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2024年8月31日土曜日

戦国大名の本拠地移転

 相変わらず政策議論の盛り上がらない自民党総裁選ですが、かつてあったのに今や全く語られなくなった政策議論として、道州制と首都移転があります。どちらも重要だと思う議論でしたが、今やだれも関心がなく今後も盛り上がることはないでしょう。

 このうち首都移転についてですが、戦国時代においては地味に本拠地移転は非常に重要な要素であったと思います。この本拠地移転を度々繰り返したのは言うまでもなく織田信長で、父の代からの清州城からスタートして、美濃攻めのために前線に近い小牧山城へ引っ越して以降、岐阜城、安土城と次々に拠点を移しています。実現こそしなかったものの、安土城の次には本願寺跡地、即ち大阪への引っ越しも検討していたと言われており、戦国の引っ越し王の名は伊達じゃありません。
 この信長の本拠地移転の目的は色々ありますが、第一に領土拡大に当たっての前線により近いところから迅速に指揮を行うためにあると言っていいでしょう。交通の便はさることながら、当時の中央(京都)に近づくように移しており、非常に合理的な判断をしていたと言えます。

 逆にどれだけ合理性がありながらも本拠地移転を行わず、非常に惜しいことをしていたと思うのが武田家と上杉家です。武田家は滅亡するまで甲斐(山梨県)の躑躅ヶ崎館を本拠地としていましたが、ここはお世辞にも交通の便がいい場所とは言えず、また前線となる他国の境界にも近い場所ではありませんでした。それ以前に、石高の良くないエリアでもあったし。
 事情を無視して合理性から考えれば、今川家滅亡後に占領した駿河に本拠地を移していれば徳川家、北条家の眼前でややリスクはあるものの、主力を前線へ動かしやすく武力で優っているというのなら領土拡大は確実に捗っていたでしょう。しかし武田家はそのような本拠地移転はとうとう行いませんでした。

 上杉家に至ってはもっと影響が大きかったというか、仮に上杉謙信が本拠地を越後(新潟県)から峠を越えた北関東地方に本拠を移してさえいれば、きっと彼は北条家も打倒して関東を支配していたことでしょう。というのも上杉家は桶狭間の戦いより前はほぼ毎年関東地方へ遠征し、北条家の支配を切り崩しては領土を拡大してはいたものの、冬になって越後に帰り路が雪で閉ざされると、北関東で北条家が盛り返して領土を奪い返し、一度は帰順した豪族らも再び北条家につくということを繰り返していました。
 仮に上杉謙信が北関東に本拠地を置き関東地方に対し年間を通してにらみを利かせていれば、小田原方位にも成功しているだけに関東地方一円を支配できたことでしょう。逆を言えば何故それをしなかったのかと言えば、本拠地を移せなかった事情があったということになります。

 武田も上杉も共通していますが、本拠地を移そうにも空いた元本拠地を維持する、任せられる人材や基盤が両家にはなかったため、どちらも本拠地を移すことができなかったと考えられます。電話のある今の時代と違って通信状況の悪かったあの時代、反乱が起きても遠隔地に連絡がいくには数日は必要で、仮に本拠地を移して反乱が起きようものなら根拠地を失う羽目となります。
 また拠点防衛を任せようにも、下手な人材に任せたら他勢力に切り取られるし、また有能な人物に任せたら裏切られて独立される恐れがあります。この点、信長は自らの息子らに多くの領土管理を任せ、与力というか参謀に重臣を置いて補佐させています。

 こうした領土管理面の問題もさることながら、兵の動員面でも彼らは本拠地を移せない事情があったと推察されます。当時、織田家を除いてどの勢力も自領の農民を主兵力としていましたが、その動員は大名自らというよりは各地の豪族任せな一面がありました。
 具体的には大名は各地の豪族に動員を命じ、これに応じた豪族らが兵を引き連れ集合する形態が主でした。大名自身も直接動員力を持っていたものの、全体に対する比率はそこまで高くなかったと言われます。

 こうした動員方式を取っていたことから、基本的に大名も豪族もその土地に縛られていた面があります。自分の兵隊を自由にどこでも移動したり配置したりすることはできず、戦争のたびに引っ張っていくようなありさまで、本拠地を移転したところでその兵士たちも一緒に移転できるというわけじゃありませんでした。なのに本拠地を移転しようってもんなら、恐らく兵士のみならず、支配地が地元に縛られている豪族たちも拒否したことでしょう。
 唯一の例外は織田家で、織田家のみ当時としては農業に従事せず、戦にのみ専従する専属兵士を大量に抱えており、信長の命令一つでいつでもどこでも移動させることができました。部下の家臣らも同様で、織田家の家臣らはある時期までほとんど領土を与えられず、俸禄のみで雇われていたため、上司である信長の命令一つでいつでもどこでも転勤することが可能でした。
 こうした織田家の動員体制には争っていた毛利家の人間からも、「織田家はうちよりもかなり先を行っている」と舌を巻くほどでした。

 こうした動員体制から信長はより領土拡大や支配に都合のいい本拠地へポンポン移動できたのに対し、武田や上杉は本拠地から動けず、むしろ領土が拡大するにつれてその兵士の前線までの移動がより長く困難になっていく面もあったように見えます。そうした点も考慮すると、織田家以外の勢力はその地元民を使う動員方式により、領土拡大はある範囲で制限がかかりストップしてしまう傾向もあったように見えます。

 以上を総括すると、腰が落ち着かず本拠地を度々移していたことから信長は支配地を拡大していったように見えますが、むしろ本拠地を何度も移せるくらい融通の利く動員体制を築いていたからこそあれだけ勢力を拡大できたと言えるかもしれません。

 なお織田家以外に本拠地移転をした大名としては、徳川家が岡崎城から今川家滅亡後に浜松城へと移し、岡崎城は長男の信康に任せていました。ただこの結果として家臣内で岡崎派と浜松派の派閥争いが起こり、岡崎派に担ぎ上げられた信康は一悶着あって切腹させられる羽目となっているだけに、領土の遠隔管理の難しさが見られます。
 このほか北条家も伊豆で旗揚げした後、勢力拡大初期に本拠を小田原城へと移しています。これは単純に伊豆だと実際行ったから実感わきますが、半島の出口抑えられたら一瞬で密室が出来上がるほど交通が閉ざされており、支配拡大にも困難な地域だったから移って当然とも言うべき選択です。逆に小田原はちょうど関東から東海へ至る入り口に当たり、交通面でも要衝であったことからいい場所柄だったのでしょう。

2024年8月28日水曜日

空の軌跡FCの思い出

『英雄伝説 空の軌跡FC』リメイクが2025年に発売決定!!(ガハログ)

 なんか今日はときメモをはじめ昔のゲームのリメイク制作発表が相次ぎましたが、こちらの「英雄伝説 空の軌跡FC」のリメイク発表を見て、「ああ、こいつかよ」とげんなりした思い出が浮かんできました。

 このゲーム、確か自分が大学生の頃に秋葉原のジャンク屋にて500円くらいで売っていたのを見て購入しました。さっそく自宅に帰って遊んだのですが、結論から言うと非常に面白くなく、途中で遊ぶのやめて放り投げました。
 一体何が不満だったのかというと一言で言えばお使いゲーの極みみたいなもので、全然ストーリーが進まないのに「あれ買ってきて」、「あれ何匹か殺してきて」、「これ届けに行って」などというお使いを延々こなし続ける内容で、これの何が面白いんだと当時すごい疑問に思いました。

 しかも使用キャラはエステルとヨシュアの二人ですが、この二人に性能差はほぼなく、ただ殴るかスキル使うか、しかもスキルも似たり寄ったりで戦闘に一切戦術性がなく、はっきり言ってドラクエ1の方が戦闘はよく練られていたほどです。こんな感じで異常につまらないと思い、その後続編が出たと聞いて「あの内容で?」と正直耳を疑ったほどでした。

 そんなこのゲームですが一つだけすごい思い出があります。それはこのゲームのヒロインのエステルのことで、彼女の名前を見るたびにかつて少年ジャンプで連載されていた「少年エスパーねじめ」に出てくる練川えすてるというキャラクターを思い出すため、このゲームを遊んでいる最中は「少年エスパーねじめ」、そして同じ作者の別作品である「純情パイン」がずっと頭をもたげました。
 特に「純情パイン」の方は小学生男女二人組のヒーロー物だったため、男キャラのヨシュアの方も段々と作者の小玉なみえっぽいキャラに見えてならなくなりました。なので今回のリメイクの報道を見るやまた「練川えすてる」という単語がもたげ、今日は仕事になりませんでした。

 いやはっきり言うけど、このゲーム作った人には本当に金返せって言いたくなるくらいつまらなかったと言ってあげたいです。20年近く経つけど、この20年間で一番つまらなかったRPGゲームを挙げるとしたら迷わずこのゲームを私は挙げます。

2024年8月26日月曜日

政策議論がいまだ薄い総裁選


 この週末に友人から贈られたT-34-85を作ってました。いつもの1/35サイズでなく1/48ですがコンパクトで非常によく、またディテールも戦車なので薄まってなくて久々に作ってて楽しいキットでした。やっぱロシアは嫌いだけどロシアの戦車はすごくいい(´∀`*)ウフフ

 話は本題ですが今日、自民党の河野太郎氏が総裁選出馬会見を行い、これまで主張してきた脱原発は抑えた一方、パーケンプールしてた自民党議員には返金を求めるという政策を打ち出しましたが、これ見て私が思ったことは「ああ、受かる気ないんだな」ということでした。
 前者はともかく後者の主張は大衆受けするかもしれませんが肝心の総裁選で投票権を持つ自民党の議員からは反発食うことは間違いないし、そもそも他の派閥が悉く解散したのに対しその支持母体である麻生派は意地になって残っていて河野氏をバックアップしているのを見ると、なんか矛盾しているような印象を覚えます。そもそもパーケンプール問題について河野氏は先の麻生派存続もあってかこれまであまり言及していたように見えず、なんか唐突に批判始めたなという印象があります。逆にこれまで主張していた脱原発は放棄したりと、言い方悪いですが日和見な態度に見えます。

