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2015年11月25日水曜日

トルコのロシア軍機撃墜について

 他にも書きたいネタがあるという時に限ってなんでこういう事件起きるんだろうと思いつつ取り上げますが、昨日トルコ軍は再三の警告にもかかわらず領空侵犯を続けたロシア軍機を撃墜したと発表しました。

 現時点の報道によると領空侵犯をしていたのは二機で、このうち一機は警告を受けて離脱したものの1機はなおも侵犯を続けたため撃墜されたとされます。ロシア側はあくまでシリアの領空を飛んでいたと主張しているものの米国をはじめとする周辺各国はそれぞれの観測結果を見る限りトルコ側の主張の通りだと述べており、私も恐らくその通りだと思います。
 撃墜されたロシア軍機のパイロットは機体から脱出したものの、シリア領内の武装勢力によって射殺され(空中でとの報道も)、また救出に向かったロシア軍のヘリコプターも襲われこの際にも一人殺害されたとされます。

 ロシアのプーチン大統領はこの事件についてトルコに対し厳重な抗議を行い、対するトルコ側も領空侵犯とトルコ・シリア国境近くへの空爆に強く抗議し返しています。既に報復も検討していると明らかにするロシアに対して米国などの第三国は両国に対して落ち着いた対応を取るよう求めているものの、現時点ではなお非難合戦が続いています。

 この事件について昨日早速上海人から電話でコメントを求められたのですがコメントとしましては「ロシアはやはり危険な国で、日本や中国もおちおち安心していられない。むしろ対ロシアについてはもっと協力すべきじゃないか」と、述べました。ロシアは昨年クリミアに侵攻したことは記憶に新しく、また過去の歴史をさかのぼっても条約なんてなんのそのとばかりに平気で破って侵攻してくるわ、抑留するわで、中国には「虎狼之国」という表現がありますがまさにロシアがこれにぴったりだと私は考えています。
 特にプーチン政権になって以降は経済力の高まりと共に強引な行動に出ることが増えており、ロシア国内での高い支持率に支えられていることもあってかその権力は絶大で、こうした外交問題が起きたところで国内で引き摺り下ろされたりすることはほぼないでしょう。私自身はロシア人とそれほど絡んだ経験は多くはないですが、いろいろ話に聞く限りだと非常に刹那的というか自分の命を大事にしない分、他人の命も大事にみないような部分があるように感じられ、だからこそ突然恐ろしい行動を平気で実行してくるのかなと考えています。

 そんな分析してるもんだからロシアに対する警戒感は多分、日本人の中でも私は相当高いと思います。このブログでも何度も書いていますがよく中国は何する変わらないため危険だと多くの日本人は言いますが、ロシアの方がもっと何するかわからなくないかと声を大にして言いたいです。日本なんかはまだ海挟んでるからいいけど、中国なんか陸続きからロシアに対しては本気で怖がっているように見えるし。

 それだけに今回の撃墜事件を受け、シリアでのロシアの軍事行動に歯止めをかけるきっかけにすべきではないかと密かに考えています。ロシアはアサド政権に対して支援しており反政府軍へ空爆を行っているようですが、それに対してNATOや米国は反アサド政権派を支援していてなんか昔の冷戦みたいな構造となっており、それ故にシリアの内戦も長引きISISが跋扈する余地も生まれています。それこそシリア領内でISIS以外への空爆は完全禁止という形に持っていかないと収拾がつきません。まぁそれができればとっくに……ってところなんですが。

 それにしてもシリアで内戦が始まった際、これほどまでに周辺各国、並びに先進国まで巻き込む事態になるとはだれも予想しなかったでしょう。アラブの春によってイスラム世界各国では政権崩壊が続きましたが、最初に焼身自殺した若者からここまで発展していくとはだれも予想していなかった当たり国際政治の複雑さをかみしめられます。

2015年11月24日火曜日

大阪ダブル選挙の選評

 ちょっと日が空いたけど先週末に行われた大阪ダブル選挙について私なりの選評を書いてきます。結論から述べると予定調和の選挙でどなたにとってもハッピーな結果だったんじゃないでしょうか。

 最初にお断りというか言い訳を書いておくと政治好きだと標榜しながら今回の選挙は事前にあまりチェックしてきませんでした。なんでチェックしなかったのかというと単純に興味が持てなかったのと、どこもそれほど真面目に選挙戦やっているように見えなかったからです。選挙結果は報道されている通り橋下代表が率いる方の維新の会メンバーこと前職の松井知事が再選を果たし、いくつかのニュース記事には名前も出て来ない方が市長に受かりましたが、この選挙で一番肝心なのは案外ここじゃないかという気がします。
 この名前の出てこない受かった市長といい、自民党候補も全く知名度のない人物が立候補しており、維新の会はまだともかくとして自民党の方は初めから真面目にこの選挙をやる気がなかったのではと言いたいわけです。

 報道では自民党の選挙対策部は選挙協力に応じなかった公明党に対して非常に怒っているなどと書かれていますが、率直に言って私はこれらの報道を疑っております。というのも安倍首相を中心とした自民党執行部はこのところ橋下代表率いる維新の会を応援しているかのような節があり、彼らが現在進めている民主党を解党した上での合流を望んでいるかのような態度が見られるからです。
 何故自民執行部が橋下市長を応援するのかその理由を推察すると、一番大きいのは衛星野党を作ることと見て間違いないでしょう。衛星野党というのは私の造語ですが、要するに与党と対決する姿勢を示しながら裏では政策協力、投票協力に応じるような野党の事で、安全保障や憲法改正などの点で選挙協力をやらせる代わりにそこそこ彼らの意見も取り上げる、場合によっては連立に組み入れることなども視野に入っているかもしれません。そうした野党を橋下代表を中心にしてつくらせようっていうのは真の腹ではないかと思ってるわけです。

 そのような方針であることからこの大阪ダブル選挙も、元々が維新の地盤でもあるということだし本気でやる気は最初からなかったでしょう。世間の注目も初めから薄かったですがそれは自民党自身が選挙活動を熱心にしてなかったこともあるように思えますし、とりあえず候補だけ立てて選挙しているように見せればよかったのかもしれません。
 メディアの方はどういう風に見ていたかは計りかねますが、どこも得票率を大きく取り扱わず「維新圧勝」という文字ばかり書いてた点に奇妙さを感じました。もっとも投票率は前回選挙時と比べると明らかに落ちてて、いくら受かったとはいえ維新の会への支持は以前に比べると確実に落ちているように見え、今回の選挙も維新を応援してというよりほかにまともな候補がいないからという消極的な投票結果だったと見るべきでしょう。

 あと維新の会が掲げる大阪都構想ですが、前回の住民投票の結果といい現段階でもこの政策については府民の支持は低いままなのではないかと見えます。今回の選挙でも詳細な説明は省いていたようですし、この選挙結果を受けて見直されていると考えるのはちょっと大袈裟でしょう。何がいいたのかというと、国政選挙に出ても今の維新の会では予想以上に議席は取れないと思うって言いたいわけです。民主党を吸収したとしても、です。
 ましてや地元大阪ですら地盤沈下が進んでるわけですし、全国での維新の会への支持はますます下がっているように思え、橋下代表はその辺をどう考えているのかメディアは単刀直入に聞かないのかなぁって思えてなりません。もっともほかにまともな野党もないし、自民党が安倍首相の後継でミス人事をしない限りはこのまま自民一興が続くのかなと思えます。

2015年11月22日日曜日

野田聖子議員の問題ある見識

呆れた不見識…野田聖子氏の「南シナ海は関係ない」発言に批判の嵐(産経新聞)

 もう少し大きく扱われるのかと思っていたら上記の産経以外あまり取り上げようとしないこのニュース。内容はリンク先を見てもらえばわかりますが、現在中国が出張って埋め立てやり始めて緊張が高まっている南シナ海問題について自民党の野田聖子議員は、「日本には関係ないのだから関わらない方がいい」というとんでもない見識を披露してくれました。
 この見識が如何に問題があるかについては記事中でも指摘されている通りに、南シナ海は日本にとって石油などの重要物資のシーレーンでもありひとたび事が起これば大きな影響を受けかねない地域です。また尖閣諸島での問題と合わせて近年における中国のむやみやたらな拡張主義を抑えるためにも、近隣諸国が一致団結して領土線の変更を認めないという姿勢を見せることこそ日本の利益にも叶いうるだけに、何をどういう理屈でこんなことを突然言い始めたのか本気で理解に苦しみます。まぁ単純に頭の中すっからかんだというのが実際の所でしょうけど。

 前からもこのブログで主張していますが、私はこの野田議員が大嫌いです。
 そもそもこの人は親のコネで帝国ホテルに入り、親の地盤を引き継いで議員になるなど何一つ自分の力で達成しておらず、議員となった後も何かこれという功績を遺したことはおろか独自の政策論を作ったことすらありません。どれだけこの人に中身がないのかについては、郵政選挙後に郵政民営化法案に選挙中の公約とは真逆に賛成票を投じた点を一つとっても保身しか頭にないということが伺えます。
 もっとも保身ともう一つ、無駄に功名心があるというからなおさら始末に置けません。上記のように政治家としてというか一市民としても同化と思える人物ながらもマスコミなどから、「初の女性首相候補」などと書かれて本人も浮かれてか先の自民党総裁選に立候補しようなどと身の程知らずも大概といったところでしょう。しかもその総裁選に向けて独自の政策論は何も全く作れておらず、「政治家として果たしたい政策はないけど総理になりたい」などという理解不能な行動を取っています。

 先ほどから非常に激しい言葉で罵り続けていますが、これだけ私が罵るのもこの人を総理はおろか議員にしては絶対にいけない人物だからだと思うからです。これまでの経歴や発言一つとっても政治家として致命的な欠陥を抱えていることは明白ですが、何故だか日本のマスコミは先ほども書いた「日本初の女性首相候補」などと持ち上げてて「一体何故なんだ!?」と中国からでも怒鳴りたくなるような紹介の仕方をしています。最初の南シナ海に対する発言も2週間以上経過したにもかかわらずまともにツッコんでいるのは産経新聞位で、普通に考えれば議員辞職要求が出てもおかしくないような失言なのにマスコミも野党もやけにダンマリ決め込みます。仮にほかの男性議員だったらこうもいかなかったと思うだけに日本のマスコミ、特にさっきの女性首相候補云々を書いた記者はもうこの世界には関わるなと言いたいです。

 更にこう言っては悪いですが、この野田議員といい小渕優子議員といい明らかに欠陥を抱えた人間が親の力とかで間違って議員になったりするもんだから女性の社会進出は遅れるのではとすら思います。以前にも書きましたが、本当にやる気があって実力のある女性ではなく無駄に目立ちたがり屋な無能な女性が変な力で目立つ地位に立っちゃうもんだから男性の側も「これだから女性は」と感じてしまうような気がします。女性を応援するのと、おかしな女性を応援するのは全く以って真逆のベクトルなだけにメディアもこの辺しっかり叩けよと、いいたいことだけ書いて筆をおきます。

正直者は何を見る

 このブログには度々私の友人である上海人が出てきますが今日はその彼のお話し。

 彼は私と同じ大学のゼミ同期生で、正確には元々学年は一つ違っていましたが私が中国留学のため一年間休学したので復学後に同学年となり、ゼミも一緒となりました。同じ学年なもんだから卒業ももちろん一緒で、就職活動の時期も同じだったのですがこの時のことについて後年、度々彼と話すある話題がありました。

 私はお世辞にも就活上手とは言えず、決して景気が悪くない時期であったものの書類選考を含めて百社は落ちておりそこそこ苦労はしたのですが、上海人も順風満帆にとはいかず、大手企業とされるところには全部お断りされてしまいました。その中でもある大手電機メーカーには最終面接までこぎつけたもののそこで落とされてしまったのですが、この原因について面接時のある質問に対する回答が原因だろうと彼は分析しております。

 それはどんな質問だったのかというと、「将来、中国に帰りたいですか?」というものでした。この質問に上海人は、「出来れば、中国の赴任地で働かせてもらえるとありがたいです」と答えたのですが恐らくこれが命取りとなったと分析しており、私も彼の考えに同感です。
 基本的に日系企業の面接は服従と肯定しか許されないのは言わずもがなで、さっきの質問時には「日本に骨をうずめる気持ちで働きます」とか、「仕事がある限りは日本でずっと頑張るつもりです」などと答えていればOKだったことでしょう。上海人自身もそういう日本の価値観を理解していながらもこの時は敢えて正直な気持ちを出したところ落とされてしまったわけです。

 本人もこの時の体験は相当衝撃が大きかったのかお互い社会人になって昼間から上海のバーで飲み合ったりする際、大体年に一回はこの話題を持ちだしていました。数ヶ月前に会った際も話題になり上海人は、「あの時、もし別の言い方をして受かっていれば僕の人生はどうなっていたんだろうか」という風に洩らし、それに対して私はこう応じました。

花園「そうだよね。なんせあの、シャープだしな( ・∀・)」
上海「せやでほんま。きっと今頃僕はリストラされてるか転職迫られてるかで安定なんてしてられへんかった。危なかったわ(;><)」

 念のため言っておきますが別に作っているわけでなくこれら全部事実です。友人が最終面接までこぎつけたシャープは現在経営再建中、というよりマグロの解体中で大量のリストラはもとより若手社員の流出も続き今後の先行きもよっぽどの名経営者かスーパーな発明が出ない限りはある程度見えてきているでしょう。
 少なくとも自分が直接見聞きした中ではりこれほど見事な「塞翁が馬」ともいうべきエピソードは見当たらず、なんというかやっぱ人生は正直でいる方が日が当たるんだなと思えてきます。言い方変えて意地悪な言い方すると、正直な気持ちを吐露する人間より心にもないこと言う人間ばかり採ってたからこうなったんじゃないかな。

2015年11月21日土曜日

朝青龍の北の湖理事長への追悼コメント

元朝青龍 北の湖理事長を悼む「悲し涙が止まらない」(スポニチアネックス)

 さっきまでスカイプで話してたので短い記事を一言いれますが、本日元横綱で相撲協会の理事長であった北の湖理事長が亡くなりました。この突然の訃報に各所からコメントが出される中、こちらも元横綱で現役中は北の湖理事長といろいろとやり取りのあった朝青龍ことドルゴルスレン・ダグワドルジ氏のコメントがなかなかに目を引きます。
 現役中は北の湖理事長と対立している、仲が良くないなどというようなことも言われてましたが、この突然の訃報に対してリンク先記事の見出しにある「悲し涙が止まらない」とその死を強く悔やむコメントが書かれてあり、見ているこちらもその悲しみが伝わってきそうな言葉で表現されています。

 朝青龍はツイッターなどで日本語文書をこれまでも書いて発信しておりますが、彼の日本語会話は外国人でありながらほぼ完璧だと思う水準にあるものの、ツイッターにて出される文書はちょっと拙いというかきちっとした日本語文書になっていないことが多いです。とはいえ外国人でこうやって文書書くだけでも大したものというべきか、そもそも自分も中国語できちんと文書を書く自信がないだけに「下手でもいいから発信するのが大事なんだ」と常々感じさせられるのですが、こと今回の追悼コメントに関してはかえっていい表現になっているような気がします。

 追悼コメント中には「悲し涙」という言葉が使われていますがこの言葉はあまり一般的ではなく、こういった場面で使う日本人は多分いないと思います。恐らく音からして「悔し涙」という言葉から感情を表す漢字を置き換えて使ったのではないかと思いますが、あまり見ないだけに新鮮であり斬新で、なおかつ「かなしなみだ」という音も聞いてて悪くありません。
 一般的ではない表現、さらに文書の拙さもあってストレートな表現ですが、悲しみを表現する上でこの拙さはかえって伝わりやすい表現ではないかと思います。それだけに今回のコメントからにじみ出る朝青龍の気持ちは見ているこっちも感じやすく、素晴らしいコメントを残してくれたと彼には感謝と共に高く評価する気持ちを送りたいです。

  おまけ
 朝青龍の現役時代のライバルといったら「青白時代」と一時期言われたように現在も横綱を張っている白鵬関が普通は上がってきますが、実際は横綱審議委員会の内館牧子氏との土俵外のバトルの方が見ていて一番熱かったし、彼の真のライバルだった気がします。またいつかやってくれないかなぁ。

2015年11月19日木曜日

中国のファーストフード市場 その2、大手チェーントップテン

 ようやく風邪が直りつつあるのか昨夜に比べれば大分体のだるさも取れて記事執筆に迎えます。何というか抵抗力が落ちてたのか昨日は左耳が中耳炎になったのかずっと痛かったし、あと早朝髪の毛を櫛でといていたら何故か根本からバキッて折れるし。櫛を折るなんて人生で初めてだよ……。

2014年中国快餐连锁十大品牌企业排行榜(中商情報網)

 そういうわけで昨日に引き続き中国のファーストフード市場について紹介していきます。今日引用する元記事は上記のリンク先ですが、こちらはビジネス関連情報の記事を発信している「中商情報網」というサイトの記事で、2014年8月に出されたやや古い記事であるものの中国におけるファーストフードチェンのトップテンを独自に選びランクづけています。なお中国の経済メディアは何故だかこういうトップテンとか100強、500強といったランク特集をしょっちゅう組んでおり、ランクをつけるのが明らかに好きであるように感じます。共産党が序列主義だからかな。
 などとどうでもいいことはほんとどうでもいいので、早速そのトップテンにランクされたチェーンを下記に列記します。

<中国ファーストフードチェーンのトップテン>
1位  ケンタッキーフライドチキン(肯德基KFC)
2位  マクドナルド(麦当劳)
3位  真功夫
4位  Dico's(ディコス、德克士)
5位  ピザハット(必勝客)
6位  永和大王
7位  麗華
8位  味千拉面
9位  馬蘭拉面
10位 大娘水餃

 上記の順位を見た私の感想を述べるならば、恐らくこの順位で大きな間違いはないだろうと行ったところです。中国で生活している私の肌実感でも大体こういう順位というか思い当たるファーストフードチェーンがしっかりと入っているように感じます。

<ケンタッキーのがマクドナルドより多い>
 個別解説に移りますが、日本でファーストフードチェーンの王者と言ったらマクドナルド以外の何物でもなく、これに誰も異論を挟む余地がないでしょう。しかし中国ではなんとケンタッキーの方が人気で、実際街歩いていてもケンタッキーとマクドナルドの店舗数で言えば3:1くらいの割合で断然ケンタッキーの方が多いです。
 そのケンタッキーですが売っている代物は日本とはこれまで異なっており、日本でお馴染みのフライドチキンが去年まで全く売られずにバーガー系メニューを中心に、手羽先っぽい奴とかフライドチキンとはまた別な唐揚げで、最近だとご飯にお惣菜が付いた定食メニューみたいなのも用意してます。去年の夏ごろからお馴染みのフライドチキンを中国でも売るようになったのですが、なんで今までなかったんだろうかと不安に思いつつこのところはそのフライドチキンを毎週一回は食べに行ってたりします。

 マクドナルドのメニューに関しては基本的に日本とも共通していますが、日本オリジナルの「てりやきチキンバーガー」がないかわり、中国オリジナルの「ピリ辛チキンバーガー」みたいなのが用意されています。ケンタッキーでもそうですが売れ筋のメニューはどちらかというとこういった鶏肉を辛めに揚げた具材をバンズ挟んだバーガーで、これは間違いなく中国人の嗜好に合わせたメニューでしょう。また同時に、中国人自体が牛肉を食べ慣れていないことからビーフハンバーグを具材に使ったバーガーがほかの国と比べると勢いが低いのではと推測しています。まぁもちろんビッグマックとか中国人も食べますけどね。

<中国オリジナルのファーストフードチェーン>
 3位に入っている「真功夫」は日本人には馴染みが薄いものの、中国ではどこ行っても見かけられるファーストフードチェーンです。ここでは丼物っぽい料理を始めとした中華料理のファーストフードを出しており、スープやおかずがついた定食形式で頼んでからチンして出すのか、マクドナルドのようなカウンターで支払いと受け取りをやって店内で食べたり、持ち帰ったりすることもできます。私自身も何度も利用しており、トラックスーツを着たブルース・リーのロゴは嫌でも目立ち、中国らしいファーストフードとして上手く成立している印象を覚えます。

 そして4位の「Dico's(ディコス、德克士)」ですが、実はここには前から注目しています。というのもここはマクドナルドと同じようなハンバーガーを中心としたファーストフードチェーンですがケンタやマクドと違って欧米からのフランチャイズではなく、先の「真功夫」同様に完全中国資本、中国オリジナルのファーストフードチェーンだからです。このディコスも何度か利用しましたが味的にはマクドナルドに大きく劣るようなものではなく、メニューにも工夫が見られ決して悪くない印象です。更にディコスの店舗はこのところ明らかに増えており、上海市内でも気が付いたらここにもディコスがと思くらい拡大を続けていて、中国オリジナルのハンバーガーチェーンなだけにどこまで成長するのか実は楽しみに見ているところがあります。
 ちなみにディコスは西安に上海人と旅行に行き、現地にいる後輩と合流して3人で何度も入りました。三日間の西安旅行で休憩の度に入っていたからどれくらい行ったのかわからないくらい入りました。

