先日、松戸フレンズ(左投げ左打ち)の友人から「ヤバい報告書がある……」というメッセージを受け取りました。その時点で当事者がはてなブログなどでおなじみのはてなだと聞いてはいたのですが、ニデックなどとは違いここで会計事件とか起きている話をそれまで全く聞いておらず、最初ピンときませんでした。何気に知り合いの会計士も「そんなのあったの?」という感じでした。
そんなわけで見てみたのが上のニュース記事と実際にはてなが出した報告書です。概要は上の記事にあるようにはてなの経理部長が詐欺師に騙され会社の流動資金の約1/3に相当する11億円をそのまま詐欺師に流したというもので、下のリンク先の報告書にその経緯が細かく書かれています。報告書については正直に言って、書き出しがあんまいいと思えなかったのでそれほど期待していなかったのですがニデックの報告書よりもずっと面白い、というかこの一、二年くらいに読んだ報告書の中で一番面白かったです。書き出しだけで書き手を評価しちゃだめだと思うくらい、全部で56ページと少ないことから中盤からはハラハラしながら一気に読めました。
事件の詳細については上のうちの親父も大好きなカカチャンネルの解説動画に詳しく紹介されていますが私の方から説明すると、ある日はてなの経理部長に「警察です、マネーロンダリングの疑いがかかっています」というよくある電話がかかってきて、言われるままに資金を移動させて11億円流失させてしまっています。事件の背景として報告書では、上場前から長年経理業務を担当していた二人だけの経理社員が数年前に引継ぎもせずに辞めてしまい、流失させた経理部長は一時休職に追い込まれるなど経理現場が大変混乱しており、関係者同士のコミュニケーション不足もあったことなども遠因として挙げています。
ただそうした経理部内のゴタゴタも理解できますがそれ以上に直接的な原因として、上場企業が最低限持つべき内部統制の仕組みがはてなには全く存在していなかったことも指摘されています。具体的には普通、認可されていないソフトウェアは業務用PCにはインストールできなくさせるのにはてなにはそれがなく、今回の詐欺事件でも遠隔操作ソフトを入れられて詐欺師に送金を許しています。
また送金に関する承認システムも明確な不備があり、具体的には経理担当と出納担当を分ける職務分掌がなされず、経理部長本人が振込指示と承認が行えるようになっていたため巨額な資金の流失を招いています。さすがにこれは経理業務における基本中の基本であり、これが疎かだったということは多方面のガバナンスに問題があるのではと疑ってしまうレベルです。っていうか、この職務分掌すら果たされずに上場維持しているという時点でかなり疑問ですが。
なおコメント欄にある「株主には配当せず詐欺師に配当」っていう一言は面白かったです。
ただこの事件、リンク先動画のコメント欄にもありますが完全に他人事だと思って笑ってみられる事件という風にも思えないというか、どこでも起こりうる可能性がある事件のように感じます。はてなほど極端な結果にならずとも詐欺の手口の巧妙化に伴い、他山の石にはすべきでない内容に思えてなりません。特に報告書にあるように権限の分割や送金上限額の設定などの対策はもっと周知するなどして、他山の石とすべきでないように思えます。
話を戻すと冷静な状態だと騙されない内容でも弱ってるときだところっと騙されるというのは自分でも経験あり、私自身もこの経理部長に対して他人事に感じませんでした。そうしたいろんな感情を一度に持てるエンタメ性でもかなり優秀だと思うので、興味を持った人はこの報告書をぜひ読んでほしいです!
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