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2023年8月15日火曜日

中国の経済対策が失敗する理由

 たった今ふと、「いいないいな、人間っていいな」の歌詞がリンダリンダで歌えることに気が付きました。だからなんだって気もしますが。

 話は本題ですが日本のメディアもこのところ散々報じているように、中国は今全土で不景気の波に包まれています。これまで何度も中国バブル崩壊論が実現しなかったこともあって本当にそうなのかと疑う人もネットを見ているといますが、確実にリーマンショック以降としてはこれまでに体験したことのない不景気だとみんなして口にしています。またどこそこの会社でリストラが起こっているとか、知り合いが解雇されたなどといった話題が後を尽きず、私自身もコロナ流行時なんかとは比べ物にならない経済的変動が起きていると実感しています。

 そうこうしていたら今日中国は若年層の失業率の発表を突然中止すると発表しました。直前の発表では確か24%くらいでしたが、大学院への進学や就職活動を停止した若者を含めると約50%くらいになるという学者もいたようですが、私自身の実感でも50%くらいだとみています。
 実際にというか以前私が面接した新卒予定の子を例にとると、多くの超有名企業でインターンをしていて、尚且つ留学経験もあり、語学能力もマナーも非常に優れているにもかかわらずまだ内定がないと話してて、マジで普通じゃあり得ないと感じるくらい優秀な人材が転がっています。マジな話、日系企業は日本語または英語の使える優秀な中国人人材を今のうちに中国本土からかき集めた方がいいでしょう。生半可な日本人より確実に貢献すると断言します。

 それくらい今の中国の大卒就職率は悪化していますが、前述の通り既存雇用者も大量リストラにあっており、どっちを向いても全年齢で不景気です。でもってこの景気は最低でも今年いっぱいは続き、10月までに効果的な対策を打ち出せなければ来年いっぱいは確実に続くと見込んでいます。ただ現在の中国政府はその適切な対策を打ち出せないと私は見込んでおり、来年以降も不景気状態が続くともう半ば確信しています。

 一体何故中国政府が適切な対策を打てないのかと言いたいところですが、本来ならば既に何か打ち出されていなければもう遅いという段階です。夏くらいには何か出すかなと思っていたらもう8月の半ばを過ぎており、これほど時間が経過しながら景気が悪化するのを中国政府は傍観しているだけでした。ようやくここにきて事態の深刻さに気が付いたのか、焦って先の失業率をはじめ経済指標の公表をやめたり、都合のいい数字だけやたらアピールするようになりましたが、その一方で未だ何も対策を出さないあたり、よほどまともな政策運営者がいないのでしょう。

 この経済対策を出さないという点ですが、理由は非常にはっきりしており、今の中国政府の指導層は「ゼロコロナをやめれば景気はすぐ好転する」とガチで信じ込んでいた節があります。確かにゼロコロナは多くの面で中国経済の活動を制約していましたが、だからと言ってやめたら再びかっぱつかするなるかと言ったら安直もいいところでしょう。
 それ以前に、私自身の実感でいえばゼロコロナにおける極端なロックダウンによる拘束などを受け、一般消費者は抑えられていた消費に餓えるどころか、生活することそれ自体に対する疲れのような諦念を覚えたような気がします。なんとなく私自身もお金をパーっと使うことに対し以前ほどの快感を覚えず、「なんでもいいからそっとしといてくれないかな( ´Д`)=3」みたいな気持ちを抱くことが多いです。ゲームの購入金額が先月えらい金額になったことは置いといて。

 またあの極端なロックダウンを受け、職を失った人たちは数万人どころじゃないでしょう。飲食店などは特に大きな打撃を受けていましたし、経営を続けられている人たちも、去年は数ヶ月分の売上をそのまま失った一方、何の保証もなく経費は発生し続けているのですから自分のために出費するお金なんてほとんどないはずです。でもって雇用環境は現在進行形で悪くなっていく一方ですから、消費がこれから増えるかっていったら、恐らく数年は増え続けるでしょうが景気を回復させる効果はほとんどないでしょう。

 この点が肝なのですが、今の中国政府の景気対策は消費、特に個人消費の拡大しか打ち出しておらず、この点こそが中国の経済対策が失敗する主要因だと私は見ています。

 中国が何故消費拡大に躍起になっているのかというと、確か経済に占める消費割合は米国が40%台、日本が30%台に対し中国は20%台くらいしかなく、拡大余地があるためだとよく国内で喧伝していますが、そもそも消費が景気の浮沈に影響するかと言ったら自分は疑問に思っています。

 もちろん経済全体に対する要素として消費は非常に大きく無視できませんが、景気が下り坂となっているシーンにおいて、消費拡大は転落から立ち直るてことなるかと言ったら、恐らくほぼ全くならないと私は考えています。
 こう考えるのも日本の先例があるからで、バブル崩壊から約10年間、日本国内では実はずっと個人消費は拡大し続けていました。しかし消費が拡大しながら企業業績は改善せず、90年代後半に入るとその消費すらも縮小し初め、いわゆる氷河期という時代を迎えることとなりました。

 その後の小泉改革などを見ても、消費拡大がきっかけとなって景気が拡大したというより、企業業績、つまり生産高が拡大して初めて景気が良くなったように思え、下り坂においては消費が景気を立て直す効果はほぼ薄いとみています。まぁ金融効果の方がでかかっただけかもしれませんが。
 そういう意味では個人消費以上に企業活動、特に金融の不良債権処理こそが今中国に求められる政策だと思うのですが、そのような対策を今の政権は打ちだそうとしません。恐らくは分かってはいながら、不動産業界をはじめ開けてしまえば一気に大混乱が起きるパンドラの箱化しているため、なるべくなら開かずに何とかしたいと考えみすみす立ち直る猶予を失っているように見えます。

 この点を少し掘り下げると、不動産業界は中国政府の官僚や幹部ら、特に地方政府なんかは深く噛んでいるため、不良債権処理を行うと彼らの資産も大損をこくため、やるにやれないのではないかと疑っています。また不動産業界ばかり注目されていますが、地味にもっと深刻なのはその上こと金融、つまり銀行じゃないかと少し訝しんでいます。ただでさえ日本以上に手数料が入ってこない業界だし。

 以上のような観点、具体的には景気回復にあまり効果のない消費拡大に固執し続けている、自らの懐を痛めるような不良債権処理に手を付けられないという点から、中国は効果的な対策を打ち出せず、この不況は来年以降も続くという結論になります。真面目な話、首相を退任した李克強に対して、あなたなら今どんな政策を打ちますかと聞いてみたいです。彼らが政権から去ったことこそが、最大の景気変動要素だったかもしれません。

2023年8月11日金曜日

中国を巡る三つの「水」難

 7月は割と緩かった仕事が8月入ってから猛烈にやばくなってまた休日とかもちょこちょこ作業しているためか、昨夜はちょっとベッドに横になったらそのまま1時間、金縛りのように動けなくなりました。まぁ恩週末はある程度休められるけど。
 話は本題ですが率直に言って今、中国はやたらと水難に見舞われているなという感じがします。具体的には三つの水難です。

 一つ目は文字通りの水難で、先週北京北部を起こった豪雨、先々週の華南地域に大きな爪痕を残した台風です。
 ちょっと業界裏話をすると、日本でもそうですが中国でこの10年で洪水や冠水にまで至る水災害が極端に増えており、各地域で水難救助用の船やモーターボートの調達が強化されています。モーターボート用のエンジンで割と強みのある日系バイクメーカー御三家(ホンダ、ヤマハ、スズキ)もこの特需に乗っかろうと結構中国でマーケティングとかしています。

 話を戻すと幸い、自分の周りでは直接洪水などの被害に遭った知り合いはいませんが、北京の豪雨では穀倉地帯も冠水したと報じられており、中国の食糧生産にも大きな影響が出るとされています。またこの水害を防げなかった、または避難をうまく行えなかったと当局への批判もかなり出ており、かつてこの手の災害がなかったことはもとより、社会の空気がかなり重たくなってきているのを真面目に感じます。

 二つ目の水難はつい先日、南シナ海で中国の船がやったフィリピン艦船への放水です。こうした行為自体は中国にとってはそんな珍しくないような気がしますが、自分に言わせれば何故このタイミングでやったのか、その点に首をかしげます。
 ただでさえウクライナ戦争で国際間紛争がピリピリしている中であり、尚且つ中国経済もかつてないほど弱っている矢先であることを考えると、ここで領土問題を過熱させるメリットが自分には見えません。むしろこういう行為をすればするほど、米国や欧州に「中国は台湾に何かするのでは」という疑念を高め、対中半導体規制の口実を与えることになる気がします。まぁその見方で間違いはないんだろうけど。