 もっとも、こうして「総理になったらこうする」という政策主張の口火を切った点はまだ評価できます。というのも今回の総裁選、立候補を表明しているどの候補も具体的な政策や方針についてあまり言及しておらず、政策というよりイメージで選んでくれと言うようなあまり政治的じゃない総裁選を呈しているからです。一体何故し得柵議論が深まらないのかと言えば、ぶっちゃけ岸田政権が主要な問題をあらかた片付けて、今差し迫って議論するトピックが少ないせいじゃないかと思います。

 先のパーケンプール問題でも、国民には手ぬるいと思われていますが関係議員らには一応の処分が下され、主要派閥も会計団体が解散したりとかつての自民党ならありえなかった対応は取られています。また外交に関しては特に差し障りなく順調で、経済も株価を含め上がり調子だし、統一教会も完全にとどめは刺していませんが安倍政権だったらありえない対応を岸田政権はやってのけています。
 またここ数年で一番の懸案だったコロナ対策に関しても、脱コロナ政策がすでにいきわたり、むしろ現在は人食いバクテリアの方が恐れられるなど社会衛生に関しても議論する点はもはやありません。自分としては次にどんな産業を育成するのかがトピックにして議論にしてもらいたいですが、こちらに関心のある人は少ないのが現状です。

 以上を踏まえると、政治トピックというか課題が少ない状況下から河野氏がパーケンプール問題をやり玉に挙げたというのも苦肉の策だったのではないかとすら思えてきます。一応、岸田政権下で行われた増税に対する批判も多いですが、具体的にどう税制を弄るかというところまではエコノミストを含め日本ではほぼ誰も議論してないし、私自身もこの増税は団塊の世代の医療費がこれからかかってくる日本にとって必要だと思うことから、減税なんてとんでもないという立場です。

 こうした背景から、これから本格的に総裁選を争う候補者にとっては何を政治トピックにして、世間の関心を集めるかが重要になってくると思います。それこそ以前であれば年金問題が最重要トピックとして注目を浴びやすかったですが、近年においてはもはや誰も議論しなくなってるし、見て見ぬふりする人も多いことから、こちらはあまり取り扱われないでしょう。政治家も、あまり触れたくないでしょうし。

 唯一、もしかしたら火付け役になるかもと思うのが立件民主党の総裁選に出馬する野田元総理の存在です。彼がもしその総裁選で野党の立場から今の日本における政治的課題を的確に指摘し、それがホットトピックとなったら、自民党の総裁選でもその問題への対策、対応について各候補者に質問が続き、大きな流れになるかもしれません。そういう意味では、ぜひこのタイミングで野田総理には与党を攻撃、批判する上でも、的確な指摘をしてもらえればと密かに願っています。

 でもって、その火が付いたホットトピックに対し実効性は別として支持される対策や見解を出した自民の候補者は、運が良ければ一気に目玉になるかもしれません。特に今回の総裁選は派閥があらかた解消された状態での総裁選であり、議員間でも浮動票が増えるように思え、本当に読みづらい選挙となっています。この中でどれだけキャラクターを出しつつ、政治玄人もうならせる方針を出せるかが今後カギになるかもしれません。

2024年8月24日土曜日

石破氏の可能性はもうない

 岸田総理の突然の辞任発表によってある意味で誰も準備していない平等な状態でスタートした今回の自民党総裁選ですが、かねてから立候補を検討していた候補者が今週は次々と正式に立候補を表明するようになりました。このうちアンパンマン顔でおなじみの石破氏についてですが、私自身は彼のことを嫌っているわけではないし鳥取県出身の友人が修学旅行で東京に来た際に国会議事堂を案内したのは彼だったと話していたこともあって好感も持っていますが、現状で比較的はっきり予想できる点としては彼の落選位しかありません。

 今回の総裁選では前述の通り前状況なく突如始まったのと、これまであまり知名度の高くなかった比較的若い層の議員も立候補を表明していることから、正直に言って非常に読みづらく、今後どう転ぶかまだ予断のつかない状態です。にもかかわらず何故石破氏の落選だけこうもはっきり言えるのかというと、完全に時機を失っているからです。
 元々、彼の人気が高かったのは彼自身のカリスマや評価によるものではなく、「反安倍」というスタンスによるものであったことは間違いありません。自民が安倍一色だった時代に冷や飯食いとなりながらも反安倍スタンスを続け、自民内外を問わず安倍元総理に反感を抱く層からの支持を一身に受けていたことがこれまでの彼の人気の原動力でした。

 しかし統一教会問題を経て安倍は自体がほぼ瓦解しており、また菅政権にはともかくとして直近の岸田政権に対してはそこまで批判的な姿勢を見せず、端的に言って埋没するような状態にありました。
 それでも立候補者らがこれまで自民を率いてきた旧来からの政治家、具体的には菅氏や二階氏、麻生氏らの息のかかった人間ばかりだったり、萩生田のような安倍派然とした候補者だけであれば石破氏にも得られる票があったと思うものの、今回の総裁選では小泉氏や小林鷹之氏をはじめ比較的若い層も立候補しており、「これまでの自民党政治とは一線を画す」イメージでは石破氏よりも彼らの方が強く、これまで石破氏が得ていた支持も彼らが持っていきそうな雰囲気です。

 それ以前に石破氏には総理になって何がしたいかという方針や政策に至っては完全皆無であり、その能力についてもはっきり言って疑問視しています。極端なこと言えば、反安倍、反麻生しかないでしょう。
 恐らく今後討論会が進むにつれてこの点がどんどん露呈する可能性もあり、これらを考慮すると立候補初日に言うのもなんですが現時点で自分が予想して言えることとしては彼の落選くらいしかありません。

 では誰が受かるのか。現状は小泉氏リードですがかつての総裁選と比べると派閥の力が弱まり自民重鎮の影響力も薄まっていることを考えると、本当に予想し辛い印象を受けます。比較的表立って活動しているのは菅氏で早くもかつての盟友の河野氏を切って小泉氏支持を鮮明にしたものの、内心、これはちょっと早すぎるのではないかという気がします。仮に「キングメーカーぶっている」という批判が強まればこのダメージが小泉氏にも回る可能性もあるだけに、せめて9月に入ってから表明すればよかったのではという風に私には見えます。まぁ偉そうなこと言える立場じゃないですが。

2024年8月23日金曜日

漫画「ナポレオン」の完結に触れて

 見出しにもある通り、長谷川哲也氏の漫画「ナポレオン-獅子の時代(途中から覇道進撃)」の最終巻が今日発売され、昨夜夜遅くまで日本から来た友人らと人民元の効率的な送金方法を議論したにもかかわらず、夜中にダウンロードして読んでました。でもって今日の通勤途中に3回くらい読み直してました。

 完結巻とあってこの巻ではセント・ヘレナ島に流されたナポレオンが死ぬまで、そして死後の関係者のその後が描かれていますが、出てくるのは揃いも揃ってジジイばかりで、若手キャラと言えば息子のナポレオン2世くらいでした。まぁいいんだけど。
 ただそれもあってか、イタリア遠征を思い出す最終シーンでナポレオンやその旗下の元帥たちが当時の若々しい姿で一斉に描かれるのは感無量であり、万感の思いとともに自分も眺めていました。

 それにしてもこの漫画ですが総巻数は42巻にも及び、横山光輝のライフワークと言える「三国志」の60巻には及ばないものの、連載期間は20年超を数え、ナポレオンを描いた漫画としては最長であり最高であるというのは揺るがないでしょう。
 私はこの漫画を1巻が発売された大学生の頃から読み始めたのですが、大体6巻くらいの頃に地元の本屋が何故かこの漫画を入荷するのをやめやがったせいで途中で中断を挟んだものの、その後覇道進撃に入ったあたりから再び読み始めるようになりました。

 ナポレオンについては少年時代よりその関心は強く、割とよく歴史漫画だけじゃなく評伝も読んではいたのですが、大体どの評伝もナポレオン本人にばかりスポットを当てていてその周辺人物についてはあまり触れられてきませんでした。それがこの長谷川氏の漫画では主人公のナポレオン以上にその部下であるネイやダヴーといった元帥らの活躍が華々しく描かれているばかりか、彼の政敵となったタレイランやロシア皇帝らも細かく描かれ、正直今まで読んできた評伝は何だったのかと言いたくなるような衝撃を受けました。それと同時に、ナポレオンも一人で成り立つのではなく、その優秀な部下らがいて初めてあれだけのことをやってのけたのだということも理解しました。

 そんなナポレオンを伝説足らしめているのはやはり、栄光を極めた後で転落をしている点にあると思います。説明するまでもなく、ロシアと英国を除いたほぼすべての欧州大陸を一時支配したものの、ロシア遠征での失敗を皮切りにフランス以外の支配をすべて失い、流刑後に一度は復権するもワーテルローの戦いを経て百日天下に終わり、流刑地で寂しく死去するという結末が、死後に多くの人間の共感を得たのだと思います。

