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2024年7月29日月曜日

桜田門外の変に参加した薩摩藩士とだんドーン

 「ハコヅメ」でおなじみの奏三子氏の幕末漫画「だんドーン」の4巻がこの前発売されて読みましたが、よくもここまで桜田門外の変を掘り下げたものだと感心して読んでました。特に、この桜田門外の変に水戸藩士に紛れて薩摩藩士が一人だけ参加していたということは知ってましたが、その人物がどのような人物であったのかを、この「だんドーン」で初めて知りました。

有村次左衛門(Wikipedia)

 その唯一の薩摩藩士が上記の有村次左衛門で、負傷した井伊直弼を駕籠から引きずり出し、彼の首を取ったのも彼だったそうです。私はてっきり水戸藩士の参加者と仲の良かった薩摩藩士が助っ人的に参加したのだとかねて思っていましたが、実際には島津斉彬死後の調停工作で薩摩藩と水戸藩がタッグを組んでいた際、連絡役などで両藩の仲介となっていたのが彼だったそうです。そうした縁からこの桜田門外の変にも参加したとのことでしたが、まさか井伊の首まで取っていたとは。

 それでこの「だんドーン」の襲撃シーンですが、非常に迫力のある重苦しさが強い仕上がりとなっています。守勢の彦根藩士らの奮戦ぶりもしっかり描いており、手や指が切り裂かれるシーンなども実際の襲撃場面をしっかり研究して描かれているように見え、「大老の井伊が暗殺された」という教科書の中では字面だけの場面がこれほど迫力ある場面だったとはとこれまた感心させられました。

 中でも、水戸藩士らに囲まれる中で井伊がいる駕籠を孤軍奮闘とばかりに彦根藩士が守る中、上記の有村次左衛門が示現流ならではの咆哮を挙げて襲い掛かるシーンは見ていて強い恐怖感をこちらも覚えました。
 知ってる人には早いですが、薩摩藩士が習っていた薬丸示現流という流派は、一太刀目でで必ず相手を殺せるよう全力で振りかぶる剣法で、外したら隙が多いものの、下手に受け太刀したら刀ごと真っ二つにされることもあったという防御を捨てた捨て身剣法として有名です。しかもそんな全力斬りを例の「キエー」という奇声とともに振りかぶってくるのだから、相手からしたら恐怖以外の何物でもないでしょう。

 しかもこの桜田門外の変では乱戦入り乱れ、襲撃側も同士討ちするなど現場は非常に混乱していたそうです。そんな乱戦の最中、奇声挙げてこっちに大きく刀を振りかぶってくる示現流の使い手を前にしたら自分だったら逃げ出すと思います。このあたりの示現流の使い手の恐ろしさが「だんドーン」では非常にうまく描かれており、実際に単行本の作者コメントによると「実に立派な襲撃でした」などと水戸藩士のようなメールが送られてきたそうです。

 その作者の奏三子氏自身もこの回で、「これからが維新の始まりだ」ということをにおわせるセリフを入れています。「ハコヅメ」の時も思ってましたが変なところで凝り性で手を抜かない人のようで、歴史考証やストーリー構成が非常によく練られており、「陽気な人斬り半次郎」こと桐野利秋も次の巻から登場するとのことなので非常に楽しみです。
 ちょっと大げさかもしれませんが、非常に構成が優れるだけに将来大河ドラマの原作に使われるかもしれません。

2024年7月28日日曜日

「報われたい」と思わない精神

 先日、前から気になっていたタフシリーズだけど巻数多くてこれから追いかけるにはきついなと思っていた矢先、聖人キャラと呼ばれる主人の父親でおとんこと宮沢静虎が主人公との外電作品「オトン」だと2巻しかないことに気が付き購入して読んでみました。元々、作者の猿渡哲也氏については迫力ある筋肉の描写はすごいと思っており、この外伝作品でもその個性がはっきり出ていて非常に楽しめました。
 何気に猿渡氏については、平松伸二氏のアシスタントになる際に持ってきたスケッチブックに、いろんな角度や形をしたたくさんの「手」しか描かれていなかったというエピソードが今でも強烈に覚えています。