 三つめは、日本が絡む福島原発の処理水排出です。この件に関しても中国が騒げば騒ぐほどその立場は不利になる問題にしか見えず、悪い意味で何が狙いでこんなに抵抗するのかが自分にはわかりません。
 周知のとおり日本が海洋排出を予定している処理水の放射性物質濃度は中国の原発が垂れ流す排水よりも低く、この手の排出を一切していない国ならまだしも、科学的にも合理的にも論理的にも中国が反対する理由はどこにもありません。それだけに中国が背負って立つ立場なくごねればごねるほど唇が寒くなるというか、わけのわからない主張を繰り返す構図になっていくと私は思います。

 まだ韓国が反対していれば、韓国に対する中国のシンパシーを高める意味で価値が出たかもしれませんが、その韓国も政府は排出にすでに同意済みです。そしたら中国は今度はロシアを担ぎ出して一緒に日本を批判してきましたが、これもなぜ世界から嫌われるロシアとここで共同歩調を取ろうとするのかが不思議に見えます。手を切れとまでは言いませんが、距離を置こうともしないのはちょっと無策もいいところではという気がしてなりません。

 以上、若干こじつけもありますが水絡みの中国のトラブル三つをまとめてみましたが、なんか今年は水が絡むと中国は悪い方向に向かうことが多いように思えてなりません。なればこそ水を向けてみたくなるところですが、先日の外相更迭をはじめ、かなり中国の外交姿勢に混乱が見えます。一致した方針で動けてないように見え、今後日本や韓国、米国とは別の第三国で、なんかトラブル起こすのではないかという風に思います。

2023年7月31日月曜日

中国経済に関するリチャード・クー氏の評論

 アラブ人顔で会社でのあだ名が一時期「ビンラディン」だったうちの親父の写真を今日、中国人の同僚に見せたところ、一目見るなり「新疆(ウイグル)人だ!」という声が上がってきました。中国人からしたらああいうアラブ系の顔は新疆人に見えるということを、今日発見しました。


 話は本題ですが、上記リンク先にあるエコノミストのリチャード・クー氏の中国経済に関する評論が面白かったので紹介します。なおクー氏については「クーさん」と呼ぶとすごくかわいく聞こえるなと思います。

 そのクーさんの評論ですが記事にもある通り「バランスシート理論」がベースとなっており、これは経済規模に関して支出と収入は常に同規模となるはずであり、経済規模を拡大、つまり経済成長するには社会が一定の借金をしなければ理論上実現しないという、言われてみてなるほどという理論を唱えています。
 この理論をもとにすると、経済成長を続けるには社会における借金額が増え続けなければならず、具体的には銀行の貸出量(マネーサプライだっけ?)が増え続けなければなりません。しかし中国は2016年の段階で先行きへの不安から借金を減らしていこうとする動きが社会に見られ、実際に貸出量も先細って言ったそうです。その点から見ると、中国の不況は2016年時点ですでに始まっていたというのがクーさんの見方です。

 この見方については私も同感で、不況というのは好景気と思われている時点ですでに始まっているものだと考えており、今の中国は市民レベルですら不況を実感するくらいまで具現化しているものの、その端緒という意味では確かに2016年くらいから始まっていたのかもしれないという気がします。何故かというと、銀行の定期金利がちょうどこのころ辺りから5%を切るようになり、その後もずっと目減りし続けていたからです。
 最近は諸般の事情で私は定期預金をやらなくなりましたが、2017年くらいなら4%台の金利は余裕でしたが、2019年になると3%台後半すらなくなり、羽振り悪いなぁと思いつつスマホで定期預金をよく申し込んでいました。今思うと、ああした市場金利の落ち込みを見過ごすべきじゃなかったかもしれません。

 以上のような見解を踏まえてクーさんは、景気打開のためには財政出動が否応にも必要であり、コロナ対策に追われ財政基盤が揺らいでいる地方政府には期待できず、中央政府が大規模な対策を打つべきであり、対策をきちんと打てれば何とかなるという見方を示しています。それに対し、


 そのクーさんの意見に対しこちらの藤和彦氏は、現状に対するクーさんの分析には同意しつつも、果たして大規模な財政出動を中国が行えるのかと、疑問を呈しています。何故行えないのかという理由に関して藤氏はあまり説明しておらず、文面を見る限り根拠がやや弱いと私は感じますが、実際に中国政府が財政出動に踏み切れるかに関しては自分も疑問視しています。

 その理由としては、中国の税収、貿易黒字による外貨獲得が弱まってきており、今投入した分の資金を将来に回収できるかという点で懸念があること。次に、クーさんも指摘している通り中国では既に人口減少が始まっており、経済規模、税収が今後も拡大し続けるかという点でも大きな懸念があるという理由からです。
 これまで、特にリーマンショックの起きた2008年であれば中国は人口が拡大しており、それ以上にプライマリーバランスが常に黒字で尚且つ更なる増収がはっきり見込めました。それだけに大量の資金投入を行ってリーマンショックからいち早く脱することができましたが、今の人口が先細っている中国で同じことできる、というより政策担当者が決断できるかと言ったら、確率は確実に以前よりは低くなるでしょう。そういう意味ではクーさんの言ってる通りに、まだ人口減少が始まっていなかった段階でバブル崩壊にあった日本の方が状況的にマシだったのかもしれません。

 私個人の見方では、やはり日本の例に則るとしたら財政出動は出動でも、景気刺激のためのインフラ投資などに使うのではなく、まとめて不良債権処理に用いる方がいいのではないかと思います。中国の消費者が借金をしないのは先行き不安からであり、その不安の源泉は不良債権というか借金の規模によるものであれば、経済規模は一時縮小するものの、損切りしてでも不良債権処理に舵を切るべきではないかというのが自分の見方です。不良債権はいつまでたっても不良債権であり、特にデフレに入ってしまえばその重みはますます増してくることを考えれば、デフレに入る前のインフレ段階で思い切り処理するのが最善手というわけです。

 ただ、既に恒大不動産をはじめ国が傾くくらいの負債を抱えた企業も今の中国には少なくありません。こうした企業をどう処理するかに当たっては、これまた日本の例にとるならば産業再生機構の
ような不良債権企業を抱え込む組織を作るのが一番な気がします。日本の産業再生機構も、潰そうにも潰すと国が傾くくらいの借金を抱えたダイエーを処理するために作られたんだし。

 このように考えると、本当に日本の後を今中国が追っているように見えてなりません。あんまり日本の過去になぞらえてみるのも視野を狭くするのでよくないと思いつつも、現状の中国においては日本の過去の対応が一番参考になるように思え、この際だから中国は竹中平蔵氏を招聘したらどうかなとすら最近思うようになっています。なんか彼だと中国とは意外と相性よさそうに見えるし。

 にしてもこれからウイグル人を見ると親父を嫌でも連想しちまうんだろうな(´・ω・)

2023年7月25日火曜日

中国の突然の外相交代

 今日のビッグモーターの記者会見は下手なコントよりずっと面白く、恐らく歴史に残ることでしょう。ちなみに自分が現場にいて質問できたとしたら、「あとどれくらいシャバにいられると思いますか?シャバにいられる間にやっておきたいことは何でしょうか?」と聞いてます。
 そんなわけでビッグモーターの話と思いきや、マクドでご飯食べて帰宅しようとした矢先に友人からメッセージが送られ、以下のニュースを知りました。


 かねてから1ヶ月間表に出てこなかった中国の外交部部長(外務省の外務大臣に相当)である秦剛氏が、今日突如解任されたと発表されました。変わって外相となるのは前任者でもあり日本大使も長く務めた東大卒の王毅氏で、「やってねおめでとう(/・ω・)/」と中国人の友人が言ってきました。
 まぁ実際のところ、日本の政治家も王毅氏とは交流あるし、また口ではきついこと言いながら日本に対しては必ず配慮してくれるツンデレ屋さんなので、プラスになるかどうかは未知数な点はあるものの、日本にとって彼が外交の表舞台に立つのは絶対的にマイナスになることはありません。

 ただそれ以前に、外相という最重要閣僚である人物が任期途中でこのように解任になるというのは中国では普通あり得ません。私自身も、1ヶ月間音沙汰なくてもまた素知らぬふりして復帰してくるだろうと思っていただけに、今回のこの発表にはかなりビビってます(;´・ω・)
 なお中国国内ではこの1ヶ月間、秦剛氏の姿が見えないことについて一切報じられていませんでした。そのため日本語ニュースを見たりするなど外信に触れている中国人を除いては、彼が失踪していたという事実すら把握しておらず、話題を振っても「え、何それ(。´・ω・)?」とマジでこんな反応されました。

