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2023年5月24日水曜日

ロシア領内への攻撃があったと主張するロシア政府のおかしさ

 ちょっと日が経ちましたが広島サミットの終わり間際、ロシアとウクライナ国境沿いのロシア領内で攻撃があったと報じられています。この攻撃についてウクライナ政府は関与していないと発表したのに対し、ロシア政府はウクライナ軍の攻撃によるもので撃退したと主張しました。
 その後、プーチン打倒を目指す反ロシア政府団体が攻撃を行ったと主張しましたが、正確な裏付けがないため真実かどうかは現在判定しかねます。ただそれ以上に意味不明というかわからないのはロシア政府の言い分で、この攻撃について「敵がロシア領内に侵入して攻撃してきた」と主張した点です。

 何がおかしいかというと現在激戦地となっているバフムトを含むウクライナの東部二州について、ロシア政府は先に併合を発表し、ロシア領内だと主張しているからです。ロシアの主張に基づくならばロシア領内のウクライナ軍の侵入や攻撃はとっくの前から行われており、現在もなお戦いが続いているはずです。にもかかわらず今回やその前のモスクワのクレムリンにおけるドローン騒動について、まるで今までなかったかのように「敵はロシア領内に攻め込んできた」と主張するのは暗に、ロシア政府も東部二州を自国領と認識していない表れなのではないかと思ってみています。
 東部二州の併合前、一部評論家らが「現在も戦闘が続く東部二州を自国領と扱うことでロシア領内への侵略と主張し、核を撃つ布石とするのでは」と批評していましたが、現在のところせっかくベラルーシに配備した核も音沙汰なく、使われないままでいます。結局のところプーチンを含め東部二州、そしてクリミアも併合したと言いながら全くロシア領だと考えてもいないように見え、少なくとも開戦前の国境にまでウクライナ軍が攻撃しない限りは、今のまま核は使われない可能性が高いように思えます。

 それにしてもこのところのプーチンの落ちぶれぶりは目に余るというか、先のサミットでF16の供与を欧米が示したのに対し「事態をエスカレートさせる行為で大きな代償を負うことになる」などと北朝鮮そっくりの口調で言いだしたあたり、ロシアも北朝鮮のようにこれからなる布石にも見えます。
 そもそも開戦直後、英国のジョンソン首相(当時)に対し、「数分でロンドンを火の海に変えることもできるんだぞ」とプーチンは脅していたらしいですが、これと比べると先の脅しのトーンダウンぶりはもう見ていてられないレベルです。っていうか脅された国は敢えて今、「数分でモスクワを火の海に変えることもできるんだぞ」などとそのまんまロシアに言い返して、「プーチンは前こう言ってたよね。でも実行しなかったよね」などと煽っていい気がします。

 まぁ煽るって意味なら、開戦直後に在日中国領事が言った「強い国にケンカを売るべきではない」って言葉を、「日本語じゃなくちゃんとロシア語で言ってあげないから、ロシアは今大変なことになったんじゃないか」と、中国政府に言ってみたいです。ほんと、中国政府関係者は細かい気配りが足りない。

2023年5月19日金曜日

岸田総理の強運

 また一から同人ゲームの「新説魔法少女」を遊んでいますが、このゲームをやると途端にほかのゲームがつまらなく感じてしまうほど相変わらず面白いです。なんでこの出来でお金取らないんだと思いますが、自分はIFバージョン(アドレナ戦記というシナリオが追加)を有料版で買ってたのを思い出しました。
 今2週目しているのは本編ですが、改めて本編と比べるとアドレナ戦記は激ムズだったということを思い知ります。よくあれ無事にクリアできたもんだ(;´・ω・)

 話は本題ですが待ちに待った広島サミットが開催され、各国首脳は現在日本を訪れています。中でも目立つのは焼き鳥食って、赤い靴下履いたスナク英首相ですが、前のボリス・ジョンソンも目立つ人だったけど英国の首相はなんか日本で人気でやすい気がします。
 関係ないけど漫画のナポレオンが単行本だといよいよワーテルローに突入して、ナポレオンに引導を渡した後に首相にもなるウェリントンの活躍というか、恐ろしさが垣間見える内容になっています。神経質そうに書いているけど、「ああこりゃ敵わんな」と感じるほど優秀なように描くあたり、作者の長谷川氏は大したもんです。っていうか、あの巻だとナポレオンの無能ぶりのが目立つというか、何であんなやたらと兵力分けたがるのか見ていて理解できない。

 話を戻すとこのサミットの最大の関心事は、全国から警備に集められた警察官のうち、警備で定評のある奈良県警はどこにいるのかっていうこと(多分呼ばれてないだろうが)、ではなく、なんといっても今も続くウクライナとロシアの戦争でしょう。対中国も睨んでロシアへの圧力を強める方向でこのところ来ており、ロシア側が全く停戦にも事態収束にも動かないのを見てか、戦車→長距離ミサイルと欧米の支援内容は徐々にアップグレードしており、そろそろF-16こと準現行戦闘機の供与も取りざたされてきました。

 今回のサミットでもこうした支援や対露制裁内容が主に話し合われると思われていたところ、なんと今日ウクライナのゼレンスキー大統領がわざわざ訪日し、サミットに参加するとの報道が出ました。私個人としてはこの1年間の苦境を生き抜き、今も先頭に立ってロシアとの戦争を主導する彼には強い敬意を感じるだけにこの訪日は大歓迎ですが、それ以上にサミットで他の首脳と会するという意義は国際社会的にも非常に大きいと思います。

 その副効果として、恐らく次の世論調査で岸田総理の支持率はまた一段と上昇すると思われます。サミットそれ自体も十分プラスですが、ゼレンスキー大統領の訪日参加が加わればかなりの上昇が期待され、場合によってはこの余勢をかって解散総選挙に出るのも選択肢としてありうるのではないかと思います。
 そうした先の展開を予想するにつけ、このところの岸田総理の強運ぶりには舌を巻く思いがします。

 先月の和歌山県での襲撃事件も警備に定評のある奈良県警とは違って和歌山県警が警備していたことや、勇敢な漁師の方がすぐ犯人を取り押さえたこともあり奇跡的にも死傷者ゼロで犯人確保という最良の結果に至りました。どうもこれ以降、あらゆる政局が岸田総理有利に傾き出し、恐らく事前に内定していてサミットに合わせて発表されたのでしょうが、マイクロンなど半導体世界大手の日本投資発表がこのところ相次いでおり、株価も今日記録的な高値をつけ景況感も悪くないものとなっています。
 そこへきて前述のゼレンスキー大統領訪問ときたもんで、またしゃもじを送るのかは知りませんが、日本人の中でもゼレンスキー大統領に好感を抱いている人は私以外にも数多くいるように見えるだけに、到着時には大きな報道がなされ最近の阪神や横浜みたく盛り上がるかと思います。

 私自身は岸田総理の政策についてあまり評価しておらず、現在までの施策に関しても増税は日本で税金支払う立場じゃないのであんまどうこう言うべきではないですが、子育て支援とかあんま魅力的に見えないだけに期待も高くありません。それだけに先月の地方選で敗北した後にすぐ総理の座から降ろされるのではないかとも思っていましたがここにきてやたら強運ぶりを発揮しており、この分だと今年1年は確実持ちそうで、先にも述べた通りタイミングが合えば総選挙でも大勝が狙える可能性も高まってきました。
 ちょうど維新の党の議員がロシアのスパイかと思うくらいのセルフネガキャンやったばっかだし。

 過去の総理で強運だった人を挙げるとしたら小泉元総理が真っ先に上がりますが、このところの岸田総理についても小泉元総理に負けないくらいの強運ぶりを感じます。地味に運がいいかは政治家としても大事な要素だと思うので、政策能力は期待しないものの、このところの強運は手放さずに強く持ち続けてほしいものだと密かに願う次第です。

 なお治安に不安はありますが、今でも奈良に移住したいという気持ちに変わりはありません。まぁ治安の悪さならマッドシティで十分慣れたし( ゚∀゚)アハハ

2023年5月12日金曜日

2027年までに台湾有事が起こる確率

 最近また仕事が忙しくなってきて暴れちゃいそうです。ストレスたまってるのか、まだ作っていないキットあるのにまた別のプラモも買っちゃうし……。っていうか仕事でもずっとキーボード叩いているのに何で家でもまたブログ書くのにまたキーボード叩き続けてるのか意味不明です( ;∀;)
 話は本題ですが米軍は2027年までに大陸の中国が台湾に攻め込む台湾有事が起きると予想していますが、結論から述べると自分は逆に、2027年までは台湾有事が起きる確率はもはやほぼないと楽観視しています。

 まず今回の予想の大前提として、中国が台湾を占領するに当たっては去年の2022年が千載一遇のチャンスの年であったと私は確信しています。このチャンスはそれこそ十年に一度と言っていいほどの奇跡的なもので、準備不足だったとはいえ中国がみすみすこのチャンスを逃したことから、2027年まで台湾有事はもう起きないだろうと自分は予想しています。

 何故2022年が中国にとってのチャンスだったのかというと、言うまでもなくウクライナ戦争の影響です。ロシアに侵攻されたウクライナに対し米国は多大な軍事支援を行った結果、本国においても予備の弾薬が払底する有様でした。そのため仮に去年のうちに中国が台湾に軍事攻撃をかけたとしても、ただでさえウクライナへの支援で手一杯の米国には台湾を支援する余裕はなかったでしょう。下手すれば沖縄にいる在日米軍ですらあまりの備蓄不足により、台湾への攻撃を目の前で眺めるだけとなっていたかもしれません。

 その米軍の弾薬不足状況は今年2023年においても続いてはいるものの、すでに米軍は補充に向け軍需メーカーに発破をかけており、その資金調達のためか日本にもデッドストックとなりつつあったトマホークミサイルを買わせたりしており、少なくとも去年よりは台湾を支援するリソースが整いつつあります。
 またウクライナ情勢についても、ロシアの劣勢がもはや明確となっており、戦闘種類も今後は戦車などが中心となる地上戦に移行していくとみられ、米国の支援の種類や形態もこれまでとは変わってくるでしょう。

