ページ

2019年5月28日火曜日

手抜きだったのに……

人件費高騰の中国、いちばん高給取りの業界はどこか(JBpress)

 昨夜は帰宅が遅れ書けませんでしたが、昨日上記記事を配信してもらいました。この記事ネタは前から取っておいたもので、経済記事として普遍的な賃金ネタなら記事の体裁はつくし、いつでもどこでも書けるから苦しい時用のリザーブ要員的なネタでした。
 なのであまりひねりはなく、掘り下げればいろいろひねれるものの今回はこのところマジ忙しかったこともあり、統計データを紹介するだけという自分でもびっくりな手抜きぶりでした。提出時も編集長に、「手抜きでマジメンゴ(・ω・` )スマンカッタ」と本当に書いて送ったのですが、昨日のランキングで終日二位と結構読まれました。正直、トップテンにも入らないと予想してたのに。

 記事内容について少し解説すると、中国の賃金動向についてははっきり言って過去の中国を知っているか否かで見方が変わるでしょう。昔の中国を見ている人なら、「こんなにも賃金は上がっているのか」と驚くでしょうが、昔の中国の賃金水準が分からないといまいちこの実感は湧かないでしょう。まぁそれでも今の水準がどの程度かを知る上では読む価値はあるでしょうが。
 むしろこの記事、ニュース的な価値で言えば末尾の日本の業種別平均賃金統計の方が意味があったりします。記事中でも書いていますが、この統計によるといま日本で一番稼げる業種はなんと電気ガス水道のインフラ業であり、ITや金融を大きく突き放してトップに君臨しています。

 この辺、NewsPicksの読者反応を見ていても意外と感じている人は多いようで、私自身もこんなにインフラ系が高い賃金になっているとは知らなかっただけに、中国との比較もそこそこに記事中に明記しました。
 また、これもNewsPicks読者が指摘していますが、この日本の統計だと「医療・介護」が一つのグループに統合されています。この両者は関連が全くないわけではないものの、賃金水準から仕事内容まで大きく異なるものであり、一般的な統計感覚から言えば絶対に統合してはならず分けて統計を出すべき業種です。にもかかわらずこのようにまとめられたのは、やはり何らかの意図を疑わずにはいられません。

 それと同様にこちらは記事中ではっきり書いていますが、「宿泊・飲食業」の平均月収が12万7644円という結果になっていますが、20日間を8時間働くと仮定して時給額は算出した場合、ほぼほぼ最低賃金水準になりますが、これが平均だとしたら同業界の就業者は9割方最低賃金で働いていないとこんな数字にはならなくなります。無論そのような事態は現実としてはほぼあり得ず、勤務時間など本来施すべき均一化処理が全く行われていない可能性が高いです。
 先ほどの医療・介護の点といい、こんな統計を公表すること自体が異常としか私には思えません。

 そして最後ですが、これはまだ誰も指摘していないものの、この統計の本当の闇はクレジットことデータ出典にあります。というのもこの日本の統計データは2019年に発表された2017年度データであるのに対し、今回私が紹介した中国の賃金統計データは今月(5月)に発表された2018年度データです。
 以前、中国のGDP発表が対象期間(1~3月データなら5月頭頃発表)の約1ヶ月後に発表されることについて、「統計不正していなければこんなに早く出せるわけがない」という人がいましたが、私の見方はむしろ逆で、時間のかかっている方がむしろ不正をしているのではという疑念を覚えます。

 そもそも不正以前に、中国と比べて人口も規模も小さい日本でなぜこれほどまでに統計の調査、発表に時間がかかるのか。社会主義か民主主義かとかいうそれ以前の問題で、明らかに日本の統計部署の能力不足だと私は考えています。賃金なんて税務署データと連動させれば1ヶ月、その気になれば2週間以内に弾きだせてもおかしくないと思え、こうした方面の調査体制、IT化とかマジでやばいのではと思うくらい日本の統計は遅いです。

 以前京セラの稲森和夫氏がJALの再生に関わっていた頃、路線便ごとの収支が分かるまで2ヶ月かかっていたのを、「即日でやれ」という稲森氏の鶴の一声で、社内からそんなのできるわけないという声が出たのをよそに、本当に即日で分かるようにしたそうです。言っては何ですが日本の統計もこれだけIT化の進んだ世の中で怠けた仕事しているようにしか見えず、稲森氏にでも来てもらって「即日で出せ」と言われた方がいいのではと本気で考えています。

2019年5月27日月曜日

消費税再々延期の是非



 結論から言うと、前々回の2014年、前回の2016年と比べても、今の方が日本の景気の不確実性は高いです。私に言わせれば、前回素直に上げとけばよかったものをって感じです。

 現在の景気の不確実性としてはまず第一に米中貿易摩擦で、既にファーウェイとの取引で各所で混乱が起こるなど日系企業も大きく影響を被っています。第二に、地価を初めマクロレベルで明らかに日本景気が減速しており、オリンピック特需も息切れの様相が見られます。そして第三に、日銀が出口戦略を見出せないまま市場介入し過ぎて、介入できる余地が狭まっているというか買い上げる株が残り少なくなってきているという点が挙げられます。

 では問題先送りとばかりにまた消費税増税は延期するべきなのか。できないこともないけど財政再建はおろか、目下の歳入確保すら危うくなる可能性もあり、ましてやインフレを指向しながらデフレへとまた触れる可能性もあるだけに、私としても企業倒産が相次ぐとしてもこの際引き上げた方がいいと考えています。世界の金融ディーラーも引き上げること前提で物買ってるわけだし、この前提が崩れるとどうなるか予想が付きません。
 また引き上げを前提として既に一部緩和税率の制度や対策も行われており、仮におじゃんとなった場合はシステム周りを初めこれら投資が一挙に無駄となる可能性もあります。まぁどうせ無駄にするんなら、緩和税率やめて一律税率にすべきだと私は思ってますが。

 一方、世の中は景気に水を差すとして増税に対する根強い反対意見がほぼ支配的なように見えます。ただ私に言わせると、そもそも水を差すような景気が今の日本にあるのかという点で疑問です。去年に一回調べましたが今の日本の景気は実質的に外国人観光客の増加によって支えられているも同然で、国内居住日本人の消費自体は先細っているのがほぼ明白です。今よりさらに落ち込む可能性は否定しませんが、そんなこと言ってたら増税なんてずっと無理なんだし、上り調子の景気でないならもうこの際やってしまえというのが私の見方です。

 ただ予想を言えば、多分今回も引き上げを見送るかと思います。基本的に今の日本の政治は責任を取る政治ではなく、責任を回避する政治色が強く、安倍首相もこの種に属します。また財務省も弱っていることですし、また統計不正とかでどうにか帳尻合わせして終わりなんじゃないかとやや冷めた目で見てます。

2019年5月23日木曜日

パナソニックの華為との取引を巡る日中報道の矛盾

 さっき帰宅途中、すれ違いざまに散歩中の犬に手の甲を舐められました。マクド寄った帰りだったからいいにおいしてたのかもしれないけど、一瞬で舐められたので妙な敗北感があります。

 それで本題に移るとぼつぼつ日系メディアでも報じられて来ましたが、パナソニックの華為との取引に関する報道が日本と中国で真逆に矛盾しています。日本側では米国の大統領に従って製品供給を止めると発表されたのに対し、中国側では「今後もこれまで通りに正常に取引を続けていく」と報じられ、中国の各メディアからは称賛の声が相次いでいます。

华为:与松下所有业务合作持续正常开展,感谢松下一贯支持(澎湃新聞)

 念のために自分がかねてから評価している澎湃新聞のリンクを貼り付けましたが、この記事に書かれている通りに中国側では軽いお祭り騒ぎで、華為も「信頼できるパートナーに強い感謝を述べたい」といった具合で声明を出すなど、パナソニックを応援、感謝する声が相次いでいます。

パナソニック、日本は「取引中止」中国は「通常通り」-ファーウェイ(ブルームバーグ)

 この矛盾する発表内容について比較的早く報じた上にパナソニック側への確認も書かれているのがこちらのブルームアーグの記事ですが、なんというかやはり奇妙で、パナ側が「確認中」と回答したことが報じられています。

