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2018年3月22日木曜日

なろう系に代表される異世界転生物小説について

 ブログ書く気なかったけどなんか落ち着かないので書きます。落ち着かないとなんで文章書こうとするのか自分でもよくわかりませんが。

 さて唐突ですが数年前より自作小説投稿サイト「小説家になろう」が流行り始め、その中でもいわゆる「異世界転生」ものとされるジャンルが特に人気を得ているようです。この異世界転生物というのはその名の通り、現代的な世界に生きていた主人公がある日突然異世界に召喚、転生されて、ファンタジーな世界で思わぬ活躍を遂げるというような内容です。
 私の感覚だと90年代初頭に流行っていたジャンルだと思うのですが、先祖巡り的なものなのか現代においてまた再び流行り出してきたなという風に考えています。もちろん流行りだから価値がないというつもりは全くなく、小説というものはどれだけ売れたか、人気か、読まれたかですべての価値が決まると言っても過言ではないと思っているので、売れているというのであればこうしたジャンルを扱う作家は実力者と言えるでしょう。

 そんな異世界転生物ですが、「異世界に転生したら○○だった件」みたいなタイトルが散見されます。これを見てもし私が書くとしたらとどんなタイトルかなと考えてみたところ、「中国に転職したらブラック企業だった件」とか「中国で記事書いてたら反日認定された件」になるかななどとすぐ浮かんできましたら、リアル過ぎてかえって売れないだろうと即判断しました。書けっつったらかなりディープに書ける自信あるけど。

 話は戻りますがこうした異世界転生物をはじめとするなろう系小説は一般にはライトノベル、ラノベなどと言われ、どちらかと言えばポップな若者向けジャンルとして、オッサンやおばさんが読むのには向いていないように扱われます。しかし売れていること、そして文学というメタな理論で考えるなら果たしてどうかなと思い、むしろ「文芸小説」と呼ばれる小説と比べて文学的な価値を比較したらどっちが価値があるのか、やや皮肉っぽくこの辺を眺めています。

 そういうわけで、なんか久々な思想物の記事となるでしょうが、次回では「そもそも文学的とはどいう意味なのか?」というメタな理論について書いていきます。意外とありそうでないジャンルだと私でも思います。

2018年3月21日水曜日

クソつまらない文春の野球関連記事

我慢すれば…142試合目のプロ初白星、13年目の初本塁打
なんでや! 阪神ファンが激怒した「幻のホームラン」
80年ぶりのワースト記録…世紀の“大乱戦”
(以上すべてAELAの「プロ野球B級ニュース事件簿」)

 いきなりですが、最近上記リンク先の久保田龍雄氏による「プロ野球B級ニュース事件簿」の記事にはまっています。どれも内容が面白いだけでなく文章も軽妙で、尚且つ関連するかこの話題にも触れてくれるのでいつも楽しく読んでいます。これに限らずこのところAELAに掲載されるプロ野球関連の記事はどれも面白い上にデータや主張に関しても納得できるものばかりで、「AELAはもしかして野球雑誌なのか?」と真面目に勘違いし始めてきています。

 それに対してと言っては何ですが、見出しに掲げた通りに文春の野球関連記事はどれもやばいくらいつまらないです。どうやったらこんなつまらない記事を書けるのか、ある意味神ッてるレベルでつまらないです。

広島カープの同姓選手を見るとドンジャラがやりたくなる理由(文春オンライン)

 例えば上の記事なんか「だからなに?」と言いたくなるようなくだらない内容で、調子乗ってドンジャラという言葉を使っていますがただただ空気を寒くしてるだけです。おまけにオチもあってないような締め方で、余計に長文とせずサクッと「カープは中村選手多いね」とだけ書いときゃよかったようにすら思います。
 第一、この話題でかつての「日ハム田中王国」に触れないってのは自分の中ではありえないんだけど。「田中幸雄」が同チームに二人存在したことなど、うってつけの関連話題だと思うのに文春の記者は野球を知らないのか?