 このほかウクライナ戦争の別の影響として、ロシアの威信や影響力の低下もまた、中国が台湾を攻略する上のハードルを上げています。現在戦争中のロシアは中国がある意味支えていますが、台湾有事の際に中国がロシアに期待していたのはまさにこの役割でした。
 しかし今回のウクライナ戦争によりロシアは経済制裁を受けて国際影響力が低下しており、半同盟国だったインドだけでなく、手下のように見ていた東欧諸国にすら距離を置かれる有様です。仮に中国が台湾有事を起こして欧米と関係を悪化した場合、国際社会で中国を支持して支えるだけの影響力はもはやないでしょう。恐らくこれから起こるウクライナの反転攻勢によりますますロシア、そしてプーチンの威信は落ちるとみられ、中国が有事の際に頼れる同盟相手としての役割を果たすことはもはやできないでしょう。ほかに頼れそうなのになるとあとはもう反米同士のイランと北朝鮮だけでしょうが、むしろ足を引っ張る存在になりかねません。

 以上の要素に加え、対中国包囲網が着々と構築されつつあります。先日にインド空軍が日本に来たりもしましたが、それ以上に大きいのは韓国外交の180度転換です。前のムンジェインが極端な左寄りだったのに対し、かわって大統領となった尹大統領は日米との関係を重視してその連携を深めています。

 何気にこれまで台湾有事を分析する上で自分にとっての最大の不確実要素は、韓国がどう出るのかがわからない点でした。ムンジェインの頃であれば確実に台湾が攻められるのを傍観し、在韓米軍に対してもその行動を阻害してくるとみられました。下手したらもっと中国寄りの姿勢を取り、自衛隊や在日米軍に対し露骨な妨害もしてくる可能性も考えられたでしょう。
 しかし新しく大統領となった尹大統領は北朝鮮にも突き放す態度を取り、中国に対しても脅しに屈さぬ態度を見せています。ぶっちゃけ自分からみて韓国としては今の尹大統領の外交方針こそがその利に適うと思え、日米をバックにすることで中国の強請りにもある程度対抗しやすくなると考えています。それ以前に韓国の半導体産業にとっても、TSMC擁する台湾を守る必要性と価値は十分あるでしょう。
 恐らく今の尹大統領がいるうちならば、中国が台湾有事を起こした場合は日米との連携を実現してくれると期待できます。

 その上で想定されるシナリオとしては、中国が台湾のみに攻撃を行う場合、沖縄の在日米軍(場合によっては自衛隊も)が出動して台湾を支援し、この場合は台湾と中国間の海上が主な戦場となるでしょう。
 問題なのは在日米軍が出動する沖縄に対し、中国が攻撃または海上封鎖をしてくるというシナリオです。この場合、確実に自衛隊も台湾防衛戦に参戦することとなり、台湾と沖縄諸島が戦場になってくると思います。

 どちらのシナリオにおいても、韓国がどう動くかは大きなファクターになると思います。一番韓国に期待したいのは中国と韓国に挟まれる黄海における中国軍艦に対する航行妨害で、これがあるかないかで戦況はかなり変わってきます。また中国が沖縄を攻撃して自衛隊が参戦した場合、韓国軍も参戦するか否か、これは文字通りに戦況を左右するだけのファクターでしょう。
 韓国軍が参戦するかという可能性は、その影響力のあまりの大きさから、実際に参戦するかどうかにかかわらず「場合によっては参戦してくる」という可能性そのものだけで、中国に対する大きな抑止力になると断言できます。それだけに今の尹大統領が日米、特に軍事面で強い連帯感を示し、いざとなれば韓国も黙ってないよという姿勢を見せることは、中国に台湾有事を躊躇わせる大きな要因になると思います。

 以上のような分析から、今の尹大統領の任期が切れる2027年まで中国が実際に台湾有事に踏み切る確率は、去年からのロシアの国際的影響力の低下、韓国の外交方針転換を受け、今や大きく低下したと私は考えています。正直、たった1年でこうも状況が変わるのかと思うくらい確率が低下したように見え、それだけに去年、特に韓国大統領選が決まるまでの間のチャンスを中国がみすみす逃したのは、中国に「状況はどんどん悪化している」と意識させ、台湾有事をあきらめさせる上で非常に大きいという気がします。

 無論、ウクライナ戦争の勃発のように予測されなかった事件が起きることで状況がひっくり返り、中国にとってより有利な状況に転んで台湾有事が起きてしまう可能性も十分あり得ます。それだけに今の状況、中国から見て「分が悪い」と感じさせる状況をもっと作り、維持するため努力を払うことは非常に重要です。

 日本においては当事者である台湾との連携を深めるほか、「仮に沖縄の在日米軍基地が攻撃されたら自衛隊はほぼ確実に参戦してくる」という観測を中国に持たせることが何より重要です。台湾のみが攻撃される場合も、公海での中国軍艦の妨害をどこまで行うかはかなり重要になるでしょう。
 また前述の通り、韓国との連携も台湾有事を防ぐ上で非常に重要です。日米韓が台湾防衛に異常にやる気を見せれば中国もまず台湾に手出しできないと予想されるだけに、三ヶ国揃って「俺たちの台湾に何してくれんだ」という姿勢を見せることが、戦争回避のため最も重要だと私は思います。

 なお仮に台湾防衛に韓国が参戦する場合、北朝鮮がどう動くかはやや未知数です。ただこの場合、反対に台湾有事が起きるや韓国軍が北朝鮮に攻撃を仕掛けるというのも、中国にとってはかなり痛いシナリオになってくると私は思います。場合によっては韓国は台湾有事が起きるや北朝鮮攻略を優先して祖国統一に動く方が、中国への妨害という面で価値を持つかもしれません。なおこの構造は冒頭に挙げた「ウクライナ支援に手いっぱいで台湾に手が回せない米国」の立場に今度は中国がなるということを意味しており、中国が逃したチャンスを韓国は逃すべきではないと密かに思います。

2023年5月5日金曜日

忘れられつつある岸田総理の襲撃事件犯人

 まだ発生から1ヶ月もしてないですが、和歌山県での岸田総理を狙った襲撃事件についてもはや誰も話題にしなくなっています。まぁぶっちゃけ、ホームランが飛び交った今日の神宮花火大会の方が歴史的にも重要だと私も思いますが。

 同じ政治要人を狙った襲撃事件でも、去年夏の安部元総理の事件とはその後の反響が大きく違うと感じます。もちろん安部元総理の事件では襲撃が成功し狙われた安部元総理が亡くなったのに対し、今年の岸田総理の事件では幸いにも誰一人死傷者が出なかったという点で大きな違いがありますが、それ以上に反響の分かれ目となったのはやはり襲撃者が持つ大義の差にあると感じます。

 襲撃そのものを支持するつもりは全くありませんが、安部元総理の事件に関して犯人ははっきりと統一教会の問題が動機だと述べており、その問題に翻弄された家庭環境などについても後に報じられています。その内容を見た私としては以前にも述べていますが、仮に犯人と同じ立場であればこうした襲撃を企図しなかったか、企図しないまでも実際に統一教会に便宜を図っていたと言える安部元総理に憎悪を抱かなかったかと言えば、そうならないと言い切る自信はありません。
 実際に犯人の境遇に同情心を感じた人は少なくなく、その裁判に対する献金額も相当な額が集まったと聞きます。また事件後の自民党内における統一教会関係者への近すぎる距離に関しては非難も集まり、関連議員らも関係を断つと表明せざるを得なくなるなど、実際に政治的にも社会的にも大きな問題でありながら誰も切り込まなかった点、というより切り込めなかった点に犯人は食い込んだと言えなくもないです。その襲撃は政治目的ではなかったにしろ、皮肉ながら日本の大きな政治的欠陥を是正するきっかけになっています。

 そうした、ある意味で日本の暗部に切り込んだ安部元総理襲撃事件の犯人に対し、岸田総理襲撃事件の犯人に関しては、その襲撃に関して何の大義というか共感も覚えません。報道ベースではいまだこの犯人の動機について報じられていませんが、これは動機に対する憶測や下手な共感が広がることを防ぐためという政治的な報道規制が行われているとの声も出ているものの、単純に誰も興味持ってないという方がより実態に近い気がします。
 事件直後の報道によるとこの犯人は選挙出馬年齢の下限に対して不満を持っており、わざわざ裁判を起こしてまで改正しろと主張していたそうですが、時間が経てば誰でも年齢条件クリアできる点で平等だというのに、こうした主張をするあたりでまともな人物とは到底思えません。実際に事件前の怪しい行動をよくとっていたとのことで、単純にまともな判断力を持たないおかしな人物がおかしな行動に出たという風にしか、この事件については見えません。少なくとも「人を殺すに足る」理由をこの犯人は確実に持っていないでしょう。

 そういう意味では大義とまでは言わなくても、行動に周囲の人も納得するだけの動機があるなら世の中もその行動や犯人の人物像に関心を持つのに対し、そうしたものが一切なく、ただ自分の不満を他人にぶつけようとするだけの浅い価値観の人間に対しては誰も興味を抱かないし、支持もしないのだなというのが両事件の一番大きな差に見えます。以前の記者時代に当時の編集長が革命なり大衆運動なり起こすに当たっては、みんながそりゃそうだと思うような大義がなければ決して成功もしなければ続きもしないと語り、大義なき行動というのは絶対に失敗すると言っていたのを思い出します。

 襲撃や暗殺に大義はあるのかと言えば、少なくともなければその行為は後に否定され、暗殺され側を逆に盛り上げることになるという風に思います。現実にあの事件から岸田政権の支持率は株価みたく反発上昇トレンドを取るようになり、もし今年総選挙が起きて自民党が勝利したらその最大功労者は襲撃事件の犯人とかになりそうです。
 っていうかあの事件以降、若干政権と距離を置き始めていた菅元総理が急に静かになったし。

 以上から、少なくとも大義がないのなら暗殺とか襲撃はやるだけ無駄だし逆効果になるからみんなやめなよというのが自分の意見です。まぁ大義があるならやっていいってわけじゃないですが、大義があるなら実力行使に出る前にもうちょい世論に訴えかけるところから始めてもらいたいものです。

2023年4月17日月曜日

予想外の岸田内閣の高支持率

 最近になってようやく「真説・魔法少女」と同じ作者の「ハーチウム」というゲームを遊び始め、時間が取られがちです。どちらもかなり激ムズなシミュレーションRPGで、殺す前に殺さなきゃあっさりゲームオーバーな展開がリアルで面白いです。

