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2025年5月31日土曜日

米価高騰はJAのせいなのか?

 昨年から日本のトップニュースをひた走り続ける米価高騰ですが、本日より一部小売チェーンにて備蓄米の販売が開始され、朝も早くから大勢の人が並んで購入するなど事態が刻々と動いています。
 一方、最初の入札でJAが購入した備蓄米は入札からしばらく経っても市場に全然流通していないと報じられていましたが、現時点の流通状況はどうなのかについて続報はありません。
 この一連の米価高騰について、JAを批判する声は少なくありません。先の流通しない備蓄米いい、全国の多くの農家を束ねる中心的存在であることもあって、価格高騰を引き起こした主犯だとか、対応に問題があるなどといろいろ言われています。しかしJAの側もいろいろ弁解を行っており、今回の米価高騰は意図したものではなく突発的なもので、また根が深い問題ゆえに対応が難しいなどと主張しています。

 そのため、今回の米価高騰はJAのせいかというトピックで今あちこちで議論が見られます。結論から述べると、私自身はJAの責任はめちゃ重く、実質的にこの高騰はJAのせいだという風に思います。
 初めに述べておくと、私自身農業についてあまり詳しくなく今回のトピックは各種報道を見た上での判断に過ぎません。ただ農業には詳しくなくてもロジックには詳しい自信があり、報道で見受けた指摘やJA自身の発信の論理から上記結論に至っています。

・根拠その1、発言がコロコロ変わっている
 当初、具体的には去年年末に高騰し始めた段階ではJAはまだ、政府要請を受けて米価高騰に対し対策に取り組むなどと主張してきました。しかし高騰がその後も続くと、「農家の手取り問題がある」、「JAだけの責任じゃない」などと責任転嫁をする発言へと変わり、現在に至っては今の高価な状態を「かえって今くらいが適正価格だ」などと主張するに至っています。
 もちろん上記のJAの発信がJAの総意ではなく一部の人間の発言である可能性もありますが、少なくともこれら発言をJAが否定するような報道は見ていません。ただでさえ高騰が激化していてちょっとした発表によって消費者も影響されやすい状況であることを考えると、その迂闊な発信姿勢についてはかねてより疑問を思えていました。

 そもそも上記の適正価格発言に関しては、理解の使用がありません。江戸時代みたく飢饉が起きているわけでもないのに、前年同期比で単価が倍にも高騰している状態を適正価格というのは何をかいわんやです。仮に末端農家の収入を考慮しての発言だとしたら、何故これまでに価格引き上げに努めてこなかったのかを問い詰めたくなります。
 少なくとも1年でこれだけ価格が倍にもなったら米離れも十分起こり得て、それによって全体市場規模が縮小するリスクの方が高いと言わざるを得ず、今の価格が適正価格だというのら最低でも数年かけて今の水準に持ってくるべきで、1年で倍となったこの状況を是とする姿勢はどう考えても理解できません。

・根拠その2、価格安定に対する取組内容を一切口にしていない
 今現在、コメの流通はほぼ自由化しておりJAが必ずしも全量を取り扱っているわけではないものの、それでも絶対数では圧倒的首位にあり、価格に対して政府よりも強いイニシアチブを持つ組織であると言わざるを得ません。もちろんそれでも価格は市場が決めることなのでJAの思うがままではないということは理解できます。
 しかし、そのJAがこれまで米価安定について具体的に行った取り組みというのを私は一度も見たことがありません。見たことと言えば「出荷量はこれまで通り、または少し増やしているなのに流通しない」と言い訳くらいで、だったら何故流通経路というかサプライチェーンを確認しないのかと殴りたくなる言い訳でした。

 少なくともある程度サプライチェーンを把握している立場であることから、コメの流通経路を追うなりしてどこか流通を止めていないか、または価格高騰を促していないかの調査くらいはやれよと思うものの、今のところそうした動きは見られません。そのため高騰の原因についても諸説乱れて無駄にヘイトを高め合っている状態にあります。
 前述の通り日本は今飢饉にあるわけでもないし去年の収穫も劇的に落ちているわけでもありません。訪日外国人客の増加によって消費量がやや増えているという事実はその通りだと思うものの、単価が倍になるほどの消費量増加とは言えないでしょう。燃料費などの高騰を価格上昇の原因に挙げる人もいますが、何も原油価格や人件費が倍になったわけでもなく、やはり以上を踏まえるとすでに転売ヤーも出ているだけに流通が価格高騰の主犯だと考えざるを得ません。

 その流通に対してJAは何をやっているのか。もちろん販売価格を指定することはいけませんが大量の米をスタックしている業者を調べるくらいの行動を取らないのかがかねてより疑問で、それ以外の価格安定化も消極的というか日本人得意の「やってますアピール」で何もしているように見えず、この点で批判を受けるのは当然だと思います。

・根拠その3、備蓄米が流通しないことの言い訳
 農水大臣が小泉氏に代わるまで、JAは入札した備蓄米が流通しないことの言い訳として「精米に時間が価格」とも主張してました。しかし冒頭でも書いたように先の入札で備蓄米を得た大手栗チェーンは精米したうえでの販売を今日から開始しています。精米に関しては最もノウハウと供給能力を持っているのはJAと思うだけに、備蓄米流通の遅れに関してもその責は免れないかと思います。
 ただこの最初に放出された備蓄米に関しては、入札で市場価格よりも高い金額での落札であった点から、JAでも赤字販売でなければすぐ流通させられない主張は至極もっともだと思います。私個人の意見としては、第1次報酬の備蓄米は余ってる分だけでも落札価格で政府が買い取り直し、前回入札の通り再び小売業者に配るべきなのではとも考えています。

 全部書き切れたわけではありませんが、大まかな判断理由としては以上の通りです。特に2番目のサプライチェーンの問題については、ドン・キホーテが5次問屋まであるのが原因と小泉農相に意見書を出すなど根深い問題だと思え、これを機に大幅な改革を行うべきじゃないかと思います。
 具体的には農家から小売業者までのサプライチェーンを効率、短縮化するように図り、両社のマッチングを支援するとかがありますが、政府主導でやるとなると農水族が抵抗するのは目に見えています。個人的にこうあってほしい案としては、今回入札に参加した小売業者らが共同で一次問屋業者を設立し、農家との調達取引交渉や分配まで行ってはどうかと考えています。

 私自身はかねてからJAという組織を疑問視しており潰すべきだという立場を持っていましたが、色々報道を見るに農家の方からすればワンストップで農業業務取引を行える相手で必要だという意見が見られました。とはいえ業界改革は必要で、以前にも主張したようにJAが業界単独で存在することが一番の問題だと思え、対抗馬となる別組織を設立することが、JA自身にも改革を促す上で市場いいように思え、上記の通り小売業者らによる共同大規模代理店の設立が落としどころじゃないかと思うわけです。

2025年5月28日水曜日

ホンダジェット模型を巡る中国の闇(´◉◞౪◟◉)

 先日、たまたまYouTubeでホンダジェットの解説動画を見る機会がありました。かねてからその羽の上にエンジンを載せる特異な設計に関しては聞いてはいましたが、改めてそこへ至った経緯などを解説されて俄然興味が湧き、実際に手に取ってその形状を確かめたいという欲が湧いてきました。言いてしまえば、またプラモかなんかでホンダジェットの模型を触ってみたいというわけです。


 そんなわけでいい模型ないかなと早速検索かけてみたところ、組み立てプラモのほか完成品ダイキャストモデルとして上記リンク先のページに行き当たりました。ただやけに値段が高いのと、なんか販売説明がおかしいように思えてコメント欄を見ていったところ、

「数年前に楽○でも予約注文していたのですが、いつまで経っても商品到着せず、予約した販売店に問い合わせると、実はエブロが委託していた中国の生産工場で部品と金型などの盗難事件が発生。そのまま部品を盗んだグループが中国だけで勝手に模倣品の生産を続けて販売しようとした事がホンダに発覚し、怒ったホンダ側はエブロへの生産・販売権を停止。日本で本物の1/144サイズのエブロ製ホンダジェットは生産も販売もできなくなった…という事です。楽○にテナント加入していた某模型店ですら確認するまで連絡もなく返金を渋られたロクな思い出がありませんが…」

 という、衝撃的な事実が書かれていました。さらに調べてみたところ、この商品を販売していたEbbroブランドを保有する有限会社エムエムピーが昨年3月に倒産していたことまでわかりました。つまり、メーカー自体がもうなく、正規品が新たに流通することはないということです。

 組立プラモもこのEbbro製しかなく、上記内容が事実なら新たに購入することは難しいこととなります。となるとほかのメーカーが新たにホンダジェットの模型を発売しない限りはもう手に入らないのかなと、自分もあきらめの気持ちが芽生えてきました。


































売っとるやん!


 ふと、中国で金型が盗まれた云々が気になったのでタオパオで検索をかけてみたところ、すでに倒産していて存在しないはずのEbbroのブランド名を引っ提げてホンダジェットの模型がいまだに売られていました。お値段も135元(2700円)とお得で、自分がこの前かった飛行機のプラモより安いです。
 っていうかこのブランド名からしてこれ本当に売っていい商品なのかよ、それどころかホンダもきっと流通や販売許諾してないだろと、ツッコミどころが多くて仕方ない状況です。そうした諸々が気になるところから、興味はあるけど買っていいか迷うだけに今のところはまだ注文を出してはいません。なんかAmazonのレビューも部品取れやすいとかいろいろ書かれているし。

 なおタオパオに関しては先月、ストレスたまっていたのかほぼ毎日何か注文しては届くたびに「なんで買うたんやろ」と言いながら使わず処分することが多かったのですが、ここにきてようやくその妙な買い物依存症が終わりを見せて注文しなくなりました。この間不眠がひどかったので耳栓も2個買ったり、眠りがよく案る香りスプレーとかも買いましたが、一番効果あったのは通気性良くて蒸れないアイマスクでした。耳栓も後に買った方は活躍中です。
 プラモも今電子戦機のグラウダーとM4シャーマンのジャンボって呼ばれた型式のを組み立て前でキープしてます。こんな状態だから買い物欲も落ち着いてきたんでしょう。マジで先月は狂ったように注文してマグカップとかも増やしましたが、間違って送られてきたあのカップはなんか心理的ダメージデカかったです。

2025年5月25日日曜日

維新は「倒幕」ではなく「武家社会の打破」が目的?

