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2025年12月25日木曜日

中国のストーリーに乗っかる価値があるのか?

 最近やたら峯村健司氏の中国コメント記事を見ることが多いですが、自分もこの人の主張する内容にはほぼ全て同感し、また論理も筋道が立っているのでほかの人も参考にするならこの人のコメントだと思います。真逆なのははっきり挙げてしまうと真壁昭夫氏で、何でもかんでもこじつけて中国を批判してくるのですがその引用データすら怪しいところがあり、クレジットにこの人の名前ある時点で自分は読むのを止めます。典型的な、中国批判を煽ってアクセス数を稼ぐだけの人です。


 それで本題ですが上のリンク先は遠藤誉氏の「中国が何故内戦状態を敢えて維持しているのか」についての解説です。自分の理解で敢えて開設すると、台湾よりも中国本土にめちゃ近く陥落させようと思うならすぐ落とせる金門島を敢えて台湾に支配させているのは、中国の戦略の一つだそうです。要するに、戦端となる場所を敢えて残すことで中国はまだ内戦状態という扱いにし、台湾の独立を防ぐとともに、他国の内政干渉を妨害するという狙いとのことです。
 この戦略は台湾に逃げた蒋介石にとっても都合がよく、いつか大陸に反抗する際に「内戦の延長」という論理で作戦開始できることから、本土と台湾どちらにとってもWin-Winであることから互いに対戦状態アピールをしているということです。

 こうした中国側のストーリーに対し、先日の高市総理の発言は日本が存立危機事態として台湾有事に関与しようものならそのストーリーを壊すものであり、だから中国は怒っていると遠藤氏は述べています。でもって、こうした基本的背景も知らずにあんな発言をするなんて高市総理はバカチンだみたいに批判しているのですが、正直中国研究に関して大先輩である遠藤氏に言うのもなんですが、その理論は逆にどうかと私には思います。具体的には、この中国のストーリーに乗っかることで日本はどう得するんだという点です。

 順を追ってあげていくと、まず台湾有事が起こると日本としてはシーレーンが途絶される可能性があります。次に実際に台湾が落とされると、今度は尖閣諸島や沖縄に対して中国はよこせと言ってくることは確実です。というのも中国共産党の最終目標は米国と戦争して勝って世界の覇権を握ることにあるからです。
 こうした事態を防ぐためにも台湾を今の状態、少なくとも本土の支配下に入らない状態を維持することが日本にとってはプラスだと思います。その前提に立つうえで、仮に中国の上記の内戦中というストーリーに日本が乗っかる、尊重したところで、どんなメリットがあるのかという点で疑問です。むしろ台湾への武力侵攻を裏付けるようなものとなり、武力侵攻はあってはならないなど「それは違う」と否定する、またはあきらめさせることの方が日本にとって利があるように思えます。

 さらに述べると、私は台湾友人は日本にとってだけでなく中国の一般市民にとってもマイナスな事態になると考えています。単純に国際社会から孤立するし台湾自体がTSMCをはじめ、もはや日系企業以上にグローバルサプライチェーンにおいて重要な会社が多く、これらが戦争などの有事に巻き込まれることは多くの影響を受けます。
 その結果として実際に事を起こしたら中国への反発は広がり、経済的にも国際影響力的にも大きくマイナスとなります。民主的統合ならまだしも武力侵攻なんかしたらそのしっぺ返しを食らうのは一般中国人で、得をするのは名誉欲を満たす習近平だけでしょう。

 私自身、こうした「台湾有事は中国人たちの利益にならない」、「中国という国家としてもダメージの方が大きい(ぶっちゃけ今のような経済状態維持する方がずっと有利)」、「得をするのは習近平だけ」という考えから、台湾への武力侵攻には反対ですし、それを中国共産党に意識させることが事態回避にとっても重要だと思います。
 だからこそもしことが起きたら、実際にやるかは別として、日本も動くかもという姿勢を見せることは抑止の上で大事でしょう。高市総理の発言の仕方がどうかについては私はあまり気にしませんが、姿勢としては間違っていないし、実際にこうして中国が過激に反応する当たり、日本とかが絡んでくるのを嫌がっているのは間違いないでしょう。

 個人的に中国が一番嫌な事態は、台湾問題で日韓が連携を採ることにあると思います。韓国も自国の事情があるでしょうが、台湾有事をあきらめさせるためにも日本や台湾と連携取ってもらいたいものです。

 話を戻すと、そもそも最初の内戦中というストーリーですが、これを今意識している人がどれだけいるのかという点でも私は怪しいと思います。ぶっちゃけ中共の中でしかもはや共有されていないように思え、このストーリーに乗っかる意味は「中共を怒らせない」という点しかないように思え、それはそれで腑抜けた態度だと思うし、国益にもマイナスだし、日本国民も理解できないでしょう。
 以上のような見方から、今回のこの遠藤氏の主張に関してははっきり疑問を覚えるに至りました。一番肝心な日本の目標としては如何に台湾への武力侵攻を中共にあきらめさせるか、抑止するかであり、中共のご機嫌とったり怒らせないということは筋じゃない気がします。私個人としては日本政府が「台湾の民主的統合を望む」という風に発信するのが、民主主義の隠れ蓑にして武力侵攻を止めろと言うメッセージになるのでいいんじゃないかと思うのですが。

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