<味千拉面が日系で唯一のランクイン>
 中国には今後の成長を見込んで数多くの飲食チェーンが進出しておりますが、その中で最も大きな勢力を持っているのは間違いなく8位の味千拉面です。中国経済を多少なりとも触れた人間なら誰もが知っているであろう熊本発のラーメンチェーンで、大都市はもとより地方都市でもしょっちゅう見かけるくらいにその店舗数は圧倒的で、日系としては唯一このランキングに入るのもうなずける話です。
 ただつい今さっき大学の先輩にもスカイプで解説しましたが、味千がなんでこれほど多く店舗数を広げられたのかというとフランチャイズの条件が緩いためだとされ、日本国内でも「餃子の王将」がまさに当てはまりますが、店舗によって料理の味の差が大きいところがあります。同じ市内の店でも食べてておいしい店もあればなんじゃこりゃというくらい不味い店もあり、私もこのところは昆山市内でおいしいと思う店にしか足を運びません。スープ自体は工場で粉末状にして各店舗に配ってるそうなんだから普通は差が出ないはずなんだろうけど、なんだろう、店によって薄められてるのだろうか。

<その他短評>
 そのほかランクインしたチェーンについて短評を加えると、ピザハットは日本同様安いピザを高値で吹っかけている、もといやや高級路線でやってます。「永和大王」は中国ラーメンを中心としたチェーンで、何気に上海来て最初に食べた料理がここの牛肉麺だったのをやけに覚えてます。7位の「麗華」は自分は使ったことがなく、調べてみたらケータリングのお弁当配達がメインのお店のようです。9位の「馬蘭ラーメン」も街中で見かけるものの使ったことはありませんが、10位の「大娘水餃」は餃子のチェーンで、鉄道部と組んでるんじゃないかと思うくらいどの鉄道駅構内にもお店があります。街中にも多くあって、前は「大娘(おばちゃん)」ってことからデフォルメしたメガネのおばちゃんがロゴデザインでしたが、最近変わってマダムっぽい女性の後ろ姿になりました。

 ファーストフード、というよりは飲食チェーンの解説となりましたが、どうも中国では飲食チェーンとファーストフードチェーンの区別があいまいで、有名レストランのチェーン以外は全部ファーストフードチェーンのカテゴリに入れてしまっているように見えます。といっても日本でもこの辺のカテゴリ分けは案外独特で、同じチェーンでも「ファミレス」、「バーガー&チキン」、「牛丼」という感じに分けられ、ファーストフードとされるのは真ん中の「バーガー&チキン」だけです。冷静に考えたら「牛丼」もファーストフードに入れるべきではと思えてくるのですが。

 これはあくまで私の持論ですが、中国と日本の飲食チェーンで決定的に異なっているのは「ファミレスチェーン」というカテゴリが中国にはないということです。今日のランキング内ではピザハットが一番これに近いと思うものの、日本のガストやココスといった要職を提供するファミレスの形式はまだ主流ではなくむしろマイナーな部類に入ります。
 しかし需要は全くないわけではなく、むしろ家族間のつながりが強い中国なだけに逆に求められているのではと思う節があります。そう思うのも日本の「サイゼリヤ」がこのところ中国で躍進しており、中国でファミレス市場を開拓するかのように店舗を増やしていっているからです。時期はまだはっきりと言えませんが、この記事の続きとして今度は中国における日系飲食チェーンの調査記事を準備ができ次第にアップします。

2015年11月18日水曜日

中国のファーストフード市場 その1、概要

 先日、潮風大使さんより「中国のファーストフード業界について紹介してほしい」というリクエストを受けたのですが、このリクエストには素直に魂が震えました。というのもこれまであまり中国のフラーストフード業界をテーマにした記事を見ておらず、成長が見込める市場なのにやけに解説が少ないので自分が手掛けてみたら意外と面白いかもしれないという妙なジャーナリズム魂が動きました。
 そんなわけで密かに下調べを進めておりましたがなんにせよこのところほかにも書きたい記事ネタがやたら集中しており、先週土曜もなるべく消化するため一挙に4本も記事をアップしましたがそれでも他に優先する記事が多かったため、今回のこのテーマでの出稿が遅れに遅れました。当初は先々週にもアップしようと思ってたのに。

 そうした事情は置いといて、このテーマは分野別に攻めていった方が面白いのでしばらく連載形式で取り上げていきます。一発目の今日は見出しにもある通りに概要で、中国のファーストフード業界を取り巻く各種のマクロデータを紹介します。

1、飲食業界の市場規模
盘点:2015年快餐行业发展现状和趋势(天財商龍)

 データの引用元は上記リンク先の記事です。と言っても中国語ですので、閲覧する際は中国語使いをつけて読んでください。

 まず中国のファーストフード業界を含む総合的な飲食業界の市場規模の解説から入りますが、率直に言って大幅な成長を続けています。同業界は2008年の年間市場規模が1兆2650億元だったのに対し2014年は2兆7860億元と、6年間で倍以上の成長を見せ、この間の複合年成長率も15.1%に達しています。今年2015年の中国経済は製造業がどこもガタ落ちしていますがサービス業は全体的に好調を維持しており、ファーストフード業界も1~9月の市場規模が前年同期比11.7%増の2兆3071億元となって二桁の高成長を保ちました。
 雇用面でも飲食業界は経済に対して非常に大きな貢献をしており、関連企業は300万社以上にも上り従事者数も1億人を超えるとされ、この雇用数は不動産、自動車業界に次ぐ水準とされています。仮に中国の人口を13億人と見積もるならば、8%前後が飲食関連業界で働いているってことになるのかな。

2、ファーストフード業界の各種データ
 成長著しい飲食業界の中でも、ファーストフード業界の成長は特に著しいと上記記事では指摘しており、ここ数年の複合年成長率は17.5%に達したと紹介されています。成長が著しいだけでなく潜在的な成長性はまだまだ高いと見られ、その根拠として中国における一人当たりのファーストフードへの年間消費額は63.7米ドルで、欧米が600米ドル以上であることを考えるとまだまだ低い水準としています。もっとも年間消費額についてはほかの項目でも欧米と比べて大幅に低いだろうから、ファーストフード業界に限るわけじゃないけど。

3、中華系ファーストフード
 日本でファーストフードと言ったらマクドナルドやケンタッキーに代表される洋食系のチェーンが思い浮かび、和食のファーストフードと言っても牛丼がギリギリ入るくらいでしょう。もっとも市場的に前者がファーストフード業界、後者は牛丼業界って感じで分けられることのが多いですが。
 中国では事情が日本とは異なっており、中華料理を中心としたチェーン店もファーストフード業界に加えられております。こうした中華系ファーストフード店は私もたまに利用しますがお店はマクドナルドみたいにカウンターで注文して料理が出される形式で、メニューは餃子や点心、丼物などそこそこバラエティに富んでいます。

 では中華系と洋食系ではどっちが多いのかですが、これは中華系の方が軒数で言って圧倒的に多いのではないかと示唆するデータがあります。中国はマクドナルドもケンタッキーも電話一本でどこでも配達してくれるほど何故だかケータリングがやけに普及しており、中華系ファーストフード店も洩れなく電話一本出前一丁で持ってきてくれるのですが、中華系シンクタンクの調査によるとこのケータリング件数を比較すると中華系が63.4%、洋食系は17.5%だったとのことです。売上げ比較ではないので一概にこのデータだけで判断できませんが、街中を歩いていても店舗数、特に地方を含めると洋食系よりは中華系の方が多いという気がします。まぁ運営企業別の売上げなら洋食系チェーンの方が圧倒的に大きくはなりますが。

 以上が元記事データを丸々引用した内容となります。もう少し続けたいけど昨日から風邪気味でめっちゃ体だるいので続きはまた次回に回します。次回では中国の各飲食チェーンブランド別の人気度というかファーストフードトップテンを取り上げる予定です。まだ今日よりはオリジナリティが含められる記事になると信じてます。

2015年11月16日月曜日

上海蟹レポート


 昨日は自分の所属しているサイクリング部のメンバーと共に、上海蟹を食べるため昆山市内にある陽澄湖へ行ってきました。この一文を読んで、「なんで上海蟹なのに昆山に行くの?」と思った方もおられると思いますが、元々上海蟹というのは昆山市内にある陽澄湖という湖から陸揚げされる蟹を指しており、昆山が上海の隣であることからネームバリュー的に「上海蟹」という名称が定着して今に至るわけです。なんとなく、千葉県にあるのに「東京ディズニーランド」的なノリを感じます。

 上海蟹のシーズンは9月の秋口からで、これは質の悪い蟹が先を争って市場に出るのを防ぐために毎年販売解禁日が設けられています。とはいえ9月だとまだ走りであるため味はそれほどよくなく、おいしいとされる旬の時期となるのは11月から12月の初旬くらいで、1月にもなるともうほとんど食べられなくなります。
 ちなみに今年は市場に出回る量が多い、もといぜいたく禁止令で共産党幹部への付け届けが減ったせいなのか値段は例年に比べて安いと言われています。

お土産用に箱詰めするおじさん

 陽澄湖は昆山市内中心部から西へ約20km行った蘇州市との境にあ広い湖でかなり広いです。なお湖のほとりには公園とリゾートホテルがありますが、このリゾートホテルは昆山市内で一番高いと言われ一泊どんだけ安くても1000元は下回りません(約2万円)。逆に安いとこだったら130元(約2600円)くらいで泊まれたりしますが。

 話は戻りますが、今回訪れたのは陽澄湖近くにある上海蟹専門店が軒を連ねるレストラン街の一店です。食事に入る前に蟹を見せてくれと言ったらすぐに案内してくれて上記写真の様に生きた蟹を一匹ずつ縛っては箱に詰め込んでいる様子などが見られました。っていうかこの写真、いい感じに腕がぼやけてるな。


 そんなこんだで出てきた料理がこれです。
 上海蟹は基本的に縛ったまま茹でて、雄蟹と雌蟹の二匹を同時に食べます。上の写真だと上に乗っかっているのが雄蟹で、下が雌蟹です。両者の違いは雄蟹は体がやや大きく蟹肉が多いのに対し、雌蟹は卵を持っているので蟹味噌おいしいというところで異なっており、どちらかと言えば雌蟹の方がおいしいとされるので先に雄蟹から食べるのが一般的だそうです。

 さてここまで話を進めてきてなんですが、知ってる人は知ってるでしょうけど実は私は蟹を始めとした甲殻類、そして貝類といったいわゆるシーフード系の食べ物はあまり好きじゃなかったりします。別に食べられないというわけではなく単に食べるのが七面倒くさい割には食べられる量が少なく、しかも値段がやや高いというのであまり率先して食べたいとは思いません。そんな施行しているもんだから今まで上海蟹をそのまま食べるということは一回もなく、以前に香港でスープなど料理にされた物しか口にしたことがありませんでした。

 なもんだから何気に今回が初めて口にする上海蟹だったので、あまり好きじゃないという素振りはほかのメンバーに対して微塵も見せずに面倒だと思いながら殻割って食べてみました。食べてみた感想として最初に思ったのは、生臭い臭いというかいわゆる蟹臭さがほとんどなく、手づかみにも拘らずそれほど手もかゆくなったりはしませんでした。ここら辺は海水と淡水の差なのかもしれません。
 そして肝心の味については定説通りに雌蟹の方がおいしく、雄蟹もまずくはないですがどっちかっていうとといったところです。こう思うのも上海蟹はそれほど大きな蟹ではないため蟹肉も食べれるところはそれほど多くなく、必然的に蟹味噌の部分を一番多く口にするからです。
 なお蟹肉、特に足部分は上手い人はさっと糸通しみたいに蟹肉だけ抜いて食べてましたが、私はそんなに器用ではないので片っ端から奥歯で殻を噛み砕いてから食べてました。最近固い物かじってないけど、その気になれば多分今でも胡桃の殻くらいなら歯で割れるほど無駄に丈夫です。

 そんなこんだでいろいろ食べて、ほかの料理と合わせて最後の清算時に支払った一人当たりの金額は160元(約3200円)でした。サイクリング部のメンバーがお土産用に雄雌一対を帰り際に買ってましたがその値段は120元(2400円)で、上海で買うよりずっと安いと話していました。蟹に興味ないから安いか高いかと言われて正直わからないのが本音です。

 あとどうでもいいですがこの日は9時半に昆山市内で合流して自転車乗ってレストラン行きましたが、前日の晩は何故だかこの時期にもかかわらず蚊が室内を飛んでおり、時折耳元で羽音を鳴らすもんだから夜中2時に起こされたりとやや睡眠不足気味でした。翌朝、準備を整えて出発する間際に窓ガラスに蚊が一匹張りついているのを見て速攻ではたき、地面に落ちたところをスリッパの裏でグリグリと踏み潰してから出ていきました。
 最近休日は一切昼寝せず睡眠不足だというのに。

2015年11月14日土曜日

昆山市のアウトレットモール


 今日はこれで四本目の記事ですがそれは置いといて、昼食を馴染みの日本料理屋で食べた後で自転車を走らせ最近出来たばかりという昆山市内のアウトレットモール「首創奥特莱斯」へ行ってきました。

 アウトレットの定義に関しては省略してなんでここへ来ようと思ったのかというと、自分が参加している自転車クラブのメンバーが先日の会合の際、ここでいいGジャンを安くで買えたと教えてくれたからです。その人が言うには品質は悪くないし金額は明らかに安く、それまで日本国内でもあまりアウトレットモールを利用したことなかったが今回行ってみてまた通いたいというほどという大絶賛ぶりで、昆山のローカル情報取り上げる人なんてそうそういないんだし自分も行って取材してくるかと思ったのがきっかけでした。

 また地味に気になった点として、「中国でGジャン買えるの?」とも反応しました。というのもGパンはどこでも売ってますが意外とGジャンは中国だと取り扱っている店が少なく、前も上海で必死こいて捜したものの見つからず泣く泣く日本帰国時に上野で買ったこともありましたが、本当に昆山で買えるのならどんな店かと見てみたいという興味を持ちました。元々、真冬でもGジャン一枚でどこへでも行くことから大学時代は「ダブルデニムの花園」という異名が陰でリアルで付けられていた私ということもあってGジャンにはこだわりがあり、一昨年の年末もマジでGジャン一枚で北京へ乗り込み万里の長城へ行って凍死しかけました。

 話はアウトレットモールに戻りますが、場所は市内中心部から東へやや離れた郊外にあり、歩行者の少ない道路を昨日パンクしてすぐ修理した自転車すっ飛ばして乗り込みました。到着したモール内は駐車場こそそこそこ埋まっていたものの、よく晴れた週末の昼過ぎにもかかわらずちょっと人はまばらだったような気がします。イベントスペースには人がそこそこ集まっていたけど、各店舗内はほぼ無人だったし。
 入っている店舗はほとんど海外ブランドで、ナイキやJeep、Diplomatとかとかとか。施設は新しいだけあってどこもきれいでまだテナントの入っていないスペースもそこそこありましたが、一見すれば日本にあるアウトレットモールと区別がつかないくらい立派な施設でした。飲食店のコーナー(3F)はまだテナントが決まってないのか工事が終わってないのかまだ入ることすらできなかったものの1Fにもいくつか飲食店はあり、私は今日買い物を済ませてから一軒入ってバナナジュース飲んできました。意外とこのバナナジュースも中国だと飲める所少ないからマジでうれしかった。



 そんなわけで、今回購入したのが上のスニーカーです。なんでGジャンじゃないのかと肩すかしくらったかと思いますが、実は先週急に寒くなったので近くのスーパーで薄手のデニムジャケットを買ってしまい、Gジャンは日本の潜伏拠点にもあるし今回はいっかと見送ったわけです。一応はLevisの店で売っていることを確認しており、気が変わったら買いに行こうかと思います。
 なお先週買ったそのデニムジャケットは室内で着ており、外出する際には必ず脱いでいます。意味わかんないだろうけど私は動くとすぐ発熱するから外いる時は着てて熱く、逆にあんま動かない室内にいる時のが寒さを感じる妙な体質してるからです。

 それで今回どうしてスニーカーを買ったのかというと、単純に靴がなかったからです。今年の2月に一足スニーカーを買いましたが、今年はやたら大雨降ることが多くその靴履いて何度もザブザブ水に浸かったもんだから先月に靴底がべろっとめくれるわ側面に割と大きな穴が開くわで、ガチで破損させてしてしまいました。中国製だからやわとかそういうもんじゃなく、過酷な扱いをしてしまってその靴には本当に申し訳なかったです。
 ひとまず今日までは前に履いていた別のスニーカーを履いてました、このスニーカー、デザインは悪くないものの靴底がやたら薄く、歩いていると地味に足裏がジンジン来るので出来ればほかの靴底厚いスニーカーが前から欲しかったりしました。
 なおその靴は普通に履く分には全く問題ありませんが、私の場合だと知ってる人には早いですが歩く速度と距離が尋常じゃありません。友人曰く、まるで軍人のように走るように歩く上、その距離も絶対おかしいというくらい数キロ単位で移動します。だから今回は山靴みたいに靴底厚くて丈夫そうなのを選びましたが、お値段はアウトレット価格323元(約6400円)でケチな自分にしてはよく払ったなという気がします。

駐車場近くから撮影した写真。手前は自分の自転車

気高き医師たち

 ひとつ前の記事でちょこっとだけ出てきますが、人気作でドラマ化された「Dr.コトー診療所」という漫画を連載中は購読していました。最初に読んだのは高校二年生の時でそれから最新刊が出る度に買ってはクラスメートの間で回し読みさせるくらい熱中し、現在においても文句なしに素晴らしい漫画だったという評価に変わりありません。やや残念な点としては、本人もブログで書いていますが作者の体調不良によって2010年以降は連載が中断しており、このまま未完の作品として終わりそうであるということです。
 なんでまた急にこの漫画の話をするのかというと、主人公のモデルとなった鹿児島県の下甑島で長年離島医をされていた瀬戸上研二郎医師がこのほど退任されるというニュースを見たからです。

「Dr.コトー」のモデルが退任へ…離島医療37年(読売新聞)

 上記リンク先の記事によると瀬戸上医師は74後歳となる今年まで37年間も下甑島で離島医をされていたとのことで、離島医療の現状を伝える活動など様々な方面で活躍されてきたとのことです。漫画の中でもまともな医療設備もなければ輸血用の血液にすら事欠く有様が描かれていましたが、都市部で暮らす人間からは想像もつかないような苦労が数多くあったと思われるだけに瀬戸上医師の長年の勤務については本当に頭が下がります。

 このニュースについて友人と話したところ、「そうは言っても地方の医師は漫画ほどうまく地域に受け入れられないんじゃないのか?」と切り返してきました。私はこの返答でぱっと思いついたのですが、以前に限界集落ともいうようなとある村に外部から医師が赴任してきたところ、なんと村八分にあってせっかく来てもらったのに辞めざるを得なくなったというニュースがありました。村名を出すのはなんか忍びないので、興味ある方は自分で検索して調べてみてください。

 恐らくこの友人のいう通りに、どの医者も村の人間たちとの関係も築けて上手くやってけるというわけではないでしょう。しかし現実問題として日本の各地では無医療無医村ともいうべき限界集落は増えており、該当する自治体では赴任してもらう医師の確保に苦しんでいるとも聞きます。村八分の恐ろしさはもとより、都会と比べて不便な地方での生活、給与面での問題など様々な障害はあり、普通に考えればなんでもってそんなところへ働きに行かなきゃならないんだと傍観者的な価値観からすると思えてしまいます。

 しかし、以前というかかなり昔に読んだコラムで、ある人(名前や団体は失念)こうした無医村に医師を斡旋する活動を始めたところ本人が思っていた以上に多くの医師が応募してきたと書いてありました。応募してきたどの医師も自分が地方の医療を支えるんだという強い意志を持っており、また都会の大病院では大量の患者を診るため文字通り「患者を捌く」ように診療しなければならないため、もっと患者とじっくり向き合って診療をしたいという希望を持つ方もいたそうです。
 仮にこの話が本当であるならばなかなか世の中も捨てたもんじゃないと思えると同時に、気高い医師というのは存外に多いのではとも思えてきます。実際、医療現場の方々は看護師にしろ医者にしろ全体的に高いモラルを保っているとされ、彼らの献身あって予算も人員も減らされるなかギリギリのラインで医療現場は水準が保たれているという話をよく聞きます。

 しかし、残念ながらというか彼ら気高い医師たちよりもメディアはどちらかというと不祥事を起こした医者の方をより多く取り上げようとします。かなり昔ですが「ポケット解説 崩壊する日本の医療」鈴木厚医師の講演を聞いたことがありますが、彼曰くテレビに出てくるようなゴッドハンドとか呼ばれ名医とされる医師たちはテレビに出る時間だけ診療をサボっている医師で、もっと毎日現場を底辺で支えている「ゴッドハート」のような医師たちこそ取り上げるべきだと強く主張されていました。もっともそのすぐ後、「ならお前もこんなところ講演してる場合かと言われるのですが」と、自分でツッコミを入れていましたが本当に漫才師かっていうくらい話のうまい医者でした。

