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2021年5月25日火曜日

相手に負い目を意識させる価値

 1回間に記事を挟みましたが、この前書いた漫画のブラックラグーンにおける主人公とヒロインの関係に続く記事を書きます。前回の記事で自分は、この漫画の主人公とヒロインの関係はやや特殊で、ヒロインが主人公に贖罪意識を持ってるせいで割とホイホイいうこと聞くと書きましたが、この贖罪意識とは単純に負い目で、あまり言及されることはないけど一般の人間関係において圧倒的な強みを持つ要素だと個人的に考えています。

 贖罪意識こと負い目、または借りといった意識ですが、これは相手に何かを強要する際においてこれ以上ないくらいの心理的プレッシャーを与える要素と言って間違いないでしょう。個人間の信頼関係においては他には愛や友情、男気や恩義などいろいろありますが、例えば愛とかだとその感情が深すぎると他の人との関係で軋轢を生むこともあるし、また対等な関係にも用いられるので意外と関係性の強固さで言えば実は緩い方だと思います。むしろ男気の方が強かったりして。
 一方、恩義もいくらか負い目と被るところありますが、こうした負い目方面の意識を相手に植え付けさせれば、前述の通り強制力において最強のカードとなります。人間、どれだけ傲慢な性格してても、特定個人に対し何らかの負い目を持っているとちょうど脅迫されているような感じで、少なからず無茶な要求されても従ってしまう、また完全に従わないまでも動揺して何らかの協力をしてしまいます。

 一体何故負い目がそこまで人の心を動かしてしまうのかついては自分もあんま研究してないのでわかりませんが、この負い目に着目、というか付け込むという意識を持つと人間関係においてかなり有利に立ち回れることでしょう。むしろあまりにも有利過ぎるが故に犯罪行為に使われていることの方が多く、尼崎事件などはまさにこうした心理に付け込んで多くの家族の乗っ取りに成功しています。

 この尼崎事件ほどではないにしろ、一般人の日常生活においても負い目を意識させるという思考は私自身はある程度持っていた方がいいという風に考えています。具体的には相手に「借りを作ってしまった」と思わせる程度の行為で十分なのですが、例えば何か困難な作業を頼まれて完了した際に、「なんでもなかったですよ」という風に強がるのではなく、「大変だったけど頑張って何とか仕上げたよ」的に言う方が、後々のためにはやはり有利でしょう。極端な場合、簡単な作業であってもめちゃ苦労させられた風に装うのも手かもしれません。
 ただあまりにも苦労アピールし過ぎると、ぶりっ子ちゃん疑惑立つので加減は大事です。

 こうした苦労アピールは初歩の初歩ですが、少し複雑な目線で立つならば、事後に相手に借りを作ってしまったと思わせるという戦術もかなり強力だと考えています。具体例を出すと、その相手のあずかり知らぬところでその相手のためになる活動なり行為を行い、すべて完了し終わった後で、「ああ、あれ俺がやっといたよ」的にさりげなく言うと、結構これが相手に響くことが多い気がします。もっと回りくどい手を使うなら、自分ではなく第三者に「あの人が凄い頑張ってくれたよ」的に言わせるとさらにさらに有効です。
 言うまでもないですが、この際にあまり見返りを求めるのは厳禁です。仮に見返りを求めるとそれが相手にとってその借りに対する補償行為と認識され負い目を感じさせられなくなります。ヤクザもよく使う手段ですが、ヘマした時にすぐにお詫びなりなんなりを一切行わせない、そういう隙すら作らせないというのは相手を追い込む上ではめちゃくちゃ有効だと自分も思います。

 ではこうして相手に負い目を意識させたらどうするか。ぶっちゃけそのまま意識させ続ける、継続することが何よりいいと考えています。少なくとも負い目を持っている相手はこちらとの対立を知らず知らずに回避しようとしがちで抗争に発展し辛くなるし、何かトラブった際に援助を期待することもできます。
 それ以上に、ここぞというところで「鉄砲玉になってくれ」みたいな無茶な要求を通す時に威力を発揮するので、忘れない程度に負い目を時たま意識させることが周囲の人間関係で有利に立つ上で重要な気がします。

 ただこの負い目を意識させる行為を無意識にやっている人、なんとなく女性に多い気がしますが、この手のタイプは相手が負い目をなかなか意識してくれない、または負い目を感じさせる隙がなかったりすると猛烈にその人間に憎悪を向ける、下手すりゃ排除しようとしてくる傾向がある気がします。そうしたことを考えると、何が何でも負い目を意識させようとするとこちらも知らず知らずに敵を作ってしまうことにもなりかねないので、やはりほどほどがいいでしょう。

 さらにその上でいうと、自分が誰かに負い目を感じてしまったらどうするかというのがディフエンス面での議論となってきます。単純な解決手段としては補償行為を行う、つまり相手にお礼なり逆支援したりして、「借りは返した」的な状態に持って行くというお決まりパターンです。自分もそうですが、やはり負い目をどっかで覚えていると単純にその相手に対する判断が物凄く鈍る傾向があり、何が何でも負い目を感じないようにするのもどうかと思いますが、やはり一定のラインを越えたら解消するように動いた方がいい気がします。
 また負い目を感じている相手から、ブラック企業的なかなり無茶な要求が出始めてきたら、その相手との関係をどうするかある程度は真剣に考えた方がいいでしょう。負い目を持っているということからその相手には何らかの借りが過去にあったとは思うものの、それまでの親切な対応から手のひらを反すように苛烈な要求を仕向けてきた場合、確実に負い目を梃子に強制力を及ぼそうとする意識を持っていると判断した方がいいです。そのような相手だとどれだけ補償行為をしても過去の借りを何度も持ち出してくるだろうし、またその要求も苛烈さをどんどん増していく可能性すらあります。

 はっきり言ってしまえば、負い目を過度に利用する相手だとわかった場合は距離を置く、場合によっては関係を断つ決断も必要になってくると思います。自分もこうした考えから、基本的には相手に与える借りが収支でプラスになるよう維持するものの、向こう側にその意識があったら相手の補償行為をなるべく受けるようにしています。あまりにも借りを一方的に作り過ぎると相手に警戒されることはもとより、自分自身がそれを利用する側の人間に変わってしまうのではないかという懸念があり、そうならないよう借りの精算を意図的に行うことでバランスを保つよう意識しています。

 以上を踏まえて言うと、ヒロインに負い目を持たせてあれこれ無茶な要求するブラックラグーンの主人公のロックはジゴロだということになります。まぁヒロインに対しあまり気にすんなとは言ってはいますが、それを推しても平気で鉄火場こと撃ち合いの場面にガンガン放り込むのは結構苛烈な要求である気がする。

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