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2025年9月21日日曜日

映画「731」に対する中国の反応

 この週末は気温も下がって天気も良かったので、部屋からほとんど出ずにずっとプラモとゲームをして優雅に過ごしました(´∀`*)ウフフ


 で、作ったのがこのキングタイガーことタイガー戦車タイプ2です。一応、Mengのデフォルメ版のキットなのですが割とプロポーションよく、角度によっては通常版のキットに見えなくもないです。


 接着剤いらずのキットですが製作中に車軸一つを折ってしまうミスをやらかしたりしましたが、全体としては前のデフォルメ版3号戦車よりはパーツ整合性がよく、楽しく作れました。


 それで話は本題ですが、先週木曜日から日本でも色々報じられている731部隊を取り上げた「731」という映画が中国で公開されました。この作品の公開以前からも「南京照相館(南京写真館)」という南京大虐殺をテーマにした国威発揚映画が人気を博していたことから、昨年相次いだ日本人襲撃事件もあり、中国における在留邦人に対する暴行事件などが増えるのではないかと懸念されていました。

 先のリンクにある通り私は「南京写真館」については既に見に行っており、映画単体としてよくできているし面白いと素直に感じました。そんな私ですが今回の「731」に関しては公開前から現在に至るまで見に行こうという気は全然なく、ほとんど毎週映画見に行ってて今週はほかに見たい映画もあるわけでもないにもかかわらず、見に行くことはありませんでした。
 一体何故「731」を見に行く気がないのかというと、単純にあらすじとか見ても面白そうに感じなかったからです。「南京写真館」の方はキービジュアルとか南京市の写真館で隠れ潜むというあらすじが面白そうだと感じ、何より上海ロックダウンを経験していて外の出れない苦しさを体験していることもあり、この映画ではその辺がどう描かれるのだろうかという点で興味がありました。

 それに対し「731」の映画紹介とか見ていると、731部隊を例に日本の残虐さがどれだけひどかったかなどと言うアピールが強く、その残虐さをどのような筋立てで見せようというのかがあんまり伝わってこず、キービジュアルを見ていても魅力を覚えませんでした。10月の連休中によっぽど暇だったら見に行こうかとは思いますが、現状はそんな感じであまり乗り気じゃありません。

 では実際に見た人たちの反応はどうか。まず大衆点評というウェブサービスサイトの批評を見るとものすごい長文で10点満点をつけて絶賛している人が多く見られました。大体どれも日本はどれだけ残虐で世界に害をなしてきたか、この映画はそれらについて大きく振れているなどいったことが延々と書かれてあるのですが、よくよくみると映画そのものの内容についてはあんまり触れていないというのが多かったです。
 低いスコアをつけるレビューも見られましたが、友人によると大衆点評はサクラレビューも多いから、好評価レビューが多くてもあんま信じるなということでした。でもってその友人に勧められた批評サイトの豆評を見てみると、こっちは「期待外れ」っていう意見が圧倒的に多かったです。

 豆評の評価が低いレビューの具体的内容を見ると、まずストーリーが悪く、ロジックからしておかしいというものが目立ちました。時代考証も同様に悪く、この点でしっかりしていた「南京写真館」とは雲泥の差と書く人もいました。
 そして俳優の演技に関しても低評価が多く見られます。「南京写真館」なんかは私が見ていてもみんなすごくいい演技をしていたと感じたのですが、それと比べるとこの「731」では「コメディじゃねぇんだよ!」という厳しい意見すら見られます。

 一部引用すると、「731部隊の悪行はありのままに表現すべきであり、娯楽になどしてはならない」というかなり怒りのこもったレビューも見られました。これに限らず、全体として「もはやコメディア映画」などと評価する声が多く見られ、いわゆる反日ドラマ的なわかりやすい悪役が正義役に成敗される的なちゃんとしたら歴史ドラマとするならあり得ない展開ぶりを批判する声が目立ちます。
 「俺は愛国者だ」という前置きを踏まえながら「だがこの映画は大きな期待外れだった」と続くレビューが多く、ぶっちゃけ豆評のレビューではこの映画の良いところを探し出す方が難しいくらいでした。

 私はこの映画が当初予定の7月から公開延期になったことについて当時、中国政府の日本への気兼ねとか国民感情とかそういうのではなく、ただ単に映画内容が歴史考証とかで問題が多かっただけではと書きましたが、今こうしてレビューを見ているとやはりこの通りだったような気がします。このまま低い評価が続くのであれば10月にも入ればすぐに忘れられそうなので、あんま日本にいる人はこの映画について気にする必要はないのではとも思います。

 なおこの映画を批判する批評の中には、「この映画は日本人の残酷さ、中国人の心強さを表現しきれていないヽ(`Д´)ノプンプン」というのもあって、「そういう見方もあるのか( ゚д゚)ハッ!」と思わせられました。

「中国の景気悪化=中国企業の弱体化」ではない

 このところ景気が落ち込み始めている中国は数年内にさらなるどん底に落ちるという予想をかねてよりこのブログで展開していますが、ここ数ヶ月の上海や国家統計データ状況を見ていて、こうした予想は確実だという意識を強めています。ただその一方、今後中国の経済が破綻して中国の効力は落ちるものの、中国企業の勢いが弱まるかと言ったらそうではなく、今後も世界で勢いを増し、国際市場において日系企業をより淘汰していくだろうと見込んでいます。

 こうした見方を理解する上でいいモデルケースは、「失われた10年」こと1990年代におけるトヨタです。90年代当初のトヨタは「トヨッタ♪」という音声流れる素朴さあふれるCMをまだ展開しており、また実力はあるけど本社が地方にあって価値観がやや閉鎖的だなどと「田舎大名」とも呼ばれていました。
 しかし90年代、特に1995年に「世界のヒロシ」こと奥田碩氏が豊田家以外で初めて社長に就任して以降は急激にグローバル化路線を広げ、それまでやや米国に偏っていた国際販売を一挙に世界中へと広げ、今日の「世界のトヨタ」を築ぎあげました。はっきり言えば奥田以前と以後でトヨタは全く別の会社です。

 この間、日本国内は前述の通り「失われた10年」でどの大手企業の業績も悪化し続け昔日の勢いを失っていきました。伸びていたのはデフレの恩恵を受けた小売系、特に飲食系くらいで、小売でもダイエーなんかは破綻しました。
 では何故日経済が悪化していたのにトヨタはでかくなり続けたのか。結論から言えば国内市場が落ち込むのを尻目に海外市場で稼ぐようになったからです。トヨタはこの間、国内市場でもシェアトップを維持し続けていますがそれ以上に海外売上高を拡大し、田舎大名から世界のトヨタへの華麗な転身を決めています。

 こんな具合で、今後中国経済が破綻するとしても、海外で稼げる力のある中国企業は失った国内売上以上に海外売上を稼いで拡大を続けることでしょう。むしろ今見ていると有力な中国企業ほど国内市場の先行きをにらんでか、海外現地生産拠点を設けたりするなどグローバル展開に熱心であるように見えます。中国政府もこうした動きを応援しており、製造業に関しては恐らく今後中国国内の雇用は減るでしょうが企業の海外展開が加速するでしょう。

