・日本の「過労死」問題が深刻化 女性の過労死が増加(人民網日本語版)
上記リンク先の記事は先週に人民網こと人民日報日本語版で、自殺問題に関しては一家言ある私が見出しを一読してすぐに興味を持った記事です。内容に関しては元記事を見てもらえばわかる、というより見出しだけでも十分わかるでしょうが近年日本では男性の専売特許と見られていた過労死をする女性が増えていると報じております。ネタ元というか出典はどこなのかと見てみたら記事中に、中国でも最強の右翼系新聞社が運営する環球網というサイトが米CNBCの報道を引用したと書かれてあるのですが、ところがどっこい私がちゃんと調べたらロイター発の記事でした。ってかこいつら全員ちゃんと出典元くらい調べろよな。
・Death by overwork on rise among Japan's vulnerable workers(REUTERS)
上記リンク先がロイターの東京駐在記者が書いた元記事で、割かし読みやすい英文なので興味ある方はぜひチャレンジして読んでみてください。私はこのところ毎日仕事で翻訳してるから読みたくなくて斜め読みしかしてませんが。
書かれてある内容は基本的に人民網がフォローしており、記事中に出てくる日本人弁護士の名前もそのままで、この弁護士が手掛ける案件なのかどうかまではわかりませんがかつて過労死案件は95%が男性だったものの近年は女性が20%を占めるようになってきたと書かれてあります。もう一つ女性の過労死が増えている根拠として挙げているデータとしては最終段落にある、
「厚生労働省の統計によると、過去4年の間に、29歳以下のグループを見ると、仕事が原因の自殺が45%増え、女性従業員の自殺件数も39%増加した。」
という記述ですが、取り上げといてなんだけどこのデータはほんまかいなと思う怪しいものです。というのも私がちゃんと調べたら厚生労働省がホームページで公開している自殺統計データは平成15年のしか見当たらず、むしろ内閣府の方が毎年きちんと自殺の統計データを出してます。でもって試しに内閣府の平成27年と平成23年のデータを見比べてみたところ、20~29歳の女性で自殺原因が「勤務問題」に分類されている自殺者数を見たら平成23年が95人だったのに対し平成27年はなんと75人と20人も減ってますっておい、4年で45%増えたんじゃねぇのか!?
という具合で、記事中で引用しているデータの根拠は確認できませんでした。このデータ自体はロイターの元記事にも書かれていますが、ただ単に私が元データを見つけられないのか、それとも引用した連中は誰も元データを確認しようとしなかったのかいろいろ疑問を覚えます。自殺統計データの発行元が厚生労働省ではなく内閣府である点を考慮すると後者である可能性が高いのではと思いますが、いい加減なことばっかやってないでちゃんと仕事しろよと関係したライター共には言いたいです。なんで関係ない私がいちいち検証しなくちゃならないんだろう……。
ただこうしてデータを検証しておきながらですが、あくまで印象論である前提で述べると日本で女性の過労死は増えているのではないかと内心思います。そう思う理由としてはいくつかあり、
1、女性の社会進出はかつてより確実に増えている
2、女性に限らず男性でも鬱になる人が増えていると聞いている
3、日本人が鬱になる理由はほとんど仕事絡み、わずかに介護絡み
4、未婚女性が増えている
5、このところ「女性の貧困」に関する特集記事をやけに見る
一つ一つはともかく上記五つの理由はどれも連関しており、総合的に考慮するならこれでも女性の過労死が増えないってのは有り得ないのではと思うくらいの連荘ぶりです。またただでさえ世帯収入がどんどん下がっている中、未婚女性が少ない収入でやりくりするのも理解できない話ではなく、でもって無理して働いて過労状態になるのも自然な成り行きかなと思うわけです。にもかかわらず何故自殺カウントデータは減っているのかですが、統計上できちんと自殺が認知反映されているかでやや議論の余地があり、また自殺未遂とかも含めるといろいろ変わってくるんじゃないかと思います。あくまで印象論の話として。
でもって一番最初に引用した記事を見た時に私が思い出したのが、ワタミの女性従業員過労死自殺事件です。事件自体はワタミならよくあることかもしれませんしこれが女性ではなく男性だったら大きく報じられることもなかったでしょうが、女性であっても容赦なくブラックな労働を押しつける社会になったということを象徴するような事件だったと今更ながら思います。それだけに、余所でもこういうの起こってそうだし、女性の過労死が増えてると聞いてもそうかもねと思ったわけです。
既に大分詰め込み過ぎな気がしますが最後にもう一言述べると、大本のロイター記事をみると冒頭で「death from overwork」とともに「karoshi」という単語が書かれてあるのにやれやれという気持ちにさせられました。意味分かる人はもう読み飛ばしても構いませんが、欧米人の感覚からすると「死ぬまで働くなんて奴隷でもないのになんで?」という印象を持たれているのかもしれず、そんな概念が初めから存在しないからこそ「過労死(Karoshi)」という日本語の単語がそのまま使われたのでしょう。
この辺の感覚は日本人か韓国人にしか案外理解されないかもしれず、逆に欧米人とか中国人からしたら死ぬような仕事を辞めようともせず続けるのはクレイジーだと思われるでしょう。一般的な日本人の感覚からぶっ飛んでしまった私からしても同じように……と言いたいところですが、さすがに日本出身なだけあって死んでも仕事にしがみつこうとする日本人の感覚は理解できてるつもりです。
おまけ
名古屋に左遷されたうちの親父は私が子供だった頃、文字通り朝から晩までずっと働きづくめだったのでお袋から、「過労死した時の証拠になるから勤務した時間を毎日メモっておいて」と言われてました。当時は何とも思わなかったけど、今思うと随分と血も涙もないことを言われてた気がする。
おまけ2
本当はこの記事は昨日に書く予定でしたが、昨日朝起きたら全身が痛い上に気だるく、吐き気を催すほど体調悪くて断念しました。一昨日までは元気に動き回ってたのに一体何故こうなったのか全く分からなかったものの一応きちんと出社して定時まで働きましたが、同僚からはこのところ残業が増えていることから、「過労では?」と心配されました。なんで過労死に関する記事書こうとしていた矢先に過労疑われてるんだろうと、不思議な気持ちを抱えたまま昨夜は夜8時に布団に入りました。でもって夜中12時に目が覚めるし。
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