 しかし鈴木医師の言わんとしていること、現場を支えている日の当たらない医師たちこそもっと注目すべきであるというのは同感です。離島医をされていた瀬戸上医師もそうですがこういった医療の最前線ともいうべき場所にいる医師というのはなかなか知る機会がなく、彼らが日々どれほど診療し、どんな勉強をして、どんな治療を行っているのか、普通は目に入ることはありません。
 これは前にテレビで見たある獣医師の例ですが、朝から夕方まで診療し、一時帰宅して食事を取ると夜間の急患対応に出て、夜寝る前に外国の医療論文を睡眠時間を削ってまで読むなどして勉強をするという、本当に頭の下がる生活をされていました。このような生活リズムはこの獣医師に限らないことでしょう。

 少子高齢化が進み医療問題が紛糾する中、ついつい医療費の制度とかばかりに目が行きがちですが医療の根本ともいうべき医療従事者にももっと目を向けるべきではないか、その上で現場を支える気高い医師たちをもっと知るべきだと友人と会話していて思ったわけです。

漫画レビュー「健康で文化的な最低限度の生活」

 あんまりやっちゃいけないと思いつつもこのところ紹介はしておきたい漫画が多いので続いている漫画レビューですが、今日は柏木ハルコ氏の「健康で文化的な最低限度の生活」という漫画を紹介します。書いてて思ったけど「今日は」っていうより「今日も」だな。

健康で文化的な最低限度の生活(Wikipedia)

 タイトルがなかなか凝ってありますが、この漫画は生活保護をテーマにした作品です。主人公は東京都の区役所に入った新人ケースワーカーの女性で、彼女と彼女の同期を中心に生活保護を受給している人たちとその支援の姿を追った作品であります。テーマがテーマなだけに連載開始当初から各方面から注目されて朝日新聞などにも取り上げられたそうなのですが、確かにこの「生活保護」というのは嫌が応にも普段生活していて気になるというか目に入るキーワードでもあり、また某売れっ子お笑い芸人の家族が受給していた事件が取り沙汰された時も大きな話題となっただけに、「年金」と並んで日本国民の関心事でトップ3には入るんじゃないかと思います。もう一つは今だったら「くい打ち」かな。

 作品の展開は基本的に主人公たちが担当する生活保護受給者とその家族が中心で、彼らへの就業支援や生活状況確認を通してトラブルを発見し、解決への道筋を探っていくような流れになっています。巻末には取材協力者、団体の一覧が載せてありますが、確かにこの作者は作品を読んでて生活保護というかケースワーカーについてよく取材しており、その仕事描写などは非常によく描けている印象があります。生活保護と言ってもそのシステムや受給に至るまでの過程、受給後の支援などはどうなのかは案外知る機会が少ないのですが、そうした部分へのとっかかりの様に生活保護とはどんなシステムなのかを知る上ではよく出来た構成になっていると太鼓判を押せます。
 あとこれは私の主観ですが、よく取材しているなぁと感じた点として主人公たちの着ている服に注目しました。一体どんな服かというと男性キャラは基本Yシャツにネクタイ姿ですが女性陣はブラウスにスカートやズボンが多く、しかもその組み合わせが程よくダサいというかババ臭かったりします。偏見かもしれませんがなんか役所の人たちってこういう服着ている人多いなぁというかパシッとした格好の人が少ないと前から思ってただけに、よくそういう情景見ていると変な所ですが共感しました。

 と、ここまで解説しておきながらですが現在この作品は連載が中断しております。公式発表では作者の体調不良だそうで、現在単行本は2巻まで出ておりますが連載は現在も再開されておらずその目途も経ってない状態なので続刊がでるかとなるとやや微妙な状態になっております。
 しかし、敢えて言わせてもらうとこのまま続きは出さない方がいいのではないかと私は考えています。あくまで私の評価ですが、今後連載が続いたとしてもこの作品は面白い展開が広がっていくとは思えないからです。

 先程にも書いたようにこの漫画は決して面白くないわけではなく人に全く薦められない作品ではありません。にもかかわらず何故このような評価をするのかというと、読んでていくつか気になった点があって連載を続けていくにはちょっと厳しいのではないかと感じたからです。

 気になった一つ目のポイントは、展開される話が取材で聞きかじった内容そのままなのではないかと思えた点です。各話で個別の生活保護受給者の状況と彼らへの支援の姿が描かれてはいるのですが、そのどれもがどこかで「生活保護者の実態」などのような特集で見たり聞いたりしたかのような内容で、「えっ、こういうケースとかあったんだ」と思うような意外性がほとんど感じられませんでした。
 私の想像ですが、取材で聞いた内容をほんの少し弄ってストーリーが作られているのではと思う節があり、取材内容を元に換骨奪胎させて自分の作品として仕上げるために付け加えるオリジナリティが余りにも欠けているような気がします。生活保護の実態をありのままに描くという目的で書かれているのかもしれませんが、結局それでは制度紹介漫画に終始してしまうこととなりかねず、「漫画家の作品」としてみるならばこれは大きなマイナス点になるのではと私は見ます。実際、回を重ねるごとに面白味が薄れていったし。
 なお、この取材内容にオリジナリティを付け加えるという点では「Dr.コトー診療所」が非常に優れていたと考えています。離島医という普段の生活ではなかなかお目にかかれない存在をテーマにしつつ、普通じゃあり得ない難手術を次々と成功させるというあのストーリー展開は今読み返しても見事だったと思える作品でした。

 もう一つの気になったポイントは、これは作者に対して過剰な要求であるということを承知した上で述べると、生活保護を選ぶというテーマ設定は抜群に良かったものの、そのテーマで漫画の舞台を東京都の区役所にしてしまったのは最大の失敗だったと思います。わかる人にはもう私が何を言いたいのかを想像していると思いますが、生活保護制度の問題というのは東京都内とそれ以外の自治体とでは本質が大きく変わってくるからです。具体的に言えば金というか予算の問題で、東京都は比較的予算が潤沢であるのに対してそれ以外の自治体はどこもカツカツの状態の上で税収は右肩下がり、なのに受給世帯は増えていて膨れ上がる支給費に対して限られた予算をどう使うのか、下手すれば生活保護申請をどこまで受け入れるのかというのが深刻な問題として横たわっております。
 実際にこの漫画の中ではそうした予算の話はほとんど出て来ず、生活保護者に対しても支援するのが当たり前のように描かれていて予算の面で切羽詰った場面は出てきません。ひどく汚い話ですが読者としてはそうした金にまつわるドロドロしたグロテスクな部分こそ一番見たがっているように思え、そうした場面を描けない、描き辛い東京都の区役所を舞台(恐らく取材先でもある)にしてしまったのはテーマはいいだけにとても勿体なかったという気がしてなりません。いい子向けの漫画じゃないんだからさ。
 理想を言えば最も多くの生活保護世帯を抱える大阪府、または人口減で限界集落すらも抱える自治体がこのテーマの舞台としてはうってつけだったでしょう。さすがに「闇金ウシジマくん」ほど激しい描写はいりませんが、やっぱり私も「一体どういう人が生活保護を受給するのか、できるのか」が一番見たかったです。

 以上のような評価から、決してつまらなくはないけど連載再開したとしても劇的に面白くなっていく可能性が低いというのが私の見方です。我ながら厳しい評価の仕方だと思いますが、生活保護ってどんなもんなんだろうと知りたい方にはまだ薦められる作品であることだけは述べておきます。


 

パリ同時多発テロについて

 各種の報道で皆さんも知っておられるかと思いますが、このほどパリ市内の複数の公共施設でテロと思われる事件が同時に発生しました。特に市内劇場では銃の乱射も行われ死傷者が百人を超すほどの大惨事となり、仏オランド大統領が国内で非常事態宣言を発したほか各国のフランス関連施設では警備が増すなどその影響は計り知れないほど広がっております。

 この事件を私は今朝のネットニュースで知りましたが、恐らくほかの人もそうでしょうが真っ先に思い浮かんだのは2001年のNY同時多発テロで、影響で言えばこの事件に次ぐ規模と見て間違いないでしょう。そして今後についても同様で、これ以前からもフランスではテロ事件への警戒は強かったですがこれからはますます強まり、具体的に言えば移民や難民、そして国内のイスラム教徒に対する審査や監視が強まることが予想されます。
 その上でまだ犯人グループの正体についてははっきりしていないものの、各種報道や事件現場にいた方たちの話からフランスによるシリア空爆への参加を快く思わない連中が引き起こしたものなどと見られ、仮にそうだとすればフランスやヨーロッパ各国はシリアへの更に強めるのではないかと思います。この過程は言うまでもなく、9.11以後の過程と同じです。

 では今後日本はどうするべきか。私としてはかつてから主張してきたように日本が欧米に肩入れしようがしまいがただ「貿易をしている」という一点でもってテロリストは日本も標的に入れると思われることから、目立たない形でもいいからISISを始めとしたイスラムテログループの撲滅活動を支援すべきだと考えます。今度の事件を受けてフランス政府は犯人らを、「人類の敵」と呼んだそうですが、無関係の人間を標的にして自分たちに都合のいい主張をする様を見るだに私もまさにその通りだと思え、日本は無関係だからと無視していいものかと言ったらやはり違うような気がします。既に述べている通り、日本がどのような態度を取ろうが彼らは日本人も狙ってくるだろうと思うからです。

 その上でテロが起きる度に攻撃をするという、米国がアルカイダに対して行った行動を再び繰り返せばいいのかという点についてはやや疑問があります。それについてはちょうどこの前に「中心無きイスラム世界」の記事で述べた通り、如何にしてイスラム教圏でまとめさせるかについてもっと具体的で効果のある施策を取る必要がある気がします。こう言っては何ですが、思想無き連中を片っ端から叩き続けても結局はいたちごっこに陥りかねないからです。彼らテロリストグループはイスラム教の教義を唱えてはいますがそれを真に受ける人間ははっきりいって馬鹿でしかないし、その馬鹿どもを如何に別方向へ誘導させればいいのか、汚い言葉で言いましたが結局はこの点こそが真剣に議論すべき個所だというのが私の意見です。

  追記
 なお中国でこの事件はどう報じられているのか少し調べてみたところ、基本的には日本と同じくトップニュース扱いで被害情報といった現地の事実報道を報じております。また習近平総書記がオランド大統領に見舞い電を出し、テロリズムには断固として反対の立場を取ると言う声明を出したことを新華社が報じています。
 ついでに見つけた記事で、何故か日刊ゲンダイのどうでもいい記事を引用して「安倍首相の次は女性首相就任か?」というくだらない記事ものっけてました。


2015年11月12日木曜日

今年の流行語大賞の候補

 本題と関係ありませんがAmazonでの段ボール箱に関するレビューが本来の用途と全く違った用途で話されてて面白いです。

 それで本題ですが今年の流行語大賞の候補が各メディアで発表されたものの、正直言ってどれを見てもピンとこないものばかりで、もう今年は該当なしでいいんじゃないかと思う低調ぶりでした。まだ流行したなと感じられるのは「爆買い」で、それ以外だとそもそも聞いたことない単語ばかりです、「刀剣女子」ってなんやねん。

 逆に自分の中で今年熱いと持った単語をあげるとすれば、やっぱ「佐野デザイン」と「トートバッグ」の二つです。去年は小保方氏、佐村河内氏、野々村元議員を始めとして大物が多数で田中今年はなかなかニュースな人物が現れなかったところ、佐野研二郎氏が彗星の如く現れて話題をかっさらってきたことからやっぱこの人に関連したキーワードを候補に入れるべきだったんじゃないかと思います。一応、「エンブレム」って単語は入ってるけどこれじゃないような。

 なお今年の自分にあったマイブームを述べると、漫画なら近々レビュー書こうと思っている「ちおちゃんの通学路」、ゲームならPSPの「メタルギアソリッド ピースウォーカー」です。

 ちなみに関連するかやや微妙ですが、先週から左側頭部から左首にかけてやけに鋭い痛みが頻繁に走るようになり、9月に中国人からスチール棒で殴られた箇所とちょうど重なっていたことから後から悪いの来たのかな、治療できるのかななんて思いながら痛みに耐えていました。しかし首を回しても痛みはなく、その一方でことある毎に痛みが走り、左耳の奥もジンジンと痛むので筋肉ではなく神経的な痛みではないかと推測して、何か左半身の神経を痛めるようなことはなかったかと反芻してみたところ、「もしかして、パズドラが原因では?」という結論に至りました。

 というのもパズドラを私は左手でタブレットPCを持ちながら遊んでいますが、この際に左手首を自分に向けて返したままタブレットを支える形になり、なおかつ同じ姿勢を長時間維持することから腕から首にかけて左側の神経に負担を抱え、その結果悼むようになったのではと分析しました。以前にもデータ収録作業でCtrl+CとVを交互に押す作業を続けた際も同じ症状があり、ひとまず対策として机に置いてパズドラをやり始めたらあら不思議、痛みがどんどん緩和していきほぼなくなってきました。
 最近になってパズドラは中国でも遊べるようになり、私もこっちで毎日楽しく遊んでいるわけですが、ちょっとはまりすぎだぞ俺と反省しきりです。でも4日前、覚醒イシス取れてマジ嬉しかった。

2015年11月11日水曜日

ヘイトスピーチは規制すべきか

 結論から言えば「Exactly(その通りでございます)」で、何だったら規制法なんかも用意して逮捕も辞さないくらいの態度を取るべきだと私は考えています。

日本のヘイトスピーチ(Wikipedia)

 昨日は久々に電池切れたのか帰宅から元気なくてブログの更新をサボりましたが、私は一昨日の記事でスポーツ界における過激・差別表現に対する取り組みについて最近話題になった事件を取り上げながら比較的どのチームも真摯に対応しているのではと評しました。その一方で日本社会全体ではどうかというとやや対応が遅れているのではないかと思え、その最たる例と思われるヘイトスピーチに対する法的規制などもこう言ってはなんだが緩すぎる気がすると最後に書きました。

ヘイトスピーチに対する私の所感

 上記リンク先は去年私が書いたヘイトしピーチに対する所見ですが、こうして改めて振り返ってみると、最近「ヘイトスピーチ」という単語を全く聞かなくなったような気がして、なんていうか時代が過ぎるの早すぎじゃねって呟きたくなります。個人的な実感としては「ヘイトスピーチ」に対して「シールズ」が取って代わったような感じじゃないかと思いますが、なんでこういうの毎回横文字なんだろう、三国志っぽく「罵詈雑言」じゃダメなのなどなど考えてしまいます。

 話は本題に戻りますが、ヘイトスピーチに代表される過激・差別表現に対して日本社会はちょっと規制が緩すぎるのではないかという気がしてなりません。以前にフランス帰りの知人から聞いた話だと、特定の民族や団体をターゲットにしたヘイトスピーチなどはフランスでやろうものならすぐ逮捕されるとのことで、フランスに限らずああした発言に対して大概の国は厳しい処置で臨んでいるでしょう。
 日本の場合は一応はマスコミなどでヘイトスピーチ団体への批判は起こってましたが逮捕にまで至ったことは私の知る限りなく、一部が名誉棄損の民事裁判で訴えられた末に賠償判決が下りたくらいです。また現在に至ってもこうした発言を法などによって規制するような議論は出ておらず、恐らく今後も出ないままでしょう。

 こうしたヘイトスピーチに対する法規制の話が出るとヘイトスピーチ団体からは、法規制を行えば表現や政治活動の自由を侵害するなどといった反論が毎回出てきます。しかしこうした反論は私に言わせれば論外であって、自由というのは他者の自由を侵害しない範囲で認められる概念であって、そうした前提を無視した反論は一顧だにする必要はないでしょう。
 このほかヘイトスピーチとそうでない発言を区別する基準が曖昧だから法規制はすべきではないという意見もありました。特に政治絡みだとわかり辛いなどという人が当時結構いましたが、これに関してもそれほど悩む必要はなく、明確な基準はあるのだからそれに従えばいいだけです。その基準というのも前回の記事でも書きましたが、発言目的が社会の改善を目指すのか、特定の団体や人物への憎悪を煽るものなのかという基準です。

 言うまでもなくヘイトスピーチは制度の改革や改善を目的としたものではなく特定の団体や人物への憎悪を煽ることが主目的であって、本人らがいくら政治目的だと主張したとしてもそんなの嘘っぱちだということは明白です。逆にどれだけ強い言葉の主張であっても、政治改革を目的とした発言は政治発言だとしてとらえて規制すべきではないというのが私の立場です。
 ちょっと方向性違うかもしれませんが、そういう意味では2011年に起こったフジテレビ抗議デモはアリだったと考えています。このデモは韓流偏向を批判するもので一部で韓国に対する民族差別的要素があって問題だという声もありましたが、主旨としては偏向報道の是正が第一であるように感じられたし、実際に当時のフジテレビがそう思われても仕方ない報道をしていたとも思います。

 繰り返しになりますが日本社会は未だにこういった差別発言への規制なりが緩いように感じられ、また議論のレベルも低いように感じられます。2020年に東京五輪を控えているだけにもっとこの辺というか政治発言と差別発言の区別が社会全体で明確になるよう対策を取っておくべきではないかと、この前の記事を書きながら思った次第です。

2015年11月9日月曜日

スポーツ界の過激・差別表現に対する取り組み

<日本ハム・空港広告>「アイヌ民族に配慮欠きすべて撤去」(毎日新聞)

 先日、プロ野球の日本ハムファイターズが新千歳空港に「北海道は、開拓者の大地だ。」というコピーを書いた広告を出したところ、北海道アイヌ協会から先住民の歴史を無視したかのような内容だとして抗議を受けました。最初のニュースを見た時点で私としては、北海道自体が明治以降は紛れもなく開拓者がたくさん来た土地でもあるから大きな間違いではないし、日ハム自身もここに球団本拠地を置いて野球ファンを「開拓」したのだからそこまで目くじら立てなくてもいいのではと思いつつ、かといって何が何でも出さなければとこだわるようなコピーでもないが日ハムはどう対応するだろうかと気になっていました。
 最終的に日ハムはこの抗議を聞き入れ、ポスターを撤去して新たにデザインし直すことを決めたのが上記リンク先のニュースです。日ハムは以前にもアイヌ語を広告に取り入れるなどアイヌ民族への配慮を行っていたことも影響したのかもしれませんが、なかなかに素早い決断と対応で、東京五輪の佐野ロゴ問題が無駄に長引いた後だけにこの落とし方は傍から見ていて実に見事だったと思います。なんていうか、すぐ対応したわけで見ていてなんか気持ちいいし。

「ぶちくらせ」応援、14人を無期限入場禁止に(読売新聞)

 この日ハムのポスター問題に限らず、このところスポーツ界において表現の仕方が大きく取り上げられるケースが増えてきているように思います。日ハムとは少し方向性が違いますが、上記のサッカーJ2チームのギラヴァンツ北九州を舞台にしたいわゆる「ぶちくらせ」表現問題も密かに注目していました。
 この問題は一部サポーターが横断幕に地元方言の「ぶちくらせ」という言葉を使うことに対してチームが懸念を示して横断幕の撤去を要請したもののサポーターは拒絶したことから、今回チームは件のサポーター14人を撤去に応じるまで無期限入場禁止にしたのが上記ニュースです。

 こちらの「ぶちくらせ」という言葉は地元の言葉で「倒せ」とか「殴れ」という意味の言葉だそうでサッカーの応援に使うには過激すぎるとチームは考えたそうですが、サポーター側の言い分を報じた記事では地元の方言を使って応援したい、そこまで過激な表現ではないというようなことが書かれていました。
 あくまで私個人の所見ですが、特段違和感を感じなかった先程の日ハムのコピーと違ってやっぱり「ぶちくらせ」って言葉は言われたりするとちょっとドキッとするというか、聞いてて少し怖さを感じます。音的に「ぶっころせ」に近くて同じようなイメージを想起してしまいますし、「打ち倒せ」とかと比べるとどうも過激に聞こえるだけになるべくなら使ってもらいたくないと思えこの件でもギラヴァンツ北九州の対応は間違っていないのではと支持します。

 以上、スポーツ界における過激・差別表現に対する取り組みとして二チームの例を取り上げましたが、やはりスポーツというのはエキサイトしやすいものなだけに表現に対して万全な注意を払う行為が必要だと感じると共に、どちらのチームも比較的熱心かつ真摯に対応してよくやっているなと感心します。恐らくと言っては何ですがこうした対応の背景には昨年J1の浦和レッズで起きた差別横断幕事件も担当者の念頭にあったのではないかと思え、スポーツは日本国内だけではなく世界中のファンが見つめる(可能性のある)舞台で、様々な人種や文化を持つ選手が参加するだけにそのリスク意識も高く持っておく必要があるのでしょう。
 なお浦和レッズの事件に関して述べると、当のサポーターはあれこれ言い訳を述べていましたが、「JANANESE ONLY」なんて差別に使う以外ほかに使いようのない表現で全く以って問題外な行為だったと私には思います。レッズもその試合で初めて掲げられたことから果断に対応出来なかったようで少し同情する気持ちもありますが、さすがにこの件に関しては無観客試合という制裁を受けることになるのも無理ない気がします。

 まとめとして述べると、日本のスポーツ界は一般社会よりもこうした過激・差別表現に対して比較的注意深く対応していると見ていて感じます。逆を言うなら日本社会はこうした問題に対してちょっと対応が鈍いのかなと思える節があるので、続きは次回の記事にて最近あまり聞かなくなったヘイトスピーチについて取り上げます。