 でもって、こうした中国企業の海外攻勢を受け、既に海外市場のシェアを削られている日系企業はさらに打撃を受けることになると思います。主な業界としてはやはり建機が一番割を食うように思え、自動車も新エネルギー車のシェアが広がるにつれて既存燃料車でも日系のシェアが削られると思います。電池に関してはもはや言わずもがなです。

 何となく中国経済破綻を期待したうえで、「これでまた日系の天下が来る」などと述べる人をネットで見るのですが、そんなのははっきり言って幻想です。国家経済が悪化するとしても、その国籍の企業の業績が悪化するとは限らず、むしろ国内の不足分を国外で埋めようと海外展開を加速するきらいすらあるため日系は余計苦境に陥るとみるべきでしょう。中国経済の弱体化を中国企業の弱体化と同一視することはかえって危険です。
 昔から言っていますが、敵失を期待するような連中には勝利など来ない。

2025年9月15日月曜日

これから訪れるだろう中国企業の継承問題

 今日、何気なく中国人の同僚と今後の悲観的な中国経済の予想について話をした際、これまでこのブログで語ってきたことのほか、中国企業の継承問題もこれからぼつぼつ始まるだろうという見方を見せました。

 以前にも少し触れたことがありますが、現在の中国の大手民間企業の社長は基本的に創業者です。市場経済を取り入れる改革開放が本格的に始まったのが1980年代で、この時に20代とか30代で旗揚げして現在も経営を司っているという人が多いのですが、さすがに年齢的にもそろそろ交代というか継承を考えなくてはならない時期に来ています。
 香港企業の場合、基本的に分割相続で兄弟が三人いたらものの見事に三分割しちゃい、その後に兄弟間の骨肉の争いがおっぱじまるのが常です。それに対し中国はこの点一人っ子政策のおかげで兄弟が少なく、兄弟間で争い合うケースは比較的少ないというメリットがあります。

 ただその一方、兄弟はいないものの愛人はいるというケースがめちゃ多く、実際に息子に相続させた後で「私にも遺産くれるって言ってた(# ゚Д゚)」的に愛人が吠えてくる例が既に結構起きています。この橋をしたら中国人の同僚もめちゃ爆笑して、「日本人なのによく知ってるね(*´∀`)」と言ってくれました。
 仮に愛人が単独で居るならまだしも、愛人との間に隠し子もいたらこの手の相続はさらに揉める可能性が高いでしょう。最近はDNA鑑定で血縁関係もはっきりわかるだけに、大企業継承で内紛がこれからあちこちで頻発すると予想します。

 さらに付け加えると、平穏裏に継承ができたとしてもその子供の資質にも不安が残ります。いわゆる富二代というか戦国期を生き抜いた父親と比べると大半のケースではダウングレードとなることは確実で、そもそも才覚あるなら中国なら親の会社を引き継がずに自分の会社を立ち上げるもなので、今後の継承により中国企業の勢いはかなり落ちる可能性が高いとみています。日本でもダイエーなんかまさにそうでしたし。

2025年9月12日金曜日

中国人に日本での就職を勧める日々


 上の記事で中国の労働人口の激減予測と就職氷河期について書かれていますが、最近マジで日本語使いの中国人に会うと、「お子さんは日本の大学に留学させた方がいいですよ」と確実に進めています。理由は一にも二にも就職で、日本の大学を出て日系企業に就職させる方が安全安心確実だからです。

 あんまり重ね合わせ過ぎてはいけないと思いつつも、マジで現在の中国は日本の90年代の生き写しであることにビビっています。時期的にも2025年の中国は1995年の日本と瓜二つで、実体経済はまだ楽観視した雰囲気があるものの、若者の就職面ではもはや完全に氷河期に入っており、さっきも中国人の友人とこの話題で話してました。
 天津に住むその友人によると、就職先がなく親と一緒に働く子供が多いそうで、タクシー運転手の家庭では昼は父親が、夜は息子が運転しているそうです。また情報系の大学を出て就職したものの、会社が倒産して父親の内装業を手伝うという息子もいるそうで、これはこれで親孝行な感じもします。

 とはいえ雇用が改善する兆しは一切見えず、また現在比較的活発な個人消費も、日本も95年当時はCDでミリオンセールがいくつも出るなど歴史的にも最も個人消費が活発でした。これらが暗転したのは97年のことだったので、中国も2027年あたりで実体経済が一気に落ち込むのではないかと予想しています。
 なお中国の個人消費を支えているのはやはり淘宝ことネットショッピングです。これがあるからどんな地域にもいつでも商品を手ごろな価格で売ることができるのですが、その選定として異常に低い運送料があります。もし仮に今後運送料が高騰したら、全商品の価格に上乗せされ個人消費が冷え込む可能性もあるのではと危惧しています。

 話を元に戻すと、諸悪の根源ともいうべき不動産業界の不良債権についてはマジ完全に放置されたままです。これをどうにかしないとどうにもならないのですが、「景気が良くなったら対処しよう」という日本と同じ過ちを完全に繰り返しています。っていうかもはや、現実逃避しているような気すらします。

 話が行ったり来たりしてますが、2年後辺りに想定される事態として日本と同じく増税が来るのではとみています。既に中国の地方財政は破綻していて、各地でサラ金の取立みたいに日系企業とか外資企業に何年も前の指摘事項を引っ張り出してきては税務局は追納を要求しています。そういう動きを追える立場にあるのですが、マジで見ていてその強引さには驚くとともに、切羽詰まった感が強いです。
 こうした状況から早ければ来年にも日本の消費税に相当する増値税、または法人税の税率を引き上げてくるのではないかという気がします。っていうかそうしないと国が持たないレベルまでもはやきており、その増税が引き金となって個人消費も冷まし、真の氷河期を迎えるとみています。

2025年8月27日水曜日

直接戦っていない国ほど末端の兵士を批判しようとする

中国、台湾を非難 抗日戦争での共産党の役割否定は「冒涜」(ロイター)

 暑くてほかにやること浮かばずゲームもする気ないので記事を書き続けますが、上の記事を読んでというか前からちょっと思うところがありました。

 大分前に何かの記事で読んだのですが、硫黄島の戦いに参加した日本、米国の元兵士が何かのイベントで対面することがあったそうですが、彼らは互いに会うなり大泣きして抱き合ったそうです。それだけこの硫黄島の戦いは双方の兵士にとって苦しい戦いであったと記憶されており、敵味方を超えてあの時あの場に立っていたという事実のみで深い共感と同情を持ちあったと言われています。

