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2016年10月21日金曜日

電通の過労死事件について

 先日、マスコミ業界に関わる人間なら知らぬ人はいない電通で入社したばかりの女性が過労から自殺していたことがニュースで大きく取り上げられたことをきっかけに、超過勤務と過労死に関するニュース報道がこのところ増えています。何故か関電にも飛び火して、月の残業時間が200時間を越えていた社員が過労死したことも報じられていましたが、個人的には何故今更になってこの件が報じられるのかなと違和感を覚えました。

 さてこの問題について電通の体質、いわゆる「鬼十則」などと並べ立てて報じるメディアやコメンテーターが多いですが一部で言われているようにこの手の話は広告業界ではごくごくありふれた話で、上の関電の例と同じく「何を今更」という感じがしてなりません。断言してもいいですが電通の様に残業時間が膨大だったり無茶苦茶な暴言が飛び交っている広告代理店なんて掃いて捨てるほどあり、この業界で過労死した人間なんていちいち数えてなんかいられないでしょう。
 なお余談ですが名古屋に左遷されたうちの親父が仕事が忙しかった頃、過労死した時の証拠となるように勤務時間を毎日メモっておけとうちのお袋に命じられていました。当時は何とも思わなかったけど、今思うと血も涙もない命令だったなって気がします。

 話は戻りますがこの件について電通や広告業界の体質をとやかく論じても意味がないと思うしほかの人間もいくらでも論じられるだろうから敢えて違った視点に立って意見を述べると、エイジスはなんだったのかななんて今回思いました。

ブラック企業と公表された会社、そして私の過去

 上の記事は私が今年五月に書いてアップした記事ですが、概要を述べると厚生労働省が直々に、残業時間が非常に長くて改善が見られないいわゆる「ブラック企業」としてエイジスという棚卸代行サービス会社を公表した件について論じています。記事中にも書いてある通り私はこの会社で学生時代にアルバイトをしたことがあり、あくまでアルバイト目線で言えばそこまで変な会社だとは思わなかったし、棚卸代行という業務内容から言って決算前の繁忙期に勤務時間が極端に長くなるのは仕方のない面もあるのではと擁護するような形で記事を書いています。

 このエイジスの件を引っ張り出して何を言いたいのかというと、何故電通はこれまでに厚生労働省からブラック企業として公表されなかったのだろうかと言いたいわけです。報道によると電通では以前にも新入社員が過労死する事件が起きており、また超過勤務も当たり前な上に当局から軽く注意を受けるや少なく申告するといった隠蔽工作も行われていたとのことで、何故これほどまでに既成事実が積み上がっていたにもかかわらず「ブラック企業」だと厚生労働省は名指ししなかったのか。少なくとも私はエイジスで過労死が出たという話は聞いたことがありません。
 はっきり言えばエイジスなんかより電通の方がずっと悪質かつ問題も底深い上に、上の事例を鑑みるだに反省のかけらもへったくれも見えません。にもかかわらず厚生労働省は電通には名指しでの批判を行っておらず、先のエイジスの件と比較すれはするほど公平性に欠けた対応にしか見えず、真に批判すべき対象はどっちかと問いたくなります。

 何故厚生労働省が電通を批判しないのかは言うまでもなく電通がエイジスなんかよりずっともっと大きい会社だからでしょう。逆を言えば批判しても抵抗することが出来ないとわかっているからエイジスをわざと槍玉に挙げてほかの巨大企業については何も批判を行わなかったのが実情だろうで、一言で言えば厚生労働省は弱い者いじめをやっているんだなとこの件で私は思いました。なので真に取材、批判すべき大将は電通とか関電ではなく厚生労働省で、何故これほど問題のある企業を放置してきたと突っかかった上で、いつ電通をブラック企業として名指しで批判するのかをマスコミは聞くべきではないかと密かに考えています。まぁこうした意見はざっと見ている限り自分以外で発信してる人はいないようだし、そこまでやるマスコミは出てこないでしょうが。

 最後に、冷たい言い方をすると既に過労死してしまった人間についてとやかく言い続けても仕方のない面があります。それよりは今後、過労死をどうやって減らすか、過労死を生むような会社をどう淘汰するかを考えることの方がより建設的であるというのが私の意見です。