 先日の記事で私は大政奉還の公式最速記録にあたる大久保忠寛のエピソードについて触れました。このエピソードで記事を書くにあたって構想を練っていた際、改めて「そもそもなんで徳川慶喜の大政奉還に対して薩長は納得しなかったんだ」という疑問点を思い出しました。
 あの正式な大政奉還の時点で、少なくとも島津斉彬らが構想していた天皇を中心とした新たな政体の成立は約束されており、徳川家がその後も存続するとはいえ、危ない橋を渡ってでも戊辰戦争を起こすまでの必要性があるのだろうかと、実はかねてから疑問に思っていました。実際、土佐藩など大政奉還を主導した手前もあり「もう許したれや」的に薩長を牽制していましtが、薩長は徳川家に対し所領の全放棄ともいうべき要求を出して無理やり戦争に持ち込み、幕府の完全討伐を図っています。

 この辺りの事情というか何故大政奉還ではいけなかったのか、どうしてそこまでして徳川家を潰そうとしていたのかがかなり前から不思議でした。よく言われる説としては「薩長が徳川家に成り代わって圧倒的権力を掴みたかった」というのがありますが、その後の明治時代を見るとこの討幕を積極的に進めた維新の元勲たちはかつての主君である藩主らを裏切り、廃藩置県などを続々と実施してむしろその権力を削いでいきます。途中で変節したと言い訳することもできますが、この説はなんか違うような気がしてなりません。

 もう一つの説としては、いくら大政奉還したとしても徳川家の所領や影響力は他の大名家を大きく突き放しており、徳川家がいる限り大胆な改革は行えず、何が何でも今ここで潰しておくべきという意見です。恐らくこの説が最も有力だと思え私も納得する部分がないわけではないですが、仮にそうだとしても、あの時点ですぐ戦争吹っ掛けるほどまで切迫していたのかという点で疑問が残ります。
 それこそ新しい政体が発足した後にあの手この手で難癖付けて弱らせていく方が、時間はかかるとはいえ確実であるような気がします。また新規政体に幕府側からはかねてより改革に熱心で薩長の志士たちとも仲の良い松平春嶽なども参加することがほぼ確実視されており、あそこまで焦る必要があったのかとやっぱり疑問です。

 以上のような疑問について今回、改めて大政奉還の意義と戊辰戦争勃発の原因というか背景を考えてみた際、そもそも薩長側は倒幕が目的ではなく手段であり、その本当の目的は武家社会の破壊、つまり武士そのものをこの日本から完全に消し去ることが目的だったんじゃないかという気がしてきました。

 この考えのもとになっているのはかねてから引用している保坂正康氏の「明治維新は二重の革命だった」説です。これは明治維新は薩長による徳川幕府に対する革命のほか、下級武士による上級武士に対する革命だったとする説で、西郷隆盛や山形有朋といった明治の元勲には武士と呼ぶのも墓場られるくらい低い身分の者のほか、伊藤博文など農民出身者もおり、彼らは武士社会から恩恵を受けるどころか迫害を受ける立場であり、だからこそ武士であることに執着なく、冷酷に士族を切ることができたという解釈です。
 基本的に上記主張に私からも何の異論はなく実際その通りだったんだろうと思っているのですが、この下級武士による上級武士への革命は結果的に起こったものであり、意図したものではなく、たまたまあの時代に能力を持って革命で成り上がった層が下級武士たちが主だったからだと考えていました。しかし今回、この革命も幕末において意図されたもの、つまり武士をこの世から抹殺することを考えていた者がいたからこそ、性急に徳川家を潰そうと戊辰戦争が起きたのではと思うようになりました。

 そもそも一体何故武士を潰そうとしたのか。背景理由としては上記の通り、当時大きな決定権を持った維新の元勲らが武士という身分そのものに執着がなかったことがあるでしょうが、やはり新たな時代を迎えるにあたり武士という身分そのものが邪魔というか障害になると考えていたのではないかと思います。
 仮に大政奉還の後に新規政権が発足したとしても、恐らくその参加者は薩長や徳川家の有力者、それも武士だけに限られていた可能性が高かったでしょう。それどころかあまり働かず、社会にほとんど貢献しない武士の身分や特権がそのまま残り、廃藩置県や秩禄処分も実際に歴史通りにスムーズにはいかなかったでしょう。それ以上に、優秀な能力を持った武士以外の層の人間を登用が難しく、四民平等ともならなかったでしょう。

 この武士という身分の打破にあたって、やはりキーとなるのは徳川家の存在です。部門の棟梁を長年続けてきた徳川家がいるかいないかで武士という身分の社会保証や概念は大きく変わるように思え、本気で武士身分を完全抹殺するには、やはりあの時点で徳川家を叩き潰しておかないと無理だったのではないかと思います。実際、会津藩を代表する東北諸藩など徳川家を支持する勢力もまだ多数残っており、徳川家が残るということはそのまま武士が残るということにつながりかねません。
 だからこそ、政権を放棄したとしても新たな時代を迎えるために徳川家には完全降伏してもらうか、薩長という新勢力が叩き潰さねばならなかった、こんな風に武家社会の打破のために倒幕という手段が固執されたのではないかと思うに至ったわけです。

 では仮にその通りだとして、一体誰がこんな構想を持っていたのか。可能性があるというかマジで実際こういう風に考えて行動していたと思う節があるのは小憎らしいあいつしかないでしょう。もったいぶらずに言うと、岩倉具視です。
 武士がそのまま残ったら公家出身の彼は政治に参画できずそのままフェードアウトする可能性もあったでしょう。公家としての勢力を維持するのと、彼自身の徳川幕府、というより武士に対する異常なほどの反感から、倒幕以上に武士の撃滅を考えていたとしても不思議じゃないと思います。

 その上でもう一人、坂本龍馬が提案した大政奉還に大反対し、実際実施後も倒幕を強固に主張し続けたのは薩摩藩だったといわれます。その薩摩藩を動かしていたのはこれまた言うまでもなく西郷隆盛と大久保利通で、本来の最高権力者である島津久光なんかは後年に「倒幕なんて考えたことなかった。下の連中が勝手にやり始めただけだ」と述べています。
 となると、西郷と大久保の両方またはどちらかが武士の撃滅を考えていた可能性もあるような気がします。実際そうだと思うところがあるというか、明治以後の廃藩置県に至るまでのあまりのハイペースぶりからみても、倒幕前の時点で武家社会を崩壊させることが構想に入っていたのではないかと思えます。もしそうだとしたら、彼らの敵は外国列強でもなく徳川幕府でもなく、日本国内にいたすべての武士だったということでしょう。

 そもそも明治維新自体、本音と建前が完全に別々で世の中動いていました。末端の兵士らは「攘夷のために幕府を倒すと思い込んでいた」と言ってましたが、あの時点で群を動かしていた薩長首脳らは攘夷は不可能とはっきりわかっていましたがそれは口に出さずあくまで「攘夷のため」に倒幕するんだと実際に言ってました。でもって明治になると「攘夷?何のこと?(。´・ω・)」としらばっくれるわけです。
 この攘夷についての方便だけでなく、実際には「武士をこの世から消すために倒幕する」という目的も隠されていたのでは、というのが今回の自分の考えです。なにかしらそう伺わせる史料とか出てこないかな。

2025年5月23日金曜日

大政奉還の公式最速記録

 「えん、すん、さん」と聞いて、どんな意味を持つ言葉かすぐわかる人はまずいないでしょう。いたら確実にエスパーです。この言葉が出てきたのは1862年のことで、島津久光が上京して幕府に政治改革を迫り、その運動の甲斐あって徳川慶喜と松平春嶽が内閣入りというか政治に参画した頃でした。
 この際、松平春嶽は攘夷に向けた海岸警備を各藩に命じ、軍備費負担をかける代わりに金のかかる参勤交代を廃止しようと動いていました。この改革案に対しある幕閣は反対して抵抗するも埒が明かなかったことから、松平春嶽のブレーンであった横井小楠を説き伏せたほうが早いと考え横井と会見しました。

 その幕閣は軍備費用捻出のため参勤交代を廃止することは確かに合理的であるものの、徳川幕府の祖法である参勤交代を廃止すれば権威に傷がつき、政権に影響を及ぼすとして横井に再考を促しました。これに対し横井はその意見は実よりも建前を優先する意見のように見えるが、参勤交代の廃止こそ建前を重視した政策だと言い返してきました。その意は如何にとさらに問われると横井は、

「仮に薩摩や長州などの雄藩が今この時代に参勤交代を勝手に放棄した場合、幕府は彼らに強制することはできるのか?討伐することはできるのか?言うまでもなく今の幕府にはもはやそんな力はなく、もしそんな事態が起きたらそれこそ幕府の権威は完全になくなる。そんな事態が起きないよう、今の段階で幕府の側から参勤交代なんてしなくていいよと命じる方が、権威を保つ上でも有用である」

 という風に説得し、この説明を受けてその幕閣も深く納得し、参勤交代廃止派へと回ったそうです。その後は完全には廃止とはならず、年一のペースを年三に伸ばしただけでしたが、この後から明治新野動乱期に入ったため実際にはほとんどの藩がやらなくなったそうです。

 以上の顛末ですがこの時の幕閣、参勤交代議論で考えを改めたどころか、横井の影響を受けてなのかとんでもない意見を他の幕閣に言うようになりました。それが冒頭の「えん、すん、さん」で、それぞれ現在の静岡県と愛知県岡崎市にまたがる遠江、駿府、三河の地域名を表す言葉なのですが、この三つの地域を挙げてこの幕閣は、

「元々、徳川家が江戸に来るまでの領地はこの三地域(約70万石)であった。この際徳川家は、その領地をこの三地域に限定し、他の領地(=数百万石)はすべて放棄して、一大名に身を落とした方がお家安泰のためにはいい

 という、のちの大政奉還と呼ばれる方針を1862年の時点で、自らが幕閣(旗本)という身分ながら主張していたそうです。もちろん言うまでもなくこんな意見を言えば周りから顰蹙を買うのは当たり前で、そのあとすぐに左遷され、左遷先でもこの主張を繰り返したことからさらに左遷されることとなりました。
 ただこの方針はその後、大政奉還どころかその先の江戸城無血開城で徳川家が飲んだ和睦案そのものと言ってよく、結果的にはそのまま実現することとなります。まぁそれもそのはずというか、この幕閣こそが大久保忠寛こと大久保一爺で、勝海舟の才能に目をつけてその地位を引き上げるとともに、幕末においては勝とともに江戸城無血開城を推し進めた張本人だったりします。

 自分は上記事実をついこの間、例によって漫画の「風雲児たち」を読んで知ったのですが、坂本龍馬の大政奉還の案は彼オリジナルのものではなく、当時多くの人間がすでに構想、言及していたものという事実自体は前から知っていました。しかし数年差とは言え1862年という早い時期において、しかも旗本という身分でありながら空気を読まずというか周りを気にせず大政奉還案を大久保は口にしていたというこの事実にはかなり衝撃を受けました。実際、公式記録に残っている中で、大政奉還を最も早く口に出したのはこの大久保だそうです。

 逆を言えば、この事実から言っても龍馬が大政奉還を最初に企画したというのは明らかな間違いであり、徳川慶喜の大政奉還実施時にはもっとたくさんの人が口にしていたことでしょう。実際にこの手の「最初に提唱した」系の多くは否定されることが多く、戦前の石原莞爾の世界最終戦争論も当時の日本はおろかほかの国でもやたらと口にされた構想で、特に珍しくとも何ともなく、石原が天才であったわけでもなく、独創性に優れていたというわけでもありません。独走性は優れていたけど。

 なお超大国同士の世界最終戦争が終わった後、きのこたけのこ戦争がようやく始まると私は考えています。

 こんな具合で当時の幕閣の中にもすさまじく予見性を持った人材がいたのだと驚くとともに、改めて「倒幕」という言葉の意味というか、何故薩長は徳川家が大政奉還しても許さず、徹底的につぶそうとしたのかという点が少し気になるようになりました。この辺についてはまた次回に書きます。

2025年5月21日水曜日

日本はいっそアメ車に関税をかけてはどうか?