 今回改めてそのナポレオンの事績を思い浮かべるにつれ、彼の場合は彼自身の後継というより、彼の部下の後継を育てられなかったことが致命的だったのではないかという風に思い至りました。ナポレオンの部下のほとんどはイタリア遠征時における幕僚たちであり、アウステルリッツの戦い以降は目立った戦績を残すようになる新参の将軍はあまり出てこなくなります。しかも従来からの幕僚たちも時代や戦争を経るにつれてランヌやベルティエをはじめ徐々に世を去り、残ったネイやスルトを率いて挑むも彼らがワーテルローで致命的な敗戦を犯し、ナポレオンは失脚するに至ります。
 それこそ仮にロシア遠征時にでも従来の元帥らに並び立つような才覚の人物を新たに登用し、幕僚の層を厚くして年代層を若返らせておけば、また何か違ったのではないかという気がしないでもありません。この辺、人気漫画作品に頼ってたところその作品が連載終えるや人気が急落する漫画雑誌に近いような気がします。

 まぁそれを言ったら、ナポレオン自体も後年の軍事的才能の枯渇ぶりは目に余るのですが。

 それにしても20年以上の読み続けてきた漫画がこうして終わるというのはなかなか感慨深いものです。長谷川氏はナポレオンの連載中にも「セキガハラ」をはじめ色々ほかの作品も描いていますが、今後どういう作品を描くのか、恐らくまた手に取ると思うので今から楽しみにしています。

2024年8月21日水曜日

日本人が何故体臭で騒ぐのかが不思議

 あまり興味がないのでこれまでブログで取り上げてきませんでしたが、女性フリーアナウンサーが男はもっと体臭を気にしろ、日に三度はシャワー浴びろと公に発言して顰蹙を買い、契約していた会社から契約を切られたニュースがなんか延々と話題になっています。この会社側の処置について解雇は厳しすぎるという声もありましたが、報道を見る限りそもそも雇用契約ではなく仲介登録契約であったようで、であればそもそも解雇じゃないんだし、またあんな発言する時点で危険要素が盛りだくさんなだけに契約切るのは当然だと私的には思います。需要があるなら、拾う会社もあるだろうし。

 それでこのニュースに出てきた体臭についてですが、去年あたりからアイドルの交流会やカードゲーム大会にやってくるお客の体臭がひどい、ヤバ過ぎるというニュースをよく見るようになってきました。実際にそうした現場に行って嗅いだわけでもないためどれほどの体臭なのかは測りかねますが、私個人の見解で述べると、「そんな大騒ぎするほどかよ」と疑問に思う節の方が多いです。何故かというと、日本人で体臭が気になるほど臭う人はそんないないだろうと高をくくってるからです、なんでそんな風に言えるかって、自分が今いるのは中国だからです

 断言しますが、街中で感じる体臭で言えば中国の方が圧倒的にきついです。上海とかならまだマシですが、地方都市なんか行くと周りの中国人ですら表情から見て明らかに引くようなレベルの体臭を出している人間なんて手の指が足りないくらいいます。また上海市内でも、地下鉄とか乗っているとえーって言いたくなるくらい臭う人がおり、でもってそういう人に接近されると大抵その日はダニに噛まれる羽目になり、「臭いくらいなら実害ない」と言いたくなります。

 また私の場合だと北京での留学時代、相部屋のルーマニア人がガチでシャワーを浴びるのは月に1回程度で、部屋の中は体臭に満ちていました。なので玄関ドアとか開けておくとその臭いが廊下中に蔓延して、別の日本人も今日自分が部屋を開けているとエレベーターから降りた瞬間にわかったそうです。
 もっともこんなの慣れてしまえばどうってこともないのですが、数ヶ月にいっぺん、彼が洗濯するときは自分も夜は寝れなくなりました。何故かというと当時の学生寮には洗濯機がなく、基本手洗いで下着とか洗うしかなかったのですが、彼は洗面器に下着を水につけるだけで、ゆすいだりとか以前に洗剤も一切使用しませんでした。でもってそれを部屋干しにするもんだから、さすがにその時は自分も眠れないほどの悪臭に悩まされ、洗面器につけてる間にそっと洗剤を少し蒔くようにしてました。

 そんな私のハードな体験、そして冒頭に書いたように日本人より体臭がきつくてもそんなに気にしない中国での生活を踏まえると、元々異常なくらい臭いを出さないし、普段から割と清潔にしている(中国人基準で)日本人が体臭でどうこう言うのはちょっと過剰過ぎるのではという疑念を持っています。鈍感力じゃないですが、礼儀マナーなどと同様に必要以上に過敏に気にするというのはむしろ社会にとっても本人にとってもマイナスで、逆にそうしたことを気にせず寛容に受け止める西郷さんのような人の方が私は立派だと思います。
 なので日本人は、もっと西郷さんを見習うべきだと無駄に薩摩推しな感情がこのところもたげます。

2024年8月19日月曜日

日本のホラーコンテンツ産業の成り立ち

 
 本題と関係ないけどこちらの上原氏と赤星氏の対談が毎回面白くてつい見ちゃいます。練習が厳しすぎて亜細亜大と駒沢大の試合はどちらもイップス発症者が多く、現広島監督の新井氏なんか典型的なイップスだったから試合でサードにバントし続けるという鬼畜な戦術取られてたとかやばいです。



 でもって本題動画がこちらとなりますが、本日公開されたホラーゲームの金字塔と呼ばれる「サイレントヒル2」のリメイク版ストーリートレーラーです。あいにく私はこのゲームを遊んではいないのですが日本はおろか世界中で最高級の評価を受け、その評価は十年以上たった今も色あせず、こうしてリメイクが作られるに至りました。

 そのサイレントヒル2を含め輸出競争力という観点で見ると、意外と日本のホラーコンテンツ産業は侮れない実力があります。美少女アニメコンテンツとかよりもずっと稼いでいるように思えますし、またソフトパワーという観点でも非常に食い込みがよく、アニメファン以外からも支持を得ている点で範囲が広いように思います。
 などと日本のホラーコンテンツにこの前友人との会話から着目した矢先にこのストーリーオレーラーが出たのでこうして書いていますが、そもそもいつから日本はホラー映画やホラーゲームが世界的コンテンツになるほど成長したのか。案外この点は語られることが少なきがします。

 敢えて私の独断と偏見で語らせてもらうと、日本のホラー産業の始まりは海外作品の影響が端緒であったように感じます。それは何かというとズバリ映画の「羊たちの沈黙」です。それ以前からもホラーコミックが少女漫画を中心にありましたが、この作品からサイコスリラーというジャンルが日本でも広がり、「幽霊なんかよりも本当に怖いのは人間」というオチをつけたがる日本人に新たな成長の種を蒔いたかのように思います。
 こうしてサイコスリラー作品が日本でも模倣的に作られ、またオウム真理教などマインドコントロールを行うカルト団体が世間で認識されるに伴い、漫画や映画だけでなく、ゲームでも述べる系を中心にホラーゲームが徐々に増えていった気がします。具体例を挙げると「クロックタワー」シリーズや、最近はアクション路線に入りましたが「バイオハザード」シリーズなどが代表的で、こうしたホラーゲームが後々海外で稼ぐ下地が90年代中盤からみられるようになりました。

 そこへきて一気に日本のホラーコンテンツが花開く作品として、貞子でおなじみの「リング」が1998年に映画化され、大ヒットを飾ります。今になって思うとこの作品のヒットは日本のホラー産業にとって非常にでかかったように思え、前年に同じく映画化された「パラサイト・イヴ」と合わせてホラー小説→実写ホラー映画というコンテンツセットを確立し、その後も同様の工程フローを経たホラーのヒット作品が次々と生まれていきました。今じゃあんまり存在感ないけど、当時は「角川ホラー文庫」こそが角川書店を代表するコンテンツで影響力も強いものがありました。

 話を戻すと「リング」、その後に続く「呪怨」などのホラー映画作品のヒットは日本国内にホラー愛好家を増やしただけでなく、ハリウッドでも映画が製作されて「ゴジラ」以上に大ヒットを決めるなど、一気に日本製ホラーが海外で売れるようになりました。これ以降は明らかに海外で売ることも視野に入れてホラー作品が作られるようになり、また実際にヒットを連発し続けるになって、日本のホラーコンテンツ産業が一躍スターダムになった気がします。
 私自身は「リング」の小説については確かに文章が読みやすく展開の運びは非常にうまいと感じたものの、オチがやや突飛だし強引な感じしてあまり好きではなく、ヒットの要因はどちらかというとあの貞子のビジュアルを映像化して再現した映画関係者による貢献が大きいと考えています。ただそんな私の評価は別として、日本製ホラーが海外で花開く嚆矢となったのは間違いなくこの作品であり、その点で言えばオリジネーターとしてもっと評価されてもいいとすら感じます。

 話を続けると、その後にPS2が発売されてゲームのグラフィックが強化されると、ホラーゲームでも国内外でヒットする作品が連続します。その代表こそまさに冒頭で挙げた「サイレントヒル2」で、舞台が米国であるためか欧米に受け容れられやすく、こちらもハリウッドで映画化を果たしています。
 また舞台も世界観も完全に和というか日本色の強い作品であるものの、自分もよくやっていた「零」シリーズも海外でヒットを飛ばします。無論、この間も先に挙げた「バイオハザード」シリーズは売れ続け、今日に至るまで派生作品が出続けています。

 ただ大体時期にして00年代中盤、PS3が出たあたりから映画でもゲームでも国内外で高い人気を得る新規のホラー作品が急にでなくなってきたように思います。先述の角川ホラー文庫も存在感をなくし、「この夏絶対に見逃せない」的なホラー作品もなくなって「サマーウォーズ」とか「君の名は」などのアニメ作品の方が夏に強くなってきました。でもって「サイレントヒル」も「零」もシリーズがその後打ち切られるし。
 一応、ホラーゲームとしては今でも日本は結構作られていますが、そのどれもが同人、インディーズゲームで、一般のゲーム会社がプロモーション込みで作る作品は本当に見なくなりました。今やホラーゲームはインディーズが主体で、「青鬼」などをはじめ映像化を含むマルチメディア化される作品もありますが、往年と比べるとその勢いには陰りが見えます。

