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2022年5月18日水曜日

戦後ロシアに対する処遇

 実質的に勝敗がつきつつあるウクライナ戦争ですが、そろそろ戦後のロシアに対する処遇について議論する時期に入ってきているのではないかと密かに見ています。
 楽観視し過ぎているかもしれないものの、私はこの戦争はウクライナがクリミア半島を含めウクライナ領土から全ロシア軍を国境まで押し返すとみています。仮にこの条件で決着がついた場合、戦後のロシアに対して国際社会はどのように後始末をつけるのかが重要になってくるでしょう。

 まず第一のトピックとして、いつまでロシアに対する経済制裁を続けるのかです。戦争が終了して停戦または平和条約が結ばれた段階もありますが、自分の見立てでは最低でも、プーチン政権が崩壊するまでは経済制裁が続けられるとみています。
 ロシア軍の戦争犯罪、そして今後のプーチンの暴走抑止を大義名分とすれば十分で、恐らく食料などごく一部の取引を除けばプーチンが居座る限り欧米は経済制裁を続け、ロシアを弱めようとするでしょう。それこそ戦後すぐにプーチンがクーデターにあったりしていなくなった場合は、新政権との講和の餌として制裁解除が使われるかもしれません。

 第二のトピックとしては、核兵器です。恐らく史上初めてプーチンは核を防衛ではなく攻撃の交渉材料として使っており、核戦争リスクを抑えるためにも、戦後のロシアに対しては何らかの核兵器に対する制限を付ける必要があると自分は考えています。一番理想的なのは核兵器全放棄ですが、この条件を突きつけた場合は反プーチン派も抵抗し、再び過激な行動を採る可能性があります。
 落としどころとしては、米国も含めて核兵器の削減を一緒に進める、またはIAEAの監視や査察をより強化し、使用や保有に対して制限を強めるといったあたりに落ち着くと思います。っていうかそうしないと駄目だと思うけど。

 第三のトピックは、戦争犯罪者の処分です。プーチン政権が崩壊すること前提ですが、今回のウクライナ戦争で虐殺を含め戦争犯罪を犯したロシア軍将兵をどう処分するのかは、かなりハードな交渉になると思います。
 ロシア側としては、敗北を受け入れる代わりにこれらの戦争犯罪処罰の見送りなどを求めてくる可能性が高いでしょう。ただ仮にここで見逃すと、後々のロシアの禍根を残すことにもなるだろうし、またウクライナ側の犠牲者を思うと承服できない気持ちを覚えます。理想はウクライナ側に引き渡し、ウクライナ政府によって裁判を行わせるという形だと思いますが、実現はかなり難しいでしょう。

 そして最後の第四のトピックとしては、今後のロシアの天然ガスの取り扱いです。今回、天然ガスがヨーロッパ諸国に対する最大の脅し材料となり、開戦後もエネルギー価格の高騰はじめ世界経済の混乱の元となりました。逆を言えば、ヨーロッパのエネルギーの大動脈を握っていたことが今回のロシアの暴動を招く大きな要素になったと私は見ています。
 この見方からか、今後のロシアの暴走を防ぐ意味でも、ロシアの天然ガスの管理は極めて重要になると考えています。ではどうすべきかですが、一番欧米側に有利な案としては、ロシアの天然ガス及びパイプラインをロシア以外のヨーロッパ諸国に権益を持たせ、管理させるという案です。

 ぶっちゃけ賠償金代わりにロシアの天然ガスの利権すべてを奪いたいというのが本音ですが、さすがにこれやったらロシア国民も大きく反発するので無理でしょう。ただロシア一国に握らせることは、世界の経済及び安全の秩序を守る上では非常に危険だと思えるだけに、ドイツやフランスなどを資本参画させ、ロシアの好き勝手に供給をいじらせないようにする工夫が必要だと思います。
 この条件を認めさせる代わりにある程度の譲歩は必要になるでしょうが、それでもプーチンの退陣と並んで最優先で要求する事項だと自分は思います。

2 件のコメント:

上海熊 さんのコメント...

最近のニュース見てるとロシアがドンバスで攻勢強めてきてますし、ウクライナ単独では難しい局面になってきてますね。米軍がとどめを刺す段階かもです。

花園祐 さんのコメント...

 ここにきてロシア側が持ち直してきたというか、進軍先を集中して確実に局地戦で勝利するようになってきていますね。自分としてはもちろんウクライナに勝利してほしいだけに歯がゆい状態ですが、各国が援助し続ける場合、長期戦となればウクライナ有利はまだ揺るがないとみており、今後も注視していきたいと考えています。