 本題と関係ないですが現在日本を旅行中の中国人の友人から、「梅田駅周辺って本当にきれいだね」と写真が送られてきました。以前にも書きましたがまじめに梅田周辺の再開発は目を見張るものがあり、再開発指揮した人はもっと表彰されてもいい気がします。
 言うまでもないですがこの友人に私は何も入れ知恵はしておらず、向こうからこうして話題に出してきたことに驚くとともに、外人の目から見てもそう見えるのかと感じました。

 話は本題ですが結論から言えば、米国が日本に輸出してくる自動車に対し日本は関税かけてみるのも手じゃないかと思うようになってきました。失うものは何もないのに、トランプ政権との交渉材料が増えるという夢のような手段となりうるからです。

 初めに前提として、日本は現在自動車に対して一切何も関税がなく、完全フリートレードを長年実施してきています。にもかかわらず米国のトランプ政権はただアメ車が性能的にも価格的にもカスなので売れないだけなのに、日本は様々な輸入規制を設けてアメ車を弾いているなどと言いがかりをつけて、すでに実施されている自動車関税を含めありとあらゆる貿易面での嫌がらせを続けています。

 今のところ日本は「そんなこと言わずに許してくださいよ(*^_^*)」とへりくだった態度で貿易交渉を行っていますが、先日の中国との関税競争で何も交渉材料がないにもかかわらずあっさり関税引き下げに応じたあたり、米国側も対抗関税に対して何も対抗手段がないということが見て取れました。であればこちらも対抗関税を設けて「そっちが引くなら俺も引く」的な強気な態度をとった方がいいのではと思うに至り、敢えてこれまで存在しなかった自動車関税を、アメ車限定にかけてみるのも手かと思うようになりました。

 そもそも前述の通りトランプ政権は日本には自動車輸入規制なんてほぼ何もないにもかかわらず、様々な規制を設けて妨害していると主張しています。この言を逆手に取り、日本がこれから新たにアメ車に関税をかけたとしても、「日本はアメ車に対する規制を強めた」と指摘すること論理的に不可能です。なんせ規制をかけていると言っていたのは、彼ら本人なのですし。
 仮に論理を無視してそのように主張してきたとしても、それ以前のフリートレードであった条件を比較して見せればいいだけでしょう。

 その上で現在すでに米国は自動車関税を日本を含むほぼすべての国に実施しており、これに対し対抗関税を日本がかけることはなんら問題はなく、正当な大義名分があります。なんならトランプ大統領が言っているように、ボンネットにボーリング球を落とす試験をアメ車限定で設けてもいいかもしれません。
 しかもこのアメ車に対する関税を設けたとしても、日本としては何も困ることがありません。唯一困るのはアメ車マニアな日本人だけで、日本の経済や産業にダメージを与えることは一切なく、米国に譲歩を促す交渉材料が増えるだけなのでいいこと尽くしです。

 もっとも、トランプ政権側の機嫌を損ねることは間違いなく、関税を設けたら色々嫌がらせをしてくる可能性は十分あり得ます。一番可能性があるのは在日米軍の撤退を示唆することですが、私の見立てでは示唆するだけで実行にはほぼ確実に移せないと思います。何故なら中国との交渉であっさり弱腰になったあたり、相手国が対抗してくる事態をトランプ政権は一切想定しておらず、殴りかかってくるくせに打たれ弱いという弱点をすでにさらしているからです。
 それこそ日本のもう一つの交渉材料である米国債売却を、日本もそれとなくちらつかせさえすれば、トランプ政権もそれほど強く脅しをかけることができなくなるという確信が自分にはあります。もっともそのようなことをしなくても、すでにトランプ政権への支持率は米国内でも激減しており、軍事方面で大きな決断をしようものなら猛反対を受ける可能性もあるだけに、在日米軍引き上げや思いやり予算の増額などもあまり強くは言えないでしょう。もし行ってきたとしても、中国との軍事同盟の可能性をメディアなりを通して示唆すれば途端に黙ると思います。

 端的に言えばトランプ政権は存外打たれ弱い、その上ですでにレームダックに陥りつつあるとみています。このまま従順な態度で交渉し続けることも決して悪くはないですが、一発冷や水を浴びせるようにアメ車に関税かけるのはありなんじゃないかと思います。特に今中国が交渉で圧倒的優位に立っており、第一次トランプ政権で通用した半導体規制ももはや中国は克服しつつあり、この中国の攻勢に乗る形で日本も強気な交渉をすることはタイミング的にいい気がします。
 おまけに今、トランプ政権はハーバード大学にもケンカ売っており、ここで日本がトランプ政権を攻撃することで米国知識人の間でも「あの従順な日本ですら?」という印象を覚えるのではないかと思います。何気にこの数ヶ月で一番トランプ政権の失策だと思ったのがこのハーバード大攻撃で、だからこそ今日本が反撃のチャンスだとも感じました。

2025年5月19日月曜日

江藤農水大臣の米買ったことない発言を見て

 わざわざリンクをつけたりしませんが、ただでさえ米価高騰に歯止めがかからない点を批判されているにもかかわらず、地元講演会で支援者からもらっているので米なんて買ったことないと、地元支援者のみならず日本の全国民を敵に回す発言が江藤農水大臣から出てきました。石破総理を含む官邸はまだ彼を続投させようという姿勢を見せていますが、私の見方では長くはもたないし、この弁明している最中にも不用意な失言を重ね、顰蹙を買いつづけるだけでしょう。
 この点、安倍晋三だったらすぐに切っていたであろうと思います。私は彼のことをあまり評価していませんが、切るべき時の決断は比較的早く、その点のリスク管理は優れていたと覚えます。

 そもそも去年の時点で米価は高騰し始めていましたが、政府は新米が流通すれば価格は自然と落ち着くと言って一切対策をしませんでした。その後は語るまでもないですが米価はぐんぐんと高騰し続け、慌てて今年に入り備蓄米を流通したもののJAの活躍もあって全く流通せず、日本の米価はJAによって支えられているということを証明したに過ぎませんでした。
 っていうか単純に外食企業を含む発注量と価格を投げ入れる競争入札にしてすぐにドバっと配れば、全然状況は違ったでしょう。色々法規制を言い訳にしていますが、多分現行法でもこの競争入札は行えただろうし、法律がなくても会期中に緊急対策案として通すことはできたはずです。備蓄米が単純に流通しないのは江藤農相を含む現政権の失政によるものとしか思えません。

 っていうか支援者からもらった米が家に余っているというのなら、この江藤農相の家とJAをみんな江戸時代みたく打ちこわししてもいいと私は思います。それだけの事態でもあるしそんな事件が起きてもしょうがないくらいの失言です。そもそも日本人の米に対するこだわりは、同じ米文化の中国人と比べても桁外れに強く、天皇とお米を馬鹿にする発言は日本における最大のタブーも同然です。そのタブーを江藤農相は破ったも同然なのだから、攻撃されない方がおかしいとすら思えるレベルです。
 放火はさすがにだめだけど、この人の家の中にあるお米を全部ぶちまけるくらいはみんなやってもいいでしょう。それくらいの発言を、彼はしました。

 ただそもそも論を話すと、すべての日本国民を敵に回す発言をいけしゃあしゃあとやってのけるほどの無能が何故農水大臣をやっているのかって話です。それを言ったらこの人以前にもとんでもない失言をする人も多く、現役で自殺した人もいましたが、農水大臣にはなんかその手のヤバめな人が異常に多いです。それもそのはずというか基本的にこの役職は日本においてお飾りポストであり、農水行政に詳しいとか手腕に長けるからではなく、基本的に論功行賞、それも議員歴が長くそろそろ役職に就けないといけないけど無能だから就けるポストがない人にあげるポストであることが大きな原因だとはっきり言えます。

 ところがそんなお飾りポストながら、文字通りな大量の票田を左右するポストであるためその権力は意外に強大だったりします。元々農水省も広報は優秀だと思うけど行政能力的にはヤバめな組織で前からしょっちゅう不祥事や事件を繰り返しているだけに、力があるのに司令塔が無能というかなりおかしな構造が今の日本の農政です。
 今回の江藤農相の発言を受けて改めて思いましたが、上記のようにお飾りポストでトップに無能しか来ないから、日本の農政の混乱や失敗が延々と続いているのではないかという気がしてきました。仮にしかるべき知見と手腕を持つしっかりした人が農水大臣について、総理大臣らがしっかりとその権力を支えJAを解体すれば、改善箇所が多すぎる分、日本の農政は一気によくなるんじゃないかという妙な期待感すら持ち始めてきています。観光立国だってマイナス点が多かった分、力を入れたら一気に良くなったんだし。

 少なくともJAの解体というか対策は今回の備蓄米の混乱を見ていても喫緊だと思えます。そもそもJAが何でこんなおかしな組織なのかというとやはり独占組織であることが最大の原因のように思え、同じ機能を持つ農業団体をもう一つ作ることが手っ取り早い対策だと考えています。
 その名称ですがJAが全農というのだったら、プロレスみたく新農という組織が見ている人にもいいんじゃないかという腹案を持っています。志ある人に立ち上げてもらい、政府がお墨付き作ればすぐに良くなる気がするんですが。

2025年5月18日日曜日

J-10C型のプラモ


 例によって中国の軍事力を研究するため、もとい中国生活の暇つぶしのため、先日の印パ紛争であのフランスのラファールを撃ち落としたといわれる中国の殲10ことJ-10のC型のプラモを入手し、その構造を分析するため今日組み立てました。
 このJ-10については以前に前バージョンのB型も作ってはいるのですが、面倒なキットでいまいちうまく作り切れなかった敗北感があり、前からJ-10はもう一回作ってみたいと思っていました。そこへ先日の戦果報告があり興味を持っている最中に作るべきだと思って今回購入しましたが、話題となっていたことからいつも買うプラモ屋でも注文が集中したのか、いつもは翌日に配送されるところを今回は三日くらいかかりました。それでも早い。

