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2021年10月23日土曜日

中国語に顔文字を使う価値

 中国に行く前と行った後でなにが一番大きく変わったかというと、態度や声がでかくなったとかもありますが、それ以上にコミュニケーションでのジェスチャーが大きくなりました。一体これは何故かというと、今もへっぽこな中国語で中国人とコミュニケーションを取る際、下手に会話で伝えるよりもジェスチャーであれこれ伝えた方が伝わりやすいからで、多分これは中国に限らず他の外国に行った日本人でも多かれ少なかれ同じ特徴を持つのではないかと思います。

 ただジェスチャーは面と向かっていれば使えるものの、文字チャットとかだとそうもいきません。仕事柄、他のオフィスにいる中国人スタッフと文字チャットで仕事についてあれこれやりとりする機会は多いのですが、その際は文字表示されるため(中国語は聞き取りが激ムズ)向こうの意図は簡単にわかるものの、こっちも中国語を使って返事しなきゃいけないため、変なミスコミュニケーションを生まないよう言葉には気を付ける必要があります。

 そうした文字チャットでのやりとりで地味に活躍するのが顔文字です。このブログを見てもらえばわかりますが日本でもしょっちゅう顔文字を使いまくっていますが、中国語でもよく顔文字使ってやりとりします。よく使うパターンとしては、

怎么了(。´・ω・)?(どうしたの?)

 とかが多いですが、普通の会話においても顔文字入れるだけでこっちの状況ややる気を伝えやすくなるため、とかく活用しています。例えば「この仕事お願いできる?」と言われた時なんか、

没问题(ヽ´ω‘)(問題ないよ)

 などと、辛いけど頑張ってあげるよ感を出すようにしたりします。さらには文字部分もちょこっと直して、

σ(゚∀゚ )オレ→σ(゚∀゚ )我

 みたいに、変に中国語と混ぜたて使ったりしてます。っていうか中国語もワンフレーズな単語が多いから、この手の顔文字と組み合わせやすかったりします。まだ試してないけど、

(人∀・)タノム→(人∀・)求命

(m´・ω・`)m ゴメン…→(m´・ω・`)m 对不起…

 なんかやってみたら受ける可能性も少なくない気がします。
 もっとも地味に仕事で使うことの多い顔文字は「( ゚д゚)、ペッ」で、無茶苦茶な要求してきた相手に対する愚痴を中のいい同僚に言う際によく使います。これ中国語で表現するとしたら「( ゚д゚)、唾」となるのかな。

2021年10月21日木曜日

買ってはいけない(ニトリの敷きパッド)

 日本もそうでしょうが上海も先週から急に気温が落込み、国慶節期間中なんか真夏並みの暑さだったのに一気に初冬並の気温に落ち込みました。それでも夏蒲団で平気で寝る自分ですが、今後さらに寒くなることを考えて対策に動こうと、今日はニトリに行きました。
 目当てはベッドカバーとして使える起毛の敷きパッドです。これまでも毎年使っていましたが、確か3年くらい使ってた敷パッドが何度も洗濯したりするなどの経年劣化から前回の冬に穴が空くなどして、そろそろ買い替えが必要だと考えためです。その結果ですが、


 買ってきたのは上の敷パッドなのですが、完全に失敗した買い物となりました。っていうか帰宅して風を開いた瞬間、「(;゚Д゚)!!?」って顔になりました。
 一体どういうことかというと、この手の敷パッドに必須ともいえる四隅のゴムバンドがついていなかったのです。よくよく商品包装を見るとその旨は書いてはあったのですが、起毛の敷パッドだけで選んでおり、完全に見落としていました。

 ニトリの商品説明によると、裏面にシリコンのすべり止めがあるからズレないとホームページに書かれているように説明されていますが、これがさにあらず、めっちゃずれます。ベッドの上において座っただけでもめっちゃずれ、多分寝ている最中なんかめくれる可能性すらあると感じました。いろいろ考えあぐねましたが、これでまるで使い物にならないと判断し、結局使うのをやめました。
 正直って返品も考えたのですが、商品説明をきちんと読んでいなかった自分が悪いと考え、返品は申し出ないことにします。ただ去年までの製品には当たり前についていたゴムバンドを何故取っ払ったのか、でもってどうしてこの程度のシリコンのポチポチ程度で敷パッドがずれないと判断したのか、マジでどんな判断だと、金をドブに捨てさせるつもりかとニトリに問いたいです。