 なんでホラー作品が前ほど親しまれなくなったのかに関しては、ホラーというよりグロ系作品が増えたからという意見をよく見ますが、理解できないほどではないものの本当にこれなのかという一抹の疑問を私は覚えます。かといってほかにめぼしい理由があるというわけでもなく、単純にコンテンツとして飽きられた、映像が鮮明じゃなかった昔の方が恐怖感を煽れた、粗製乱造による質の低い作品が溢れたなどの複合的結果なのかもしれません。
 そう思うと90年代後半から00年代中盤までの10年足らずの間が日本のホラーコンテンツの短い黄金期だったと言えるのかもしれません。なかなか特殊な時代を過ごしたものだと、今更ながら感じ入ります。

 ちなみにトイレでは幽霊を見るよりも水が流れないことに恐怖を感じる私が心底怖いと感じたホラー作品は、ちっちゃかったせいもありますがスーパーファミコンの「弟切草」と「学校であった怖い話」、セガサターンの「ディープフィアー」、漫画だと「殺し屋イチ」とかが挙がってきます。押切蓮介氏の「ミスミソウ」は全く怖くなく、「サユリ」は1巻だけならやや怖いと感じました。伊藤潤二氏の「富江」は不気味さを感じましたが恐怖はそこまでありませんでした。
 ああそうだ、近年は海外で売れるホラー作品が減ったとは言いましたが、伊藤潤二氏は現在絶好調というか海外でも売れまくっています。まぁホラー漫画のくくりでいれば「彼岸島」も入るけど、あれは怖いと思うシーンよりも圧倒的に「そうはならんやろ」と爆笑するシーンの方が多すぎる。

2024年8月18日日曜日

日本は次どの産業を育成すべきなのか

 候補者が乱立する気配を見せている自民党総裁選ですが、敢えて各候補者に何か一つ質問できるとしたら、日本は今後、どの産業を国家として育成していくつもりなのかを聞きたいです。というのも、国際競争力という観点では日本が持つ中でコンビニ業界こそが最強だと信じて止みませんが、外貨を稼ぐ輸出産業という観点ではもはや自動車と化学品など素材産業しかなく、自動車が倒れたら一気に傾きかねない状況になっていると思うからです。

 かつての日本であれば繊維、家電、鉄鋼、半導体、ゲームなど数多くの強力な輸出産業が存在しましたが現在においてはもはや見る影もなく、ほぼ自動車一本足打法のような状態になってきています。もちろんまだ自動車が力を持っているだけマシなのですが、EVを含む転覆的技術が自動車業界では現れてきており、過去の積み重ねが文字通りひっくりかえされる状況も今後発生する可能性もあるだけに、自動車偏重で行くのはかなり危険だと考えています。
 であれば国家としてどの産業を今後育成し、日本の主力とするのかを政治レベルで決めていかなければなりません。その点について書く政治家に聞いてみたいのですが、ぶっちゃけどれを推していくかは私の中でもいまだ確としたものはありません。

 アプローチ方法は主に二つあると思え、一つは全く未知の産業に挑むという方法です。現在であれば、いまだ技術や規格が確立されていない3DプリンタやAIといった類で、ある程度知られていればいるほど競争も激しくなるだけに、誰も手を付けていない分野ほど成功確率も高いものの、そのまま市場が成立せず失敗に終わる可能性もあります。
 もう一つは、既存技術の水平再利用みたいなもので、いくつか例を出すとPHSの電波を使った全く新たな通信網とか、すでに確立された技術に対して新たな応用分野を作るというものです。自分の中ではドローン対策で効果を発揮しているゲパルトがいの一番に来るけど。

 どちらにしろ日本が世界で戦える、なるべくなら製品まで日本国内で作って輸出して外貨を稼げるような産業を、急ぎ日本は育成する必要があるでしょう。こうした新規産業に対する意識はまだ20年前、それこそ森元総理ですら「IT革命」などというなど当時の政治家は意識していましたが、近年においては口にする者すらいなくなり、密かに憂えています。最近唯一こうした危機感を持っていると感じたのは神田元財務官で、そういう点からも彼が今後日本の経済政策で主要な地位につくのをこれまた密かに期待しています。

2024年8月17日土曜日

朝からエイリアン(/・ω・)/<シャー

 最近友人が「朝一で映画を見るのが楽しい。明日はコナン見に行くんだ(´∀`*)ウフフ」などと言うので、「野郎、負けてられっか……」などと無駄に対抗意識を持ち、何かいい映画がないかと最寄りの映画館(チャリで10分)のプログラムを見たところ、「エイリアン・ロムルス」が昨日8/16から公開されていました。
 前にも書いたように、中国では同性愛とか幽霊が出てくる映画は非科学的だとして検閲で排除する傾向にあるのですが、何故だか宇宙人に対してはやたら寛容で、検閲とかでも「宇宙人ならOK(´・ω・)」として通すことが多いそうです。なのでこの「エイリアン・ロムルス」も中国では問題なく検閲をパスしたのではないかと密かに考えています。

 さてこの映画、日本ではまだ公開されていないとのことですが端的に言って面白かったです。内容はエイリアン1とエイリアン2の間の時代設定で、エイリアン1でエイリアンが出てきた星が植民星となってそこで働いている人が主人公らパーティとなります。エイリアンに襲われる舞台は放棄された巨大宇宙船で、舞台といい逃げ方といい、エイリアン1に非常に近いものとなっていました。
 またエイリアンにお馴染みの要素ももれなく出てきます。フェイスハガーはもちろんのこと、アンドロイドや揺れる椅子など、往年の回顧ファンからしたらどれも懐かしさを感じるとともに「わかっとるやんけ」と納得させられるオマージュ要素が盛りだくさんでした。

 ストーリーもエイリアン1のように閉じ込められた宇宙船の中でいかにエイリアンの襲撃から逃げつつ脱出するとかというもので、最近のCGを使ってエイリアンを画面狭しと大量に出すわけでもなく、きちんと場面を選んで登場し、むやみにセールのようにばらまかないことできちんと恐怖感を出す見せ方は見事だと感じました。
 それ以上に、単純に俳優の演技が非常に良かったです。主演のケイリー・スピーニーは往年のシガニー・ウィーバーに負けず劣らずの体当たりぶりを見せ、脇を固める俳優らもいかにもティーンエージャーっぽい探索者を演じていました。ただこうした俳優陣の中で群を抜いてよかったのは、アンドロイド役を演じていたデヴィッド・ジョンソンでした。

 脚本や演出の力と見ることもできますが、最初はとっぽいものの慈愛に満ちた視線を見せながらも、途中でバージョンアップするや機敏で冷静な判断を下す冷徹なアンドロイドへと変貌し、その作中における演じ分けの見事さが他の俳優を一線を画すレベルで非常に高いものありました。もしターミネーターで新作を作るなら、彼に敵役のターミネーター役を演じさせるのがいいのではないかと個人的に思います。

 唯一ケチをつけると、中国版のタイトルは「異形:奪命艦」となっていることです。今回の舞台となる宇宙船の区画名が「ロムルス」なのですが、「奪命艦」だと全くその名残がありません。この「ロムルス」という単語は暗に今回のエイリアンを指し示すワードとなるだけに、もう少し中国語版タイトルはどうにかできなかったものかと思いやられます。

2024年8月15日木曜日

エンドオブ岸田デイズ

 すでに各所で報じられている通り、岸田首相は次の自民党総裁選に出馬しないことを表明しました。現在の人気が来月末であるにもかかわらず、八月に入っても出馬を一切表明してこなかったことからもう辞めるつもりではないかと思っていただけに、あまり驚きはありません。しかし私個人としては就任直後は不安だったものの、その後は岸田首相の手腕を高く評価していただけに、今回の発表は素直に残念に思います。
 今思うと、優生保護法の国家責任認定、謝罪について前のめりな対応をしていた時点で腹をくくっていたようにも感じます。先週も麻生が「岸田はよくやってるよ」と言ってましたが、多分これも何らかの意を受けての発言だったのでしょう。

 前述の通り、私としては岸田政権を高く評価しており、小泉政権以降であれば最高の内閣であったようにも思っています。ただ世間の岸田総理に対する評価が低いというのは、理解できないわけではなく、在任中は統一教会問題や派閥のパーティ券代プール、略してパーケンプールの裏金問題などが発覚し、与党総裁という立場を考慮するとその批判の矛先になるのも無理からぬ立場でありました。
 とはいえ先の二つの問題は岸田首相というより主に安倍派の自民党議員の問題で、岸田派も若干プールしてましたがどちらかと言えば巻き込まれにあったようなもんでした。むしろこの二つの問題に対し自民党内から反発が強かったにもかかわらず、きちんと処分や対応に動いただけでも大したものだと思います。処分に物足りなさを感じる人が多かったようですが、きつい処分ができたなかったのはそうした人たちが岸田首相を支持せず、岸田首相も党内に強い行動が取れなかったためでしょう。

 特に後者の問題は自民党の派閥解消においては非常に大きな動きを見せました。ネットですでに言及している人もいましたが、自民党の派閥政治打破を目指した小泉元首相以上に岸田首相は党内の各派閥の影響力を弱めています。
 仮に岸田首相でなければ、統一教会を含めここまで対応を取ることはなかったでしょう。それこそ事の張本人にもあたる安倍元首相であれば、検事総長の定年を延長してでもこれらの問題をもみ消そうとしてと断言でき、私自身としては前述の通り岸田首相は良く逃げずにこの問題の処理を手掛けたものだと感じます。