2016年10月19日水曜日

後悔より始まる責任感

 前回の記事では映画のスパイダーマンについて延々と語りつくしましたがリアルでもあれやると軽く引かれます。とはいえ、自分がどれだけスパイダーマンが好きかはあの記事読んでもらえば大体わかってもらえるでしょうが、私が何故スパイダーマンを好むかと言うと彼のヒーローとしての孤高性はもとより、彼がヒーローとなったきっかけとその動機が個人的に胸を打ったからです。

 映画を見ている人なら話は早いですがスパイダーマンの中の人ことピーター・パーカーは偶然スパイダーマンとしての能力を得た直後はその力を私利私欲に使い、掛け試合に出てお金を稼ごうとしたりしますが、捕まえようと思えば捕まえられた強盗を「自分の仕事ではない」と敢えて見逃したところ、その強盗によって自分の養父である叔父が殺害されるという皮肉な結果を招くこととなります。この体験と叔父から受けた言葉からピーターは、自分の持てる力を可能な限り他人のために使うヒーローとなることを決心し、自己犠牲的なヒーロー稼業にのめり込んでいくこととなるのですが、スパイダーマンのヒーローとしての原点はやはりこの時の「後悔」にあると言えるでしょう。

 ここで話は変わりますが、今年に高い人気を保ったままジャンプ作品としては珍しく円満に終了した「暗殺教室」という漫画作品があります。この作品の主人公の「殺せんせー」は頭もいいし教え方も上手だし授業帯でも生徒の悩みにいくらでも応えてくれる上にマッハ20で飛び回る、教師としてはこれ以上ないくらい理想的な教師で生徒たちを時に厳しく時に優しく導きます。しかしその姿は見ようによってはやはり自己犠牲的で、まるで生徒の存在が人生すべてであるかのようにももえるのですが、ネタバレになるので核心については省きますが、この殺せんせーも過去に起きたある事件に対する深い後悔をきっかけに生徒たちへの指導に全精力を傾けることを決心するようになります。
 この「暗殺教室」についてこうした評論はあまり見ませんが、突き詰めればこの作品は後悔に対する物語だと私はみています。

 あくまでお話の上ですが、上記の二作品における主人公はどちらも過去のある後悔をきっかけに強い責任感を持つようになり、その後の行動、ややもすれば自己犠牲的な行為を行うようになります。私は何もこうしたことはお話の中だけでなく現実でもそうであるように思え、責任感というのは大抵は後悔より始まるのではないかと思え、特に他人を巻き込む後悔ほど「二度としてはならない」という意識を喚起させるものはなく、そうした体験が多ければ多いほどその後の行動は慎まれ、反省を生かそうという意識が働いて当人、ひいては周囲にとってもいい影響を及ぼすのではないかと私は考えています。とはいっても、度が過ぎて自己犠牲的になりすぎたらそれはそれで問題でしょうが。

 世間ではよく後悔に対してネガティブな印象が強くしないならしないに越したことがないとも言われますが、自分はそうは思わず、率先して後悔しろとまでは言いませんがあったらあったで役に立つから避けるようなものではないと思います。もちろん後悔から何も学ばず同じ後悔を何度も繰り返すのは問題外で、一番肝心なのは二度と繰り返してはならないという強い信念を持つことにありますが。

 なお今日の帰り道、ふと一年前の自分を思い返しましたがちょうどこの時期に転職先の当てもまだなかったのに前に所属していた会社を辞めようと決心、というか辞めると会社に宣言しました。辞めた理由は絶対に許すことのできない人間がいたためですが、この決断に至ったのも過去に問題があるとわかっていながらも自分さえ我慢していれば丸く収まると思って我慢した所、余計な人間を巻き込んで不幸にさせてしまったという後悔に対する反省が働いていたかもしれません。
 幸いにして一年前と比べれば今の状況は大きく好転しており、行き当たりばったりな自分の決断もたまにはうまくいくもんだとつくづく思います。