 以上のような話は何も硫黄島や日米間に限るわけじゃなく、ほかの国とかでもよく聞きます。同じ日米だと日本のエースパイロットの坂井三郎が戦後に自分を撃墜し損ねたパイロットと会うなり「このへたくそ!」と言って互いに大笑いしたと言いますし、米独や独仏とかでもそういったことがあるというのを聞きます。
 なんでそうなるかというと国同士の戦争とはいえ末端の兵士からすればどちらも高級士官によって戦場に叩き込まれるだけで、敵同士として戦ったとはいえ戦場で戦った兵士同士からすれば「同じ場所で戦い合った者同士」という共感が得られるのではないかと思います。

 実際にというか、戦争を起こした相手国の政治、軍事指導者が恨まれることはあっても、相手国の兵士そのものをその後も憎み続けるというのは案外少ない気がします。日本ですら原爆を落としたB-29のパイロットやその家族を批判したりする話は聞かないし、米国側も勝者の余裕もあるでしょうが、軍事指導者などを除けば現代においてそこまで日本を批判することなく、一兵士に至っては自分も記事を書いた藤田信雄のように、戦後に称賛するにも至っています。それもこれも、「戦争というのは指導者の責任であって、末端の兵士には責任がない」という前提があるのと、前述の通り苦しい戦場を共に共有したからでしょう。

 それに対してというのもなんですが、中国も韓国も戦争指導者以前に末端の日本人兵士を殊更批判することが多い、というか近年ますますこの傾向が強くなっている気がします。以前はそれこそA級戦犯への批判が多かった気がしますが、なんか最近は日中戦争に関して「どこそこで日本の兵士がこんな残虐行為をした」などと並べ立てたりして、批判がそうした行為を指示した士官ではなく、どんどん末端の兵士へと向けられるようになってきていると感じます。
 なんでこうなるのかというと冒頭のロイターの記事でも指摘している通り、現在の大陸の中国が日本と戦争をしたという実感を持っておらず、近年はその傾向に拍車がかかっているからじゃないかと前から思うところがありました。韓国に至っては日本はそもそも戦争しておらず、だから指導者よりも末端の兵士をあげつらうのだとはっきり感じます。

 実際のところ日中戦争で日本軍は解放軍とも戦闘をしていますが、やはり主力として戦っていたのは国民党軍です。中国共産党自身も一昔前はあの時代は国民党との戦闘を中心に語っていましたが、近年は「中国として日本と戦っていた」という主張が強まってはいるものの、前述の通り日本と戦っていた実感を連中も持っていないように見え、だから「日本の兵士にこんなひどいことされた」と被害ばかりあげつらい、解放軍がどのようにして日本軍との戦闘を優位に進めたりとか勝利したとかにはあんま触れないんじゃないかと勝手に考えています。
 マジでこの辺の話は見ない、っていうかその辺は国民党軍の話になってしまうだけでしょうし。それだからこそ、被害の話に終始するんでしょう。

 実際に戦っていないのだから兵士同士の共感もなく、大所高所での判断ができず無駄に指示されるだけだった末端の兵士への批判を強めるようになっており、こうした傾向は「実際にはあんま戦っていない」という事実を側面的に証明しているかのようにすら見えます。そもそも何度も書いていますが、末端もそりゃ現地で略奪や残虐行為はしたでしょうが、真に責任あるのは指導者たちで、そこを批判せず末端だけ批判してもしょうがないというか未来につながりません。その辺を今の中国政府や韓国の運動家は理解していないから、膨れ上がったヘイトが変な方向に向かうんじゃないかとやや皮肉っぽく見ています。

2025年8月15日金曜日

歓迎すべき中国の反日主張の過熱

中国外相、日本は歴史直視し「正しい選択」を(ロイター)

 先日自分も感想を書いた「南京照相館(南京写真館)」に言及する日本語記事も増えていますが、それに合わせるかのように上のリンク先記事のように、このところ中国政府が日本を非難する発言や主張を増やしてきています。トランプ大統領就任時には「一緒に戦おう」的な親書を送ってきたのを考えるとかなりの転向ぶりですが、これはトランプ関税がそれほど中国にダメージを与えておらず、「日本と仲良くしなくてもいいじゃん」的に思い直したせいもあるでしょうが。
 もっとも、こうした中国の対日批判に対して日本人はもっと歓迎すべきで、「もっと言え!щ(゚Д゚щ)カモーン」的に叫んでもいい気すらします。何故かというと、対日批判しないといけないほど中国が追い詰められてきている証左でもあるからです。

 中国の現状ですが、貿易に関してはそこそこ好調で、第一次トランプ政権の頃とは違って米国への輸出依存を避け、半導体も必死になって自分で作るようになったことから前述の通りトランプ関税でそこまで深刻なダメージは負っていません。むしろトランプ関税はカナダやブラジルなど米国の同盟国ほど痛手を受けており、米国に対するデカップリングは今後ますます進むだろうし、それが回り回って中国にも追い風になってきているのかもしれません。

 ただ輸出は好調ではあるものの、中国経済自体はかなり危険というか不穏な空気が徐々に強くなってきています。一例を出すと、先日クリーニング屋の店員に「景気はどうだい?」と尋ねたところ、「去年よりはいい」という答えが返ってきました。深読みすると、「去年は最悪で、今年は好調とは言えないがまだマシ」というのが本音だったんじゃないかと思います。


 上の記事は自分が一目置いている王青さんの記事ですが、ここに書かれているようにこのところ中高級飲食店の閉店が本当に目立ちます。自分の家の近くにあったランドマーク的な高級料理店も閉店し、その跡地は解体されることもなく放置されています。ショッピングモールとかも空きテナントが絶賛増加中で、新たに入るとしてもリーズナブルで安価な飲食店ばかりです。
 前々から書いていますが、中国は景気浮揚のために家電や自動車の買替補助金をばらまいていますが、かつてとは違い市場がある程度飽和した現在においてこれらの補助金政策は数年先の需要を先食いする悪手としかなりません。以前から2年後の2027年あたりに副作用が出てえらいことになると予言していますが、このところその予測に対しますます確信を強めているというか、足元の景気の悪さが徐々に顕現してきているように感じています。

 そこで話を戻すと、そもそも余裕がある状態なら他国をいちいち批判したりしません。米国もそうですが国内で社会不安が広がっているからこそ政治家というのはそのヘイトを他国に向けるものです。日本も景気が悪化した90年代が、自分の知る限り最も反米意識が強かった時代だったように思えます。00年代はそれが中国、韓国に向きましたが。
 中国も、この1年くらいでなんか急に対日批判を強めるようになってきた気がします。日本人襲撃事件が起きるたびに一旦ストップしますが、去年の蘇州の事件の前辺りもなんか急に日本批判を強めていったような気がしており、つくづく反省しない連中だなという気がします。

 もっとも前述の通り、対日批判を強めるということは中国国内の経済、社会不安が増大していることの表れと判断していいです。いくら日本を批判しようが、中国の影響力は低下していくことになるのだから日本人はあまり気にしなくて構わないし、何なら冒頭に書いたように「苦しいんだね、もっといいなよ(´∀`*)ウフフ」的な態度を取った方がいいと思います。それこそ日本が中国の批判に言い返すどころか逆にこうした態度を取っていると、中国側も「なんやねんこれ(;´Д`)」みたいに次第に馬鹿らしくなって、かえって対日批判を収ていくような気がするし。