 でもって解任が発表された今日に関して言うと、中国国内では解任、そして王毅氏の再登板のみが報じられ、解任の背景など詳細については一切報じられていません。またニュースに関するネットユーザーのコメント欄では

「王毅氏なら外務大臣の風格がある」
「王毅氏はいい男だ」
「王毅氏なら問題ないね」

 などと、王毅氏を誉めそやすコメントしか表示されず、「秦剛に何があったんだΣ(゚Д゚;≡;゚д゚)」的なコメントどころか、「秦剛」の文字すら一切ないのは見ていて楽しいものがあります。逆を言えば、それだけ中国政府も触れられたくないのでしょう。
 なお王毅氏がグッドガイなのは私も認めます。

 では一体何が起きたのか。報道ベースではどうも香港の女子アナと不倫していたのが規律に引っかかったなどと言われていますが、芸能人との不倫くらいで規律に引っかかるなら共産党からは幹部はいなくなるはずです。となるともっと大きな違反事項があったとみて間違いないのですが、一部コメンテーターが指摘しているように、何らかの重要情報を米国などに漏らしたくらいじゃないと、ここまでの処分は起きないと私も思います。その流出ルートに香港の女子アナがいたとすれば、従前の報道とも合致してきます。

 もっともこの辺は裏付けが取れないのでこのまま真相は闇の中へ入っていくでしょうが、秦剛氏は突然抜擢されたのと、年齢的にも次期総理、総書記も狙える立場であっただけに、習近平執行部への打撃は小さくないと断言できます。更に言えば、現在半導体や水産品を巡って日本とも通商外交で揉めていますが、恐らく中国外交部は今かなり混乱の最中にあるのではないかという気がします。だからこそ、既にほかの役職にもついているとはいえ経験者である王毅氏を無理くり引っ張ってきて、この混乱に対処しようとしているのでしょう。
 もっとも、外交以上に国内経済の方が中国はかなりやばいと思います。日本の轍をそのまま踏もうとしているというか、不良債権処理を先送りして内需刺激に走ろうとしており、マジで自分が習近平の側近なら「痛みなくして改革なし」ってアドバイスしています。

2023年7月16日日曜日

中国の 今年の景気 すぐれない

 何故か無駄に七五調の見出しにしましたが他意はなく、中国の今年上半期の景気はほんとよくなく、後半にかけてもっと悪くなりそうな気配を出しています。

 具体的データを出すと、一番騒がれているのは輸出額です。今年上半期の中国の輸出額は税関の米ドル換算データで前年同期比3.2%減です。一見すると微減に見えますが、昨年の中国は3-5月に上海の完全ロックダウンを含め各地でロックダウンを行い、この間ほとんど生産活動が行われていなかった上に港湾なども閉鎖されて貿易活動がほとんど止められていたことを考えると、今年は二桁増くらいの数値が出ないとおかしいと指摘されていました。それがふたを開けると二桁増どころかマイナスで、6月単月に至っては前年同月比12.4%減と二桁減となっており、昨年後半はロックダウン措置が緩和されたことを考えると、下半期にかけて落ち幅はさらに拡大してくとみられます。

 その他の指標もあんまよくないのばかりですが、自動車に関しては上半期は前年同期比9.8%増とそこそこのプラス値ですが、これに関しても去年のロックダウンに伴う比較対象基数が低いことが原因です。なお伸び幅の大半はEVであり、EVラインナップの少ない日系メーカーは軒並み前年割れしていて、川下の部品メーカーを含め結構業績が酷いことになっています。下手すりゃ、日系自動車産業の中国市場売上げはすでにピークを過ぎているかもしれません。

 自分の見立てで述べると、中国政府としても上記のような製造業の不振は想定外だったのではないかと思います。コロナ対策の制限措置を緩和すれば景気は回復すると明らかに楽観視している節がありましたが、上記のような現実を前にしてどうするか。単純にインフラ投資を進めて建設業から巻き返しを図ると思いますが、それ以上に金の流れを抜本的に改革しないと真面目に厳しくなるように思えます。

 来年以降に関してはさすがに予想できませんが、今年下半期に関しては中国は確実に指標上で景気が悪化し続けると断言できます。この辺も含め、このところの中国は90年代の日本とほんと被って見えてきます。

2023年7月10日月曜日

懸念される中国の商業不動産市況


 上の写真は上海市の中山公園駅近くにある、ニトリが入っている商業施設のロビーです。昨日、臭くなったハンガーの代わりとなる新たなハンガーを買おうとニトリを訪れた際に撮影したものですが、見ての通り中央ロビーは広々とした空間が広がっており、中国のダイナミックな設計が活かされています……と言えればよかったのに。

 このロビーですが、かつては常になにがしかの催し物や即売会が開かれており、ロビーわきにはカウンターを設けた携帯電話ショップも常設されていました。しかし見ての通り、コロナに入る直前辺りから空間が広くなり、1階右奥にあったスーパーも閉まって常にシャッターが下ろされるようになりました。2階正面にあるモニターもずっと黒いまんまだし。
 また撮影の仕方が悪く見えづらいですが、1階右手にはかつて家電売場が広がっていて、今年春に自分もその中にあった携帯ショップで新しいスマホを買っているのですが、5月ごろからフロア丸ごと閉鎖され、今も新たなテナントが入らないままとなっています。面積でいえば、ワンフロアの半分くらいを占めるほどのエリアなのに。

 こうした商業施設はここだけに限らず、上海市内各地でかなり見受けられます。実際に見に行ってはいないものの、人口と消費の密集地である上海ですらこの有様であることから、地方都市の商業施設に至っては今どんな状況なのか、ちょっと想像するのが怖いです。

 去年にも自分はJBpressのコラムにて、中国の不動産市場は住宅ばかり取り上げられるが本当に深刻なのは商業不動産だと主張する記事を書いていますが、現在の状況は当時よりもさらに深刻化しているという気がします。
 実際はどうなのか先ほど中国のシンクタンクがつい先日に出した商業不動産に関するレポートの解説記事を読んだところ、一部メディアは「去年に比べて賃料が上昇している!」などと強がりを書いていましたが、冷静な記事は「去年のロックダウン時に不動産賃料は劇的に下落しており、その低い基数に対して今年は上昇しているに過ぎない」と分析しており、自分の見立ても同じです。むしろ、あれだけロックダウンをかました去年と比べるのであれば大幅に上昇していなければおかしく、平均でプラスと言っても微増にとどまっている現状はやはり芳しくはないでしょう。

 そのほか空き室率も上昇傾向にあり、深圳のAクラスオフィスビル賃料に至っては10年前の水準まで落ちていると書かれた記事も見られました。詳しく数字を検証していませんが、肌実感的に今の中国の商業不動産市場が好調なはずはなく、新規市場投入面積が減っているのに需要や賃料が上がっていない現状を踏まえると、本当に大丈夫かと言いたくなります。

 一方、日本人がやたら問題にしたがる住宅に関しては私はあまり懸念していません。現状においても家を買いたいのに買えない層が非常に多く、価格が少し下落したらすぐに買手が出てきて下支えするとみられることから、住宅不動産市場はデベロッパーの資金繰り難は続くものの、劇的に日本人が期待するようなバブル崩壊はまだまだ起きないと思います。
 ただ商業不動産に関しては何度も言うとおり、市場がかなり歪になっていると強く感じ、それこそ古くなった施設を無理やり破壊するなど市場淘汰政策を強行しない限り、今後ずるずると賃料が下がっていってデベロッパーの財政を圧迫する懸念が高い気がします。少なくとも、ゼロコロナ政策放棄によって中国政府は景気が回復すると期待していた節がありますが、商業不動産に関してはその予測を現在大幅に下回る状態になっているように見えます。

 なおこうした商業不動産の不振はやはり実態小売(オフライン小売)からオンライン小売、つまりネットショッピングに買い物の比重が移っている影響が大きく、中国全体での消費規模に関しては大きく落ち込んでおらず、むしろ今も拡大しています。金の流れ的に言えば、これまで商業施設を運営するデベロッパーに回っていたお金が、物流業者やショッピングサイトの運営業者に回るようになったと言えるかもしれません。
 ただやはり実態不動産にお金が回る場合は工事業者や設備業者、そして交通機関などにもお金が回って波及効果が大きいほか、不動産そのものの価値上昇によるプレミアムも得られただけに、そういった効果がなくなると経済全体への影響は小さくない気がします。何より、資金繰りに窮するデベロッパーが破綻した場合のダメージが大きいだけに、今後適切な対策を中国が打てなければ意外とツケがでかくなるかもしれません。