 真実はどちらなのか現時点では判断する事もできず、明日になって続報を待つよりほかがないですが、比較的広報体制についてはしっかりしているパナソニックにこうした事態が起きた事自体が私にとっては興味深いです。何度か私も取材しましたがさすがはパナと思うくらいいつも広報がしっかりしていて、かなりのネガティブニュースについても腹をくくったときはきちんと認める回答を見せるなど、好きのない広報を持つと評価していました。
 にもかかわらず今回はこのように日中で真逆の発表となったわけですが、私個人の視点を一つ上げると、そもそも日本で報じられた華為との断交発表には違和感を覚えました。というのもドコモやKDDIなど通信キャリアが華為製の携帯電話の取扱を保留すると発表したのは売場現場からの立場としてまだ理解はできるものの、消費者向け製品でもないにもかかわらず、現段階でパナが華為との断交を大々的に発表する必要はあるのか疑問でした。B2B取引でもあることから、やるならやるで黙って黙々と縮小していけば波風立たせずに済むというのに、米国に名指しで批判されているわけでもないのに何故宣言したのか。まぁ最初の報道を見ると「~と明かした」だったから一部の関係者が洩らしただけかもしれませんが。

2019年5月22日水曜日

ジオングの脚

ジオングに脚をつけたがる日本企業が、中国企業に後れを取る理由(ダイヤモンド)

 以前はしょっちゅう馬鹿にしてましたがここ1年位のダイヤモンドの記事は面白いものが多く、最近評価を改めています。そんな今日のダイヤモンドの記事ですが、ガンダムでお馴染みのジオングを引っ張り出して、「なぜ脚をつけないのか」という論点で日中の技術意識の違いを説明しています。

 まずこの「ジオングの脚」ですが、これはそのまま「蛇足」と言い換えれるような構成となっており、恐らく筆者の長内氏もこの点を意識したのではないかと伺えます。「蛇足」、つまりつけなくてもいい余計なものとして「ジオングの脚」を例えており、実際ガンダムの作中でも脚がないほうが機動性的には叶っているという説明のされ方をされているので意味的にもバッチリです。
 なおゲームによってはジオングに脚をつけることが可能ですが、「ギレンの野望」だと運動性が逆に落ちてしまうので、脚がないほうが私は好きです。一方、PSPの「ガンダムバトルユニバース」だと、くっつけた脚で豪快な回し蹴りをしてみせます。このゲームではシャアの搭乗した機体にはもれなく、格闘モーションに蹴り技が入るようになってて一種独特な世界観が展開されてました。

 話は戻りますが記事主張を整理すると、日系企業は完成度の高いものにこだわって商機を逸するが、中国系企業は80%程度の完成度で市場に出してしまうため使っててやや不便さを覚えるものの、少なくとも使う分には問題のない代物だと評しています。
 その上で、日系企業に足らないものは要らない物を捨てる経営だとしてあっちにもこっちにも手を出そうとするJDIを批判していますが、この論で言えば今最も当てはまるのは私の中ではホンダです。

 元からあまりホンダを評価していないのもありますが、それを考慮しても現在のホンダの経営というか外部発信には疑問を感じます。というのも、EVもやる、燃料電池車もやる、自動運転もやるなどと、研究開発投資分野を全く絞らず話題に上がるもの全部やると主張しており、方向性が全く見えなくなっています。
 トヨタも同じような主張をしていますが、こちらの場合は各分野で研究提携先をちゃんと作っており、何よりも国内ではトヨタ連合(トヨタ、ダイハツ、スバル)にスズキ、マツダも加わって共同研究を現在展開しており、海外でも同業他業種それぞれでパートナーがおり、資本的裏付けに関してはまだ理解できます。逆を言えば、ホンダは何故後も強気なのか。ホンダジェットの成功でやや浮かれてないかと心配です。

 最後に、ガンダムの技術論でいうと、年食ったせいか昔みたいに何でもかんでも主役機を崇めなくなり、むしろ量産機のコスパやバリエーション、汎用性とかに着目するようになってきています。車も昔から軽自動車やコンパクトカーが好きで、日本に帰ったらブーン買おうかと検討して一時はカタログ読みまくってました。
 その話の延長でこの前広州の友人と、「量産機のカスタムが最近好きで、今だとブルーデスティニー1号がどストライク。2号、3号は蛇足」と話したら、「1号はジム系でしたっけ?」と聞かれ、「陸戦型ジムがベースだから事務系」というわけの分からない回答してしまいました。でもあのフェイスデザイン、ジムというより実質ネモ系のフェイスな気がします。

 なお大学時代の友人はジェガンが好きで、ゲームでやたら強化してました。自分もジェガンは嫌いじゃなけど、それだったら支援機だけどジムキャノンのが好きです。

2019年5月20日月曜日

ファーウェイのGoogle取引中止報道について

 公私共にクソ忙しいのに、ゲーム会社のエクスペリエンスが「円卓の生徒」のリメイク版を出すからと言って「迷宮クロスブラッド」などダンジョンRPGゲーム三本をどれも500円のワンコイン(ワンコ・イン)セールやってたのでまとめて購入しました。なんていうか、試験期間中に新しいゲームソフトを買うような感覚を覚えます。
 ちなみに「円卓の生徒」は実は現在プレイ中で、裏ボス倒す直前まで来ています。本音を言えばこの次は同じエクスペリエンス製の「デモンゲイズ」というゲームを遊びたかったのですが、やすかったので次はこの三本のうちどれかを手にすることになるでしょう。ただこの三本、ゲームパブリッシャーが5pbで、セールじゃなければ絶対買いません。ここのゲームはどれも呆れるくらいバグが多く、UIはくそで、ゲーム会社としては心底見下しています。まぁ作っているエクスペリエンスは堅実にゲーム作る会社だからまだいいけど。

 話は本題に入りますが、本日米Googleが中国のファーウェイ向けに一部取引を中止するという発表を行いました。これにより、Google製のOSであるAndroidを搭載したファーウェイの端末には、Android自体はオープンソースであることから今後も使えるものの、Gmailなどの一部Googleが提供しているサービスは使用できなくなるのではないかとの観測が出ています。
 結論から言うと、Googleもすっかり変わったもんだなというのが私の見方です。

 今回の件に関してはファーウェイユーザーということもあるためファーウェイの肩を持つのですが、そもそも一体何故Googleが今回こうした措置に出たのかと言うと、言ってしまえば米国政府の指示を受けたとしか考えられないでしょう。ファーウェイ側に明確な違法、違約行為などがあればまだわかりますが、スパイ活動をしていたと誰もが言うものの具体的な証拠自体はどこも出しておらず、だいたいそれ言ったらユーザーの個人情報を堂々と販売しているFacebookとかはどうなんだよと私としては言いたくなります。
 またファーウィのスパイ端末については、素人からいってもコンシューマー端末のようなちゃちなものに組み込まれることはほぼ考えられず(組み込めていたら逆にすごい技術)、あるとしたら通信キャリア用の大型設備でしょう。そういった設備にGoogleのソフトが関係するかと言ったらまぁそれはないわけで、爽考えると今回のGoogleの行動は、すでにファーウェイの端末を通してGoogleのサービスを受けているGoogleユーザーをも大した理由なく切り捨てる行為に思えてなりません。

 それこそ取引を中止すると言っても、今後どうなるかはまだ見ていながらも、最低限のサポートサービスを果たすのはシステムメーカーとしての十分な責務じゃないかと思います。報道を見る限りこうしたサポート面についてファーウェイとはほとんど詰めていないように思え、今後も方針が出されるかは未定です。

 Googleはかつて国家的検閲を強要するからという理由から中国からの市場撤退を行いましたが、今回は米国の中国抑え込み政策に協力するような形でこうした措置に出たことを考えると、以前とはすっかり変わってしまったという印象を覚えます。

2019年5月19日日曜日

百度に対する不安要素


 日本で検索と言ったらYahooとGoogleですが、中国だとGoogleは2011年以降は使用できなくなり、YahooもYahoo Japanの検索は以前は問題なく使えていたものの、一昨年からトップページとYahooメールを除いて使えなくなり、マジ業務に支障きたすくらい影響出ています。それでも1年も経つ頃には慣れてしまうのが怖い。