 今回のキットは中国メーカーのトランぺッター製のキットですが、正直ここのキットはあまり買っていません。何故かというと結構凝った作りしてるのと、他社と比べてバリが多くてライナーから切り離した後も何度もバリを取り除かなければならないからです。自分としてはそこまで組み立てにこだわる方じゃなく、簡単に組上がればいいと思うのでタミヤと韓国のアカデミーのキットを好むのですが、トランぺッターに関してはほかでは出されていない中国機を作るときしか購入しません。

胴体の内部構造

貼り合わせるとこんな感じ

 ただこのトランぺッターも悪いところばかりじゃなく、上の写真のように胴体内部のエアインテーク構造はほかのキットでもきちんと再現されています。エアインテークからどのようにエンジンにつながるのかは非常にわかりやすいし立体感を感じられ、このJ-10のキットでもその点は非常によくできてます。左右の胴体の貼り合わせ精度も良好だったし。

エアインテーク入口にある空気流入速度を調整する丸いでっぱりも再現


 そんな誉田でおこうして出来上がり、ミサイルなどは付けんのが面倒だったのと機体本体のプロポーションを堪能したかったため付けませんでしたが、上の写真の胴体下部にあるレーダー妨害装置はすぐ付けられるのと、今流行りの兵装のため敢えて付けました。


 前にも少し話しましたが、このJ-10は元々はイスラエルで開発が進められていた機体ですが、イスラエルがF-16を採用することとなって計画が放棄されたところ、中国が研修者ごと引き取って完成、運用することとなった機体です。
 経緯が経緯ですがこうして世に出ることとなったのは紛れもなく中国の努力の結果で、中国オリジナルの機体と言っても差し支えはないと思います。もっとも、中国政府は公式には上の経緯には触れず、自分たちが一から開発したんだと中国人すら真に受けない主張を展開していますが。

 なおこのほかに現在中国が運用している機体はロシアから輸入したフランカーシリーズのJ-11やJ-15、J-16、米国のF-22をパクったJ-20、F-35をパクったJ-35が主です。これらと比較するならJ-10の独自性は強く、またF-16を意識したオープンデルタ(前尾翼)な形状とあって私自身はこの機体が中国機の中では一番好きだったりします。


 以前に機体前方にある空中給油用プロープを美少女キャラの「アホ毛」に例える人がいましたが、非常に言い得て妙だと思います。その例ではラファールに使われており、落ち着いた佇まいの姉(ミラージュ2000)に対し活発なアホ毛妹キャラとして紹介されてました。
 このJ-10も上の写真のようにアホ毛が付いていますが、もし擬人化するならイスラエルでの経緯を踏まえ、元々は王位継承者として生まれるはずだったのが簒奪を受けて中国に亡命し、デカ女(フランカー)にいびられながらマーボー豆腐屋でこき使われる薄幸少女みたいなキャラになる気がします。ひっさつわざはマーボーファイヤー。


 前回のB型で一番失敗したのが主脚で、なんか変にはめ込みづらい上に固定の弱い形状してて、片方の足をきちんとまっすぐ立たせることができませんでした。伝統的にトランぺッターのキットはこの主脚が脆いのですが今回のC型も、っていうか恐らくB型の金型を少し整備しただけで基本的に同じキットなためか今回も主脚が弱く苦労しました。
 ただ頑張った甲斐あって今回は完璧に組み立てることができ、足回りは完璧に仕上げられました。

手前がB型、奥がC型

今度は手前がC型、奥がB型

 改めて昔作ったB型も引っ張り出して並べてみましたが、基本的にやはり同じ形状というかほぼ違いがありませんでした。強いて言えば、現物はそうでないのかもしれませんが胴体尾部の尾翼の付け根付近の胴体が、B型に比べC型の方がやや細くなっているような気がしました。それ以外はキットにおいてはほぼ同じで、エアインテークの形状もほとんど同一でした。
 実際、C型のバージョンアップは電子性能付近だと聞きます。今回の印パ紛争でもレーダー能力とミサイル性能が勝敗を分けたといわれ、ウクライナでの戦闘でも基本視界外(BVR)戦闘が繰り広げられていることから、もはや戦闘機に旋回能力や最高速度性能は求められず、優秀な兵装を使えるソフトウェアと、レーダーの捕捉、妨害能力の方がますます重要になってくるかもしれません。

 最後に今回昔作ったB型を引っ張り出して比較したところ、接合部とかが今と比べて荒く、今の自分がどれだけ組み立てるのがうまくなったのかを強く感じさせられる出来栄えでした。やっぱこういうのはドラテクと同じで、使ったガソリン代(プラモ代)の分だけテクニックが上がるものだと感じます。

2025年5月17日土曜日

現在連載中で自分が読んでる漫画


 本来は茶道具を入れる棚なんだけど、プラモ置くのにめっちゃよさそうと思って買っちゃいました。案の定( ・∀・)イイ!!

・竜送りのイサギ
 話は本題ですが現在連載中で自分が読んでる漫画を挙げていくと、以前にもブログに挙げた「竜送りのイサギ」というのがあります。これ、最初はめっちゃ面白くて自分も期待していたのですが、単行本が4巻に入るあたりからストーリーのテンポが急激に落ち、話数を重ねても全然進展しなくなってちょっとどうしようかと焦るくらい面白さがなくなってきています。
 この作者は前の連載でも全く同じことをやってて、序盤はサクサク話進んで内容も面白かったのに、中盤に入ったと思うあたりから急に鈍足で世界観説明ばかりの話が展開されるようになり、一気にトーンダウンしてました。なんか「竜送りのイサギ」でも同じ轍を踏むんじゃないかと心配してます。

・タワーダンジョン
 一方、世界観説明を極度に排しながらガンガン話を進めてくるのは、「シドニアの騎士」の作者が連載している「タワーダンジョン」だと思います。
 元々この作者の弐瓶勉氏について自分は信者と言っていいくらい「ブラム」の頃から贔屓にしてますが、前作の「人形の国」の投げっぱなしエンドはさすがに自分ですら許容できる終わり方ではなく、「タワーダンジョン」も最初は購入を躊躇していました。

 ただ改めて購入してみたところ、かつての弐瓶氏のようにベタでほぼ真っ黒に塗りたくられたページに予想もつかない展開ぶりから一気にはまり、残りの巻も一気買いして読むほどはまりました。特にヒロインのリリセンというキャラは不機嫌という感情をそのまま絵にしたようなエキセントリックなキャラで気に入っています。
 勝手な憶測ですが、「人形の国」で二瓶氏は極力ベタを避けてページをほとんど白色のまま表現をすることに挑戦していたのではないかと思います。しかし「ブラム」の頃から二瓶氏と言えばベタ、墨黒であり、黒い絵でこそ本領を発揮するような作家だと思え、そうした二瓶ブラックがこの「タワーダンジョン」では戻ってきてうれしく思ったりします。

・J⇔M ジェイエム
 今一番面白い漫画と聞かれたこの作品を挙げます。かつて散々はまった「ヒナまつり」の作者の新作ですが、実力は確かだけどハードボイルドに憧れる中年のおっさんと、教育虐待を受けながらも知能が異常に高い小学生女児が頭を打ち付けて、人格が入れ替わるというよくある単純な話です。なのに面白い。
 「ヒナまつり」同様、状況に状況がどんどん重なっていって面白くなっていく展開となっており、そもそもギャグセンスが明らかに高く、「百点以外はゴブリン」というセリフだけでなく、要所要所のツッコミのセリフ一つでもやたら笑わせられます。また殺し屋のおっさんが今度はお色気を武器にする女殺し屋とも人格が入れ替わってからはその無軌道な行動がさらに拍車がかかり、やたら冷徹な表情を女殺し屋の体で浮かべるようになって絵でも魅力が高いです。

 っていうかほかの人も書いてましたが、ギャグマンガ家だったからと言っては失礼ですが、意外にもアクションシーンの表現も優れているのには驚き、「このひとこんな絵も描けたんだ(;´・ω・)」と私も思いました。まぁ元々格闘漫画の「タフ」の作者のアシスタントだったんだし、出身的にそういう素養を持っていて当たり前なのですが、本当に意外でした。

2025年5月15日木曜日

札幌市暴行企業の優良企業認証取り消しのおかしな点

 先日に印パ衝突で活躍したというので中国製戦闘機のJ-10C型のプラモを頼んだけど、いつもなら翌日に到着するのに数日経ってもまだ来ないし、同時発注したEA-18Gはもう届いているあたり、かなり注文が来ているのだと思います。実際タオパオ上でも注文数かなり行ってたしなぁ(;´・ω・)
 前からも言っていますが、プラモ屋は戦争が起こると本当に儲かる商売だと思います。


 さてちょっと日が経ったニュースですが、北海道札幌市で社長が社員をボコボコに殴る動画が流出しました。こんな光景、尼崎辺りでは日常でニュースにもなることないのでしょうが、場所が札幌市だったことと、その会社が札幌市からSDGsなどの優良企業として複数の認証を受けていたことから大きな話題になりました。
 上記リンク先の記事にも書かれていますが報道を受けて当の建設会社は暴行の事実について妙な言い訳しつつも、札幌市に認証を辞退したとのことです。ただこんな会社を札幌市は何故優良企業として認定したのかという点で、色々批判が起きています。

 などというありきたりな内容だけならこんな風に自分も記事にしないのですが、先日書いた川崎ストーカー殺人事件のように、何故誰もこの点を突っ込まないのかと疑問に感じる箇所があります。もったいぶらずに言うと、札幌市は何故この会社が認証されていた優良企業認証を全て廃止しないのかという点です。

 表向きは誠実そうに見えても、裏では汚いことやってる人や会社なんて世の中いくらでもあります。そのためどれだけ時間と労力をかけてもその本質を見抜くことは難しく、優良企業と認証しながらも後になって実はとんでもない会社だとわかることは珍しくないし、そんな会社にお墨付きを与えてしまったとしてもそこまで恥じることでもないと思います。
 しかし、今回のケースというかこの会社に関しては叩けば埃がいくらでも出るというか、どっからどう見たってヤバい会社だとすぐわかる例です。ほかの報道によると、従業員に日本刀を突きつけて指か腕を切断するよう迫ったり、残業時間をごまかしたりなどと典型的なブラック企業ムーブを大量にかましています。正直、ちょっと調べればこの会社が問題ある会社だとすぐわかるレベルのようにしか見えません。

