ページ

2020年11月28日土曜日

中学受験する子供に言ってはならないこと

 上海は昨日まで長雨でしたが今日は久々に雨がやみ、曇りとはいえまだ気分的にマシでした。もっとも天気以上に空気が入れ替わって湿気がなくなったことの方が個人的にうれしいです。
 ちなみに急激に気温が下がったこともあって街中や商店の人影はいつもより少なく、その分自転車で走りやすくてこれまた都合がよかったです。今日は買う気なかったのに、またプラモを衝動買いしてしまったけど。

 話は本題ですが、Yahooニュースとか見ていると最近子供の不登校や教育に関する記事もいくつか候補に出てきて適当にそれらを読んでいますが、そういうのを読んでいて、中学受験する子供にこれだけは絶対に言っちゃいけないなと思う内容があります。
 具体的には、「今勉強していい中学に受かれば、中学と高校では楽が出来て、スポーツなどに集中できる」という内容です。結論から言うと、この発言は根本的な事実間違いが含まれています。

 仮に大学付属の私立中とかなら、私も通ったことがないのでもしかしたら上記発言の通りかもしれません。しかし一般的な中高一貫校の場合、私の経験で言うと上記発言の通りには絶対にならないと断言できます。理由は非常に単純で、公立校と比べ中高一貫校の授業ペースは早く、勉強しなかったらあっさりドロップアウトするからです。
 実際にというか私の通っていた学校では、1年次の終了とともに確か男子生徒2人がドロップアウトして地元公立校へ転校しました。私自身も中学時代は成績は下から数えた方が早かったですが、後述しますが私自身というより学校の仕組みに問題があったせいで成績が上がらなかったのだろうと考えています。

 恐らく多くの親の世代の考え方では、中学受験すれば高校受験のために勉強する必要はなく、その分だけ中学と高校で部活動などの課外活動にも集中できると思い込んでいる節があります。でもって、それを受験させる子供への売り文句として実際に私も使われたし、ネットに出ている教育相談関連記事でもまさにそういって受験させたところ不登校になったという話をよく見ます。
 しかし一般的に中高一貫校の授業ペースは早く、特に英語と数学に関しては公立校とは比べ物にならないくらいハイペースです。私の学校では数学は中三の時点で数Ⅰ・Aに入ったし、英語に関しても一般受験組と比べれば基礎暗記単語量では劣るものの、長文読解力は高く、この方面で中学生にしては高い水準が要求されていました。

 で、普通に考えて、こんなハイペースな授業が続けられる中で部活とかに集中できるかです。はっきり言ってそんなわけなく、実際うちの学校の運動部とかは半端なく弱かったです。それこそ将棋部とかそういうのだったら話は違うかもしれませんが、運動部入って疲れた状態で帰宅し、普段のハイペースな授業についてこれるかっていったらそんなわけないでしょう。むしろそんなんだったら、普通に高校受験する方がまだ短期集中で乗り切られるところもあるだけに、中高一貫校より課外活動に集中できるのではと思います。

 その上でと言っては何ですが、これは以前にもブログに書いてはいるものの、お世辞にも私の通った学校の教師は授業での指導が上手くありませんでした。中にはテストの学年平均点が30点台だった際に「なんでお前らは勉強しないんだ」と生徒に責任転嫁する教師までいて、見ていて明らかに、素材の良い生徒たちに助けられているだけで、実際にはほぼ全く指導力のない教師が少なからずいました。
 しかも具合の悪いことに、中高一貫校とはいえ厳しい家庭ではすでに大学受験を見据えて、中一から予備校に通わせる家も少なくありませんでした。でもって、そういった予備校に通う生徒が学校でも揃って成績が良く、ぶっちゃけ学校の授業に余り価値がないことを間接的に証明している有様でした。

 私自身もというか、テストの成績良くないから「中学受験すれば中学生時代は塾とかに通わずに済む」と言われて受験したものの、結局また中一から予備校に入れられる羽目となりました。もっともそこで対応してくれたアルバイトの大学生塾講師と馬が合い、成績は実際かなり急上昇したし、その講師の指導で政治とかに興味を持ったので塞翁が馬でしたが。
 逆にもし講師と馬が合わなければ、真面目にかなり危険な状態になっていたかもしれないと今思います。