 ではどの検索サービスが強いかと言ったら百度で、ここが中国の検索市場をほぼ握っています。いわば中国版Googleみたいな存在なのですが、ここにきて百度に不安要素というか、中国国内で上から下まで満遍なく批判が出始めており、その長きにわたり揺るがなかった牙城に綻びが見えてきています。

中国人に「百度」が意外なほど信用されていない理由(ダイヤモンド)

 大まかな状況については上記の記事で莫邦富氏が相変わらず鋭い筆致でまとめているので、これ見れば一発で分かります。私の方から付け加えると中国政府は去年、知的財産権の侵害などを助長しているとしてある日突然に百度のことを公然と批判したことがあったのですが、これまで中国政府と二人三脚で国内検閲に取り組み、ロビー活動もばっちりな百度が対象だっただけに、再祖にこのニュースを見た時はデマかと正直疑いました。
 しかしその後の動向を見ていても、どうも中国政府と百度の関係はここ最近猛烈にギクシャクしているようで、元から中国人ユーザーから嫌われていたこともあってひょっとすると山が動くのではないかと思って前からこの会社を注視していました。

 私自身、中国で調べ物をする際は百度を使用しているのですが、ここ数ヶ月の間にも非常に納得できない動きがみられました。それは何かというと「ニュース検索」が出来なくなったことで、これまでは百度新聞というサービスから検索をかければ中国国内メディアが出すニュース記事に絞って検索をかけられたのですが、先月辺りからこの機能が突然使えなくなりました。代わりにメディアが百度に配信する、ドメインが百度のニュース記事ページ、もしくは百度サービス内の個人ニュースブログ限定で検索をかける「資迅」が当てられたのですが、正直個人ブログのニュースは好き勝手な引用しかない上にリソースとしては信用できず、また百度ドメインの配信ニュースページも情報リソースがはっきりしない書かれ方もされることもあり、使い勝手が極端に悪くなりました。
 一応、裏技を使えばニュース検索はできないこともないので現在そちらを使っていますが、このあまりにも低レベルというか話にならない検索サービスぶりに、ニュース検索用に別の検索サービスを今探しています。

 私が一番影響を受けているのは上記の問題ですが、これ以外にも百度関連では前使えた便利なサービスがどんどんなくなり、逆にどうでもいい不要なサービスがどんどん増えてきています。また既存サービスもどんどん劣化しており、地図サービスに至ってはもはや完全に「高徳地図」に負けるなど、起業としての競争力の低下ぶりは目に余るほどです。それだけにGoogleの中国専用サービスに期待していたのですが、向こうの社内の反対によってぽしゃったようで残念この上ありません。

 なおそのGoogleと百度ですが、どちらもIT界の巨人として名高いものの、実は検索サービス以外の事業はほとんど成功せず失敗しまくっている点で共通しています。百度はケータリングサービスはまだ成功している方ですがその他のネットサービス関連は完全にテンセントやアリババに負けており、競争力で言えばこっちの二社の方が圧倒的に強いでしょう。
 GoogleもOSのAndroidは普及しましたが(皮肉にも中国のシェアが最も大きい)、Facebookに対抗したGoogle+はサービスを終了し、その他手を出したサービスも圧倒的に失敗している数の方が大きいです。そういう目で見ると、検索サービスは実入りが大きいものの意外と創造力や競争力では他のIT企業に劣るのかもしれません。

2019年5月15日水曜日

終身雇用に対する意見の相違

高齢者就業、来年法改正へ=70歳まで、企業に努力義務-政府(時事通信)
トヨタ社長「終身雇用難しい」発言、解雇規制が緩和される時代がやってくるのか(弁護士ドットコム)

 相反する二つの発言というか、政府は終身雇用を守るよう、っていうか70歳まで従業員を雇用するよう叫んでいるのに対し、トヨタや経団連は「もう無理っしょ」というニュースがほぼ同時期に流れました。
 どうでもいいですが「叫ぶ」という単語を見ると「ラムザ」って単語が浮かびます。あのゲーム、経験値を稼ぐために後半になるとラムザはずっとマップの隅で叫び続けて、頭のおかしい人物にしか見えなくなりますが。

 話は戻りますが、政府は未だ古い体制を維持しようとしているのに対し、企業らはそのしがらみから逃れようとしているように見えます。なお私自身は現在の立場もあるでしょうが圧倒的に企業側で、終身雇用という言葉自体排除するべきだとすら考えています。というのも終身雇用は年功序列とセットになってしまうため、有為な人材がなかなか出てきづらくなるのと、無能故に転職しないおっさんが高い給与をもらうようになったり、あと雇用の流動性を低めて「再チャレンジ」を阻害する恐れがあるためです。

 ややふざけた視点でこの問題の根本的解決方法を述べると、一番手っ取り早いのは平均寿命を下げ、大体50代くらいで死ぬような社会にすれば介護問題と合わせて一挙解決となります。
 真面目話で述べると、「ワークライフバランス」ならぬ「エージライフバランス」というような概念についてもっと議論を深めるべきではないかと思います。長生きすることで当人にとっての人生の価値が高まるのかと言うとやや疑問で、闘病リスク、資産リスクなどを考慮すると、かえって長生きしないほうが楽なのではないかと思うことが私にはあります。特に、20代くらいから年金を含めた老後の生活資金をどうしようなどと考える人とかみると、こうやって悩むというだけでもマイナスなようなという気がしてなりません。

『わたし、定時で帰ります。』社会問題をリアルに描くお仕事ドラマの新潮流(コンフィデンス)

 最後に別枠の話ですが、こうした社会情勢を受けてか、上記のドラマが流行っていると聞きます。なにげに中国人の知り合いもこのドラマを中国語字幕版をリアルタイムで見ていて面白いと言っており、意外と日本だけに限らない普遍的なテーマなのかなとも考えるようになっています。まぁ私は見てないんだけど。

 なお関係ないですが昔、銀行の一般職で採用された女の子が入社早々、「やることないんでもう帰っていいですか?」と4時位に言ってのけたというエピソードを聞いたことが有り、上には上がいるというか、このドラマの続編には「私、もう帰ってもいいですか?」で作ったらいいんじゃないかな。

2019年5月14日火曜日

スルガ銀元専務の提訴について

 あまり大きなニュースになっていませんが、思うところもあるので紹介しておきます。

スルガ銀元幹部が提訴 不正融資巡り「解雇無効」(福井新聞)

 記事内容は今最もアツい銀行ことスルガ銀のシェアハウス問題において、不正な営業を誘発させたとして懲戒解雇された元専務が、処分の無効を求めてスルガ銀を提訴したというものです。元専務側はスルガ銀の発表とは異なり部下へは適切な指導を行っていたにもかかわらず、弁明の機会も与えられずに解雇されたことを不服として主張しているとのことです。

 記事内には提訴した元専務の名前もはっきり書かれていますが、実はこの名前、私自身がはっきり覚えている名前でした。というのもスルガ銀が2018年9月に出した不正調査報告書にて何度も出てきた名前であり、当時に出した私の記事にも書かれています。


 なんでそんなして覚えていたのかと言うと、この元専務の調査報告書内の書かれ方に強い違和感を感じたからです。改めて説明するのも面倒なので、当時の記述をそのまま引っ張ると以下の通りです。


・死んだ一人、現役一人の役員にだけ厳しい表現
 前者は今回辞任した会長の兄弟であり、2016年に逝去した故岡野副社長(原文ママ)で、彼が利益第一な企業風土を作り不正がはびこる舞台を整えたみたいに書かれています。後者は、その故岡野副社長に引きたてられたとされる元専務執行役員の麻生氏で、まるで彼一人がすべての問題の元凶みたいかのように厳しくその責任が追及されています。
 先に書いておくと、営業サイドの麻生氏がシェアハウスローン問題を引き起こし炎上させた最大の責任者であることはほぼ間違いないとは思われますが、他の役員らとの記述の温度差が激しく、なんかこの人に全責任を押し付けているのではと思う節があります。もちろん糾弾されて然るべき人物と思われますが、その他の疑問点と合わせて、この報告書は鵜呑みにしていいものかという懸念があります。