 話は本題ですが週末の各種世論調査によると、岸田内閣の支持率がここにきて40%を超えるという高騰ぶりを見せています。理由ははっきりしていてやはり土曜の襲撃未遂事件に尽きるでしょう。馬鹿な人がこの結果にあの襲撃はやらせじゃないかとか言って非難を浴びているようですが、結果的に未遂に終わったのと、犯人をすぐ取り押さえたおじさんに岸田総理が直々にお礼の電話を掛けたというのは私も非常に好感が持て、否が応でも支持率は上がるだろうと思ってたらまさか40%超えになるとは想像してませんでした。

 去年の時点で私は4月の統一地方選で割と敗北が続き、菅前総理もやや怪しい動きを見せ始めていたことから、このあたりで岸田おろしみたいなのが起きて、新たな総理を迎えた上で総選挙に出ると読んでいましたが、先々週の統一地方選は分裂選挙となった奈良県をはじめ確かに敗北が続いたものの、先週の襲撃未遂で一気に敗色ムードが吹っ飛んだ感じがします。岸田総理としても今の時点で退陣する理由は全くなくなり、予想が外れて恥ずかしい限りですが、少なくとも秋まではこの内閣が続くでしょう。

 ただ、政策面に関して岸田内閣は未だ芳しくありません。花粉症対策とか、確かに必要だと思うけど若干思い付きに近い政策を出したり、異次元というけどあんま実効性の感じられないというか朝令暮改な少子化対策など、世の中をいい方向に向ける政策については依然期待できません。まぁOpen AIの人と会って、AI産業振興するっていう発言は歓迎できるけど。

2023年3月24日金曜日

しゃもじより有意義だと思うプレゼント

 なんか今日の上海の夜はやたら冷えます。この前電気カーペット壊れて買い替えたと書きましたが、寒いシーズン終わり間際ながらすぐ新調して正解でした。ただ昔と比べて贅沢になってしまって、もうちょい大きいサイズにすればよかったなどという邪念がこのところよぎります。

 話は本題ですがこの前ウクライナに訪問してきた岸田首相の贈り物が色々話題になっています。その送りもというのも必勝しゃもじで、平和を是とする日本が勝利を願ってどうするとか、そもそもこんなしゃもじなんてゼレンスキー大統領も困るだろうとか言われてて、まったくその通りです。ただロシア外務省が「これは日本からロシアに対する挑発だ」などとしゃもじごときにいちいち反応してきたのは笑えます。多分、しゃもじにキレたのは世界初じゃないかな。

 じゃあしゃもじじゃなければ日本は一体どんなものをウクライナに送るべきだったのか。自分が真っ先に浮かんだのは地雷探知機、地雷除去装置でした。ウクライナ各地ではロシア軍が埋めていった地雷がいまだに多いと言われるだけに、自衛隊の装備品にもあるのだし、武器としては全く使われない代物なのでこれが一番いいのではないかと思いました。
 次に浮かんできたのは携帯食料をはじめとするキャンプ用品などです。調理の手間がいらずにどこでも食べられる食料であれば前線の兵士のみならず、住居を失った人たちにもすぐ役立ちます、また合わせてキャンプ用品なども送れば、物資が困窮している人たちの助けになるのではないかという風に見ています。

 このほかなんでも送っていいっていうんならもう一つ、トヨタ車なんかも選択肢に入る気がします。具体的な車種としてはランクルとハイエースで、前者はどんな悪路でも走ると言われる隠れたトヨタの最高級車と言われる車で、軍隊においても十分活用できるかと思えます。
 後者のハイエースはともかく積載量が桁違いでありながら、一定の走行性能も備えており、よく中東のテロリストが「トヨタさん、ありがとう!」というビデオレターを送るくらい好評でした。テロ活動に使われるのはもちろんよくありませんが、ウクライナ軍、またはウクライナ国内の救援活動などに従事している人にとっては非常に役立つ代物と思えるだけに、この際100台くらいまとめてウクライナに送るなどを日本政府、トヨタは検討してもらいたいです。

 なおトヨタと言えば新しくなったプリウスがデザインがいいと評判ですが、ソ連人民の敵であるうちの親父もなんか気に入ってトヨタのディーラーに行ったところ、予約受付は7月からで、予約しても納車まで1年半かかるとか言われて手のひら返すように「トヨタは商売する気が見えない( ゚д゚)、ペッ」などと急にトヨタの悪口を言い始めました。
 なおトヨタ車で言うと個人的にはカムリの日本国内販売をやめるというのが地味にショックでした。もし日本に住むことあれば現行カムリに乗ってみたいと思っていましたが、どうやら叶いそうもありません。ちなみに会社の若い同僚にこの前、ダイハツはカムリを「アルティス」という名前でOEMしてるから、仮にアルティスで人跳ねても、目撃証言で「車はカムリだった(;゚Д゚)」と言われ、運が良ければ逃げられるかもという妙な入れ知恵をしてきました。

2023年3月23日木曜日

溺れるプーチンは習近平をも掴む( `ー´)ノ

すがるプーチン、手を差し伸べる習近平、電撃訪ロで見せつけた圧倒的力の差(JBpress)

 上の近藤さんの記事を見て、浮かんできたのがこの見出しです。あながち間違えじゃないけど、掴む対象が結構ビッグだ。

 ただやはりこの記事にも書かれてある通り、中国とロシアの関係は今や完全に逆転しているように見えます。もともと経済面では中国は圧倒的にロシアを上回っていましたが、ヨーロッパ人だと自認するロシア人はアジア人をやや低く見る傾向があると言われており、実際にプーチンの態度とか見ていても中国との親近感をアピールしつつ、ドイツやフランスの要人などと比べると、中国相手だと露骨に自分の方が偉そうな態度を見せていたように感じました。
 それが今回の習近平への態度を見ると、表面上は対等なパートナーであるかのように見せかけようとしていますが、プーチンが年取ってきたのもありますが、やはりどこか弱弱しげに感じます。それこそ中国にお願いしてきてもらっているかのような態度で、それを以って習近平もやや得意げであり、力関係的に中国のが上だという風に自分にも見えます。この点、中国人からしたら見ていて気持ちのいいものがあるんじゃないかと思います。

 総じていえば今のプーチンには余裕さの欠片も感じません。ウクライナ占領地を訪問している写真を見ても、「ディズニー忍法影武者の術」ばりに影武者かもしれませんが、なんか緊張を隠せない風にも見えます。あまり侮ってみるのは判断を誤るので控えるべきなのですが、ウクライナ戦争開戦前夜の北京冬季五輪時の得意満々な表情と比べると、プーチン老いたりという感情を覚えずにはいません。

 それにしても2月あたりからはロシアが近々大攻勢をかけるという報道がずっと続いていましたが、3月には行って以降、ぴたりとその報道が止んでいます。バフムトでは長く激戦が続いてはいるもののロシアはこの年を未だに陥落させずにいますが、もしかしたらかつて報じられていた「大攻勢」は実行済みだった、というかそうとしか考えられません。
 恐らくロシア軍は2月後半に大攻勢をかけたつもりだったものの、結果的に目標の第一段階であったバフムトすら陥落させられず、途中で息切れして止まってしまったのが実情なのでしょう。ウクライナ軍でも損害が広がって入ると言われるものの、ロシア軍の戦略目標をくじき、大攻勢そのものが認知されなかった点を踏まえると、非常に善戦しているものと思われます。

 そのウクライナ軍が反撃するとしたら、戦車隊の準備がある程度進む5月以降になると言われています。それに対しロシア側はどういう防御策を用意しているのかが気になりますが、今回の対候性失敗を見る限り、結構お粗末な状態なのではないかと密かに期待しています。

2023年3月6日月曜日

韓国の徴用工訴訟対応について

 今日の侍ジャパンの大谷選手の二打席連発はやばすぎる。っていうか本当に、ほかの打者みんなが彼の前だと高校生とかに見えてしまうあたり、いろんな人も言っていますが規格外です。

 さて話は本題ですが、本日韓国政府はかねてから日韓の間で懸案となった二次大戦中の韓国人徴用工に対する補償の訴訟について、韓国側で財団を設立し、企業側の寄付で以って補償を行うことを発表しました。寄付は日韓の企業から集めるとしつつも、戦後に日本からの資金で成長を遂げた韓国ポスコなどの企業の資金がメインとなるとみられています。
 この韓国側の対応に関して、個人的には満額回答だと自分は考えています。またこの韓国の動きに合わせて日本側で現在輸出を規制している半導体素材などに関して、韓国をホワイト国に復帰させて規制を解除するという報道も出ていますが、これについても自分は賛成です。

 やはりネットを見ているとこの韓国の対応でも納得していない日本人は多く、特に輸出規制解除に関しては反対の意見が非常に多いように見えます。根拠としては輸出規制は自衛隊機への火器管制レーダー照射がきっかけなのだから、この問題で韓国が謝罪しない限りは妥協すべきでないというのが多いように見えますが、自分は輸出規制に踏み切ったのはあの件だけではなく、また徴用工訴訟が一番大きい理由だと思うので、上記意見にはあまり同感しません。
 それよりも、この規制によって一番打撃を被ったのは韓国の半導体メーカーですが、日本の素材メーカーも販売が阻害されるだけに、ノーダメージというわけではありません。むしろ規制が長期化して代替されればせっかくの売り先がなくなるだけに、今このタイミングで解除する方が経済的にもメリットがあると考えています。

 もっとも、半導体業界はちょっと今不況気味なのですが。

 以前の記事にも書きましたが、そもそも日韓関係がこじれたり、徴用工問題が荒れに荒れた原因は前のムンジェイン前大統領以外の何物でもなく、彼が去り、また現在の韓国野党党首に逮捕状が出るなど支持離れが起きている現状を考えると、日韓関係を融和させる方がやはり得でしょう。私自身も過去の韓国の態度は腹に据えかねるものがありますが、韓国が敵であるよりは味方である方が国際的にも絶対的に有利であり、ロシアがウクライナに侵攻したり北朝鮮の挑発が過激化している現状を考えると、ここで融和を取る方が日本の国益にも叶います。