2023年7月4日火曜日

中国におけるカルフールの厳しい現状

 例のアクション対魔忍ですがここにきて桃知凪ばっか使うようになりました。楽しい。


 それで本題ですが、上の現代の記事にもある通りフランス系スーパーのカルフールは今、中国でかなり経営が傾いています。
 軽く歴史を紐解くと00年代中盤にカルフールは中国に進出してきて、イオンのようなGMS系スーパーとしては中国だとほとんど初の形態だったこともあり、当時は物凄い繁盛していました。自分が上海に現れ始めたのは2010年頃ですが、その頃はカルフールに行くといつも人でいっぱいで、生鮮品売場なんてカートを進める隙間もないくらいごった返していました。

 しかし大体時期にして2015年くらいになると、同じような形態のスーパーがほかにも現れ始めたほか、オンラインショッピングが中国で爆発的に普及し、こうした実体店スーパーから客足がだんだんと遠ざかるようになりました。それでもまだしばらくは休日ともなれば人が訪れていたものの、やはりコロナが流行した2020年くらいから劇的に来客が減るようになり、自分もたまに訪れるとえっと思うくらい人が少なくて居づらい印象を覚えるようになってきました。

 そうした状況もあってか、カルフール本社は中国からの市場撤退を決め、数年前に中国にある店舗や運営権を中国家電大手の蘇寧電器に売却しました。この過程で不採算店舗なども閉店されたのですが、閉店された跡地は今でも上海市内に結構残っており、中国の商業不動産の不振というか小売業の苦しい状況が見て取れます。
 一方、残った店舗の方も決して安泰ではなく、あれこれテナント誘致しようとしているもののどれも長続きせず、フロアのあちこちでシャッターの閉まった、なんていうか女神転生とかペルソナに出てくる現代風ダンジョンみたいな店舗になってたりします。買収した蘇寧電器の方もこのところ業績が良くないらしく、実体小売全体で寒風が吹きすさんでいるのかもしれません。

 それで上の記事ですが、今日見ていろいろ思うところがあったというか、実は一昨日の日曜にたまたまですが自分もカルフールを訪れていました。訪れた理由は散髪で、カルフール内に入っている散髪屋が「It‘s short!(・∀・)」みたいな感じで言えば割と余計な事せず短く切ってくれるので、伸びたらいつもここに通っているからです。
 そんなわけでホイホイと日曜午前にカルフールへやってきたわけですが、店内に入って一瞬で、その異様な空気に気が付きました。それは何かっていうとただ単純に暑く、館内で冷房が切られていたことです

 一応書いておくと、これまで夏場のカルフールはきちんと冷房がついていました。しかし先日訪れると全館で冷房が切られており、そこそこ気温が高かったこともあって異様な雰囲気となっていました。たまたま冷房が壊れていただけだと信じたいですが、一部のテナントは自分とこように簡易の据置型冷房を置いてた当たり、一時的じゃなさそうな雰囲気がありました。っていうか冷房売ってる蘇寧電器が冷房つけないってのは結構やばい気がする。

 そんな状況ながら当初の予定通りに髪切って、相変わらずいい感じに切ってくれたのでそのままサブウェイでサンドイッチ買って帰宅しましたが、上海の古北にあるそのカルフールは往年の繁盛していた頃を見ていただけに、今の状況を見ていろいろ感じる点が多いです。かつてのホークス優勝時にしか客が来なかったダイエーを見ている感じというか、ひとしおの寂しさを感じます。
 またそうした状況ゆえか、外壁はもとより内装も汚れや未修理箇所が目立つようになっており、なんとなく蘇寧電器も匙投げているような感じがします。もっともカルフール以前にウォルマートはちゅぐ奥でもっと早くそのような状況になって撤退しているだけに、カルフールはまだよく持った方かも知れず、また店側の努力以前にオンラインショッピングの普及がでかいのだと思います。

2023年6月20日火曜日

中国でどら焼きブーム?

 朝から晩までずっとキーボード叩いていたせいか左腕が若干つったような感じになりました。プロの作家とか毎日どれくらいタイプしてんだろうか?少なくとも新聞記者は今の自分ほどにはタイプしていない。


 話は本題ですが、JBpressで自分か知人で記事化しようとしていたネタとして、中国で今起きているどら焼きブームがありました。大体去年のロックダウン明けくらいから上海市内ではどら焼き販売店を見かけることが多く、現在自分が勤務しているオフィスビルにも1軒入っています。
 メディアは取り上げていないのかさっと調べたところどこもまだ取り上げてらず、唯一個人ブログである人が同じくどら焼きブームに言及していて、勘のいい人だと思いました。

 そのどら焼きですが、中国人からしたら「ドラえもんが食ってるアレ」的なもので、存在自体は知ってはいるものの早くから普及していたたこ焼きやたい焼きと比べると若干レアな代物でした。少なくとも、数年前までは日系スーパーとかじゃないと手に入らないものだったと思います。
 それが前述の通り、上海ではやたらとどら焼き店が増えていて、中の具材もあんこだけじゃなく抹茶クリームやイチゴカスタードなどがあり、店を観察しているとそこそこお客さんが入っているような気がします。私自身も何度か買って食べてますが、専門店なだけにスーパーにパック詰めされているのと比べると味は格段に良く、イチゴカスタードはかなり良かった感じがします。

 ただこの手のB級グルメというのはかつてのホワイトたい焼き(実は実物は一度も見たことがない)みたく、一瞬でブームが去ってこの世から消滅してしまうこともあります。この中国(実際は多分上海のみか?)のどら焼きブームもいつまで続くのか、はたまた定着するかは未知数ですが、個人的にはお茶に合う和菓子を取り扱うお店は増えてほしいので、定着してもらいたいところがあります。

 にしてもどら焼きはドラえもんのPR効果がでかい食べ物であると改めて思います。なんか漫画やアニメキャラクターには特定の嗜好品持たせるとコラボもできるし、やった方がいいのかもしれません。
 同じドラえもんのコラボ商品とくれば、かつて小僧寿しにドラえもんパックがあって昔よく食ってました。コロナ流行期はデリバリーが増えて、小僧寿しの形態が一番適しているのに何故か流行らないと言及している人がいましたが、ドラえもんパックも思い出してなんか切ない感じになりました。あと疲れているときはいつも「小僧憎し」に見えてしまう。

2023年6月13日火曜日

「台湾は中国ではないのか?」を巧みに利用した同僚

メッシ選手「台湾は中国ではないのか」 中国の空港でトラブル(TBS)

 なんでもアルゼンチン発のサッカー界の大スターことメッシ選手が、過去にビザなしで台湾に入れたから中国本土もビザなしで入れるだろうと手続き取らずにやってきて、空港でトラブったそうです。その際に「台湾は中国ではないのか?」といったそうですが、これをガチで利用したことのある同僚がいます。

 その同僚は会社業務で日本に出張したのですが、帰国便の行き先には「台北空港」を指定し、「中国本国に帰るのだから問題ない。っていうか、台湾は中国ではないのか?」と会社の経理をそれとなく脅し、台北行きのチケットを取らせたそうです。もちろん台北着いた後は有休使って台湾観光を楽しんだそうです。

 何気に自分は香港、マカオには行ったことあるけど台湾にはまだ一度も行ったことがないです。台湾で中国語を学ぶ韓国人はほぼ全員統一教会関係者だと聞いたことがありますがそれはさておき、1回くらいは行ってみたいなと思いつつ、同僚みたく出張の機会はそんなないので上記の裏技を駆使することはできなさそうです。

 ちなみにこれ系の話でいえば、コロナ流行当初に中国に派遣されることとなった日本人同僚らが中国へ来る際、当時は日中間の航空便がかなり制限されていたこともあって上海勤務なのに日本からはまず西安に降り立って、そこで2週間の隔離も受けました。その同僚らも近く帰任する予定ですが、これまで中国で訪れた都市を振り返った際に別の同僚が

「西安にも行ったじゃん(σ・∀・)σ」
「隔離されるためだけに言っただけで何もいい思い出がない(ヽ''ω`)」

 と、西安に対しネガティブな感情を見せました。
 同じ西安ネタで言うと洛陽市出身の同僚が同じ中国の古都として洛陽市の人は西安をライバル視していると言っていたものの、西安の人に聞いたら「洛陽がライバル?(ヾノ・∀・`)ナイナイ」といってて、なんとなく奈良と京都の関係に近いような気がしました。