 話を戻すとそんな普段はさえない銀行サラリーマンに見えて、いざバトルとなったら物凄い容赦ないおとんですが彼の名言にこんなのがあります。

「他人のために何かをやったとしても、決して見返りは求めるな。 もし、それを望んだらその瞬間、お前の行動は醜悪なものになる。」

 実に名言この上なく誰に対して伝えても恥ずかしくない言葉で、見返りではなく自己実現、「自分がそうしたい」からを行動原理にしろと息子である主人公に伝える際の言葉だそうです。
 この言葉を聞いてもう一つ自分の頭に思い浮かんだ言葉として、見出しにも掲げた「報われたい」という言葉です。結論から言うと「報われたい」と思った瞬間、その時点でその行動は本人にとって望ましくない行動になるという風に思います。

 人間誰しもギブアンドテイクというか損得勘定で行動を決めます。何故その行動を取るのかというと自分にとってメリットがあるからで、わざわざデメリットがあること確実な行動を取る人間はまずいません。ただその損得勘定については人によって個人差があり、目先のメリットのみ追及する人もいれば、長い目で見てここで泥被った方が後々有利になると考える人もいれば、自分が強い責任感を持ち続けることによって最終的にメリットが得られるとひたすら耐える人もします。

 そこへきて上の「報われたい」ですが、この言葉の意味としてはこれまで継続、積み重ねてきた行動が今は価値を生まないけど今後しっかり価値を生んでほしいという願望にほかなりません。さらに掘り下げるとこの「報われたい」と考えた時点で、恐らくその行動はその人にっては「本音ではもうやりたくない」という行動になり下がっているものと思われます。
 そのように踏まえると、この言葉が発する心理状況はすでにギャンブル依存症などと同じく「サンクコスト」と呼ばれる心理に近く、「これまでコストを支払ってきたんだから取り返すまではやめられない」という状態にあるのではないかと思います。具体的には、資格試験の勉強を何年も続けてきたけどずっと受からない、同じ会社にずっと働き続けたけど自分の思うように評価されないなど。

 こうした状況で「報われたい」と思った時点で、すでに支払ったコストを取り返せるような恩恵が得られる可能性は低くなっていると思います。であれば、過去のコストに関しては損失としてしっかり認識し、現状の自分にとって何が最善の行動となるのか、改めて見直してみた方がずっといい気がします。「今更仕切りなおせない」という人もいるでしょうが、伊能忠敬だって40代から勉強し始めたのだし、何かを始めるのに遅すぎるということは実際にはほとんどないと私は思います。

 以上を踏まえてさらに付け加えると、「報われる」という言葉は一種の呪いのようだと思います。「頑張ってれば報われる」と言いますが、努力の方向性が間違っていたらそんなこと起こるはずないし、事の成否は運の要素も絡み、努力が正しくても報われない現実というのは確実にあると思います。
 たとえ報われない可能性があったとしても成功に向けて努力し続けたいという精神は崇高で立派であるし、そうした行動は成功を掴めなくても、その本人にいろんなものを残すと思います。しかし途中で、「まだ報われないのか?」などと思った時点で、もはや本人が「やりたい」という気持ち以上にこれまでのコストから「今更やめられない」という状態に至っている可能性が高く、「いつか報われる」という言葉というか概念に引っ張りまわされているような状況に陥っている可能性が高いでしょう。

 そういう意味では冒頭のオトンの言葉じゃないですが、「いつか報われることを夢見て」という概念は根本から持たない方がいい気がします。以前からも言っていますが、将来よりも今を必死で生きる方がもっと重要だし、今を真剣に生きることでかえって将来が開かれると私は思います。なので「報われる」というのは、あまり多用すべき言葉じゃないのが結論となります。

2024年7月27日土曜日

中国の妙な検閲基準と違和感感じる幽霊の描き方

中国で『リメンバー・ミー』上映禁止、しかし検閲官が大感動して上映OKに(THE RIVER)

 上の記事によると、ピクサーの「リメンバー・ミー」という映画は幽霊がわんさか出るので中国では本来検閲ではじかれるところ、内容を確認した検閲官が「めっちゃええやん」と判断して逆にプッシュされる形で公開に至ったとのことです。事の真偽はどうあれ、「幽霊が出る」というのは実際に中国の映画やゲームの配信において弾かれる要素で、その理由について中国人の同僚に聞いたら、「非科学的だから(´・ω・)」とのことでした。
 なら気功使う拳法家とかはありなのかよという気はするんですけどね……。