2016年10月17日月曜日

映画「スパイダーマン」の系譜

 今年日本でも公開された「キャプテンアメリカ3 シビルウォー」はキャプテンアメリカシリーズでありながらアイアンマンを筆頭に他作品のヒーローが一堂に勢ぞろいして実質的には「アベンジャーズ3」といってもいいような豪華な作品でした。この作品にはキャプテンアメリカ、アイアンマンの主役二人に加えほかにも様々なマーブルヒーローが登場するのですが、その中でも公開前から最も期待が高かったのはほかでもなくスパイダーマンでしょう。

 ディズニーが作る一連のマーブル実写化作品でスパイダーマンが登場するのは今回が初めてですが、そもそもマーブルヒーローの中でも屈指の人気を誇るスパイダーマンは何故これまで出てこなかったのかというと映画化権の問題があったからです。スパイダーマンはトビー・マグワイア主演での初の実写映画化作品からずっとソニーピクチャーズが製作しており、映画化権も彼らが持っているためディズニーは他のマーブルヒーローと一緒にスパイダーマンを作品に出演させることが出来ずにいました。
 そんな状況が変わったのは確か一昨年で、やはりヒーローものは勢ぞろいすることに価値があるという打算的観点から、ディズニーとソニーは協議を持ってお互いの作品の中でお互いの版権キャラクターを無料で使い合ってもよいということを確認し合ったことにより晴れて今回、スパイダーマンがディズニー作品に出演することが出来たわけです。

 この判断の裏には既に書いたようにお互いに細かいことは抜きにしてエンターテイメントを盛り上げようという打算的観点もありますが、恐らく実際はそれ以上に、アンドリュー・ガーフィールド主演でリブートした「アメイジング・スパイダーマン(アメスパ)」シリーズが思ったより振るわなかったことがソニーを大きく動かしたのではと考えています。

 トビー・マグワイア主演の初代スパイダーマンシリーズは歴代興行収入を更新するなど記録に残る大ヒットを残し、「ヒーローものは当たる」という価値観を作り現在のハリウッドにも少なからぬ影響を残すほどの作品でした。しかしソニーと監督側で衝突があったことから初代シリーズは3で終了し新たにリブートして作ったのがアメスパでしたが、興行収入は黒字も黒字で十分にヒットしたと言える成績を残してはいたものの、ソニー側としては「スパイダーマンなのに」と洩らすほど期待したほどの成績ではなく、実際に初代スパイダーマンと比べると確かに成績面で大きな差がつきました。

 映画を見た私の目からしてもアメスパは正直物足りないというか、初代シリーズと比べてやや残念な作りでありました。俳優陣は非常に頑張ってて演技力も申し分なく、特にヒロインに関しては演じたエマ・ストーンはマジ美人だと感じるほどの女優でしたが、逆にそれがこの作品にとってネックとなったように思います。具体的に述べると、スパイダーマンこと主人公のピーター・パーカーが幸せすぎるというか流行り言葉で言えばリア充過ぎており、そこそこ体格もよくイケメンで、自分がスパイダーマンだと知っているかわいいヒロインと付き合いながらスパイダーマンやってて、「こんなハッピーなのってスパイダーマンじゃない」って見ながら何度も思ったわけです。
 原作を知ってる人には早いですがスパイダーマンはその正体を隠しながらヒーロー活動をしており、活動のせいで大学の授業単位を落としかけたり、バイトをクビになったり、デートに遅れたり、新聞には小悪党などと書かれたりとプライベートでは非常に報われない生活を送ってたりします。だからこそ彼の孤高なヒーロー性は光り、誰かに認められることがなくともヒーローとして戦い続ける姿に皆が強い共感を覚えるため人気ヒーローとなれたわけです。