巨人復帰の上原浩治 活躍のカギは「実は乗り気ではなかった」高橋由伸監督との関係(週刊文春)

 同じく疑問を感じたのは上の記事です。今年日本球界に復帰した巨人の上原選手と高橋由伸監督が仲悪いって初めて聞いたんだけど。

上原&由伸監督 軽妙トーク健在 1打席勝負で「去年よりいいスイング」(日刊スポーツ)

 上原選手と由伸監督の関係については2016年と少し古いですが上のような記事も出ており、また過去には東日本大震災の復興支援で協力し合っていることも報じられており、誕生日が完全一致していることといいむしろ非常に仲がいいと言っていいほどの関係だと思います。
 それに由伸監督は記者たちにはやや無愛想ですがチームメイトからは半端なく慕われており、もう一方の上原選手に至っては関西人だからかもしれませんがめちゃくちゃ性格が明るく、ツイッターでダルビッシュ選手にスライダーの握りを教えるよう求めて断られるや「ケチ!」と言い返すなど、チームの垣根を超える交流も多い人物です。よりによってこの二人にカギって関係がぎくしゃくみたいに書くなんて、文春の記者は野球を知らないのかと本気で疑います。第一、記事内容もクソつまらないし。

 最後に少しまじめなことを書くと、このところの文春は何かおかしいというか、記事内容や取り上げる話題を見ていてなんかやや迷走しているような印象を覚えます。具体的には不倫ネタが飽きられてきた辺りからですが、どっち向いているのかわからない記事が増え、また上記の野球ネタのように明らかに実力や知識が足りていないライターに書かせてます。何か内部で起きてるんじゃないかと疑いたくなる水準です。
 ついでに書くと以前は毎月買っていた文藝春秋も最近は買っていません。目次を見ても興味を覚える内容が何もなく、また無駄に値段上げたりしたりしていてとてもあんなものにお金を払う気にはなりません。なんとなく、編集部が硬直し始めてきているのではというのが私の見方です。

2018年3月20日火曜日

スルガ銀行に対する懸念

 先日、2003年に経営破綻した足利銀行の顛末を紹介しましたが、なんでこんな記事を書いたのかというとそろそろこの足利銀行に続く地銀の破綻が見られるかもなと感じたからです。もう見出しを見てわかる通り、自分がこのような懸念を持っているのは静岡県のスルガ銀行です。

スルガ銀行は「かぼちゃの馬車」で何処へ行く!(1)(財経新聞)
ベッキーがCMキャラの『かぼちゃの馬車』 オーナー約700人がトラブルに(@niftyニュース)

 時期にしてちょうど昨年末ごろ、アパートローン問題で静岡県の銀行が特に手広くやっているという話を耳にし、静岡の話だから静岡銀行かなと思っていたら実際にはスルガ銀行でした。そのスルガ銀行について大体先月あたりから報道も増えてきましたが、取りざたされているのは上記リンクの格安シェアハウス「かぼちゃの馬車」を巡るローン問題です。
 詳しくは上記リンク先の記事を読んでもらえればわかりますが、「銀行から金借りてローン組んでサブリースに出せば資産保全+不労収入が得られるよ」と言って、退職金をもらったばかりの高齢者を主なターゲットに、女性向け格安シェアハウス物件「かぼちゃの馬車」を運営管理するスマートデイズ社がスルガ銀行とタッグを組んでた模様です。

 しかし実態は物件のまずさと賃料の低さから回収が見込めるような物件ではなく、スマートデイズ社は新規オーナーにローン組ませて受け取ったアパート建築料を既存オーナーに分配させているという自転車操業だったようで、お金が回んなくなってきた段階でサブリース契約でオーナー側へ支払うこととなっている賃料を一方的に値下げしてきたとのことです。
 こうした手法というか問題は、先ほどは「アパートローン問題」と表現しましたが、「サブリース問題」と表現するべきかもしれません。というのもこうした、資産保全を謳って言葉巧みにアパートを建てさせておきながら、空室など運営がうまく行かなくなってくるや当初契約に反してオーナー受取り賃料を一方的に引き下げるという例はスマートデイズに限るわけじゃないからです。

「テレ東がまた攻めてる」と話題に 「ガイアの夜明け」集団訴訟が相次ぐレオパレス21の社長に直撃取材(キャリコネニュース)

 この辺については昨年、テレビ東京が人気番組「ガイアの夜明け」で、社員に契約に反するサブリース契約料金の強引な引き下げを全社一丸となってやらかしていたレオパレス21に対して突っ込んだ取材を行っています。自分もたまにやるけど、こういうのって「取材の結果」ではなく「取材の過程」を見せることに価値があるよね。