 また外交に関してはサミットやウクライナ支援を含め申し分なく、経済に関しても円安誘導によるデフレ脱却を見事に果たしており、最後はプライマリーバランスの回復だけ残ってましたがその道筋をはっきりつけており十分評価に値します。中には先週の株価の乱高下に際して岸田首相を批判する人間も見られましたが、あれで総理や日銀を批判する人の方が私には理解できませんでした。実際、今週に入ってからはその手の責任追及論も一切なくなったし。

 唯一、岸田首相自身が招いて批判されもやむなしな失策としては、出来の悪い息子を秘書官に据えたこと程度でしょう。あれに関しては親心もわかりますが秘書官にするまでの教育が悪かったとしか言いようがなく、据える前にもしっかり見極めとくべきだったでしょう。

 今後に話を移すと、次は誰が総理をやるのかになります。明日から実質的に総裁選がスタートすることとなりますが、候補としては石破氏、河野氏、小泉氏の従来からの候補に加え、要職ながらいまいちキャラの出ない茂木氏も入ってくるかと思います。最低限の基準として、先のパーケンプール問題にかかわった安倍派議員は出馬してはならない気がしますが、今の安倍派にはタレントもいないしどのみち誰も出れないだろうとみています。
 現状では誰が勝ち上がるのか全く読めないし今後の展開によっていくらでも情勢はひっくり替わるので予想するだけ無駄でしょうが、敢えて次の総理に期待したいというか一番私が優先してみるのはウクライナに対する支援姿勢です。国内からどれだけ批判があるとしても、ウクライナを支援し続け、資金拠出も辞さない人に来てもらいたいです。

 もっとも外交に関しては米国との関係がより重要で、その米国が次の大統領にどっちがなるかがかなり読めないだけに、立候補者たちもあまり外交については姿勢を表明しなくなると思います。内政に関しては金融政策とかは下手に弄らずこのまま日銀の植田総裁に任せてればいいので、どの産業を育成するのかを口にする人を個人的には評価したいです。

2024年8月13日火曜日

みんなが注目するダイエー松戸駅西口店の行く末

ダイエー松戸駅西口店の跡地はどうするべきか?

 上の記事は閉店が決まっているダイエー松戸駅西口店について5月に書いた記事ですが、なんかやたらとアクセス多くてビビってます(;´・ω・) きっとみんなそれだけこの店に思い入れがあるのと、この先どうなるのかについて思いを馳せているのではないかと思います。

 書くいう私自身もこの店がかつてDマートと呼ばれていた時代はしょっちゅう訪れており、映画を見たりプラモを買いにきたりと松戸に来たら確実にこの店に寄っていました。また細かい思い出話をすると、小4の頃に何故か南流山から松戸まで一人マラソン大会をやろうと企図し、冬休みに実際やった際、Dマートを訪れ地下のフードコートで無料の水飲んで帰ったのも覚えています。っていうかあの地下フードコート懐かしい。

 そんなこの店に直近で訪れたのは2022年の10月で、上海のロックダウンを経て約2年半ぶりに日本を訪れ、馴染みの床屋で髪切ってもらおうと平日午前に行ったら11時からのオープンだったため、自転車求められるし店が開くまで時間潰しとばかりにダイエーを訪れました。
 その際、電池が切れて止まっていた腕時計もあったので2回の修理屋さんにもっていって直してもらい、これまた時計が直るまでの間はお店の中をぐるぐる回りつつ、ふと思い出したので友人に電話をかけ、「もしもし、俺今松戸にいるんだけど」とオレオレ詐欺みたいな切り口で無駄に松戸にいることをアピールしてました。ちなみに向こうはこっちの電話番号も登録しておらず、急に松戸に現れたことにビビってました。

 個人的に上の体験がダイエーとの最後の思い出になるのかと思うとなんか若干物足りないというか妙なことをしたなという気がして満々であるものの、今後リニューアルされるのであればキテミテマツド同様にまた訪れることもあるでしょう。そのキテミテマツドの方は出だしこそ丸々空いているフロアもあったりと不安な漕ぎ出しでしたが、出入りこそ激しいもののテナントは結構埋まり、また年数も重ねて定着していったことから、ほかの都市の大規模店舗跡のリニューアルとしてはまだ成功した部類じゃないかと思います。関東以外の地方とか、結構悲惨なリニューアルとかも珍しくないし。

 ただこのキテミテマツドの存在は、ダイエーのリニューアルにとっては一つの障害になる可能性もあります。まっつど駅周辺ではこのほかにも東口にイトーヨーカドーもあり、狭いエリアに中大規模商店が密集しており、ダイエーもこれが閉店の一つの要因になったと思う節があります。私自身としては前回の記事にも書いたように駐車場などになって、松戸駅前の道路混雑緩和に貢献してほしいとか思っていますが、もし商店で行くならば近くのキテミテマツドとどう差別化するのかが最大の懸念事項になると思います。

 いっそのこと、商店というよりかはアミューズメント施設みたいな感じにした方がいいかもしれません。もしくはすでに松戸で絶えて久しい映画館にして、映画館に付帯する施設として飲食店を中心にするのがベターかもしれません。松戸にある有力なラーメン屋とかにも出店してもらいミニラーメンアリーナみたいにしたら意外と人来るかもしれません。まぁ自分としてはカレーの方が好きだけど。

2024年8月12日月曜日

四苦八苦と安楽死による救済是非

 先日「ドボポプププププ」という記事で描いた「女神転生外伝 新約ラストバイブル2」というゲームを昨夜クリアしました。Steamのレビューを見るとUIが古いとか勝手が悪い、エンカウント率が高いなどという批判をよく見ますが、ファミコン時代のゲームを体験している私からすればあんなの障害に入らず、実際気になることありませんでした。むしろエンカウント率高いから、普通に戦ってればレベリングの必要なくていい感じだった気すらします。

 さてこのゲームですが女神転生シリーズの亜種として世界観は西洋ファンタジーで、出てくるキャラクターも歌舞伎っぽいのもいますが基本西洋名で、武器もドスを除けばファンタジーチックです。なのにシナリオのテーマは仏教で、ラスボスも「衆生無辺誓願殺」などと漢字いっぱいな仏教用語で攻撃してきます。
 っていうかゲームバランスはかなりおおざっぱで、終盤のボスはこっちが先に必殺技を食らわせるか、向こうが先にこちらをワンパンかましてくるかの二択でした。この辺はちょっと難ありで批判されても仕方ない気がします。

 話を戻すと前述の通りシナリオのテーマは仏教が大本となっており、ラスボス前の前座となるボスキャラも「四苦」と「八苦」というキャラでした。この四苦八苦ですが自分も今回初めて知りましたが単なる四字熟語ではなく実は仏教用語でその意味は臨済宗円覚寺の解説によると以下の通りらしいです。

①〔仏〕生・老・病・死の四苦に、愛別離苦・怨憎会苦・求不得苦・五陰盛苦を合わせたもの。人生の苦の総称

 この説明の通り、ゲームのラストバイブル2では上記の苦しみの種類がゲームイベントを通してプレイヤーに示されます。特に激烈なのは「病」で、ゲーム中の世界は不治の病が流行しており、感染して末期症状の患者には植物状態のようになる薬によって延々と寝かしつけたりしています。
 また薬が手に入らない人の中にはあまりの苦しみから自殺を選ぶ人もおり、あるイベントではそのような患者に敵キャラが安楽死を施すシーンすらあります。もちろん主人公たちは勝手なことはやめろとこの敵キャラを倒して安楽死を食い止めるのですが、その後助け出された患者は病の苦しみから結局自殺することとなります。このほか無理やり恋人を死に追いやられたパートナーの男性も夜を悲観して自殺するというイベントもあり、全編において陰鬱なストーリーが展開されます。

 多少ネタバレで話すと、このゲームのラスボスはそのような世の中の不条理や苦しみ続ける人たちを見て、「生きているからこそ苦しみがあり、悲しみが繰り返されるのだから、いっそ人類全員安楽死させる方が苦しみから解放させることとなる」として、人類絶滅を企図することとなります。これに対してやはり主人公らはそんなことさせないと抵抗するのですが、「お前らがやろうとすることは世の中で、人の苦しみを増やすだけだ」と向こうにも言われたりします。まぁこの辺はお約束か。

 ただこの辺の「生きているからこそ苦しみも生まれる」というのは、確かに一種の正しい見方だと思います。上記の四苦八苦の概念もまさにその点をついており、円覚寺の解説によると生きることそのものが苦であり、不完全であり、一時の幸福感は苦の裏返しでもあるという風に説明されています。これ自体に私も異論はなく、安楽死というのも一つの救済手段であるという風に感じます。

 まぁゲームでは最終的に人類絶滅を図るラスボスを倒して計画を食い止めるのですが、生き残った仲間の一人は実際にこれでよかったのかと戦後に自問しつつ、かつて生きろと言ってくれた者らの思いに応えるため今後も生き続け、世の中の多くの人の苦しみを少しでも減らしていくため努力すると言って幕を閉じます。落としどころとしては、まぁこんなもんでしょう。

 以上の流れを見て自分の中でポンと浮かんできたのが、地味に「進撃の巨人」でした。この作品の中では特異な能力を持つために世界中から迫害される民族について、迫害から守りつつ今いる人たちを救う手段として、今後この民族から子供が生まれないようにして民族全体でゆっくり安楽死する案が提唱されます。ちょっと観点は違うかもしれませんが、生まれながらに迫害という苦を追う民族に対し、民族そのものを消滅させることでその苦から解放するという見方では、上記のラストバイブル2のラスボスとも共通する箇所があると思います。