 しかし、実際には中国で制作される時代劇などのドラマでは普通に幽霊が出てきます。中国版大可越前こと包公(パオコン)の話でも、幽霊相手に裁判するという話もあり、上記の検閲規定に引っかかるのではないかと思いました。その点についてもまた中国人の同僚に話を聞いたら、「中華人民共和国の建国前だからそれはいいの(´・ω・)」とのことでした。
 いや、原作が建国前だったら現代でドラマ化していいとかいい加減過ぎないって気はするんですけどね……。

 ちなみ「非科学的」という枠の中には「人語をしゃべる動物」も当てはまるそうです。なので海外の映画で人語をしゃべる動物が出たら「あれ宇宙人だ」という解釈で検閲をパスするそうです。なので、ポケモンとかも宇宙人扱いになっていると推察されます。
 ってか、幽霊には厳しいくせになんで宇宙人にはやたら寛容なんだよ、宇宙人の存在なら科学的なのかよって気もしてくるけど。

 それはともかくとしてちょっと前から思っていた点として、日本人と中国人で創作における幽霊の描き方が大きく違うことに最近気づいてきました。元々学生時代に、前述の包公に関する説明文で「しかし彼の裁判には日本人にとってはやや違和感を感じる、幽霊なども裁判に参加する場面が登場する」という記述を見ていたのですが、これを見たときはそこまで気にしなかったものの、最近になって中国人が描いた漫画などを見て、その幽霊の描き方に物凄い違和感というか率直に言って受け容れづらい感情をはっきり覚えました。

 具体的にどう違うのかというと、基本的に日本の幽霊はまずまともなコミュニケーションが取れないのが普通です。守護霊なんかだとまだ会話できる奴もいますが、その姿は守護対象者にしか見えないなどごく限られ、あくまで陰の存在として縁の下の力持ちに徹します。一方、怨霊に至っては仮にその姿が見えたとしてもまともな会話はまず成り立たず、それどころか恨みの対象だけじゃなく無関係にに襲い掛かってくるバーバリアン的な特質も持ちます。こんな感じで日本の幽霊は、まともにコミュニケーションが取れず交渉はまず不可能で、畏れ、触れないべき存在として描かれるのが普通じゃないかと思います。

 それに対し中国の幽霊ですが、マジで日本と真逆です。普通に一般人もその姿を視認することができれば会話もまともにでき、それ以前に誰も相手が幽霊だと思わずに接しているというパターンが多いです。幽霊の側も普通に職を持って働いてたりすることが多く、何かをきっかけに同僚に「実は俺って幽霊なんだよσ(゚∀゚ )オレ」的にフランクに正体ばらしてきたりもします。
 日本人的には、「そんな幽霊がいるか!」と思わずにはいられません。

 まぁ上の例は極端なものですが、どっちかっていうと僧侶や占い師などあまり目立たない職業についていて、主人公らに密かに助言したりする立場で幽霊キャラは登場してくることが多いです。でもって後半に入って「なんであなたはそんなに何でも知ってるんですか。は、まさか!?」的に幽霊だとわかるパターンが多いのですが、日本みたく足が見えないとか姿がすすける、影がないといったテンプレ特徴を欠いていることが多く、日本人的に言えば「幽霊らしくない」幽霊が本当に多いこと。

 自分の感覚で語ると、中国の幽霊は死を超越した仙人的な立ち位置で描かれることが多いのに対し、日本の幽霊は現世から切り離され、親類などごく一部のインナーサークル内にしか影響をもたらさない人格として描かれており、端的に言って存在感に大きな差があります。なので日本人からしたら、「幽霊がそんな堂々としていていいのかよ」という違和感が常にまとうため、確かに中国の捜索における幽霊の描き方にはついていけない日本人が多いのではと思います。

 この辺、むしろ日本人的には西洋の幽霊や霊魂の方が感覚的に身近であるような気がします。あっちもごく親しい人の前にしか出ないことが多いし。
 そう考えると冒頭に描いた中国の「科学的」って概念も若干疑問というか、もしかしたら自分の考える「科学的」とは違った意味なのかもしれない。

