」で育ってきてるので、複数の情報があるときに何を選び取るかがあまりにもその人自身の人間関係に依存しすぎるのだな、と改めて思いました。

花園祐 さんのコメント...

 日本が対策を真似しようと思っても、なかなかしづらいから報道されないってのはあるでしょうね。また問題解決能力が低いというご指摘点ですが、解決というより何か行動を起こす実行力がそもそも低いことが根底にある気がします。その一方でやたら計画作りだけは好きで、作ったはいいけど誰も実行しない計画に溢れるのが日本ではお馴染みです。

ルロイ さんのコメント...

計画と行動が連動しないんですよね。計画がお題目、スローガンみたいなものでしかなくて、やることは結局今まで通り続けよう、だったりします。
問題があるから解決する、という西洋医学的な発想ではなく、みんなで一生懸命やってるうちにいつの間にか問題は解決しているものだ、という東洋医学の世界の発想なのかなと思います。その裏には現場の死物狂いの努力があったりするのですが。