 このような不満を抱えて上記商品紹介ページを見ると、まさに同じような不満を抱えた方々がたくさんコメントしています。っていうか、「ズレる」以外のコメントが一切ない。その結果、商品評価ポイントは5段階のうち1.4という、ある意味不利なコメントや評価をニトリは排除していないことがよくわかる評価結果となっています。

 今回のこの敷パッドですが、数年使うことを考慮して299元(約5300円)を支払いましたが、どう考えても運用方法はマジで見つからず、恐らくこのまま未使用状態のまま捨てることになると思います。金額的にも痛いですが、多分使っててストレスを激しく感じるだろうし、夜中にズレるのであれば文字通り使い物にならないことを考えると、持ってるだけ家のスペースの無駄にしかなりません。っていうか、未使用品で捨てざるを得ないことはストレスを感じさせられます。
 四隅のゴムバンドを省くだけというほんの一手間で、商品すべての価値を一挙になくしてしまう今回のこのニトリのやり方には、正直言って激しく疑問を覚えます。商品コメント欄にも書かかれていますが、一体どんな実験をしてゴムバンドありと比べてズレないという判断に至ったのか、自分も聞きたいものです。

 今回のこの敷パッドで私の中のニトリの評価は本気で地に落ちました。なんとなくこれまでも、商品価格が高いほどその商品価値のコスパが下がるという印象をニトリに対しては感じていましたが、今回この値段でこんな商品握らされただけに、ニトリでの買い物についてはなるべく控えようと思います。

 なおニトリからの帰宅途中、左折中の車の横っ腹にタクシーが突っ込むという激しい事故を目撃しました。マジで5メートル程度の距離で起きたからマジビビった(;´・ω・)
 念のため書いておくと、衝突時の速度はそれほどでもなかったのでドライバーは双方ともに怪我はなかったものの、突っ込んだタクシーはフロントバンパーが外れ、突っ込まれた車は横側のドアが大きく内側にめり込んでました。なんかいろいろとストレスフルな日だったと思う今日は。

2021年10月20日水曜日

自動車メーカーにEVを作らせたのが間違い

 今日ちょっと時間があったので、とある新興EVメーカーのショールームに行って写真撮ってきました。動機は今後の記事で使う可能性が高いため前もって撮っておこうとしたためですが、店員はカジュアルな格好をしていたものの、物腰は柔らかで仕草やたたずまいは非常に綺麗な人ばかり揃ってました。生憎、上海訛りのきつい中国語だったのであんま会話は聞き取れませんでしたが。
 ちなみに以前に行った上汽五菱のディーラーは、修理サービス店も兼ねてることから店の人はどっちかっていうと素朴な感じで、イメージ的にはスズキっぽい感じでした。逆に新興EVメーカーの店員は高級車ブランド、っていうよりはなんか高級家電店っぽいイメージがします。

 来週月曜に出す記事にこの辺細かくまとめていますが、中国では今年に入ってからEVシフトが急速に進んでおり、今日行った新興EVメーカーを始めベンチャーとされた彼らの売上規模がものすごい勢いで拡大しています。ウェイライとシャオパンに至っては月間販売台数が1万台を超えており、これは中国における三菱の販売台数(確か約6000台)を上回っており、設立年から考えるとその生産販売能力の拡大はまさに驚異的です。しかもこれ、全部EVだし。

 このような感じで中国ではEVベンチャーが急成長し続けているのですが、いま日本で月間販売台数が1000台超のEVベンチャーはあるのかというと、調べていませんがあんま調べない方がいいと思うくらいこの手の話を聞きません。っていうかEVベンチャーに関して日本はむしろ官民揃って潰そうとしているような雰囲気すら感じられ、なんか悲惨な状況です。