2024年7月24日水曜日

日本の未来を暗示させるユニバース25

 やはり自分の体はお米が合っているのか、さっきへとへとで食欲ないから自宅で冷凍チャーハン食べたら逆におなかすいて、今めちゃくちゃ餓えています。最終兵器のUFOでも食べようかなぁ。ってか仕事忙しすぎ。昨日なんか依頼物差し替えの上に納期短縮を要求されて「なめんなよ(´・ω・)」って相手に凄んじゃったし。


 話は本題ですが、上のカルフーンさんというのは米国の科学者です。なんで急にこの人引っ張り出したのかというと、「ユニバース25」という実験を行った責任者で、上のWikiのページ内にこの実験の内容が書かれてあります。
 そのユニバース25ですが、この実験を私が知ったのは先日もこのブログで紹介したこのところ「竜送りのイサギ」と並んではまっている、生物学大好きっこがうんちくを垂れ流す漫画の「あくまでクジャクの話です(あくまクジャク)」の2巻巻末にて紹介されていたからで、その内容に自分も驚きを禁じ得ませんでした。

 では一体どういう実験だったのかというと、ネズミを使った実験です。この実験では建物内に巣穴と餌、水を完備し大きな空間を用意し、そこに雄雌4組8匹のネズミを放つところから始まります。実験のコンセプトとしては生命の危険のない状態でネズミがどのように繁殖するかを観察することが主眼であったことから、文字通り衣食獣の三拍子が揃った環境を用意したわけです。
 当初、ネズミたちは広いものの閉じられた空間に放り込まれて戸惑いを見せたものの、一定期間を経て慣れると繁殖活動を行うようになり、個体数は日数とともに順調に増えていきました。この空間に用意された巣穴には約3840匹が収容可能であり実験者たちもこの個体数までは順調に増えていき、この数を超えたあたりで領土を巡って血で血を争う戦国時代がおっぱじまると予想していたようです。

 ところが想定外なことに、実験開始から315日目に個体数が約2200匹に達すると、この時点をピークに個体数は逆に減っていくようになりました。同時に、ネズミたちもそれまでになかった異常な行動を取るようになっていったそうです。
 具体的には、巣穴スペースがまだあるにもかかわらず縄張りをつくって他のネズミを追い出すようになったり、親ネズミが子ネズミに虐待を加えたり、同性愛を始めるネズミが出たりしたそうです。それ以上に深刻だったのは、雄が求愛や繁殖行動を取らなくなり、だらだらと生きるだけ、いわゆる食っちゃ寝なライフスタイルを取るようになりました。

 その結果、個体数はどんどんと減少していき、最終的にこの空間にいたネズミは絶滅するに至ったそうです。絶滅直前にこの中のネズミを外に出して別の群れに混ぜても見たそうですが、そこでも出されたネズミは繁殖行動を取ることはせず、その遺伝子を後代に伝えずに死んでいったそうです。

 恐らくほかの人もそうでしょうが、私がこの実験内容を見て真っ先に思い浮かべたのは、少子高齢化でヒートアップしている今の日本の現状です。ある時点をピークに人口拡大が止まり、男性が求愛行動を取らなくなり、虐待事件やニートが増えたりとか、同性愛者が増えてるかはわからないけど日本の現状を見させられているようで、最初は作り話じゃないかと本気で疑ったりもしました。しかし調べてみると本当に行われた実験とのことで、ネズミ社会ですら今の日本のようなことが起こるのかとびっくりさせられました。

 冷静に考えるとそれもそのはずというか、今の日本の少子化現状は何も日本に限らずほかの先進国でもほぼ同様に起きています。米国やフランスなどの克服した国は基本的に移民を入れており、一時は高福祉こそがカギだと言っていた北欧諸国もこのところ少子化が激化しています。
 それらの状況を踏まえると、社会が一定の段階まで発展、成熟すると人口は減少に転じる方がネズミ界同様自然な結果のように思えてきて、仮にそうだとすると、このままいくと日本人もネズミのように絶滅に至るのかもしれません。

