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2021年8月3日火曜日

漫画レビュー「瞬きより迅く!!」

 前々から書こうと思ってたけどこの前ようやく3巻読んだので、やっと書きます。

 この「瞬きより迅く!!」は代表作に「カレーなる食卓」を持つ、ふなつかずき氏による女子高生の空手部漫画です。自分はこれ以前にふなつかずき氏の漫画は読んだことはなく、いくらか目にした範囲で美少女系のセクシーな漫画、端的に言ってややサービスショットの多い漫画を描く作家だという風に認知してました。なのでこの漫画を知った時もそれ系の女子空手漫画かなと当初思ってましたが、この漫画に介して作者のふなつかずき氏は、そうしたサービスショットを封印していると豪語しています。

 封印するだけあって、この漫画に書ける作者の熱意は正直に言って読んでても感じます。具体的に言うと、ともかく空手という競技を描きたくてたまらないというような印象を覚え、読者を楽しませつつもかなり細かいところまで協議空手のルールの解説がなされており、表紙などから一見すると美少女漫画ですが、実際にはかなりこてこてな空手漫画に仕上がっています。

 私がこの漫画を知ったのは電子書籍サイトで適当に眺めてた時ですが、何気なく目についてお試しの1話を読んでみたところ、すぐに購入を決断しました。一体何故そんなすぐ決断したのかというと、1話に出てくる胴回し蹴りの1枚絵が極端に綺麗だったからです。
 元々、美少女系の絵ではかなりの実力者とかねてから評判の作者というだけあって、各ページの絵は背景からキャラクターの表情まで相当書き込まれており、またその見せ方というか表現方法も多彩なのですが、空手という動きのあるシーンを漫画という静止画でここまで表現できるのかと、先ほどの胴回し蹴りのシーンで感じました。少なくとも自分がこれまで漫画で見て来た胴回し蹴りの中で、群を抜いて一番きれいな絵でした。

 なお胴回し蹴りの比較対象としてパッと出てくるのは、「刃牙」の地下トーナメント編で花山薫が愚地克己戦で見せた胴回し蹴りしか実は浮かんでこなかったりします。あっちも迫力ある絵だけど、動きの繊細さと見せ方では「瞬き~」のが上だと感じました。

 その後、現在出ている3巻まで読んでますが、やはりその動きのあるシーンは格別であるものの、読んでて内心「一般受けはしないだろうな」という印象を覚えました。
 「けいおん」などのように女子高生がバンド組むとかならともかく、スポコン物だととどうしてもギャップがあるし、また空手漫画自体、ヒット作はいくつかあるけどそこまで主流の題材というわけでもありません。実際作者も、サービスショットが少ないせいかこれまでの作品より売れないと呟いてるそうです。

 ただそれを推しても、試合中の瞳孔の開いた表情や、静止画で表現することが難しい瞬速の突きなど、こういう世界もあるんだと感じさせられるほど見せ方が上手い漫画だと感じるため、ここで紹介することにしました。
 個人的には2巻の地方大会戦で進行的にだれるんじゃないかと心配しましたが、主人公の通っていない他校の試合は1コマで終わらせるなどスピーディに切ってきて、この辺は杞憂に終わりました。でもって3巻では空手初心者の主人公が徐々に技術を身に着け始め、段々と読み応えが増してきています。作者がどこまで話を進める予定なのかはわかりませんが、個人的にはしばらく読み続けていきたいです。

 なお一緒に買った「ときめきのいけにえ」というラブコメホラー(スプラッター?)は、作者自身が自分のホームページで「頼むから買って、3巻出せるか危うい!」と言ってました。

 あと最後に、「瞬き~」は読んでいてつくづく、「作者はけいおん好きなんだなぁ」って感じにさせられます。


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