 ただ真面目に、今は嵐の前の静けさみたいな状態ですが、今後の中国はマジ茨の道が待っています。若者の雇用問題も全然好転していないし、不動産不況はむしろ色濃くなっているのに何の対策も打ち出せておらず、無駄に放置して時間を経過させて事態をむしろ悪化へと導いています。
 それ以上に本当の意味での導火線になると自分が思っているのは年金です。日本以上に膨大な人口を抱えて、日本以上にハイペースな少子高齢化が進む中国で、既存の年金政策が維持できるとはとても思えないし、制度にメスを入れようものなら若者の高齢者も揃って大ショックを受けてそれこそ暴動にも発展するのではないかという気がします。まだあまり言及する人もいませんが、中国人自身も薄々年金に対する不安を持ち始めており、それが今の社会不安につながっているように見えます。

 恐らく今後としては90年代の日本みたく少年犯罪が激化して、それが社会不安を強めることになると予想しています。すでにその萌芽は見られており、先の女子中学生いじめ事件のように、社会、家庭内の不安が子供にも影響してきている気がします。
 もっともこの事件に関して中国は素晴らしいというかいいなと思ったのは、いじめ被害者に対しその家族だけでなく、周辺の大人たちも一緒になって学校などに抗議しているという点です。まだ中国は子供の教育は社会(コミュニティ)が共同で担うものだと認識しているように思えます。

 日本は先の広陵高校の事件でも被害者の家族は当初孤独な戦いを強いられ、大ごとになった今も自分を含めネット上でソイヤ!ソイヤ!と騒ぐのが主で、広陵高校に集まって顧問や校長をみんなで引きずり出すところまでいかないあたりは中国人ほど熱く激しくないなという気がします。まぁどっちがいいのかってなると議論の分かれるところですが、自分はどちらかと言えば中国のようにみんなで悪い奴を物理的にとっちめる方が好きです(´∀`*)ウフフ

2025年8月10日日曜日

映画「南京照相館(南京写真館)」の感想

 昨日も上海は最高気温35度で暑く、家にいたくない一心で何か見に行く映画がないかと探すもこれという映画がなく、もうそれだったらこうしてブログの記事ネタにもなるだろうという判断から南京大虐殺をテーマとする「南京照相館(南京写真館)」を見に行ってきました。


 本題と関係ないけど上のリンク先の中島恵氏はJBpressで書いた自分の記事によくコメントしてくれていたので、当時「もしあったらアイスくらいおごんなきゃ(´・ω・)」ということをブログに書きましたが、いまだその宿願は果たせずにいます。

 話は本題ですがこの映画、あらすじを簡単に説明すると日本軍の南京占領に始まり、街中のいたるところで虐殺が行われる中、日本軍に殺されそうになった郵便配達員の主人公が保身のために自分は写真館の従業員で、写真の現像ができると偽ります。これを聞いてちょうど記録写真の現像先を欲しがっていた日本兵が彼を保護し、彼とともに市内の写真館へと赴いてフィルムの現像を依頼するのですが、主人公は前述の通り配達員のため現像なんて出来やしません。
 翌日までに現像を依頼されながら困っていたところ、写真館の地下に家族とともに潜んでいた本来の写真館の主が現れ、主人公に現像技術を伝授します。これを受け主人公も日本軍から支給される食べ物を家族と分けながら彼らを匿い、占領下における南京市からの脱出を図っていくという筋立てになっています。

 まず映画全体の感想を述べると、上の記事でも観客の評価が高いとされているだけあり非常によくできた作品であると感じました。俳優の演技からカメラワークまでどれも素晴らしく、またBGMも重苦しいものを使う一方、全く使わない無音の場面も効果的に使っていて、上映時間中に中だるみすることは一切ありませんでした。
 ストーリーに関しては上記の通りで、私個人の印象を述べると占領下で外に出たりばれたりすると殺されるという緊張感ある展開はかつての「ホテル・ルワンダ」とか、ユダヤ人迫害系の映画に近い印象を覚えました。こうした映画同様、隠れ潜む家族らの存在がばれそうになる展開は緊張感があるとともに、写真館の外で繰り返される虐殺場面はさらにそれを引き締め、先に展開がどんどん気になるような仕上がりになっていました。

 歴史考証については自分も専門家ではなくここで行うつもりはありませんが、少なくとも南京が占領され、市外への外出が制限された当時の住民の状況はこんなものだったのだろうという印象は覚えました。生殺与奪権が握られ、食料を含む物資もほぼ全て取り上げられ、残って生きていくことはできないのに脱出もできないという閉塞感は想像に難くありません。
 特に私の場合、あの2022年の上海ロックダウンを生き延びた経験があります。命の危険が脅かされたわけではなく南京の例とは大違いではあるものの、外出や物資の制限がされる環境がどれほど厳しいかという一端を見ているだけに、当時の南京市の住民を思うと胸の痛い思いがしました。

 またリンク先の記事でも書かれているような残虐描写に関しては、これは指摘の通りだと思います。日本兵が生首を掲げるシーンもあれば河畔で大量に機関銃掃射するシーンもあり、流血シーンは枚挙に暇がありません。この辺はソフトにするかハードにするかはそれぞれメリット、デメリットがあると思うだけに、どっちがいいか悪いかは一方的に決めつけられないでしょう。「プライベートライアン」も、あの冒頭のシーンがあってこそと言われますし。
 ただ子供の視聴に関しては確かに避けた方がいいのではと思う節があります。具体的には小学生以下にはちょっときついシーンが多いと思え、その辺のレーティングであれば必要な気がします。

 このほか今回自分が見に行ったのは午後の上映回でした。いつも早朝にほかの人が見ないような映画ばかり見ているため、館内はいつも10人以下というごく限られたマニアの集いみたいな感じで映画を見ているのですが、今回は話題作で時間帯もお昼時とあって8割がたの席が埋まっており、普段と違う環境で若干緊張感がありました。それとともに、上映開始日から日が経ってるのにこれだけ見に来る人が多いということは本当に人気であると感じました。

 最後に、映画のラストシーンで主人公が日本語で日本兵に対し、「あなたたちは友達じゃない」というセリフを述べるのですが、このセリフが中国政府の主張なのかなと邪推したくなる気になりました。そもそもこの映画、中国政府が作った国策映画と言ってもいい布陣であり、民間が作るのならともかく政府がこういう映画を作るあたりが中国らしいなという覚えをします。
 なおこのセリフについて自分の中国人の友人は、「過去のことであり未来の私たちには関係がない」と自分に行ってくれました。ちなみに今回この映画を見に行く前にその友人に見に行ったかと尋ねたら見ていないと話しており、自分が見に行ったことを話すと「日本人なのによく見に行くな(;´・ω・)」と言われました。

