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2010年5月7日金曜日

普天間基地移設問題の雑感

 多分期待されている方もいるんじゃないかと思うので、今盛り上がっているこの沖縄普天間基地移設問題について私の見方を今日は紹介します。

 そもそもなんで政治系ブログなのにこれまで全くこの問題を取り上げなかったのかというと、私自身がこの沖縄問題とその歴史についてこれまであまり勉強した事がなく、国防にも関わる事から中途半端な知識で書くべき内容ではないと考えていたからです。かといって他に取り上げる話題も充分に勉強しているわけじゃないのですが、大分進展もしてきているのでちょこっと書くくらいなら問題はないかと思って今日は書くことに決めました。

 まず結論から言うと、ここまで民主党の対応が悪いとは私も思いませんでした。この問題の最前線に立っている岡田克也外務大臣が一部の雑誌メディアにはすでに話していますが、岡田外相は当初から現行案であったキャンプ・シュワブへの移設が最も望ましいと考えていたものの鳩山首相が腹案があるからといってこの案は採用されず、では一体どんな腹案なのかと思っていたら初めから鳩山首相は何も持っていなかったそうなのです。私はてっきり今日の鹿児島県徳之島の三人の町長との会談の際にもまた、「腹案があるよ(・∀・)」とでも言うのかと思っていましたが、さすがに事態がここまで来ると初めから実態のなかった「腹案」という言葉も出てこなくなってきたようです。

 そもそもなんで鳩山首相は県外移設にこだわったのかと言えば、突き詰めて言うと私はマニフェストにそう書いてしまったからだと見ております。私自身、というより各種世論調査を見ているとその他大勢の方も初めから民主党のマニフェストには期待しておらず、子供手当てを初めとしてどちらかと言えば実行に反対という意見の方が多かったように思えます。ひとえに民主党が選挙で勝ったのは自民党への不信からで、国民としては旧来の構造から脱却、あとできれば年金などといった社会保障の改革さえしてくれればいいと考えていたとと、去年の衆議院選挙の民主党の大勝を私は分析しました。

 しかし民主党としては、どうも支持率を維持するためにはマニフェストの完遂がどうしても必要と思ったのか、高速道路無料化は小沢氏の鶴の一声で見送りとなったものの、それ以外の政策についてはそれこそ財源の目処もないのに強行に実行しようとする節があります。今回の普天間問題も同じような傾向が見られ、マニフェストに県外移設と書いたという理由だけでどうも推し進めようとしている節があります。
 これは言い換えるなら、なにかほかに必然とさせる理由をもたずに県外移設をしようとしているという風に考える事が出来ます。

 確かに沖縄の基地負担を軽減しようとするという考えなどはあるかもしれませんが、その分どこがかわりに負担できそうなのか、また国防上どこに移設するのがベストなのか、そういった問題決定をする上での哲学は民主党には何もないように思えます。それがゆえに沖縄から近いという理由だけで、今回のように根回しも全くないまま徳之島移設案を唐突に打ち出してきたのでしょう。

 私の友人なんかはこの際だから米軍の完全撤退も視野に入れて議論すべきだと主張していますが、それならそれで現代において領土に対しややいびつな価値観を持つ中国と本気でやりあう覚悟が必要になってきます。
 私としては米軍基地を動かすのは難しいとした上で、沖縄の負担を減らすのに何が一番いいかといえば日米地位協定の更なる改定を求める事だったのではないかと思います。それこそ基地外での犯罪についてはすべて日本国法で裁き、証拠が揃っているのであれば身柄引き渡しは必ず行わなければならないなどとより厳しく定めるなど、こういったところで日米双方の不信を取り除くように動くのがまず先だったのではないかという気がします。

 最後にこの問題で気になっていることとして、日本政治における最大のタブーとされる沖縄利権は今回の騒動で何かしら影響を受けるかどうかです。民主党がこの利権に切り込みを入れようとしているのか、はたまた乗っかろうとしているのか、ちょっと現段階では見えにくいので誰か分かる人がいたらコメントに書いてください。

5 件のコメント:

SOFRAN さんのコメント...

沖縄利権という言葉もあまり聞いたことがなく、たぶん大手メディアではまず使われない言葉だからでしょうね。その実態については詳しく知りませんが、よくタブロイド紙の日刊ゲンダイが「安保マフィア」という表現を使いますが、それをも包含した言葉でしょうか。 先の4月9日に、元毎日新聞記者の西山太吉さんが起こした沖縄返還に関わる密約訴訟の判決が出ました。結果は、原告勝利に終わり、国に原告1人あたり10万円の損害賠償が命じられました。
 その前には、岡田克也外相が、これまでの日本政府が一貫して否定してきた日米間の核密約の存在を認めたこともあり、これでこの裁判も終わり、西山さんもやっと名誉回復ができたと喜んでいたら、4月22日には、外務省が控訴をしました。その理由としては、判決文で文書の開示を求められたのに対し、「保有していない文書についての開示決定を行うことはできない。」とするものでした。

SOFRAN さんのコメント...

この対応には非常に幻滅したのですが、先の核の密約に関する有識者委員会の調査結果では、沖縄返還時の取り交わされたとされる有事の際の核持ち込みの密約の存在についてはみとめておらず、不満の残る内容でした。また、この調査の過程で外務省内の重要資料が不自然な形で紛失、欠損していることもクローズアップされました。 
 その直前に【反省 私たちはなぜ失敗したのか】鈴木宗男&佐藤優著 アスコム刊という本をたまたま読んでいたこともあって、さもありなんという感想を持ちました。この本は、こんな事実知りたくないと途中で読むのをやめたぐらい外務省の内実が述べられています。興味のある方はどうぞ。

SOFRAN さんのコメント...

また、西山太吉さんをめぐる沖縄密約事件または外務省機密漏洩事件について詳しくしりたい方は、映画【密約】が日本各地の映画館で上映されているので(東京だと新宿武蔵野館とか)、観てみると理解が深まるかもしれません。これは、1978年に当時のテレビ朝日が開局20周年記念番組として製作したものだそうです。私も観てみたいのですが、田舎住まいなもので、そういう映画を上映する映画館はないので、非常に残念です、とほほ。

花園祐 さんのコメント...

 SOFRANさん、別に長くなるのを気にして三つにコメントを分けなくともかまいませんよ(;´∀`)

 鈴木宗男と佐藤優の本は私も持っていますし読んでますが、西山事件については冷戦も終わってほぼ時候に近い形で、あとは機密書類を廃棄した外務省内の粛清をどこまで行えるかどうかになってきています。佐藤優の元上司の東郷茂彦元条約局長も証言していますし、何かしら世論や政治の力が動くと一気に回ってくるんじゃないでしょうか。

 沖縄利権とはSOFRANさんの言う安保マフィアこと安保族と防衛族の利権の事です。何気に昨日のニュースにて、安保族の代表格である久間章生氏と小沢一郎氏が自民党時代に普天間移設が決まった直後、移設地近くの土地や別荘を購入していた事が報道されています。

SOFRAN さんのコメント...

小沢氏らが、移設地近くの土地を購入しているのは、事実みたいですね。基地が移転した場合、土地の価格が上がってうまみでもあるんでしょうか? あと、日刊ゲンダイのだいぶ前の記事では、巧みに名義などを変えて、他の政治家もその付近の土地を購入しているそうです。私の記憶では、元防衛大臣のI氏やN氏などという表現で記されていました。
 あと、美味しんぼの原作者として有名な雁屋哲さんもブログ【美味しんぼ日記】で、普天間問題や花園さんの【若者と年長者の議論を見て】と関わるような記事を書いているいましたよ。