 初代スパイダーマンはこの辺の演出が徹底しており、パーティでグラスを取ったら既に誰かに飲み干されたグラスだったり、片思いの相手が親友と付き合いだしたりと非常に報われず、また主演のトビー・マグワイア自身が華奢な体格のため如何にもパッとせず弱弱しいというのも見逃せない点です。おまけにヒロインのキルスティン・ダンストも美人かと言われたら「?」がつく容姿で、「本当に愛しているのはあなただけ……」と、ピーター(=スパイダーマン)に言いながら何度も男をとっかえひっかえする様は見ているだに憎たらしく、一時期嫌な女の例えとして「MJのような女」という言葉を私も多用しました。
 こうしたスパイダーマンをこき下ろす演出や脚本がアメスパにはないため1も2も見はしたもののあまり評価していなかったところ、なんとアメスパは2でシリーズが打ち切られることとなり、二度目のリブートが行われることをソニーは発表しました。そして新たに作られるスパイダーマンには、冒頭の「シビルウォー」でスパイダーマンを演じたトム・ホランドがそのまま続投して演じることが先頃に発表されています。

 「シビルウォー」ではキャプテンアメリカ連合に対抗するための援軍としてアイアンマンがスパイダーマンをスカウトするという形で登場し、登場シーンは決して多くはないのですが、それでもそのわずかな登場シーンだけでトム・ホランドについて私は強い期待感を覚えました。スーツを着たアクションシーンはスーツアクターがやっているであろうためこの点の評価は避けますが、バレエをやっていただけあって身体の動きには切れがあり、なおかつ普通の高校生の振りをしながらアイアンマンに茶々を入れられるや一瞬でヒーローの顔つきになる演技の仕方は厳しいオーディションを抜けて来ただけはあると納得させられます。そして何より、初代スパイダーマンことトビー・マグワイアを彷彿させる華奢で弱弱しそうな見てくれは見事スパイダーマンに合致しており、現時点においてすら彼が主役を演じる新たなスパイダーマンが出来上がるのを楽しみでしかたありません。

 なおシビルウォーでのキャプテンアメリカ達との戦闘では原作通りに常に冗談を言い続けて敵からも「しゃべりすぎだ」と注意されたり、蹴って殴って盾飛ばすしかないキャプテンアメリカと違い、糸を使って縦横無尽に飛び回りつつ戦うスパイダーマンのアクションは「これこそスパイダーマンだ」と久々に唸らされました。しかも戦闘中、キャプテンアメリカから「イキがいいな坊主、どこの出身だ?」と尋ねられ「(ニューヨークの)クィーンズだ」と答えるやキャプテンアメリカがニヤッと笑い、「(俺は)ブルックリンだ」と返答するシーンの演出はこれまた非常に心憎かったです。
 しかもこの映画のスタッフロールの後、傷を負って(痣程度だが)帰ってきたスパイダーマンに同居しているメイ叔母さんから、「誰とケンカしてきたのよ?」と聞かれ、「あー、えーっと、ブルックリンの連中に絡まれたんだ。スティーブって奴に(キャプテンアメリカの本名)」といってごまかすシーンが設けられています。っていうかソニーなんかより、この際だからこのままディズニーがスパイダーマン作ってくれないかな……。

  おまけ
 「シビル・ウォー」ではトム・ホランドという新たなスパイダーマンに期待を感じた一方、スパイダーマンの育ての親に当たるメイ叔母さんを演じる女優にも目が行きました。これまでの映画でメイ叔母さんは初老の女性で、例えて言うなら「カントリー・マァム」っぽい女優が演じていましたが、この映画だとまたえらく若そうに見えて美人な、例えて言うなら「メルティ・キッス」っぽい女優(マリサ・トメイ)が演じていて、「え、あんた本当にメイ叔母さん?」って目を丸くしました。
 スカウトに来たアイアンマン(ロバート・ダウニー)も、「それにしてもこんなに若くてきれいな叔母さんがいるなんてな」と言うや、「叔母さんにだっていろいろあるわよ」と、これまた色気ムンムンに答えるセリフも用意されあり、これまでにない新たなスパイダーマンのストーリーが始まりそうで非常に楽しみです。
 なお上記のシーンを演じたマリサ・トメイとロバート・ダウニーの二人には交際歴があったそうです。これ絶対わざとキャスティングしたんだろ。

2016年10月15日土曜日

北朝鮮が本当に憎い相手

 昨夜、例のアデランスのMBO実施のニュースについていたYahooのコメントに「ハゲタカファンドが絡んでいるかも」という秀逸なツッコミを紹介したところ友人から、「ハゲネタかなり好きでしょ」と言われました。