 何より今の尹大統領は、前にも書いた通り原則を比較的重視する人間のように思います。今後豹変することもあり得ますが、この徴用工訴訟問題に関しては早くから今日発表された内容で落とそうという動きを見せており、実際にその通りに今回発表してくれました。ここで日本側が態度を緩和させなければ韓国国内で尹大統領が批判にさらされ、韓国との関係がまたこじれる可能性も出てくるだけに、日本側も一定の譲歩というか融和態度を見せる必要があるでしょう。

 タイミングのいいことに、現在韓国では映画「スラムダンク」が大ヒットしており、対日感情も改善されてきていると言います。この流れに乗る形で慰安婦問題についても、尹大統領にも対立野党を攻撃できるというメリットを持つだけに、日韓両政府で改めてケリをつけるために動くべきタイミングだと思います。
 唯一の懸念は竹島で、これに関しては現状、両国に歩み寄れる余地はないでしょう。私としてはやはり日本側に属すと主張したいところですが、今ここで主張することにはほぼメリットがなく、韓国側が声高に領土主張をしてこない限りは、日本政府としてもあまり触れずにおいた方がいいと考えます。弱腰だという人もいるでしょうが、吠えたところで竹島の領土認定が得られるなら自分は迷わず吠えるべきだと主張します。そのような目算もなくただ吠えるだけというのは、「月に吠える」もいいところでしょう。

 さらに日韓両政府に期待したいこととしては、台湾有事における日韓の連携です。米軍は既に台湾有事が起きた場合、日本の沖縄も攻撃されることをほぼ想定しているようですが、在韓米軍も台湾防衛に動くのかが自分としてはやはり気になります。距離もあることだしそう簡単ではないと思うものの、日米韓が共同して台湾防衛に動くというような姿勢は、中国に対する大きな牽制にもなりうるだけに、下手にカードは隠さず有事における共同歩調をそれとなく打ち出してほしいのが本音です。
 この点について、今だからこそ岸田首相と尹大統領には議論してもらいたいです。まぁ岸田首相がいつまでもつかわからないけど。

 それどころか、台湾有事の発生時も岸田首相が総理にいたら、なんか「対応を検討する」と言いそうで不安です。こういう時はマジで菅氏だと頼りになる気がして、そういう意味では彼は平時よりも有事の宰相の方が適任なのかもしれません。

2023年3月5日日曜日

放送法に関する文書報道について

 寒暖の差からかこのところ疲れやすく、昨日は昼寝に入ったらかなり長い時間眠って自分でもびっくりでした。やっぱ疲れてたんだなぁ。

 話は本題ですが久々にブログに使える政治ネタが出てきたというか、立民の小西洋幸議員が安倍政権時代における、言論統制を図ったともとれる放送法に関する内部文書を出してきました。安部元総理亡き今、この文書で影響を食うのは当時総務大臣だった高市氏で、立民も高市氏のクビを狙ってこの文書を出してきたとみて間違いないでしょう。
 内容に関して深く説明しませんが、高市氏は記者に「そんな検討したことがない」と否定した当たり、認めたら確実にダメージを食う性質であることも間違いありません。ただ問題なのはこの文書が本物かどうかで、恐らくほかの多くの方も同様でしょうが、自分もかつての永田の偽メール事件が真っ先によぎりました。何気に野田元総理が当時の事件とともに永田を忍ぶインタビュー記事を読んだばかりだったので、いろいろタイミングが重なるもんだなという気がします。

 実質的にこの文書に関しては真贋がどうあるかが最大の焦点です。ただ全く根も葉もない文書でもないようで、文書に出てくる礒崎陽輔首相補佐官(当時)は既に、文書そのものに関しては別として、関連する話を当時したということは認めています。
 仮に自分が立民側で、この文書が本物であるという証拠も握っているとしたら、その証拠は最初は出さずにおいて自民側が否定する発言をしだしてから出す戦術を取ります。無論、立民側がそうした証拠を持っている根拠はまだないですが、動きがあるとしたら来週中になってくると思え、逆を言えば現段階では報道ベースで真贋を判定することは不可能だと思ってみています。

 ただ自民側としても、この問題にケリをつけるとしたら案外安上がりだと私は思います。安部元総理が生きていたらまた認める認めないでかなりグダグダ続くでしょうが、今だったら高市氏を切るだけで一発OKです。自民党内で高市氏に反目を抱いている人がいたら願ったり叶ったり、っていうかそういつが文書流したんじゃないのかとすら思えてきます。
 私自身は高市氏をそれほど否定も肯定もしない立場ですが、組織倫理的に言えば高市氏がやや孤立しかねない状況と言え、この辺がどう動くかが今後の展開になると思います。

 にしても今回の文書は何て呼ぶべきなのか。やはり小西文書というべきなのだろうか。

2023年2月21日火曜日

ロシアが脅しを言えば安心できる

プーチン氏、核軍縮の履行停止を表明…ウクライナ侵略を正当化「米欧が戦争始めた」(読売新聞)

 上のニュース見て、「おっ、ロシアは核軍縮を続けるんだな(・∀・)」って感じで安心しました。なんでこんな判断したのかというと、このところのプーチンはやるといったことはやらず、やらないといったことはやるという狼少年になっているからです。具体例としては、

・ウクライナとの戦争は起きない→起こした
・ウクライナを解放する→実際は抑圧しようとする
・原発施設には攻撃しない→攻撃してた
・戦争犯罪はしていない→ブキャをはじめ虐殺していた
・すぐに目標を達成して見せる→できない
・ロシア軍は負けない→負けてる
・作戦は順調に進んでいる→どこが?
・徴兵はしない→した
・その気になればロンドンなんてミサイル一発だ→言うだけ言ってやらない
・ウクライナへの支援はロシアに対する宣戦布告だ→支援国に対し戦端を開かない
・いざとなったら核の先制使用も辞さない→いざって事態になってんのにまだ打たない

 仮にこの1年におけるプーチンの有言実行率を測ったら、やばいくらい低い数値が出るんじゃないかと思います。そもそも本気で核攻撃とかを実行する気なら、わざわざ予告なんてせずに黙ってやる方がずっと効果が高いです。それをわざわざ予告する当たり、実際にはやるつもりがないからこそ脅しとして使っているのでしょう。ぶっちゃけ、核攻撃などについて何も言及しない方が私としては何するかわからない点で怖さを覚えますが、このような脅し文句を使うあたりは実際には行うつもりがないとみていいのではないかと思います。


 同様にこのニュースを見て「」ベラルーシの参戦はないな」と確信しました。理由も同様に、本当に参戦するつもりがあるなら絶対にこんな発言するわけないし、こんな発言して敵に警戒させる時点でまともな指揮官ではないと言えるからです。本当にやる気なら、「ベラルーシはこの戦争に関与することはない」と言い切って相手を油断させた上で突然攻撃を始めるでしょう。

 この辺は沈黙が金というべきか、具体的な選択肢について「あるんだけどどうするかは言わない」方が、脅しとしては効果が高いと私は思います。若しくは、「ベラルーシが参戦するかも」ということを第三国の人間に言わせたりするという手段も考えられますが、自分で言っちゃう辺り、やる気がないと宣言しているようなものです。

 またロシア軍はこれまで、

・最新兵器を前線に持ってきたぞ!→位置特定されてすぐ撃破される
・年末だしみんなでパーティだ→位置特定されて大量の死亡者を出す

 ということを戦闘で繰り返しており、ある意味馬鹿正直だけど、無駄に自分たちの情報を明かしては自らを敗退に追い込む敗北主義者的な行為をやってたりします。思うに国内の情報統制に慣れ過ぎて、外部への情報漏れ対策や対外発信方法に対する意識がすっからかんになっているんじゃないかと思う節があります。それだけに先ほどの脅し文句とかも、黙ってりゃいいのにわざわざ言ってしまってやる気がない手の内を明かしてしまっているということも自分で気づいてないように見え、多分揺さぶれば勝手に機密情報をもっと出してくる気すらします。

 その点でいえば、まだ日本の方がこの辺の対策ができているかもしれません。台湾有事などに関しても具体的にどうするのかはいちいち発表しないものの、ある程度シナリオを練ってそれぞれに対応した行動指針は作っていると聞きます。それらシナリオはわざわざ公表するまでもなく、黙っているからこそ中国に対する牽制となるわけで、こうした「無言の牽制」をロシアが持ってない、または持てなくなった辺り、分不相応な野心を持った国と言わざるを得ません。

2023年2月20日月曜日

書評:司馬遼太郎の「北方の原形 ロシアについて」

 以前なんかの記事で最近のロシアの行動について司馬遼太郎の本が非常に参考になったと書かれていたので、自分もその本こと「北方の原形 ロシアについて」をこの前読んでみました。結論から言うと非常に面白かったです。

 元々、私自身は司馬史観について海軍善玉論に異常に傾いていることなどから反発があったのと、司馬遼太郎の小説はやや自分のスタイルとは異なる(美文調に偏っていると感じる)ことからいくつか読んだもののあまり好きになれず、彼の著作などに関してはこれまであまり手に取ることはありませんでした。
 ただ遊牧民族マニアだということはかねてから聞いており、その点ではロシアの成り立ちについてもある程度の知見は見込めるという憶測と、ウクライナ戦争開戦以前のロシア評を、佐藤優氏をはじめとする鈴木宗男の関係者以外の目線で探りたいという思惑から、今回こうして手に取るに至りました。機体に違わなかったというか、歴史的な経緯を追いつつこれまで見なかったロシアに対する分析が描かれ、「司馬遼太郎やるじゃん(σ・∀・)σ」とか失礼なことを言い出したりしました。

 内容に関しては実際に手に取ることをお勧めしますが、中でも自分が一番感銘を受けた分析として、江戸時代あたりの近代におけるロシア貴族と幕藩体制下の藩主の所有権に関する差についての記述は目からうろこでした。

 曰く、日本の藩主があの時代に所有していたのは石高だけであり、幕府の転封命令を受ければ所属地を移らなければならなかった立場を考慮すると、その土地と住民に対する所有権(=完全支配権)は持っていなかったと書かれてあり、まさにその通りと言えます。
 それに対し、皇帝の権限が弱い一方で大きな権限を持っていたロシア貴族はその封地において絶対的な権限を持ち、農奴である土地住民は移動の自由すら持ってなかったばかりか、その生命権すら貴族に握られていたそうです。実際、むやみやたらに住民殺しまくったというロシア貴族の話はよく聞きます。