 そうした日中の状況を比較して今日、そもそもの話、既存大手自動車メーカーにEVを作らせようとしたこと自体が、ひょっとしたら間違いだったのかもとふと思いました。というのも確かにEVは自動車の一種ですが、既存自動車メーカー、特に日本の自動車メーカーはエンジンは基本ほとんど自作しており、実態としては「エンジン屋が自動車も組み立てている」ような形態に近いです。
 なお中国の自動車メーカーだとエンジンを自作しているメーカーの方が少なく、基本日本やドイツの自動車メーカーからエンジンを仕入れており、ガチな意味での「自動車組立屋」であることが多いです。

 そうしたエンジン屋が母体ともいえる日本の自動車メーカーからしたら、エンジンをなくしてモーターで走らせるEVというのはある意味どころではなくガチな意味での商売敵です。実際、トヨタなどはEVシフトは必要としながらも急速な方向転換はエンジン関連の雇用に影響を及ぼすと主張しています。このトヨタの主張は自分も同意で、エンジン屋である彼らの立場からしたらこうした意見を持つのも当然であるし、必要だとも感じます。
 しかし、仮にEVの産業発展という観点から見ると、こうしたエンジン屋である既存自動車メーカーにEVを作らせようというのは土台からして間違っているように見えます。彼らとしたら時代の変化への対応ではあるものの、今現在の自社の主力製品を食う製品を作ることとなり、その辺で葛藤を持たない方がおかしいです。また既にプラットフォームが出来上がっている燃油車と比べるとEVは開発コストも流通コストもインフラもかかり、新規に燃油車を作って販売するよりも大きなコストが発生するのは必至です。

 そうしたことを踏まえると、仮に時代環境を見つめて経営者がEVの開発を主導したところで、既存自動車メーカーの現場はどう反応するかです。その逆も然りで、現場がEVの開発を求めても、コストの点から経営者がGOサインを出すかというと、この10年間はそうでもなかったんじゃないかなという気がしないでもないです。

 じゃあどうすればいいのか。極端なやり方ですが、この際既存自動車メーカーには「絶対にEVを作ってはならない」的な規制をかけておけば案外よかったのではと今思います。燃油車の生産開発に係るメーカーはEVには一切関与することは許さず、どうしてもEV作りたいなら別会社を作り、よそからの出資も受け入れさせて出資比率を40%未満にさせなければならないという、実質的にベンチャー以外にはEVは作らせないような環境にしておくのも一つの手だったかと思います。

 やはり中国のEVベンチャーと比べると、日系自動車メーカーのEV開発は無理やりやらされている感が強く感じます。逆に中国のEVベンチャーは、文字通りにもう走り出して止まれないという立場と、既存燃油車関連従業員といったしがらみがない分、EVの開発や販売に対する熱意が全然違うように見えます。彼らとしたら売らなければ死ぬしかないという立場だし、元々燃油車を取り扱っていないのだからEVの生産販売に文字通り全力を傾けてきます。この全力が、残念ながら日系自動車メーカーにはありません。

 前述の通り、日系自動車メーカーがEVを開発するにはこれまでのしがらみが多すぎた気がします。それであればEV市場には大手の参入は一切認めず、ベンチャーにしか入り込めない市場にすることでベンチャーを育てた方が、産業育成としては案外うまくいったんじゃないかなと思うわけです。ぶっちゃけ、既存メーカーにEV開発やらせるのもシャシーとかを除けばほとんど一からの開発だったわけだし。
 もっとも今の状態でこんなやり方はできないでしょうし、仮にやらせるにしても事業法人は本体から切り離させることが限界でしょう。それでも、全てのEV事業を離した会社にやらせることで、新会社でを既存燃油車の売上げを計上できないという状況に追い込めるわけですから、やらないよりは今でもこうやった方が私はいいと思います。

 オチはあんまないですが、上記のような意見を私は見たことがなく、日本人でこんな発想するのはもしかしたら自分が初めてかもしれません。そう思うと本当に自分の価値観は日本人から離れたものになりつつあることを自覚します。