 現実問題としてこうしたサブリース問題は大手、中小を問わずに今盛んに行われていると思われます。しかし普通に考えたって人口減の今の日本でアパート需要が高まるわけはなく、しかも同じようなことする不動産屋が多いせいでこのところのアパート、マンションの乱立ぶりも激しく、普通に考えてアパート運営が軌道に乗るとはとても思えません。
 それでも消費者への注意喚起がまだ不十分なのと、各関係機関の対応が遅れていることから被害者オーナーはは尚も増加中で、多分2020年以降には大きな社会問題と化す可能性もあると私は見ています。この場合、国がどういう対応を取るかに寄りますが、それによっては不動産屋のみなら地銀も共倒れとなる可能性もあるでしょう。

 このサブリース問題で特に根が深いと思うのは、不動産屋と銀行が明らかにタッグを組んでいる点です。スルガ銀行の話に戻りますが、報道によるとスマートデイズは本来ならば融資基準を満たさないオーナー希望者に対し、所得や資産状況の証明書類を偽造してまでスルガ銀行でローンを組ませていたとのことです。スルガ銀行側は資産査定が甘かったと言い訳を述べていますが、どう考えても軌道に乗るとは思えない「かぼちゃの馬車」の事業計画に融資していた点一つとっても、始めから最終的にアパートオーナーの首を絞める自体になることが分かっていながらやっていたのではないかとしか内心思えません。少なくとも、あんな杜撰な事業計画に係る時点で銀行としての資質は疑われても仕方ないでしょう。

目的別ローンラインナップ(スルガ銀行)

 そんな資質を疑いたくなるスルガ銀行について冷凍たこ焼きを絶対に切らすことのない友人から紹介してもらったのが上記リンクです。自動車ローンや教育ローンはまだわかるとしても、カメラ・レンズローンや鉄道模型ローンなど手広くローンコースを用意しているあたり、なんか銀行というよりかはサラ金のようなことやってます。
 なおこの中にはロードバイクローンもあったのでその中身を見てみると、

<ロードバイクローンご利用例>
フレームセット 70万円
カーボンホイール 40万円
大会参加費用(宿泊代等) 5万円
他社ローン借換 35万円
総額費用  150万円

 なんやねんこの金額と、一目見て思いました。プロのレーサーが使用する自転車ですら50~60万円程度と聞くのに、なぜこんな自己満足みたいな無駄に高い自転車で利用例を出すのか。っていうかそもそも「他社ローン借換」って何?ロードレーサーは既に借金してること前提なの?
 こんな具合で経営手法が疑問満点のスルガ銀行ですが、収益率が高いことから(地銀平均0.3%に対し1.42%)、政府からは「将来あるべき地銀の姿」とこのところ褒められているそうです。なんか破綻前のどっかの銀行も同じようなこと言われてたような気がしますが、死亡フラグ?

 現時点で言えることとして、サブリース問題が持ち上がっている「かぼちゃの馬車」は現状、ほぼ不良債権と見てもおかしくないでしょう。その上でこちらは推測となりますが、大抵こういう目立つ不良債権案件を手広くやっている金融機関って、見えないところでもっと大きな爆弾を抱えてるパターンってのが多い気がします。債務者を追い込んででも回収する自信があるなら別に問題ないですが、サブリース問題は空き家問題と並んで近々本格的な社会問題となる可能性があり、政府が被害者対策に乗り出したら果たしてきちんと回収できるかどうかは見ものでしょう。

 スルガ銀行については以上の通りですが、何もここに限らずゼロ金利政策のせいで地銀はどこも屋台事情が苦しく、こんな風にサラ金まがいのことでもしないと国内事業で生きていくことはほぼ不可能でしょう。この辺についても体力に余裕があればまた自分の見解を書きます。

  おまけ
 「かぼちゃの馬車」のCMキャラがあのベッキーだったと聞き、彼女が何か悪いわけじゃないけど、つくづく闇の深い女性だなと思います。なお闇の深さでいえば漫画の「アホガール」に出てくる風紀委員長についてはその底が見えません。

2018年3月19日月曜日

いっかいやすみ(ヽ´ω`)

 このところ仕事が忙しく、疲労度合いも半端じゃないので今日も真面目な記事は書かずにお休みします。本当はスルガ銀とか森友問題とかでこっちももっといろいろ書きたいのですが。