 にもかかわらず前述の通りに札幌市はよりによってこんな会社を複数の認証で優良企業としてお墨付きを与えていたということから、認証を担当した札幌市の公務員は見る目がないというか無能の極みな人物であるとしかこれまた言いようがありません。恐らく書類しか見なかったのだと思いますが、その書類審査も杜撰だったのではないかと思えてなりません。
 であれば、札幌市の認証には全く信用や保証がないと言わざるを得ず、この会社以外にもやばい会社が優良企業として認証されている可能性も高いと私は思います。少なくともこんな会社を認証しているという時点で札幌市の認証には価値がなく、最低限の恥を知っているのであれば、認証制度そのものを一旦廃止するのが普通の人の判断であると私は思います。

 ところが、札幌市への批判をする人はそこそこいますが、認証そのものの廃止についてまで言及する人は私が見る限り誰もいませんでした。自分の感覚がおかしいのかと最近ちょっと思えてきてもいるのですが、なんで廃止について誰も言及しないのかとその点が逆に不思議に思えてなりません。まぁ札幌ドームのくだりから言って、札幌市の職員は無能が多いというのは前から知ってますが。

 その上で、札幌市が今すぐやるべきだと思うことは、この会社を反社組織として認定することだと私は思います。正直、優良企業のリストなんて今回の例のようにその信用度を含め全く役に立たないですが、「この会社はヤバい」、「取引はやめた方がいい!」的に警告してくれる反社組織認定リストなんかは消費者保護的にもずっと役に立つ気がします。
 公共事業への入札禁止措置などは割とよく行われているし、国の一部省庁がやっている一部の法令違反を繰り返す企業の名称公開とかもあるっちゃありますが、もっと汎用的に、全国規模ですぐ閲覧できる反社認定企業リストをもっとみんなで作るべきだと思います。

 というより、反社をヤクザ団体だけに適用するのはもったいないというか、旧ビッグモーターのように社会に対し著しく不正行為を繰り返したり大きな損害を与えた企業は、当事者企業に改善を促す意味でも反社認定をどんどんやった方がいいと前から思います。認定から1年後くらいに申請があれば解除審査をやるとか、認定中は公共調達入札への参加は一切禁止にし、他の企業も下請けとして採用するのも禁止するなど、もっと規制をかけていいはずです。出ないとこういうブラック企業はのさばるだけだし。

 最後にこれ書いてて思ったけど、よく優良企業認証もらった会社は認証マークをホームページに貼り付けますが、反社認定企業も販社認定マークを必ずホームページの目立つ個所に掲載するよう義務付けたらめっちゃ楽しいと思う。っていうか中国なんかこの辺の企業の信用度をかなり細かく公的サイトが公開していますが、もっと日本の積極的に反社認定してった方がいいでしょう。

龍馬は何故脱藩したのか?

 昨日ようやく漫画の「風雲児たち」を幕末編を含めて読了しました。連載期間が40年超に及んだことから分量も膨大だったため時間がかかりましたが、作者のみなもと太郎が亡くなったことで高杉晋作が品川焼き討ちを仕掛ける微妙なタイミングでの幕切れとなっています。

 それでこの漫画を読んで自分もこれまで知らなかった事実を大いに学び、高野長英とかにも興味持ったりするなどかなり影響を受けているのですが、改めてこの本読んで気になったというか腑に落ちなくなったのが見出しに掲げている坂本龍馬の脱藩理由です。
 なお「風雲児たち」の中では恐らく作者のお気に入りなためか龍馬に関するページ数は多くなっています。ただお気に入りが過ぎているというか龍馬が出てくる下りはほかのページと比べ扱いが必要以上に大きく、且つ脚色も強くなされていて読んでて「なんじゃこりゃ?」というような違和感を強く覚える構成になっています。特に龍馬の評価がダダ下がりしている現在からすると、かえって史実から遠ざかる描き方のようにも見えました。

 話は戻しますが、坂本龍馬は桜田門外の変から2年後の1862年に土佐藩を脱藩して浪士となっているのですが、一体どんな理由で脱藩したのか、これまであまりその点について追及する解説をついぞ見たことがないということに気が付きました。これは「風雲児たち」でも同じで、龍馬に関するページ数は多いのに脱藩シーンについてはほとんど何も書かれておらず、この点に違和感を持ったことが自分が気になったきっかけでした。

 それで改めてこの点についてほかの人の主張なり解説を見てみようとネットで色々検索してみたのですが、元々フィクションというか脚色濃く語られることの多い人物なだけに、脱藩理由についても複数の説が展開されています。言い方を変えると、これという定説が定まっていないという印象を受けました。
 そんな展開されている説をいくつか挙げると以下の通りです。

1、藩を超えて日本という国単位での憂国意識に目覚めたから
 結論から言えばこれはあり得ない説だと思います。後の大政奉還の提唱などから龍馬は日本という国単位で物を考えていたと思われがちで、その延長からかこの脱藩も土佐藩という枠を超えて行動するため動きやすくなることを目的としたものだったとする説です。
 しかし、そもそも龍馬の脱藩は単独犯ではなくほかに同じ土佐藩士数人と一緒に行われており、またこの時点でそう言ったビジョンを彼が持っていたかとなると正直疑問です。これはほかの説にも言えることですが、自分が把握する限り龍馬自身が脱藩理由について自ら説明する文書などは残されておらず、仮に憂国意識からの脱藩であれば何かしらその考えを書き残したり、ほかの人に伝えていたのではと思うとやや不自然に感じます。

2、武市半平太とそりが合わなかった
 これは有力な説として語られることの多い説ですが、当時の土佐藩では重役は公武合体を指示していたのに対し、下位の若手藩士の間では公武合体などもってのほか、尊王攘夷(+倒幕)を徹底すべきという思想が強く、特に若手藩士の首魁で土佐勤皇党のトップであった武市半平太はかなり過激な思想を持って尊王攘夷を訴えていたそうです。
 この武市が龍馬の脱藩直前に企んでいたのが、土佐藩の重鎮である吉田東洋の暗殺でした。これ以降も武市は手下の岡田以蔵を使って関西地方で暗殺を繰り返すテロ活動に従事していますが、自分が所属する藩においてもこうした暗殺を平気で手段としていた当たりその過激さが際立っています。こうした武市の強硬路線に土佐勤皇党に入っていたとはいえ拒否感を示し、袂を分かつために脱藩したというのがこの説です。
 またこの説にはほかにも龍馬自身が吉田東洋の暗殺を指示された、または巻き込まれそうだったから逃げたという説も見られます。時期的には龍馬が脱藩したのが3月、吉田東洋の暗殺が4月と近くあり得ない説ではないと思うものの、これという根拠もなく、あんま声高に主張する説ではないなという気がします。

3、土佐藩の指示で隠密活動を行うため脱藩を装った
 これもその後の龍馬の行動的にこれはあり得ないのでいちいち解説しません。小説のネタとして使おうにも無理があるでしょう。

4、寺田屋事件のきっかけとなった京都蜂起(伏見義挙)に参加するため
 1862年のこの年、薩摩の島津久光が兵を挙げて京都に来ていました。これは武力を示しつつ天皇から勅をもらって、その勅を幕府に報じる形で薩摩藩が政治に参画し、幕府に改革を促すことが目的でした。この改革方針は基本的に公武合体路線で、久光に倒幕の意思はありませんでした。
 しかしこの久光の出兵について過激派浪士らは意図的に、「薩摩藩は朝廷から倒幕の勅を得て、そのまま倒幕するつもりだ」と吹聴し、久光の意思を無視してそのまま強引に蜂起して倒幕戦争を始めようとしていました。この首謀者はのちに新選組のもととなった浪士組を作る清河八郎だとされてますが、浪士組結成時も嘘八百並び立てて行っているあたり、やりかねない人間だなと私も感じます。

 ただこの清河らのデマはかなり効いて、当時京都には真に受けた過激派浪士が大量に集まり、久光の到着と号令とともに京都所司代を襲う計画を立てるなど、一斉蜂起する気満々でした。結果的にはこうした過激派の動きを問題視して未然に暴発を防ぐため、薩摩藩自らが蜂起首謀者らを粛清(寺田屋事件)したことで事なきを得るのですが、龍馬が脱藩したのはこの京都蜂起に参加するためだったのではという説を唱える人が多いです。
 というのも龍馬の前に脱藩した吉村虎太郎が脱藩の直前、使いで長州の久坂玄瑞に会った際にこの京都蜂起の計画を聞き、ほかの土佐勤皇党メンバーにも伝えていたそうです。吉村はまさにこの京都蜂起に参加するために脱藩しており、彼に続く形で土佐勤皇党からはその後も脱藩者が相次ぎ、これに続く形で龍馬も脱藩しているのですが、時期的にも状況的にも確かに龍馬も京都蜂起に参加するために脱藩したように私も思えます。

 もっとも、龍馬が京都に辿り着く前に寺田屋事件が起こって京都蜂起はおじゃんとなったわけですが、恐らく龍馬本人もこの時肩透かしを食らったような状態だったと思います。必死の決意で脱藩までしたのに蜂起そのものがなくなってしまい、土佐に戻ろうにも脱藩したので戻れないし、何か活動しようにも支援者もおらず、この時からしばらく彼の動静は見えなくなっています。最終的に行く宛てもなかったのか8月になって江戸に入り、かつて通った千葉道場に居候するようになるのですが、この点一つ取っても彼の脱藩には何かしら明確な目的がないように見え、それは京都蜂起が流れてしまったためというのなら得心が行きます。
 また同時に、彼が後に文書などで脱藩理由について一切触れなかったこともこれなら納得がいきます。まさか蜂起に参加しようと脱藩したら蜂起自体なくなってしまって放浪状態となったなんて、格好悪くて書き残すことなんてできないでしょう。仮に以上の通りなら、結構冴えない理由で龍馬は浪人になってしまったのだと思います。

2025年5月12日月曜日

千葉のマッドシティ~もり一(回転寿司店)

 本題と関係ないけど金曜夜に自転車乗ってたら突然前の電動バイクが急に方向転換して、慌ててブレーキを全力で握ったらドロップハンドルなため薬指と小指だけで握る形となり、ありえんくらいの力で握ることとなり「あ、やった」という言葉が頭に浮かびました。
 幸い、30㎝くらい後輪スリップしたけど衝突は免れましたが、案の定というか数時間後から右手の握力がなくなるというか筋肉の痛みがひどく、今はもうだいぶ落ち着いたけど一昨日なんかマジで物握れないくらい筋を痛めていました。頭文字D的に言えば、ブレーキの利きが悪くなった32みたいな感じでした。


 話は本題ですがなんかまた松戸について書こうと考えてネタになるところを必死で思い出したら、ここが浮かんできました。この「もり一」というお店は回転寿司屋なのですが、松戸駅からマジで目と鼻の先というか歩いて数十秒な位置にあり、休日ともなればいつも混んでいてすぐには席に着けないくらいの人気店です。