2025年8月1日金曜日

中国蘇州市の日本人襲撃被害事件について

 気のせいかもしれませんがなんか最近ニュース多くて、ほぼ毎日ブログを書かされているような気がします。6月とかマジでブログで書くネタなくて一時期困ってたほどなのに、なんなんだろう今年の夏は。


 それでちゃっちゃと本題に移ると昨日起こった蘇州市で日本人が襲撃された事件についてですが、この事件を私が知ったのは今朝で、蘇州に知り合いの多い同僚が「なんか昨日また事件が起きらしいよ」と教えてくれました。そしてこの段階で、また後出し孔明になりますが襲撃内容は殴打の可能性が高く、被害者は大人だろうと推測していました。
 なんでこのように思ったのかというと、もし刺傷であれば日系メディアや現地コミュニティがもっと大きく反応して、友人に教えられるまでもなく私のところにも情報が入ってくるはずだと考えたからです。同様に、被害者が子供であればその辺が大きくクローズアップされるはずで、特に年齢層に言及されていない時点で大人だろうとここはかなり強く確信を持っていました。

 事件内容については上のリンク先にあるようにすでに下手人も捕まったとのことなので私の方から特に語ることはありません。なのでこの事件に絡めて同僚から聞かれた質問とその回答を書くことにします。

 まず「何故また蘇州なのか?」というのが大方の日本人の疑問じゃないかと思います。蘇州とくれば先の日本人親子が刃物で襲われ、かばった中国人女性が亡くなるという痛ましい事件の記憶がまだ新しいだけに、今回の事件を受けてまた蘇州かと多くの人が思ったことでしょう。蘇州でこうも立て続けに日本人への襲撃事件が起きたことは単純に偶然としか言いようがありませんが、その偶然の確率を高めている要素は確実に存在します。
 第一に、蘇州は日本人が非常に多く住んでいるエリアで、その規模は上海に次ぐ水準です。何故かというと単純に日系企業が多く、また沿岸部で交通の便が良くてそこそこ発展しているため住みやすく、日本人向けの病院や学校も比較的整備されているからです。ただそれは上海や北京も同じ条件なのに蘇州ばかりでこうも起きるのかという別のファクターとしては、

・上海や北京ほど警察力が高くない
・上海や北京以上に流れ者が多い

 というのが大きいと私は考えます。蘇州も大都市ですがそれでも上海や北京ほどには重要度は高くなく、治安を管轄する警察への政府の力の入れ方も一段低いものになります。またもう一つの流れ者が多いという点ですが、上海も地方から上京してきた労働者がたくさんいますが、比較的頭脳労働者が多いのに対し、蘇州とかだと工場も多いだけに素性の知れない人間が寄り集まりやすい傾向があります。こうした要素が重なって、蘇州でこうも事件が繰り返し起こっているのだと思います。

 次にほかの人が語らない話をすると、恐らく今回の事件を受けて中国の政府や警察は日本人を守ろうとしていないのではと思う人もいるかもしれません。実態はどうなのかについて意見は分かれるでしょうが、私個人の見解としては中国の警察も傍観しているわけではなく、相次ぐ通り魔事件に対して対策を一応は実施しているのではないかとみています。

 そもそも先の事件も今回の事件も完全な通り魔的犯行で、未然に防ぐことは不可能であるし、日本国内でもなんか最近やたらと通り魔事件が起きており、根絶は無理としか言いようがありません。それでも中国、少なくとも上海で私が見ている限り、何となく以前に比べて街中で治安維持に動く警察官が増えているとはっきり感じ、特に目立つのが地下鉄です。

 上海の地下鉄ではどの駅の改札前にもXメン、じゃなくてX線装置があってそこで荷物チェックしなければなりません。以前はこの荷物チェックが結構なぁなぁで、装置に通すそぶりをして通さずに通過する人も多く、駅員もあまりそういう人をとがめていませんでした。
 それが去年の年末辺りから、朝のラッシュ時間帯で数日おきに警察官がわざわざ改札前に立ち、きちんと駅員が荷物チェックをしているか細かく見張るようになりました。それを受けて駅員も以前よりも厳しく荷物チェックするようになり、警察官がいる場合は心なしか礼儀正しく「荷物チェックをお願いします」、「ありがとうございました」と言うようになりました。以前はけだるそうに腕動かすだけだったのに。

 たまたまですが今日の帰宅時も、改札前でどうも荷物を通さずに無理やり通過しようとした人がいたようで、警察官が大声で「おい、お前!」と言って制止していました。普段ないから自分を含めみんなその警察官の方に向いていました。

 こうした荷物チェックが果たしてどれだけ犯罪抑止に効果があるのかは未知数ですが、少なくとも依然と比べると上海の警察が通り魔犯罪抑止としての対策を実施ているの見て取れ、相次ぐ事件に対し傍観しているわけではないと思います。車を暴走させ何人も亡くなった事件が起きた広州でも、同僚によると事件後は街中にたくさん警察官が立ち、ピリピリした雰囲気だったと聞きますし。

 もちろん対策しているからと言って事件が起きても中国警察に責任はないというつもりはなく、私個人としても自分も他人事じゃないだけに、治安維持に頑張ってほしいというのが本音です。ただ先にも言った通り、どれだけ対策しても通り魔事件を根絶するのは不可能であり、被害を受けるかは神の采配としか言いようがありません。
 それでも敢えて気になる点を挙げると、日本人以外の外国人もこうした被害を受けているのかという点です。もし自分が見ている報道の通り昨年以来日本人ばかりが通り魔事件の被害を受けているとしたら、日本政府ももっと強気になって中国政府に抗議すべきでしょう。逆にほかの外国人もこうした被害を受けているとしたら、最近中国メディアが「日本人優先」という言葉で「日本人ファースト」という排外主義が蔓延ってきていると報じていますが、あんま人のことばかり言ってんじゃねぇぞという文句も付け加えていいかもしれません。

 もっとも中国のことだから、「中国で中国人を優先して何が悪い」、「これからも今までも中国人第一」、「むしろ世界全体で中国人優先」と開き直ってくるかもしれませんが。

2025年7月31日木曜日

731部隊の中国映画の公開延期の背景

 自分の仕事の夏場の繁忙期も落ち着いてきましたが、反動というかまた両手に腱鞘炎っぽい痺れを感じつつあります。若干恥ずかしさを覚えつつも中二病っぽい指抜き手袋を会社でつけて例年に比べると発症が遅れましたが、それでも起きるあたり我ながら手にやさしくない仕事しているなという実感が湧きます。


 それで今日の本題ですがあの悪名高き日本軍の731部隊に関する中国映画が公開予定日を過ぎても公開されず、延期となっています。この背景について中国政府が日本との関係悪化を懸念しているとかいう人もいますが、結論から言うとそんな大した理由とかないんじゃないのというのが私の見立てです。というのも上の時事通信の記事にも書かれていますが、すでに今月初めより「南京照相館(南京写真館)」という、南京大虐殺をテーマにした対日感情を揺さぶる映画が公開されているからです。