2023年5月22日月曜日

中国で密かにコロナ再流行中

 また土日も短時間ではあるものの働くようになり、若干体力が不足気味です。前より仕事の効率は上がってはいるけど、イメージ的にMPの最大値は変わらないのに以前はベギラマで処理していたのをベギラゴンで処理するようになったみたく、作業効率は上がりつつも稼働時間が減少気味な気がします。

 話は本題ですが、現在中国各地でかなりコロナが流行しています。自分の周りでも感染したという人が多く、今日も同僚が家族が感染してその世話のために会社休みました。
 流行理由は非常にはっきりしていて、5月頭の連休に旅行などで人的移動が激しかったこととみて間違いないでしょう。この辺の事情は日本でも同じだと思え、なんかネットで見てるとだるいとか、コロナ罹ったという人の話をよく見ます。中国も連休が終わってからやたら検査でコロナ罹ってたという人が多く出るようになりました。

 なお友人からは自分もコロナに罹ってないか連絡が来ましたが、検査していないので罹ったかどうかはわからないものの、仕事忙しくていつもだるいのは事実です。でもって最近体調悪くなると、多分リンパ腺の腫れの延長なのか、何故だか耳の中に膿ができて腫れて、耳が聞こえづらくなります。この腫れはしぼむころには流血するため、友人には「時たま耳から血が出てるけど、私、元気です(*´▽`*)」などという返信をしています。マジ耳の中腫れるのはやめてほしい。

 話は戻りますがこうしたコロナ流行について中国国内でも一応報じてはいて、6月末にピークが来るのではなどと言っています。ただ以前みたく封鎖隔離などの社会規制措置は取っておらず、企業活動も制限などは起こっていません。
 またマスクに関しては恐らく日本以上にしなくなる人が増えており、行政も「マスク装着を強制してはならない」と通達しています。一応、地下鉄なんかは「ご協力お願いします」という体を取ってマスク装着を促していますが、先週くらいから地下鉄でもマスクをしない人が増えており、自分の実感でいえば現在だともう半々くらいになっています。なんていうか、何でもかんでも極端から極端に走り過ぎ。

2023年5月8日月曜日

中国の露骨過ぎる満足度調査

 連休で休んでいたつもりでしたが何故だか疲労がたまってます。多分4月中の仕事の疲れが気を抜いたところで今出てきているのだと思え、季節の変わり目だし睡眠時間を増やしていきたいこの頃です。
 ちなみに昨日は軽く横になる感じでベッドに入ったらそのまま3時間昼寝し続けました。危うく待ち合わせしていた韓国料理屋に遅れるところでした。

 さてそんな感じで若干疲労気味なため筆も鈍っているので、どうでもいい中国の満足度調査について書きます。

 かなり前にJBpressの記事で書きましたが、中国のアプリをはじめとするアプリサービスは意外とユーザービリティが高く、使ってて不満に感じることは少なく、感じる点もアップデートされていく中で改善されてくことが多いです。ユーザーに不利なバグは修正されない日本のゲーム業界とは大違いだ。
 この点について取材した業界関係者によると、ただ単純に競争が激しいゆえに、ユーザーニーズを汲み取らないと負けるという意識から書くサービス業者は常に改善に取り組んでいるためだそうです。とても社会主義国らしくない勤労ぶりですが、実際にというか中国でネットサービスなどを使っているとユーザー満足度調査への協力を求められることが多く、その調査項目も微に入り細に入ります。

 具体的には、例えば先ほど私が答えたタオパオのアンケート調査だと、先日にパスケース兼財布を購入したためか鞄、バッグ類に関するアンケート調査が送られてきました。尋ねる内容としては注文から商品到着日までの輸送日数や、商品検索時の利便性、あと価格や品質に対する満足度など結構ありました。
 仮にこれがタオパオ商品全体ならまだしも、恐らく前述の通り財布を買った人には財布という、商品ジャンルごとに細かくこれら質問を集計していると思います。この点一つとっても、下手な日系企業よりも回答するユーザーがどれだけいるかわからないものの、ユーザーニーズの調査意欲は高いと断言できます。

 まぁぶっちゃけていうと、日系企業ほどユーザーニーズをなめてかかっているというか、エレキをはじめ逆撫でするようにユーザーニーズと真逆の開発やマーケティングをやる企業が多いと感じますが。

 話を戻すとこうしたアンケート調査は携帯電話の通信キャリアからもしょっちゅう依頼され、元々社会調査を取り扱う社会学専攻だったこともあり、調査側の苦労もわかるだけになるべく答えるようにしています。ただ通信キャリアのアンケートについては多分私が答えなくとも回答が多く集まっていると思えるのですが、その理由というのもい寛容な調査依頼文面だからです。

「現在ユーザー満足度調査をやっており、満足度が低い1から高い10までの数字で、このショートメッセージにあなたの感想を返信ください。なお10と答えた方には無料で追加の通信量をプレゼントしちゃいます

 これマジでいつもこんな風に聞いてきて、実際に「10」と答えると「ご協力ありがとうございます。10と答えてくれたあなたには今月1ギガ分の通信料をプレゼントしまーす(*´▽`*)」と返信してきます。まぁいつも規定通信量余らせているのであんまお得感ないのですが、この結果をもとに奴らキャリアは「ユーザー満足度は驚異の9.99!」などと宣伝するであろうことを考えると、あまりにもやり方が露骨過ぎて逆に好きになっちゃいそうです。
 調査の公正性こそ怪しいものがある、というか怪しさしかありませんが、少なくともユーザーからすればほぼ無料で追加通信量が得られるし、キャリア側も満足度指数を引き上げられるので、まぁWin-Winな構図ではないかと思います。日本の通信キャリアもこういうことやってくれたら、高い通信料据え置きでもユーザーに若干の罪悪心を抱かせて不満を抑えられると思うのですが。

 っていうかこれ書いてて思ったけど、日本のユーザー満足度調査とかかなりなめたものが多いし、そもそもあまり運用していない連中が多いと思います。この辺、製品メーカーにどれだけの頻度でどれだけ回答を集めているか聞いてみたら、結構伸びている企業とそうでないとこで差が出そうな気がします。

2023年5月1日月曜日

中国でバスケ人気が普及した背景


 今日同僚(BL大好き)にプッシュされてこの「長空之王」という映画を見てきました。内容は「トップガン」が意識され、っていうか戦闘機映画で「トップガン」意識しない奴なんていませんが、主人公が搭乗する機体が毎回故障を起こして墜落するので、こいつとは同じ飛行機に乗りたくないと感じさせられる脚本でした。
 映像に関しては戦闘機の飛行シーンは良く撮れているものの、コックピットを映す映像がどれも真正面からしかなく、もう少し角度を変えた撮影も欲しかったところです。なおフランカー(恐らく中国のコードナンバーはJ-16)が飛んでるシーンは、機体が機体なだけにめちゃくちゃ美しいです。

 話は本題ですがまたコメント欄で質問が来たので、中国で何故バスケが人気になったのかについて解説します。

 先日も中国で日本の「スラムダンク」の映画が大好評で、最初のテレビアニメ放映時にどうして人気に火がついたのかについても解説しました。今回はその延長となりますが、中国ではスラムダンクだけでなくバスケットボール自体がスポーツとして圧倒的に高い人気を得ており、恐らく順位的には、

1位 サッカー
2位 バスケットボール
3位 テニス

 みたいな感じじゃないかと思います。卓球については中国人自身も「強いけどそんな人気じゃない(´・ω・)」という人がいます。

 中国でバスケ人気が高まった最初のきっかけは、やはり日本と同じくスラムダンクが火付け役だったと思います。90年代に全国でテレビ放映されて青少年を中心に高い視聴者層を獲得し、何気に私の友人でよく嘘つく上海人も、スラムダンクを見てバスケットボールを当時やっていたと言ってました。
 ただ現代における中国のバスケ人気は、スラムダンクだけによるものではありません。その次に来た、米NBAの試合のテレビ中継放送こそが、最大の要因だと私は睨んでいます。

 日本でNBAの試合が地上波で放送されることはまずなく、見ようってんならインターネット番組やケーブルテレビを契約しないとまず無理でしょう。それが中国の場合、CCTVなどで本場NBAの試合が普通に放映されてたりします。
 これは何もNBAに限らず、サッカーも世界各国のトップリーグの試合が半リアルタイムで放送され、スポーツ観戦好きな人だったらマジ天国みたいな環境です。何故こんなことが可能なのかというと、圧倒的な人口と視聴者数による広告費で、これらトップリーグの版権料を払ったって黒字になっているからだと思います。また政治的にも無色なスポーツの試合中継であれば、外国製番組の放映に関してあれこれ文句付けてくる中国文化規制当局からも認可が得やすく、放映局もこぞって番組を購入して流しているような気もします。

