左から「J-20」、「J-31」、「タイフーン」、「MiG-29」、「F-16」
(全長:20.3m、16.8m、15.9m、17.3m、15.0m)
前に書いた
「でかっ」って記事で、中国の自称ステルス戦闘機J-20がやたらでかいということを、他の機種のプラモと比較して紹介しました。上の写真は今月、新たに我が家で生産した「J-31」をさらに加えた物です。
それにしても改めて見るとタイフーンのがMiG-29より短いんだね。前のJBpressの記事に「ミグみたいなちっさい飛行機をJ-20との大きさ比較に使うのは不適当だ」とか抜かす奴いたけど、タイフーンより長いし、あと世界のベストセラー機はさらにちっさいF-16であることを考慮すると、決して不適当とは思わないというか、基準のはっきりしない批判だなと思います。
J-20については上の写真からも見てわかる通りに、世界の主要機種と比べてもその大きさはやはり群を抜いています。ただ、ベースというかコピー元のF-22の全長も19.6mと大きく、J-20がでかいというよりかはF-22がでかかったせいと考えるべきです。
J-20とJ-31の比較
改めてJ-31
言っては何ですが作っててJ-31は割かし楽しかったです。如何にもというべきオーソドックスな形していて、バランスの良さを感じます。ちなみにウエポンラックは機体本体の腹の中に収納されており、このトランペッターのキットでは収納部も再現されてて、開いた状態にすることも可能です(J-20も同じ構造だが再現はされてない)。まぁ開いたまんまだと内臓飛び出ているような感じするので、私は接着剤で固めて閉じちゃいましたが。
なおキットの良さで言えばJ-20に軍配を挙げます。作っている最中はその構造に終始驚かされましたが、出来上がってみると初めから真っ黒ボディで見栄えが良く、また尻尾の先のエンジンノズル用に銀色したデカール(シール)が付けられてて、これだけでも見栄えがかなり変わります。
と、期待の新星J-31についてつらつら語ってきましたが、今日の主役はこいつじゃありません。
上の写真は2週間前に作った
Su-34ことフルバックです。名称こそ違えど、ロシアが誇る
Su-27ことフランカーの姉妹機の一つで、細部に違いこそあれど基本設計や大きさは同じで、シートが複座になってるところが異なっていますが、普通にこっちもフランカーと呼んでも差し支えないと思います。
このフランカーについても
以前、同時期に開発されたMiG-29とのあまりの待遇の差、具体的にはMiG-29がフランカーに比べダメな子扱いされた経緯を書いた上でこいつのことをでかいのに機敏に飛ぶことから「動けるジャイアン」と書き、ミグをいじめる悪者のように紹介しました。
しかしあの記事書いた後、その最大の特徴ともいえるコックピット周辺の盛り上がったくびれなどが段々格好良く思えてき、なんかミグに浮気している気もしましたが結局こっちも買って作ってみました。結論から言うと、買ってよかったです。いろいろ気づけたし……。
改めて、最初の比較写真にフランカーを追加したのがこちらの画像です。見て分かる通り、でかいでかい言ってきたJ-20よりもさらに二周りくらい行くでかさです。スペック表によるとこのSu-34の全長は23.4mで、大本のSu-27は21.9mなのでベースからはややでかくなったという計算になりますが、これは後部のスラスターの間にある謎の尻尾こと後方レーダーが延長したためで、機体本体自体はさほど変わってないと考えられます。
なおコックピット周辺のくびれともども、この長く伸びた尻尾もフランカーシリーズの代表的特徴です。艦載機のSu-33ことシーフランカーは搭載スペースのためか、ハムスターみたくちっちゃくなってますが。
MiG-29、Su-34、J-20の比較
手前が MiG-29、奥がSu-34 (なんか遠近おかしい)
上の構図を正面から撮ったもの
写真を見ればわかる通り、フランカーはめちゃくちゃでかいです。機体全体はもとよりノーズ、翼、武装のどれもが他の戦闘機を凌駕しており、でかすぎるせいかカメラのフレームにうまく収まらず、写真撮るのに結構苦労しました。
手前がF-16、奥がSu-34(これも遠近おかしい)
仮に自分がF-16とかミグに乗ってフランカーと空で遭遇した場合、まず相手に強い恐怖を感じ、逃げ出したくなると思います。そう思うくらい機体のサイズでフランカーは他を大きく突き放しており、それでいて機動性に関してはミグ以上、っていうか現時点でも世界トップというくらい機敏に飛び回れると言われ、反則としか思えない機体です。
先ほどにも挙げたコックピット周辺のくびれについてよくネット上でフランカーは「エロい」と表現されており、なんとなく言いたいこともわかるし自分もそれにつられてプラモ組んでみたところがあります。しかし写真で見るのと実際作るのでは違うというかやっとわかったというか、そのあまりのでかさから作る前に持っていたワクワク感というかカッコよさを追い求める心は組み上がった後には一気に吹っ飛び、「なんなのこのでかさ……(;´Д`)」という、恐怖心のような距離感を覚えました。
敢えて女性に例えるとしたら、MiG-29は「如何にも普通っぽくありながらきちんと自立した個性もあるかわいらしい女の子」だと感じるのに対しフランカーの方は、
「美人でグラマーなんだけど体のあちこちでかすぎて逆に引いてしまう金髪の欧米人」のようなイメージを持ちます。
一応言っておくと、現代戦闘機のサイズとしてはやはりタイフーンとかMiG-29くらいのサイズが一番多く、これらを中型機として取り扱うのが適切だと私は考えます。その点からすればJ-20はやはり大きなサイズの機体だと言えますが、フランカーシリーズに関しては
どれももはや規格外と言いたくなるサイズで、大型機に含むかどうかじゃなく別枠としてみるべきというか次元の違う存在のようにすら感じます。っていうかでかすぎてプラモの置き場所にも困るくらいだし。冷蔵庫の上ももう満杯だよ( ゚Д゚)
作る前まではそのフォルムの美しさから浮気しかけましたが、やっぱり自分にとってのベスト戦闘機はMiG-29であることが再確認出来ました。やはり写真とかスペック表だけだと全然イメージできませんが、プラモで作ってみるとこの辺の大きさの感覚は非常につかみやすく、いろいろ作ってみてよかったと思います。
前に書いたJBpressの記事にも今日写真に出したプラモとか出していますが、内心この記事は軍事評論記事において結構革命的だったんじゃないかと後から思えてきました。模型とはいえ、異なる戦闘機の機種を同じフレームに並べで表示(現実にはまず不可能)することでその違いを比較しやすく、また構図も自由に選べるだけに、実機の画像ではできない解説や紹介もできるようになると思えます。CGとかでもできなくはないですが、それよりもやはり模型の方がメリットが多いでしょう。
なるべくミリタリーに興味を持っていない層向けとしてこうした試みというか暴挙をやらかしましたが、ライト層への解説という意味では模型の使用は悪くない手段だと思います。おかげというかアクセスは割と好調なようで、個人的にも自信を取り戻すいいきっかけになりました。
ある程度現代で主要な機種は今回のSu-34の生産でカバーできたため、プラモづくりは新たな連休が来るまでは一旦ストップする予定です。まだ情熱が残っていたら、今度作るとしたら単発クローズデルタという割と変わった造形しているJ-10辺りを考えてますが。