 見に行ってはいませんがいつも通っている映画館で公開されていて、なんか評判もいいのかネットの評価ポイントも高くなっています。去年とかはこういう日中戦争関連の映画が公開されていなかったことを考えると、今年は確かに豊作だなという気がします。

 前述の通り、日本を批判的に描く映画作品が既に公開されて人気も博し、中国政府も若干応援している状況からみると、外交的影響を懸念して中国が731部隊の映画を差し止めているとは私には思えません。じゃあなんで公開が遅れているのかというともっと単純な、映画内容に何か問題があってその編集とかで遅れているだけなんじゃないかという気がします。
 具体的には、明らかに誰でもわかるような時代考証ミス、例えば「サリンは731部隊が初めて作った」とか、「伊藤博文が731部隊を作った」などのように、日本から逆批判食らいかねない露骨なミスがあるのがわかって、そのミスの処理で遅れているとかじゃないかななどと勝手に推測しています。そもそも日本への影響を懸念して半日映画を出さないとか中国ではありえず、無駄に詮索してもしょうがないでしょう。


 個人的には前にもちょっと触れた、「羅小黒戦記2」がこの夏の一押し映画だと思っています。ヒロインは最初、「なんかNARUTOに出てきそうな女だな(´・ω・)」とか思いましたが。
 今週末は「トムとジェリー」が公開されるのでそれ見に行こうかとも考えていますが、ロボット業界記事を久々に書かなきゃいけないので今の時点で既にちょっと気が重いです。日本でも報じられるようになったルンバのアイロボットが何で業績悪化しているのかという背景について書こうかと考えてますが。

2025年7月18日金曜日

1988年の上海肝炎大流行事件


 先日、たまたま上の動画を見る機会がありました。ちなみにこの動画というかチャンネルはこのところよく見ており、なんか無駄に激しい事故とか見ていて昔の「世界丸見えテレビ」を見ている気分になります。

 話は戻しますがこの動画で紹介されているのは1988年に今も自分が住む上海市で起きた、赤貝を原因とする肝炎の集団感染事件です。そのあらましを簡単に説明すると、何でも上海市内に赤貝の養殖場が作られたのですがここが何故か下水の配水先近くにあり、汚水で汚染された赤貝がそのまま食用として出荷されたことが原因だったそうです。しかも中国で赤貝は日本での牡蠣のように生で食べるのが一番いいとされる食材であったため、この赤貝を生で食べた人たちが肝炎を発症し、その人たちから周囲の人が伝播感染してどんどん広まっていったそうです。

【A型肝炎にならない①】1988年に上海で約30万人の大規模発生あり。(上海ではたらく内科医のブログ☆リターン)

 上のブログ記事でもこの事件は取り上げられているのですが、自分が今も住んでいる上海の過去の事件ということから興味があり、誰でもいいからこの事件について話したいと感じました。そこで都合のいい上海の友人を思い出し、彼にこの事件を振ってみたところすぐ反応があったというかやっぱり知っていました。

 流行が起きた当時に友人はまだ小さい子供でしたが、彼も肝炎に感染して当時病院で治療を受けていたそうです。その当時の状況については、「まさにちょっと前のコロナの流行期のようだった」として、動画でも紹介されているように感染者があまりにも多くて病院に収容しきれず、あちこちの建物に肝炎で苦しむ人が横たわっていたそうで、一定の年齢層の上海人からすれば忘れようとも忘れられないほどの大事件だったそうです。

 若干オチに苦しむこのネタですが、最初の動画を見て公衆衛生というのは本当に重要なんだなと改めて感じました。それこそコロナ以前は妙なマッチョイズムで、風邪や病気というのは鍛えてればどうにかなるし感染しないと信じ切っていた私ですが、中国でコロナ規制が解除されるやすぐコロナに感染し、その後も中国でコロナが流行する度に引っ掛けられるようになると、個人がどれだけ衛生に気を払おうとも公衆衛生が悪ければ簡単に病気にかかってしまうということを意識するようになりました。
 言い方変えると、成人病などは別ですが感染症というのは個人がどれだけ努力してもかかるときにはかかってしまうもので、この中国の肝炎大流行を含め、過去の公衆衛生事件をよく意識して、みんなで対策採らないとだめだと思うようになっています。とはいえ、養殖場近くに排水垂れ流すのは想定外すぎる気もしますが。ゲーム実況動画のこの人のようなことを、リアルでやるのはやっぱり中国なんだなぁ。

2025年7月14日月曜日

中国でBL狩りが始まった?


 本題と関係ないけど上の商品を見て、「何故自分はこの正四方形の物体を見て猫だと認識できるのだろう?」と数日間悩み続けた挙句、60元(約1200円)するけど買ってしまいました。私の好みは置いとくとして、この形にデザインして売ろうと思った人はかなりすごいセンスしてると思う。

【地獄絵図】中国当局、BL狩りを初めてしまい死屍累々(暇人速報)

 以前JBpressでも中国のBL市場について少し触れたことがありますが、マジでシャレにならないほどでかくなっているというか、上海市内でも明らかに腐女子ご用達と丸わかりな店とか増えてます。そんな矢先に上記リンク先のBL狩りのニュースで、この記事を見たとき何故か自分の頭の中に「黄巾の乱」という単語が浮かびました。マジで意味わからねぇ(´・ω・)

 このニュースについて、聞いてもないのに「最近二人乗り戦闘機パイロットのBL小説読んだの(*^▽^*)」と報告してくる中国人女性の友人にコメントを求めたところ、摘発されたのはBL小説を書いている作家たちで、大した収入も得ていないのにみんなのためにBLを書いてくれていた人たちを捕まえてひどいという感想を述べてくれました。
 なお中国ではBL漫画は現在ほぼ完全に禁止状態であり、餓えたBL女子たちはBL小説でしかその欲求を満たすことができないそうです。なおこの友人は日本の大阪に渡航する前、「どこに行けば日本産のBLを仕入れられる(。´・ω・)?」と真っ先に自分に聞いてきたので、とりあえずアニメイトを教えておきました。

 そもそも何故中国政府はBLを摘発するのかですが、「自然に反する感情や行為」だからだそうです。恋愛感情は男女間にしか芽生えず、それを同性間で持つのは非自然的であり存在してはならないという、最近のLGBTなぞなんぼのもんじゃいと言わんばかりに全否定しており、こうした輩が中国国内に存在すること自体にかなり否定的です。
 とはいえ、上記の通りBLファンは結構根強く存在しており、「実事求是」の精神はどうなのと若干尋ねてみたいものなのですが。

 逆にというかBL先進国である我らが日本からすれば、なんでこんなに感情的に摘発しようとするのかやっぱ不思議に感じてしまいます。蓼食う虫も好き好きというしそういうのが好きな人がいるなら、社会に迷惑をかけない範囲なら好きにやらせりゃいいじゃんと思うのですが、どうも中国政府の人たちは頭固いのかわざわざ労力かけてこうやって摘発する当たり存在すること自体許せられないようです。
 同じような理由で中国はいまだにポルノにも厳しいのですが、この辺を先ほどの「自然に反する感情や行為」という主張と比べると、ポルノに厳しい主張というか根拠がややあいまいとなってぐらつき、単純に政策指導者が気に入らないから規制しているに過ぎないというのが私の見方です。