 ただ進撃の巨人でも、「子供は未来そのものであり、そんな手段は認められない」として主人公勢力は上記案に抵抗することとなります。もっともその中の一人は、「迫害する他民族を絶滅させればいいじゃん(・∀・)」って結論に至って実際に実行するわけなのですが。

 こうした創作の中だけではなく仏教においても、「生きていくことは苦に満ちてはいるが、自殺や安楽死によって解放されるわけではない」という風に説かれているように思えます。あくまで自分の理解ですが、苦も楽もともに受け入れることで初めて生を理解する一歩が踏めるという風に解釈しており、苦は忌避すべきものではないと言っているように感じます。

 この辺、考えれば考えるほど追い付かなくなっていく面もありますが、かといって考えないとそれはそれでもったいない概念ではないかとも見ています。最初に私は、安楽死は苦の解放手段の一つと申しましたが、今回こうしてラストバイブル2のエンディングを見て進撃の巨人とか見た後だと、果たしてそうかなという疑問が少しもたげました。元々安楽死については肯定派なのですが、この辺に関してはもっと仏教関係者とも話してみたくなりました。

 どちらにしろ、現代社会は幸福について論じたり考えることを求めることが多いですが、苦についてももっと考えるべきかもしれません。大前提としては苦を否定してはならない、一方で安楽死のように苦を求めてもならないといったところじゃないかと思いますが、これらを踏まえて「苦とは何か」、「自分にとっての苦とはなんなのか」といった点や、避けるべき苦、受け入れるべき苦とは何なのかとかももっと考えてみた方がいいのかもしれません。

2024年8月11日日曜日

ロシアの戦略転換の背景

 3年目も一向に止むことなく続いているウクライナ戦争ですが、先日ウクライナ側が開戦前からロシア領だった地域に突如進軍して大きな話題となっています。これまで戦火はロシアが侵略してきたウクライナ領土とクリミア半島に限られており、これはロシア領への攻撃によってエスカレートすることを恐れた米国などが、武器支援の代わりにロシア領への攻撃は控えるよう指示していたためと言われています。
 しかし一向に停戦の兆しが見えないことから、昨年秋ごろよりはロシア領へのミサイル攻撃に関しては米英も承認したとされ、実際にウクライナも兵站を中心にロシア領へのミサイルやドローン攻撃は活発化させていきました。

 それがここにきてミサイルではなく兵隊によるロシア領への進軍が始まりました。端的に言えばタイミング的にも妙手だったと思え、これまで「ミサイル攻撃はあっても進軍はない」と油断し切っていたロシア軍の裏を大きくかき、戦闘が続けられている既存地域でウクライナにかかる圧力もこれで確実に薄まると言い切れます。
 無論、戦線が拡大することとなるためウクライナ側もその戦線を維持するため兵員の確保などがこれまで以上に重くなることは間違いないでしょうが、これまで攻められっぱなしだったのがある程度イニシアチブを握ることとなり、また殴られる覚悟のなかったロシア国民の厭戦気分を高めた上、今後の停戦交渉において領土交換という手段を手に入れられることからも、奪える領土は今のうちに奪っておくことがやはり最善手であるように思えます。


  そんなウクライナ戦争についてJBpressでおなじみの西村氏の評論ですが、この評論は非常にストンと納得のいくもので、ここ数ヶ月で読んだもの中では白眉でした。

 概要を私の方で簡単にまとめると、開戦直後にキーウ攻略に失敗したロシア軍は戦線を縮小し、戦力を突破可能な地域に絞って攻めるという方針に切り替えました。これ以降、ロシアは負けはしないものの勝ちもしない状態が続きましたが、バフムトでプリコジン率いるワグネルが損害を気にしない大量投入作戦で戦果を挙げると、これを戦訓とばかりにロシア軍は他の戦線でも効率を無視した大量投入作戦を導入したばかりか、一度は縮めた戦線を再び拡大させ兵員の犠牲が急拡大するようになったとの分析です。

 実際にここ数ヶ月のロシア軍の損害は、戦術の拙かった開戦当初よりもひどいと言われています。それでいて目立った戦果も挙げられず、ウクライナ側も防戦に苦しいものの、仮に限界があるとしたらロシアは自らその限界に近づくだけの始末となっています。
 そんな風にロシア軍を犠牲に駆り立てたのは西村氏によると今は亡きプリコジンですが、この分析を踏まえて生前のプリコジンの発言を振り返ると、彼自身はバフムト占領を機に停戦を考えていたのかもしれないと思いました。

 というのも誰がどう考えたってああした無秩序な突撃戦術は短期的な効果はあるものの長くは続かず、戦術の通りどこかで限界を迎えます。そうしたことをプリコジン自身も理解していたように思え、バフムト占領後は度々「ウクライナ軍は大した連中だ」などと自嘲めいた言葉も口にしていました。
 その後、彼は知っての通りにロシア国防部に反乱を起こしましたが、恐らくそれはもうあんな戦術は今後も使えるわけないし、これ以上は戦っても得るものがなく、停戦しなければかえってロシアがやられることになるという風に考えたのではないかと思う節があります。というのもプリコジンの乱のときに、「このままではロシアは滅びる」という言葉を何度も口にしており、それはロシアの戦術よりも、戦争継続能力について向けられていたように今となっては思うからです。

 実際に、あの北朝鮮に頭を下げるほど今のロシアの地位は低下しています。以前の記事にも書きましたが、ロシアは仮に今停戦したら戦争中以上の苦境に立たされる可能性が高く、これは停戦が遅れれれば遅れるほどより顕著となるきらいすらあります。普通に考えたって、現代において3年以上も1ヶ国で戦争を継続すること自体が経済的にあり得ず、このツケはロシア自身が払うこととなるでしょう。
 まぁウクライナに関しても同様で、だからこそ戦後の復興支援が本当に大事だと思うし、それがロシアに再戦をあきらめさせる上でも重要なってくるのですが。

 以上を踏まえて改めて西村氏の記事見出しを見ると、まさに今のロシアの現状はプリコジンの亡霊に悩まされている状態のように見えます。仮にあの時、もしかしたらプリコジンが考えていたかもしれないように適当なところで停戦しておけば、ロシアは戦後の破滅的状況をいくらか緩和できたかもしれません。
 それが今回のウクライナによるロシア領への進軍によって、戦略的にも外交的にも内政的にも、ロシアは以前に比べかなり弱い立場に落とされたという気がします。こういうのを見ていると、やはり民主主義でない国は一人の独裁者によって、払う必要のない犠牲を払って落ちていくものだと思えてきます。

2024年8月10日土曜日

中国の夏、ダニのいない夏

 北京の方は最高気温32度とかですが、上海はこの1週間は毎日39度で、多分実際には40度も行っている気がします。数年前と比べて明らかに気温が上がっており、先日日本出張から帰ってきた同僚も上海の方が暑いと申していました。
 今日自分はやや距離の離れたニトリとユニクロまで買い物に行くためそこそこ自転車に乗りましたが、熱中症対策に帽子を被ってはいたものの、現在やや頭痛を起こしています。マジで宇宙空間並みに野外活動が制限される状況で、さすがにこれほどの暑さはいい加減にしてほしいです。

 ただそんな中国の夏ですが、かつてと比べて劇的に改善している点があります。それは何かというと寝るときのダニ被害で、このブログでも散々書いたしJBpressでもわざわざ記事化するほど悩まされた問題でしたが、2年前にこの問題を抜本的に解決することができました。その解決策は何かというと、さっき出てきたニトリで買ったダニ対策ベッドマットです。

 ニトリの商品にはこれまでいくらか当たりはずれがありましたが、ことダニ対策に関しては大当たりで、過去の因縁を水に流してもいいくらいにとりにはマジで感謝しています。言うまでもなく中国はベッド文化なためベッド本隊とかにダニがいると天日干しにすることもできずダニと共生する羽目になり、夏場なんかはほぼ毎夜噛まれては上手く寝れない日が続いていました。
 しかも中国のダニは日本のダニと比べて明らかに強く、ダニ駆除用の薬品などの対策グッズをあらん限り試したものの効果が薄く、唯一効果があったのは地味にファブリーズでした。ほかのダニ除けスプレーかは逆に効果ありませんでした。

 そんな毎年のダニに苦しめられていた2年前の春、かねてよりニトリの店頭でダニに強いベッドマットが打っていたのを見ていたことから上海ロックダウン明けに注文して使ってみたところ、特にダニ対策グッズとか前述のファブリーズなども使ってなかったにもかかわらず、その年はほぼ全くダニに噛まれることがありませんでした。この傾向は買い替えをしなかった去年、今年も同様で、夜暑くてうなされはするけどダニによって眠れないということは一切なく、安眠を得られ続けています。
 逆を言えばダニ対策のベッドマットでこうして足とかをかまれることがなくなったということは、やはりこれまでの被害は他の変な虫とか皮膚の病気とかじゃなくダニが原因だったのでしょう。日本でもよくダニに悩まされたけど中国の比ではなく、アースマットとかも中国ではほとんど効きませんでした。

 こうした経験を踏まえ、ダニに悩まされている人にはマジでニトリのダニ対策ベッドマットがお勧めです。敷布団の人に対策は悩むところですが、寝具の素材一つで劇的に変わるので本当におすすめです。

2024年8月9日金曜日

至高のマウスはロジクールのM220/M221

 アニメの「しかのこのこのここしたんたん」見ていると、世話焼きな元ヤンって物凄いツッコミキャラの適正あるんだなという気がします。って過去の作品、ツッコミ役がそのこしたんってキャラしかいないため、放映中にこしたんが「ってか鹿せんべいってサックサクじゃん!?」などと延々とツッコミ続けているため、こしたんこと声優の藤田咲氏の独演会みたいになっている気がします。単位時間当たりのツッコミ回数では、「ボーボボ」のビュティに匹敵するのでは?