2015年11月8日日曜日

漫画レビュー「飯田橋のふたばちゃん」

 先日、冷凍たこ焼き好きの友人から、「これは是非読んだ方がいい」と、イーロン・マスクの本に続いてある漫画を紹介されました。

飯田橋のふたばちゃん(Wikipedia)

 この漫画はどんな漫画家というと、ごくありふれた女子高を舞台にした女子高生四コマ漫画です。ただ一つ他のゆるふわ系四コマと違うのは、登場人物全てが漫画出版社を擬人化したキャラクターであるということです。
 具体的にいうと、主人公のふたばちゃんは双葉社がモチーフになっており良くも悪くも全く特徴のないキャラで、そのほか集英社、講談社、小学館、秋田書店など有名漫画出版社がモチーフで、それぞれが発行する雑誌の性格や連載漫画の特徴をもっているという設定です。こう説明していてもピンとこないでしょうからいくつか特徴をあげると、集英ちゃんは万能でなんでもそつなくこなすがビジネスライクな性格で芽がないと思ったら10回で打ち切ろうとしたり、講談ちゃんはスポ魂な性格で他人の作文課題にもやたら介入しようとし、小学ちゃんは書類や配布物をしょっちゅう紛失するラブコメ体質ののんびり屋さんで、わかる人にはわかるツボを確実に抑えられて作られています。あ、あと秋田書店はヤンキー。

 そうした各キャラの特徴が一番うまく比較できてるネタとして「鳴かぬなら」で始まるホトトギスの俳句をどう読むかというお題があって各キャラがセリフ言うのですが、折角なので下記に引用します。

「根性で鳴かせろホトトギス」(講談ちゃん)
「ゆるりと待とうホトトギス」(小学ちゃん)
「一年半待とう冨が…いやホトトギス」(集英ちゃん)
「タイマンはろうぜホトトギス」(画報ちゃん←少年画報社)
「喰らってしまえホトトギス」(秋田ちゃん)
「平和(ピンフ)狙いだホトトギス」(竹書ちゃん←竹書房、麻雀漫画多いから)

 わからない人にはちょっと厳しいネタですが、よくもまぁ見事に各出版社の特徴を掴んだネタだと読んでて唸らされました。特に麻雀ネタだと竹書房のキャラがスクウェア・エニックスのキャラに対して、「てめぇのファンタジー麻雀に今日は勝つ」というセリフもあったりして、よく無事に出版できたなぁと思えるくらいきわどいネタが飛び交ったりします。
 もっともきわどいネタ関連で言うと各キャラクターの姉妹関連の方がいろいろとヤバかったです。姉妹誌を妹キャラとして出してくるのですが、スクウェア・エニックスに関してはお家騒動で一部編集者と作家が独立したことから「生き別れの姉妹がいる」と描くのはまだいいとしても、秋田書店に至っては「赤い核実験場」と呼ばれる「チャンピオンREDいちご」をモチーフとした「いちごちゃん」という妹キャラが出てきて、都条例関連でしょっちゅう問題起こしているが大丈夫かという問いかけに、「大丈夫ですよ、本番はNGですから」という、わかる人からしたら本当に恐ろしいセリフを吐かせたりしています。

 書評に戻ると、非常に各キャラクターと出版社の特徴をうまく組み合わせてあり正直に面白い漫画だと太鼓判を押せます。難点としては漫画業界の事件やネタに詳しくないとややわかり辛い所があり大衆向けかというとそうではないですが、なるべくネタ元がわかりやすいようにして作者も描いており、ネットで調べるなどすればまだわかる範囲なのでまだ許容できるレベルだとは思います。
 あとコンセプトだけでなく単純に四コマ漫画としてみても良質で、地味にギャグのテンポが素晴らしかったりします。ボケやツッコミの切れが鋭く、なおかつ三コマ目にボケとツッコみのセリフを入れた上で、四コマ目でさらにボケを入れる畳み掛けのような手法がいくつか見受けられ、作者のギャグセンスとコマ回しには文字通り脱帽しました。仮に出版社を擬人化しただけではこれほどの面白さは得られなかったと思うだけに、コンセプトの発想といいこのテンポの良さ一つとっても大した作家だと思えます。

 なお上記にも書いてる通り読んでて大丈夫かと思うくらいきわどい業界ネタが多いのですが、あとがきによるとこれは作者も気にしたものの、普通に出版してくれた双葉社はすげぇと思ったそうです。また作者は双葉社の担当者(「うち妻に出てくる人だ」と作者は言及)から、「体力ないから一発当てたいんだけど」と言われた上で女子高生四コマを提示され、出版社を擬人化することで了解を得たものの、女の子を書くのは苦手で作画は別の人に任せようと捜したところ、「アタシが描く」と言って同じく漫画家の嫁さんが手をあげてくれ、何気に漫画か夫婦の合作だったりします。


  

2015年11月7日土曜日

日本で働く外国人留学生

 先月、横浜の映画館ですいかさんと落ち合った際、映画を見終わり外に出てすいかさんが出てくるのを先に待っていたところなかなか出て来ず、「もう入口におりまっせ」とメールも打ちましたが反応はなく、ほぼすべての観客が出終わっても姿が見えず長い時間経ってやっとこさ出てきたのをちょっと不思議に思ってました。そしたら今日アップされたすいかさんのブログにてその時に何が起こっていたのか、具体的に言えば財布失くしかけて慌てていたという内幕が書かれてありましたが、本人もよっぽど恥ずかしかったのか当日は一切この事実を教えてもらえなかったなぁ( ・ω・)

 そんな財布ネタにかけるわけじゃないですが、この前の記事にも書きましたが以前に日本語を教えていた中国人の男の子が先月、日本への留学に旅立ったところ、着いて早々財布を無くすというポカをやらかしました。メールでその事実を聞くや、「お前海外なめてんじゃねぇぞ!前から遅刻も多いし、注意力をもっとつけろ!」って感じで叱咤する返信を送り、警察などにちゃんと届出するようにと伝えました。その後また聞いてみるとどうやらまだ財布は戻ってきていないようです。

 かといって落ち込んでいられるわけもなく日本での留学生活に向けていろいろと活動しているようで、最近はアルバイトの面接で忙しいと言ってきています(ってか細かいメールを乱発してくるからたまに相手するのに疲れる)。一応中国にいる間も学費や生活費などをある程度貯めてきてはいたものの、日本で留学していくにあたっては現地でアルバイトをしなければ到底お金は足りないため、文字通り死活問題として動いてるようです。
 アルバイト先は工場あたりがいいんじゃないのか、日本語もまだ不十分だしと入ったもののあまり口はなく、結局のところ飲食店が多く、なんか松屋の夜間時間帯になりそうだとさっき書いてきました。一瞬、「それってワンオペ?」って少し頭をよぎりましたが夜間ならそれほど日本語が流暢でなくても務まるのと、時給がいいというメリットがある一方、昼間の授業には影響が出ることは必定です。とはいえ他に選択肢もないだけに、このまま無事決まってほしいと陰ながら祈っております。

 なにもこの中国人元労働者に限らず、アジア諸国からくる留学生はみんな同じ問題を抱えており、同時に日本のサービス業も彼ら留学生という労働力なしではもはや経営は成り立たないでしょう。確かに彼ら外国人留学生に就業の機会を与えることで彼らの費用負担は軽くなりますが、その一方で深夜働きながら勉強もしなければならないという、厳しい環境に置いているのも事実でしょう。
 もっともそんなことを言ったら日本人学生も最近は似たようなものかもしれません。先日日本で会って話をしてきた学生(日本人)によると最近の学生はみんな生活が苦しいのか深夜のアルバイトを率先して選ぶ傾向があるとのことで、そのような学生は授業もやっぱり来ることが少なくなっているそうです。金さえあれば万事解決、となるかもしれませんが、労働力は日本の構造問題だから果たしてそううまくいくのかなんて自分でも疑問に思えてきました。

 またいつもながらまとまりのない記事ですが最後にもう一つだけ付け加えると、上記の中国人労働者とのメールのやり取りの最中、「飲食店に中国人留学生がアルバイトかぁ」って考えたら何故か「アームロック」という単語と、「それ以上いけない」ってセリフが頭をよぎりました。こんなことを思い浮かべる当たり、あの「孤独のグルメ」って漫画は凄い作品だなとつくづく思います。

2015年11月5日木曜日

漫画レビュー「DEATHTOPIA」(一巻のみ)

 最近めっきり書いてませんでしたけど久々に漫画のレビューします。今日書くのは「DEATHTOPIA(デストピア)」という漫画です。

DEATHTOPIA(Wikipedia)

 なんでこの漫画を手に取ったのかというと、なんか刑事物の漫画が読みたいなぁって思ってたのと、この漫画の作者が「エデンの檻」という漫画を書いてた山田恵庸氏だったからです。
 ここだけの話、「エデンの檻」は一度も読んだことはないのですが連載開始当初に起こった、「何がクニだよ、○○○しろオラァァァ」という女性キャラのセリフが大いに世間を騒がせたという事だけは知ってて、てっきりこの騒動の余波受けてすぐ連載切られるのかと思いきや意外や意外に四年以上も続いた人気作となり、あの作者どうしてるんだろう、といっても「エデンの檻」を今から一から読むのもなぁと思っていたところでした。

 そう思っていた矢先に今回取り上げる「デストピア」という新しい漫画を連載していると聞いて、新進の漫画家チェックにもなるしいい機会だからとりあえず一巻だけ買って読んでみようとKindleで購入してみました。読んでみた感想はというと、「二巻以降はもういいや」でした。

 ひとまず簡単にあらすじを紹介すると、ある日事故で一時的に目が見えなくなった主人公は怪我が治るや外見は普通の格好してても、サイコパス的に犯罪係数高そうな人は異様な姿に見えてしまい、まぁ要するに変な人を見分けられるようになりました。そんな主人公を何故だか襲い掛かってくる犯罪係数高そうな人もいて、そしたら公安に所属するという若い女性三人が助けてくれて、今後は主人公も捜査に協力するようにとそのヒロイン三人と何故か共同生活を開始するというのがこの一巻のあらすじです。

 そんなわけで早速感想を述べていきますがこの漫画、絵は小奇麗なのですが作者本人も認めているくらいにストーリーの破綻ぶりというかつまらなさがとにもかくにも目につきます。この一巻単体でとっても二~三話が仮に無くても話が成立してしまうというか、二~三話はなくてもいいじゃんと思うくらいダラダラしたストーリー展開ぶりで、なんでこんなにページはあるのに話が進まないのだろうと読んでてリアルに感じました。
 またストーリー展開の遅さに加え各キャラクターが薄いというか感情移入できないというか、まるでキャラクター性がないのも見ていていろいろとアレでした。特に致命的なのは主人公をハーレム状態にするためヒロインを三人にしたという点で、キャラが三つに分かれてることから個性も見事に三分割になってしまい、誰ひとり印象に残らないほどキャラが異常に薄いです。言い方キツイですが主人公を含めて一巻に出てくるキャラはすべて、少年ジャンプで連載している「銀魂」に一話限りで出てくる脇役よりもキャラが薄いです。

 もちろんまだ始まったばかりの一巻なんだからと擁護すべき点も確かにありますが、それにしたってこれほどペラペラなキャラクターは私の中では近年稀にみるレベルです。濃いキャラクターであればいいわけではないですが、単行本一冊使っておきながら誰一人感情移入できなければ名前すら覚えられないというのは一読者の視点からして問題点に挙げざるを得ません。

 などときついことを書きましたが、個人的にはテコ入れすれば良くなる要素も少なくない作品だとは思っています。上記の指摘も素人の意見であることはわかっていますが、こうしてほしいという改善点として敢えて書くことにしました。
 光っているポイントとしては刑事物に必要なグロ要素を惜しみなく入れている所です。刑事物というのはドンパチやって、重要人物死んでなんぼなところありますし、この辺を意識すればグッとよくなるのではという期待があります。もっとも、グロ要素に作者お得意のエロ要素を入れてエログロ作品を目指している趣向も見えますが、一巻時点ではエロもグロも中途半端で見ていて逆にうんざりさせられることのが多かったけど。なおエログロで言えば私の中だと「GANTZ」が白眉です。

 結論を言うと私が読んでて決して面白いと思う漫画作品ではありません。ならなんで紹介すんねんと言われるかも知れませんが、同じ感想持った人はほかにいないのかなぁという、つまらない映画を見て「あの映画クソだったよなぁ」、「わかるわかる」みたいな掛け合いというか共感をしたいなと少し感じたからで、もし他にこの作品を読んでいる人がおられたら是非コメント欄に書いて行ってください。


2015年11月4日水曜日

タカタはこれからどうなるか

 結論から言えば倒産するリスクもはっきり出て来たのでは、というのが私の見方です。

ホンダ、新モデルでタカタ製エアバッグ使用停止(読売新聞)
タカタ取締役「ホンダの意向は確認していない」 ホンダ開発車種の取引中止で (日経新聞)

 かねてからエアバッグの不良問題で騒がせていた自動車部品メーカー大手のタカタについて今日、タカタの最大顧客で一部出資も受けているホンダが「今後一切タカタ製のエアバッグを使用しない」と発表しました。この発表理由についてホンダは、詳細こそ報じられていませんが報告されたデータに不自然な点というか故意に弄られていた点があったとして、強い不信感をのぞかせるような書かれ方がされています。
 一方、当事者であるタカタはこのホンダの発表を事前に聞かされていなかったようで、日経新聞の記事ではちょうど今日米国政府との和解金について記者会見を開いていており、その席で通知のなかったことを認めています。この点をとっても、ホンダ側のタカタに対する不信感を強く感じます。

日産、8車種を再リコール=エアバッグ異常破裂で(時事通信)

 このホンダの動きにいち早く追随したのが上記の日産です。最初に発覚した運転席側のエアバッグの不具合に続いて助手席側でも日本国内で異常破裂が起こり、乗っていた人が怪我をしたという事故が起こりましたが、これへの対策として既に一度改修が済んでいる車両も含めてもう一度リコールを実施すると発表しました。もちろんこれの一部費用もタカタへ請求が行くでしょうし、ホンダや日産以外も続いていくことでしょう。

 最初に発覚したエアバッグの不具合や米国の制裁金などの経緯についてはこの記事では省略しますが、私見ながらこれまでのタカタの対応というか態度は見ていて疑問を感じずにはいられないものでした。いくつか具体的に述べると、一つには米政府への報告書に数百ページものとんでもなく分厚い報告書を出して委員からは、「報告するつもりというか読ませようという気が感じられない」と駄目だしを喰らいました。多少経験ありますが、いくら何でも不具合対策書で数百ページはいかないだろうなぁと個人的に思います。
 二つに、この不具合に対するタカタの言い分です。言ってはなんですが「米国政府との認識の違い」という言葉が何度も繰り返されており、製品に欠陥があったとは何故か素直に認めようとしてなかったように見え、どこか他人事のように言うなと感じました。でもって米政府唐の再三のリコール実施要求についても、「それは自動車メーカーが決めること」として突っぱね続け、反省する態度は微塵も感じられませんでした。
 最後三つ目ですが、今年の株主総会でこのリコール問題について説明する、報道陣に対しても外部モニターで中継して公開すると事前に発表していましたが、何故か当日になって急遽中止して非公開でやってのけており、普通に「なんで?」と思うような妙な対応を見せています。それにしても、我ながらいやらしく覚えてるなこんなことも。

 総じて述べるとタカタの対応はどれも誠意、危機感に欠けると感じるところが多く、それだけに最近杭打ちでも多いですがデータの偽造が行われていたというホンダの発表を見ても正直、「やってるかもしれない」と思わざるを得ません。
 今回のホンダの発表を受けてタカタの株価は今日、郵政三社の新規上場で市場が盛り上がる中で13.4%もの大幅下落を記録しました。むしろこれまでのタカタの株価は巨大な不具合発覚にも関わらず思ったよりは落ちていなくて友人と共にすごい奇妙に感じており、主要顧客のホンダあたりが買い支えているんじゃないかなどと余計な邪推をしておりましたが、その後ろ盾であるホンダが今回このような行動を取ったことからさすがに今度は落ちるところまで落ちるのではという気がします。

 今後の先行きについても、報道で見ている限りですとタカタのエアバッグインフレーターは他社と比べても独特で、すぐ不具合に対応した製品を作れるかと言ったら難しく、また安全用具であるだけにこれだけのイメージダウンはもはや致命的でシャープと共に「次はあそこか」と見られるには舞台が整ってきたのではと思います。

 最後に余談ですが、これで再びタカタ製エアバッグを搭載した車種の大量リコールが起こると予想されますが、一部の記事で一連のリコールに対応した補修作業で現場はへとへとだという記事が見受けられます。労力的には確かにへとへとでしょうがうちのどうでもいいことをよく知っている親父によると、リコール補修を対応するディーラー点としては作業費を請求することが出来るため、経営的には逆に助かっているという話を聞き、私もそれが事実だと思います。風が吹けば何とやら、不具合が起こればディーラーは助かるといったところでしょうか。

週間ダイヤモンド記事に対する疑問

 先日友人に日本の株価について聞かれた際、「近く郵政株上場があるから確実に今よりは上がるよ」と答えました。そしてやってきた今日この日、続に言う郵政三社が揃って上場を果たし、久々の大型上場ということもあって終値は三社とも売り出し価格を大きく上回りメディアも上々の滑り出しと評しております。
 ただこの郵政上場の前に、少し読んでて気になる記事を見かけておりました。

日本郵政、熱狂なき大型上場の前途多難(週刊ダイヤモンド)

 この記事は郵政三社が上場する前の昨日に配信された記事ですが、読んでもらえばわかるようにどちらかと言えば今回の郵政三社の上場というか先行きに対して不安視するようなトーンで書かれており、上場した所で株価も安定するのかと暗にディスっているようにみえます。もちろん初値はよくても今後株価は安定するかはまだ未知数なのでこういう予想を書くこと自体は問題ありませんが、問題はその記事の書き方で、私個人の視点で言えば随分と恣意的に悪く書いているように感じました。

 具体的にそれはどんな箇所かというと今後の事業の成長性について書かれた部分で、郵便事業は赤字で今後成長するのかと書いてある部分です。確かにこの記述は間違いではないと思うのですが、何故それを三社ひっくるめてここで書くのか、圧倒的な資金力と国のお墨付きを背景にしているゆうちょ銀行とかんぽ生命保険は逆に先行きが明るいのではと思うのですがそれについては一切触れられておらず、ただ景気の良くない郵便事業のみしか取り上げていません。
 言い方は悪いですが上場による完全なる郵政民営化を批判したい目的でもって、結論ありきでこの記事は書かれたのではないかと思う節があります。

 私の考え過ぎならそれでいいのですが、何もこの記事に限らずこのところのダイヤモンドの記事は読んでて疑問符が付くというか、「それはお前の主観でしかないだろう」と思うような記事が非常に多く目立ち、このところネットで見出しを見てもダイヤモンドだとわかると読まないことが増えています。同じ経済誌でも日経BP、東洋経済なんかはどれも読んでてなるほどと思わせるほどいい記事が揃っており、特に東洋経済に至っては、「これが知りたかったんだ!」と、興味に対してベストストライクな記事を数多く見かけ非常に高く評価しています。

 単純に私の好みの差かもしれませんが、ダイヤモンドの記事には強い疑問を持っております。偉そうなことを言える立場ではないですが、もう少し読者を唸らせる記事を見せてもらいたいものです。

2015年11月3日火曜日

B、C級戦犯

 先日、名古屋に左遷された親父に進められて角田房子著の「責任 ラバウルの将軍今村均」という本を読みました。なんでこんな本を進められたのかというとブログで何度も今村均について書いてたのを親父が読んだためですが、自分もこれまで彼のまともな評伝を読んだことがなく、読んでみて今まで知らなかった点や有名なエピソードの背景などについて知ることが出来てそんなに悪くなかったです。

 ただ、この本は作者による入念な取材の上で今村均の人生を描き切っていてそのどれもが見ていて惚れ惚れするほどの見事な取材ぶりなのですが、その中でも特に前半部に描かれているB、C級戦犯について書かれた下りは読んでいて強い衝撃を受けました。
 説明するまでもないかもしれませんがB、C級戦犯とは二次大戦中の日本軍人の中で、捕虜や現地住民に対して虐殺、虐待などの戦争犯罪を犯したとして裁かれた人を指します。日本で戦犯というと基本的には「侵略戦争を拡大させた」という政治的理由で裁かれたA級戦犯のことを指しますが、そのA級戦犯の陰に隠れてこのB、C級戦犯は日本だけでなく東南アジア諸国に設けられた収容所、そして裁判所で刑が執行されており、死刑となった者は千人を超すとまで言われております。

 今村均もこの時に戦犯指定を受けてインドネシアなどの収容所に送られた時期があり、その当時についてもこの本では詳しく開設されているのですが、収容所を管理するオランダ軍の無用な虐待が過剰な労働は日常茶飯事で、また収容所設備もひどいものだったと環境的には最悪だったそうです。ただ今村均はこうした虐待に対して現地責任者に対し毅然と抗議をし続けたので、彼のいた収容所はどこも統率がとれており、逆に彼がいなくなるや再び虐待が始まったなどいうことは多くの証言者の間で一致しております。