 なおそれに絡めていうと、日本ではポルノの規制が緩いから少子化が進むと主張する人がいますが、日本よりも厳しい中国でも日本よりハイペースで少子化が進んでいることを考えるとその主張はやはり間違っている気がします。この辺、さらに米国とも比較すればより顕著でしょう。

 最後に今回話を聞いた中国人の友人とはそのあと、「日本もBL特区みたいなの作ってこういう摘発から逃れたい人を集めりゃ人口問題も解決するのにね(´・ω・)(・ω・`)ネー」といったことを駄弁ってました。

2025年6月29日日曜日

中国で衰える習近平の支持と影響力

 コメント欄にも少し書きましたが、この1~2年で中国にける習近平の支持と影響力が劇的なまでに落ちていると断言できます。細かい例を挙げたら切りがないのですが、敢えて身近な例で挙げると習近平思想の本が配られなくなりました。

 一体これは何かというと、コロナ前なんかは大体年一くらいで社内で共産党員である社員が自分を含む全社員に習近平思想を書いた冊子を配って回ってました。正直、もらったとしてもうれしくないし、そもそも自分は読めるっちゃ読めるけど外国人に中国語のこんな本配ってどうすんだよと言いたくて仕方ない行為でした。そもそも中身に興味なかったため、もらうそばから私は捨ててました。
 そんなあまり地球にエコでないこの行為ですが、コロナが始まって以降は一切配られることがなくなってしまいました。ほかの会社とかはどうなのかはわかりませんが、少なくともうちの会社はなくなり、なくなってみると少し寂しいなとか逆に思えてきます(´・ω・)

 もう一つが、二年前に大きく騒がれたコスプレ禁止令です。


 2年ほど前に上記リンク先にあるように、「中華民族の感情を損なう」服装を禁止するという文言を含めた治安管理処罰法の改正案が施行されました。施行直後、一部の中国地方都市でコスプレをした若者がこの法に準拠して取り締まられることがあり、着る服すら自由にならないのかなどと中国国内でも強い批判が巻き起こりました。


 そんな声もあってか、上の日系の記事は昨日出たものですが、この治安管理処罰法の内容がまた改正されたそうです。もっとも、改正以前から実質的に上記の服装に関する禁止規定はほぼ有名無実化していました。上海市内でもコスプレイベントが度々開催されているし、コスプレした姿で街中を練り歩く動画をアップする人も絶えず、完全なガン無視状態でした。

 もちろんこの規定に限らず有名無実化している規定は中国でもほかにもありますが、発令し、かつては実際に取り締まる例もありながら、ここまで早く無視される規定はそんなにないなという気がします。何となく、現場の執行者レベルでも「こりゃもうだめだ」と見切られ、適用しての取り締まりを完全にあきらめていた節も感じられます。

 もっともこのコスプレ禁止令以上に「なかったこと」にされている法令の代表格はやなり、実質的に中国の不動産バブルを崩壊へと導いた「三道紅線(三本のレッドライン)」でしょう。
 これは2020年に出された規定で、

・前受金を除いた資産負債率が70%以下
・純負債率が100%以下
・手許現金の短期負債比率が1倍以下

 この三つの条件を不動産企業に課し、基準を上回った条件数に応じてランク分けして公開し、債務圧縮を指導していくというものでした。この三本のレッドライン基準が出されてから不動産会社は追加の開発や資金調達が行い辛くなり、劇的に業績を悪化して今の中国の不動産不況へ至るようになったのですが、発令された当時よりもこの条件を満たさない不動産会社が明らかに増えていると思うものの、誰もこの三本のレッドラインについて言及しなくなっています
 はっきり言ってしまえば言論統制されているようで、ネットでニュース検索しても2023年以前の記事しか表示されなくなっています。この規定自体が廃止になったとは聞いていないのですが、適用されることもなければ言及されることすらなくなってるというか、触れられたくないという中国政府の気持ちがひしひしと伝わる検索結果となっています。

 以上のように、習近平の肝煎りで導入されたとも思われる政策がこの頃悉く意図的な無視というかサボタージュされるようになっており、そうした世間での不評も察してか、習近平自身もメディアの露出が依然と比べかなり少なくなってきているように感じます。それ以前に、街中でも彼を指示する声はコロナ以降はずっと右肩下がりで、最近は中国メディアも以前のような礼賛記事をあまり出さなくなってきた節すらあります。

 勝手な偏見で述べると、本人もなんか政治に飽きてきているように思え、わざわざ憲法変えてまで3期目入ったのにもうなんか投げたしたいような素振りにすら思います。こんな感じだから4期目はもうないとは思うものの、日本としては彼がトップにいればいるほど中国が弱くなっていくことは確実なだけに、いろんな外交手段を駆使してでも彼にやる気をまた持たせて4期目につなぐよう工作すべきだと密かに思います。

2025年4月24日木曜日

トランプ関税で揺れる中国の現在

 今日はがっつりした歴史記事書こうと帰宅途中もずっと構文練ってましたが、このところ仕事で披露しているのか意識がはっきりせず、さっきも横になって20分くらい仮眠取ったのですぐかけるトランプ関税で揺れる中国の現状について軽く触れます。

 結論から言うと、日常生活レベルではまだ何も大きな変化はありません。関税発動から間もないことから、影響が出るのは早くても来月、現実的には6月くらいなため当然と言えば当然です。
 ただこちらにある日系企業の間でも、今後のサプライチェーンをどうするかや中国の景気そのものへの不安が非常に強いです。対策を立てようにも朝三暮四なトランプ政権の動きから、立てた対策がすぐ使い物にならなくなる可能性も高いため、どこも動きが取れないような状態です。この辺は日本国内でも恐らく同じじゃないかと思いますが。

 唯一中国にとっていいことは、一連の関税問題で中国人の米国に対するヘイトが高まっているのと、不況の原因は米国のせいだという意識そらしが効いて、習近平政権への批判が弱まりつつあることです。多分もっと劇的に景気悪くなっても、中国政府そのものへの批判は下手すりゃ去年よりも小さくなる気がします。

 最後に本題と関係ないけどトランプ大統領が日本は車のボンネットにボーリング球を落とす試験をしているという、マジで痴呆を疑わせる発言をしていましたが、なんかこれに対するいろんな人の返しが効いてて詰まんないなと感じました。自分だったら、

