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2023年10月27日金曜日

李克強の急死について

 例によってこれまで明かしてきませんでしたが、先週から密かに日本へ入りマッドシティの内偵などを続けていました。そんな具合で今朝ものんびりとした朝を目覚めたところ中国人の友人からWeChatで、「李克強が死んだぞ」という急報が来て、思わず目を疑いました。

 説明するまでもなく李克強は中国の前首相であった人物であり、在任中は総書記の習近平とは明らかに仲が悪く、習近平から露骨な嫌がらせを受けたりし、人事面でも李克強の後輩が引退に追いやられるなどしており、去年の退任時の際に握手したときもうれしそうに笑う習近平に対し、李克強はこわばった表情を見せていました。
 上記のような在任中の面倒に加え、去年のゼロコロナ政策以降から習近平に人気が急落したこともあり、中国人の間でも李克強に対しては非常に同情的な目で見られていました。それどころか今年に入って以降の経済不況もあり、誇張ではなく李克強の再登板、それどころか今度こそは総書記にと推す声も強く、市井におけるその人気は間違いなく高いものがありました。

 それだけに今回の急死の報道を受け、中国人の友人の間でもその死を強く痛む声が多いです。私自身も同じで60代後半とまだ老け込む時期でもないし、また今後仮に習近平がますます暴走するとしたらそれを止められる可能性のある要職経験者として李克強の存在は今後の中国において非常に重要になるとみていただけに、この急死に関しては返す返すも惜しいと感じてなりません。

 なお今回の急死はその死があまりにも突然でありロシアのプーチンもこのところしょっちゅうやっていることから、敵対勢力による暗殺ではないのかと疑う声が出ています。ただこの噂に関してはさすがに憶測もいいところであり、また中国はロシアと違って退任した要職経験者に対しては比較的寛容であることを考えると、明確な根拠なしにこうしたデマを広げることについては反対の立場を取ります。
 ただそれでも敢えて述べると、李克強ほどの要職経験者が急死してすぐその死が発表されるという事態に関しては違和感を覚えます。通常であればその死は数日間など少しの間は伏せ、ある程度発表準備が整ったところで公式に発表されるというのがこれまでの中国のスタイルでした。それが今回は前日まで訪問活動していたところ心臓発作で急死と文字通り一瞬で発表されており、何故このような形となったのかと若干奇妙には感じます。

 どちらにしろまぎれもなくこの10年間において習近平の無茶ぶりに対し中国の内政で舵取りをしっかり取ってきた李克強の死は、惜しいの一言に尽きます。もし彼が2012年に総書記になれていれば今の中国を巡る国際情勢も大きく違ったように思えるだけに、本当に惜しいに尽きます。
 末筆となりますが、私個人としてもその忍耐に満ちた生涯に尊敬の念を覚えていただけに、この場にて深く哀悼を申し上げます。

2 件のコメント:

上海熊 さんのコメント...

個人的には党の政策と人民の思ってる事と意外合致してる部分も多い気がしてるので、仮に李氏が総書記だったとしても現実とそれほど差はなかったと思います。

国家主席の再選制限は付いてたかもしれないですが。

花園祐 さんのコメント...

 全体政策方針に関しては確かにそうでしょうね。ただコロナ規制に関しては割と早くから李国強は「早く緩和しなければならない」と発言していたのに対し、習近平はそれを打ち消すかのように去年に規制を強化しことを考えると、あの上海ロックダウンはもしかしたらなかったのかもしれないと考えています。
 これ一つでも、李国強のほうがよかったと自分には思います( ゚д゚)、ペッ