 この店ですが私が子供のころからずっとあり、自分の記憶でも松戸で映画を見た帰りによく親に連れてこられていた気がします。当時はまだ回転寿司屋が少なく、というより今みたいな回転寿司チェーンなんてほぼ存在せず、寿司を食べるとしたらローカルな回転寿司屋か小僧寿しくらいしか機会がありませんでした。
 なお小僧寿しに関しては疲れているときによく「小僧憎し」と見えることがあり、こう見えたら休まなきゃと思うバロメーターとして使っています。

 具体的にいつからこのもり一があったのかについては残念ながら把握してないですが、私の子供の頃の記憶から逆算するに、少なくとも40年くらいは営業しているのではないかと思います。あまりこの店を取り上げる人は多くないですが、松戸駅前のランドマークと言っていいお店じゃないかと思います。

 そんな松戸史的にも重要文化財なこのお店ですが、残念ながらある時期を境に私はピタリと訪れることがなくなりました。その理由は回転寿司チェーンがほかにもできてより家の近くのお店に通うようになったことが一番大きく、とくにうちの親父がかっぱ寿司が大好きなため、かっぱ寿司が家の近くにできてからはもうほぼここ一択になっています。
 次に、行こうと思っても人気が高すぎていつも入れないため、足が遠のいたってのもあります。そもそも自分の実家は松戸市内じゃなく隣の流山市にあるため、このお店にふらりと立ち寄るような距離でもなく、また松戸にそこまで頻繁に用があってくることもないため、ほかにも回転寿司屋で選択肢ができてきた今となってはなかなか足が運びづらくなったわけです。

 ただ成人してから一度は確実に言っています。具体的には2013年ごろで、この時はマジで髀肉之嘆をかこっていたというか日本社会がまともに自分を受け入れてくれずしょうもない会社で働いており、住居も松戸駅前に構えていました。松戸駅前に住んでて自然と店の前も通ることから子供の頃の記憶が蘇り、ある日混む時間帯の前にこの店に入って食事したのを覚えています。

 その後は松戸を離れたこともあってまた足が遠ざかったのですが、先の訪問からもう一度だけ訪れるチャンスが1回ありました。それは2014年の2月のことで、うちの親父と松戸出身の友人と三人で食事しようという話になり、せっかくだから親父も懐かしむだろうと思ってこのお店に行くこととしたのですが、その日は2月8日であったため、訪問することがかないませんでした。一体この日に何が起きたのかというと、詳細は次の記事にまとめてあります。


 詳細はマジで上の記事読んでもらいたいですが、その日に関東は大雪となり、電車もほとんど動かなくなったため中止となりました。っていうか自分はこの日、勤務先から帰宅する常磐線が途中でストップし、雪降る真夜中に車両からも追い出されて一晩超すというどえらい目にもあっています。っていうかマジでこの時のJRの対応はニュースにならなかったのがおかしいレベルだと思います。

 その後、この時の食事会の計画は再び立ち起こることなくそのまま消え失せてしまい、もり一に行くこともその後全くなくなりました。ただ松戸駅前を通るたびにこの店の前も通り、いつも繁盛しているのを見ると、それだけすごいお店なんだという気がいつもします。ここといい新松戸のレッドロブスターといい、なんか松戸は妙にしぶとい店が多いような。

2025年5月11日日曜日

川崎ストーカー殺人事件の論点

あまりにズサン…川崎ストーカー事件で20歳女性見殺しの神奈川県警を待ち受ける「最悪のシナリオ」(ダイヤモンド)

 素人があんまこういうのに言及するのどうかなと思って特に触れずにいましたが、ちょっとネットの反応とか見て思うところがあるため、先日発覚した川崎ストーカー殺人事件の警察の責任問題について自分の意見を残すこととします。

 事件の詳細については割愛しますが、何故事件が起きたのかに関しては「川崎だから」で若干説明がつくような気がします。同義語として、「足立区だから」、「旭川だから」、「松戸だから」も含まれます。

 冗談はさておきこの事件に関しては被害者が行方不明となりながらも神奈川県警が積極的に捜査せず、遺体発見まで白骨化にも至る数ヶ月もかかったばかりか、犯人の海外逃亡まで許しております。こうした状況から発覚当初は神奈川県警への批判も多かったものの、その後の続報で加害者は被害者にかねてからストーカー行為を繰り返していたものの、両者は何度も復縁するなどして不規則な関係が続いており、神奈川県警は明確な接近禁止措置を採ることができなかったと報じられました。
 この続報を受け一部のネット意見を見ると、確かに面倒なカップルだということで神奈川県警も対策を採れなかったのでは、被害者にも落ち度があるのでは、事件性はないというか対応したくなかったのもわかるなどというものが出て、神奈川県警にそこまで責任があるのかという反論も出始めてきました。

 結論から述べると、この事件は行方不明前後で分けて考えるべきで、その上で遺体発見に遅れた神奈川県警の落ち度は火を見るより明らかだというのが自分の見方です。

 まず遺体発見前、というより被害者が行方不明になる前までの警察の対応に関しては、仮に報じられている通り被害者と加害者が復縁を繰り返していたとすれば、事件を未然に防げなかったとはいえ警察が接近阻止措置を断固採れなかったというには一理あり、その責任を一方的に追及できるかといったら議論の余地があります。
 しかし行方不明となって以降に関しては、本人とも直接連絡が取れず、またガラス窓を切ったこれ以上ないくらい明白な侵入の形跡がありながら捜査を徹底せず、遺体発見に数ヶ月も要したというのは理解の使用がありません。一部報道によると、ガラス破片が室内にあったことから自作自演と考えた担当刑事は事件性はないと主張し、「これで事件だったら刑事を辞める」とまで啖呵を切ったそうですが、自らが無能であることを声高に主張しているに過ぎないし、その報告を真に受けた上層部もちょっと頭がおかしいとしか言いようがありません。

 また私の考えとしては、自作自演だとしても本人確認がその後もずっと取れず行方不明が続いている時点で、事態は深刻だと捉えられないというのも一般人としても感覚がやばいとしか思えません。しかもこの間、犯人の親族からも犯人が殺害したかもしれないという証言が寄せられ、前述の通り犯人も海外逃亡していたにもかかわらず数ヶ月にもわたり捜査を放置するなんて日常生活もまともに送れるか疑わしいレベルです。
 少なくとも行方不明から一週間経過した時点ですぐに動いていれば、遺体発見がここまで遅れることはなかったでしょう。

 以上をまとめると、行方不明となるまでの神奈川県警の対応というか責任に関してはまだ議論の余地が感じられるものの、行方不明以降の対応は怠慢以外この上なく、帰国してきたからよかったものの現実に犯人の逃亡というほぼ最悪の結果まで許しており、無能な関係者の処分は間違いなく必要な案件だと私には思えます。
 この事件に関して神奈川県警は内部で検証を行うとすでに発表していますが、私に言わせればそもそも検証が必要かと思うくらいその失態、サボタージュが明白な案件で、検証を行うというその行為自体が理解できないものです。むしろ関係者の処分がすでに発表、実施されていなければおかしいというレベルの失態であり、最低でも行方不明時に現場検証すら行わなかった刑事は二度と刑事事件捜査をやらせてはならないレベルの大失態でしょう。

 ただそれ以上に、上記のように行方不明の発生前後で神奈川県k寧の責任に言及する記事や意見が、少なくとも私が見た限り世に出ていないということもまた結構信じられない事態だったりします。中には前述の通りに事件前の被害者の行動を見て神奈川県警に非はないという輩まで出る始末で、この記事のように前後で論点を分けて考えられない人がまったくいないという事態の方が自分には奇妙に感じてたりします。

2025年5月10日土曜日

映画「攻殻機動隊」を久々に見て

 先週、風呂屋に行ったら鍵番号が「1574」で、中国語で語呂合わせすると「要我去死(俺を死なせてくれ)」と読めるため嫌な気がしました。そしたら昨日行ったら今度は「1414」でこっちは「要死要死(死ね死ね)」と読め、あの風呂屋は自分を殺しにかかってきていると信じて疑いません(´・ω・)

 話は本題ですが週末何か見る映画がないかと近くの映画の上映プログラムを見たら、何故か30年前に公開された「攻殻機動隊」の映画が入っており、特に予定もないし久々に見てみようと予約しました。昨夜の予約時点で座席は自分の分しか埋まってないため自分一人のオンステージかと思いきや、現場に行ったら自分を含め観客は4人くらいいました。

 作品そのものの感想は過去にも色々考察しているので省きますが、今回改めてみた感想として公開から30年も経っていますが古臭さは感じず、かえってCG作画が一般的となった現代において淡い色彩の感じられる動画は新鮮に映りました。

 その動画について、たまたまですが見ていて「ああこれ、エースコンバット3だ」と思いながら見ていました。傑作戦闘機シミュレーターシリーズのエースコンバットにおいて鬼子ともいえるのがこの3なのですが、リリース当時はまだ興味がなく遊んでいなかったことからたまたま先週にネットの解説動画を見ていたのですが、この3で使われているアニメと攻殻機動隊には明確な共通点を覚えました。
 それもそのはずというか、どちらの作品もアニメを制作しているのはプロダクションIGで、製作時期も4年を挟んでいるだけです。具体的な共通点としては、ブラウン管を思わせる横線の入った画面や、コンピューター上のマッピングが淡い緑で表示される、あと中年男性の皺の描き方とかが互いに似通っていると思いました。

 もっとも似通っているのは映像だけでなく、ストーリー面も「人格を持ったAI」と「自分はヒトかAIか」という自己同一性に対する疑念というか不安を煽るテーマ性でも共通しています。ただこれは漫画の攻殻機動隊が先鞭をつけたのは間違いないですが、エースコンバット3に限らず90年代の作品の多くに見られる特徴で、エヴァンゲリオンとか私も大好きな「Serial experiments lain」でも見られます。この頃のオカルトや心理学ブームが背景にありますが、それ以上に冷戦終結と9.11までの狭間という特殊な時代性ゆえに流行したテーマだったんじゃないかと思います。
 面白いのはこの自己同一性のテーマが、00年代に入ると途端に消え失せてしまうという点です。有名作品で唯一近いテーマを取り扱っているのは漫画の「鋼の錬金術師」くらいですが、それ以外となるとマジで90年代の作品のようなテーマを扱う作品は見当たりません。20年代の現代においてはいわんやです。

 このテーマに関してはやはり攻殻機動隊と先ほどのSerial experiments lainが図抜けていたというか、当時しばらくは多くのフォロワーを生んでいたし、現在においてもカルト的人気を維持していると思います。Serial experiments lainのゲームは自分も発売日に買いましたが、ファンが製作する精神的続編の「//Signal.」も発売された買ってみる予定です。