 それで話を戻すと、「今勉強していい中学に受かれば、中学と高校では楽が出来て、スポーツなどに集中できる」といって子供をいい学校に入れてしまう、特に偏差値的に受かるのは難しいとされていた第一志望校とかに運よく合格して入っちゃうと、十中八九その子供は「あれは嘘だったんだ」と親に裏切られたような心境を持つであろうと私は思います。
 極端な例かもしれませんが、予備校でクラスが一緒で仲良くしていた友人が、普段のテストの偏差値からすると大金星的な高偏差値高に受かって、そこへ進学しました。ただ高校でドロップアウトしたのか中退したことが後年わかり、いい学校に受かるのも素直に喜べるわけじゃないと当時感じています。

 偏見かもしれませんが、何か特定のスポーツに従事したいと普段から言っている子供は勉強好きはそこまで多くいません。素材が良かったり体力があったりして中学受験で上手く成功を収めるかもしれませんが、受かった先の学校でスポーツに集中できるかと言ったら、そこではさらに素材の良さが求められてくるでしょう。はっきり言えば、地元公立校に通わせた方がそういう子たちの負担はずっと低くて済む気がします。
 それでも敢えて中学受験させたいってんなら、やはり分相応な偏差値の学校に入れる、若しくは通学面で有利な一段レベルを下げたような学校に入れさせるのも手でしょう。そうした学校なら授業についていく上ではハイランクの学校よりずっと余裕があり、親の言う通り高校受験を回避することで課外活動に集中できる環境があるかもしれません。一番良くないのは、本人が決して勉強好きでもないのに、分不相応にレベルの高い学校に入るということでしょう。
 っていうか、勉強好きじゃない子なら初めから中学受験なんてさせるべきじゃないでしょうが。

 最後に途中で話した高校受験組について少し補足すると、前述の通り中学時代の私はあんま成績良くなくて結局塾に入れられ(中三時は半分より上で無試験進級組に入ったが)、高校に入るやすぐまた大学受験に備えるよう別の予備校に入れられました。まぁ高校生の時点ではそんな抵抗感なかったけど。
 高校で入った予備校には地元公立中学から高校受験した生徒も多くいたのですが、彼らを見て感じたこととしては前述の通り、暗記している英単語量で私立中出身の私と大きな差があるということでした。上位高校の生徒に限られますが、やはり高校受験でその辺の対策が求められることから、英語に関しては長文読解は私の方が上かもと思いつつ、基本的な単語量では逆に遠く及ばず、「高校受験しなくて済むと言われて入ったが、結局高校受験組とは実力差がつき、この分を埋め合わせなければならないことを考えると中学受験しただけ無駄だったな」という結論に至りました。ぶっちゃけ今でも無駄だったと思っています。

 ただ世の中わからないもので、高校時代は一番英語苦手だったのに、社会人になってからは外国語をメインに使う仕事ばっかやっています。こう考えると、高校の成績は何の適正も見いだせないなと思います。思考も文系のくせしてやたら数学的な論証が多いし。

2 件のコメント:

ルロイ さんのコメント...

○○に達すれば安泰、という考え方がそもそも間違ってるのだろうなと思います。
どんな道に進んでも頑張ることを辞めたらろくな未来がないなとここまで生きてきて感じますし。
それでも昔から日本では「ここまでやったら一生安泰」のような「あがり神話」を信じている人がすごく多く、子供にもそれを強制する人の話は古今東西よく聞きますね。
子に楽をさせたいというのは親の心情ですが、その心情が根底から間違っているのかもしれません。

花園祐 さんのコメント...

 いつもながらおっしゃる通りで、一時期「人生すごろく」という言葉もありましたが、なんか日本人は一定基準に到達したら安全圏的な価値観が確かに強く感じます。親もある意味子供に対し、「( ゚Д゚)<人は死ぬまで苦しみ続けるのよ!」と教えてあげる方がかえって優しさかもしれません。