 話は本題に入りますがあまり世間でこうした分析が出ていないので敢えて私から言うことにしますが、北朝鮮が現在最も憎んでいる相手は日本でも、韓国でも、米国でもなく中国であると私は見ています。一体何故かというと、一言でいえば中国が北朝鮮を援助しているからです

 以前に塩野七生氏のコラムで、「米国が嫌われる理由のその大半は嫉妬からである」という伝聞での指摘が紹介されていましたが、これは実に正鵠を得た意見であると現在でも考えています。世界の富を占有しているとか他国の紛争に介入するとかいろいろ理由はつけられていますが、突き詰めれば世界で一番裕福であるということが憎まれる根源的な理由であり他は別に大したことはありません。その上で塩野氏は同じコラムで、「ODAを散々配っておきながら中韓から嫌われる日本も一考の余地がある」と指摘しており、実に塩野氏らしい鋭いツッコミがなされていました。

 話は北朝鮮に戻しますが、どうもこの国の行動を見ているとほかのどこよりも中国に対する憎悪が強いように思えてなりません。具体的に言えばこのところのミサイル、核実験の実施日で、中国の国会に当たる全人代や先日、浙江省杭州市で行われたG20の開催中に行われていますが、中国が国家の威信をかけて仕切っているイベントにぶつけており、実際にG20では本来の議論と並行して北朝鮮問題の対応に各国首脳は追われることとなり、これほど腹立つ嫌がらせはそうそうないでしょう。

 ではどうして北朝鮮は中国を憎むようになったのかですが、金正恩が単純に中国嫌いだと言えば片付きそうですがもう少し分析するとやはり先程に説明した米国への憎悪の様に、北朝鮮が中国から多大な支援を受けていることが原因のように思えてなりません。一見すると中国が北朝鮮に便宜を図っているため恩を感じてもいい所ですが、日本から中国へのODAの様に、案外こういう物ってお金や物資を受け取る側からしたら素直に感謝する気持ちよりも、「金持ちだからって上から目線で物恵みやがって……」という、嫉妬に根差したやや理不尽な憎悪を覚える傾向の方が強い気がします。特に北朝鮮は中国からの支援に大きく依存しており、実質的に中国が生殺与奪権を握っているということもプライドの高い北朝鮮政府からしたら我慢ならないのかもしれません。

 こうした見方はかねてより抱いていたため、今年に中朝国境にある丹東を訪れた際に私はそばの友人に対して、

「もし北朝鮮が戦争で滅ぶとしたら、この場所から軍隊が北朝鮮領内へ入るだろう。それが米軍か中国軍かロシア軍かはわからんがね」

 という予言を行っていました。まぁ実際問題として、南側の板門店から侵攻することはソウルから近すぎるためほぼないとは思います。

  おまけ
 今日ここで書いたように国際援助というのは与えた金額や物資量が大きかったりすると案外、感謝よりも嫉妬を受ける可能性が高いため、支援のやり方というのは意外としっかり考えないといけないものです。一番ベストな支援方法としては災害時の救助、物資支援で、これは確実に恨まれることもなく強く感謝され、後々まで語り継がれます。あのっていっちゃなんですが、中国でも時々成都大地震の際の日本の災害支援に言及し、中国人自身もよく覚えています。

2016年10月14日金曜日

サイレントキラー

 これは私が中学三年生だった頃のお話です。その日の朝、私は前夜にも食べたカレーの残りを朝食に食べて登校したのですが、言うまでもなくカレーを食べた後というのはおならが結構臭くなります。ご多分に漏れずその日の私も自分で出しといて自分で臭いと感じるほどだったので、しかもなんか腸の活動がやけに活発で出す頻度もその日は非常に多かったです。今思い返しても威力、頻度ともに桁違いの水準で、出した自分ですら自爆して苦しむレベルだというのにほかの人間が喰らったらマジヤバいだろと自分でツッコむレベルでした。それだけに、私の後ろの席に座る女子生徒が不憫でなりませんでした。