2021年10月18日月曜日

社会問題を二次方程式で解けるか否か

 「真・女神転生Ⅲ」の2週目を終えました。今回は裏ボスも倒す難易度が最も高いルートでエンディングにたどり着き、また全悪魔の登録を終えて召喚費用も半額化しているため、3週目やるとしたらかなり楽に攻略できそうな雰囲気です。
 恐らくですが3週目もプレイすることになると思うのですが、その際に人間から悪魔となって人修羅と呼ばれる主人公の名前をどうするかが気がかりです。2週目は「マカロニ大魔王」でしたが同じような大魔王系はワンパターンすぎるので、この主人公のイメージに合う名前はないかと帰宅中に考えていたところ、「中村紀洋」という名前が何故か浮かんできました。愛称はやっぱ「ノリさん」になるのか。


 話は本題ですが先日ネットで上のまとめ記事見て、ああ日本人らしいなと思いました。なお、

21: 2021/10/15(金) 13:00:08.049 ID:2KXcg/D70
大卒平均初任給20万円
これがまず頭おかしい
 この意見については内心同意するところがあり、ガチで10万円くらいでいいんじゃないかといつも考えています。

 上のまとめ記事の主張について何故日本人らしいと感じたのかというと、「一つの課題をクリアすればすべての問題が一挙に解決する」的な考え方をする人が多いからです。こうした価値観を陰で私は「日本人の決戦思想」と呼び、バルチック艦隊を倒した日本海海戦以降、何かと日本人は一つの大きな山場さえ超えれば万事ハッピーな方向に向かうという見方をする傾向が強い気がします。実際、二次大戦も何かと軍部は決戦にこだわり、相手の兵力を漸減するという発想はしませんでした。
 まぁ漸減に関しては日本の方が先に駄目になるという見方からやれないというだけでしたが。

 話を戻すと、上のまとめ記事では賃金を上げるだけで消費が回り、経済が良くなり、技術力も上がり、税収も上がりといいことづくめに書いていますが、私自身は仮に日本の賃金が上がったところで到底そんな風にならないだろうと考えています。理由としては少子化で、一人当たり賃金が上がっても少子化で人口が減れば全体消費額は結局縮小するし、また賃金引上げ幅をそれを上回るようにしたとしても、引き上げ効果は賃金が高ければ高いほど低くなると言われており、企業の競争力を失わせるだけになるとみています。
 仮に、外国から移民を取り入れて彼ら移民の賃金水準も日本人並みとし、その上で引き上げようっていうのならまだある程度の効果は見込めると思います。しかし人材に関しても、日本人を引き留めるくらいならむしろ優秀な外国人を引っ張ってくる方がコスパ的にもいいのではないかとすら思います。

 上記はあくまで賃金を例にしたパターンですが、これに限らず消費税をなくせば、自民党が下野すれば、ガソリン代が下がれば、メタンハイドレードが実用化されれば、阪神が優勝すればなどと、何か一つのことがきっかけで全部解決される的な主張は枚挙に暇がありません。まぁこれは日本に限らない傾向でしょうが、割と社会的権威ある人もこうしたこと言っててその辺が自分にとっては怖かったりします。

 その上で、現実においては何か一つ解決されれば物事が良くなるということはほとんどないと自分は考えています。むしろ何か一つを良くするために、二つ以上の複数をうまく運ぶ必要があり、またそれらをどう連動させるか、また片方を高めて片方を抑えるといったバランスを取るような対応も求められるものだと考えています。そのため社会問題を考える上では、常に複数の要因を同時並行で考慮する必要があると考えています。
 この複数要員を同時並行で考慮することを、よく私は要素が二つであれば「二次方程式を解く」と呼んでいます。読んでそのままで、二つの変数を複数の式から特定するという思考作業なのですが、一見すると当たり前に見ながら実際にこれが社会でできる人は10%もいないとみています。基本、人間は物事を単純化して考えようとするのが本能であり、敢えて要素を増やして複雑化するような施行からは避けがちだからです。