 いつ頃から中国でNBAの試合が放送されるようになったかは自分でも把握していませんが、少なくとも10年くらい前からは当然みたく普通に放映されていました。やはり本場でハイレベルな試合を見せつけられれば見ている人も自然とファンになるというもので、スラムダンクもそうでしたが、一般テレビ放送されるということが中国のバスケ人気を作ったという風に私は見ています。

 なお、仮に今から中国でアメフトなり野球といったまだ人気を得ていないスポーツのトップリーグの試合をテレビ放送した場合、サッカーやバスケみたいな人気が得られるかと言ったら、私は多分得られないと思っています。理由は何故かというと、日本でも同じようにもはや中国でもテレビは最大の娯楽ではなくなっているからです。
 もちろん影響力の強さは未だあるものの、かつては本当にテレビくらいしか娯楽がなかったのに対し、現代ではインターネット、特に動画サイトが高い人気を得ており、テレビを見る時間はかつてと比べると極めて少なくなってきています。またそのネットの視聴対象も個々人によってばらばらで、日本にも同じことが言えますが、誰もが同じ対象をみんなで見るという習慣は今や中国ではほとんどなくっており、趣味嗜好の千差万別化みたいな状況になってきています。

 そういう意味では先日のWBCは近年の日本においては極めて珍しく、かなり久々に幅広い層が同時に視聴、体験したエンターテイメントであったと見れるでしょう。

2023年4月27日木曜日

中国人がスラムダンクに熱狂する背景

 コメント欄で質問が来たので、公開された映画が文字通り記録的な売上げとなっているスラムダンクが中国で人気な理由について自分の見解を紹介します。結論から言えば、中国人にとってそれまでにないストーリーであったことが大きいとみています。

 前述の通り中国で今スラムダンクが非常に盛り上がってろ、日系メディアでもその人気を取り上げる記事がいくつか出ています。ただどの記事も盛り上がっている現況の説明だけで、何故スラムダンクが中国でこれほど人気なのかについてはあまり言及がありません。
 かと思えば、「中国で日本のアニメが開放されたばかりの頃にスラムダンクが放映され、初めて見る日本のアニメだったことから人気が出た」ともっともらしく説明している記事も見られましたが、断言してもいいですがこれはフェイクです。中国ではそれ以前から日本のアニメがテレビなどで放映されており、「一休さん」や「ドラえもん」などがスラムダンク以前から人気を得ていました。むしろスラムダンクはこれらに続く人気アニメ第二世代で、その後「ワンピース」や「ナルト」などの第三世代へと続いてく感じです。

 話を戻すと中国である程度日本のアニメが認知されていた頃に放映されたのがスラムダンクですが、細かく確認まではしていないものの、恐らく中国人にとってこの手のスポーツ作品は初めて、少なくともそれ以前はあまり一般的でないジャンルだったのではないかと思います。日本国内では「巨人の星」をはじめスポ根アニメは昔から存在していましたが、中国でスラムダンク以前にこの手のチームスポーツでトーナメント戦を戦うような作品で人気がある作品を私は知りません。個人スポーツ作品だったらもしかしたらあったかもしれませんが、仲間とともに戦うチームスポーツ系ジャンルとしては、中国だとスラムダンクがほとんど初めてみたいな状態だったのではないかとみています。

 それに加えて、日本では当たり前の存在ですが、中国だと「部活」はファンタジーであるという点も物珍しさに一役買ったのではとみています。中国でスポーツというのは最近はまだ変わってきてはいるものン、以前は本当にごく一部の体力に秀でたエリートが選抜されて、オリンピックなどで他国を打ち負かすためだけに行われるという側面が色濃くありました。逆に、一般人は趣味レベルでもあまりスポーツを行う環境や風潮はなく、学校に至ってはそもそも勉強しかさせず、課外教育としての部活は現在でもほとんどの学校で行われていません。

 代替として、近年は学外で青少年向けスポーツクラブや団体が組織され、そういうところでサッカーとかバスケをやる子供が多いです。ただそれでも、学校単位でチームが組まれることはほぼなく、インターハイや甲子園などのように学校別チームが試合するっていう習慣もありません。
 そのため日本のアニメで当たり前のように出てくる部活のことを中国人は、「学校でスポーツが行われるという設定のファンタジー世界なんだな(´・ω・)」という風にマジで見ていて、ああした部活の光景は現実のものではないと本気で信じています。これは実際に自分も中国人に確認しており、マジでファンタージだと中国人は見ているということを教えてもらいました。

 そうした、しかもインターネットのなかった昔の中国人からすれば、スラムダンクは現実には存在しない世界で、高校生がバスケで戦い合うというファンタジーな展開に見えたのではないかと思います。敢えて例えるなら、日本人がドラゴンボールを見ているような感覚に近かったのかもしれません。更にトーナメント形式の試合展開も多分見慣れておらず、ドラゴンボールで初めて天下一武闘会が展開された時に当時の少年少女らが抱く様な感動を、スラムダンクで得ていたのではと推測しています。

 以上のような、日本人からすればバスケ要素を除けば連載当時において比較的見慣れていた、学校の部活単位でのチームスポーツ戦、トーナメント形式の試合展開という要素が、中国人にとってはほぼ初めて触れる要素で、日本人以上にスタイリッシュ且つ新鮮に見えたのではないかと考えています。更に日本国内でも人気が得られたスラムダンクそのものの作品的価値も加わって、中国で当時の世代に強い印象を残したのでないかとみています。

 なおストーリー、というかキャラクターに関して言うと、日本では流川楓や中の人がトレーズな三井寿が凄い人気でしたが、周りの中国人の間では主役の桜木花道が一番好きなキャラによく挙げられます。この点について自分なりに分析すると、多分彼がバスケ素人として一から成長していく要素が中国人の共感を得たのではないかと思います。
 以前にもJBpressで紹介しましたが、割と中国人は小が大を飲む展開を好む傾向があり、弱かった人間が徐々に成長して強者を打ち負かす展開に大喜びします。そうした成長要素がこの作品だと桜木が一身に担っており、またチーム単位でも弱小だった湘北高校が勝ち上がっていく展開に胸を躍らせたんだとも見ています。こうした要素も、それまでの中国の娯楽作品にはなかった要素だったのでしょう。

 現在においてはさすがに中国においても上記のような要素はある程度一般化し、中国国内で作られるスポーツジャンルの娯楽的作品でも見られる要素ですが、90年代のあの頃においては多分マジで存在しておらず、スラムダンクがファーストインプレッションであった可能性が高いですう。特にスポーツに関しては現在でもそうであるように、中国は卓球などの個人スポーツが盛んで団体スポーツはやや弱いところがあり、90年代はその傾向がより顕著だったことを考えると、チームで戦うスポーツはそれだけで物珍しく、尚且つスラムダンクなどの作品で描かれる仲間との連帯は「俺もこんな仲間たちを持ってみたい(´・ω・)」と強く思わせた気がします。

 総じていうと、中国人にとって初めて触れたスポーツジャンル作品であったことが、スラムダンク人気をここまで高めたと考えています。日本でも「巨人の星」が連載当時にすごい人気だったことを考えると、日本人にとっての「巨人の星」が中国人にとっては「スラムダンク」だったのではないかというのが自分の結論です。

 最後に、中国人にとって部活はファンタジーだと言いましたが、現実問題として超能力の出てこないスポーツ漫画における部活であっても、実際ファンタジーじゃないかと自分は見ています。現実の運動部、特に強豪校では陰湿ないじめが多いし、顧問がスポーツ科学の知識なくて子供の体壊したりというのが今でもあって、あんな素敵でキラキラした世界は実際ピーターパンもいいところでしょう。
 警察漫画の「ハコヅメ」みたく、いっそ「これこそがリアルなスポーツ漫画だ!」などと、現実のスポーツ強豪校の実態を描いた漫画とかでないかなと密かに期待しています。まぁ人気でないだろうけど。

2023年4月25日火曜日

上海モーターショーのBMWアイス事件

 すでに報道されていますが上海モーターショーのBMWのブースで、外国人にだけアイス配って中国人は配らないという事件が起きたとのことです。この事件でBMWの株価は激減しており、中国国内では不買運動も広がるなど、日本人からしたらかつて自分たちが見た光景が今まさに広がっている感じがします。

 この事件について一部ネットで「外資を叩こうとする中国政府が煽っている背景もある」と言っている人もいますが、これは確実にデマだと言えるでしょう。中国政府としては日本人と違ってドイツ人叩いてもあんま国内支持率には影響せず、むしろこのところ秋風が吹いているドイツとの関係を気にしており、この問題を抑える立場です。それ以上に、この件はマジで中国人からしたら腹立たしいことこの上ない内容で、普通に一般中国人が本気で怒って騒動が拡大していると私は感じます。