 当時の私は一番後ろの列から一つ手前の席に座っており、一つ後ろの席にはもはや名前も憶えていない女子生徒が座っていました。その日の私は大体30分に一発の頻度でおならを出しており、休み時間中ならまだしも授業中であれば席から立って離れることも出来ず、その女子生徒は半日に渡ってその日の私のおならを直噴で、逃げることも出来ずに受け続けたということになります。しかも臭いはきついのに全く音はでないサイレントキラーで。
 こうした状況は私自身もよくわかっており、後ろの女子生徒が不憫だと感じつつも自分にはどうすることも出来ず、なんか病気になったりしないかなと心配しつつ何食わぬ顔で授業を受け続けました。そしたら翌日、私が原因かどうかわかりませんが本当にその女子生徒が学校を休んじゃって、「えっ、もしかして俺が原因?(;゚д゚)」と、誰にも言いませんでした内心で凄い焦りました。前に書いた姉に対してやらかした事件の記事を書きながら急に思い出したので、やや下品な話ながらこの話も紹介することとしました。

2016年10月13日木曜日

公平な視点を保つ秘訣

 今月からガッキー主演でドラマが放送され始めたからかAmazonで「逃げるは恥だが役に立つ」という原作の漫画1巻が無料でダウンロード出来るキャンペーンがされていたので、前からそのタイトルとコンセプトに興味を持っていたのでダウンロードして読んでみて、はタイトルは一文字変えれば「禿げるは恥だが役に立つ」だなと思いました。役に立つのか?

 話は本題に入りますがそれほど機会は多くはないもののこのブログの読者と会って感想を聞くとよく、「評論の視点が非常に公平だ」という評価をいただきます。あまり図に乗るべきではないとはわかっていながらもやはりこうして言われるとうれしいものがあるのですが、実際に自分でもこのブログを書く際に視点が偏らないように普段から気を付けており、ある程度の努力は行っていると自負しています。
 そこで今日は私なりに、公平な視点を保たせる秘訣というか心がけを紹介しようと思います。以前にも似たようなことを書いているかもしれませんが、最近こういう思想めいた記事を描いていないように思うためどうかご容赦ください。

秘訣その1 一緒に怒らないし、一緒に悲しまない
 公平な視点を保つ上での秘訣はなにかと突き詰めて言えば究極的には「当事者にならない」ということになるのですが、そのファーストステップとしてはこの「一緒に怒らない、一緒に悲しまない」であるのではと考えています。
 事件の被害者などに対して「痛みを分かち合う」という表現があり彼らの気持ちに立ってあげることが大事だと言われますが、その行為自体は否定しないものの評論をする上では所詮は他人事として切って捨てるべきでしょう。というのも被害者の気持ちに寄り添い過ぎると加害者に対する憎悪が強まり、自分が被害を受けたわけでもないのに不必要な怒りを覚えてしまう可能性があるからです。こうした態度は明らかに物事を見る目を曇らせ通常であれば見えるものを見えなくさせてしまうため、被害者に対し同情を覚えることはあっても彼らの立場に立って物事を主張してはならないというのが持論です。

秘訣その2 自分の感じた気持ちを押し出す
 これは状況によっては逆効果を生むかもしれませんが、こと私に限っては評論を行う際に自分の気持ちを前面に押し出すようにしています。先程のその1とも被りますが、他の誰かの立場や視点に立って物を述べると見方によってはやや無責任な言い方になるきらいがあり、具体的に言うと、誰かが苦しんでいるからその苦しませている原因は批判してもよい、というように被害者の存在などを言い訳にして批判するような口上となってしまうからです。
 もちろん上記のような主張の仕方も全部悪いわけじゃないですが、冷静にその原因が社会に対してどのような影響を及ぼしているのか、その影響が自分にも回ってきて損をさせられそうだというように自分の視点で物を考えて批判する方が私は好きです。ほかにも不正に儲けているような人間や団体に対しても、搾取された人間の立場で不当だと述べるより、「一人で儲けやがって、俺にも寄越せよこの野郎!」みたいなトーンで批判する方が割とストレート且つほかに人間にも共感が得やすい主張となるためいいような気がします。