 こうした所有権の違いから、支配に対する価値観がロシアは日本はおろか、ほかの西洋諸国とも大きく異なっていると司馬遼太郎は指摘しています。その上で、貴族と一般住民との間の隔絶も異常に激しく、まさに人か家畜かともいうべき差で、貴族らはその住民に対する憐憫をほとんど持たなかったと指摘したうえで、現代ロシア(当時はソ連)においてもその傾向は中央共産党官僚とそれ以外の人民の関係に見られると述べています。これはそのまま、気にせず死兵を繰り出す今のロシアについても言えることでしょう。

 またシベリア経営のため、絶対的に不足していた食料をロシア西部などから送るのではなく、海伝いに日本から調達するため、江戸時代の日本に何度も貿易を起こすため使節を送っていたことなども説明されており、恥ずかしながらこの辺の事情についてはとんと知りませんでした。もっともロシアは食料に対する交易品にシベリアでとれる毛皮が日本に売れると思ってたそうですが、毛皮よりも絹や綿を好む日本からは全く相手にされなかったそうです。っていうか毛皮とかぶっちゃけ野蛮だなと、現代人である自分ですら思います。

 以上のような司馬遼太郎の解説を見て私が感じたことは、特にシベリア経営のくだりを見て、本質的にロシアという国は物を育てたり作ったりする農耕性が全くない民族の国だなと感じました。では狩猟民族なのかというとそれもまた違うように思え、敢えて言えば採集民族で、その土地にある天然資源を収奪して売ることしか考えず、集団というのは基本的に搾取-被搾取の関係しか持てないのではないかとすら思いました。
 具体的には前述の通りロシアはほとんど作物が取れないことから、近代における交易品はシベリアでとれる珍しい毛皮が主だったそうです。ではその毛皮をロシア人は狩猟で得ていたのかとさにあらず、シベリア各地で放牧生活をしていた民族集団を奴隷化し、彼らを脅した上で毛皮を取ってこさせ、売っていたそうです。この帝政ロシア時代の経済を見ていると、なんとなく天然ガスや石油を売る今のロシアに被って見えるところがあり、基本的に現地の天然資源を採集する以外の価値観はないのかと、そういう風に思ったわけです。でもってその採集には多大な労働力がいるわけで、ということが先の関係性が生まれる要因になってくわけです。

 このように踏まえると、ロシアというのはやはり欧州国とみるべきかと言ったらやはり違う気がします。またそのメンタリズムも、強烈な支配に根差した関係性が色濃く、今のロシアを見ていてもわかりますが国がおかしくなっても自国民がそれを修正することはまずないようにも見えます。それくらい、一般大衆がこの国は弱すぎるように見えます。
 その点でいえば、中国でも一部有力者は一般大衆を虫けらのように考えている人もいますが、その虫けらと考えている連中は怒らせたらやばいということを理解しているし、また一般大衆も隙あれば取って代わろうと無駄にガッツに溢れていることから、ロシアなんかと比べれば国がおかしくなった際の内的軌道修正がまだ期待できると思います。はっきり言えば、ロシアは上がおかしくなったらそのまま破滅にまで延々と突き進むのではないかと、この本見て思いました。

2023年2月14日火曜日

中国がロシアから天然ガスを買って世界は救われた?

 本当に関係ないけどWeChatの自分のプロフィールにある職業がなぜか「おどりこ」になっていました。Bloggerのプロフィールも職業がいつの間にか「ふしぎなおどり」になっており、もしかして深層心理的に自分はダンサーになりたかったのではと今更ながらやきもきされます。

 話は本題ですが本格的な冬季に入って以降は比較的おとなしかったウクライナ戦争ですが、ここにきてロシア側が攻勢をかけてきているという報道が出るようになりました。ただ報道以前にすでに1月から攻勢は始まっており、しかもウクライナ側が悉く撃退に成功してロシア軍に大きな被害を与えていたという報道が昨日あたりから出始めてきました。
 これまでを振り返るとウクライナは「うっ、もう駄目だ……」的に弱気な発表を対外的に出した直後に大きな戦果を挙げており、意図的に苦しむふりしてロシアの攻撃を誘っては準備万端で反撃するという前振りであることが多くありました。先月もウクライナ政府はレオパルド2の供給を受けつつも「弾薬が足りない」、「一部戦線の状況は厳しい」などとやたら弱気な発言を繰り返していただけに、ロシアを油断させるための報道だったのではないかと密かに睨んでいました。実際に戦果を挙げているのかは今後の検証を待つ必要がありますが、今の季節でいえば圧倒的なほどに防御側が有利なだけに、攻勢をかけていつつもこれという戦線突破が見られないだけに、ロシア側の打撃が大きいのではないかと推察しています。

 そうした戦況分析をやりつつ昨日にふと、「あれ、もしかして中国がウクライナ、ひいては世界を救ったのでは?」という発想が急に出てきました。これは一体何故かというと、中国がロシアから大量の天然ガスを買っているからです。

 欧米だけでなく日本でもこのところ、「あり得ない(;´・ω・)」とった感じの電気代の高騰に関する報道や嘆きがネット上で見られます。それもこれもロシアが欧米に天然ガスをこれまでみたく供給せず、また欧米側も上限価格を設けたりして制限をかけ、エネルギー市場の流通が大きく混乱しているためです。各国は中東を中心に代替輸入先を設けたりしていますがそれでも追っつかず、各国で電気代が従来の数倍に上ったりと家計を大きく直撃しています。

 それに対し我らが中国は欧米のロシア制裁なんておっぱっぴーとばかりに我関せず、むしろ戦費調達に苦しむロシアの足元見ながらインドとともにロシアから大量の天然ガスを買っていると言われています。実際その辺はどうなのか詳しい貿易統計までは見ていませんが、少なくとも中国国内では電気代の引き上げは行われておらず(価格は政府が完全統制)、エネルギー不足とは全く無縁に暮らせています。
 もっとも自分は冬に一切に暖房使わないので冬の電気代は極端に少ないです。また水道光熱費をいつも大家に肩代わりしてもらって、毎年1回にまとめて清算しているためあんま細かく価格の変動とかも確認してないのですが。

 そうした脱線は置いといてなんで最初の発想に至ったのかというと、仮に中国が欧米のロシア制裁に乗っかったりしてロシアからの天然ガス輸入を増やしていなかったらどうなったのか、こんな風に考えてみてさっきの発想に至りました。
 言わずもがなで中国は世界最大のエネルギー消費大国であり、その消費量比較をこちらのサイトから引用すると以下のようになっています。



 見ての通りかなりぶっちぎりで首位をひた走っており、日本の9倍にも相当する量になっています。中国の消費量が変動すると世界のエネルギー価格も変動すると言われていますが、この比較を見ると(´ー`*)ウンウンと頷きたくなります。

 そんな中国が仮に昨年、ロシアからの天然ガス輸入を増やしていなかったらどうなったのか。まず間違いなく、現実での値動き以上に石油価格などが大きく高騰していたのではないかと思います。その場合、ただでさえ高騰している電気代などがもっと高騰していた可能性もあり、下手すりゃエネルギーが各国で足りなくなって停電も頻発していたかもしれません。

 そう考えるとロシアに戦費をもたらすという側面もあったものの、エネルギー不足により欧米各国のウクライナ支援を躊躇させるというロシアの戦略を中国が陰で打ち砕いていた、というふうに考えられる気がします。むしろロシアが上記戦略を果たすためには、中国(あとインド)向け天然ガス供給量を従来から増やさず、彼らにこれまでと同じく中東などから石油をガンガン調達させてエネルギー価格を無限に高騰させる必要があったでしょう。それが皮肉なことに、中国のエネルギー消費をロシアが支えてしまったことで、世界のエネルギー価格高騰は抑えられてしまったように見えます。

 結果的に言えば確かに世界中でエネルギー価格は大きく高騰したものの、ロシアの思惑ほどには高騰し切ることはありませんでした。実際にブレント原油価格の推移を見ても、6月に120米ドル台まで高騰しましたが、それ以降は下がり続けて現在は80米ドル台で推移するようになっています。冬も峠を越えていてあと1ヶ月もすれば家庭用暖房消費はさらに減少していくだけに、最悪のエネルギー危機はすでに回避されたも同然です。このように考えると、中国はロシアから天然ガスを買って、本人らも気づかぬうちに世界をエネルギー危機から救っていたと言えるかもしれません。
 いやまぁエネルギードカ食いしている国ってことには変わりありませんが。

 以上をまとめると、中国はロシアから天然ガスを買って、ロシアの野望を間接的に打ち砕いていたってわけです。まぁ戦費調達とはいえ中国にほいほい天然ガス売ってたロシアがある意味アホなんだけど、本当に1年以内にウクライナを下すつもりだったのなら、どんだけ苦しくても中国には天然ガスを売らず、世界をエネルギー危機に陥れるべきだったように思えます。
 なんとなくですが、エネルギー危機の懸念が去ったからこそ各国もウクライナ支援を再び強めているような気がこのところするし、ロシアの本当の地獄はこれから始まるかもしれません。

2023年2月8日水曜日

日本政府の同性婚否定姿勢に関して

ヤクルトの投手主将・田口麗斗が考案「くじ引きキャッチボール」 石川も絶賛「面白い」(サンスポ)

 本題と全く関係ないけど、今一番好きな投手を挙げるとしたらこの田口麗斗選手が挙がってきます。上の取り組みも面白いですがそれ以上にシーズン中の、絶対的ピンチにおける毎回の火消しぶりがめちゃしびれます。巨人に残ったままでもきっと活躍されてたでしょうが、ヤクルトにきてくれて本当に良かったと日々感じます。


 それで今フィリピンの広域犯罪容疑者とともにホットな話題の同性婚に関してですが、上野官房長官の発言に関しては「だからなんやねん」といったところです。そもそも「陸、海、空、その他の軍隊はこれを保持せず」と書いてあるのに読売巨人軍やたけし軍団が存在する国の憲法を盾に取ること自体価値がないと私は思います。
 まぁそれ以前に記事にもある通り、「憲法で禁止はしてないよね?」という問いに言葉を濁すあたり、いかに今の政府が同性婚を禁止する根拠を持っていないことがはっきり表れています。