 話を映画に戻すと、出演している声優はどれも蜀の五虎代将クラスのレジェンド声優ばかりですが、一聴して「声が若い(;゚Д゚)」と感じました。同じ声優とはいえ30年前と最近の声ではさすがに張りで違いがあるというか、大塚明夫氏も如何にも威勢のいい声を出しており、年月の経過というものを感じざるを得ませんでした。田中敦子については言わずもがな( ;∀;)
 なお声優に関してはもう一つ、ラストの少女の義体に移ったばかりの素子の声がかつて見たときも今回見たときも「なんか妙に耳に残る声してやがるな( ´ー`)y-~~」と思ってスタッフロールを見たら「坂本真綾」と書かれてあって、「お前おったん(;゚Д゚)」と劇場で声出そうになりました。当時、出演していることを全く知らなかったというか、本格的に売れ出すのはその後だしなぁ。

 最後にどうでもいい点ですが、この映画では街並みは香港をモデルに作られているのですが、表示される中国語の看板を中国の映画館で見ているという点で少し思ったのと、それら看板に対してもはや何の違和感や特殊感を覚えなくなった自分がもはや過去の自分じゃないんだねなどと感じてみていました。

2025年5月8日木曜日

ラファール被撃墜の衝撃(;゚Д゚)

 恐らく全世界の航空ファンが衝撃を受けたと思いますが、先日のインドとパキスタンのカシミール地方で起こった衝突にて、インド側の戦闘機がラファールを含め5機撃墜されたと報じられました。このラファールはフランス製最新機でこのところセールスも好調な機体なのですがそれ以前に、撃墜したパキスタンの戦闘機があのJ-10こと中国製戦闘機だったということもあり、色々と議論が盛り上がっています。

 まずラファールについてですが、ぶっちゃけ自分も大好きな機体で前からプラモ作りたいけどちょうどいい1/72サイズのキットがあまりなく(1/48ならアカデミーが出してるが)、一度1/144で作ったことはあるけどあんまいい思い出じゃありませんでした。
 このラファールはユーロファイターと姉妹機というか途中までフランスもユーロファイターを共同開発したけど抜けてしまい、その後共同開発で得た技術を使ってフランス風に仕上げたのがラファールでした。特徴はフランス純正なのでアップデートが早いのと、空母にも載せられる万能性ですが、一番は米露と無関係な第三国製戦闘機ということで政治的障害を受けずに購入しやすい点から割と世界のあちこちで買われています。

 一方、殲-10ことJ-10ですが、これは中国が独自開発したと勝手に主張している機体です。この機体以前に中国はロシアからミグを買ってライセンス生産してましたが、中露対立から一時調達できなくなって困った矢先、イスラエルが独自開発してたけど最終的に米国からF-16を買うこととなって計画が中止された「ラビ」という戦闘機を、技術者ごと中国が買い取って完成させたのがこのJ-10と言われています。
 中国版Wikipediaこと百度百科では中国が独自に開発したとして中国人の開発者が写真入りで載せられたりしてますが、中国人自身ですら「あれは元はイスラエルの飛行機だよ(´・ω・)」と航空ファンならだれもが認めており、なんかこの点見てるとつくづくエンジニアに対する敬意のない国だなと感じます。

 ただこのJ-10ですが就航は1990年くらいだったと思いますがその後アップデートが続けられており、今回パキスタン軍が使った機体は最新型のC型ことJ-10Cだったといわれています。一度も実戦で使われた経歴がないため実力が見えない点がありましたが、少なくともラファールを落とす能力を今回見せられたということで、恐らく今北京ではみんなで乾杯の音頭を繰り返してるんじゃないかと思います。
 ちなみに形状がほぼ同じのJ-10Bであれば過去に一度プラモを作ったことありますが、自分のミスで何度も墜落事故こと落下させてしまってぼろぼろとなったので捨ててしまいました。トランぺッターのキットだけど、微妙に作りづらいというか精度も甘いからあんま好きじゃないキットでした。とはいえC型も前から作りたいと思っていたので、今度買ってみるのもありかもしれません。

 といいながら、昨日また戦車のM4A3E2ジャンボのキット買っちゃったんだけど。

 最後に蛇足かもしれませんが、イスラエルの戦闘機はラビの開発前はエリア88にも出てくるクフィルという独自開発機が主に使われていました。独自開発というもののそのベースは明らかにフランス製のミラージュ3だと見られており、後継のラビことJ-10もデルタ翼という形状からミラージュの系譜を引き継いでいるという印象があります。
 そう考えると今回のインドとパキスタンの空中戦は、フランスに源流を持つ戦闘機同士の対決だったという風にも見えます。まぁ中国の戦闘機はロシアの影響が今は強いため、管制とかもロシア系なのかもしれませんが。

2025年5月7日水曜日

何故「何故日本からジョブズのような人が出てこない?」と言わなくなったのか

 GW中は「ニーアオートマタ」とか買いましたが一切遊ばず、ひたすら「アストリブラ」を遊んでいました。もうこれ何度もクリアしているけど何度だって楽しい、遊んでない人はマジで人生損している気がします。

 話は本題ですがアップル全盛期だった2010年頃、今回の見出しに掲げた「何故日本からジョブズのような人が出てこない?」ということを書いた内容の記事がやたらめったら出ていました。感覚的にほぼ毎週どこかしらがこの手の記事を出しており、私自身も「何回言うねん」と何度も思いましたが。ほかの人も似たようなものだったらしく以下のようなコメントもまとめられてました。


 この中では「『何故、日本にはスティーブ・ジョブズのような説得力のあるプレゼンのできる経営者がいないのか』って言ってる人は、ジャパネットたかたの高田社長を知らない人なのかな」ってコメントがなんか一番好きです。

 話は戻りますが、かつては馬の耳に念仏唱えるくらい言われた「何故日ジョブズ」はこの2025年現在においては全く見ることがなくなりました。これは何故かといえば一番は単純に当のジョブズが逝去して日が経っていることで間違いなく、何となく彼自身も過去の人になってきたというかかつてのジョブズ信者もだんだん彼のことを忘れてきているような感じがします。
 次に、ジョブズというかアップルもピークを過ぎてしまったというか、iPhone、アイウォッチ以降はこれという新規ヒット商品が出ず、iPhoneのシェアも日本国内ですらじわじわと削られてきており、アップルのブランド力が落ちてきたことも影響しているでしょう。驕る平家とまではいわないですが、それでもかつてと比べるとアップルの威容はかなり落ちてきていると感じます。

 なお当時のこの手の記事はどれもグダグダで、クソどうでもいいことばかり書いてて肝心要の出てこない理由について得心する解釈を書いた記事はついぞ見ることはありませんでした。なので私の方で日本からジョブズのような天才肌の人間が出てこない理由をここで説明すると、単純にあらゆる意思決定が集団合議制でなされ、権限と責任を可能な限り分散させる仕組みになっているからです。
 いかに天才と言えども、個人で行えることには限度があります。世の中で大きな力を振るうには集団を行使しなければなりませんが、日本の社会は特定の人物に権限を集中させることを極度に嫌い、必ず合議制などにするので天才が力を奮おうにも奮えない、奮い辛い環境となっています。

 こう書くと日本は遅れた社会のように見えますが、権限を分散させることで特定人物による権力の濫用や暴走を防ぐ安全な仕組みにもなっており、中国やロシアの現状を見ると決してマイナスばかりではないと私は考えています。もっとも権限とともに責任も分散して、ミスっても誰も責任を問わないというか無能でもそのまま意思決定権者の一人として残り続ける悪弊もあるのと、この前のフジテレビのように経営陣が無能で揃えられるという最悪パターンもあるっちゃありますが。

 話を「何故日ジョブズ」に戻すと、仮にジョブズが過去の人となりつつあるとしても、その他別の人物もこの手の比喩というか日本での天才待望論にっこのところ引用されてません。なにも天才とされる人物はジョブズだけじゃないにもかかわらず、一昔前と比べるとこの手の天才待望論をめっきり見なくなった気がします。
 それは何故かといえば、単純に今の日本はあまり天才を求めていないくらい経済社会が安定しているからだと思います。

 何度もこのブログで書いているように、一昔前と比べると今の日本の状況はかなり改善されているというか上昇気流にうまく乗っているように見えます。トランプ関税の不確実性こそあるものの、あれも日本に限らず他国も影響を受けるため、日本だけが煽りを食らう状況じゃないためそこまで悲観視するものではないでしょう。
 経済指標はどれもプラスというか雇用も賃金も改善しており、産業こそエレキは死にましたが2010年の段階ですでに死んでいたので失うものなんてありません。その一方で観光業が強まっているし、何より人口が減って食わせなければならない人口というか負担も減っており、江戸時代かというくらいの米価の高騰もありますが餓死者が出るほどではありません。

 ちなみに私の感覚では、2010年くらいまでは毎年数回は餓死者発生の報道を見ていた気がします。ここ数年はそれがなくなり、実際は出ているだろうけど前ほど日本人の生活は追い詰められた環境にはないという気がします。

 このように細かい点を突けばいろいろ不満が出てきますが、かつてと比べると日本の状況はあらゆる方面で改善されており、前ほど切迫していないから天才待望論も盛り上がらないんじゃないかと思います。まぁ前述の通り、日本に天才がいても権限を大きく付与して盛り立てる風土がないため、その手の天才は自分で独立起業するでもないと力を発揮できないからいてもあまり意味ないですが。

2025年5月5日月曜日

トランプ政権はネオコンか?

