また上記指示の下で営業をするにしても、地味に障害となるのが反社判定だったそうです。言うまでもなく一般企業は反社勢力と取引してはならないこととなっているのですが、反社もわざわざ「私が反社です!」と堂々と宣言しているわけではないため、知らずに取引を開始してしまっているというリスクが常に付きまとうそうです。特に貸金庫業務だと個人を相手にするだけに、その手の身分調査が法人ほどには定型化されておらず、顧客を見つけても大丈夫なのかという懸念が続くと言われます。
そこまで話を聞いて私は、「まぁこういっちゃなんだけど、俺はあの旧ビッグモーターは反社勢力だと思うよ」と口を開きました。これにはほかの同僚も同意してくれたのですが、同時に旧ビッグモーターを反社勢力として、取引を絶つ企業は存在しないだろうという結論でした。
ちょっと前に日本人の信用管理は非常にあいまいでいい加減と書きましたが、この反社判定に関してもあいまいというか、暴力団団体に所属しているか否かでしか判断しておらず、実態の伴わない判定になっているという気がしてなりません。それこそ半グレ勢力などは指定暴力団じゃないので問題なしとする企業の方が大半でしょうし、先ほどの旧ビッグモーターのように明らかに組織的に金融詐欺や街路樹破壊工作などの反社会的活動を繰り返していながらも、反社認定をして取引を絶とうとする企業は私が知る限り1社たりとも現れていません。
貸金庫事件のように一従業員らが犯罪を犯すなどならともかく、法人というか組織全体で明確な犯罪行為を繰り返したとしても、日本の場合は暴力団でなければ反社ではないということになり、企業もこれまで通り付き合いを続けるということです。これをおかしいと思わないのはおかしいと、思うのは私だけでしょうか?
なお旧ビッグモーターのほかに反社だと思う企業を挙げるとしたら、金融だとスルガ銀行もこの類だと思います。あそこも組織的に返済不能とわかってる相手に返済能力を超える融資を行い、破産に追い込むような形で融資をして稼いでおり、まっとうな組織に思えません。なお前述の銀行出身の同僚によると、「あそこは銀行というより、消費者金融企業だと思う」とのことでした。