 この同性婚に関しては岸田も「ネガティブなことは言っていない」と釈明してましたが、じゃあ何が言いたかったんだよと逆に聞きたいです。またその後に続く「私もマイノリティ」発言もだからなんやねんと言いたくなるような内容で、根本的に論拠のないことばかり口にしている気がします。上の官房長官の発言同様、同性婚を禁止する明確な根拠は恐らくなく、この前更迭された秘書官のように単純に同性愛者が嫌いか、支持者に嫌いな人が多いだけで禁止し続けているとみられます。
 あと若干眉唾と思いつつも統一教会の指示というのも、あまりの回答の拙さからなんか信じちゃいそうです。

 私自身はハードゲイとTDNネタは好きだけど同性愛嗜好は全くない人間ですが、同性愛嗜好を持つ人間は社会に一定層いるのは事実だし、どうせ日本人全体の婚姻率自体も下がっていて同性婚を認めたところで少子化が加速することもまずないだろうから、同性婚については認めるべきなのではという立場を取っています。単純にそれでやる気を出す人もいるでしょうし、社会全体の利益でいえば認めないより認める方が国家として有利だと考えています。
 ついでに言えば選択的夫婦別姓制度も早くやるべきだと思うし、反対する奴こそ社会から排除すべきだと思っています。

 先の更迭された秘書官は同性婚を認めると日本から離れる人間が現れると言っていたそうですが、そもそも他国の方が同性婚を認めている国が多いことを考えると、そんな逆の動きが起こるわけないと普通は分かるはずです。それでもなお上記のような価値観を口にした当たり、単に差別的な感情を論理的にことすることすら放棄しているとしか言えず、そもそも議論が成り立つ人間ではなかったのでしょう。
 まぁそんな人間が上にきてしまう日本の制度や風土の方が問題ってのは、今回は話題にしませんが。


 上のまとめ記事にもありますが、そもそも歴史的に言えば日本は伝統的に同性愛バンザイ大国であり、今の価値観の方が歴史的に言ってもマイノリティに属します。もっともその現代においてもBL系ジャンルの隆盛をはじめ、ほかの国よりもかなり同性愛に対する意識が緩いというか激しさを持っていると感じる点もあり、岸田の「社会が変わってしまう」発言はむしろ歴史も現実も捻じ曲げた意見でしかないでしょう。
 関係ないけどBL好きの中国人女性の同僚に、「日本の本屋にはBL漫画のコーナーがあるよ」と教えたらやたら興奮してましたヾ(*´∀`*)ノキャッキャ

 それにしても先の更迭された秘書官がいなければこの同性婚議論はここまで盛り上がらなかったことを考えると、なかなかに皮肉な事態に発展したものだなと感じます。後本当に偶然だけど、この前偶々急に聞きたくなって、百合物作品の「神無月の巫女」のEDテーマのAgonyをYotubeで聞いてましたが、なんか無駄にタイミングいいなとか思っ足りしました。
 この「Agony」は今聞いてもすごくいいと感じるとマジ名曲だと思うけど、歌ってるKOTOKOのアルバムは毎回、アニメやゲーム作品とのタイアップ曲以外の収録曲がどれもひどいと感じるほど質の悪い曲ばかりで、ファンになりかけて結局なり切れませんでした。っていうかアルバム曲は明らかに手を抜きすぎてたと今でも思います。なおKOTOKOの曲の中で傑作だと思うのは上の「Agony」と「We Survive」だと思っています。

2023年2月2日木曜日

韓国の尹政権に対する日本の外交態度

韓国の寺、逆転敗訴 対馬仏像で韓国高裁 日本側所有権認める(産経新聞)

 この前実際に対馬へ行ってきたこともあって気になる裁判でしたが、ようやくまともな判決が出たというか、盗んだ仏像が日本に返還されることとなる判決が出ました。この事件の経緯については今回省略しますがヤフコメとか見ると、「ムンジェイン政権だったら、きっとこんな判決は出なかっただろうな」という意見が書かれており、これに関しては自分も同感です。
 逆を言えば、今の尹大統領が政権取ったからこそこうした判決が出たという風にも考えられます。こうした変化は何もこの仏像裁判に限らず、ほかの方面でも日本側へ配慮した変化が見られます。その筆頭と言えるのは徴用工裁判で、この件についても提訴された日系企業の負担なしによる和解案を韓国側が現在用意しています。慰安婦関連についても、そもそもこの運動を煽っていた韓国側の財団代表が横領していたことがばれたことが原因ですが、前と比べると確実に下火になってきています。

 こうした韓国側の動きを受け、一部報道では日本側も態度を軟化してきており、韓国に対し半導体材料をはじめとする輸入手続きを簡素化するホワイト国待遇を復帰させるのではという観測が出ています。ただこうした観測に対して、ヤフコメとかではまだ時期尚早だとか、韓国に対してはむしろ制裁を強めるべきだという意見が根強く見られます。
 もはや最近は5ちゃんねるよりも過激な意見が集まりやすくなっていると思えるヤフコメであることを考慮しても、上記のような韓国に対し不信感を抱く見方は、自分の見立てでは決して日本のごく一部の意見ではなく、多数派に属す意見だと思います。それだけに、実際にホワイト国に戻した場合はそれほど長期には及ばないと思うものの、一定の反発が起こると予想されます。

 ただ結論から言うと、韓国側の動きに対し日本側も何らかの軟化する態度をそろそろ見せるべきじゃないかというのが私の意見です。

 外交というのは基本的に「やられたらやり返す」というのが基本です。プレッシャーをかけてきたらプレッシャーをかけ返し、便宜を図ってきたらこちらも便宜を図って歩み寄るというのが常道です。こうすることにより、敵意を高める行動は互いに控え、逆に友好を深める行動はエスカレーションしていくこととなり、結果的に互いに抱える問題や紛争が徐々に緩和されていくはずです。実際にはそんなうまくいかないけど。
 それこそ以前のムンジェイン政権では日本に対する挑発、侮蔑行為を政府が率先して行い続けており、それに応じる形で日本側も輸出緩和措置を撤廃したり、対話呼びかけに対し既存問題の韓国国内の事前解決を要求するなど、プレッシャーをかけ返していました。

 結果論でいえばこうした日本側の態度は効果的だったと思え、特に半導体材料の輸出制限を強めた後は目に見えて韓国側の日本への挑発が弱まったように見えます。もっとも、関係改善には最後まで動きませんでしたが。
 また自衛隊機へのレーダー照射問題など、笑って済ませらない問題も韓国側は引き起こしていながらなぁなぁに済ませようとしたところがありました。後の調査で韓国軍内でガチでレーダーを照射するなどの挑発行為を推奨する文章が回されていたことも発覚しましたが、日米間の防衛上、あの動きは看過してはならないものだったと思います。

 ただこうした行為は前政権で行われたもので、新しくなった尹政権では少なくとも政権主導での日本への挑発行為は見られなくなりました。それどころか、韓国国内での前政権関係者のパージもあるでしょうが、日本側との関係改善を図る外交的態度が見られます。
 これまで韓国には慰安婦交渉をはじめ散々交渉をひっくり返されることが多かっただけに、正直私もこうした動きは一時的ですぐまたひっくり返されるのではないかと疑っていましたが、今の尹大統領は法曹出身者なだけ、原理原則をまだ大事にする人間ではないかと思えてきました。あっさり信用するわけにはいきませんが、ここらで日本側も歩み寄りをみせることが、双方の利益に叶うのではないかと思うようになってきています。

 日本側が韓国に対し不信感を拭えないというのは私も理解できますが、仮にこのまま韓国側の歩み寄りを無視し続けた場合、韓国国内で「日本に媚びながら何の成果も上げられない」という批判が尹政権へ向けられる可能性があります。そうなった場合、尹政権は日本への歩み寄りを止め、下手すりゃ支持回復を目当てに日本への挑発や批判を始める可能性もあります。そう考えると、まだ歩み寄りの態度を見せる尹政権を応援するために、日本側も歩み寄る価値はあるのではないかと思います。
 とはいえ、私自身も韓国の外交態度はころころ変わると信用ならないものがあるとみています。それだけに日本側が一気に歩み寄りを見せると、後でまた痛い目に遭う可能性もあるだけに、その歩み寄る距離については小幅に限定しておくに越したことはないでしょう。

 では小幅な歩み寄りとしてはどんなものがあるか。一つは、今日報じられたようにWBCを岸田首相と尹大統領が共同で観戦するなど、首脳同士の直接交流があります。一番これが無難というか、仮にこの後こじれたとしても失うものは何もありません。
 ただ、尹政権が一番欲しがっているものとしたらやはりホワイト国待遇復帰でしょう。でもって、これは日本側にとってもメリットが全くないわけでなく、半導体材料を生産するメーカーにとっては大きな収益アップにつながるだけに、どっかのタイミングで行う必要があるとは思っています。ただホワイト国待遇にした後でまた関係がこじれた場合、日本の政権(岸田首相が続けているかはわからないが)が国内から批判されることは必至です。またこじれた後で再び対抗策としてホワイト国待遇を再撤回しても、韓国側のみならず日本国内からも日本の政権が「態度が一定ではない」と批判されるだけに、日本側が韓国側のこの要求をすぐ呑むとは内心思ってません。

 これに対して自分の個人的意見を述べると、限定解除とするのがベターではないかと考えています。サムスンをはじめとする輸出管理をきちんと行っている優良企業、または日系資本の在韓企業(商社など)にのみホワイト国待遇を付与し、これらの企業は好き勝手に日本から輸入できるようにすれば、輸出管理も果たせるし日韓企業双方にもメリットがあります。また何か問題が起きた場合は、「優良企業資格の取り消し」という手段で再び輸出をコントロールすることもできるので、いざというときにも備えやすい形になると思います。
 またこの限定解除の別パターンとして、日韓両政府間で半導体材料、機械の共同監視というかモニタリング制度を設けることを、ホワイト国待遇復帰の条件とするのもいいと密かに考えています。

 実際にというか待遇撤回を行う前、一部半導体材料が不確かな経緯で韓国経由で流出していた節があり、その多くは北朝鮮などに流れていたと言われています。半導体材料に限らなくても北朝鮮への日本製製品の流出は避けたいし抑えるべきであり、日韓でこうした重要物資の東アジアにおける流通をモニタリングする制度をこの際設け、危険国への対策を一気に行うべきじゃないかと考えています。
 ちょうど米国が中国に対する半導体取引の監視や規制を強化している最中でもあるだけに、ここに台湾も参画させ、日韓台のマネーロンダリング対策も含めた輸出監視体制を一気に作ってしまう契機として、韓国のホワイト国待遇復帰を使うべきだというのが自分の意見です。