 一体何故ネズミ社会が崩壊したのかについては色々意見があり、閉じられた空間だったからとか近親間の繁殖が進んだとかありますが、実験の研究者たちは社会が完成されて社会における役割を持たない個体が増えていくとこうなっちゃうんじゃないのという見解を示しており、自分も何となくそんな感じがします。
 その上で適当なことを抜かすと、食料など生存に不安やストレスのない状況に安住すると、逆にその環境にストレスを覚えるようになるのかなと感じる節があります。こう考えるのは、適度なストレスは程よい緊張感からむしろ心身にいい影響を与え、完全ノーストレスな環境は逆に体に悪いという実験結果を以前に見たからです。

 どちらにせよ、自分が見た中で一番不気味というか変に見直に感じてしまうのがこのユニバース25という実験でした。どっか別の組織が似たような実験してくれないかな。

2024年7月21日日曜日

ロシアの地獄は停戦後より始まる

ウクライナ大統領、ロシアとの交渉示唆 前線の現実とトランプ氏復活の観測で(CNN)

 もしトラ(もしも、トランプが資本論を読んだら)からかくトラ(かくれトランプ油地獄)と呼ばれて久しいですが、ウクライナ戦争にその影響が波及することはほぼ間違いないでしょう。こうした動きを受けCNNも書いている通り、ぜれんすきー大統領も停戦を検討するようになったとのことですが、敢えて違った見方をすると停戦する方がロシア、否プーチン政権に打撃を与えられる可能性もあるだけに、自分も一考の余地があるのではと思えてきました。
 端的に言えば見出しにも掲げた通り、ロシアにとっての本当の地獄は停戦後より始まると思います。こう考えるの領土条件は何であれ、停戦した後からロシアの経済的打撃が本格的に始まり、かえって戦争という大義名分を失い、経済の混乱と矛盾が一気に顕在化するのではと思うからです。

 現在すでにロシアは、欧米各国を中心に経済制裁を受けています。現在まともに取引している主要国としては中国、インド、イランの3ヶ国程度に限られます。
 このうち中国は最近になり、ロシアと取引を行う中国系銀行に対し米国が制裁をちらつかせていることで取引を一部取りやめる動きが広がってきているようです。また仮に制裁を気にしないとしても、中国の不況は今後深刻化するとみられ、そこへきてただでさえ経済が先ゆかなくなっているロシアとの付き合いを続ける場合、その悪影響が中国国内にも広がる可能性があります。具体的には、ロシアの取引先が債務を踏み倒しまくる可能性があり、今後も取引を続けるかと言ったら少なくとも停戦した場合には拡大はしないのではという風に見ます。

 またもう一つのイランに関しては、ここへきて改革派の政治家が大統領に当選しました。これはイラン政府が、恐らくイスラエルの衝突を見て融和外交に切り替える方が無難と判断した結果と言われ、仮にその場合はロシアとの関係が薄まり、米国などと融和路線に転じる可能性があります。
 もっともこの辺はトランプ就任後にどうなるかまだ分からない点がありますが。

 以上のような国際関係に加え、仮に停戦したとしても欧米のロシアに対する経済制裁は継続される可能性が高いというか、確実です。そうなればロシアの経済、特にハイテクや食料関係の輸入が滞り、ロシア自慢の原油プラントもメンテが行き届かずに生産が滞る可能性があります。
 それに加えロシアでは開戦以降、多大な戦死者を出したばかりかエリート人材の国外流出が続いており、国内労働力の空洞化が起こることは確実です。さらに日本を含む欧米からのロシア投資も切られ、あらゆる面で経済にマイナス要素が目白押しです。

 それでも現在のロシアは戦争中にもかかわらず国家としては運営され続けています。ただこれは逆の見方をすると戦争中だからまだ経済が回っているとも言え、軍需を中心に国家政府支出を増やして無理くり回しているようにも見えます。これはつまり、停戦した場合は現在国をまわしている国家支出は抑えざるを得なくなり、仮に無理やり支出しようとしても民生などに回らなくなってその点で国民の間で不満が高まる可能性もあるでしょう。
 もちろんロシアは今回の戦争で失った軍費の補充に動くでしょうが、そもそも主要部品も手に入らない状況では補充しきれない可能性が高いし、仮に補充に動いた場合は国庫の更なる枯渇を招き、財政的にもっとおかしくなる可能性があります。下手すりゃ、一回停戦して時間を置いた方が、ロシアの国家及び軍事面での弱体化も起こるかもしれません。