 しかしそんな今村均でも死刑判決を受けた旧軍の士官ら戦犯に対しては救う手立てはなく、またそのような死刑判決者は日本に残す遺族らへ遺書を書くことすら許されずに悉く処刑されていったそうです。また死刑とされる判断理由も戦犯裁判であるが故というべきか過分にオランダ軍の報復的要素を含んでおり、出所のわからない情報でありながら捕虜虐殺をしたと訴えられ、実際には無実であったかも知れない死刑判決者も多数いたとされます。有名なものだと、自分たちの食糧すらままならない中で捕虜へなけなしのごぼうを食べさせたところ、「木の根を無理やり食べさせられた」と虐待と見られてしまい、その士官は死刑判決を受けたという話もあります。

 裁判過程も非常に偏ったもので、通訳すら満足に用意してもらえなかったほか有利な証言は悉く否定されたり、また元兵士や日本軍が雇った民間業者といった相手証言の矛盾を突こうにも証言者は最初だけ出廷して後の裁判には出て来ず、無実であるという証明はほとんど通用しなかったとされます。誰かが犠牲にならざるを得ない事態も多く、かの仲間を助けようと複数いる被告の中から自分が行ったと自ら自白することによってほただ一人で刑に服すといった行為も多く見られたそうです。

 このような目で見ると同情に余りあることこの上ないのですが、その一方で作者は、弾劾されるのも仕方のない事例もあったとこの本の中で指摘しています。
 それはどんな事例かというと、日本軍が占領した離島で戦時中、墜落した飛行機に乗っていた米国人兵士二人を駐留していた日本軍の部隊が捕虜とせず、殺害したことがあったそうです。その後、終戦を迎えた後で捕虜殺害がばれるのを恐れたその部隊は何をしたのかというと、民兵の様に日本軍が訓練していた現地住民四百人(二百人だったかもしれない)を口封じのためすべて殺害したそうです。

 元々その島には現地住民がいたのですが戦争が進むにつれて女子供老人はほかの島へ避難させた上で、若い男性たちは島の防衛に使おうとして残した上で訓練を施していました。彼ら島の男性らは米国人殺害を知っていましたが、かといって直前まで日本軍と敵対していたわけでもなく、むしろ互いに協力し合う関係でもあったのに戦犯になることを恐れた日本軍によって全て抹殺されてしまいました。無論こんな人数を殺しておきながらばれないなんてことはなく、戦争が終わったにも関わらず一向に戻ってこないことを不審に思った家族らによって事が明るみとなり、この虐殺を指揮した士官らは懸念した通りに戦犯となってそのまま死刑を受けることとなりました。
 作者はこの事件を取材の過程で伝聞形式で知り、なんとか詳細を確認できないかと思っていたところたまたま知り合った元軍人の人物がこの時の虐殺に関わったと自ら切り出す場面に遭遇します。その場面について作者は文字通りに体が震えたと同時に、本当に事実であったことを確認できたと書き記しております。

 自分もこの辺の下りは読んでいて体の震えを感じましたが、二人殺害したことを隠蔽するため四百人を殺害するという、何故こんな本末転倒なことをと思うと同時に、ここ数年で久々に「狂ってる」という印象をまざまざと感じました。先程も書いた通りにいくつかの戦犯は無実でありながら懲役や死刑に服すなどして同情に余りある一方、本当に処刑されても仕方のない戦犯もいたのだと思え、そして日本はこういった者たちに自ら裁くべきだったのでは、それがないから責任が未だに曖昧なのではと複雑な気持ちにさせられました。

 まとめとなりますが日本では戦犯というとA級戦犯ばかり取り上げられるものの、もっとB、C級戦犯にも目を向け、あの戦争の中で何が起きていたのか、またどのように処分されたのかをもっと検証すべきじゃないかという気がします。戦争というのはマクロではなくミクロな視点が求められると大学で口を酸っぱくして教えられましたが、この本を読んだことによってその点が前以上に強く意識するようなった気がするし、まだまだ勉強が足りないと反省する次第です。


2015年11月2日月曜日

誰のためのハロウィンなのか

 昨夜、友人からスカイプでの文字チャットにて、こんな一言を突き付けられました。

「なにこれ?ハロウィンだからデーモン?」

 この発言の背景を一から説明すると、これまで私はスカイプでのプロフィール画像に漫画「ハンター×ハンター」に出てくるゴレイヌというキャラのイラストを使っていました。顔アップの。なんでこんなの使っていたのかというとこのキャラはお笑いコンビ「ガレッジセール」のゴリがモデル、というかまんまゴリなキャラクターで、見た目にインパクトあるからプロフィール画像に使うと面白いかもと思ったからでした。
 ただそんなゴリ、じゃなくてゴレイヌの画像をこの度使うのをやめ、代わりのプロフィール画像に選んだのはなんとデーモン閣下の顔アップ写真でした。何故こんなのを使おうとしたのかというともちろんハロウィンだからではなく、元々がインパクトある風貌だし百人が百人とも一目見て、「あ、デーモンだ」とわかるからプロフィール画像として使うのにうってつけじゃないかとふと三日くらい前に思いついたからです。反応は上々で、「なんか右下に緊急気象情報らしき映像が映っているんだが」というツッコミと共に歓迎されています。まぁネットで検索して適当に引っ張ってきた画像使ってるしな。

 このままデーモン閣下について細々としたことを語り続けてもいいのですが本題に映ると、先週末はハロウィンということでなんか渋谷で大騒ぎだったと日本のニュースで報じられています。こちら上海でももちろん盛り上がっていたと言いたいところですが日本ほどこのイベントが普及してないこともあってか、一部の西洋風のバーでハロウィンの特別メニューが作られたり、コスプレした人たちがそのバーでくつろいでいる以外は路上で唾吐くおっさんたむろういつもの中国でした。なお上海人といちゃいちゃしながら歩いている最中に見かけた中だと、かなり本格的にマリオとルイージのコスプレしてた人が一番印象的でした。っていうかハロウィンと何も関係ねぇし。

 このハロウィンについてですが、正直に申し上げるとそんなに興味もないし参加したこともないので本場はどうなのか、どんなお祭りなのかについては詳しくありません。そんなどうでもいい告白をした上で一言言わせてもらえば、「これって子供のためのお祭りじゃないの?」ってところです。
 自分が知るハロウィンは子供が仮装して家々を回りながらお菓子をもらうお祭りだと思うのですが、日本のニュースを見ている限りだと子供というよりは大人がコスプレして街へ繰り出すのがメインであるかのように報じられて、私の知ってるハロウィンとなんか違うようなと感じて違和感満杯でした。でもってそんな変な格好した大人が大量に来るもんだから繁華街は交通整理で大変だし、去った後は大量のゴミが残されてえらいこっちゃで、これは誰のためのお祭りなのかという疑問が湧いてしょうがありませんでした。

 元々、このハロウィン自体が商工業関係者が消費を増やすために流行らせたイベントであって間違いないのですが、それにしたって本旨に戻ってもうちょい子供をメインにすべきじゃないのかと思えてなりません。少なくとも、コスプレすることがメインなお祭りになっては本末転倒でしょう。
 それと同時に、やはり日本社会はもうちょっと子供を大事にした方がいい気がします。以前にも書きましたが日本は他国と比べてびっくりするくらい家族関係が希薄で、特に最近は少子化ということもあって子供向けのイベントがなんか減ってきているような気がします。そういう時期だからこそもっと子供を中心においてイベントは盛り上げなければと思うのですが、そんなのってやっぱり自分だけなのかな。

 最後に私の仮装というかコスプレ遍歴を述べると、大学一回生の頃にバイト仲間に誘われてコスプレイベントに参加した際は麦わら帽子かぶるだけでいいからと「ワンピース」のルフィをやりましたが、「意外と筋肉質だから似合っている」と言われてつくづく自分は着やせするタイプだと思いました。
 これともう一つコスプレ経験があり、知ってる人には有名ですが成人式に新撰組の羽織袴着た上に鉢巻撒いて出陣してきました。自分でやりながら、「成人式とコスプレイベントを間違えてるんじゃないのか?」と思いつつ周りから写真撮られたりして、友人からは「マジてやってきたんだ……」と言われたりしてましたが、そんな経験があるからこそ今年のハロウィンに疑問を感じたのでしょう。

2015年11月1日日曜日

上海の新世界大丸百貨店に行ってきた



 昨日は上海に遊びに行って、一泊して、今日昼間に昆山潜伏地へと帰ってきました。上海を訪れたのは友人の上海人に日本で買ってきたお土産(太田胃酸)を渡すためでしたが、待ち合わせ場所に指定された上海体育館(上海スタジアム)で地元上海のサッカーチームである上海上港集団足球俱楽部の監督で前にイギリス代表も率いていたスヴェン・ゴラン・エリクソン氏を見かけたので写真をパチリしてきました。正直サッカーはあまり詳しくないのでこの人がどういう人かわからなかったら、「いいから写真撮っておけ」と上海人に言われて取ったので記念にはっつけておきます。

 エリクソン氏のパパラッチに成功した後は日系ラーメン屋で食事して繁華街の南京路へ行ったのですが、その際に今年5月から正式オープンしている「新世界大丸百貨店」を訪れてみました。ここは日本の大丸百貨店が出資は一切せず、中華系デベロッパーに運営業務などを指導する形で作られた百貨店なのですが、上海一の目抜き通りというか一番人間がごった返す交差点にあるだけあってなかなかもって大きなお店でした。
 でもってその中身も凄かったというか、香港を含む中国のホテルや百貨店は風水を気にする関係から必ずと言っていいほど吹き抜けを設けるのですが、この新世界大丸百貨店では一階から最上階に至るまでとんでもなく幅広い吹き抜けを設けており、よくもまぁ床面積を犠牲にしてまでこれほどの吹き抜けを作ったものだと度肝を抜かされました。しかもその吹き抜けをつなぐエスカレーターも趣向を凝らしており、生憎写真は取ってきていませんがなんと螺旋式の自動エスカレーターとなっており、普通に見ていて「あれ乗ってみたい」と思う設備でした。

 訪れたのは夜遅くだったので既にほとんどのお店が締まっており、ゆっくりお茶することも出来ず結局その晩はホテルで上海人と裂きイカを食べる羽目となったのですが、控え目に言ってもなかなかよくできたデパートで、今後も客入りがかなり期待できるのではないかと思います。テナントも日系ではパッと目についたのがJINSくらいだし、いい感じにコラボ出来ている気がします。

 ちなみに螺旋式エスカレーターで登っている最中、中央にある透明なエレベーターの中でカップルがキスしている所を目撃したので、「なんやあいつら、エレベーターの中でちゅっちゅしとるで」と言ったら上海人が、「僕たちもエレベーターに乗るかい?」と妙な誘いをかけてきました。もちろん乗りませんでしたが、アルコール入ってなかったのにやけにこの晩はテンション高かったな。

2015年10月30日金曜日

一人っ子政策の廃止について

 昨夜突然発表されて今朝はどこの新聞やネットも報じていたので皆さんも知っておられるかと思いますが、中国が人口制限のために過去36年間にもわたってこれまで実施してきた一人っ子政策を中国政府は昨夜、廃止することを発表しました。この一報は新華社電で一行だけ、「一人っ子政策を今後廃止する」という文字だけで告知されたとのことですが、これだけ長期に渡って行われてきた中国の政策なだけに文字通り歴史が変わった瞬間に立ち会えたと喜びたいのが偽らざる私の心情です。

<一人っ子政策の背景>
 説明するまでもないですが中国は世界最大の人口を保有する国で、その多すぎる人口は様々な面で歪みを生むことから36年前、一人の夫婦に対して出産は一人しか認めないという一人っ子政策が打ち出されました。二人目以上の子供を産んだ夫婦に対しては罰金を科すなどして厳格に人口制限を行い続けてきましたが、それが今回廃止に至った背景は何なのかというのが誰もが気になる所でしょう。
 大方の所はほかのメディアでも解説されているようにこれ以上の人口制限は国家運営に当たってマイナスになると政府が判断したためと見て間違いないでしょう。私の記憶が確かならそれまでずっと増え続けてきた16~60歳までの中国の労働人口は2011年か2012年に初めてマイナスへと転じ、このまま一人っ子政策が続けば極端な少子高齢化社会を生んで社会の混乱を招くという指摘は以前からありました。

<どうして廃止したのか>
 中国は現時点で10年前ほど労働人口が余っておらず人件費も大分上がってきており、目下人件費という面では他の東南アジア諸国と比べてもそれほどアドバンテージはなく、もはや輸出を中心とした経済成長は前みたいに上手くいかない状態にはあります。しかし、だからと言って労働人口はこれ以上増やさなくていいかとなるとまた話は別で、今後は国内需要、特にサービス産業を振興するためにも労働人口の確保が重要となってくるため、それこそ都市部での3K労働の担い手が依然と必要であるため今回の一人っ子政策廃止に動いたと私は見ています。

<緩和策では効果少なく>
 なお一人っ子政策自体は以前からも緩和され続けており、特に上海を始めとした大都市部では一人っ子同士の夫婦には二人目の出産を許容するというか、むしろ二人目を生んでくれと市職員が回って伝えるほどでした。しかしそうした緩和策はどうやらほとんど機能していなかったようです。
 理由は簡単に、中国でも育児費用が激しく高騰し続けているからです。小学校入学前の幼稚園費用などの面では既に日本の水準を上回っているんじゃないかというくらい高騰しており、また大学進学までを考えるととても二人以上は育ててられないというのが都市部中国人の考え方で、恐らくこう言った背景からこれまで大都市限定で行われていた緩和策はほとんど効果を生まなかったのではと思います。

<二人目以降を産む夫婦は増えるのか>
 では今回の完全廃止で二人目以降を生む夫婦は増えるのか?私の考えとしては「YES」で、大都市部においては先ほど述べたように育児費用、学費の問題からそれほど増えないでしょうが農村部では未だに子沢山信仰が強いように思え、こういった地方でも二人目出産がOKとなれば生もうとする夫婦はたくさんいるのではと思えます。
 更に言えば中国政府として一番求めているのは、先ほど挙げたような都市部で3K労働を担う底辺労働者でしょう。現在この層を埋めているのは地方からの出稼ぎ者で、そういう意味では地方で出産が増えるのは願ったりかなったりだし、都市部の人はそれほど産もうとしないから政策廃止したって劇的に、爆発的には増えないだろうという見込みもあったのではと推測しています。

<無戸籍者の扱い>
 最後にもう一つ、他のメディアが全く触れていなくてやや不満に感じた点として、今回の一人っ子政策廃止と共に今後どうなっていくのかが気になるカテゴリーとして無戸籍者の扱いがあります。
 これまでは一人っ子政策によって二人目意向を産むと罰金が科せられ、特に収入の少ない農民は大きな打撃となっていました。そのためもし二人目以降が生まれた場合、その子供はきちんと認知せず戸籍上存在しないまま育てられ、そのまま義務教育を始め何の行政サービスも受けられない大人となってその地域で細々と生きていくしかありませんでした、生きているのに戸籍上は存在しない人たちで、正直に言って同情に余りあります。

 変な話ですがこちら中国にいてもこういった無戸籍者の話はあまり目につかないというか、普段生活していて話題に上がることはほとんどありません。むしろ日本にいる時の方がこの問題に触れる機会が多く、以前訪れた飲食店の店長から、「この近くに立っている外国人娼婦はみんな中国の地方からきている女性で、本国には何人も子供がいるそうですが一人目しか戸籍がないそうです」などと、ダイレクトな事情を聞くことが出来ました。
 その店長によるとたまにその飲食店に来て身の上話をする娼婦がいるそうなのですが、日本で街に立って数ヶ月我慢して働けば本国で数年暮らせるお金が手に入るだけに、そういったわけありの中国人女性が日本へ来るのに後が絶たないそうです。また街に立つにはちょっと年齢行ってしまった女性になると、今度は手配屋になって後から来る女性をまとめて仕切り屋となってお金を稼ぐなどと、時間あれば直接インタビューして社会学の論文に使いたい内容を教えてもらいました。

 正直な所、無戸籍者というのはどれくらいいるのか、本当にいるのかそれまではピンときませんでしたが、やはり大都市部ではなく地方では未だにたくさんいるような感じがします。今回の一人っ子政策廃止によって二人目までは無許可で産めるので少しは減るかもしれませんが、それでも今いる人たち、また三人目以降に生まれてくる人たちがまだまだ戸籍がないままの存在でいるでしょう。
 ここで私が何を言いたいのかというと、中国は統計以上に労働人口を抱えているということです。一見すると少子高齢化に見えますが実体的には統計で出ているほど歪ではなく、労働人口層はもっと太いというか多くいるでしょう。それこそこういった無戸籍者救済のため正式な戸籍登録を罰則なしで認めてやれば、人口バランスは一気にとまではいかなくとも多少の改善が期待できるかもしれません。まぁきちんと実態調査がされていないのでどれくらいかはわかりかねますが。

 私個人としては一人っ子政策を廃止するのであればこうした無戸籍者に対しても目を向けてほしいものです。政策がなくなるのだからもうそこに存在する人はしょうがないと割り切って、少しでも救済に動くのであればまだ評価できるのですが。

  おまけ
 本日、日本のゴム製品メーカー大手のオカモトの株価が10.14%も下落しました。例の上海人が教えてくれたのですが最初は何のことがわからずなんやねんと聞き返したら、「一人っ子政策が廃止され中国という巨大なコンドーム市場の需要が落ちると見られたからだろう」という回答を聞き、日本も全く部外者ではなかったのかとちょっと驚きました。実際、日本製ということもあって中国でも人気だそうだし、どこのスーパーやコンビニ行ってもオカモトの名前を見たりします。

2015年10月29日木曜日

千葉のマッドシティ~バーガーキング松戸西口店(閉店)


 昨夜、友人からスカイプで、「知ってるかもしれないけど松戸駅前のバーガーキングが潰れたぞ」という通知を受け、何故かやたらとショックを受けて今日はこの記事を書こうとその場で決心しました。ってか昨夜は友人とスカイプで日本シリーズの実況中継を楽しんでたので久々に休んじゃったけど。

 知らない人にはさっぱりちんぷんかんぷんでしょうが松戸駅の西口を出て伊勢丹方面へ向かって立体歩道を歩いて階段を下りると、不二家レストランの隣にこのバーガーキングがありました。このバーガーキングには私自身もよく行ってて、多分松戸に潜伏している最中は週一くらいのペースで通っててポイントもどんどんたまるもんだからスチール製マグカップももらうくらいに通ってました。
 なんでそんなに通ったのかというと、一に駅から近いので帰りに寄りやすかったのと、二にバーガーチェーンでこのバーガーキングが実は一番好きだったためです。バーガーキングはマクドナルドと比べてバーガーのボリュームが大きく、晩飯に食べる量としては私にとってちょうどいいボリュームだったので数年前から好んで通うようになりました。

 ちなみに昔の自分であればファーストフード店に週一で通うなんて不健康じゃないかと懸念したでしょうが、香港で働いていた時に毎日夜遅くに帰るもんだからマクドナルドかバーガーキングしか選択しなくてしょうがなく通っていても健康は全く崩れる様子はなく、「要は栄養とかよりも日々のストレスの方が体に悪い」と開き直ってからはファーストフードに抵抗がなくなりました。そのせいか今でも毎週マクドナルドかケンタッキーに行っては優雅に食事しています。

 話は戻りますがこの松戸店は潜伏地にも松戸駅にも近いもんだから本当によく通っており、仕事帰りにここでメシ食いながらパズドラするのが私の中で一種ステイタス化していました。ある日などは「1000円出せば30分おかわりし放題」のキャンペーンに乗ってハンバーガーセットを2セット食べたこともありました、重量的にはそれほどでもない量であるものの、元々のカロリー数が半端じゃないせいかこの時はさすがに私も「ねこあつめ」の「まんぞくさん」みたいにお腹パンパンになって帰る足取りが重くなったこともありました。それでも翌週にはまた来たけど。

 そんなそこそこ思い出のあるバーガーキングが潰れてしまって、まぁショックと言えばショックです。松戸駅周辺の店ではここ以外にも地下にある喫茶店と元ラリーストがやってるカレー屋にもしょっちゅう通っていましたが、それらに負けず劣らず通っていた店なだけに文字通り行きつけの店の消失と言っていいでしょう。潰れたってことはやっぱり客が多くなかったってことでしょうが、マクドナルドを含めてファーストフードチェーンはこのところ逆風が吹いているだけにきつかったのかもしれません。

 あとこれは友人の意見ですが、「松戸じゃやっぱりハンバーガーよりもラーメンの方が受けるんじゃないか」という、ジャンルの違いも原因として考えられます。何度かこの連載でも取り上げていますが松戸は知る人ぞ知るラーメン激戦区で、松戸駅前にも「なんでこないいっぱいあんねん」と思うくらいにラーメン屋がたくさんあります。まぁ自分がいつも行くのは松戸駅東口前の日高屋で味噌ラーメンしか頼まないんだけど、この前店の中で宮崎大医学部に通う友人と携帯で話してたら店員に、「携帯での通話はご遠慮ください」と注意され、「あ、そういやここ中国とちゃうんや」と思って反省しました。

 話が横道逸れてばっかですが松戸で求められるファーストフードはハンバーガーではなくやはりラーメンなのか。確かにそういう雰囲気があり、マクドナルドも東口のゲームセンターと同じビルに入ってるけどなんか激しく混んでいる印象ないだけに、案外そうなのかもしれません。
 それにしても、あのバーガーキングがなくなったのか……。ちなみに今住んでる昆山市内にもバーガーキングがなく、しょうがないから今夜はマクドナルドでビックマック食って帰ってきました。