秘訣その3 自分の保身を考えない
 これが出来るのは案外自分だけかもしれませんが、自分の願望なり不満なりが入るともちろん評論というのは偏りが出てしまいます。逆に自分の損得を越えた意見というのは聞く側からすれば高い説得力を持ち、特に自分が不利になるような意見を敢えて主張すればまず相手は信用するし、その意見が公平であると信じ込みます。
 私の場合は普段からして全く保身めいた行動や言動がなく周りから、「もっと自分を大事にしろよ」とガチで言われるくらいやや特殊な性格しているため、このブログで主張する意見にもそうした物が反映され、それらが公平な視点であるかのように見えるのかもしれません。ただ私みたいな性格した人間はそんなに多くはないだろうし、これができる人間はほかにもいるのかと言われれば少し悩みます。

  おまけ ちょっとした説得テクニック
 秘訣その3で述べた、自分が不利になるような意見を敢えて主張するというのは実際の交渉テクニックとしてほかでも述べていますが、日本人は横並び意識が極端な強いため敢えて自分を落とすことで極端な主張をしても許されるし受け入れさせるというか反論できなくさせることもできます。
 たとえば、「戦争になっていざとなったら人間を盾にすればいい」といえば相手は確実に、「他人を踏み台にするのか?」と聞いてくるのでその後で、「いや、真っ先に使えない自分が盾にされるよ」といったら十中八九相手は黙ります。実際に盾になる気持ちがあるかどうかは置いといて、面倒な議論を終わらせたいときには敢えてこういう主張の仕方をして黙らせています。

2016年10月12日水曜日

海外拠点閉鎖に対する富士通の態度

富士通、英で最大1800人削減へ EU離脱「無関係」(朝日新聞)

 狙ってたわけじゃないですが上のニュースを見てタイミングがいいなと思いました。というのもつい先週、富士通に対し海外拠点閉鎖(本文中では解散、清算、譲渡を指します)について心あったまるメールを送っていたからです。

 知ってる人には早いですが私は「企業居点」という日系企業の海外拠点情報ををかき集めたサイトを運営しており、先週の休暇中にいくらか追加することでとうとう収録件数は2万件を突破し、誇張ではなく日系企業の海外拠点に関しては自分が最も多くのデータを保有していると自負しています。
 ただこの海外拠点データですが調べるのも大変であるもののもっとも厄介なのは更新で、日系企業が海外拠点を新設したり閉鎖した場合をどうするかという点で結構頭を悩ませています。一応、企業のプレスリリースを毎日チェックして発表があれば適宜編集を加えているものの、新設はまだ発表されることも多くマシですが閉鎖となると実は発表しない企業の方が大半です

 上場企業は投資家に対し、経営に影響を及ぼす情報については可能な限り早くかつ正確に開示する義務が課せられています。このような前提に立てば工場を含めた海外拠点の閉鎖ともくれば経営に対し大きな影響を及ぼす重要事項としか思えないものの、実際には株価へのマイナス影響を恐れてかほとんどの企業は閉鎖情報をめったに公開することはありません。
 実際に具体例を挙げるとたとえば2012年にパナソニックは上海にあったプラズマテレビの生産工場を運営する現地法人を閉鎖しましたが、これなんて一切プレスリリースで情報は出さず、私が直接広報部に聞くまでは明かしていませんでした。何気にこの情報は日系メディアで自分が最も早く報じたけど、それほど大きな新聞じゃなかったから世間には無視され、三ヶ月後に共同通信が報じたらYahooニュースのトップに載っててなんだかなって気になりました。

 またシャープもこの前無錫法人を閉鎖していたことを財務報告書にこっそり書くことで明かしましたが、単独ではプレスリリースを出していません。このように往々にして企業は、日本国内の子会社ならまだしも海外拠点の閉鎖については情報を出し渋り、はっきり言えば隠蔽しようとする傾向すらあります。
 情報というものは公開されればされるほど世の中は良くなるはずだという思想を持つ私からすればこうした日系企業の現状はあまり好ましくなく、経済的にも不効率な点が出てくると思うだけに企業居点使ってなんかやってみようかななどといろいろ考えてたりもします。