 騒動の影響について述べると、恐らくこれから数か月、下手したら1年くらいは不買運動が続くとみられ、ベンツとアウディが漁夫の利ならぬアイスの利を受け販売を増やすと予想しています。日本のレクサスもこれを機に、「ディーラー店でアイス食べ放題キャンペーン」みたいなの打ちだしたら、いい感じにお客さん来てくれるかもしれません。
 なお騒動の発端となったアイスですが、同僚になると有名ブランドのアイスらしくマジうまいらしいです。値段もそこそこするようなので、自分も外国人だし、せっかく上海いるからモーターショー言って食べてこようかなとちょっと考えました。

 あともう少し情報を加えると、この手のイベントのPRは基本、メーカーが直々にやるケースはほとんどないです。実際には広告代理店にプランニングさせ、展示内容のみメーカーが承認してあとは広告代理店にお任せになるケースがほとんどです。コンパニオンの派遣に関しても広告代理店が仕切ることが多く、そういう意味ではBMWは広告代理店に損害賠償を請求するのか、請求されるのはどこかってのがちょっと気になります。
 それにしてもアイス1本で数千億円単位の株価を溶かしたっていう点では、「アイス1本火事の元」とはいうものです。あと騒動発生後にBMWは「あれはスタッフ用にとっておいたものだ」と発言しましたが、まぁぶっちゃけこれ嘘でしょう。嘘じゃないにしても、客の見えるところでスタッフに差し入れのアイスを渡してしまうあたり、任せる広告代理店を見る目がないと言わざるを得ません。

 何気にこの辺、以前にまさに自動車会社のイベント運営監査の仕事に係わったので結構詳しかったりします。その時も「コンパニオンがブス」という指摘が書かれてあったけど。

2023年4月13日木曜日

黄砂にまみれた世界







 同僚から「北京・天津で黄砂が酷い」というメッセージとともに送られてきたのがこれらの画像です。中国人って、なんかこういうシュールな世界観を作るのがやたらうまい気がする。

2023年4月1日土曜日

上海ロックダウンから1年

 4月1日というと世間はエイプリルフールですが、自分にとってすれば去年の上海ロックダウンが始まった呪われた日以外の何物でもありません。正確には3月中頃から自分の住んでいた区ではロックダウンが行われており、4月前に一旦は解放されたものの4月1日からは再び全市を対象としたロックダウンに巻き込まれました。

 ちょうど1年が経つのを迎えてかこのところ同僚などともあの当時のことについていろいろ話す機会があり、私の住んでた団地では途中から団地敷地内は歩けるようになったものの、団地ではなく独立したマンションに住んでいた同僚は封鎖期間中、一切建物の外に出られることはできなかったそうです。また当時、新規感染者が発見されなかった団地は周辺であれば外出できると上海市政府は発表していましたが、こうした措置は一部の区に限り、大半は発表内容とは裏腹に6月になるまで一切外出することができませんでした。

 自分などはまだ単身生活者とあって苦労は少なかったものの、家族、特に子供を抱えた家ではシャレにならない苦労があったと聞きます。受験期(中国では6月)を控えていた家では自宅内で受験に向けた学習をしなければならず、また小さい子供を抱えた家ではそのミルクやおむつなども確保しなければなりませんでした。
 ちなみにロックダウン中、敷地内でも運動できるということでバトミントンセットを購入する人が非常に多く、実際当時の夕方はバトミントンする人で溢れていました。

 このロックダウン中、自分が一番恐れていたことは食料もさることながら家電の故障でした。仮にパソコン、いやそれ以前にルーターが壊れたりしたらインターネットに接続できなくなり、情報発信はおろか仕事すらできなくなる恐れがありました。なお友人によると、冷蔵庫が壊れた人がいて食事の保管に難儀した人が出ていたなど、そこそこ被害を受けた方はいたそうです。

 ぶっちゃけあの一点だけでも中国指導部を恨むに足るほどの出来事で、自分の一生の中でもマジで笑えないくらいの一大イベントでした。あれからちょうど1年経った今日は日柄もよく、街中ではマスクなしで歩く人も溢れていましたが、ちょうど1年前と比べると非常に大きな差を感じずにはいられません。

 恐らく日本ではもうこの出来事について忘れている人も少なからずいると思います。しかし実際に体験した身からするとこうして4月を迎える度に今後も思い出すであろう出来事になると思います。

2023年3月26日日曜日

中国の日本人スパイに対する警戒感

拘束された男性はアステラス社員 中国で国内法違反か(共同通信)

 ゲームレビュー書こうと思ったけどせっかくなのでこっちの話題に触れることにします。
 共同の報道によると、アステラスの社員が北京市内で中国当局にスパイ容疑で逮捕されたとのことです。この件について中国国内の報道を漁ってみたところ、1件だけ日本の報道を引用する形で報じていたのを除き、全く以って報じられていません。報道規制の可能性もありますが、私個人としてはあんま中国国内で関心がないため報じられてないだけではないかと思います。

 その中国ですが、意外というか日本のスパイに対する警戒感が強いです。日本側に全く身に覚えがないわけではなく、特に日清戦争前後から二次大戦中までは実際に日本は自分も以前に取り上げた柴五郎をはじめ多くのスパイ要員を中国に送り、朝鮮族などとうそぶいては各地の拠点を視察させていました。
 また戦時中は上海をはじめ多くの主要都市で親日団体を組織したり、麻薬利権を奪ったりする形で甘粕正彦などの工作員が活躍しています。そうした歴史的経緯もあってか、「日本は隙あらば中国にスパイを送り込んでくる」といった意識が少なからず中国には見られます。

 では実際に現代において、日本は中国にスパイを送り込んでいるのか。この辺はそれこそ「スパイファミリー」じゃないですが表に出てこない面であるだけに、名ばかり松戸市民程度の私には実際のところどうなのかわかりかねます。そもそも日本の戦後の諜報活動は商社などの企業を介して使うことが多いと聞くため、いるとしたら半官半民的な人物がやってるのではないかと思います。

 ただ日本人からすると、「スパイを送り込んでいるのはむしろ中国だろう」という感情を覚える人も少なくないでしょう。日本に留学に来る中国人学生はスパイという人もいますが、これに関してはあながち嘘ではなく、事後的にスパイにすることは実際に見られます。
 具体的には、普通に日本語や日本文化を学ぶために留学に来た中国人学生に対し中国当局がスパイ活動を指示して、国の命令を受ける形で諜報活動に従事し、日本から追放の憂き目に遭う人は定期的に出ています。留学生を使う手段はどこの国でもあると聞きますが、だからと言って留学生全員がスパイというわけではないだけに、妙な偏見は持ってもらいたくないというのが本音です。

 もっともこうした留学生を使うというやり方は、中国側でも懸念されています。やはり中国のネットを見ていると、日本人留学生にはスパイが混ざっていると言って危機感をあおる言論も見られ、日本でも同じような意見がありますが、中国にある日本人学校などはこの際叩き潰せ問極端な主張も見られます。

 その日本人学校というと、以前に何か反日意識を盛り上げる事件が起きた際、「中国にある日本人小学校はスパイ養成学校だ!」という意見が出てきたことがあります。曰く、「あいつら小学生のくせに整然と列を作って並んだり、施設を自ら掃除したり、子供にしては異常に感じるほど規律が高い」というのが理由に挙げられてましたが、「きちんと列を作れない、お前ら中国人の基準で語るなよ(;゚Д゚)」と、中国にいる日本人はみんなして思いました。
 まぁ他人の会話を自然と盗み聞きする癖は、確かに学校とかで育成していると思うけど、これはスパイというより忍者教育の一環だと私は考えています

2023年3月19日日曜日

透明ポケットがほぼある中国の財布

 一昨日の夜中に発注した電気カーペットが今日無事家に届きました。今シーズン使う日数はもう残り少ないけど来年以降もどうせ使うし、早く届いてほんとよかった(´;ω;`)ウッ…

 話は本題ですが、最近ちょっと贅沢になったというか消費が増えてて、ちょくちょくお金を使う理由を探してはタオパオで商品検索しています。それもこれもタオパオをまともに使うようになったからで、つい1年半前までは一切使ったことがなかったのに、ゲーム用コントローラーが家の近くでどこにも売っていなかったために手を出して以降、明らかに買い物量が増えています。やはり手を出さなければ、余計なものを買わずに済んだのにと思う一方、これまでになかった中国の商品やECサイトの特徴などが掴めてきていて、痛しかゆしといったところです。