 ただ上記の通り、「消費」という点においても「賃金」だけ着目するのはナンセンス以外の何物でなく、実際には「人口」、「貯蓄」、「年齢層」、「家計資産」などの要素も考慮に入れなければなりません。さすがに四次、五次方程式となるとさすがに自分もきついため、影響力の低い「家計資産」などの項目は無視しますが、可能な限り考慮すべき要素は考慮した方が予想の精度は高まるに決まってます。しかし普通の人はそうした要素の追加を基本避けます。っていうか、要素を増やして二次方程式にした途端、何もわからなくなる人が大半です。

 敢えて消費に限って説明してきましたが、このほかにも国防をテーマにすると、対中国とかその辺の軍事力比較しか考えない人が大半でしょう。実際には予算、外交、彼我技術力、既存軍事力とかも一緒に考えないといけないのですが、まぁそうはならないでしょう。
 もっとも、ビームライフルを開発出来るってんならガチでこの問題は一挙に解決できちゃいますが。

 この辺の複数要素を同時に考慮する思考に関しては、私は学生時に意識的に鍛えていました。こうした思考法は割と学生に意識して指導すべきだと思うのですが、まぁ今の日本じゃむずいだろうな。

2021年10月17日日曜日

日本史で一番不人気な時代

 最近歴史記事書いてないのでJBpress二は使えないような歴史ネタで語らせてもらうと、仮に日本史の中で一番不人気な時代を挙げるとしたら、文字記録のない考古学の時代を除いた場合、奈良時代と平安時代のどちらかではないかと思います。
 どちらも日本国内でもある程度文字資料が残されるようになった後の時代ですが、それでも資料数が少ないことはもとより、基本的に宮廷内での動きしか追えないという負い目があります。同時代の関東地方や九州地方がどうなっていたのか、地方の暮らしはどうだったのか、面白い人はいなかったのかなどに関してはほとんど資料がなく、追える範囲が限定されていることが一因だと考えます。

 それ以上にと言ったらなんですが、単純に歴史の流れた平坦ってのも大きいでしょう。奈良時代に至っては墾田永年私財法に至るまでの政策しか追うものないし、道鏡関連事件はまだ波乱があるものの、それ以外となるとコップの中の騒動的な話しかありません。劇的なイノベーションも少ないし。
 一方、平安時代は文化史などいくつかトピックはあるのですが、こちらに関してはネタ不足以上に上手く整理して解説する人がいないというのも大きい気がします。天皇家よりも摂関家を中心に学校教育では解説する傾向もありますが、後半にはこれが上皇、そして武士へと視点対象が切り替わるため、多分教えられる人は話がぶつ切りになる印象があるのではないかと思います。自分も嵯峨天皇の前後辺りからなんか接続が途切れているし。

 またどちらの時代も小説などがもっと盛り立てないとどうにもならないところがあり、それこそキングダムみたく藤原仲麻呂の乱を盛り上げて書く人がいたら話は変わってくるかもしれません。平安時代は応天門の変を漫画化した作品が確かあった気がしますが、あれもあんま盛り上がんなかったし、むしろ夢枕獏の「陰陽師」の方がこの時代の盛り上げでは大いに貢献しているでしょう。源氏物語なんかは作品化される傾向が多いものの、なんか政治とは切り離されて描かれることが多いため、あんま平安時代物として見られてない気がします。

 もっとも、そもそも私自身も奈良時代はともかく平安時代はそんな好きじゃないので、そんな盛り上げるつもりはさらさらないです。ただ敢えて言わせてもらうと、平安時代は2つに分けた方がいいでしょう。
 具体的には、平安京遷都から摂関家支配時代までを前半、次に白河上皇の院政開始から源平の戦いこと治承・寿永の乱までを後半とする。明らかに院政の開始前後では時代背景というか権力構造が切り替わって二重権力制となっている上、やはり院政の開始が武士の社会的影響力を高めているように思えるだけに、こうして時代を同じ平安であっても前期と後期に分けた方がいいでしょう。