 あの調査報告書の中ではオーナー一族の一人であった故岡野副社長が間違った企業風土を作り、その風土を元専務が継続させてしまったという書かれ方がされており、他の役員についてはほとんど責任がないような書かれ方がされていました。逆を言えば元専務についてはこれでもかとばかりにあれこれ書かれており、読んでいて死人に口なしとばかりに故副社長、そしてしっぽ切りとして元専務に責任を押し付けているような印象をはっきり覚えました。
 もちろん私が調査委員会に入っていたわけではないので何の根拠もないのですが、立場からすると、真実はどうあれ元専務もその責任を糾弾されるべき立場であることは間違いありませんが、他の役員は懲戒解雇を免れる立場であったのかは強い疑問で、それだけに今回元専務が提訴したというのは実態解明の面ではプラスになるのではと見ています

デート商法に「加担」=スルガ銀行を提訴-東京地裁(時事通信)

 そんな風に思っていたら今日またこんな事件が報じられてて、やっぱシェアハウスだけじゃなかったんだなと妙な納得感を得ました。
 また勝手な憶測で申し上げますが、前に他所でバレたフラット35悪用事件をみて、「こういうことこそスルガ銀がやっていそうだよな」と内心考えていました。無論何の根拠もない勝手な想像ですが、仮にやっていたとしても自分としては何も驚かないでしょう。その上で、ホームページの怪しさから察するにここにはまだ膿がたくさんあるように思えてなりません。

2019年5月13日月曜日

伊藤博文と山県有朋の師匠筋

 伊藤博文と山県有朋と言ったら長州閥の大首領ということで誰もがおなじみですが、最近この二人についていろいろ調べていて感じたこととして、どちらも長州出身者ではあるものの明治以降に師事した人物は大久保利通と西郷隆盛という、薩摩出身者であるということに気が付きました。

 伊藤博文が大久保利通を師事したというか付き従っていたのは有名で、明治政府に参画して以降は大久保の手となり足となり、同じ長州閥の木戸孝允が下野した際も大久保の元に残りました。そして大久保が紀尾井坂の変で暗殺された後、実質的に彼の後継者となって官僚制による中央集権体制の確立を目指し、国会開設を除けばほぼ大久保の敷いた路線を実行したと言えるでしょう。

 一方、山縣有朋の方は戊辰戦争の頃より奇兵隊を率い、西郷の指揮下で軍事行動を行っています。もっともこの頃に西郷に最も可愛がられたのは同じ長州出身の山田顕義でしたが、戊辰戦争後に陸軍を引っ張る立場だった大村益次郎の死後、彼が構想した徴兵制の実現を目指した山縣でしたが、徴兵制導入にあたっては内外から異論が相次いだことより、西郷にやってもらうしかないと大久保らとともに鹿児島へ政府入りの説得に赴いています。
 その後、政府入りした西郷とともに山縣は徴兵制導入を主導してこれを実現します。なにげに二人とも岩倉遣欧使節団に加わらず留守政府を任され西郷とともに内政を切り盛りし、この間に徴兵制実現のために実現しなければならないステップこと廃藩置県も実現に持っていっています。

 しかしその後、西郷は征韓論論争に敗れて下野します。実はこのとき山縣は地方巡察中で東京の政府会議には参加していなかったそうですが、西郷との関係もあって木戸や大久保の側には立たずどっちつかずな立場を取っていたそうで、これに激怒した木戸によって若干左遷っぽい憂き目にあっています。逆を言えば、長州閥の木戸に無条件で与しないほど西郷との関係が強かったと言えるでしょう。

 そしてその後西南戦争に及び、山縣は討伐総責任者として出陣することとなります。かつて、「その時歴史が動いた」か、「歴史秘話ヒストリア」でこのときの山縣が取り上げられていたのを見ましたが、西郷とともに作り上げた徴兵制の部隊によって武士の部隊を打ち倒す、まさに時代の分かれ目となる戦争だったと描かれていました。
 もっとも戦闘当初は西郷軍をなかなか打ち破ることができず、元武士の警察官らによって組織した抜刀隊を投入するなどして最終的には勝利することができました。

 なにも西南戦争に限るわけではないですが、山縣は軍人としては非常に慎重で、果断な進軍とかは一切せず一つ勝っては休み、二つ勝っては休むというくらいゆっくり進軍する癖があります。そのせいか長岡藩との戦闘では、一度奪った長岡城を一息ついていたら奪い返されるという憂き目にあいましたが。
 ただこのように戦術レベルでは慎重過ぎるところがあるものの、戦略レベルでは意外としっかりしており、西南戦争勃発の一ヶ月前から不穏な動きを察知して熊本鎮台(熊本城)に周辺から兵や物資を集め、防衛に備えていました。またこの西南戦争でも、戦術面ではやっぱりうまく行かず、最終的には西郷に可愛がられた山田顕義らの別働隊の活躍もあって撃破していますが、この間の補給や兵力増員などは適切で、何より西郷軍を取り囲むかのように軍を移動させて壊滅に追い込んだあたり、戦略的には比較的優秀と思う節があります。まぁ戦術はやや疑問符付きますが。

 そんな山縣ですが城山の決戦にて西郷軍を撃滅し、西郷の死を確認した際は涙したといいます。その後の山縣を見ても、やはり西郷から強い影響を受けたと見られ、大久保の後継者が伊藤だったように、西郷の後継者も山縣であったとこの頃思うようになりました。

チタン酸系リチウムイオン電池の衝撃

逆風のなか日系メーカーが躍進、中国自動車市場の今(JBpress)

 上は今日配信された自分の記事ですが、この程度の内容も大手紙は出さないというのが未だによくわかりません。四半期ごとでも分析入れればそれなりに見える記事になるというのに。

 さてこの記事ですが、一応テーマとしてはQ1中国自動車市場ですが、その真価は実は末尾にあります。ありあわせのように最後に中国の新エネ車と電池市場について触れていますが、この中で私も特筆しているチタン酸系リチウムイオン電池を中国メーカーが既に生産、供給しているという事実は正直驚愕しました。

 簡単に解説すると、リチウムイオン電池と一言で言ってもその電極にどんな素材を使うかによってものすごく種類が分かれます。電極素材が異なるとどうなるかというと、性能がものすごく変化し、具体的には電池容量、炎上に対する安全性、生産技術の複雑さ、素材コスト、充電速度などがガチで大きく変わり、現状のところどの素材も一長一短的な要素を持っているため誰にとってもおすすめ的な万能リチウムイオン電池というのは現在のところ存在しません。
 これまで中国では、電池容量は少ないけど安全で且つ生産技術もそんな高いところが要求されず、何より素材コストが抜群に安いリン酸鉄系リチウムイオン電池が主流でしたが、一昨年辺りから国の政策もあってどの分野の性能も平均的だけど素材コストがやや高く、且つ生産技術が要求される三元系リチウムイオン電池が現在主流となり、一部がまだリン酸鉄系も作っているという状況です。

 そんな中、珠海銀隆という電池メーカーがのみがチタン酸系リチウムイオン電池というのを生産、供給していることを今回はじめて知りました。このチタン酸系リチウムイオン電池というのはまだ生産技術が確立し切っていない、っていうか量産しているのは恐らくこの会社だけだと思うのですが、電池容量はやや少ないものの、急速充電が可能であり、何よりも長寿命という特徴を持ったリチウムイオン電池です。

 ここで明かすと、将来のEV用電池として私はこのチタン酸系リチウムイオン電池が最も有力だとかねてから睨んでいました。というのも現在EVに使用されている電池は充電するごとに電池容量が低下、要するに劣化し、3年も乗ると当初の半分くらいしか充電できなくなるという話すら聞きます。
 車の場合は資産価値も重要となる製品なだけに、EVの心臓部と言ってもいい電池がこうも早く且つ大幅に劣化してしまうのは非常に致命的です。それだけに何千回と充電しても当初の最大充電量からほとんど目減りしないというチタン酸系のほうが今後、将来性があるのではとかねてから見込んでいました。