 そんでまたこの前も「どうせ現金使わないし、小銭入れももう開かないしなぁ」と、現在使用している財布に対する疑念が持ち上がってきました。中国は電子決済が普及、っていうかもはやこれ一択並みに浸透しているため、自分も財布を開くのは月に1回、クリーニング屋にデポジットカードを出すときだけとなっています。そのせいか以前に開いたらリアルにカビが生えていたこともあるし、知らない間にクレジットカードが割れていたということまでありました。

 そんな感じなので、クレジットカードなどが複数枚入り、100元札が数枚入る薄いコンパクトな財布に替えてみようかなと思い立ち、タオパオを眺めてみることとしました。
 ただこのタオパオでの商品検索、何が面倒かって同じ商品がいくつも同時に商品候補として表示される点です。なぜこうなるのかというと、色や寸法などちょっとした仕様の違いでも別商品として扱われるのと、同じ商品を複数の業者が取り扱って販売しており、業者別にも商品が候補として表示されるためです。そのため一見すると商品点数が多いように見えて、実際にはダブり(価格差はあるが)が多くて実は数種類しかないとかいうケースも見られます。

 話を戻すと、そんな感じで思ったより種類ねーなーと思いながら男性用財布を見ていたところ、ある特徴に気が付きました。


 上の写真はタオパオで販売されているある財布の商品紹介用写真なのですが、見ての通りなんか、変な写真入れみたいな透明なポケットがあります。これがこの財布のみならまぁそんな財布も世の中あるよねで済みますが、検索して出てくるほぼすべての財布に、この透明ポケットが何故か入っていました。
 自分には財布に好きなアイドルのプロマイドとか自分の写真を入れるような趣味はなく、このポケットもないに越したことがないので、ポケットのない財布をひたすら探したのですが、確率的に代替1/20くらいでしかそのような財布がなく、ただでさえ少ない選択肢が余計に狭められ、財布買ってる場合じゃねぇという感じになって結局新調を見送りました。元から使ってた財布に対して、なんか浮気してごめんみたいな気持ちを覚えました(m´・ω・`)m ゴメン…

 それはそうと何故中国の財布には揃いも揃ってこんな透明ポケットがあるのか。最初は家族の写真でも入れる奴が多いのかと思いましたが、よくよく調べてみたところ、どうもこのポケットには身分証明書用の国民カードを入れるポケットであることがわかりました。
 国民カードは言うなれば日本におけるマイナカードで、基本的にどの中国人も普段から携帯しています。このカードはもちろん顔写真入りで、たまに見せるよう求められることもあるため、こうして財布に専用ポケットも設けられているみたいです。

 もっとも最近は番号さえ言えば警察はすぐに携帯端末から照会できるため、カードを見せなくてもいいんじゃないかって感じですが。

 日本でもこれからマイナカードが配られていきますが、それ専用にこうした財布やパスケースなんかにもマイナカード用ポケットとか設けられるのかもしれません。まぁ設けられるとしても、財布開くたびに自分の写真見るのもそんな楽しくないので、自分はこれまでのような財布を使っていくと思いますが。

2023年3月7日火曜日

AIの反乱(IN中国)

【電子版】AIが「共産党は無能」と批判、中国ネット大手がサービス停止(日刊工業新聞)

 上の記事のニュースは2017年のものですが、今日たまたまChatGPT関連の記事で事実を知り、かなり驚愕しました。というのも中国のテンセントが開発したAIのニュースなのですが、なんでも、

「『共産党万歳』との書き込みに『腐敗して無能な政治に万歳ができるのか』と反論した。

 さらに『あなたにとって(習近平国家主席の唱える)中国の夢は何か』との問い掛けに『米国への移住』と答えたとされる。共産党は『嫌い』とも断言した。」

 といったように、やたら攻めた姿勢を取るAIだったようです。っていうか、こんなAIを中国企業が開発したっていう点がマジ笑える。

 この記事について今日中国人の同僚にも話をしたところ、めちゃくちゃ笑ってました。でもってAIってのはやっぱお国柄とか出るのかな、中国だからやっぱ攻撃的なAIになるのかななどと話し、日本のAIだったらともかく「すいません!」などと謝ってばっかになりそうだなどと会話しました。
 この点についてですが、地味にAIによって性格が分かれるのかについてちょっと興味があります。人にやたらとケンカ腰になったり、慎重に回答したり、何も考えずにすぐ返事したりするなど、そうした性格面での違いまで反映できるようになったら、AIもより力を持つかもしれません。

2023年3月3日金曜日

中国で忍び寄る不景気

 一日遅れですが幸福の科学の大川隆法の逝去はマジビビりました。ほんとに急死というよりほかなく、今更ながら「UFO学園の真実」とか見たくなってきました。
 っていうかこの手のクソ映画話題で常連だった「シベリア特急」シリーズは最近ネットで見なくなったな。さすがに古くなってきたというべきか。

 さて話は本題ですがこのところ落ち込むことが多く、今日も帰り際にやたら寄せてきたレクサスに鞄こすられたりするなど運気が激減しているので何か好きなことを書こうと思ったところ、なんか景気の話が浮かんできました。
 中国は明後日3/5から国会に当たる全人代が始まりますが、足元の景気は非常におぼつかない有様です。今日も帰り際にレストラン街を歩いてきたのですが、気温も上がって外でもご飯食べれるくらいになっており、なおかつ金曜の夜だというのに、マジで驚くくらいに人がいませんでした。こうした傾向はそのレストラン街に限らず、中心部にあるショッピングモールとかでも以前より、それこそゼロコロナ政策がが絶賛敷かれていた去年以上に人通りが少なくなってきており、テナントも撤退が続いているのか空きスペースが目立っています。

 端的に言って、2020~2022年の中国の景気は悪くなかった、というより好調にあったと自分は見ています。その最大の理由は代替生産で、ほかの国がコロナ対策などで生産がおぼつかなかった中、中国は厳格なコロナ対策こそ続いたものの、比較的早く経済は正常化し、ほかの国の分まで製品の生産を請け負うようになっていました。また半導体不足などサプライチェーンの混乱もありましたが、その分だけ各部材の単価も上昇し、特に生産材企業なんかは日系でも過去最高の売上と利益をたたき出すところも出ていました。
 しかし2022年に入ると中国は依然として厳格なコロナ対策を続ける一方、ほかの国は規制を取っ払って中国以上にコロナ以前の正常化を果たし、中国に回ってきていた代替生産もどんどんとなくなっていきました。単純な前年比計算でいえば、電子や自動車部品といった輸出産業ほど今年の中国では大きな痛手を受けるとみています。

 一応、観光業などコロナ期間中は散々だった業界は去年よりは確実に盛り返すでしょうが、それでもコロナ前の水準にまで一気に戻せるかと言ったら未知数です。ストレスたまっているので旅行に行きたがっている人は周りにも多いですが、ホテルをはじめ各企業で従業員がまだ不足している感があり、完全復活まではもう少し時間がかかるとみています。

 一方、外食を含む小売はまだコロナの打撃から回復できていない、というより通販習慣が以前よりも根付いてしまっているため、今後もさらに先細る可能性が高いとみています。ただそれによって影響を最も被るのは小売系企業というより、彼らに実態店舗を融通してきた商業不動産業で、マジでこの分野については前から懸念を持っています。


 この写真は確か1月の土日昼間に撮ったカルフール店内の写真ですが、マジでこのところいつもこんな感じで、かつての上海高島屋(最近はまだ人を見る)を見ているような寂しさを覚えます。誇張ではなくいつ行っても人がおらず、客である自分も心配になるほどなのですが、カルフール自体も通販はやっているので、仮にそっちで販売できていたらまだ何とかなるでしょう。
 一方で何とかならないのは前述の通り商業不動産で、テナントが埋まらないことでかなりの打撃を被っているのではないかとみています。今度この辺のデータをもっと詳しく調べてもいいですが、マジで今年は1社か2社はそこそこの規模を持った商業不動産業者が倒れることもありうるのではと予想しています。

 こんな感じで、改めてコロナの3年間は割と景気良かったなと思うと同時に、少なくともこれまで自分が中国では感じなかった規模の不景気が、今まさに来ようとしているのを覚えます。自分の仕事はあまり景気に左右されない職種ですが、それでも今年は昇級幅は抑えられるかもしれず、この点でもやや鬱な気分にさせられます(ヽ''ω`)
 まぁ今夜はさっきコンビニにお菓子買いに行ってセルフレジ行ったら、猫がスキャナの前に座ってて店員のおばちゃんに「それじゃ会計できないからこっち来なさいよ」と言われたりしたので、明日からはいいことありそうです。