今日は自転車で20分の日本料理屋に昼間行った際、到着してから自転車のカギを持ってくるの忘れたことに気が付いて一度帰宅し、再び戻るという1時間のサイクリングを行った結果、その後で熱中症になり吐きそうでした。1時間のサイクリングで熱中症になる情けなさもさることながら、マジあのわんこそばを無理やり食わせられ続けるような吐き気は辛いです(新井さん風)。
話は本題ですが、中古車大手のビッグモーターが車検時に敢えて車体を傷つけ、保険金を過大に請求していたという事件が大きな話題になっています。自分はこの事件を上記の今年4月に出たフライデーの記事で知ったのですが、その驚愕するような報道内容に対して当時の世論の盛り上がりは非常に小さいものでした。この点について他のメディアやフライデー自身も報じていましたが、報道に対しビッグモーターは一切悪びれることなくノーコメントを貫き、企業側がダンマリを決め込むのを見てたの新聞やテレビなどの大手メディアも黙殺していたということが背景にあります。
これは自分も経験あるのでよくわかるのですが、テレビや新聞などの大手メディアは記者クラブ外の週刊誌メディアを低く見ている節があり、彼らが報じた内容について「週刊誌のフライデーの報道によると――」などとニュース引用をすることを意図的に避ける傾向があります。実際に過去にあるニュース番組が週刊文春の報じた内容をほかにソースがないにもかかわらず文春の名前を隠した上で勝手に引用したことがあり、文春側の抗議を受けて後から渋々「文春さんの報道を引用しました( ゚д゚)、ペッ」みたいな感じでいかにも嫌そうな態度で体裁を取ったことがあります。
仮にフライデーの報道を受けてビッグモーター側がコメントやプレスリリースを出した場合であれば、「ビッグモーターの発表によると――」という風に報じることができるので、大手メディアも報じていたことでしょう。ただ前述の通りビッグモーター側は大手メディアのそうした週刊誌軽視の風潮を知ってかこの件に関して一切何も反応を出さず、ダンマリ戦術で逃げようとしていた節がありました。しかし事件の大きさや内容のひどさ、そして恐らく不必要な保険求償を受ける羽目となった保険会社側の抗議もあってか外部調査を入れざるを得ず、その報告書が今回発表されたことを受けて大手メディアもようやく重い腰を上げ、今になって雪崩を打つかのように報じるようになったと私は見ています。
上記のような背景から、最初にこの事件というかビッグモーターの従業員がタイヤに穴をあける衝撃的な内部告発動画を報じ、ビッグモーターにも他のメディアにも黙殺される中も続報を出し続けたフライデーに関しては、その粘り強く報じ続けた姿勢に感嘆するとともに、もっと世の中に評価してもらいたいと陰ながら感じています。不正に関する報道自体は以下の2022年8月に出た東洋経済の記事が先行しており、恐らくこれが初報だったのではと思いますが、今回はっきりと事件化にまで至らせたのはフライデーの功績も小さくないでしょう。
・保険の「不正請求疑惑」めぐり大手損保が大揺れ(東洋経済)
さてそのビッグモーター事件ですが、自分の目から見ていくつか不審な点があります。一つは、何故監督当局はビッグモーターに対し査察を行わなかったのかという点です。
最初の東洋経済による保険金の不正請求報道に関しては疑惑レベルだったのでまだしも、フライデーの報道に関しては故意にタイヤに穴を空けることを指導する不正以外の何物でもない行為が、歴とした動画で公開されました。私はこの時点で陸運局など国交省傘下の監督当局から何かしらの査察なり調査に入るかと思っていたのですが、前述の通り大手メディアがスルーするほどなにも音沙汰がなく、これほどの不正を見て見ぬふりする行政の態度の方がビッグモーターの態度以上に驚きを感じました。
もう一つの不審な点はほかならぬ保険会社、それも損保ジャパンの怪しい動きです。
・ビッグモーター不正請求、窮地の損保ジャパン(2022年9月、東洋経済)