 ただこれは逆を言えばウクライナにも同じことが言えます。それだけに仮に停戦するとしたらウクライナに対する復興支援が非常に重要になると言え、この復興支援がうまく回れば、ロシアとの差を大きく目立たせ、その後の外交でもよりイニシアチブが握れるかもしれません。
 もっとも今の日本でウクライナにどれだけの経済支援を行えるかは疑問です。端的に言って、もはや日本は経済大国ではなく東洋の不思議な文化国になっており、プラント建設支援とかもぶっちゃけ中国の方が上なんじゃないかとすら思います。
 まぁそれでも、ロシアに対し東西から領土問題を吹っ掛け続けられる共通のパートナーにはなれると思うので、日本政府には今後もウクライナに対する支援を継続してもらいたいものです。

あの濁った中国の空が懐かしい(PM2.5)

 このところ毎週末は仕事が忙しく体調が悪いため極楽湯などのスーパー銭湯に行ってましたが、今週末はいきませんでした。理由は毎回風呂に入るたびにその後猛烈な頭痛に悩まされ、週末のうち半日を頭痛でのたうち回るようになっていたからです。原因は血行不良状態からお湯に入って流れが良くなって老廃物とかが色々廻ってるせいかなと思ってたのですが……。

 そんな感じで、昨日の土曜は風呂に行かずに近くの大型スーパーに昼食と買い物だけ出かけて帰宅したのですが、その後自宅で再び軽度ですが頭痛を発しました。幸い、頭痛薬を飲むだけですぐ解消しましたが、事ここに至って頭痛の原因は風呂ではなく単に日射病であることに気が付きました。そんなに長い間外で自転車こいでいるわけじゃないものの、やはり頭は直接日光にさらされているだけに、知らず知らずに熱がたまって後からヒートアップしてたんだと思います。
 そこへきて、スーパー銭湯では全身の体温も上がるもんだからなおさらアツアツになり、極度な頭痛を起こしてたんだと思います。麦わら帽子とかあんま被るの好きじゃないけど、さすがに検討した方がいいかもしんない(;´・ω・)

 そんな上海の夏の暑さですが、このところの最高気温は大体38度から39度の二択で、最低気温は30度まではいかないものの29度か28度で、一昨年とかに比べれば一段、っていうか1度低い程度です。東京では最高気温35度で大騒ぎしていて、たった数度とはいえ「涼しそうでいいなぁ(´・ω・)」とか本気で思います。マジで35度と39度では差がはっきりわかる。

 あくまで個人的な主観ではありますが、日本と同じく、上海も前はこれほどまでには熱くなかった気がします。詳しい気温とかは覚えていないけど、10年くらい前はもっと涼しく、今のように十数分自転車こいだだけで日射病になるなんてことはありませんでした。気温以上に、日差しが10年前と比べて破壊力が増しています。

 その10年前の上海ですが、今となっちゃもう死語となりつつあるもののPM2.5という言葉とともに大気汚染がもっぱらの話題でした。実際、2014年くらいまでは空は常に濁ってて青空が見えるなんて極端な見方ではなく年に数回くらいだったような気がします。でもって空気も味があるというか、排ガスを筆頭にいろんな匂いが常にしていて、成田に着くや「あれ、空気が味しない!?」なんて本気でびっくりした経験すらあります。

 それがこの10年、具体的には自分も実際にJBpressで記事化しましたが2018年くらいになるとすっかり大気がきれいになって、青空も珍しくなくなり、空気も味しなくなりました。マジで。それとともに、気温は上がり、外出ると簡単に日射病になるなど、夏の厳しさが増してきているようにも感じます。

 思えば自分が子供だった頃も、日本は今ほど空が青くなかったというか空気も汚かった気がします。でもって夏場に35度に到達することはあまりなく、朝方なんかはかなり涼しくラジオ体操している最中に軽く体が震える感覚もあった気がします。何が言いたいのかというと、日本も中国も環境対策越して空気がきれいになった一方、平均気温を高めているんじゃないのかってことです。だって、普通に考えて、スモッグで汚れた空気の方が太陽光が地表に差す前に疎外するわけだし。