米 アーミテージ元国務副長官 死去 79歳 アジア通で知日派(NHK)

 ちょっと古いニュースですが、上のリンクの通りにアーミテージ元国務副長官の逝去ニュースは私も印象に残りました。なおヤフコメを見ていると「日本を操ってたやつが死んだ」、「ざまぁ」みたいなコメントが多数見受けられましたが、これって逆に言うと米国の意のままに操られていることを自覚している連中が多いという皮肉だという気がしました。米国の日本に対する影響は確かに強いと思いますが、その意向が日本にとってもプラスだから日本政府も従っているわけで、鳩山政権とか覚えていないのかとそのコメントした連中には思いました。

 話を戻すとこのアーミテージは折々というかイラク戦争後に日本のイラク派遣を強く勧めてきた人物で、結果的に日本も派遣することとなりましたが、派遣地で自衛隊は迫撃砲打たれたこともあったけど奇跡的に死傷者は出ず、また現地住民にひどく親しまれ、「どうやっててなづけたんだ?」とマジで米英から問い合わせが来るほどだったそうです。米国追従と言えばそれまでですが、自衛隊が去った後に現地サマワの治安は悪化したとされ、また実際にイラク攻撃に参加していない中立国日本だからこそ治安維持する価値があるという見方から、自分はこのイラク派遣は国際平和に価値ある派遣だったと考えています。自衛隊の活動範囲を広げるという意味でも。

 そういうことからアーミテージに対し嫌悪感は特になく、それどころかその後折々のインタビューを見ても知日派の異名通りに日本に対する見識が深く、だからこそイラク派遣は日本にとってもプラスという信念でやっていたのではと感じていました。それだけに今回の逝去は年も年とはいえやや寂しく感じるとともに、「そういやネオコンって単語聞かなくなったな」

新保守主義(Wikipedia)

 一応リンクを付けましたが簡単に説明すると、ネオコンとは米国における新保守主義と呼ばれる政治思想、経済主義で、日本においてはまさに00年代前半のブッシュ政権時にしつこいくらい使われていました。具体的な特徴としては自由主義を標榜しながら反米国には容赦なく、武力による制圧も辞さないけれど、経済的には米国が有利となる自由主義、特に金融面での規制撤廃を含むグローバリゼーションを強烈に普及させようとするのが当時の特徴でした。
 日本では否定的に使われることが多く、当時の印象で述べればどことなく、ナチスを彷彿とさせるような言い回しでこのネオコンを口にするコメンテーターらが非常に多かったです。特に金融のグローバリゼーションに関しては竹中平蔵氏がまさに米国の尖兵であり、彼の行おうとした改革への批判を込めて今は無きアンチグローバリゼーションという言葉も当時ありました。っていうかこの言葉は死語化が早すぎ。

 そんなネオコンですが、ある年を境にピタリと消えます。それは2008年で、この年にリーマンショックが起きたからです。それまでネオコンが進めていた金融の自由化、規制の撤廃、グローバル化がこの時すべて裏目裏目に出て、過度な金融自由化は逆に危険で、米国自身の首をも締めるという認識が広がるや、ネオコン思想は急激に退潮していき、私の記憶では2009年にオバマ政権が生まれた後は誰も「ネオコン」なんて口にしなくなった気がします。

 ただ口にしなくても、政治思想というか価値観が消えるわけではありません。そこで出てきたのが冒頭の「トランプ政権はネオコンか?」という観点なのですが、結論から言えばネオコンではないものの、その影響を受けているのではと思う節があります。

 前述の通り、ネオコンの最大の特徴は経済、特に金融の自由化(米国が有利となるための)ですが、この点に関してトランプ政権は真逆ともいうべき価値観を持っています。関税引き上げをはじめ重商主義的保護貿易政策を強く打ち出しており、また金融業に対してはエリートに対する嫌悪感を隠そうとせず、FRBへの態度を見ているとただ単に無理解というのもあるでしょうが、特に便宜を図ろうともせず興味がないように見えます。
 一方、米国第一主義というのはむしろブッシュ政権時の旧ネオコン以上に強く、世界における米国の地位を、すでにトップであるにもかかわらず、さらに他を寄せ付けないものにしようという意識が強いです。この辺、根拠はないけど自分が一番でいたいという価値観にも見えます。

 旧ネオコン勢力がどれだけトランプ政権に参画しているのかはさすがにわかりかねますが、何となく、その主張を見ていると根底にあるのはブッシュ政権時のネオコンの思想に近いような気がします。具体的に言えば危機感で、強いテコ入れをしないと米国が1位でいられないというか、強引な手段を厭わないという点でネオコンらしさを覚えます。もっとも、運営手法は雲泥なほど拙いですが。

 しかしこうして今回ネオコンかどうかを考えてみましたが、改めて考えるとトランプ政権の政治思想について言及する記事が少ない気がします。その政治信条、周辺メンバーの思想背景とかもう少し分析があっていい気がするのですが、ハナからあきらめてるのか誰もしようとしません。私自身もあまり乗り気じゃないですが今回述べたように、どことなくネオコンの影響があるのではと思う節があり、20年くらい前のトランプを追ってみるのが、今後の彼の行動を読むうえでも何か一つのヒントになる気がします。

2025年5月3日土曜日

何故その造形に至ったのか?





 例によってまた家でF9Fパンサーのプラモを作っていました。すぐに作り終えるかと思っていたらデカール貼りの要求が結構鬼レベルなキットでした。


 この機体は前からいつも買ってるお店で売ってるのを見て買おうかどうか悩んでいたところ、上のリンク先にある通り歴史人が紹介する記事を出してきたため、乗せられる形で買うこととなりました。ハセガワは歴史人を使い、自分に対しステルスマーケティングを仕掛けてきたのではないかと勝手に疑っています(´・ω・)

 そんなこんだで戦闘機のプラモを作り始めてから来年でちょうど10年目くらいに突入します。それ以前からも戦闘機の構造については若干興味があったというか、以前にも書いたように90年代の日系WRカーのフロントボンネットにあるエアインテークという大きな穴が何故あるのかと気になって調べたところ、自動車以上に航空機のエアインテークの方が重要と説明されているのを見てから興味を持ちました。
 そもそも何故自分がこれほど戦闘機の模型を作っているのかというと、趣味と言えばそれまでですがそれ以上に、何故その造形に至ったのか、どうしてこんな形状をしているのかということを知りたいに尽きます。

 言うまでもなく、戦闘機というのはカッコよさを求めてそれぞれの造形をなしているのではなく、航空力学や装備的に求められた結果としてああいう形となっています。例えばホーネットなんかが特に極端ですが、翼の付け根からノーズの方に少し伸びた翼端ことストレーキについても、旋回速度を高めるという効果がはっきりと証明されているからつけられており、こうした構造の背後にある理由というか説明を見るのがことのほか好きです。こうした原理なり背景なりを知ることと、立体でそうした形を手に取って確かめるという目的で、この10年近く黙々と何十機も模型を作り続けてきました。

 こうした構造に対する好奇心から模型に手を出す人がほかにいるのかという気がしますが、いないとしても私自身としてはほかの人、特に子供なんかにはやっぱりこういう模型を通して利便性を追求した美というものをぜひ感じ取ってらいたいと密かに思います。
 この辺、ガンダムとかでも初期の機体なんかはそうしたものが感じ取れましたが、最近の機体は線が多く見栄えばかり優先され、軍事的必要性が薄れた形状が多くてあまり好きじゃなかったりします。初期のザクなんかはその辺の軍事的ディテールが良く生きた機体だったから人気出たと思うのですが、同じく空力学的に非常に合理的なアッシマーはなんかそれほど人気じゃない気がします。なんでだろう(´・ω・)

 ちなみにこの連休、前にも書きましたが連休直前にコロナ感染したため木曜日は休養に充て、昨日の金曜はまた佘山という山に往復50㎞のサイクリングに行ってきました。見てくれはサイクリングですが、25㎞走って、めちゃ低い山ですが30分で踏破した後は休む間もなくそのまま25㎞走って帰るトライアスロンでした。そのせいで今若干膝痛いです。
 今日はそんなわけで今日はあんま動きたくなくてプラモ作りましたが、明日は連載しているロボステップの記事でも仕事として書こうかなと考えています。結構ネタ尽きてきてきついですが、ロボットの電池事情についてでも書こうかと今検討しています。

2025年5月1日木曜日

米中貿易戦争で勝つのはどっち?

 ようやく今朝になってコロ検査キットが陰性になり、意識的にも復調を感じます。でも今回、ポン酢を苦いと感じるなど以前の観戦時にはなかった味覚障害が明確にあり、今もなんかコーラがやたらまずく感じます。さっき食べた店売りの塩焼きサバはめっちゃうまいと感じたんだけど(´・ω・)

 話は本題ですが目下開催中の米中貿易戦争。どっちが勝つのかと聞かれるまでもなく「米国側に決まってるじゃん」という声が大きいですが、私は逆で、長期的には中国に分があるのではないかと今考えています。理由は単純に、米国が貿易戦争を仕掛けているのは中国だけじゃないからです。

 言うまでもないですが、米国というかトランプ政権が始めたこの関税競争は現時点においても完全なミスと断言できます。仮に中国限定で行うならばその封じ込めとしては価値があったでしょうが、愚かにもほぼ全ての国を対象にしたばかりか、最も脇を固めなければならないカナダ、メキシコの近隣諸国を最初のターゲットにするなど、これで成功する見込みなどありません。案の定、通貨、株価などのトリプル安を引き起こしてビビって本格実施を先送りしましたが、あまり反省する人間ではないので数か月後に程度を抑えてまた実行し、あらゆる指標を下げることになると予想しています。

 それで肝心の中国との貿易戦争ですが、経済規模で言えば米国の方が上なので普通にやれば米国が勝てるはずなのですが、上記の通り米国は戦う必要もない同盟国にすら貿易戦争を仕掛けており、この状況をうまく中国が利用するなら勝ち目もあるのではと考えています。
 具体的には、現在ほぼすべての国と企業がサプライチェーンの再構築を図っていますが、これを米国抜き、敢えて言うなら「Globalization without USA」を旗印にして、「米国だけがいないグローバリゼーション」体制へもっていくことに腐心するなら、逆転の目があるんじゃないかとみています。

 そもそも中国以外の国も、トランプ政権の脅迫的な行為や朝令暮改に振り回されて基本どこもいい感情を持っていません。また仮にこれらの横暴な振る舞いに対策を取ったところ、次の政権でまたひっくり返されたら対策への投資がすべて無に帰すため、現状どこも見送るというか、トランプ政権が早く終わることを祈って耐えるという選択を採っています。言うなれば、米国との貿易を短期的にあきらめるという消極的選択肢です。

 この間、中国が販売網を含めほかの国との貿易網を築くことができれば、文字通り米国を克服することになるのではというのが自分の見方です。もちろん米国も中国抜きの貿易網を作るチャンスがあるし、そもそもそれが当初の狙いですが、現時点ではこの可能性はほぼゼロだと私は考えています。理由はごく単純に上記の通り今米国は世界中からヘイトを買っているのと、トランプ政権が現状と将来に対する認識があまりにも拙く、そのような米国有利の状況を自ら作ることは絶対にできないという確信があるからです。むしろ敵を増やし、自らの状況をどんどん悪化させていくだけでしょう。

 もちろん中国も無駄にエラそうな態度を取って無意味に敵を作る常習国ですが、今回のトランプ政権の動きを受けいくらか謙虚にならざるを得ないというか少し丸くなるのではという気がします。その上で100年に一度かもしれない米国の痛恨のミスに付け込んで、うまく立ち回れるなら、この貿易戦争においてもイニシアチブがあるのではと思ったわけです。
 もっとも中国自身も不景気であるしこっちもトップの政策能力が拙いこともあり、このチャンスをうまくつかめない可能性の方が高いとも考えています。恐らくこの貿易戦争の帰結としては双方ともに大損害を抱えて終わる可能性が最も高いものの、米国は現時点で得るものはなく、中国は立ち回り方によってはそれがあるという見方から冒頭の見解へと至りました。

 それにしても日本は、今後は米国が弱くなった後の世界を考えていかなければならないでしょう。確実に米国はこの2年間でそれ以前と比べ劇的に力を落とすこととなるため、そのような世界での立ち回り方を今から考えるべきかもしれません。