 なおこのブログだけ見ているとさも私が毎日楽しくゲームして遊んで暮らしているように見えますが、ちゃんと先週末も次のJBpress用記事に中国高級車市場の取材、分析、執筆をやっており、執筆中は何度も友人にしつこくチャットで「眠い!ゲームしたい!(´;ω;`)」と送り続けていました。っていうか資料集めから脱稿までああいう記事をよく1日程度でまとめるなと自分で思います。
 さて、3/10に続編が発表された「神獄塔メアリスケルター」でもやるか……。

2018年3月18日日曜日

一部家具に関する所見

 繁忙期で非常に忙しい中、今日はスルガ銀行の件について書こうかと思っていたら、「ユーロファイター・タイフーン」を作るのに6時間以上もかけて、尚且つ「ダンガンロンパV3」もようやくクリアしてクリア後のやり込みイベントでさらに忙しくなったので、パパっとかける日常のほんの些細な幸せネタにします。
 ちなみにダンガンロンパV3はその結末について批判する声が多かったそうですが、自分としてはありだと思うし、「作った連中はプレイヤーを馬鹿にしている」などとは微塵にも感じませんでした。なお声優については石田晴香氏の演技で、「え、こんな下ネタの激しいセリフ口にすんの?しかもめちゃうまいし(;´・ω・)」とか思っていたら、この人元AKB48で、声優やるためにアイドル辞めたと聞いて二重に驚きました。むしろこのゲーム作った連中、あんなセリフを雇っているとはいえ女性声優に言わせること自体セクハラ案件として成立する気がする。

 話は本題ですが、家具の中でその存在すら疑うものとして靴箱があります。というのも靴を密閉した空間に置くと臭いが染みつき、靴箱はおろか靴自体も表面に独特なにおいがこびり付きやすいからです。私がそれほど靴を常備しない(革靴とスニーカーだけ)という事情もありますが、学生時代からこの手の靴箱は一切使わず、百円ショップで買ってくる折り畳みできる足のついた20×10㎝程度のプラスチック台を買ってきて、それを二段、三段と重ね、その台と台の間にいつも靴を入れています。
 これだと上に積み重ねていけるため置き場も省スペース化でき、尚且つ開放式のため臭いがこもることはありません。靴箱に臭いが染みつくと最悪、靴箱の周辺すら臭いが立ち込めることもあり、靴箱を開く度に臭いがまき散らされたりするので、少なくとも扉がなく密閉しない形の靴箱の方が衛生的にはいいんじゃないかと思います。靴の臭いって履いてる時よりむしろ、靴箱に入っている時の方が強まる気がしますし。

 次に布団のシーツですが、密かに思うこととして何故白色が一般的なのでしょうか。普段布団を干してて思うのですが白いシーツやカバーの布団だと外に干していても一向に熱を吸収せず、他の色と比べて乾燥効果が薄いです。基本的に熱を多く吸収出来ればできるほど布団を干す効果は高まること考えると、シーツやカバーに関しては白色を避けるべき、というよりも使うべきではないと思います。
 また睡眠効果について考えても、白だと光を反射するため果たして寝具としてふさわしいか疑問です。むしろ暗い暖色系の方が視覚的にも落ち着きやすいように思え、あまり種類が多くないため選べる範囲が狭いのですが、なるべくそうしたイメージでシーツやカバーを購入しています。

 なおこの形の究極形としては、敷布団はもとより掛け布団も、枕も真っ黒な色に染め上げてしまう形ではないかと思え、もしやれるならやってみようかなと思ってみたものの、さすがに真っ黒のシーツやカバーはどこにも売っていませんでした。っていうか真っ黒なシーツだと、夏場に干してるとちょっとした建物の反射とかでも燃え上がりそうな気もするので、さすがにこの究極形態(アルティメットモード)は避けた方が無難かもしれません。実現できる範囲としては茶色や紺色辺りで、模様については好みでしょうがさすがに単色オンリーだと飽きがすぐ来るのでないよりはあった方がいいかなってところです。

2018年3月15日木曜日

平成史考察~足利銀行の破綻(2003年)

 今週末に締切迫ってるのになんでこのところ毎日ブログ更新しているのかと自分でも疑問です。平日も今繁忙期でめちゃ忙しいし、折角先週末にタイフーン買ったのに作る暇もないし。

足利銀行(Wikipedia)