 話は本題ですが先々月から仕事の忙しさからストレスがたまってたのか、無性に買い物して散在したいという日々が続いていました。そこでECサイトのタオパオをずっと漁っていて、何故だかマウスを買いまくっていました。


 最初、周りが使い始めていたので前から気になっていた上のロジクールの「LIFT」のような縦型マウスを、「rapoo」というブランドので購入しました。何でrapooにしたのかというと、単純に安かったからです。
 で早速使ってみたわけですが、使ってみて初めて「あ、俺には合わないんだな」というのがわかりました。というのも私のマウスの使い方がやや特殊になってきたというか、実は手首を全く動かさないスタイルだったからです。

 具体的にどういうスタイルなのかというと、マウスを持つ時は肩から手首にかけて腕を一切動かすことなく、マウスをつまむかのように持っている指だけしか動かしません。その分、カーソルの移動速度もかなり速く設定しており、大学時代の友人なんか「なんだこのスピード、ついてこれない!?」などとガンダムっぽいセリフを口にしてました。
 このスタイルだと手首を一切動かさないので腕には一切負担がかからず、実際マウスを使ってて腕が痛くなることは自分には皆無です。多分、トラックボールマウスを使っている人に近い姿勢だと思え、ある意味一つの理想形である気がします。

 そんな私のスタイルに対し前述の縦型マウスですが、この縦型マウスは手の平が真横に向くように握る形となっており、その分だけ手首の負担が下がると喧伝されてはいるのですが、私の場合は通常のマウスなら手首を動かさないのに対し、この縦型マウスだと持ち手の性格上、手首を動かさなくてはならなくなり、普段手首を一切動かさないため逆に腕が疲れる羽目になりました。
 また構造的に斜めを向いたクリックキーも若干押し辛く、特に自分はウェブサイトを見るときにニュースリンクなどをホイールボタンを押すことでまとめでタブに表示させ、記事を読んではタブを消して次のタブを見るというスタイルをしています。恐らくほかの人に比べホイールブタンを押す回数が極端に多く、マウス壊す時も大体ホイールボタンから壊れるのですが、この縦型マウスだとホイールがとにかく押し辛く、またいかにもすぐ壊れそうな雰囲気も感じ取ったため、結局すぐ使うことをやめてしまいました。


 なので仕切り直しとばかりに買ったのが、こちらのロジクールM331というマウスでした。こちら握りやすく左側面が内側にえぐれていて実際悪くなかったのですが、このえぐれた部分に溝が掘ってあり、ここに使ってるうちに垢がたまっていくのが若干汚らしく思いました。また先ほどの指でマウスを掴むマイスタイル上、左右対称の方がやはり指でつかみやすいため、M331もこの形ならではの良さもあるものの、もう一押し欲しいと思ってまた買いなおすこととしました。


 そんなわけで最終的に行き着いたというか、再び戻ってきたのがこちらの同じロジクールのM220(M221は包装が違うだけ)でした。というのもこのM220、以前にも使っていたからです。
 なおこのM220はクリック音のしないバージョンで、する方はM186でこちらも以前使っています。前は音する方がいいと思っていたけど、平常時ならまだしもイライラしているときはやはり気になると思って今はサイレントマウスばかり使っています。

 話を戻すとこのM220、非常にベーシックなマウスなのですが見ての通りさ有線対象で、下部の方が少し内側に入っていて握りやすい形となっています。ただそれ以上に特筆すべき点として、重量が異常に軽いという点です。ブラウザの「進む」、「戻る」ボタンもなく、完全に右と左のクリックとホイールだけの機能に絞っているためか、とにもかくにも軽くで指だけでマウスを動かす自分にとっては最高のパートナーだったりします。以前もかなり長く使ってホイールが壊れたため別のマウスを使ってたりしましたが、ほかのマウスを使えば使うほど逆にこのM220がどれだけ優れているのかを認識するばかりだったため、またこのマウスに戻ってきてしまいました。後悔はありません。


 ちなみに今まで使ったマウスブランドで言えば、まずバッファローは超クソというか欠陥品で、ちょっと放置するたびにスリープに入り、設定した感度がリセットされてカーソルの動きが変わるという史上最低のマウスでした。マジでここだけはお勧めしません。

 次にエレコムは可もなく不可もなくですが、値段の割にはそこまで高性能と思えず、だったらロジクールの同じ価格帯の方が上だという印象があります。デザインもそんな良くないし。

 マイクロソフトは地味にいいマウスが多く、耐久性もやたらいいのですがバリエーションがやや少なく、無線マウスも大体がブルートゥース対応していて重量もやや重いものが多い気がします。優先マウスとかなら割といいかもしれませんが。

 サンワサプライはいくつかデザインがいいのがありますが、そういうのに限ってびっくりするくらい塗装が剥げやすく、使ってるうちに左クリック部のみが白くなるイメージです。デザインがビビッと来るなら、値段も安いので選んでもいいかなとは思いますが。

 このほか最近日本でも浸透してきたUREENのマウスは、ごく普通のマウス過ぎて逆に面白みなかったです。また肝心要のホイール部がやや弱く、使ってるうちにすぐ反応が弱くなったのですぐに使うのやめてしまいました。マジでホイールボタンの耐久性はどこも重視してほしい。

 この点でロジクールのマウスはやはり耐久性は群を抜いており、またサンワサプライみたくハゲハゲになることが全くないです。ほかの人もロジクールばかりなのでなるべく被りたくはないのですが、耐久性と上述の軽さを追求するなら結局ここ一択になってしまいます。

 さてそんなこんだで、無駄に買い込んだマウスをどう処分するかが目下の悩みです。定期的に会社の同僚に配ってたりしますが、バスケットに入れて「早い者勝ち!」とか書いて置いておこうかな。

2024年8月7日水曜日

このところの株価の乱高下について

 友人に、中国人のガンダム00のファンにもっていくガンプラ土産は何がいいかと聞かれ、何食わぬ顔で「アッシマーしかないですね(´・ω・)」と言いそうになりました。まぁ正直にダブルオーライザーを推薦しましたが、何気に00は一度も見たことがなく、今度映画版でも見てみようかな。

 話は本題ですがここで描くまでもなく日本の株価が先週末から乱高下を繰り返しています。現在特に株を保有していないのでまだ笑ってみていられますが、もし持ってたらリアルタイムで株価を追うくらい不安に駆られてたことでしょう。個人的には歴史的な値動きをリアルタイムで見られたこともあり得をしたなと思っていますが、この件について友人とかにもコメントを求められましたが、現在進行形なため応えづらいというのが本音です。

 そもそも今回の株価の激変は日銀の利上げ発表を受けたものと言われていますが、これも一つの要因でしょうが米国の経済指標の予想未達、また中東での新たな地政学的衝突懸念という要素が一度に重なってしまったものとみています。それ以上に、この半年間での日本の株価の劇的上昇ぶりに潜在的に利益確定を狙っていた層が膨れ上がっており、それが下落し始めた瞬間に一気に売り注文を出したことで拍車をかけたのかもしれません。
 それらを踏まえて言うと何か一つのミスとかそういうのではなく、タイミングが色々重なっただけの結果であり、少なくとも日本の経済がだめになったとかそういう風には捉えるべきじゃないかということだけは断言できます。まぁそもそも、日本にほとんど産業はなくなっているんですが。

 それらを踏まえて一部メディアに対する批判を述べると、週刊誌やタブロイド紙を中心に今回の乱高下を受け日銀や岸田総理を批判する声が見られますが、若干これは的外れである気がします。確かに日銀の利上げ方針発表が一つの契機になったでしょうが、前述の通りこれだけが要因ではなく、またそもそもこれまでのゼロ金利政策自体が異常であり、ここから脱却を図らなければならないことを考えると、あのタイミングでの利上げ発表自体は決しておかしなタイミングではなかった気がします。
 そもそも0.10%から0.25%への引き上げ自体が絶対値的に小さく、実体経済に与える影響も非常に限定的なだけに、これで大騒ぎするのもどうかと思います。さすがに、いきなり1%に引き上げるとかだったら批判が出るのもわかるけど。

 それどころか日銀の金利引き上げ発表以前は、円安の進行による生活費の高騰がやたら問題視されており、「円安を放置する岸田と植田は無能だ」、「輸出する大企業ばかり贔屓にしやがって」といった批判でも溢れていました。それが今回円安を誘導したらこっちはこっちで「株価を下げやがって」、「景気に水を差す」などと批判するしで、どっちに転んだって批判しかしない、お前は蓮舫かよと日本の報道や反応見ていて感じました。
 かねてから書いていますが、私としては今の岸田総理や植田総裁の経済政策は理に適っているように思え、さすがに意図的に株価の乱高下を狙ってやったならどうかと思いますが、そうでないなら要所要所の発言や行動はしっかりしているように思えます。さすがに今回の乱高下を受けて「金利調整には株価も考慮する」という発言が出ましたが、状況を鎮静化させるうえではこの発言を出すのも仕方ないと思うし、何もしないのと比べれば全然マシで、やはり植田総裁はまとまだと感じました。

 なお米国でも株価が大きく下がるやトランプ元大統領が「ハリスのせいだ」と言ってましたが、この人は悪いことがあると全部バイデン大統領かハリス氏のせいにして、いいことあれば「俺のおかげだ!」と言う、ジャイアニズムの権化みたいな気がしてきました。そのうち大谷選手が活躍しても「ワシが育てた」とか言いそうです。