2021年10月15日金曜日

書評「児玉誉士夫 巨魁の昭和史」

こじまよしお
こだまよしお

 この二人の名前はわずか1文字違いで、もしかしたら名前以外にも共通点があるのではないかと思い、児玉誉士夫についてまた調べ始めています。

 というのはさすがに冗談で、この前にダテジュンこと伊達順之助の記事書いて、この時代の大陸浪人がまたマイブームになったのがきっかけです。そうしたなか、見出しに上げた有馬哲夫氏の「児玉誉士夫 巨魁の昭和史」という本がセール中だったのと、ほんの袖擦り合う程度ですが縁のある人物であることから児玉誉士夫に興味をもってこの本を買いました。
 内容は見ての通り、昭和のフィクサーと呼ばれた(呼ばれてる人めっちゃ多いけど)児玉誉士夫の生涯を追ったものですが、伝記的なものではなくどちらかというと優し目の学術書のような構成になっており、各資料からその時代ごとに児玉誉士夫が何をやってたのか、周辺人物や組織との関係性はどうだったのかを追っている内容となっています。

 細かい資料名がたくさん出てきていますが作者のあとがきによるとこれでも分量は当初の三分の一程度に抑えられたそうで、編集部の方が文章をかなりダイエットさせたそうです。自分の目から見て、この編集部の判断は当たりであるように思え、これによってかなり読みやすくなっています。仮にフルサイズだったらかなり難解な内容になってたと思う。
 ただ大野伴陸や大西瀧次郎などの昔の大物議員や軍人などの名前がバンバン出てくるため、そういった名前に対する知見があらかじめないと読み辛いと感じる恐れがあります。ぶっちゃけ自分も戦後初期の箇所は結構読んでてしんどく、「河野一郎ってもしかしてあいつの?」と思いながら読んでました。いうまでもなく、河野一郎は河野太郎のグランドダディです。

 話を戻すと、改めて今まで自分は児玉誉士夫についてほとんど知らなかったのだなということを読んで痛感しました。そもそも時代が違うし、また表の歴史人物でもないことから知らなくても別におかしいことではないのですが、これまで自分の中では「ロッキード事件の黒幕」みたいな人という風に見ており、どうロッキードに係っていたのかなども全く知りませんでした。
 またロッキードつながりということでこの事件で逮捕された田中角栄のマブダチだったとも勘違いしており、小佐野賢治と混同していたことにも今回初めて気が付きました。

 逆に何故このような誤解をしていたのかというと、ロッキード事件の疑獄を単一ルートだと考えていたことが原因でしょう。実際にはこの本にも書かれていますが、ロッキード社は日本に自社製旅客機のトライスターを売り込むため、複数のルートから売り込みをかけていたことが分かっています。主なルート(キックバックマージンが使われた)としては、

・小佐野賢治ルート
・丸紅ルート
・児玉誉士夫ルート

 の三つとされていますが、この三つは微妙に重なっているところもあり、厳密にはこの通りであるかもちょっと曖昧です。もしかしたらまだ解明されていないルートもあるかもしれませんが。

 またこのロッキード事件に関してこの本では、児玉自身はトライスターの売り込みにはそれほど関わっておらず、むしろCIAの裏金作りのために伝票切らされて巻き込まれたような立場であると指摘しています。この辺については最新の研究が取り上げられており、児玉が切ったとされる領収書の印鑑の母型が、彼が日頃使ってた印鑑とは別のゴム印によるものだった事実なとが紹介されています。
 一方、このロッキード事件の前後で児玉誉士夫は、同時期に自衛隊向けに導入が決定された、同じロッキード社製のP-3C哨戒機の導入の方では暗躍しており、むしろ上記のトライスターの件はP-3Cに係る裏金や誘導に関する件を「MOMIKESU」ために事件化されたものであるように説明されています。この「MOMIKESU」という表現ですが、米国の公文書に本当にそのまま書かれているもので、中曽根康弘元首相が指示した言葉であると記録されているそうです。