 また同時に、日本でこのチタン酸系を主に研究しているのはあの東芝です。メモリ事業を売った東芝にとっても電池事業は非常に重要となるだけに、東芝の不沈もこのチタン酸系リチウムイオン電池が左右することになるだろうと思ってその研究の行方とか密かに追っていたのですが、いつの間にか中国メーカーがすでに市場に供給しており、もう東芝あかんやんとか内心思いました。

 珠海銀隆の供給先を見ると福田汽車であることから、主にバスといった商用車に電池が供給されているのではないかと思います。長寿命という特性を活かす上では確かにこういった商用車やタクシーが適切だと思えるだけに、今後実際製品でますます研究を加速してくるような気すらします。
 真面目にこの件に関してはここ数年くらいで最も驚いた技術トピックです。市場が伸びているということもありますが、電池技術でここまで中国が来ていたというのは真に注目すべきであり、この記事では正直全体の自動車販売台数より、この電池について知ってもらいたいという一心で記事書きました。

 その思いが伝わったと言うか、ヤフコメみるとまさにこのチタン酸系リチウムイオン電池に言及する人がいて、非常に嬉しかったです。逆を言えば電池市場に関する研究や報道が日本だと薄いように感じられるだけに、前みたいに日経さんとか後追いしてくんないかなと密かに期待しています。

2019年5月12日日曜日

大家と直接契約できる不動産サイト

ウチコミ

 知ってる人は……意外と少ないんじゃないかなと内心思いますが、不動産を大家と直接交渉できるウチコミというサイトを紹介します。

 不動産契約というと、「宅件など資格保持者、または不動産会社を仲介しなければ契約することはできない」と勘違いしている人は意外と多いのではないかと思います。名古屋に左遷されたうちの親父がまさにこの典型でしたが、実際には賃貸、購入ともに当事者間で不動産取引契約を結ぶことは合法であり、全く問題ありません。ただ一般商品と比べて金額が高額となりやすく、且つ瑕疵案件などへの補償面で複雑であることには間違いなく、そうしたリスクや法規関連の対策において、不動産会社を仲介することはメリットも多いことから、不動産会社を仲介することがベースとなっています。

 ただ不動産会社を仲介することの最大のメリットは何かと言うと、なんと言ってもやはり目的の物件を探せることにあるでしょう。不動産業者は彼らのみが閲覧できる不動産情報サイト「レインズ」を使って顧客が求める物件を全国どこでも探すことができますが、一般消費者は同サイトにはアクセスできず、実質的に不動産会社を探さなければ不動産を見つけることはまず不可能です。
 しかし、そうした背景もあって不動産業者側では囲い込みとか、不動産会社にとっては実入りが大きいけど顧客にとってわざと不利な物件しか紹介しなかったりなど、問題のある行為を行う業者も正直少なくありません。こうした事態が起こるのは物件探しにおいて不動産業者が情報面で圧倒的に有利な立場にあるからで、消費者としては複数の不動産業者を巡って比較検討するしか目立った対抗策はありません。

 しかしインターネット全盛の時代において、物件探しを不動産業者に依存する必要はあるのか。そうした観点に立って作られたというのがこのウチコミというサイトで、こちらは不動産オーナーがサイト上で直接募集をかけ、連絡も直接行えるというサイトです。契約については大家と直接、またはエージェントに間に立ってもらって交渉することができ、一般の不動産業者と比べるとオーナーやユーザー側の利便性に立ち、且つ情報公開の面ではクリアなサイトと言えるでしょう。

 しかし、いかんせん掲載されている物件数が非常に少ないです。

 各地域で検索してみればわかるでしょうが、Suumoやホームズなどと比べると掲載されている物件数は非常にごく僅かであり、内容的にもややキツ目の物件が目立ちます。私自身の正直な感想を述べると、借手があまりにも見つからないからここにも載せた、という感じのする物件が多いです。
 立ち上げ方針としては非常に目を見張り、個人的にはもっと流行ってこうした取引が活発になってくれればという気もするのですが、今のところでは未だ発展途上であると言わざるを得ません。

 ただ、本来こうしたオーナーが直接掲載する物件検索サイトは、10年、いや20年位前から普及してしかるべきではないかと思います。しかしインターネット全盛のこの時代においてもこうした環境が続いていることには、いろいろ顧みるべき点が多いです。
 またオーナーの直接掲載ではないのなら先程のSuumoやホームズがあってよく会社で暇な時(忙しくて辛い時も(´;ω;`))に覗いていますが、これらサイトに掲載されている物件情報はいわゆる「おとり物件」が非常に多く、問い合わせてもすでに契約されたとかいろいろ難癖つけられて実際には内見、契約できないことが多いです。

 そういう意味では最も手っ取り早く且つ効率的な業界改善手段としてはやはり、レインズの一般公開だと思え、実際にそう主張する人も見かけられます。レインズが公開されることによって圧倒的な募集物件情報が公開され、価格についても比較検討できることからより適正な市場価格の形成も見込まれるだけに、私としても公開すべきという立場を取ります。
 どちらにしろ、もっと日本は本格的に不動産取引について改革を行うべきです。それこそ外資がものすごくいい取引プラットフォームをもってきたら一挙に席巻される恐れもあるだけに、国も民間ももっと競争原理を導入すべきでしょう。

2019年5月11日土曜日

戦争に対する意識の変遷

 現代において「戦争は良くない」という概念は日本だと一般的だと思われますが、それでも実際に戦場を見てきた世代が身近に存在した昭和中~後期と比べると薄まっているのではないかと思います。また戦前と比べ国民皆兵ではなく、自衛隊には実質的に志願者しか入隊しなくなり、いざ戦争になっても……という感覚では限りなく戦争は無関係と考えるようになるのも自然でしょう。

 勝手な想像で述べると、現代の戦争への感覚は20世紀よりも、17世紀以前のほうが近いのではないかと思います。17世紀以前は日本国内を含め徴兵が行われていましたが、実際の戦場では石を投げたり、ちょっとでも味方の分が悪そうだと逃げ出したす(=瓦解)こともあって、近代と比べるとまだ緩い戦争でした。また欧州では傭兵が戦争の主体であり、戦争に参加する人としない人は曖昧ではあるもののまだ分かれていました。

 それがひっくり変わったのは18世紀頃で、フランス革命以降は欧州で徴兵制に伴う国民皆兵が実施され、明治維新以後の日本もこれに倣います。また機関銃の出現など兵員の殺傷率が劇的に上がったことも有り、それまではどこか遠くの無関係の事象のようだった戦争が俄然国民生活にも関わるようになり、反戦意識も高まっていきます。
 そうした反戦意識が市場最も高かった時代と言えるのは、まず間違いなく第一次世界大戦後のいわゆる「大戦休閑期」です。長期にわたる塹壕戦、総力戦に伴って欧州では上も下も「もう戦争は懲り懲り」という厭戦気分が蔓延したそうですが、一次大戦にちょこっと参加しただけの日本はこの空気を感じられず、他の列強と比べると厭戦気分は低い、というよりもシベリア出兵も最後まで粘るなど「もっとやらせろ!」感すらありました。

 しかしそうした厭戦気分すらも敗戦国ドイツは戦勝国への反感の方が強く、結果的に二次大戦が起こるわけですが、その後米国にとってはベトナム戦争までは強制的な徴兵も行われていたことも有り、戦争による死が身近とあって反戦運動はこの時期も絶賛盛り上がっていました。イラク戦争でも反戦運動はもちろんありますが、それでもベトナム戦争の時期と比べると米国世論を大きく動かすほどには至っておらず、傍から見る限りではやはり容認する姿勢が強いように感じます。

 何も厭戦、反戦気分があれば戦争は起きないという事を言うつもりはないですが、それでもやはり戦争に対する意識はこの10年でもまた変わってきているなと感じます。仮に好戦意識で言うとすれば、恐らく現代で最も高いのはロシアで、次に中国、そして米国の順番になるのではないかと思います。
 仮になんでも言っていいとするならば、日本の立場からすると米中で戦争が起こるとその地理的関係から巻き込まれることは必定です。だったら好戦意識の高い同士、中露で戦争を引き起こすように動く、三国志で言えば二虎競食の計みたいな工作をするのが安全保障方針としては有りじゃないかとは思います。