2015年10月27日火曜日

このところの車内広告

 今記事書いている最中ですが日本シリーズでスワローズの山田選手が三打席連続でホームランを打つという快挙をしたと速報が出て、文字通り目を疑いました。本当にこの人はこれからの日本野球界を日ハムの大谷選手などと共に引っ張ってく人なのかもしれません。

 話は本題に入りますが、今月初めに日本へ帰国した際にいつもの如く電車の車内広告を細かく観察しておりました。なんでこんなことをやるのかというと広告というのはその当時の社会を映す材料としては大きなもので、トレンドを見る上ではどんな広告が多いのか、またその広告に使われている効果はどんなものかを見ることで少なからず把握できると広告屋の息子なだけに子供の頃から意識してみていました。

 それで今回の帰国時に気になった点を挙げると、第一にまず「消費者金融からお金を取り返します」といった類の弁護士事務所の広告がすっかりなくなっておりました。2014年くらいまではいやでも目に付いたような気がしますが、どこをどう探しても一件も見つからないほど駆逐されてて時間の流れを感じるくらいです。その一方、空いた広告欄には何が入ってきたのかが気になる所ですが、私の見る限りだと一番広告量が多かったのはアコムやプロミスに代表される消費者金融だった気がします。

 さらっと書きましたが非常に皮肉な話で、グレーゾーン金利の撤廃によって大手を振っていた消費者金融が社会から散々叩かれ、その先鋒を弁護士事務所が行っていたというのにひとたび時間が流れたらまた消費者金融が大手を振って広告を出してしまうという。やっぱり叩かれても死なない連中というか企業というか。昔学生時代に友人が、「消費者金融の広告があちこちに貼られている社会ってどんなもんやろか」って言ったセリフが思い出されました。

 なおほかの車内広告となるとやっぱり疲れたサラリーマンに見せると効果があるのか転職会社関連が多く(ドアの窓に多い)、他は栄養剤とか学校の募集案内が目立つくらいでした。これらは万年同じで変化はなくそれほど興味はなく、電化製品とかの広告が昔と比べてずいぶん減ったなぁという印象くらいしか湧きません。
 あとこれは逆の話というか、都内の列車を見ていても広告欄に空きがある車両が数多く見られました。これは単純に広告主が出ていない証拠でもあるのですが、以前は地方ならともかく都内では確実にすべて埋まっていたことを考えると随分と人気が落ちたもんだなと思え、広告業界の苦しい現状が見て取れます。

2015年10月26日月曜日

平家物語と日本人


 いつも変な行動ばかりとっているヤクルトスワローズの畜ペンことつば九郎ですが、この写真には一瞬うるっとさせられました。まぁこの時は高橋由伸選手の監督就任はまだ決まってなかった段階でしょうが、発表された後で見ると一味違います。

 それで話は本題ですが、先日私は「腐女子のDNA」という記事で源氏物語が日本古典文学の最高峰の様に取り扱われるのは過大な評価では、支持層の大半は昔も今も女性ではないのかということを主張しました。ならば日本古典で何が最大の傑作なのか少し考えたところ、すぐ出てきた結論というのは平家物語で、下手すればこれは現代にも続く日本人の価値観を形作った作品ではないかと思えてきました。

 平家物語とは何かについての解説はするまでもないでしょうが、この作品のテーマは何かとなるとそりゃやっぱり「無常観」という言葉に尽き、言い換えれば「滅びの美学」といったところになるでしょう。権勢絶頂期の平家の記述から始まり、その平家が源氏によって徐々に追い詰められ没落し、またその平家を打倒した源義経もまた兄頼朝によって追い込まれるという過程は冒頭で語られる「諸行無常」以外の何物でもありません。
 こうした滅びの美学をテーマにした悲劇作品は日本に限らず他の国や文化圏においても数多く見られますが、それらを考慮してもやっぱり日本人はこういう無常系作品を好む傾向が強いような気がします。この平家物語以降も太平記や忠臣蔵、人物においても来年の大河に使われる真田幸村や新撰組など、勝利の栄光を勝ち取る側よりも滅びゆく側に強いスポットが当てられ共感する人間も多いように思え、実際、栄光の大勝利で終わる作品といって私がパッと浮かぶものと言ったら「坂の上の雲」こと日露戦争ものしかないような気がします。

 また文学作品のみならず、「徒然草」や「葉隠」といった無常観を主とする随筆や思想書も後の世に生まれていますが(徒然草は平家物語と同時期に成立したのかもしれませんが)、うがった見方をすると平家物語の価値観が日本人に根付いて、だからこそこうした無常系作品が未だに受け入れられているのでは、大きく出れば日本人の魂を形作ったのは平家物語じゃないかとすら思えてきたわけです。桜の鑑賞においても満開ではなく塵り際こそが最高潮とされ、命が誕生したり、最高に輝いている瞬間ではなく、事切れる直前の最後の灯にこそ日本人は美を見出しており、現代においてもこれは大きく変わらないでしょう。

 無論、平家物語の思想背景には仏教、そして中国から渡ってきた老荘思想が大きく影響しており、根っこは何かとなればこの両者だと断言できます。しかしこと文学作品の枠で見ればこの平家物語が無常系のトップランナーで、また日本人の価値観に強い影響を与えている可能性を考えると、古典最高峰として置くにはこの作品しかないというのが私の意見です。

 最後に以前にも昔書いておりますが、私の曾祖母は平家の隠れ里出身だったため私も家系的には平家寄りだったりします。

2015年10月25日日曜日

私の記憶の仕方

 また本題と関係ないですが映画評論家の前田有一氏がこのほど、幸福の科学が有り余る予算を使って作った「UFO学園の秘密」というアニメ映画の批評を行っていたので今日読んでみました。批評内容の概要を私なりに述べると堂々たる予算を使っているだけあってアニメーションの出来も悪くないものの、後半に待ち受ける教義丸出しな説教的展開によって見に来る人間を選んでしまっているというものでした。その上で前田氏は、「個人的にはネット民が喜ぶ架空戦記など作ればウケるのではないかと思うのだが」と踏まえた上で、

「尖閣諸島にせめこんだ中国軍の快進撃と、トボけて高みの見物を決め込むオバマを前に、安保法制も日米安保条約も無力と知り絶望する日本人。陰で握手して笑う中米の最高指導者たち。尽くしてきた恋人アメリカにふられ、涙目の安倍首相。そこに突如現れたエル・カンターレ(山本太郎)が日本を救う──なんてストーリーを、リアリティあふれる軍事スペクタクルとしてぜひ作ってほしい。」

 なんていいますか、普通に見てみたいなこんな映画と思ってしまう自分がいました。

 そんなわけで本題に入りますが、先日高校時代の友人に高一の頃にあった別のクラスメートとの思い出話を聞かせました。内容はそんな大したものではなく、入試の手伝いのため休日に登校して手伝った後に学校から振る舞われたのは牛丼だった。でもって食べようとしたら牛肉一枚を床に落としてしまったので蓋の上に置いておいたら蓋に貼り付いた肉を自分が気が付いてないと思ってクラスメートが盗み食いした。「それ床に落ちた肉だよ」と伝えたら「早く言えよ」と言われ、手伝いが終わった後はそのクラスメートと別の友人と一緒にカラオケに行ったという内容でした。

 内容自体はそれほど大したものではないですが、友人曰く「怖いくらいに細かいことをなんでも覚えてるよね」とのことでした。別にその友人に限らなくてもほかの人からも私の記憶力については誉められるというか畏怖されることが多く、特に多い反応として、「そんなこと言ったっけ?」という、言った本人すら覚えていない過去の発言を私は覚えていることが多く、その発言時の情景、前後の会話などを含めて説明すると相手も記憶を取り戻していくのですが大抵、「なんでそんなこと覚えてるの?」と、非常に不気味そうな目で相手は私を見てきます。

 実際の所、こうした記憶力を披露する相手は前もって選んでいます。というのも気味悪がられるのを私自身もわかっており、数年前にあったことなどを話しのネタになると思いつつも敢えて口には出さずスルーすることも少なくありません。学生時代の友人などはある時私の記憶力について、「誰がどういう順番でどんなことを言ったのかを全部記憶していて、たまにコンビ芸人のネタも全部言ってしまうこともあるが正直怖い」と評していました。
 本人としてはそれほど特別なことをしている自覚はなくただ何となく覚えているから口にしているだけなのですが、周囲の反応を見ている限りだとやっぱり異常な記憶の仕方をしているんだとは考えています。ただ記憶力がいいといっても物覚えという意味ではそんなに大した水準ではなく、たとえばIQテストの様に短時間でどれだけ覚えるかといったものは実は苦手で、あと相手の顔と名前を覚えるのは実は苦手だったりします。

 では私の記憶で際立っているのは何か。恐らくですが何をどれだけ記憶するかというより、一度記憶した物を意識化に呼び覚ます能力の方じゃないかと分析しています。会話の中で関連するキーワードが出てきたら、「ああ、それなら」という具合にデータベースから関連する項目の記憶を引っ張ってくる「引き」が強いため、何年も前の出来事や会話なども一瞬で思い出して来れるのではと考えています。

 私自身、15歳くらいの頃から意識的に記憶力を高めるよう心掛けてきましたが、どっちかっていうとそうした心がけや行動よりも今の自分の記憶力は先天的な要素が大きいように思えます。そんな自分と比べて周囲の人間の記憶の仕方について比較すると、なんていうか記憶の整理の仕方が自分とは違うんじゃないかとこの頃思えてきました。
 記憶を本にたとえると、周囲の人は古い本の上に新しい本をどんどん積み重ねていくようなスタイルをしており、そのため新しい記憶は上の方にあるからすぐ持ってこれるけど古い本は下の方に埋もれているため引っ張り出すことはおろか探すのにも苦労します。
 それに対して私の場合は本棚に横並べするようなスタイルで、新しい本も古い本も背表紙を向けてずらっと並んでいるので一目で探したい本を見つけ取り出せる。感覚的にはこんな具合で、一度覚えた内容であれば、もちろん新しい方が思い出しやすいですが、古い記憶も新しい記憶もそれほど差がなくさっと引っ張り出せるというのが大きな特徴のような気がします。

2015年10月24日土曜日

横浜高校野球部監督の教育論

 また今月の文芸春秋からの引用記事ですが、甲子園で幾度もの優勝をかっさらった横浜高校野球部を50年に渡って引っ張った渡辺元智前監督のインタビュー記事がなかなか面白かったので紹介しようと思います。

 渡辺氏は24歳で同高校野球部の監督に就任し、今年5月に引退するまで甲子園で春夏優勝5回を経験し、また松坂大輔選手をはじめとして横浜高校出身のスター選手を日本プロ野球界へ数多く送り出しており、名実ともに名監督と呼び声の高い人物です。そんな渡辺氏ですが部員の指導方法については「ひとつの指導方法でやってきたわけじゃない」と、冒頭から述べております。

 監督就任当初の渡辺氏は昔のスポ根ドラマよろしく、鉄拳制裁を当たり前のように行って指導してきたそうです。この指導方法について渡辺氏は当時の世相というか戦後は軍隊出身の指導者が多かったため誰もが殴られて教育されてきており、また他校でも当たり前のように行われてて練習試合でも野球そっちのけで双方のベンチで監督が選手を殴り飛ばしていたそうです。
 しかしそうした鉄拳制裁も次第に通用しなくなってきたそうです。通用しなくなった理由について渡辺氏は、若い当時は優勝実績がつくとともに周囲からちやほやされやや浮かれた生活を送ってしまい、そんな姿を部員たちが見透かしていたせいではないかと分析しています。ただそうした事態に至ってから立ち直りは早かったというか、一方的にこうしろという指導をやめて選手との対話を重視した指導へと切り替え、これが功を奏して1980年には愛甲猛氏を擁するチームで夏の甲子園優勝を達成できたと述懐しています。

 しかしこうした「対話路線」もそう長くは続かず数年でまた勝てなくなり、仕方ないので今度はアメリカの野球チームを参考に「伸び伸び野球」を打ち出したところチーム内に「甘え」が蔓延して余計に勝てなくなるという余計に悪循環となってしまいました。転機となったのは松坂世代が入ってきたころで、この世代は松坂選手を筆頭に後藤選手、小池元選手、小山元選手など後にプロ野球でも活躍する人材が大量に入ってきた年代だったため、彼らをきちんと使いこなせば必ず優勝できると確信が持てたそうです。
 しかしこう言った才能ある部員たちは渡辺氏によると「往々にして我が強い」とのことで、ひとまとめな指導ではとても対処できないと考え部品一人一人に合わせた指導を採用することにしました。具体的にはある選手には厳しく指導する一方で別の選手には誉めることを重視したり、またほかの人には体調管理の重要性を説いたりと、現代では当たり前とされる指導方法ですが98年の段階でこれを実践していたということはやはり渡辺氏には先見の明があるように感じられます。

 直近の指導方法については現在ロッテで活躍している涌井選手を引き合いにして、「メールでのコミュニケーション」をしたことが書かれています。なんでも松坂選手はどれだけ厳しく叱っても後でフォローすればきちんと彼も応えてくれたそうなのですが、涌井選手は一回叱ったら俯いて、誰とも話をしなくなってしまうため渡辺氏も、「叱り過ぎたのかな?」と度々感じたそうです。そこでマニュアルを必死で見ながら涌井選手の携帯にメールでフォローした所ようやく「わかりました」と返事が来てほっと一安心できたと書いてあり、それ以降はまめにメールで選手たちと頻繁に連絡を取り合うようにしていたそうです。ってかほんとマメだなこの人。

 自分の指導について渡辺氏は、選手に成長してもらいたいという信念だけは変わりはなかったものの、その指導方法は時代と共に常に変化していた。むしろそういう信念があったからこそ変化できたとまとめており、さすがベイスターズより強いのではと言われるくらいに横浜高校を牽引してきた監督だと感じるほど読み応えのあるインタビュー記事でした。

 本題とは少し外れるかもしれませんが、戦争指揮において参謀が将軍に優越する指揮システムを確立させた人物として、ドイツのモルトケという軍人がおります。彼の時代のプロイセンでは「戦争論」を著したクラウゼヴィッツなどが活躍しており戦争を学問体系的に分析する動きが強かったのですがモルトケはこうした動きに反発し、「戦争に不変の原則などないという事実のみが不変である」と述べ、従来の概念からは考えられないような鉄道や無線を活用した戦争指揮システムを導入し、ビスマルクと二人三脚でプロイセンを強国化させました。
 私自身もこのモルトケの意見というか概念を日頃から重視しており、不変なシステムなどほとんどなく時代とともにシステムはどんどん変えていくべきだと考えており、この渡辺氏もそうした価値観だったからこそ名監督足り得たと今回感じた次第です。

  おまけ Wikipediaに載っている渡辺氏の指導を受けた主だったプロ野球選手
青木実
永川英植
愛甲猛
高橋建
鈴木尚典
紀田彰一
多村仁志
松井光介
松坂大輔
成瀬善久
後藤武敏
小池正晃
荒波翔
涌井秀章
石川雄洋
筒香嘉智

大学ランクの壁、そして下剋上

 先日、日本から中国へ戻る飛行機を待っている間、空港の売店でかなり久しぶりに文芸春秋を購入しました。元々私は文芸春秋を購読していたものの姉妹雑誌の週刊文春で不必要と思うくらいに橋下大阪市長へのバッシング記事が続いたことに反感を持って数年前に購読をやめていたのですが、そろそろ過去は忘れてもいいかなと思ったのと、今月号(11月号)の特集が教育関連議論でその中に池上彰氏と佐藤優氏の対談が入っていたので、衝動買いの様にして買って持ってきました。

 掲載されていた記事や対談はどれも面白くこれからまた少しずつ記事化していく予定ですが、先ほど挙げた二人の対談では日本の大学の役割、そして改革案が中心となって語られており、自分は全然その存在を知らなかった「ビリギャル」という慶應大学の入試に合格した女の子について佐藤優氏が、「彼女は受験科目として使用した小論文と英語だけが合格水準にあってその他の科目は恐らく一定の水準に達していないだろう」的なことを指摘して、こうした偏った学力の学生を入学させることは問題があるとさりげなくディスっていました。
 なおこの佐藤氏の指摘を友人に話したところその友人は、ビリギャルが自分の受験体験をまとめた本の表紙に自分自身ではなくモデルの女性を使用したことについて、「結局女は見た目で決まるというようなことを自分でやっておいて何がビリギャルだよ。自分の実績をピーアールしたいなら自分が表紙に出ろ」とこっちもディスっていました。まぁ私もこの友人のいわんとしていることに同感なのですが。

 話は本題に入りますがこうした大学関連の改革話を聞いていてふと、「何で日本で最高峰の大学は東大なんだろう?」という妙な疑問がもたげました。こんな風に考えたのもちょっと前に戦前で本当のエリート校だったのは東大ではなく陸軍大学校だとか、エリート養成校として真に優れていたのは陸軍中野学校(佐藤優氏の主張)だったとかそういう内容を思い出しており、どうして現在では東大が一番なのか、否、どうして東大が一番に固定されているのかという点について疑問を覚えました。

 そりゃ東大は官制学校として一番金もつぎ込まれているだけでなく入試難易度でも文句なしにトップクラスです。しかし米国の大学ではアイビーリーグというトップクラスの大学ランクは存在するもののその中の順位や価値は常に変動していると聞き、特にハーバード大学を未だにありがたがっているのはアジア人だけで実は外国人留学生が学生の大半を占めているという噂も聞きます。
 大学の価値を推しはかる上で伝統は確かに重要な要素であるものの、真にその価値を見定める指標としては輩出した卒業生の質と、学内での研究ではないかと思えます。何が言いたいのかというと本来なら大学のランクというものはもっと変動があるべきで、この辺の競争システムが日本国内の大学業界では上手く働いていないのではと考えたわけです。

 先ほども言った通り日本でナンバーワンの大学と言ったら東大、次いで京大というのは戦後ずっと変わりがありません。国立大なんかは予算や教員などの面で政府も絡んでいるだけあってこのように順位が固定されるのは多少はしょうがない気がします。では私立大学はどうか。全く変動がないわけではないもののあるとしても同じ大学ランク内の優劣の逆転程度で、大学ランクを飛び越えた変動となるとほとんどあり得ないといっても問題ないでしょう。

 日本の私立大学のランクとなると最上位は言うまでもなく早慶こと早稲田大学と慶応大学です。以前はこの二者の実力は伯仲していたそうですが現在は私の見る限り明らかに慶應の方が上回るようになり、実際につくば市の風力発電機事件や小保方騒動とその対応を見ていると早稲田の水準は世間が見ているより実は低いのではと思うところもあります。もっとも、今思うと早稲田の凋落の始まりはスーパーフリー事件からだったのかなという気もしますが。

 関東圏内だとこの早慶に上智大学を加えた「早慶上智」という言葉もありますが、実は私はこの言葉にあまりピンと来なかったりします。というのも関西圏だと早慶のネームバリューは依然と高いものの上智大学についてはその存在すら知らない人間も少なくなく、高校時代までは関東にいたものの進学後は関西で過ごしてた私からすると「早慶上智」はいまいち実感の湧かない言葉だったりします。はっきり言えることは上智大学は早慶ほど全国的なネームバリューはなく、上智OBの方には申し訳ないですが早慶よりは一段劣るだろうというのが私の見方です。

 その早慶上智の下となると、今後はMARCH(+学習院)というランク層になり、その下は今度は日東駒専が来たりします。私の見る限りだとこれらも同ランク内での変動はあってもランクを越えた変動は数十年なく、なんていうか面白みに欠けます。
 では関西私立はどうか。こちらは最上位ランクにあたる「関関同立」というグループがあり、関西学院大学と立命館大学で2~3位の変動がたまにあるものの基本大きな変化はありません。ただその下の「産近甲龍」の中では近年大きな変動が起こっており、具体的に言うと近畿大学が目覚ましいばかりの躍進を続けています。

近畿大、志願者数で連続トップに 私立大の一般入試(朝日新聞)

 かつて大学入試の志願者数と言ったら早稲田大学か明治大学がトップの座をいつも争っていたのですが、なんとこの二大学を抑えて2014年と2015年は近畿大学がトップに躍り出てきました。近畿大学は関西圏にあることから東京の大学と比べ「上京への憧れ」という面でハンデを抱えておりますが、そのハンデを抱えながらトップに出たというのは控え目に見ても素晴らしい偉業と言っていいでしょう。

 何故近畿大学がトップに出たのか多方面で分析がされているものの、ほぼ一致した意見として「近大マグロ」ことマグロの完全養殖に成功した実績が世間に評価されたものとされ、私もこれに同感です。本人らもそれを自覚しているのか、「近代ってマグロだけだと思ってない?」という言葉が書かれた全面マグロの大学PRポスターを作ってたりしていて、見ていていいセンスを感じます。
 実際に近畿大学がどれほど躍進してるのかなと偏差値ランキングを少し見てみましたが、偏差値レベルでは同ランク内で明らかに最上位に入っており一部学部では関関同立をも上回っているところもあるほどで、もしかしたら絶対不滅と見られていたランクの壁をも超えるんじゃないかと思うくらいの勢いぶりです。