 そんなわけで今日書くのはもう15年前、まだ松坂選手が現役でバリバリ投げていたころに起こった日本金融史に残る足利銀行の破綻事件を振り返ろうと思います。

 足利銀行とはその名からわかる通りに栃木県を本拠に北関東を中心に営業している銀行です。設立は日清戦争中の1895年で、戦前までは投資に当たっては非常に慎重であり、また「逃げの足利」と言われるほど債権回収が早かったことから、昭和の金融恐慌時も被害を最小限に抑え安定した経営を保ってきていたそうです。
 ただそんな足利銀行の頭取はというと、設立当初から代々日銀などの中央系銀行から頭取を迎えており、「いつか生え抜きで頭取を出したい」という意識は行内でも持たれていたそうです。その念願がかなってか、元陸士卒で終戦時に大尉であった向江久夫が戦後パージを受けて足利銀行に入行し、頭角を現していったところ、1978年に彼が56歳の時に初の生え抜きとして頭取へと昇進しました。そしてそのまま、1997年に至るまで実に19年もワンマン経営者として在任し、足利銀行の破綻における中心人物として果たすこととなります。

 足利銀行が経営破綻した理由はご多分に漏れずバブル期の放漫経営と投資先の不良債権化で、特に北関東はゴルフ場開発も盛んだったことからこの方面への巨額投資に手を染め、最終的に足をすくわれることとなります。バブル崩壊以前まではこちらもご多分に漏れず積極的な投資に手を染めており、東京都内にも支店を構えて収益率は地銀としてはぶっちぎりだったことから「地銀の雄」と持て囃されていました。
 しかしバブル崩壊以降に投資先の破綻や不良債権化が相次ぎ、経営基盤はどんどんと揺らいでいきます。もちろん当時は他の銀行も多かれ少なかれ同じような状況であったものの、足利銀行が一味違ったのはもはやお馴染みの粉飾で、実質的に破綻している融資先企業に融資枠を用意してさも財政状態が優良であるかに見せつつ、その破綻先の手形を他行に受けつけさせるなど毒をばらまいてたりしました。

 こうして内部に大きな問題を抱えながら経営を続けていた足利銀行ですが、2003年10月に何故かといったらやや失礼かもしれませんが、夕刊フジが他に先駆け「破綻への懸念から政府が国有化を検討」という第一報を報じました。ただ夕刊フジなだけあってか当時は誰も信じなかったものの、翌月にウォール・ストリート・ジャーナルが公的資金注入の可能性を報じると一気に市場の目を集め始めます。
 実際にはこの時点で「金融再生プログラム」を掲げる竹中平蔵大臣(当時)の指揮の下で金融庁が検査を行っており、実際にどう処理するかについて政府が内々に検討していました。そして報道の通りに金融庁は足利銀行とその監査法人に対し粉飾会計を認定し、繰り延べ税金資産の計上の無効を通知して、これにより最近までの東芝のように債務超過が確定します。その上で政府は預金法に基づく足利銀行の国有化を決め、ここに至って足利銀行は名実ともに破綻が決まります。

 その後、粉飾に関わった足利銀行の元幹部や監査法人への訴追と並行して不良債権処理が進められ、財務体質の一程度の改善が行われた後でスポンサーを募ったところ野村ホールディングスグループが入札を制し、ここで足利銀行は国有化から離脱して、一部制限は残っていたものの一般の民間銀行として返り咲くこととなりました。

 この足利銀行の破綻はそれ自体よりも周辺への影響の方が大きかったのではと個人的に見ています。というのも先ほど書いたように竹中大臣が当時進めていた不良債権処理政策の嚆矢ともいうべき措置であったばかりか、この事件前後から企業や金融機関の内部統制を米国流に厳格化されていき、時期からいってその後のJ-SOX法設立にも影響したと考えられます。
 なお足利銀行の監査人であり、当時業界最大手の中央青山監査法人は、この事件だけではないですが諸々の会計不正に所属する会計士自身が不正手段を指導していたことが明るみとなったことで業務停止命令を受け、その後の解散へと追いやられています。この際に会計士をクライアントごと吸収した新日本有限責任監査法人が代わりに最大手へとのし上がり、日本の会計業界史においても足利銀行の破綻は非常に大きな事件であったといえます。

