本題と関係ないけどこちらの上原氏と赤星氏の対談が毎回面白くてつい見ちゃいます。練習が厳しすぎて亜細亜大と駒沢大の試合はどちらもイップス発症者が多く、現広島監督の新井氏なんか典型的なイップスだったから試合でサードにバントし続けるという鬼畜な戦術取られてたとかやばいです。
でもって本題動画がこちらとなりますが、本日公開されたホラーゲームの金字塔と呼ばれる「サイレントヒル2」のリメイク版ストーリートレーラーです。あいにく私はこのゲームを遊んではいないのですが日本はおろか世界中で最高級の評価を受け、その評価は十年以上たった今も色あせず、こうしてリメイクが作られるに至りました。
そのサイレントヒル2を含め輸出競争力という観点で見ると、意外と日本のホラーコンテンツ産業は侮れない実力があります。美少女アニメコンテンツとかよりもずっと稼いでいるように思えますし、またソフトパワーという観点でも非常に食い込みがよく、アニメファン以外からも支持を得ている点で範囲が広いように思います。
などと日本のホラーコンテンツにこの前友人との会話から着目した矢先にこのストーリーオレーラーが出たのでこうして書いていますが、そもそもいつから日本はホラー映画やホラーゲームが世界的コンテンツになるほど成長したのか。案外この点は語られることが少なきがします。
敢えて私の独断と偏見で語らせてもらうと、日本のホラー産業の始まりは海外作品の影響が端緒であったように感じます。それは何かというとズバリ映画の「羊たちの沈黙」です。それ以前からもホラーコミックが少女漫画を中心にありましたが、この作品からサイコスリラーというジャンルが日本でも広がり、「幽霊なんかよりも本当に怖いのは人間」というオチをつけたがる日本人に新たな成長の種を蒔いたかのように思います。
こうしてサイコスリラー作品が日本でも模倣的に作られ、またオウム真理教などマインドコントロールを行うカルト団体が世間で認識されるに伴い、漫画や映画だけでなく、ゲームでも述べる系を中心にホラーゲームが徐々に増えていった気がします。具体例を挙げると「クロックタワー」シリーズや、最近はアクション路線に入りましたが「バイオハザード」シリーズなどが代表的で、こうしたホラーゲームが後々海外で稼ぐ下地が90年代中盤からみられるようになりました。
そこへきて一気に日本のホラーコンテンツが花開く作品として、貞子でおなじみの「リング」が1998年に映画化され、大ヒットを飾ります。今になって思うとこの作品のヒットは日本のホラー産業にとって非常にでかかったように思え、前年に同じく映画化された「パラサイト・イヴ」と合わせてホラー小説→実写ホラー映画というコンテンツセットを確立し、その後も同様の工程フローを経たホラーのヒット作品が次々と生まれていきました。今じゃあんまり存在感ないけど、当時は「角川ホラー文庫」こそが角川書店を代表するコンテンツで影響力も強いものがありました。
話を戻すと「リング」、その後に続く「呪怨」などのホラー映画作品のヒットは日本国内にホラー愛好家を増やしただけでなく、ハリウッドでも映画が製作されて「ゴジラ」以上に大ヒットを決めるなど、一気に日本製ホラーが海外で売れるようになりました。これ以降は明らかに海外で売ることも視野に入れてホラー作品が作られるようになり、また実際にヒットを連発し続けるになって、日本のホラーコンテンツ産業が一躍スターダムになった気がします。
私自身は「リング」の小説については確かに文章が読みやすく展開の運びは非常にうまいと感じたものの、オチがやや突飛だし強引な感じしてあまり好きではなく、ヒットの要因はどちらかというとあの貞子のビジュアルを映像化して再現した映画関係者による貢献が大きいと考えています。ただそんな私の評価は別として、日本製ホラーが海外で花開く嚆矢となったのは間違いなくこの作品であり、その点で言えばオリジネーターとしてもっと評価されてもいいとすら感じます。
話を続けると、その後にPS2が発売されてゲームのグラフィックが強化されると、ホラーゲームでも国内外でヒットする作品が連続します。その代表こそまさに冒頭で挙げた「サイレントヒル2」で、舞台が米国であるためか欧米に受け容れられやすく、こちらもハリウッドで映画化を果たしています。
また舞台も世界観も完全に和というか日本色の強い作品であるものの、自分もよくやっていた「零」シリーズも海外でヒットを飛ばします。無論、この間も先に挙げた「バイオハザード」シリーズは売れ続け、今日に至るまで派生作品が出続けています。
ただ大体時期にして00年代中盤、PS3が出たあたりから映画でもゲームでも国内外で高い人気を得る新規のホラー作品が急にでなくなってきたように思います。先述の角川ホラー文庫も存在感をなくし、「この夏絶対に見逃せない」的なホラー作品もなくなって「サマーウォーズ」とか「君の名は」などのアニメ作品の方が夏に強くなってきました。でもって「サイレントヒル」も「零」もシリーズがその後打ち切られるし。
一応、ホラーゲームとしては今でも日本は結構作られていますが、そのどれもが同人、インディーズゲームで、一般のゲーム会社がプロモーション込みで作る作品は本当に見なくなりました。今やホラーゲームはインディーズが主体で、「青鬼」などをはじめ映像化を含むマルチメディア化される作品もありますが、往年と比べるとその勢いには陰りが見えます。
なんでホラー作品が前ほど親しまれなくなったのかに関しては、ホラーというよりグロ系作品が増えたからという意見をよく見ますが、理解できないほどではないものの本当にこれなのかという一抹の疑問を私は覚えます。かといってほかにめぼしい理由があるというわけでもなく、単純にコンテンツとして飽きられた、映像が鮮明じゃなかった昔の方が恐怖感を煽れた、粗製乱造による質の低い作品が溢れたなどの複合的結果なのかもしれません。
そう思うと90年代後半から00年代中盤までの10年足らずの間が日本のホラーコンテンツの短い黄金期だったと言えるのかもしれません。なかなか特殊な時代を過ごしたものだと、今更ながら感じ入ります。
ちなみにトイレでは幽霊を見るよりも水が流れないことに恐怖を感じる私が心底怖いと感じたホラー作品は、ちっちゃかったせいもありますがスーパーファミコンの「弟切草」と「学校であった怖い話」、セガサターンの「ディープフィアー」、漫画だと「殺し屋イチ」とかが挙がってきます。押切蓮介氏の「ミスミソウ」は全く怖くなく、「サユリ」は1巻だけならやや怖いと感じました。伊藤潤二氏の「富江」は不気味さを感じましたが恐怖はそこまでありませんでした。
ああそうだ、近年は海外で売れるホラー作品が減ったとは言いましたが、伊藤潤二氏は現在絶好調というか海外でも売れまくっています。まぁホラー漫画のくくりでいれば「彼岸島」も入るけど、あれは怖いと思うシーンよりも圧倒的に「そうはならんやろ」と爆笑するシーンの方が多すぎる。
2 件のコメント:
「青鬼」という作品はパロディ先を知った後に、原点である本作を知りました。なお先に知ったパロディ先は「阿部鬼」です。これは鬼役がくそみそテクニックの阿部高和です。 「彼岸島」の作風について「ホラー版キン肉マン」という短文かつ的確な解説を見て思わず笑ってしまいました。
どちらも捕まえた相手を自分色に染めるという意味では同じタイプのゲームですね(ΦωΦ)フフフ…
彼岸島は「バクマン」が提唱する、ガチすぎて逆にギャグになるという笑いを突き詰めた偉大な作品である気がします。もう雅が出てくるだけで笑い取れるなんてずるい。
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