 戦争なんて起こらなければいいとはいうものの、起こらなければ反戦、厭戦意識は高まらないというのが、上記の変遷を見ていて思います。そういう意味で本当に反戦教育を広めようというのなら、やはり実際に戦争を体験した米軍従軍者などに日本でもっと講演とかしてもらうことが一番でしょう。そのうえで日本の戦争リスクを下げるとすれば、こういった人たちに中国でも講演してもらうべきでしょうが、米中それぞれの思惑から実現は不可能でしょう。

2019年5月9日木曜日

日本は歩行者軽視とする指摘について

歩行者の死亡事故ダントツの日本、ドライバー厳罰化で解決できない理由(ダイヤモンド)

 非常に痛ましい大津の交通事故に関する報道の中で目を引いたのが上の記事です。にしてもダイヤモンドは普段の記事はとんでもないのばかりだが、こちらの莫邦富氏の記事など、いい記事が突然出てくるので波がありすぎ。

 話はリンク先の記事に戻りますが、なかなか興味深い指摘というか、交通事故死因で見ると歩行者の死亡率が意外に高いというデータは新鮮でした。この指摘に私も思い当たるとこがあるというか、中国で暮らしている身からしても確かに日本は歩行者の立場が異常に弱いように感じるところがあります。
 具体的には歩道の整備具合です。都市中心部などは比較的整備されていますが、少し地方に行くと極端に歩道が狭くなる傾向があり、所によっては車道の片側端に一人しか通れなさそうな狭いスペースを白線で区切っているだけというのも珍しくありません。中にはそれすらなくて車道と歩道の区別すらされず、車二台がすれ違うとなるとギリギリのようなスペースでも何故か道路となっています。

 個人的に非常に不思議なのは、そうした非常に細い道が車道となっている点です。はっきり言えば通行止めにして車が入れなくしてしまえばいいと思えるのに、何故だか通行を許可して、その結果歩行者が割りを食うだけでなく通る車すらも通行に難儀するなんて果たして誰得です。

 また二輪乗りの立場から言わせてもらうと、やはり路側帯の整備は日本は非常に悪く、はっきりいって中国よりもひどいとすら思います。これのせいで自転車乗りは自分の身の安全を守るため一部箇所で段差のついた歩道に乗らなくてはなりませんが、これはこれで歩行者と自転車の接触リスクが高まるし、歩行者の立場からすると自転車が怖く感じるのもわかります。
 一方、自転車に乗る方も歩道は怖く、無駄に波のある段差だったり、変なブロックが中途半端に置かれたりしていて乗ってて結構苦しいです。ただ歩行者を怖がらせてはならないと私が乗る場合は速度を早歩き並みに落としますが、中には歩道の上をロードで非常に速い速度で走り続ける輩もいて、これに関しては自転車乗りが嫌われる要因になっていると思え、見ていて気分が悪いです。

 話を歩道全体に戻すと、なんか車道は非常に整備されるくせに歩道は極端に細く狭かったり、場合によってはなかったりして、私自身も日本は歩行者が軽視されていると思います。先程述べたように極端に狭い道路であればこの際車の乗り入れ自体を禁止したほうがいいとすら思えるのに、そうした措置は実質私道以外見当たらず、この点に関しては日本の道路行政に強い疑問を覚えます。
 なお中国の話をすると、電動バイクに乗る人も多いことから歩道と区切られた路側帯が割合整備されており、自転車に関しては非常に乗りやすいです。また歩道も大通りなどは非常に広く取られているのはいいのですが、その歩道に平気で四輪自動車が乗り上げてくるのはいいかげんにしろよとよく思います。そのせいでよく歩道のひび割れとか起こるし。

 またあとネットのコメントで見たのですが、今回の事故に関してはガードレールがあればというコメントとともに、今政府が進めている電柱の地中化が進めば、こうした事故がもっと増えるのではないかというコメントが印象に残りました。私自身はかねてから電柱を維持すべしという立場ですが、こうした交通事故などの際の歯止めとしての役割を電柱がよく果たしている(京都のてんかん患者暴走事件など)と聞くだけに、ガードレールを置かないのならやはり電柱は地中化すべきではないと改めて思います。

 最後に思い出話というか、私が高校生だった頃に同級生が信号待ちしていたところ、事故で衝突したバイクが吹っ飛んで来て、近くにいた友人が巻き添え食って死にかけた事がありました。幸い九死に一生を得たものの、この影響で斜視になるなど友人はハンデを負いましたが、今ちょうど某国立大学医学部の最終学年で、去年に国家試験も通過しており来年から臨床に入る予定です。
 なおなんで医者になったのかと言うと上記の事故は全く関係がなく、大学の理学部を中退した後で企業に勤めて働いた際、早稲田閥が強い会社だったとのことで「やっぱ学歴って重要なんだな」と思ったらしく、「じゃあ医学部に行こう」と考えて進学したそうです。元々会話とかも脈絡のない事をよく言い出す友人で行動面でも突飛なことが多かったのですが、以前も久々に電話かけたら、

「俺モテたいんだけど(´・ω・`)」

 とか言い出して、「知るかアホ!自分で努力しろ(# ゚Д゚)」と伝えてあげました。

2019年5月8日水曜日

欠陥商品を作るメーカー、売る量販店

 先月の日本旅行時、もともとPCサプライ品が大好きとあって家電量販店でマウスパッドをわざわざ二つも購入しました。一つはレザーの手首クッション付きマウスパッドで、質感は非常に良かったのですがマウスを置く机の位置関係から、手首クッションが思い切り手首に当たるためマウスカーソルが少しブレることがあり、結局こちらは会社で同僚にあげてしまいました。

 もう一つは全面レザーの硬いマウスパッドで、デザイン性を気に入って購入したのですが、口うるさい性格をしていることを自認しているものの、この商品について言えばはっきりと欠陥商品だと断言できるくらいひどいものでした。というのもこのマウスパッド、マウスを乗っけて動かしたらなんとマウスとともにマウスパッドも滑って動くという代物で、自宅、会社の双方の机で試しましたが、マウスとともに右に左に上下に文字通り縦横無尽に動き回り、マウスパッドとしての機能を完全に忘れ去ったかのような商品でした。
 実際裏面を見ると、粗目上にはなっているもののプラスチックの素材がむき出しとなっており、かえって凸凹した表面のため接触面が少なくなり、並の机なら確実に滑るような仕様となっています。なお生まれてこの方、マウスパッドが滑るという体験はこの商品が初めてでした。

 そんな欠陥もいいところなマウスパッドですがこの商品自体よりも、この商品が実際に作られて、実際に売られているという事実の方がショックが強かったです。

 前述の通りこのマウスパッドはマウスごと滑りまわるためマウスパッドとしての機能はほぼ皆無に近いにもかかわらず、マウスパッドとして売られているわけです。普通、こんな商品試作の段階でその欠陥には確実に気づけるはずで、一般的なマウスパッド同様に裏面にゴムやシリコンをコートするといった対策を取るとのが普通だと思うのですが、そうしたことはなされないままメーカーは量産へと至っているということになります。
 そしてこの商品を仕入れた量販店、具体名を出すとヨドバシカメラですが、売り場ではこの商品が什器に固定された状態でサンプル展示されていました。それだけに、売り場担当者はこの商品を直に手にとっているにもかかわらず欠陥には気づかなかったのか、売り場へ置く前に商品の吟味や選別をしないのだろうか、こういった点で強い疑問を覚えるわけです。

 何度も言っている通りこの商品はマウスパッドとしては何の機能も果たさない、はっきり言えばただ表面に革張っただけのプラスチック板でしかありませんが、それがマウスパッドとして量産、流通されてしまっているという現実を見ると、色んな意味で不安になってきます。ジャンク品ならまだしも。
 もう少しはっきり言うと、この一件で中国と比べれば日本はまだ流通商品の信頼性があるだろうと考えていた私の中の仮定がガクッと揺らぎました。不良品が混ざってしまうのはメーカーの立場を考えるとまだ理解できるものの、仕様通りであっても明らかな欠陥品がこうして作られ、流通過程でも排除されずに売り場に置かれてしまうあたり、日本の生産、流通現場はどうなっているのか、もっと言えばまともな人材は一連のプロセスの中で一人もいなかったのかと、日本の人材不足すら心配になってきました。