 この辺の詳細に関しては是非本を読んでもらいたいのですが、全体としてロッキード事件の日本側における主役はむしろ、田中角栄というより中曽根康弘であるという見解が呈されています。そしてその中曽根のスポンサーこそが児玉誉士夫で、P-3Cの日本導入こそが米国、っていうかCIAの真の狙いというか方針だったと主張しています。
 なお児玉とロッキード社の関係は、第一次主力戦闘機選定(第一次FX)におけるグラマンからロッキードへの内定変更時からのもので、この時のロッキードの巻き返しにも児玉が深く関与していたことが書かれてあります。まぁこれは児玉本人がというより、海上自衛隊幹部にどうも頼まれて動いた的なものだったそうですが。

 最後に、ロッキード事件の隠された本丸ことP-3Cですが、三菱重工や川崎重工が「俺たちが作ってやんよ(´・ω・)」と言うから哨戒機の国産化が計画されながら、児玉や中曽根の活動によって結局米国から買うこととなったP-3Cですが、設計から半世紀以上経ち、日本での導入開始からも40年近く経っていながら、設計がやたら優秀だったせいか今だこいつは現役で日本の空を飛んでます。

 興味を持ったのでWikipediaの記事とか読んでみたのですが、日本国内での事故・破損例として2014年2月15日に、定期修理中でハンガーに入れられていたP-3Cが当時の大雪によってハンガー屋根が潰れ全損となり、同じく潰れた飛行機ともども計70億円の損失を出していたそうです。金額もさることながら日付の方に目が行き、「これもしかしてと思って」調べたら当時こんな記事書いてました。


 上の記事はP-3Cの事故の約1週間前の2014年2月8日から9日にかけての出来事ですが、確かこの時は2週連続で日本は大雪となり、この次の週の大雪は警戒されながらも前週ほどには関東地方は雪による混乱は少なかったはずです。自分も無事帰宅できてたし。
 逆に、この2/8の大雪時は上の記事にも書いている通り途中で電車止まり、外では吹雪く中、深夜に列車内からホームに引きずり出されて激しく寒い思いしながら一夜を越しています。真面目に当時辛かったのと、やることないのでタブレットPCで漫画の「実は私は」を何度も読み返してたのをまだしっかり覚えています。

 それ以上に読み返してて呆れたのは「下は作業ズボンのみ、上はYシャツの上にパーカーとGジャンだけ」という当時の自分の服装です。2月の降雪日にGジャンって、ノースリーブじゃないけどスギちゃんかよと自分で昨夜ツッコミ入れてました。
 なお下着に関しては当時も今もヒートテックなんてものは持っていません。


 

2021年10月14日木曜日

回るおっさん

ヤクルト真中満の「軸回転打法」を八重樫幸雄が解説。独特の技術で「絶対に教えてもできない」(web Sportiva)

 今日上の記事が読んでて楽しかったです。
 内容は八重樫氏が同じ元ヤクルトの真中元監督について語るという内容ですが、この中で真中氏のやけに体が回転する打法について、軸が左足のかかとにあるためとだと解説しており、非常に納得感がありました。

2001年日本シリーズ第3戦、真中満回転2号ホームラン(ニコニコ動画)

 これが具体的にどういうものかというと、上のリンク先の動画が一番わかりやすいと思います。バットを振り切った後に何故か若干体制が後ろを向くという打ち方をしており、指摘されている通り独楽のように回転する妙な打ち方です。これが体の軸が左足にあるという説明で合点がいきました。この回転打ちから現役時代、真中氏は見出しに書いた「回るおっさん」と呼ばれていました。



 この回転打ちに限らず、真中氏とくればあのドラフト誤認騒動など、妙に記憶に残るエピソードが多い人です。ちなみに記録なら、1シーズンの代打打席数と安打数で歴代1位らしいですが。
 なおこのドラフトの後、真中氏のお子さんは学校でくじ引きがある度に、「真中君はくじ引き得意だもんね」などと毎回からかわれたそうで、マジ最悪だったとテレビ番組で言ってました┐(´д`)┌ヤレヤレ