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2023年2月20日月曜日

松本零士の逝去について

 既に各所で報じられている通り、日本のSF漫画の文句なしな巨匠の松本零士が亡くなりました。恐らくこの影響を受けてかアニメ作品の「ザ・コックピット」について自分が以前に書いた「鉄の竜騎兵」のアクセスがわずかですが上昇していました。

 松本氏の作品について敢えて自分の方から述べると、その普遍性は本当に日本の漫画家の中でも実質的に最強と言っていいのではないかと思います。フランス大使館も弔辞を出したとのことですが、日本国内に限らず海外でも非常に高い評価を得ていますが、そうした国境方面のボーダレスもさることながら年代を超えて読み継がれる点では、あの手塚治虫以上ではないかと密かに思っています。
 実際自分も銀河鉄道999の漫画を読んだとき、それが何十年前の漫画であるという古さは一切感じられず、各話で描かれるあの独自の語り口と相まって貪るように当時読みました。またアニメ作品もヤマトをはじめ何度もリメイクされ続けていますが、SFというジャンル性もありますが、それを押してもなおいつどの時代、どの場所で読んでも全くギャップを感じないという普遍性という点で、群を抜いていると感じます。

 今回の逝去報道に関しては前々から体調が悪いと報じられていたことと、あのさいとうたかをや白土三平すらも世を去っていたことから、松本零士もとうとうかという感傷を覚えたのが素直な気持ちです。また同時に、漫画の神様こと手塚治虫と直に交流した世代が本当にほとんどいなくなり、いよいよもって日本漫画第一世代は終焉を迎えつつあることを思い知らされた気がします。

 そもそも日本の漫画は手塚治虫によって始まったと言ってもおかしくなく、ほぼすべての作家が彼の影響を多かれ少なかれ受けています。その手塚治虫が切り開いた漫画手法を松本零士らをはじめとする作家らが独自のスタイルを加える形で派生していき、さらにそこから後続の作家がつながっていく樹形図のような構造を成している考えています。日本の漫画史は戦後から始まっていることもあり、大本の手塚治虫は別格として、いわゆる草創期におけるレジェンドが平成末期から令和のこの時期において次々と寿命を迎えてきています。こうしたレジェンドたちの喪失はある意味、漫画史において最初の喪失期に当たると思われ、いわゆる第一世代に関しては徐々に一巡しつつあるようにも感じます。

 ちばてつや氏をはじめまだ存命の方もいますが、今後に関しては第二世代が大御所としての役割がさらに求められてくるかと思えます。第二世代代表は私的には永井豪氏が真っ先に浮かびますが、この世代のレジェンドたちには先輩方に負けないよう、後進らを引っ張っていってほしいと密かに願います。
 なおこの第二世代最強エースは鳥山明氏とかだと思うのですが、彼の場合はフォロワーがほぼ全く存在しないというか、ドラゴンボールの作風を受け継ぐ漫画家があまりにおらず、突然変異的な天才だと勝手に考えています。マジで誰も見当たらないのが不思議。

 話が少し脱線しましたが、松本零士の場合は鳥山明氏とは違い、明らかに彼の作風に影響を受けた漫画家が数多く存在しています。その点では本当に日本漫画界への貢献は凄まじく、改めてその死が惜しま、末筆ながら冥福をお祈りします。

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