 先ほども書いたように大学の質を測る上でもっとも重要な指標は卒業生の指標、そして研究実績の二つです。近畿大学はこのうち後者で見事な成功を収めて躍進しており、今後もこう言った方面での競争が進んでランクの壁が破られて行けば日本の教育界も全体的な底上げが起こるのではないかと思っており、近畿大学には密かに期待していたりします。
 逆を言えばほかの私立大学についても小手先の改革に頼らず、学生の質向上に取り組みながらいい研究実績を作るなどといった、まともな方面の努力でもって大学ランクの壁を破るような下剋上を達成してもらいたいものです。なんでも競争に巻き込むことは私も反対ですが、真に競い合うべきところは競い合うに越したことはなく、そうした切磋琢磨によって世の中よくなってほしいものだというのが今日の私の意見です。

2015年10月23日金曜日

腐女子のDNA

 最近多いですがまた先日に友人と話した時の話題に、「なんで源氏物語が日本文学の最高峰の一つとして位置づけられるのがわからない」というものがありました。源氏物語が現在確認されている日本史上で最初に成立した小説であることには疑問の余地がないものの、果たしてこれが文学作品的に優れているかどうかとなったら正直疑問です。
 このように考えるのも源氏物語のストーリーがいろいろとアレで、短くいってしまえば母親に似た継母とか幼女を筆頭に女性をとっかえひっかえ(そのくせ正妻には手を出さない)するのがメインストーリーという、恋物語というかただのマザコンとロリコンのコンボを叩き出す変態物語なだけではとそこはかとなく感じるからです。ちなみに当時の感覚でも紫上に手を出そうとする光源氏はロリコンのように見られてたと当時の貴族の日記にも書かれてます。

 もちろん源氏物語には女をとっかえひっかえするだけの小説でないということはわかってはいますが、それにしたって現代から見ても内容がちょっとアレすぎやしないかと思うわけです。作者の紫式部なんて現代で言えばレディースコミックの作家にしか見えないという風にまた私が友人を前にして吠えていると、「レディースコミックと言えば、源氏物語の支持者って女性が多くないか?」という疑問が突然もたげました。

 ただ単に私が物を知らないだけなのかもしれませんが、源氏物語を持ち上げるような男性著名人となるとなんだかぴんと来ず、逆に女子大の教授とか瀬戸内寂聴先生など女性人だといっぱいいるような気がしてなりません。詳しくデータ取ってないで言うのもなんですが恐らく源氏物語の支持者は女性がやっぱり大半だと思え、また成立間もない頃も同じ状況だったのではと伺える資料もあったりします。
 その資料とは「更級日記」で、これは菅原道真の子孫にあたる菅原孝標女が自分の半生を綴った日記なのですがこの中で彼女は子供の頃、たまたま家にあった源氏物語の一部を読みふけって非常にはまり、何とかしてでも全巻揃えたいと訴え続けた末に念願かなって叔母さんから全巻をもらった時には、「ヒャッホー!(゚∀゚)」と言わんばかりにその喜びを表現して、貪るように読んだことが記されています。ってかこの時の菅原孝標女って十代前半だと思うけど、その頃からこんな本読んで大丈夫なのかという疑問がもたげますが……。

 この記事で何が言いたいのかというと、日本女子は昔も今もレディース系の激しくきっついストーリーが好きだった、平たく言えば腐女子だったのではという仮説です。自分は文系なので「日本人はDNA的にこれこれ~」という説明や主張は大嫌いであるものの、ことこの腐女子の系譜については日本女子のDNAと言っても差し支えないのではと少し考えています。
 ちなみに自分は過去に何度かレディースコミックをなんかの手違いで読んでしまったことありますが、「え?何これ?何が何だか全然わからないんだけどほんとに需要あんの?(;´Д`)」という感想を持った上では、はっきり言えば「ちょっと無理!」ってばかりに拒否感をリアルに持ちました。女性はあれ見て本当に面白いと思うのだろうか?

2015年10月20日火曜日

これまでのぶっ飛んだ体験記事まとめ

 先週日本に帰国中、うちの親父と伊勢に旅行へ行っている最中にふと最近のブログについてどうかと聞いたら、「ぶっ飛んだ記事が減ったよね」という意外な回答が返ってきました。このぶっ飛んでいるとはどういう意味かというと思想的な意味ではなく肉体的な意味で、要するに私のトンデモ体験記事が最近見なくなったことをうちの親父は不満だそうです。
 とはいっても嘘は書くこと出来ないし急に何かトンデモ体験しろと言っても無理もある。ただ逆に、これまでどんな体験を自分は今まで記事にしてきたのかなと少し思うところがあり、今日は私個人のぶっ飛んだ体験を書いた記事をまとめてみようと思います。

<高校時代の友人からかいエピソード>
煮え湯を飲むとどうなるか
血と涙のバレンタイン事件

 どちらも高校時代に友人を罠にはめた時のエピソードです。なお煮え湯を飲ませたエピソードは未だに私の中の思い出し笑いランキングで堂々の1位を維持しています。

<大学時代の貧乏話>
かつて餓えた日々
貧乏時代の私のエピソード
KOEIのゲームでやったこと

 どれも学生時代のエピソードですが、当時は記事中にも書いている通りに本当に毎日餓えてて食べることばかり考えていました。今思うとなんであんなに無茶してたのか不思議です。

<夢物語>
昨夜見た恐ろしい夢( ˘ω˘ ) スヤァ
昔見た夢

 どちらも過去に見た夢の内容を書いていますが、なんでこんな気違いな夢見たんだろうと読み返してて不思議に思います。

<服装系エピソード>
寒かった北京
休日の私の服装

 どちらも私の服装に関するものですが、真冬の北京に、しかも万里の長城にGジャン一枚で乗り込むって馬鹿じゃないかと読んでて我ながら呆れてきます。でもってもう一つの「休日の私の服装」で書いてあるように特徴的なTシャツを着る癖は続いており、この前も前の会社の後輩に、「花園さんは夏の時期よく、胸にでっかく『香港』って書いたTシャツ着てましたよね」と言われました。

<突発的体験>
深夜の決闘
突然の依頼
中国で聴いてショックを受けた歌

 適当にジャンル分け出来ないのをまとめましたが、「突然の依頼」で書いたように夜中急に中国語で記事書いてと言われてすぐに書いて出したのは今ではいい思い出だし、いい体験でした。

<身体的に痛かった体験>
フリーフォール
今日の衝突事故
これまでにやらかした神経的に痛い体験

 ある意味今回の記事主旨によく合っているジャンルがこれですが今回こうして記事をまとめていて思ったこととして、「なんで俺ってこんなにタフなんだろう」って感想でした。2階からまっさかさまに落ちたりオート三輪と衝突したりと結構危ない目に遭っているにもかかわらずなんで悉く無傷で戻ってくるのか、自分でもよくわかりません。

<精神的に痛かった体験>
運の尽きの一週間
パソコン破損(ノД`)

こちらは逆に精神的に打ちのめされたことを書いた記事ですが、どちらも海外生活ゆえのトラブルネタです。この記事だけ見るとひ弱そうな印象を覚えますが、逆を言えばこれら以外だと海外勤務して精神的に追い込まれることがなく、そのせいかこのところよく「肉体的にも精神的にタフだよね」と周囲からよく誉められるようになりました。

さようならOpera

 ここから単独で紹介していきますが、この「さようならOpera」の記事内容はただ単にOperaというブラウザを使うのをやめたことを書いただけの記事ではあるものの、記事中にあまりの使い勝手の悪さから無線式マウスを思い切りブン投げて壁にぶつけて壊したという気違いじみた私の行動が何故か詳細に描かれており、この記事を書いてからは「最近またマウスを投げたりしてませんか?」とやけに周囲から尋ねられる機会が増えました。

スピリチュアル体験録

 こちらの記事は私のブログにしては非常に珍しく、かなりオカルトじみた内容です。ただオカルトじみているものの記事内容というかスピリチュアルセッションで私が言われた内容があまりにもドンピシャであったため、私と直接会ったことのある知り合いはほぼ全員が驚く記事となりました。実際今読み返してもいろんな意味で凄い記事で、書いた当時に言われた内容を詳細に記しておいてよかったなとつくづく思います。

房総半島自転車一周地獄の旅

 私が今まで書いた記事の中で一番ぶっ飛んでいるものを挙げるとしたら、やっぱりこの房総半島一週を試みたこの記事でしょう。読めばわかりますが当日の朝に何の準備なく思い付きで開始するわ、途中でガードレールに衝突してリアルで空飛ぶわ、夜中1時に自転車のフレームが真っ二つに折れてギブアップするとか何考えてこんなことやってるんだよ我ながら呆れます。でもってこの時も空まで飛んでるのに致命的な怪我はしておらず、ソリッド・スネークに負けず劣らず自分ってタフなのかもとちょっと自惚れてきました。

2015年10月19日月曜日

横浜市マンションの施工不良事件について

 昨日はVWの不正事件について記事書きましたが、今日は負けじと日系企業の不正事件を取り上げようと思い、巷で話題になっている三井不動産レジデンシャル(横文字嫌だな)と旭化成という超大手企業のミラクルタッグによって生み出された横浜市のマンション施工不良事件について思うことを書いてきます。にしても中国に戻ってから何故かほぼ毎日左首が痛い、枕悪いのかな。

 本題に入りますが、この事件に関してはこのところ毎日トップニュースで逐一報じられているので説明の必要はないでしょう。この報道の影響を受けて以前に書いた大津の欠陥マンションの記事アクセスが増えればいいなと思っていたら案の定増えてて地味に恩恵を受けてたりしますが、この事件によって一番恩恵を受けているのは案外、直前に免震ゴムに続き防振ゴムでも検査不正を行っていたことがばれた東洋ゴムじゃないかと思っています。多分、みんなこの会社のこと忘れてるでしょうが、私は変に記憶力がいいだけに忘れてませんけど。
 そんな東洋ゴムといい、今回の施工不良は間違いなく大手と呼んでいい三井不動産レジデンシャル(横文字は嫌だ)と旭化成の二者が絡んでいるだけに、「大手だから安心」とはやっぱり言えないものだなというのが私の第一印象です。特に不動産業界は動く金が大きいだけに上から下まで隙あらば不正をとばかりに、大津の欠陥マンションの事例でもそうですが常識では考えられないとんでもないことをやらかす人間が他の業界と比しても多いような気がしてなりません。

 今回の事件も旭化成子会社の検査員が施工記録データを転用したことに端を発していると報じられていますが、そんなことしてばれたらどうなるのかという想像力が働かないのかと話を聞くだに呆れます。こんなこと言うと会社や上司のプレッシャーがあったのではなどと擁護する声もありますが、それは個人の都合であってマンション住人を巻き込んでいい理由にはならないというのが私の意見です。

 話は戻りますが上記の通り報道されている限りだと、今回の事件は旭化成の従業員がやらかしたことによって三井不動産側が大損を受ける構図になりそうです。これは一見すると三井不動産がマンション住人と共に被害者側であるかのようにも見えますが、三井不動産側は施工不良を疑う住人からの声に対して当初、「東日本大震災による影響」として施工不良を認めなかったとも報じられており、仮にこれが事実だとすると隠蔽しようとしたと言われてもしょうがないでしょう。実際、マンション住人はこの一件で三井不動産に対しても強い不信感を持ったと報じられています。
 三井不動産が住人からの質問を受けた段階で今回の施工不良を把握していたかどうかは現段階だとさすがに判断つきませんが、私個人としては何故「東日本大震災による影響」と回答したのかが気になります。地震が原因だと判断しうるデータをきちんと持っていたのか、持っていたのであればまだ理解できますがそうでなくその場しのぎに適当に返したのが先程の言葉だとしたら、この会社のリスク管理能力に対して強い疑念を覚えざるを得ず、普段の発言もちょっと信用の出来ない不誠実な態度の会社だなと感じてしまいます。

 長く書く気がないのでもう切り上げますが、この事件もあくまで氷山の一角で会って全国にはまだまだ明るみになっていない施工不良マンションがごまんとあることでしょう。建設Gメンや構造確認を専門とする設計事務所などは最近増えており彼らの活動には今後も期待したいところですが、人命にも関わることだし本来なら政府がちゃんとした調査機関を設けて調べるべきだと思うのですが、安倍首相も携帯電話料金の発言に続いてこういうことも考えてくれないかな。

2015年10月18日日曜日

VWの検査不正事件に伴う代償

 以前にもマツダのディーゼルエンジンと絡めて検査不正事件を起こした独フォルクスワーゲン(VW)について書きましたが、今日はぱぱっと今後の展開について予想を書きます。

 既に独当局などの調査によって今回米国で発覚したVWのディーゼルエンジンの検査不正は一部担当者によるものではなく組織だった、つまり会社ぐるみで行われた不正であることがほぼ明らかとなっております。VW側は当初、米法人の一部担当者が独自に行ったことと否定したものの欧州域内で販売されている車種のエンジンにも同様の不正が行われていたことが分かったことによってこの主張は崩れ、過去数代の経営陣、果てには現場の技術者を含めて多くの人間が関わっていたと見て間違いないでしょう。残る疑問点は検査不正に使われたコンピューターの制御を担当した自動車部品メーカー大手の独ボッシュがどこまで関与していたのか、不正を行うことを知って部品を供給していたのかが判断の分かれ目となるでしょう。ってか、俺もよく平気でこういうこと書くな。

 そうした犯人探しはひと段落がついてきたところで、次に問題となるのはその責任の取り方です。当初、VWはリコールに消極的でしたが米当局、果てには独政府から勧告を受ける形で関係する車種全てをリコールすると発表しました。リコール対象の車種については現在調査中とされているものの各種の報道を私の方で簡単にまとめたところ、各市場での対象台数は概ね以下の通りになると見られております。

<販売市場別リコール対象台数>
米国:48万台
欧州:850万代(VW)、210万台(アウディ)
※アウディはVW傘下の子会社というかブランド。実質的にはほぼ同じ会社

 合計すると1000万台超にも達するためやったねテンミリオンオーバーと皮肉の一つでもかけてやりたいくらいですが、このリコール(何故か「トータルリコール」という単語が浮かんだ)に伴う費用もさることながら、果たして本当にリコールだけで済むのかという疑念を密かに持っております。それはどういう事かというと、今回の検査不正はその不正の内容から察するに、リコールして修理を行ったところで販売時のカタログスペックが達成できないことが目に見えているからです。
 今回の不正はエンジンの挙動を検査内容に合わせコンピューターで制御することによって排出する汚染物質を実際の販売車以上に小さく見せたものでした。そのため仮に排出物の量を検査時と同じレベルにまで低減しようものならエンジン性能は大きく制限されることとなり、パワーや燃費の悪化は確実に避けられず、販売時のカタログスペックとは異なるエンジン性能になってしまうわけです。

 欧州域内ならドイツ政府の意向でまだこれでもどうにかごまかされるかもしれませんが、米国内だとそうは簡単に行かないだろうというのが私の味方です。言ってしまえば販売時に約束した性能が出せないこととなりただでさえ裁判好きな米国人なだけに、悪意を含んだ不正によって欠陥車を持たされたと主張して販売時の代金を全額返金するよう求めてくるかもしれません。つまり、下手したら48万台は全額返金を求められる可能性があるということもあり、また私自身そう言われてもしょうがないかもと思うくらい今回のVWの不正は根強いものです。

 既に米国は今回の不正に対してVWに制裁金を課すよう準備しておりますが、その金額は米国内だけで2兆円にも達するとされ、それに各国のリコール代金、下手して返金まで発展したら半端ない金額の現金が一挙にVWから流出することとなります。となると次に考えられるのは、それらの支出に対してVWは資産を切り売りするのか、言い換えれば傘下の自動車ブランドの売却に動くのかということがこの次のポイントとなるわけです。

 VWの傘下ブランドは先ほど挙げたアウディを始めとしてポルシェやランボルギーニといった超高級車ブランドも多く、その資産価値は決して低くありません。さすがにポルシェとかを売りに出すことはないと思うものの日本では馴染みのないシュコダやセアトくらいだったら売りに出すこともあり得るんじゃないかと思え、そうなると今度はどこがそれを買うかです。最有力候補はやはりというか中国の自動車メーカーで、次点で好調続く米GM。日系としては中級自動車ブランドだったらあまり買収メリットがなく、また円安という状況もあるので特に動くことはないでしょう。もっとも、アウディが売りに出されるとしたら中国自動車メーカーならどれだけ金を積んでも買おうとすることでしょう。

 最後にこの事件ですが、日系企業にとってはこれ以上ないほどの追い風でしょう。特に中国市場はVWのシェアが高いだけにこれを機に追い上げを図ろうとキャンペーンを打ち出してくるかもしれません。最も、調子に乗らない方がいいとは思いますが。

2015年10月17日土曜日

中心無きイスラム世界

 前日本に旅立った中国人留学生より今日メールがあり、「来日1日目にして財布落とした(ーー;)」と報告がありました。以前にもたびたび、っていうか毎回決めていた時刻に遅刻してきただけに、「注意力がなさすぎるんだよお前は!」と返信しておきました。さて、問題はこの後どうやってフォローするべきか……。

 話は本題に入りますが現在の国際社会で何が最も大きな問題かと問われるならば、それは間違いなくシリアを中心とした中東世界の混乱にあるでしょう。先日大きく報じられたEU諸国への難民流入問題といいその影響は周辺各国にも及び、仮にこのまま長期に渡って解決が図られなければ小さくない打撃を国際社会は受けることとなるのは必定と言えそうです。

 では何故中東世界で混乱が続くのか。直近で起こっている事態については最近誰も口にしなくなった「アラブの春」に端緒を発しており、この事件以降中東各国で革命が続いたことによって政権崩壊、難民の大量発生、並びに受入国の減少を招いております。しかも、目標とされていた民主化の実現すらあいまいなままで。
 またアラブの春より遡れば米軍のアフガニスタン、イラクへの攻撃も混乱の要因となっており、これによって旧支配勢力が駆逐されたものの新しく政権に就いた組織は傍目にも薄弱で、実際にオバマ政権になって駐留する米軍兵力が縮小されるやその支配の隙を突いてイスラム国が勢力を持つに至り、混乱に拍車をかけております。

 ただこれらの中東問題は追えば追うほど根が深いというか、本気で議論しようものならパレスチナ問題から第一次中東戦争、下手すればそれ以前の列強各国の植民地時代まで遡らなければなりません。さすがにそこまで議論する気はないのですが、それらの歴史と現状を突き詰めると究極的には「イスラム教」が重要なキーワードとなり、また現状の問題を考える上でも避けては通れない概念と言えます。イスラム過激派組織も、また政権側もイスラムの教えを旗頭にして自らの正当性を主張しているわけですが、そのイスラム教義の解釈についてはもはや各組織によってばらばらで、最も極端なイスラム国に至っては人身売買すら教義に適っていると主張して、またそんな無茶苦茶なことを言っているにもかかわらず未だに海外から参加者が集まってきているので世の中わからないもんです。

 書いててなんだか辛くなってきたのでここで結論を述べると、これら中東、いやイスラム世界で混乱が続く要因として、イスラム教の中心となるべき組織や団体が存在しないことが大きいのではと密かに睨んでいます。言うなれば、キリスト教にとってのバチカンに当たるものがイスラム教にないことが過激派や少数派を生んで収拾のつかない事態を招いているのではと言いたいわけです。

 言うまでもなくバチカン、並びにそこに鎮座するローマ法王はキリスト教世界を構成する中心の一つで、その動向に関しては非キリスト教国ですら気にします。キリスト教も内部には様々な教派や、ガチでバチカンことカトリックに刃向って出来上がった英国国教会なども下りますが、そんな連中であってもバチカンが打ち出す方針は気にせざるを得ず、それによってキリスト教圏は一定の思想統一が図られているとこれまでの歴史を鑑みてつくづく感じます。

 一方、イスラム教においてはそのような教義の中心となる組織はあったのか。この問いの回答はというと「かつてあった」で、具体的にそれに当たるのはムハンマドの一族が継承していた指導者の地位に当たる「カリフ」と、イスラム王国の最高権力者に当たる「スルタン」です。どちらも時代によってその地位に就く人間、ならびにその地位が存在する国家が変わっていったりしましたが、スルタンに関してはオスマントルコの皇帝がこの地位についていたものの、1922年のムスタファ・ケマルによる民主化、並びに政教分離の徹底によって現在のトルコ国となって以降は全世界のイスラム勢力に影響を与えるスルタンは出ていません。

 もっともオスマントルコの崩壊以降にイスラム世界を指導する存在が途端になくなったわけではないというのが私の意見です。あくまで私個人の考え方ですが、オスマントルコの崩壊以降はエジプトが実質的にイスラム世界の指導国となり、イスラエルとの中東戦争で他国をまとめるなどイスラム世界の軸となっていた見ております。逆を言えば、「反イスラエル」というものがイスラムをまとめる一つの軸だったというわけですが。
 ただそのエジプトも第四次中東戦争後のサダト大統領時にイスラエルと電撃的な和解に至り、イスラム世界での指導力が低下することとなり、それ以降は文字通り「中心無きイスラム世界」が始まり、現在に至るまでただのテロリストですらイスラム勢力を名乗るほどイスラム教価値観の乱立状態となっております。