 ただ残念なことに、前述の通り円高でも円安でも見境なく批判する勢力がいることを考えると、日本もあまりトランプのことを笑えない気がします。にしても「もしトラ」から「もしハリ」という言葉まで生まれてきましたが、自分としても予見性というか何するかまだ予想しやすい意味でハリス氏の方に頑張ってもらいたいと思ってます。

2024年8月4日日曜日

石丸伸二氏に対する印象

 友人に「今、RPGゲームしている」とチャットを打ったところ、「RPG(ロケットランチャー)ゲームというのはあるのだろうか?」という疑問がもたげました。ある意味、バイオハザードはロケットランチャーゲームと呼んでもいい気はしますが。

 話は本題というか連日の激務(RPGゲーム)で右手首がやられているのでちゃっちゃとまとめると、先日の都知事選で大活躍した元安芸高田市長の石丸伸二氏にすちえ、相互リンク相手の潮風大使さんが、

「令和版宮台真司2号、あるいは令和版田中康夫2号の雰囲気がどことなく漂う」

 という風に評されていました。この意見について自分も同感であるものの、もう一人思い浮かぶ人間がいたりします。

 元々、都知事選の最中からその印象は抱いてはいたのですが、限られた報道ベースでしか見ていないのに偉そうに批評するのもどうかなと思ってしばらく様子を見ることにしていました。都知事選後の経過もある程度見たので勿体ぶらずに言うと、彼を見て想起したのはかつて首相も務めた橋本龍太郎です。

 さすがに令和のこの時代に橋本龍太郎と言ってすぐ「ああ、あのポマードね」とすぐいえる人はもはやそんな多くないと思います。時期的にはバブル崩壊してようやくかなり不況期にあると日本が辞任し始めたころの総理大臣で、自民党がいったん下野してから連立ながら初めて政権に復帰した時の総理大臣です。
 ちなみに現上皇が警備の目をくらまして銀座に遊びに行った銀ブラ事件で連れ添った橋本明のいとこでもあります。

 橋本龍太郎がどんな政治家だったかというと、端的に言えば政治家としての知識や頭脳は群を抜くという秀才で、誰一人彼に論戦で勝てなかったとも言われています。そのため多くのほかの政治家から政策について相談を受けていたのですがその際に、「そんなこともわからないんですか?(・∀・)」という一言と冷笑が必ずセットでついてきたそうです。
 要するに、政治知識に関しては格段の存在であったもの人が悪いというか他人に対し常に小馬鹿にした態度をとる人間だったようです。そのため多くの先輩政治家から、「あの性格さえなければ、もっと早くに総理も務めていただろう」という一致した評価を受けていました。逆を言えばそれだけ、政治家としての才能では群を抜いていたともいえるのですが。

 はっきり言ってスケールこそ違うため、ミニ橋龍のような印象を石丸氏には覚えました。私自身はたとえ人望がなくとも才あれば、理解者の横でなら政治家としても十分やっていけるとは思いますが、それはあくまでナンバー2止まりということとなります。実際橋本龍太郎も、総理には就いたものの在任中の評判はあまりよくなく、後の再選に出た際も小泉純一郎氏に負けそこからは日歯連事件もあって転落しており、トップを張る人材かと言えばそうではなかったとみています。
 逆を言えば石丸氏は今後より大きな地位を得たいのであれば、腹の中で何を思おうが勝手ですが、人前と口では相手を小ばかにする態度は控え、馬鹿な発言に対しても粗雑に扱わずしっかりと対話する態度を作らないといけないというのが課題になるでしょう。そもそも民主主義自体、愚かな大衆にもわかるように議論を尽くすというのが前提であるだけに、政治家としての必要義務だと思ってこの弱点をどう克服するかがカギになってくる気がします。

2024年8月3日土曜日

ドボポプププププ


 先日、ふとした興味から上の記事で紹介されている「女神転生外伝 新約ラストバイブル2」というゲームを購入しました。このゲームは元々、ガラケー向けに2008年に配信されていたゲームのリメイクで、2022年にSwitchやSteamでも配信されるようになったそうです。
 なんかストーリがかなり陰鬱ながら秀逸であるのと、昔ながらのメガテンっぽいゲームということを聞いて、元々今ほどペルソナシリーズが隆盛する前はメガテンをやりこんでいたこともあり、割引もされていたので興味もあって購入しました。

 それでさっそくゲームを開始してみると、まず最初に主人公の名前を入力することとなります。せっかくだから常人に発音できない妙な名前にしてやろうとまず濁音から入れるとして「ドボ」と入力したところ、なんか続く音が浮かばず、とりあえずスペース埋めてやり直そうかと思って適当にキー入力して「ドボポプププププ」という、この時点で発音がかなり難しい名前になったところ、てっきり「これでよろしいでしょうか?」と確認が入るかと思いきや、入力し切ったらそのまま確定処理されてしまい、主人公の名前が「ドボポプププププ」になってしまいました。
 この結果、旅で会う人々がみんな流暢に「ドボポプププププ」と呼んでくれるカオスな世界観になってしまいましたが、何度か練習するうちに自分も「ドボポプププププ」を発音できるようになりました。とはいえ、破裂音の「プ」を連続で口にするのはやはり困難ではありますが。

 なおゲーム本体については、評判通りオールドクラシックなRPGゲームで、なかなか楽しんでいます。グラフィックとしてはスーパーファミコン、それも初期レベルで、ガラケー向けに配信されていたことから使用するボタンも主に「決定」と「キャンセル」の2種類しかなく、令和のこの時期にこんなシンプルなゲームを遊べるというのもなかなか乙な感じがします。
 シナリオに関しても評判通りで、疫病が蔓延して常に多くの人々が亡くなる中、世界を統一した王は重税を課して生活は苦しくなる一方、そんな中で神の福音を受けた子が2人現れ世界を救うと言われている世界観になっています。

 この2人の福音の子はそのまま主人公の仲間となるのですが、片方は「死の仮面」と呼ばれ周りから恐れられながら実は超ビビりなヘタレで、何かにつけて「危ないから逃げよう」などと口にします。もう一人は味方からは「聖女」と呼ばれる少女ながら、何か問題があれば大体殴って解決しようとするほど血の気が多く、初期装備も「聖女のドス」という仕込み杖でどちらもキャラが濃いです。
 前述の通り世界観としては疫病が蔓延していて暗いものの、仲間二人は非常に濃いキャラでその掛け合いも面白く、暗さが気にならないくらい明るく旅を続けられます。っていうか男2人に女1人で完全にドラクエ2なパーティー構成であり、レトロな画面といい、ドラクエ2を遊んでた頃を思い出します。

 なおヘタレの方の名前は無駄に「mk-2」として、聖女の方はなんかめんどくさくなってデフォルトの「ルナ」のままで遊んでいます。

2024年8月1日木曜日

リストラ吹き荒れる中国の現状

 日本も記録的猛暑などと報じられていますが上海も暑く、今日は40度に迫るということでレッドアラートが出てました。自分の実感でも昨日からやばく、一昨日までは台風の影響からか風が吹いて夜なんかも寝苦しくありませんでしたが、昨夜辺りからは悪夢にうなされるようになりました。
 まぁ悪夢って言っても、夢の中でも大体仕事してるのですが。

 それで話は本題ですが、中国は不景気だと日本で報じられながらいまいち日本にいる方はその実感が得られていないのではないかと思います。実際に中国で働いている自分の口からすれば、日本の報道には物足りないというか、報じられている以上に中国の景気は悪く、社会の空気感もギスギス感が増しています。
 特に失業者が目に見えて増えていることが拍車をかけており、このところ喫茶店なんか行くと仕事辞めさせられたと思われる男性が時間を潰しているのを本当によく見かけるようになりました。

 その失業者ですが実際例として自分の知人がいる比較的大規模な会社でも例外でない、というより、大規模なリストラを行っているという話を聞きました。なんでも急にメールで「明日人事部に来るように」と伝えられて出向くと、問答無用で貸与していたパソコンなどが没収され、そのまま解雇されているそうです。まるでハリウッド映画のワンシーンですが、まさか中国でもそういう光景が繰り広げられていることにまず驚きます。
 でもって解雇する人間の量が異常に多いせいかパソコン没収ということでIT部門に出向くと、返却街の人間がたくさんいるせいで返却するだけで数時間待ちになるということもざらだそうです。この背景としてIT部門でもリストラが行われており、50%、つまり半分くらい切られているとも聞きます。

 こうした環境からかその会社の社員の間では「次は自分かもσ(゚∀゚ )オレ」とリストラ宣告に戦々恐々とする人が増えているそうですが、このありさまを見るとそう思うのも自然な結果でしょう。

 かつて自分が2010年くらいに中国へ足を踏み入れた際、「拡大しつつある社会というのはこういうことか」というのを強く実感したことをよく覚えています。というのも、大体自分がプレイステーションで遊ぶようになったころから日本の経済社会は不況一直線で縮小を続けるようになり、「今より良くなる」という感覚がずっと持てずにいたのですが、中国に来た際はこれがその感覚なんだろうというものをはっきり感じました。
 そして現在ですが、「これがあの時の親父の感覚か」というのを覚えています。それはまさに上記のプレイステーションで遊び始めたころ、日本国内でリストラの嵐が吹き荒れてうちのビンラディン似の親父の周りでもクビ切られる人が多く、実際に自分が解雇宣告されたわけではないものの仕事に対する不安を覚えていたりしたと当時言ってました。自分も今回、顔見知りの知人が解雇される様を見せつけられ、それが自業自得な結果なら話は別でしたが、やはり自分自身にとっても色々こみ上げるものがあります。

 そう思うと、自分の世代が経験しなかった80年代日本の社会拡大期、90年代日本のリストラ期の空気を、自分は中国で体験することができたともいえます。まぁその代わり、3.11直後の社会感を体験することはなかったのですが。