 そもそも、環境対策は地球温暖化を防ぐためにいろいろ手をこまねいているのですが、なんか逆に環境対策が進むにつれてどの地域も気温をアツアツにしているような気がします。もちろんさかのぼれば今以上に空気がきれいだった江戸時代なんかは今よりも平均気温が低くありましたが、現代の場合は空気がきれいになったのと、都市化によるヒートアイランドが相乗して気温が上がっている気がします。
 そういう意味では少なくとも中国においては、マジであの濁った空の時代が懐かしいです。個人的にも中国に出入りしたころがまさにあんな感じだったからノスタルジーもあり、濁った空カムバック、ノーモアブルースカイとか叫びたいです。

2024年7月19日金曜日

体操の宮田選手に対する猪瀬氏の反応を見て

・ 【悲報】猪瀬直樹さん、体操・宮田笙子の喫煙疑惑騒動に激怒「たかがタバコ、麻薬じゃない」(暇人速報)

 本日、パリ五輪出場を予定していた体操女子の宮田選手が禁止させられていた喫煙と飲酒をかましていたとのことで出場が見送られることが発表されました。最初は喫煙しか報じられてなかったので上の猪瀬氏や為末氏などから「これくらいで4年に1度のチャンスを不意にさせるのはかわいそう」という声もありましたが、その後飲酒もやっており、なおかつ日本国内のトレセンでも繰り返すなど常習的に規則を破っていたことが報じられるにつれ、「こりゃ出したら駄目だね」的な方向の意見が多くみられるようになってきました。

 私個人としては、成人を含め合宿中に喫煙飲酒をあらかじめ禁止していたとのことだし、なおかつ宮田選手はそもそも期間外も喫煙してはならない未成年であるということを考えると、こうした厳しい処置を取らざるを得ないのではないかという見方を持ちます。これをなぁなぁにする方がかえって問題だし、それこそ五輪が終わった後にこの件で写真とか動画が流出したら今以上の大騒動になること、そして宮田選手がかなり常習的な人間であることを踏まえると、この決断の方が正しいでしょう。

 なお写真か動画で思い出したけど日本でスマホのカメラシャッターを切ると音が鳴りますが、「あれってさ、そもそも動画で撮影すれば音鳴らないし、盗撮防止という意味では無意味だよね(´・ω・)」とこの前同僚が言ってました。
 あと日本で買ったiPhoneを中国にもっていって撮影すると、地域設定によるのか、シャッター音がしなくなるそうです。結構芸が細かい。

 話は戻すと上の猪瀬氏の反応を見て自分が真っ先に思ったのは、「さすが公職選挙法を無視するだけあって、規定に対する遵守意識が低いな」という感想でした。


 もうかれこれ10年以上前ですが、これは彼が都知事をやっていたころに発覚した事件で、都知事選前に徳洲会から5000万円の選挙資金を借り入れたにもかかわらず報告書に記載しませんでした。これはもちろん選挙違反に当たり、発覚当初は「私的な借り入れであって選挙資金ではない」と否定していましたが、今兵庫県知事で話題となっている嘘をついたら偽証罪が適用される百条委員会が立ち上げられそうになるや進退窮まり、嘘ついてたのと違反してたことを認め、都知事も辞任しました。
 まぁ辞任しただけ、兵庫県知事よりマシかもしんないけどさ。

 とはいえこの一件からしても猪瀬氏が遵法遵守意識が低いことははっきりしており、それだからこそ今回の宮田氏の事件についても上のような態度何でしょう。こう言っては何ですが、やはり上の立場に立つべき人間じゃないと思います。


 ただ上記の選挙違反事件に関しては、当時の状況を再現しようと5000万円に見立てた模型を鞄に入れようとして入らないというコントが非常に面白かったです。でもってNHKニュースが何故かこの時の映像を放送終了時にも入れ、下の画像のように「終」って文字を入れたのがシュールで最高に楽しかったです。






 まぁNHKじゃないけど、すでに終わった人間だという風に私も捉えています。さすがにこの人に比べれば、小池知事のがみんなマシだと思うでしょう。