 どちらにしろ、尹政権が変にへそを曲げない前に、日本側もそろそろ歩み寄る時期が来ていると考えます。正直、ムンジェインに比べれば誰でもマシですが、尹政権が長期政権になる可能性もないわけではないので、そうしたシナリオも考慮してそろそろ関係改善に向けた態度もちょっとは出すべきだというのが、重ね重ねの自分の意見です。

2023年1月14日土曜日

ロシア=スネ夫に裏切られたジャイアン

既に「詰んでいる」プーチン・ロシア、戦争終了後に考えられる2つの展開(JBpress)

 上の記事は長野光氏による社会学者の大澤真幸氏へのウクライナ戦争に関するインタビュー記事です。日本の国際政治方面の学者の話はあんま信用してないというか参考になるものが少ないためそれほど期待せずに読んだのですが、意外や意外に示唆に富んでおり、大変ためになる記事でした。

 中でも2ページ目にて、舎弟と思っていたウクライナがヨーロッパ(西欧諸国)に接近したことに対するロシアの見方を「スネ夫に裏切られたジャイアンのような心境です。」というたとえがめちゃくちゃわかりやすかったです。すごい使えるたとえなので今度自分も使おう。

 なおインタビュー内容の結論に関しては、占領統治は過去日本しか成功例がないだけに、親欧米政権を支援する形がいいと推奨しています。この件に関しては皮肉ですが現在のウクライナ政権がまさにこの形となっており、向こう10年間はウクライナは西欧側として立ち続けるであろうことを考えると、大澤氏の意見は納得感があります。
 とはいえあのロシアですから、そういう親欧米政権をいったん作ってもすぐまた過激な政権が新しくできる可能性もあるでしょう。そうした事態を防ぐために手段、具体的には経済連携や国際政治交流をどうやって行くかを、今のうちから議論しておくべきかもしれません。

台湾有事を引き起こすなら今?

 先月までコロナがマジ蔓延してたので半月ほど自宅勤務が続いていましたが、今週から出社が再開され、今日休日を迎えるや途端に体が重くなりました。やっぱ出社って体への負担が極端にでかいのと、ものすごいエネルギー使うんだなと改めて思います。実際自分も浪人状態から再就職した際、常に眠くて居眠りしないようにするのが大変でした。この辺、徐々に体慣らさないとむずいと思う。

 話は本題ですが、中国が台湾有事を起こすにあたって、現在の状況は今後10年はやってこないと断言できるほどのチャンスであると、自分は考えています。

 一体何故今がチャンスなのかというと、端的に言って米軍に余剰の弾薬がないためです。現在米軍はウクライナへの支援に力を注いでいるせいか、米本土における予備の弾薬すら事欠く状態に陥っており、今後もウクライナへの支援が続けられることを考えるとこうした状況はまだ半年は続くでしょう。
 この状況を鑑みると、仮に中国が台湾を攻撃したとしても米軍としては台湾へ軍需物資支援を行うことが非常に難しくなるのではないかと思います。また対中包囲網も現状ではしっかり組めておらず、仮に台湾有事が起きた際、日本や韓国が支援を行うのかはもとより、それぞれの駐留米軍が出撃することも実際には難しいんじゃないかと思います。

 米軍の理想としては現在のベラルーシのように、ロシア軍が出撃してくることはあってもベラルーシにウクライナ軍が攻撃しないような、日本や韓国を中国攻撃対象とはならない出撃拠点としたいでしょう。ただ中国としてはそれをわかった上で、戦線拡大覚悟で日本や韓国の米軍基地、並びに自衛隊基地などへの攻撃を示唆、または一部実行することで、それぞれの世論に影響を及ぼすことができます。
 もっとも仮に日本に攻撃を加えた場合、国民世論が反転して日本の積極的参戦を招く可能性も十分ありますが。

 ただ前述の通り、現在の米軍の備蓄はかなり少なくなっています。またウクライナ問題で手を焼いている状況なだけに、戦闘への参加どころか、軍事支援すらかなり難しいのではないかと思います。その代わりとして日本や韓国に米国が台湾への支援を命じるかもしれませんが、韓国はともかく日本の場合は武器輸出に制限も多いだけに、どこまで行えるか未知数です。韓国も国内の反戦世論を受けて支援しない可能性が高い気がします。

 そうした状況を鑑みると、「いつやるの?今でしょ」的なくらいに中国にとって台湾を攻めるチャンスは未だという気がします。しかしチャンスがある一方、障害もないわけではありません。

 第一の障害は言うまでもなくコロナです。現在、中国は自分が口を酸っぱくしていうほどコロナが蔓延しており、戦闘どころじゃない状態です。今朝からはXBB型も流行しつつあると言われており、あと3ヶ月くらいは軍も大きな行動がとれないでしょう。
 っていうかさっき鼻かんだらちょっと血が混じっており、マジ新株流行してんじゃねぇのとやや焦ってます(;´・ω・)

 もう一つの障害というか懸念は、ロシアの初動失敗です。戦争開始から約1年を経てロシア軍の初動の失敗に関する分析がこのところよく出ていますが、徹底した秘密主義と準備不足が大きな損害をもたらしたと指摘されています。現在、中国はいろいろと兵器を生産していますが、台湾攻略を大きく想定した大規模演習などはあまり聞かれず、その点ではまだ準備不足な感がします。
 また実際に使うかどうかは別として、空母の運用に関しても想定以上に捗っていないとも聞きます。時期的にチャンスとはいえこうした準備不足段階で突っ込むことで、目の前に最高の反面教師がいままさにそこにいることは決断を躊躇わせる要素としては十分でしょう。

 ただそのロシアですが、仮に台湾有事を引き起こして欧米との関係が悪化した場合、切り札として使える可能性もあるんじゃないかと思います。具体的に言えばロシアに対する制裁に中国が参加する条件として、台湾占領を認めてもらうという取引です。
 現在、中国はロシアから大量の天然ガスを買っててエネルギー調達に関してはかなり有利な立場にあります。同時に、経済面でロシアを最も支えている存在にあります。それだけに中国が対ロシア制裁に参加することはロシア側にとってもかなり大きな打撃となるだけに、ウクライナを支援し、早くこの戦争を終わらせたい欧米としても悪くはない条件なんじゃないかなという気がします。もちろんただの素人の空想に過ぎませんが。

 以上を踏まえていうと、時期的には最高、っていうか今回逃したらもう10年は来ないぞっていうくらいチャンスであるものの、コロナ蔓延と準備不足という悪条件もあることから、実際に今年やるかは胸先三寸といったところです。少なくとも100%の大勝利は予想できず、その勝率は90%にも満たないことから、名将であれば「やっぱ無理やな(ヾノ・∀・`)ムリムリ」と見送ることでしょう。外交的に追い詰められている状態でもないのにフィフティ・フィフティ程度の賭けに投じるなんて、どっかのプーチンさんくらいでしょう。こうした最低限の了見を、中国指導部も持っていることを密かに期待します。

2023年1月8日日曜日

ロシアの一方的停戦に意味はあったのか

 日本はどうかは知らないですが、この1週間の上海はやたら暖かく、せっかく買っておいたカイロも全く使わずに放置しています。今日にいたっては気温が10度台後半に至り、自転車乗ってる際にもう暑いから手袋脱ぐほどでした。

 聞くところによると年始の欧州も気温が高く、春先の気温になるなど歴史的な温かさだったそうです。ウクライナ戦争でエネルギー価格が高騰していただけに、欧州にとっては恵みの暖かさになったのではないかと思います。その分、米国はとんでもない寒波だったけど。
 こうした気候もあってか、ロシアが期待する「エネルギーが足んないからウクライナとロシアは戦争をやめるべきだ」という世論も盛り上がっていないように見えます。それどころか、こうしたロシアの願望を打ち砕くかのようにフランスと米国が新規に戦車をウクライナに送ることを発表するなど、ロシアにとって状況はますます悪くなっていくばかりです。この辺、米国もロシアをメンタルから攻めるため、意図的に支援をエスカレーションさせているように見えます。

 そんな最中、先日ロシアはギリシャ正教でクリスマスだから36時間停戦すると一方的に通告しました。案の定というかウクライナはこの停戦を受け入れず、ロシア側も案の定というか各地で攻撃を続けたため、「なんで停戦するって言ったの?」と誰もが意味不明な状態になっています。
 ロシア側が停戦を発表した狙いは、やはり自軍の立て直しが最大目標だったと言われ、自分もそう思います。ただ通告したからと言ってウクライナが受け入れるはずもなく、それにもかかわらず何で発表したのかというとワンチャン受け入れてくれるという可能性に期待したのかもしれません。もしくは、「こっちは停戦しようとしているのにウクライナは攻撃し続けて酷いやつだ」という非難を、国際社会が受け入れてくれるとワンチャン期待したのかもしれません。

 しかし少なくとも日本などでは、そうしたロシアの期待する世論は鈴木宗男を除き誰も受け入れませんでした。むしろ発表することに価値があったのかと思う停戦通告にすがったあたり、ロシア指導部もかなり混乱しているのではないかという疑惑が深まります。
 前述の通り、欧州は意外と暖かくてロシアの期待したエネルギー危機が起こらず、ロシア側としては状況はどんどんまずい方向に向かっています。今後二月にかけて寒くなる可能性もあるものの、案外今年の冬はロシアへの経済制裁が続きながらどうにかなっちゃうかもしれません。そうなれば、ロシアとしてはただでさえ薄い勝ち目がますます希薄化されることとなります。

 今日見た報道では以前自分が述べたように、仮にウクライナが全領土を奪還したとしても、ロシア側がロシア領内から攻撃をし続け、戦争が継続する可能性があると触れられていました。改めてこの手の話を見てみて、ロシアがウクライナと平和または休戦条約を締結することを条件に、経済制裁を解除するのであればまだロシアも乗っかってくるのではないかと思いました。
 逆に、ロシア側がウクライナへの侵略を継続しようものなら経済制裁も続き、その場合にロシアはマジで中国の経済植民地化する可能性が高い気がします。それはそれで見てみたいけど。

 自分としては冬装備のないロシアは冬が来ると一気に瓦解して十二月中にも一定の決着がつくかとも予想しましたが、こちらの予想はさすがに楽観的過ぎたのか見事に外れました。とはいえウクライナ側が優勢を維持し続けているのは間違いないようで、今後もロシアの野望を打ち砕くよう応援しています。岸田首相にもウクライナ訪問を要請しているようですが、これにはぜひ応じて、日本がウクライナ側に立つことを示してほしいとも願っています。

2023年1月2日月曜日

岸田政権は今年春まで?