・ビッグモーター、保険金不正の真相究明に新展開(2022年12月、東洋経済)
・ビッグモーターと損保ジャパン、不正請求の蜜月(2023年7月、東洋経済)
この事件での損保ジャパンの動きに関しては東洋経済がいい意味でしつこく、詳細に報じ続けています。不正の実態に関してはフライデー、保険過大請求に関しては東洋経済がこの事件の報道で本当に活躍されています。
話を戻すと、上記の東洋経済の報道によると不正疑惑が持ち上がった当初、本来なら保険金を過大に求償された被害者の側である損保ジャパンは、ほかの保険会社と違って何故かあまりビッグモーターを追求せず、ビッグモーター側の言い逃れを受けるや「はい終わり、この問題は終わり!」的に早々に幕引きを図ろうとした節があったそうです。実際にフライデーの報道以降、私の方でも保険会社の動きも軽く見ていましたが驚くくらいにビッグモーターへの批判や追及がなく、大手メディアはともかくとして何故保険会社も黙っているのかと不思議で仕方ありませんでした。
それもそのはずというか、一部で指摘されていますが保険会社としてはビッグモーター側の府政によって払う必要のない保険金をビッグモーターに支払うことになるものの、その後に車両の保有者に対し保険金支払いを口実に保険等級を引き下げ(=保険料を引き上げ)ることで、後々回収に至ることができるという構図が成立します。言い方を変えると、ビッグモーターが保険金を求償することで保険会社は保険料の引き上げを行うことが可能となり、最終的に両社はWin-Winで儲かる一方、負担は消費者個人にだけ向かうわけです。そのため当初より、ビッグモーターと保険会社、特に怪しい動きを見せていた損保ジャパンは癒着しており、その不正も知ってて黙認または推奨していたのではないかと東洋経済も暗に指摘しています。
仮に損保ジャパンもグルだった場合、最初の監督当局が全く調査に動かなかった理由にもつながってくるのではないかと思います。これは具体的根拠のない完全な私の憶測ですが、損保ジャパンほどの大企業なら一定の政治力を有しているだけに、監督当局に対し「自分たち保険会社の方で調査するから」などと言って、ビッグモーターへの査察にブレーキを掛けていたというシナリオも、可能性レベルならありうる気がします。かなりぶっ飛んだ推測だと思いますが、それほどまでに自分は行政がこの問題に当初全く動こうとしなかったのが不思議に思っており、東洋経済の損保ジャパンの報道を見てこれが背景なら納得できると初めて得心を得た次第です。
とはいえ、損保ジャパン以外の保険会社はこの問題に対しビッグモーターへの不信を高めており、またビッグモーターをかばう幹事保険会社の損保ジャパンに対しても反感を持ちつつあると報じられています。まぁ実際、下手すりゃ関電に騙されたほかの電力会社みたくカルテルの疑いをかけられる恐れもあるだけに、ちゃんととるべき対応を取らなければほかの保険会社も相応の打撃を被ることでしょう。
それにしてもこの事件、消費者への補償を行うとなると相当な金額に上ることは間違いないでしょう。補修範囲がどこまで故意なのかが明確に区別できない以上は、過去に請求した保険金額全額が補償対象になり得る可能性もあり、また保険金支払いを口実に保険会社が保険等級を引き上げていた場合、加算分の保険料も補償しなければ話にならないでしょう。後者の負担に関しては、補償するのはビッグモーターなのか保険会社なのかでまた揉めると思われますが、それだけにほかの保険会社は責任を損保ジャパンにうまくもっていかないとえらいこっちゃになるでしょう。
それ以前に、明確な不正対策が実施されていないにもかかわらず未だビッグモーターが営業停止になっていないという事実に日本の闇を感じます。中国だったらこの辺わかりやすいくらいにすぐ行政が制裁をぶつけるか、損食わされた消費者が「金返せ!(# ゚Д゚)」的に雪崩を打って店舗や会社に突撃するので展開早いのですが、日本はジャンプ漫画の引き延ばしみたく展開が遅いのでこの辺はもっと中国見習った方がいいなという気がします。