2018年3月20日火曜日

スルガ銀行に対する懸念

 先日、2003年に経営破綻した足利銀行の顛末を紹介しましたが、なんでこんな記事を書いたのかというとそろそろこの足利銀行に続く地銀の破綻が見られるかもなと感じたからです。もう見出しを見てわかる通り、自分がこのような懸念を持っているのは静岡県のスルガ銀行です。

スルガ銀行は「かぼちゃの馬車」で何処へ行く!(1)(財経新聞)
ベッキーがCMキャラの『かぼちゃの馬車』 オーナー約700人がトラブルに(@niftyニュース)

 時期にしてちょうど昨年末ごろ、アパートローン問題で静岡県の銀行が特に手広くやっているという話を耳にし、静岡の話だから静岡銀行かなと思っていたら実際にはスルガ銀行でした。そのスルガ銀行について大体先月あたりから報道も増えてきましたが、取りざたされているのは上記リンクの格安シェアハウス「かぼちゃの馬車」を巡るローン問題です。
 詳しくは上記リンク先の記事を読んでもらえればわかりますが、「銀行から金借りてローン組んでサブリースに出せば資産保全+不労収入が得られるよ」と言って、退職金をもらったばかりの高齢者を主なターゲットに、女性向け格安シェアハウス物件「かぼちゃの馬車」を運営管理するスマートデイズ社がスルガ銀行とタッグを組んでた模様です。

 しかし実態は物件のまずさと賃料の低さから回収が見込めるような物件ではなく、スマートデイズ社は新規オーナーにローン組ませて受け取ったアパート建築料を既存オーナーに分配させているという自転車操業だったようで、お金が回んなくなってきた段階でサブリース契約でオーナー側へ支払うこととなっている賃料を一方的に値下げしてきたとのことです。
 こうした手法というか問題は、先ほどは「アパートローン問題」と表現しましたが、「サブリース問題」と表現するべきかもしれません。というのもこうした、資産保全を謳って言葉巧みにアパートを建てさせておきながら、空室など運営がうまく行かなくなってくるや当初契約に反してオーナー受取り賃料を一方的に引き下げるという例はスマートデイズに限るわけじゃないからです。

「テレ東がまた攻めてる」と話題に 「ガイアの夜明け」集団訴訟が相次ぐレオパレス21の社長に直撃取材(キャリコネニュース)

 この辺については昨年、テレビ東京が人気番組「ガイアの夜明け」で、社員に契約に反するサブリース契約料金の強引な引き下げを全社一丸となってやらかしていたレオパレス21に対して突っ込んだ取材を行っています。自分もたまにやるけど、こういうのって「取材の結果」ではなく「取材の過程」を見せることに価値があるよね。

 現実問題としてこうしたサブリース問題は大手、中小を問わずに今盛んに行われていると思われます。しかし普通に考えたって人口減の今の日本でアパート需要が高まるわけはなく、しかも同じようなことする不動産屋が多いせいでこのところのアパート、マンションの乱立ぶりも激しく、普通に考えてアパート運営が軌道に乗るとはとても思えません。
 それでも消費者への注意喚起がまだ不十分なのと、各関係機関の対応が遅れていることから被害者オーナーはは尚も増加中で、多分2020年以降には大きな社会問題と化す可能性もあると私は見ています。この場合、国がどういう対応を取るかに寄りますが、それによっては不動産屋のみなら地銀も共倒れとなる可能性もあるでしょう。

 このサブリース問題で特に根が深いと思うのは、不動産屋と銀行が明らかにタッグを組んでいる点です。スルガ銀行の話に戻りますが、報道によるとスマートデイズは本来ならば融資基準を満たさないオーナー希望者に対し、所得や資産状況の証明書類を偽造してまでスルガ銀行でローンを組ませていたとのことです。スルガ銀行側は資産査定が甘かったと言い訳を述べていますが、どう考えても軌道に乗るとは思えない「かぼちゃの馬車」の事業計画に融資していた点一つとっても、始めから最終的にアパートオーナーの首を絞める自体になることが分かっていながらやっていたのではないかとしか内心思えません。少なくとも、あんな杜撰な事業計画に係る時点で銀行としての資質は疑われても仕方ないでしょう。

目的別ローンラインナップ(スルガ銀行)