 そうした延長だったというべきか先週に拠点データを色々あさっている最中にふと、富士通の拠点を洗い直してみようと思い立ちました。なんで富士通なのかというと私のサイトでは海外現地法人のホームページもリンクで結んでいるのですが、このリンクが切れるというかホームページサイトが消失する例が富士通に突出して多かったからです。特に半導体系。
 恐らく海外拠点を閉鎖したんだろうなと想像はしていたものの三年前に収集した海外拠点データをこれまで実際に比較し直したことはなかったため、今回改めて現在公開されている情報と照合して残っている海外拠点、消失した海外拠点を洗ってみました。結構多くの拠点で名称がかわってたりもしましたが、私の調べだと以下の拠点が富士通のオフィシャルサイトから情報が消失していました。

<サイトから情報が消えてしまった富士通の海外拠点>
・富士通半導体設計(成都)有限公司
・至亜網絡技術(上海)有限公司
・Glovia International Asia Pacific Pte. Ltd.
・Fujitsu PC Australia
・Inmotion Audio (Australia) Pty. Ltd.
・Teamware Group Oy
・ICL-KMECS
・Fujitsu Caribbean (Bahamas) Limited
・Fujitsu Caribbean (Barbados) Limited
・Fujitsu Caribbean (Jamaica) Limited
・Fujitsu Mexico Systems S.A. de C.V.
・Fujitsu Ten de Mexico, S.A. de C.V.
・Fujitsu Caribbean (Trinidad) Limited

 どれも確認してみましたが閉鎖したと発表したプレスリリースは出ていません。さてそうなると聞くしかないわけで、「これらの会社の情報が消えてるけど閉鎖でもしたの?」と富士通に直接聞いてみて、返ってきた回答は以下の通りでした。

<富士通からの回答>
グローバルサイトの海外拠点情報につきましては、
当該子会社の解散・精算・譲渡・社名変更等により
掲載情報が変わることがあります。
一方で、グループ会社の解散・清算・譲渡・社名変更を
全て公開しているわけではございません。

当社連結財務諸表に重大な影響を与える変更等は
プレスリリース等により適時開示されていますが、
影響が軽微な拠点の変更等については社外秘事項として
非公開となるケースも多く、解散・清算・譲渡に限らず、
会社名変更などにより、 以前掲載されていたサイト等からは
当該情報が参照できなくなることもあります。

 如何にも日系企業らしく曖昧にごまかそうとする回答ですが、存続していたら堂々と存続するという回答が出されるはずだと考えるとどうやら上記の会社は大半が閉鎖済みと見て間違いないでしょう。それにしても友人も言っていましたが、海外現地法人をこれだけ潰して「影響は軽微」と主張するのは無理があるし、富士通の広報は大したレベルじゃなさそうです。何気に今まで一番手ごわかった広報はみずほ。

 もっとも今回、富士通は割とレスポンス早く回答してくれたことと、サイト上ではきちんと情報を削除している辺りはまだマシと見るべきかもしれません。名指しで悪いけど東海カーボンに至っては、2013年に西格里特種石墨(上海)有限公司(SGL TOKAI CARBON Ltd., SHANGHAI)という海外拠点を閉鎖しておきながらホームページ上ではまだ情報を載せています

 繰り返しになりますが海外拠点の閉鎖情報を隠そうとすることは確かに株価維持という保身の面から見て全く理解できないわけじゃありませんが、インサイダーや企業統治の面でリスクになる可能性も高いだけにこうした風潮は早々に改めるべきだと私は考えます。
 最後にきちんと拠点閉鎖情報を公開した例として、最近目を見張ったのはトクヤマのマレーシア拠点の閉鎖です。かなり大きな案件ですがトクヤマはきちんと閉鎖情報を公開した上で詳細なデータや今後の影響を解説しており、この一点を以ってしても情報公開のしっかりした会社だという印象を受け好感が持てます。他の日系企業もぜひトクヤマを見習い、経済記者が楽できるような情報公開を行ってもらいたいものです。