 たかがマウスパッドとはいえ、こんな欠陥商品が通天閣近くの怪しい路端や、よくわからないネットショップとかではなく、大手量販店で売られてしまっている事実はやはり懸念すべき事態であると私には思えます。正直このところの株価の下落よりも、この一件の方が私にとって将来の日本の懸念材料として大きいです。

2019年5月6日月曜日

巴マミな物件

ティロフィナーレ松戸(SUUMO)

 不動産業界研究の一環、もとい現実逃避の一環として無駄に仕事中に松戸の物件を探したところ、円環の理な物件を発見しました。分かる人には早いでしょうが、ティロ・フィナーレとは「魔法少女まどか☆マギカ」に出てくる非常に有名なセリフ、もとい一瞬でこのアニメがグロテスクで救いのない話であることを示した伝説なセリフです。

 本来は必殺技の名前として使われるのですが、アニメで実際に使われた、というか最後に使われたあとの結果から「使うと敗北」、「首がもげる」など因縁深い言葉として伝わるようになりました。

 そんなティロ・フィナーレなこの物件、恐らくというか間違いなくオーナーは「貴様、見ているな!」といっても問題なさそうな人です。にしてもこの物件を始めてみたときはマジでビクッとしました。

2019年5月5日日曜日

厄到来

 このところあまりそういう系のイベントなかったけど、自分は割と厄をためてついていないときはとことんついていなくなる事が多いと思うので、この前鎌倉行ったときは厄払い系の神社仏閣を中心に攻めました。ですが、なんか来ちゃったみたいです。

 昨日、自宅に帰って背嚢を片そうとしたところ、たまたまチャックが空いてた上に中からタブレットがズサーって飛び出して、落ちてしまいました。昨日の時点では気づきませんでしたが今日になって端っこの方に小さい傷がついていることに気がついてしまいました。
 機能的には問題もなく目立たない程度なのですが、ハードカバー着いているから保護膜はらなくてもいいかなと放っておいたらこれで、今度保護膜貼りに行こうかと反省しています。

 そしたら今朝会社に行ったら、使用するPCが朝一では問題なくWIFIに繋がったのに、何故か十分くらいしたら突然断絶して、システム部に持っていったら、「なんか中枢のシステムがやばい」とのことで交換になりました。交換には丸一日程度かかると言われやることもないから家に帰宅したらシステム部から、「交換完了(´・ω・`)」との連絡が来て、やることもないからまた会社へ行くこととしました。
 そしたら交換されたPCがやけに癖のある内容になってて、設定面で苦労したかと思えば、仕事で必須となるソフトウェアのインストールを何故か受付けなくなっていました。同じ部署のメンバーを含めこれまでそんなことは一度もなく、内心イライラしながらシステムにどうにかしろと行って無理やりインストールさせてこちらはうまく行ったものの、実際に動かしたらエラーばかりで全く使い物になりませんでした。

 っていうかネットに繋がらなくなったり、ソフトウェアが使えなくなったりと、何故か自分だけに集中して起きてて、一体何でこんな集中攻撃食らうのか、わけがわかりません。上記のソフトウェアはフリーのソフトウェアですがガチで業務に必須というかこれなしだと苦労が十倍にもなりかねないソフトなだけに、下手したらまたPC交換になるのではとすでに予期しています。

 でもって最後、昨夜に電気ケトルが壊れました。使えないことはないのですが蓋の開閉レバーが壊れ、レバーを引いても蓋が開かず、お湯を注いでいる最中に蓋が少し空いてお湯が漏れ出したりと危険なので、買い換えるつもりです。
 マジで自分でもびっくりですが、これら全部昨日から今日にかけて一気に起こりました。やはり自分は不幸の似合う男だなと皮肉めいた言葉すら言いたくなる状況ですが、どれも生きてりゃよくある不運とはいえ、まとめて一気にきすぎだろうとうんざりした気持ちにさせられます。

 さて明日はちゃんと業務できるのだろうか。あと電気ケトル忘れずに買い換えないと。

2019年5月4日土曜日

漫画レビュー「正直不動産」

 昨日取り上げた「ハコヅメ」は、「実写化が向いていそうな作品」というレビューで知りましたが、今日取り上げる「正直不動産」はもっと複雑な経緯から知りました。

 サンデーで以前、「LOST+BRAIN」という誰がどう見ても「デスノート」のモロパクリ作品が連載されたことが有り、実際に読んでみると死神のリュークに当たるものが出てこないだけでそれ以外の構成はほぼほぼデスノートというひどい作品でした。そのためか連載当時からも評価は悪く、さっきAmazonでみたら古い作品でもないのに未だに電子書籍化されていない、っていうかハードコピー版も正規販売されておらず、闇が深いです。
 ただ、この作品でひどいのはストーリー構成で、作画に関してはそこそこ良くまとまっていた印象がありました。この漫画は原作と作画の人が別々で、それだけにとんでもない作品の作画任された大谷アキラ氏は災難だったなと半ば同情していたのですが、その後の大谷氏の活動については比較的評判がよく、今連載されている「正直不動産」も評価が高いと聞くに及びました。

 もともと日本の不動産業界の慣習について興味があり、「不動産屋にだまされるな」という本も読んでいたことからこの作品にも興味があると、中二病時代に風水師目指していた友人に話したところ、友人もすでに「正直不動産」を読んでいて面白いと太鼓判を押したことから先日、大人買いして一気に読んでみました。
 それにしても友人は風水師目指しただけあって、不動産にもやはり興味が強いようです。

 この作品の概要を簡単に説明すると、口八丁で不動産会社のトップ営業マンとして活躍していた主人公はある日、取引用地に置かれてあった石碑を蹴り壊したところ、その石碑の祟りを受けて一切の嘘がつけない、っていうか本音が口を出てしまう呪いを受けることとなってしまいました。そのため、嘘ついてなんぼの不動産営業において致命的なハンデを背負うこととなり、トップだった営業成績も途端に急降下していきます。
 うだつの上がらない成績に退職すら考えていたところ、主人公にとって明かすことで不利となるような不動産取引におけるデメリットもスラスラ話す主人公に対し、好感を持つ顧客も現れはじめ、主人公自身もこれまでの虚飾にまみれた営業とは違う、顧客に感謝されるような正直な営業でやっていこうと決意する、というのが大まかなあらすじです。

 分かる人に早いですが、不動産屋が顧客に対して口にする内容は嘘ばかりで、顧客をいかにダシにして不動産屋が儲けるかというセールストーク、言い方を変えると口からのでまかせで契約にこじつけられることが多いです。先程挙げた「不動産屋にだまされるな」は不動産業界専門の会計士が書いた本で、まさにこの分野の不動産屋の手口について警鐘を促す内容となっています。
 「正直不動産」の場合、主人公が嘘をつけないという特徴、つまり本音を言ったらまずい部分が強調されて描かれています。これは読んでいて非常にうまいと思ったのですが、不動産屋がどのような言い回しで顧客を騙すかというセールストークと、「本当のところはこうなっている」というからくりとでしっかりと対比されるように描かれ、読んでる側としても非常にわかりやすいです。ただ私の場合は「不動産屋にだまされるな」で予習していたこともあり、「レインズ」などの単語も注を読まずに読み進められるという背景がありますが。

 やはりほうぼうから話を聞くと、真面目な不動産業者は確かに存在するものの、圧倒的多数の不誠実な不動産屋に覆い尽くされているのが現状のようです。それだけに利用者の側もしっかりと知識を身に着けて対抗していく必要があるということが作中でも何度も強調されており、業界全体の異常さを知るにつけ、実に適切な指摘だと思えます。
 それだけにこの作品も「ハコヅメ」同様に是非読んでもらいたい作品で、これを気に不動産業界のモラルが良くなることを切に願っています。

 なお五巻にて描かれている、封印されし過去が暴露されたときのヒロインの表情は見物です。

  