 そんな資質を疑いたくなるスルガ銀行について冷凍たこ焼きを絶対に切らすことのない友人から紹介してもらったのが上記リンクです。自動車ローンや教育ローンはまだわかるとしても、カメラ・レンズローンや鉄道模型ローンなど手広くローンコースを用意しているあたり、なんか銀行というよりかはサラ金のようなことやってます。
 なおこの中にはロードバイクローンもあったのでその中身を見てみると、

<ロードバイクローンご利用例>
フレームセット 70万円
カーボンホイール 40万円
大会参加費用(宿泊代等) 5万円
他社ローン借換 35万円
総額費用  150万円

 なんやねんこの金額と、一目見て思いました。プロのレーサーが使用する自転車ですら50~60万円程度と聞くのに、なぜこんな自己満足みたいな無駄に高い自転車で利用例を出すのか。っていうかそもそも「他社ローン借換」って何?ロードレーサーは既に借金してること前提なの?
 こんな具合で経営手法が疑問満点のスルガ銀行ですが、収益率が高いことから(地銀平均0.3%に対し1.42%)、政府からは「将来あるべき地銀の姿」とこのところ褒められているそうです。なんか破綻前のどっかの銀行も同じようなこと言われてたような気がしますが、死亡フラグ?

 現時点で言えることとして、サブリース問題が持ち上がっている「かぼちゃの馬車」は現状、ほぼ不良債権と見てもおかしくないでしょう。その上でこちらは推測となりますが、大抵こういう目立つ不良債権案件を手広くやっている金融機関って、見えないところでもっと大きな爆弾を抱えてるパターンってのが多い気がします。債務者を追い込んででも回収する自信があるなら別に問題ないですが、サブリース問題は空き家問題と並んで近々本格的な社会問題となる可能性があり、政府が被害者対策に乗り出したら果たしてきちんと回収できるかどうかは見ものでしょう。

 スルガ銀行については以上の通りですが、何もここに限らずゼロ金利政策のせいで地銀はどこも屋台事情が苦しく、こんな風にサラ金まがいのことでもしないと国内事業で生きていくことはほぼ不可能でしょう。この辺についても体力に余裕があればまた自分の見解を書きます。

  おまけ
 「かぼちゃの馬車」のCMキャラがあのベッキーだったと聞き、彼女が何か悪いわけじゃないけど、つくづく闇の深い女性だなと思います。なお闇の深さでいえば漫画の「アホガール」に出てくる風紀委員長についてはその底が見えません。

2 件のコメント:

  1. 片倉(焼くとタイプ)2018年3月21日 14:15

    ブリース業者の中には借地借家法を悪用している業者もいます。借地借家法は
    借主に有利な法律になっています。なんと借地借家法はサブリース業者にも適用
    されます。借地借家法の本来の目的は、経済的に弱い立場の借主を保護するため
    のものですが、サブリース契約の場合、強い立場であるサブリース業者が保護
    されるという逆転現象がおきています。

    確かに借地借家法はサブリース業者にも適用されるという判例は過去にあります。
    でもその判例での貸主・借主はともに大企業であり、両者の力関係に圧倒的な
    差はありません。  ですが借主が一般人の場合、知識、資金の面で 業者に
    対抗できないのは明らかです。
    すこし前、NHKの番組でもサブリース契約に関する特集番組を放送していました。
    農家のおじいちゃんおばあちゃんが、 業者から渡された収益計算書をだして
    『わたしらはこの紙に書いてあることを信じるよりほかにないんです』と
    いっていたのが印象的でした。

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    1.  サブリース契約にも借地借家法が適用されることについては知りませんでした。おっしゃる通りこの場合はオーナーよりも借主の不動産業者の方がプロだということを考えると、保護対象から除外すべきでしょう。
       何もこの件に限らずこのところは問題の多い個人借主も多いと聞くこともあり、借家の借主権利保護については除外規定等整理する必要がありそうです。何もこれに限らず不動産契約関連では、中国にいる自分の目から見ても日本は法整備が遅れている気がします。その辺は前にJBpressで記事書いて大反発食らったわけですが、私に反発した連中については日本の不動産業界がこのままでいいのかと問い詰めたい気持ちを覚えました。

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コメント、ありがとうございます。今後とも陽月秘話をよろしくお願いします。

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