 これがすべてを解決に導く特効薬になるとはもちろん考えていませんが、私個人としては現在のイスラム世界に安定をもたらすためにも、イスラム教の教義や価値観を決める上で中心となるような、キリスト教にとってのバチカンのような組織や集団を作るべきではないかと思います。このような考えを先日大阪で会ってきた大学の後輩(社学の同門)に話したところ、その友人が話したイスラム関連の教授も同じようなことを口にしていたと教えてくれました。はっきり言ってイスラム教に関しては問題漢もいい所でこんなところで偉そうな口を利ける立場でないことは重々承知しているものの、社会学士(というか国際政治マニア)の立場としての意見としてここでこのイスラム世界の中心設立案を強く主張したいと思い、今回このような記事を書きました。

 ただイスラム世界の中心と言ったってそんなの出来るのであればとっくに出来ているはずで、作ろうったってどうやってというのが現代の課題です。しかし中東の安定をもたらすためにも非常に大きな存在になると思われるだけに、日本をはじめとした国際社会は資金を始めとした支援を全力で行ってでもこのような中心組織なり象徴を作るべきではないかと思います。
 では現代でそのような存在になり得る候補はどこか。まず米国とも関係が強く聖地メッカのあるサウジアラビアがありますが、ここは王族支配が強く恐らく無理だろうと先程の友人との間で一致しました。ではかつて指導国となっていたエジプトはどうか、ここもアラブの春の影響で絶賛混乱中のためとてもとても期待できそうにありません。

 ならばどこか。素人としての意見を述べるならば一番期待したいのはほかでもなくイランです。ここは中東世界において実は最も民主的な政治体制であり、また懸念材料であった米国との関係も近年劇的に改善してきており、日本をはじめとした民主主義国家にとってすればイスラムの中心となってくれれば一番都合がいい国ではないかと思えます。どちらにしろ、中東の混乱を国際社会はいつまでも管かすべきじゃないだけに、周辺地域内できちっとまとめられ先進国とも話し合える強国を作るのが一番だと思うのですがね。

2015年10月15日木曜日

リツアンとの会合

 先週一週間の予定を書いた記事でも載せておりますが、ちょうどなのか前の10/8に静岡県掛川市にある人材派遣会社のリツアンSTC(以下「リツアン」)を訪問し、この会社の野中社長とも会ってきました。一体何故私がこの会社を訪問したのかというと別に派遣先を探して欲しかったとかではなく(いいとこあるならマジで教えてほしいが)、派遣業界の現状などについて野中社長と直接話し合うためでした。

 そもそも自分とこのリツアンがどこで接点を持ったのかというと、目下このブログで一番アクセスを稼いでくれている、今年一月に調査、発表した派遣会社のマージン率一覧の記事を読んだ野中社長が直接私宛にメールを送ってきてくれたことがきっかけでした。あの記事は調査にも記事にも自信があったものの果たして反響はどんなものか、案外当事者である派遣労働者の反応は薄いのではと思っていたところ何故か派遣会社の社長から連絡が来て文字通り面喰いました。
 そのメールの書き出しも、「本来ならば敵となる派遣会社の者ですが」というような文面から始まっていたものの、マージン率の記事内容を誉めていただけたとともに野中社長の派遣業界に対する理念などが書かれ、私に対して非常に好意的な内容でした。元々あのマージン率の記事は派遣労働者向けに書いたものではありましたが、本質的に得するのは真面目に情報公開を行っていた派遣企業だろうと考えてもおり、そういう意味では以前から業界の改善や情報公開に熱心だったリツアンからこうした反応が得られたのは大きな収穫のように感じました。

 その後も折に触れて野中社長とは何度かメールのやり取りを続けていたところ先週に日本へ帰国する用事が出来て、なおかつ友人の結婚式出席のために東京から大阪へ足を運ぶ用事もあったので、ぶらり途中下車とばかりに掛川に寄って野中社長にアポを取ったところ快く引き受けてくださり、その日の対面と相成りました。
 野中社長とはそれ以前からもメールでやり取りしていたため、お互いに初対面とはいえ相手がどういう人間か熟知していたため自己紹介なんてほとんどせず、最初に立ち寄った鰻屋でのっけからディープな話題を話し合っていました。やり取りしたメールの文面、そして公開されているブログの文面からもエネルギッシュな人物だとは考えてはいましたがまさにその想像の通りで、道行く人ほぼすべてが知り合いなのか全員に声かけたり、前日夜中三時まで飲み歩いて携帯忘れたというのにこの日も昼間からずっと飲み続けたり、それでいてやけに業界のディープな話を素面の様に話し続ける様は、「経営者ってやっぱこうエネルギッシュじゃないと駄目なんだなぁ」と見ていて感心させられる様でした。もっとも、リツアンの社員の方も半端なくアルコール強かったですが。

 そのような野中社長に対する私の印象ですが、正直に言えば青臭い考えの人だなと思いました。もっともそれを言ったら「お前はアカ臭いやないけ」と言われかねないほど私もやや理想主義的な考えの持ち主ですが、こと派遣業界については完全に同じ方向を向いているという確信が持てます。
 野中社長も私も現在の日本の労働市場について雇用の流動性が低いことが大きな欠陥だと認識していることで一致し、流動性を高める手段として派遣制度がもっとしっかりと運用されるべきだという考えを持っております。あんなマージン率の調査を行った私ですが、以前からも書いているように派遣制度はきちんと運用されていれば硬直化している日本の労働市場を改善に導く可能性があるとも考えており、どちらかと言えば派遣制度の拡充を望んでいたりします。

 ただ現行の派遣制度は制度や法律に穴が多く、マージン率をネット上で公開しているのは5社中1社という有様からもルールがきちんと徹底されているとは言えない状態で、またそうした欠陥を突くようにして荒稼ぎする業者もいることからてっぺんから底辺まで人材派遣を営む企業ははっきり言って異常なくらいに多く、大手と呼ばれる会社ですら二桁に上るほど存在します。
 私個人の考えで述べれば、もっと派遣業界内での淘汰が進めば派遣労働者の手取り賃金は向上が見込めるし、またそれによって正規雇用の非正規雇用の優位性も薄まって雇用の流動化が促せると思います。同時に情報公開を徹底することによって派遣元、派遣先、派遣労働者の三者がより効率的に動けるようになるだけに、竹中平蔵流に言えば大手と呼ばれる派遣会社は3~4社くらいが手ごろな気がします。

 少し脇道にそれますが日本は未だに終身雇用を掲げる会社が多いものの、既に終身雇用を維持する上で前提となる年功序列制と市場拡大は破綻しており、システム的には完全に破綻しています。破綻したシステムを無理やり維持しようものならそこにはやはり無理が生じ、結果的に社会全体で損をし続けているというのが今の日本の労働環境でしょう。

 仮に雇用の流動化が達成されるのであれば派遣雇用なんて必要ないのですが、現状から考えるに固い岩盤を砕く上ではこの派遣制度は一つの有意な手段になり得ると思え、特にリツアンの様に情報公開を行いルールの上で業務を行っている会社は応援すべき対象です。誉めることよりも貶すことの圧倒的に多い私ですが先にも書いている通り自分とリツアンの派遣業界に対する価値観は完全に共通しているだけに、実質的に野中社長は盟友だとも考えています。

 取材記事みたいなインタビュー文っぽく書くと対面した際に野中社長は、「社会に必要がなければこの会社はなくなってもいいし、お金にも興味はない」と述べた上で、

「それでも派遣という制度をきちんと運用すれば会社も労働者もベストなマッチングを見つけることができ、それで社会も豊かになっていけるはずだ。どうしても会社というのは相性というものがあり、ある会社でまともに働けない人でもほかの会社では大活躍することもできる。そうしたマッチングを派遣会社が担い、マッチングのいい会社に出会えた時点で直接雇用に切り替えられればこれ以上いいことはない」

 などと理想主義全開な内容を何度も口にしてましたが、こうした発言が決して口先だけでないということは野中社長のブログを読んでいてもわかるし、私もここで読者の方に保証致します。更にこうした野中社長の姿勢はしっかりとリツアン社員の方にも受け継がれており、何人かとも話しましたが皆揃って明るく、リツアンでの業務に強いやりがいと誇りを持っているように見受けられました。ただ常にエネルギッシュな社長に、「たまに疲れる時もある」という愚痴も聞かれましたが。

  おまけ
 この訪問した日に折角だからということで、掛川駅から徒歩ですぐ辿り着く掛川城にも行ってきました。この掛川城は天守閣は近年に復元されたものであるもののなかなか雰囲気もよく、以降となっている二の丸御殿も程よく保存されていて素直に悪くない城だと感じました。
 ただ一見して思ったこととしては、「信長の野望で遊んでいる際、進軍上でいつも鬱陶しい城だったよなぁ」というゲーム脳満開な印象でした。

2015年10月14日水曜日

ある若者の旅立ち

 今日昼過ぎ成田出発の便に乗ってまた中国に戻りましたが、今日は勤務地である昆山に帰る前に上海で、以前に短期間ですが日本語を教えていた中国人の若者と会ってきました。何故上海で会ってきたのかというと、ちょうど彼も明日の便で念願の日本留学へ出かける予定で出発前夜の今日に上海へ来ていたからです。

 彼の来歴は以前の記事でも書いていますが、月曜から日曜まで週休1日すらない現場をフルタイムで働きながら勉強し続け、YMCAの派遣で日本への留学機会を得ていました。私とはたまたまバスで日本語を話していたら声をかけてきたことから出会い、自分も中国の若者がどんな生活をしているのか気になっていたので就業後の時間を使って週一のペースで一時期日本語の授業を行っていました。
 彼が昆山での労働契約を終えてからはたまに電話で連絡を取り、一度上海近郊に来た際には時間を取って上海を案内してやりましたが、聞く話はどれも日本では考えられないというか、先ほどの週休のない勤務といい、昆山を離れてからは山東省で日本語教室に通いながら時給300円程度のバイトをしていた話といい、これだけの環境にいながら中国の若者は必死に勉強するものかとつくづく頭が下がりました。

 先月に連絡を取った際は留学ビザがなかなか下りないと愚痴を言っていたものの、先日ついに取得することができと報告があり、明日からはいよいよ日本留学へ旅立つ予定です。今日は上海には長くとどまれず30分程度しか話が出来ませんでしたが、所持金は20万円とのことで、「初めの一ヶ月はこのお金で生活し、それ以降はバイトをして生活を得なければならない」と、あまり悲壮感を感じさせない顔で言っておりました。行先は福岡の日本語学校とのことですが、「何かあればすぐ連絡するように。俺の出来る範囲で支援する」と言って、別れました。

 やや持ち上げ過ぎな気もするもののこういう風に頑張っている人間こそ世の中で評価されるべきだし、その苦労が報われて欲しいものです。本人も日本語を覚えて、日本の大学を出て、日本の会社に勤めたいという希望を持っており、その希望が叶うことを私自身も陰ながら祈っております。

2015年10月13日火曜日

この一週間の予定

 また長くブログの更新をサボりましたが、決してダラダラ過ごしていたわけではなくそれなりに予定をこなしていました。そこで今日は今日までの帰国一週間の予定と何していたかについて簡単にご紹介しようと思います。

  10月5日
 飛行機で昼過ぎに羽田空港に到着し、そのままマッドシティにある潜伏地へゴー。潜伏先で携帯電話の充電を終えてあらかじめ友人に受け取っておいてもらったASUSの「memo pad」を開きあれこれアンドロイドの設定などを行う。
 そうこうしているうちに夕方となり、あらかじめ約束していた新宿で友人二人と合流してご飯を食べに行く(この時の詳細はこの記事で)。なお夕食後にバーへ行ってそこでも話し通しましたがその際に、「日本は時間がコマ切れだから急がされる。一つ地下鉄なり山手線はきた列車から乗れとばかりに運行ダイヤを廃したらどうだ?」と提案した所、「そんなことしたら西村京太郎先生の仕事がなくなる」という、友人からのツッコミがこの夜のベストツッコミでした。

  10月6日
 朝一で六本木にある中国領事館に赴きビザの更新を申請する。申請自体は滞りなく通ったが中国領事館は前週から中国の祝日休暇となっていたため来館した人数が多く、自分が到着した時刻でも行列が長くできていたが、自分の後にはもっと長い行列が出来ていて間一髪であった。その後本社へ行ってストレスを溜めた後、潜伏地に戻り買い物や部屋の掃除、漫画喫茶などを行った。

  10月7日
 朝一で六本木にある中国領事館に赴き更新したビザがついたパスポートを受け取る。その後、急いで地下鉄にまた乗り込んで横浜へ赴き、すいかさんと約束していた映画「日本のいちばん長い日」を鑑賞。本木雅弘氏が演じる昭和天皇の発音が玉音放送で聞く天皇の発音に即しており大いに唸らされた。
 鑑賞後、すいかさんとランチ。関内近くにある「コーヒーの大学院」というお店をすいかさんから提案されたがすいかさんが地図を読めなかったので自分が調べて辿り着く。お店ではハンバーグ定職を頼み、すいかさんからは猫の写真集2冊、自分からはすいかさんの子供たちへ「これ読んでいい大人になれよ」と言って「水木しげる伝(上・中・下)」を互いに贈る。

  10月8日
 朝一で新幹線(こだま)に乗り静岡県掛川市へ。掛川駅に到着したところでかねてから約束していたようにリツアンSTCの野中社長へと電話をかけたが何故かつながらず、しばらくした所で同社の社員から電話があり、「社長が昨夜、飲み屋に携帯電話を忘れたのでこれから迎えに行きます」との連絡。その後は無事に合流できて、野中社長ともうなぎ屋で無事初対面を果たせた。
 野中社長とは人材派遣業界についてみっちり話し合い、この内容はまた後ほど記事にまとめる予定です。ただこの日はその後が本番で、伝手を通してアポを取っておいた、元日本赤軍であさま山荘に立てこもったメンバーとも直前まで一緒に行動を共にしていた植垣康博氏が静岡で経営しているバーで本人と短い時間ですが会ってきました。
 なお植垣氏は「レッド」という、連合赤軍を描いた山本直樹氏の漫画にて「岩木康広」という名前で出てくるキャラクターのモデルです。この漫画の実質的な主人公として描かれておりますが、話を聞いたところやはりというか山本氏から直接取材を受けており、「きちんと事実に即して描いてくれている」とその内容にも満足げでした。

  10月9日
 前夜、植垣氏と会った後は名古屋の親父の家に11時半ごろに到着して泊まり、この日はその名古屋から朝一で京都へと向かう。京都駅前であらかじめ約束していたブログの読者と会う。以前からメールをある程度やり取りしていたこともありすぐに打ち解け、お互いカレーが好きだということから京都駅内のカレー屋でご飯食べた後、「リプトン」でお茶をしながら話し続ける。その後、東本願寺を見てから今度は七條烏丸にある「珈琲館」でお茶しながら話し続け、夕方に分かれて今度は大阪梅田へ向かう。
 梅田で今度は大学時代の後輩と数年ぶりに再会。お互いに梅田地下街で積もる話をしつつあれこれ話したが、この日飲んだ大阪の地ビールがやけに回って後半は結構しんどかった。その後、後輩と別れて今度はその晩の宿泊先に当たる後輩の家へ向かう。
 こっちの後輩とはしょっちゅう会っていることもあり積もる話はなかったが、タブレットPCを「memo pad」に買い替えたため不要となった「Nexus7」をあげたところ大いに喜んでくれて、「これで出張先でもD○○の動画が見放題だ!」などと言っていたあたり、あげて本当によかったなぁと思いました(^_^)

  10月10日
 後輩の家を朝一で出発し、後輩と共に喫茶店でモーニングを食べる。この際、自動車に興味を持ち始めていた後輩に昨今の自動車市場について少し解説する。
 モーニングを食べて後輩と別れた後、梅田の新阪急ホテルで友人の結婚式に出席する。友人夫婦とは以前にも上海を案内したこともあって友人の奥さんとも面識があり、「前上海で来られた時の中華式大学芋の食べっぷりは忘れていません」といったら、「はよ忘れて」と言い返されました。また一次会終了後にも、「今日は一段とおきれいでしたよ」と言ったら、「今日は?」と聞き返され、「こりゃ失礼、毎日おきれいでした」と謝ったら満足そうでした。
 この結婚式で大学卒業以来会っていなかった旧友二人とも再会。 この友人二人して、「安定を求めたら花園君じゃないよ」と言われ、大学時代からそんな風に見られてたんだなぁと再認識しました。
 一次会を 終えた段階で新幹線に乗り、夕方にまた名古屋の親父の家へ戻る。その後は親父の家の近くにある和食屋でメシ食って、親父にパズドラの攻略法を教えて就寝。

  10月11日
 親父と共にレンタカーのレヴォーグに乗り伊勢志摩へ旅行に出かける。行程距離はそれほどなく、道中で伊勢うどんを食べて、夫婦岩を見てホテルに着。伊勢神宮は以前にも言ったことがあるので今回は省いたが、伊勢神宮以外の観光地が三重県にはなくかなり時間が余ってしまった。ただこれまでの疲れが出たのかホテルに着いた段階で体力が尽きてすぐに昼寝に入り、起きた時にはクライマックスシリーズの試合が終盤に入ってたのでセパ共に観戦した。
 直泊まったホテルは「ホテル近鉄 アクアヴィラ伊勢志摩」だったが、施設は新しく、また料理が非常においしくとてもいいホテルだった。

  10月12日
 ホテルをチェックアウトして、親父と一緒に近くにある奈良の室生寺に向かう。途中、ナビがいい加減な案内するので無視して進む、正午ごろに到着。ちょうど地元のお祭りがやってて人も多く来ていたが、通常通りに参拝して真面目にこのところついてない気がするから邪気を払うよう祈ってから出て、後は名古屋へ一直線。
 名古屋の親父の家について荷物を整理し、クライマックスシリーズを観戦して晩飯を食べた後はそのまま駅に向かって東京へと戻る。

  10月13日
 午前に漫画喫茶で読み切れなかった漫画(「食戟のソーマ」など)を読み、午後からは部屋の掃除。潜伏地の管理は友人に任せていたが、なんかいろいろ気になって結局半日も掃除に費やして今このブログを書いている。この後約束している大学時代の友人と上野で会って、明日はまた中国へと発つ予定です。さて、準備して電車のらんと。

2015年10月10日土曜日

もうしばらくお休み

 現在日本に一時帰国中で、更新もややしづらい状況です。明日以降ももうしばらくこちらのブログ更新はお休みし、多分火曜あたりから再開します。

2015年10月7日水曜日

第三次安倍内閣の布陣について

 この二日間あんまり寝てなくて、明日はまだゆっくり午前は過ごせると思ってたら電車の時間確認したらまた8時過ぎにはすぐ出ないといけないことが分かったので、今日はさらりと政治記事書いて寝ます。出来ることならもうちょっと部屋の中を掃除しておきたいのですが……。

1億総活躍、年内に具体策=TPPで補正検討―第3次安倍改造内閣が発足(時事通信)

 今日のニュースはノーベル賞の梶田さんとこの内閣改造がメインでしたが、こう言ってはなんですが大きく取り扱い程の改造でもなかったなぁというのが私の感想です。というのも厚生大臣や外務大臣、財務大臣といった主要閣僚はほぼすべて留任で、逆に誰がやっても同じであるような軽量な閣僚に新大臣が置かれ、党内の各派閥に配慮した上で大臣経験を踏ませる目的の改造だったのではと一見して思いました。

 中でも注目はほかのメディアでも大きく取り扱われている1億総活躍相(加藤大臣・新設)で、 名前からして一体何をするのかもわからないし、こんな役職に大臣を置く必要があるのかという疑問を覚えざるを得ません。そもそも前回から置かれている地方創生相(石破大臣・留任)もこれまでどういった実績があったのかいまいち見えて来ない上、名称から伺えるこの二大臣の担当分野が被っているようにしか見えないことを考えると、無駄にポストを増やしているだけではないのかという疑念を感じます。

 もっともそんなことを言ったら環境大臣、沖縄北方担当大臣、復興担当大臣などのポストも置いておく必要があるかと言ったらそんなことはないと言いたくなる大臣ポストです。実際これらの大臣にあてがわれる議員は従来から女性が多く 、単純に箔をつけさせるためだけのポストに成り下がっているように見えます。特に沖縄北方大臣は本来ならば普天間基地問題に正面から取り組むべき役職に見えるのですが実際はさにあらず、結局一番力のある菅官房長官が対応を続けているのが現状でポストってなんだろうと私以外にも疑義を呈す人がいてもいいと思うのですが、こちらもさにあらずです。

 最後に各大臣の人選の関しては最近それほど勉強していないのもありますが、特に何か言いたくなるような人はいません。強いてあげればあまり仕事もしていないようだし麻生氏は財務大臣職を下ろされると思っていたら留任したのがやや意外だったのと、岸田氏が予想通り外務大臣を留任したことです。
 これは私の勝手な予想ですが、安倍首相の意中の後継はこの岸田外務大臣の様に思えます。でもこの人を見ていていつも思うのは、「孤独のグルメで主演やってる人となんか似てるよなぁ、雰囲気とか」という感想で、一回でいいから場末の食堂でモリモリ飯食ってくれないかなと密かな気体を抱いています。