 中途半端に伸びて鬱陶しかったので今日ショッピングモール内にある立ち食いソバ屋的な床屋で髪切ったら、料金は78元(約1500円)でした。10年くらい前は17元(約320円)、ちょっと前まで通ってたけど今回行ったらつぶれてた床屋は50元(950円)だったことを関上げると、かなり物価上がったなぁという気がします。

 さて本題ですが結論から言うと岸田政権は「お前はもう死んでいる」状態です。支持率は低いしこれから上がる要素ないし、政治的に周りも一切期待しなくなっているのか批判記事すら出なくなっています。支持率低下の原因はいろいろありますが直近でいえばウクライナ戦争にかこつけた軍事費増大、並びに増税発表で、事実上これがとどめを刺したと言っていいでしょう。
 でもってその中身ですが、最新のドローン兵器を導入するとかならまだ理解できるものの、さっきも何故か会社の上司と話してましたが米国の中古トマホークミサイルを大量に買うなどと、完全にハードオフ的な買取業務でしかありませんでした。恐らくは米国が兵装切り替えるためにハードオフを利用しようってことになり、日本に買わせることとなったのでしょうが、もうちょい抵抗しろよなと思わざるを得ません。

 とはいえ腐っても米国の要求。ロッキードの頃から要求されたノーと言えない立場もあってその点では岸田総理も少し可哀そうだとは思うものの、これを機に退陣になるというのが自分の予想です。恐らく、この米国からの買取執行に必要な予算と増税案を通したところが切り目になると思われ、予算通過後の春にも退陣になると思います。
 岸田総理自身も、増税前には信を問うなどと解散総選挙を匂わせており、米国に言われた役目を果たしたところで身を引く構えではないか、というかもう本人も、ことごとく閣僚がアホばっかで頭下げてばっかなだけに、もうあんま総理やっていたくないのかもしれません。

 となると次の総理候補ですが、単純に言えば河野太郎氏と高市早苗氏の一騎打ちになる可能性が高いのではないかという気がします。党内支持層でいえば高市氏にやや軍配が上がり、女性票獲得の上でも目算が経つことから長老連中も高市氏を応援する可能性が高いとみています。
 一方で河野氏は民間の人気が高いことから、党員投票で高い支持を得れば逆転が見込める可能性があります。ただその場合、河野氏本人よりも彼を引き立てる応援役が重要になると思われ、ここに誰を持ってくるかによるでしょう。

 最後に余計ないこと書くと、今回の軍事増強はどこをターゲットにしているのか。一応建前ではロシアやこのところミサイルを打っている北朝鮮ですが、実際には台湾有事が想定なんでしょう。

2022年12月16日金曜日

ウクライナ軍のロシア進軍の可能性について

 冬の備えをしていないだけに冬が来たら一気に瓦解すると思っていたロシア軍ですが、今のところウクライナとの戦争で膠着状態に入っており、一応戦線を維持するには至っています。とはいえロシア軍の弾薬はほとんど底をついており、北朝鮮から仕入れた弾薬も不発弾が多いという始末らしく、情勢に至ってはなおも圧倒的に不利で、今後も逆転を果たすことはほぼ不可能でしょう。

 ただまだ博打に出ようというのか、本日ウクライナ政府は来年二月ごろにもキーウ再侵攻をロシアは計画しているという発表をしました。実際、無理やり勝利を作るとしたらキーウの占領しかもはやないものの、こうしてウクライナ側に情報漏れているあたりは実現はほぼ不可能でしょう。とはいえ、ウクライナ側も完全に防御に徹しているロシア軍を撃破するのは容易ではないようで、この戦争が越年することは確実でしょう。

 そんなウクライナ戦争ですが、少し気になる情勢の変化が先日ありました。それは何かというとロシア国内の飛行場がウクライナ軍に攻撃されたということです。これまでロシア本土は戦争拡大への懸念から攻撃にさらされていませんでしたが、かなりあっさりというか、かなり奥深くの地域に恐らくドローンを使ってかウクライナが攻撃し、爆撃機などを含め大きな戦果を挙げたそうです。
 この攻撃によりロシア側は非常にうろたえているというか、ロシア本土も攻撃される懸念が高まったことと、防空体制がやばいくらいしっかりしていないということが露呈しました。ただロシアは本土攻撃に対しては核で反撃すると脅していますが、今のところはまだ実行できていません。

 それもそのはずというか、米軍などに供与された長距離ミサイルで攻撃されたのならともかく、ウクライナ軍の自前の兵器で攻撃された事実に対して核を使おうものなら、反対にロシアが今度は欧米から核攻撃にさらされる恐れがあります。これは逆を言えば、ウクライナ軍単体であればロシア領内に攻め込む可能性も出てきたと言え、またそうした事態にロシア自身が自ら追い込んでいるとも見ています。

 それは何故かというと、ロシアはウクライナ四州をロシアに編入したと主張し、国土防衛のために戦い続けると主張しているからです。この主張によってロシアはウクライナと停戦がしづらくなった、具体的にはウクライナ領土からの完全撤退が、ロシア国内の世論によって許されなくなる事態を招いてしまいました。
 最悪、開戦前のクリミア半島のみに限定していればまだ停戦の可能性が作れたと思うものの、今回のウクライナ戦争で得たドネツク州なども編入しており、ウクライナ側の態度を硬化させています。

 これがどういう意味を成すかというと、仮にウクライナがクリミアを含め開戦前のウクライナ領土を全部取り返したとしても、ロシア側は自国領土の奪還のために今後も戦争を仕掛けてくる可能性を残していることになります。一時的に従来のロシア領内に逃げ込んで戦闘が終わったとしても、戦力を立て直した後に「ロシアの領土だから」という無茶苦茶な暴論でまたウクライナに来る可能性がある、っていうかロシアの強硬派は実際そう主張してくるでしょうし、ロシアをウクライナから追い出したとしても火種が消えないことになります。まだ編入をしていなければ違ったでしょうが、今更編入した四州を放棄することはロシア国内情勢的にも難しいでしょう。

 となるとウクライナは今後も延々とロシアと闘わなければならないのか。仮にそうだとしたら、ロシアが今度もウクライナに自国の主張をかざして攻撃し続けてくる可能性があるのならば、ウクライナもロシア領土に攻め込むしかもはや手がないでしょう。それはつまり、ウクライナ領土の奪還が終わった後、そのままロシア国内の領土への進軍が起こりうる可能性があるのではないかという風に見ています。

 実際にやるとしてもさすがに奥深くまで攻め込むことはないでしょうが、国境線付近の地域を占領する程度は起こりうるのではないかと思います。もっともそんな事態は欧米も望まないので、ウクライナのNATO加盟を条件に仲介に動いてくるでしょうが、以上を踏まえると、今後もロシア国内へウクライナが長距離攻撃を仕掛ける可能性は十分あると思います。

 日本としてはロシアが弱れば中国も北朝鮮も弱るだけに、今後もウクライナを応援して今のうちにロシアを弱らせる以外の手はないでしょう。岸田総理も、ウクライナ支援のために増税するというのなら、自分も納得できるのですが。

2022年12月11日日曜日

国防費増加に対する疑問

 前にサッカーの交代枠は5人なのに、現敷田内閣はすでに3人も閣僚が交代しており、残りの交代枠は2人だと言っている人がいました。なかなかいい得て妙だ、というか5人も閣僚変えるなら内閣やめた方がいいと思う。

 その岸田内閣ですが、来年度にウクライナ戦争を鑑みて、というより中国や北朝鮮への対策として軍事費を大きく増加させる必要があるとして、増税を行うことを党内に示しています。この点について率直に言えば疑問があり、北朝鮮などへの対策が必要なのはわかるとして、なぜ現代で軍事費が増加するのかという点がやや腑に落ちません。

 あくまで軍事の素人としての意見ですが、20世紀の戦争と比べると現代の戦争は非常にエコノミーになっています。その原因というのもドローンなど無人兵器やGPSなどの活用で、これらによりかつては膨大な数のセンサーや装備が必要だったのが、技術の進歩によって安価な部材で代替できるようになっています。
 またこうした新兵器の登場により、生産コストも運用コストも高い戦車や航空機の必要性がかなり薄れてきています。航空機に関しては依然必要視されているものの、ハイローミックスのロー部分に関してはこれまで以上に減らしてもいいような気がします。まぁ哨戒とかの必要性は感じるけど。

 もちろん軍事というのはかなり大きな分野であるだけに金がかかるのは当然と言えば当然です。しかしそこをアイデアでどう乗り切るかが本当に重要で、件のドローンの活用や安価で効果的な別兵器の活用などをもっと盛り込み、増税幅をどれだけ抑えるかをしっかり検討してからこの手の国防費増加に手をかけてほしいです。なんとなく今の状況だけ見ていると、ウクライナ戦争を口実にうまいこと増やそうとしているようにしか見えません。
 まぁ金が足りなくて整備が追い付いてない兵器も多いんだろうけど。

 ちなみにその兵器関連でいうと、新型主力戦闘機に関してはかねてからの報道の通り、英国(+イタリア)との共同開発が決まりました。ドイツもこれに参加するかはまだわかりませんが、英国とは奥に事情も近いし、なにより確実に信頼できる利害関係にある相手であるだけに、米国との共同開発は何度も失敗していたこともあって今回の発表は大歓迎です。
 このニュースは中国でも大きく報じられていて注目も大きく、先日新婚の女性の同僚もこの話題を振ってきました。なおその際、相手が新婚であることから、

「日本の検索サイトで『姑』で検索かけると、検索候補に『殺したい』とかが表示されるよ(・∀・)」
「実行前には生命保険かけておくのが重要ですね(´・ω・`)」

 と返事されました。よくわかってる。