 破綻した足利銀行の国有化(=特別危機管理銀行指定)に当たっては預金保険法102条一項三号、いわゆる「第三号措置」が適用されていますが、これは足利銀行が破綻する前の2001年に金融安定化と、いざという時の混乱回避を目的として設置された法案でした。現時点までに同措置が適用されたのは足利銀行以外にはありません。
 このところ私が日々日本のニュースを見ていると、「足利銀行以来かな……」という言葉がよく浮かんできます。だからこそ今日こうしてこんな記事を書いたのであり、ある意味今日の記事は前フリといえます。もう少しこうした足利銀行と絡めた報道などないのかなとみているのですがあんまなく、そういう意味では今を分析する上でも意味のない内容ではないと思って書いてみました。

 なお、今回の記事を書くに当たっては当時の状況を一から調べ直しています。破綻当時の私は京都で日々峠を攻めていて(自転車で)、社会や経済への関心は周囲と比べて強かったものの所詮は学生レベルであったことからあまりこの事件について記憶していた内容はほとんどありませんでした。
 ただ最近思いますが、どうせ社会人になって企業に勤めればこうした実社会や産業への感覚や知識は自然と備わってくるものなので、学生のうちは社会人になってしまっては得られない感覚や知識、具体的には文化や思想をしっかり学ぶのに集中した方がベターである気がします。変に背伸びして実社会に関する感覚を身に着けようとしてその方面が疎かになるのは非常にもったいない限りです。

 そんなこと言いながら、今ひたすら一向一揆について調べている自分の姿を見るとなんかいろいろおかしい気がします。気分はもう南無阿弥陀仏って感じだし。

2018年3月14日水曜日

必要性の感じられない佐川氏の証人喚問

佐川氏、来週にも証人喚問へ 森友文書改ざん問題(朝日新聞)

 疲労で左目が見えにくくなっているので結論から書きますが、今度の佐川氏の証人喚問に意味があるのか疑問です。というのもすでに先に行われている佐川氏の国会での答弁は嘘満載の何も実態に基づかないものであったことがその後の検証によって既に明らかとなっており、また責任を擦り付けようとしている麻生財務大臣の「(改竄は)すべて佐川がやったこと」という発言もあることから、いまさら国会に呼んで発言させたところで得るものは何もないと思います。それこそまた実態にそぐわぬ虚偽答弁をするだけに終わるでしょう。

 もし彼の口からこの森友問題について有意義な証言が得られるとしたら、それは恐らく国会内で発言される内容ではないでしょう。先の答弁にてすでに彼が職務に反して偽証を行ったことは諸々の検証で明らかとなっており、今後の状況にもよりますが特捜に逮捕、起訴される可能性は十分に高いように思え、それに対して佐川氏がどう思い、どう反応するかです。国会での偽証事実は既に確定済みであることから、次の証人喚問で仮に再び偽証を行うことに躊躇があるかと言ったら多分ない気がします。

 ではこの問題で次はどうすべきかですが、やはり安倍昭恵夫人、もしくは近畿財務局に直接連絡を取った元昭恵夫人付き秘書の谷査恵子氏を証人喚問するのが筋だと思います。そもそもこの森友学園問題は安倍昭恵夫人が絡んだところからすべて始まっており、今回の改竄文書でも彼女の名前が消されたことからも無関係と言い張るのは小泉元首相じゃないですが「呆れた判断だ」と言いたくなります。なればこそ発端のキーマンを呼ぶべきで、谷氏も折角栄転したのだからその分の務めをここで果たすべきではないのか私には思えます。

 野党はどうも佐川氏の証人喚問に応じるつもりのようですが、仮に私であれば絶対に応じず、上記二名のどちらか以外は絶対に受け入れることはしません。もちろん佐川氏も呼ばないよりは呼んだ方がまだマシですが、今回の改竄文書といいここまで材料が揃ったのだからそろそろ本命にご出演いただくべきでしょう。

 さて、以上までの文章で多分勘のいい人は私がこの記事で本当に言いたいことを読み取ったのではないかと思いますが、先ほどの報道で今回の改竄について近畿財務局の人間だけでなく、本省の人間も十数人把握していたという事実が報じられました。この情報がこの段階で出回るということは政府はそっちの咆哮に勧めるのだろうなと思うし実際にそれに同調するメディアやコメンテーターもいるわけですが、本当は誰がこの問題行為を指示したのかはやはり上記の動きを見ればわかってくるのではないでしょうか。この辺やはっぱり週刊誌に期待するべきかもしれません。