まず大まかな点から話すと、現在中国には中国電信、中国聯通、中国移動の三つの通信会社というか通信キャリアが存在し、実質的にこの三社が市場をほぼ独占しています。三社ともに国有中央企業で国の影響を受けるものの、普段の活動やサービスでそうした国の影を見せることはほぼなく、サービス態度も偉そうなものではなく、むしろ余計なサービスをつけて料金を吊り上げようとする日本のキャリアよりも良心的です。
かつては華北は中国電信、華南は中国聯通という感じで棲み分けがなされていたそうですが、現在においてはこうした地域による棲み分けの壁はほぼなく、大都市においてはこの二社に携帯電話通信を中心とする中国移動も加わり、ほぼ自由競争状態にあります。
敢えてたとえを用いるとNTTが三社あるような状態で、どれも国有企業ではありますがきちんと競争原理が働いていて、外資や民間資本の参入こそ制限されてはいるものの、料金もお手頃で消費者にとっては中国の通信市場はかなり正常であるように思います。日本に比べれば。
固定回線のインターネット契約に関しては、昨日の記事にも書きましたが現在私が契約しているのは中国電信の回線で、料金は年間約1300元(約26,000円)で、以前昆山に住んでいた頃も大体これくらいの値段でした。現在の中国のインターネットは都市部だと光ファイバーが中心で、逆にADSLとか探す方が難しいし、サービスも廃止していることも多いです。
このインターネット契約は上記の三代通信キャリアとの契約が基本ですが、ごく一部でほかの企業もサービスを提供しています。具体的にはケーブルテレビ会社などで、これら若干の通信に携わる企業もネット回線サービスを提供しています。また僻地などインフラ整備の難しい地域に限っても、三大キャリア以外の回線サービス参入を認めることがあると聞きます。
次に携帯電話などのモバイル通信に関してですが、シェアで言えば携帯電話通信のために立ち上げられた中国移動が全国で最もシェアが高くなってはいるものの、中国電信や中国聯通もモバイル通信サービスを提供していて、問題なく契約することができます。
現在私は中国移動の携帯電話サービスというかSIMカードを使っていますが、料金は月間約60元(約1200円)で、これで規定通信料、確か10GBくらいだったと思いますがこの範囲を超えることなく使用し続けています。日本と比べるとかなりお手頃な価格に見えるでしょうが、それでもほかの水道電気光熱費などのインフラと比べると、これらの通信料は私には高めに見えたりします。
具体的には、水道電気光熱費は毎月大家が自分の部屋の分も一括で支払い、毎年11月に年間分を一括で試算しているのですが、先日自分が支払った水道、電気、ガス代の年間合計額は880元(約1760円)でした。確か電気代が450元くらいで一番比率が高かった気がします。
中国は建前上は社会主義なためこの手のインフラ料金は非常に安く、電気代に関しては工場などで使用する産業用よりも個人用の方が安いという、諸外国とは逆の料金設定にもなっています。
もっとも上記の私の金額はあまり参考にならないというか、一人暮らしで日中は会社で働いていることもあり極端に電機などの使用量が少なかったりします。特に冬場は意地でもエアコンは使わず、実際夏場のエアコン代が多分年間電気代の半分を占めているように思えるため、ほかの人はもうちょっと高い料金を支払っていると思います。
最後に中国の通信業界についてもう少し触れると、真面目に国土がバカでかい分、中国の通信インフラ計画によって光ファイバーの世界需要が大きく変わると言われています。
日本を含め多くの外資系企業が光ファイバーケーブルの生産加工、そして供給を中国で行っていますが、国有企業とあってその調達は完全な競争入札となっています。でもって調達量も馬鹿でかく、地域ごとに行われるとはいえその入札を取れるか取れないかはマジで光ファイバー系企業にとって死活問題らしいです。
1 件のコメント:
記事ありがとうございます。
中国は資本主義の国と聞いてはいましたが、インフラ面を見てみれば社会主義国の名残があるようですね。
インフラ面で急速な発展を遂げた分、皆が同じタイミングで最新のインフラを導入できている=利用層の格差が少ないという要素はありそうな気がします。
ADSLやPHSのような黎明期の技術を導入してしまうと、利用者のために採算が取れなくてもサービスを維持せざるを得ないという側面はあるでしょう。
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