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2024年11月20日水曜日

中国で何故通り魔事件が相次ぐのか

 先日、会食の最中に同僚が中国へ赴任する前に狂犬病のワクチンを打ってなかったことをしきりに後悔する発言を繰り返していました。ただ本人にも言いましたが、さすがに全く国内発祥のない日本ほどとは言わないまでも、中国はインドと違って狂犬病の発症はそこまで多くないしそもそも野良犬自体が上海でみることもないため、狂犬病を心配する必要はほとんどありません。
 それにもかかわらず慰安からでもワクチンを打つべきかと言い続けたので若干皮肉を込めて、「今の中国だったら犬に噛まれるよりも人に刺される確率の方が高いよ」と言ったところ、誰も笑わず若干場がシーンとなってしまいました(;´・ω・)

 そんな感じでこのところ通り魔事件が相次ぐ中国ですが、本日も湖南省常徳市で小学校の校門付近に車が突っ込んだそうです。犯人はその場で取り押さえられ、被害者も何人でたかは報じられていませんが、「全員命の危険はない」と当局は言っています。逆を言えば、最低でも二人以上は怪我を負った人間はおり、その怪我の程度は軽傷ではなかったということを示唆しています。

 この今日の事件だけでなく、先週は珠江で何十人も轢き殺される事件が起きたかと思えば、一昨日も無錫で8人が殺傷される刃傷事件が起きるなど、マジで数日単位で何らかの通り魔事件が起きています。事件背景には中国の不景気に伴う社会不安が間違いなくあると断言できますが、これ以外にも「中国人だから」通り魔事件が頻発するという主張も見られます。
 この中国人「だから」通り魔事件が頻発するに関しては、私自身はあまりそうは思いません。日本国内でも過去に何度も通り魔事件が起きてるし、また中国は国土も広けりゃ人口も多く、通り魔みたいな頭のおかしい行動を犯す人間も出てくる回数は統計的に日本より多くなるのは確実です。なので中国人だからと言って通り魔を起こす確率が高いという気には私はなりません。

 ただ「中国だから」通り魔事件が頻発するという主張であれば、私も肯定できる面があると考えます。

 これは何故かというと、このところの中国政府の対応、特に事件後の報道を見ていて通り魔事件の発生を助長させていると思う節があるからです。具体的には知っての通り、事件が起きても本当かどうかわからないくらい詳細を隠した事実報道しかせず、犯人の動機や目的については完全にシャットアウトしていたりします。恐らく中国当局としては模倣犯が出たり、報道が広がって社会不安が起きたり、政府に批判が回ってこないようにするためこのような対応を取っているのだと思いますが、私はかえって逆効果を引き起こしている気がします。
 というのも「通り魔事件が起きた」とだけしか報じず、その後について何も触れなければこのような通り魔事件が頭にある輩に「ほかの人もやってるのだし俺も……」みたいな感情を持たせる可能性がある気がします。むしろちゃんと犯人の氏素性や動機などを報じ、このような犯罪は絶対に認められないしやる奴はクズだなどと批判した方が抑止効果が期待できるように私は思います。

 またそれ以上に理解できないのは、被害者を悼む行為すら中国当局は規制し、一切報道させないという点です。各地で起きた通り魔事件の現場には花などを手向ける市民が後を絶たないそうですが、それら献花物を何故か中国当局は悉く撤去していると聞きます。これが実際そうなのかはさすがに国外メディアの報道で見るだけなので断定できませんが、少なくとも中国国内で、被害者を悼む報道はシャットアウトされているのは事実です。

 地味にこうした哀悼に関する報道こそが、この手の通り魔事件を抑止する最大の切り札だと私には思います。あの秋葉原通り魔事件の犯人も、事件を起こす直前にトラックで秋葉原に来た際、本当に実行すべきか悩んだと吐露しています。ほかの通り魔事件の犯人も大体似たようなことを話しており、大分頭がおかしくなっているとはいえ大量殺人につながる行為に対して躊躇するだけの理性は誰しもが持っており、実際に通り魔を計画をしながらも直前で引き返した人も相当数いるのではないと思います。

 ではそうした人たちに躊躇を引き起こさせるにはどうするべきか。それはやはりこうした事件の結果を見せることに尽き、事件の被害者に対し多くの人が悼み、犯人が憎まれる様を見せることになるでしょう。然るに中国当局は何を考えているのか、そうした抑止効果が最も期待できる部分をシャットアウトして、「通り魔事件が起きました」とだけしか言いません。
 深圳の日本人小学生刺殺事件の時に「どの国でもよくあること」と報道官は言いましたが、今の中国当局の対応を見ていると、まるで自らこれら通り魔事件を誘発させている様にすら見えてきます。

 その上で今後について予想すると、恐らくこれからクリスマスや春節を迎えるにつれて、世の中のハッピーな雰囲気が逆に心理的負担として感じ、通り魔事件を起こす人も増えていく気がします。中国当局も警戒して、春節前は駅などに大量の警官を配備することでしょう。
 でもって本格的に対策するのは共産党幹部の子弟が被害者となってからになると思います。逆を言えば、権力層が被害に遭うまではあまり本気で対策せず、おざなりというか助長させる対応を繰り返すのではと投げやりに見ています。ただもしガチで対策採るようになったら、通り魔予備軍を事前にピックアップして、対象人物を本格的に監視、制限してくるのではないかと考えています。
 具体的には、

・離婚歴がある
・借金がある
・無職
・前科がある
・通報されたことがある
・共産党員じゃない

 以上のような条件が複数当てはまる人物に対し、位置情報をリアルタイムで監視したり、行動に制限をつけたり、定期的なカウンセリングを強制してくるのではないかと自分は見ています。冗談みたいなことを言っているという自覚がありますが、冗談みたいなことを本気でやってくるのが中国なだけに、マジでこういうことも起きるような気がしています。まぁカウンセリングに関しては効果的だと思うし、日本でも条件当てはまる人には受けるよう勧めた方がいいかもしれないけど。

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