2019年5月3日金曜日

漫画レビュー「ハコヅメ~交番女子の逆襲」

 ひょうなことから知った作品でしたが、一読して将来映像化されるだろうと感じたのが「ハコヅメ~交番女子の逆襲」という漫画です。

 この作品は実際に某県警の警察官だった作者による、交番勤務の婦人警官を主人公とした作品です。何が凄いかってこの作者の奏三子氏、それまで漫画の執筆経験が一切ないまま漫画の投稿をし始め、連載が決まりかけると編集に制止されるだろうからと黙っていきなり警察官辞めて連載を開始したという点です。しかもその点について尋ねられると、「大丈夫です。うちの一族はどこ行ってもパートリーダーになるので食いっぱぐれることありません」と、なんか作中の新任婦警のようにどこかピントのズレた回答をしています。

 っていうか何故かカー雑誌のベストカーでインタビューに答えているのが意味不明すぎる。

 話は作品内容に触れますが上記の作者経歴からわかる通り、この作品は交番勤務の婦警を主軸に置いた警察漫画です。ただ警察漫画と言っても犯人逮捕とかのシーンより、警察内部のいろいろと一般社会とかけ離れた超体育会系の世界をメインに描いており、具体的には婦警のことを「制服を着たゴリラ」と何度も呼ぶなど、男女関係なしに力ある者しか行き残れないという壮絶な世界を描いています。
 なお前述の通り作者はこれが初連載ということもあって、連載が進むにつれ画力が向上して絵柄が現在進行形で変わっていっているのですが、人物の造形よりもゴリラの造形の方が段々深くなっている気がしてなりません。それだけゴリラが何度も登場する作品です。

 この漫画を最初一読して感じたこととしては、率直に言って「銀魂」の作者、空知英秋氏を連想しました。というのもこの漫画は銀魂同様にセリフ回しがとにもかくにも秀逸で、1コマで1人のキャラクターに2つ3つの吹き出しがつくなどセリフや掛け合いが非常に多いにもかかわらず、ごちゃごちゃした書き方はされずすっと読み進められる点で驚きました。
 銀魂でも1コマの中で「ボケ→ツッコミ→ボケ」というように通常「ボケ→ツッコミ」の2回で終わる掛け合いが3回続くことが多いですが、この「ハコヅメ」でも同じように掛け合いが3回くらい続くのが普通です。こうした描き方は空知英秋氏くらいしかできないと思っていただけに、他にもできる人がいたのかという点で強く驚きました。

 またそのセリフ掛け合い内容も非常に面白く、

「こういうときは一番下っ端が真ん中でしょ。社会人としての常識だよ」
「常識ある社会人は先輩と3人でシングルベッドに寝ないです」

 というように、ディープな警察あるある内輪ネタと絡めて展開されます。なおこの後のセリフは、(あっさり寝られた。どんどんこの組織に染まってく…)、となっています。

 その警察ネタもこれまでの警察漫画に見られないものが多く、やはり女性の視点から描かれていることもあって、警察犬のことを「お犬様」と呼んだり、先輩婦警のことを「チンピラ大奥」、「ジャックナイフ」と言ってのけたりと、どれも非常に新鮮です。大半の内容は警察のことを「体育会系ヤクザめ」、「日本一ヤバイ組織」と呼ぶなど自嘲めいたものが多いですが、警察内部では実際過労死する人間が多く、そうした激しい勤務の現状を少しでも伝えようとして描き始めたという作者の話を聞くにつけ考えさせられるところは多いです。

 また基本は「窃盗被害品の成人向けDVDタイトルを弁慶の勧進帳の如く読み上げる婦警」を描くなどギャグテイストで進みますが、中には検死現場、交通事故現場など深刻な仕事現場も紹介するなど、内容には相当なメリハリがつけられています。それだけに自分も1巻を購入した後、続けざまに残りの既刊分をまとめ買いさせられました。
 改めて思うこととしては、モーニングの編集部はよくこんな新人を発掘して来たなということです。もっともモーニングの担当によると、アドバイスした点の咀嚼が異常に早かった上に、社会人経験からかレスポンスが非常に早く、指摘した翌日には新しいネームが送られてきたこともあったなどと述べており、他の漫画家志望者とは一線を画す点が多かったそうです。

 どちらにしろこの漫画は非常におすすめなので、なんか面白いギャグマンガないかなと思う人は自分としてもぜひ手に取ってもらいたい作品です。

ロードバイクは体に悪い

 今日は午前九時から午後四時まで、途中で作り置きしていたカレー喰う以外はガチでずっとパソコンの前で次回記事書いていました。自分にとってもシャレにならない集中力でしたが、昨夜恐らく軽い癲癇発作で頭痛起こして夜十時にダウンしてずっと寝ていたことが背景にあると思います。
 そう考えると、自分は癲癇発作がなければいつもこれだけの集中力を発揮できるのかもと思う一方、癲癇発作があるからこそたまにこういう集中力を発揮するのが恐らく真実でしょう。癲癇発作が収まった後って大抵いつも調子よくなるし。


 それで本題ですが、今まで調子悪くて書けませんでしたが先々週末に日本旅行した際に、今までゆっくり見ることのなかった鎌倉へ行ってきました。


 写真は有名な鎌倉大仏ですが、鼻の下の切れ目を見て一瞬、「バキ」って漫画に出てくる花山薫というキャラクターを連想しました。

お寺の竹林


 こちらの像は鎌倉宮にある村上義光の像です。この武将は鎌倉時代末期、後醍醐天皇の皇子である護良親王が襲われた際に彼を落ち延びさせるため、護良親王を装って身代わりとなった武将です。その経緯からこの像は「身代わり像」として、撫でた箇所の厄を引き受けてくれるというご利益があるそうです。
 なお同僚にこの写真見せたら、「女の子がキャーって、恥ずかしがっている素振りに見える」という感想を洩らしました。

海岸沿い

お寺のワンシーン

政子石

 上の鶴岡八幡宮にある政子石は北条政子にあやかって良縁を結びつけると書かれてありましたが、不謹慎ながら良縁を結ぶ一方で、夫や子供に先立たれそうな感じがします。

 このほか話せるエピソードとしては、鎌倉大仏のある高徳院の入場チケットを買おうと並んでいたところ、外国人の子供が何故か親が止めるのも聞かず、ひたすら玉砂利を口に入れ続けていました。親には何度も吐かせられるのですがすぐにまた口に入れており、女の子でしたがもし自分が名付け親になるなら「漱石」と名付けようと思わせる子供でした。

 あとこの鎌倉訪問では駅前にあるレンタサイクル屋で自転車を借りて回りました。自分の想像以上に鎌倉は小さい面積に観光地が集合しており、道が細いというデメリットこそあるものの、自転車で回るのにはいい街だと思いました。
 なお自転車を借りたレンタサイクル屋では「スポーツ用自転車」のメニューもあったので最初これを選ぼうとしたところ、二台しかなく既に借り去られていました。お店の人に聞くとしょっちゅう壊れるとのことで、「こういうのに乗る人ってみんな乗り方荒いもんね(´・ω・`)」と言ったら店の人も笑ってました。

 なので、その次にいい六段変速のギア付自転車を借りることとしました(1800円/1日)。それに乗って鎌倉を回ったのですが、正直に言ってめちゃくちゃきつかったです。というのも普段上海でロードバイクに乗っており、ギア付とはいえノーマルの自転車に乗るのは超久しぶりで、「あれ、風ってこんなにつらく苦しいものだったっけ?」と思うくらい風圧を感じた上、どんだけ頑張ってペダルを踏んでも速度が上がらず、っていうか常にペダルを漕がないと前に進まないという現実に驚愕しました。
 ロードバイクだったら割かし、ペダルをある程度漕いだらスピードが落ちずにそのまましばらくずっと前進し続けます。しかし普通の自転車だとそうもいかず、ペダルを止めたらその一瞬でスピードがなくなり、減速どころか停止してしまいます。当たり前の物理運動だろうけど、なんか自分にとっては衝撃的でした。

 その上で結論を述べると、ロードバイクはやっぱり体に悪いです。何故かっていうと楽過ぎるからで、私の感覚で述べるとロードバイクで50㎞走るより、ノーマルの自転車で20㎞走る方がずっと辛い気がします。体を鍛える上ではロードなんかに乗るよりノーマルの自転車の方がずっと効率的でしょう。そう考えると、日本にいた頃はよくあんなノーマルの自転車であちこち走り回っていたものだと思えてきます。