「米国は軍艦の耐久試験に原爆を落とすじゃん。まぁ日本の戦艦はこれに二発耐えたけどね(´・ω・)」

 という感じで、クロスロード作戦を引用します。なんかこの手の政治トピックに対するユーモアが最近低い気がします。

2025年3月22日土曜日

夜が暗くなってきた上海



 マジで地球防衛軍は時間泥棒だという風に思えます。

 話は本題ですが、このところ夜の時間帯に上海を歩いてて「マジ暗い」と思うことが増えてきました。理由は何故かというと、通り沿いのお店ですら潰れることが多く、そこに後から入る店もなくて空きテナントが増えているからです。特に個人的にショックだったのは、このところは不動産屋の店舗すら閉店した跡がよく見られることです。
 そこまで社会全体に悲壮感は広がってはいませんが、逆を言えば危機感がやや足りてないのではないかという気がします。街の活気も薄れてきており、このままいけばますます上海の夜は暗くなっていくのではないかと予想しています。

 その上でもう少し続けると、自分は以前の記事で2年後の2027年が一つのターニングポイントになると予想しましたこのターニングポイントについて自信を強めてきたのですが、恐らくそこを割るかのような大不況に入るのが2027年だと思います。

 その理由はいくつかありますが、一番は今の中国政府の失策です。年初より一定金額の家電購入には政府が補助金を出すというキャンペーンが始まりましたが、恐らくこれは日本が2008年にやった家電エコポイント制度と同じ失敗を繰り返すことでしょう。
 具体的には何かというと、需要の先食いです。数年先の需要を先に消費するようなもので、市場が拡大している時期ならまだしも、すでに家電が普及して行きわたっている状態でこれやるとかえって市場のバランスを崩し、メーカーや小売店を問わず数年後のデメリットの方が大きくなると私には思います。

 こうした細かな政策のほか、先日の全人代の政府施政方針を見てもこりゃだめだと確信しました。何がダメかというと全体として地方政府と銀行の救済を主眼に置いているように感じたからです。一部税源の地方移譲などが大きく掲げられていましたが、これは財政難、そしてこれまで土地売却益で財政を支えてきた地方を救済する手段とみていいでしょう。
 もちろん地方政府の財政難を克服するのは決しておかしいことではないのですが、その結果として社会の不良債権は棚上げすることはやはりマイナスです。また地方政府がどうしてここまで財政がおかしくなったのかというと、自治体でありながら不動産登記に手を出す自治体が多かったからです。この辺の処分とうか規制もはっきりしない状態で救済するというのは、ちょっとおかしいんじゃないかという風に思いますし、またいつか繰り返すことでしょう。

 恐らく、地方政府や国有銀行、企業の救済を優先して不良債権問題には手を付けないだろうから、中国の不況はあと10年は続くかもしれません。特に国有企業を何故かこの段階にきてまた保護しようという動きが見られ、民間企業に効率面で圧倒的に劣るということを考えると甚だ疑問です。
 ちなみに国有企業で仕事に行った友人によると、「食堂の飯がめっちゃうまかった(´・ω・)」そうです。

2025年2月10日月曜日

2027年が中国経済の山場

 昨日は新潟に日帰りで友人を訪ねに行ってましたが、新潟より千葉のが寒い気がします。家の中だと動かないでじっとしているから余計に寒く感じるのかもしれませんが。
 話は本題ですが結論から述べると中国経済が大きな山場というか本格的などん底に至るのは2年後の2027年ではないかと密かに予想しています。

 中国の不景気についてはこれまで何度も取り上げていますが年々厳しさを増しており、いまだ底打ちしていない状況が続いています。ではいつまでこの盛り下がり傾向が続くのかが議論の的となりますが、底打ちする時期については正直まだ見通せないものの、決定的にこの不景気が一時的でなく生半可なものじゃないと中国自身が気付き、社会の各方面に年金崩壊など目に見える大きな影響が出るのは今から約2年後の2027年くらいになるのではという風に見ています。

 このように考える根拠ははっきり言って大したものはなく、ほぼ勘です。ここで述べるまでもなくすでに中国の地方、国家財政は火の車状態で、特に地方はバス運転手などの地方公務員に対する給与すら遅配するなどまともに支払えない状態となっています。それもこれも2020年のコロナ流行開始以降にロックダウンをはじめとして異様な対策費を数年間消費し続けたことによります。

 私は当初、日本も1991年にバブル崩壊が始まって1997年まで政府が景気刺激策の名のもとにバラマキを続けたことで、企業業績はともかく個人消費は拡大し続け社会景気もある程度の安定を保っていたことから、中国も不景気に転じたとしても10年くらいはバラマキで持つとみていました。
 しかし前述のように中国の財政はすでに破綻しかかっており、だからこそ去年から明確な不景気を認識しつつも政府支出の拡大など思い切った対策を打てなかったわけですが、これらを踏まえると日本のようにバラマキで命脈を保たせる手段は限られるというか、生命維持できる期間はより短くなるのではと考えています。去年に中国政府はすでに国有銀行などへバラマキを行うことを表明していますが、恐らくこういった政策はもう何度も行うことはできないでしょう。

 そのうえで、中国は根本的な対策となる不良債権処理にはいまだ手を付けていません。もし2023年の段階で不良債権処理に手を付けていれば2026年くらいには景気の上向きを迎えられていたかもしれませんが今から手を付けるとしても最低3年はかかるでしょう。
 ちなみに日本の場合は小泉政権下の竹中財政では3年で半減という目標に対し、2年半で半減を実現しています。主導した竹中平蔵氏も相当根に持っていたのか、「野党は3年でできっこないと言ってたけどね(# ゚Д゚)」と話してますが。

 以上の要素を勘案し、2年後の2027年くらいにはバラマキに使える資力も失い、今以上に大きな不景気のインパクトが中国を襲うのではないかと予想しています。今回のトランプ政権の成立、対中関税発動によってその時期はより早まる可能性ももちろんありますが、それ以上に人民元の流動化政策によってもいろいろ混乱が起こる可能性もあるのではないかとも考えています。

 こうした予想から本音を言えば自分もそろそろ中国から引き上げたいという気持ちも既に抱いています。実際この2年間に自分の給与は一切変動がなく、かつては毎年のベースアップが当たり前だった時代はもう来ないともみており、変動があるとしても下がる一方だろうとかなり悲観的に予測しています。
 とはいえ今いる職場には恩義もあればやるべき仕事もあるため、実際にすべて放り投げてやめるようなことはさすがにできません。可能ならば自分の代わりに若い子を入れて業務が回るような体制をこしらえてから去りたいものですが、一体いつになることやら┐(´д`)┌ヤレヤレ

2025年1月8日水曜日

中国のヒトメタニューモウイルス流行について


 何故か知らないがミグに米軍のマークつけてた。


 話は本題ですが上の記事にあるように中国で新たな感染症の流行があちこちで報じられています。私のところにも在中国日本領事館から今日、「各地でこんな感染症が流行ってるぞ」と、地域ごとに流行している感染症(大体1地域につき3つ)のリストがメールで送られてくるほどなので、よっぽど流行ってんじゃないかと思います。

 などと他人事のように書いていますが、実際に私の周りでも病気で仕事休む人が多いです。月曜には同僚が肺炎になって休んだため、サボろうと思っていたところ必死で働かざるを得なくなりました。また上海以上に北京の方では多くの同僚がすでにやられており、業務まわせんのかって思うくらい休む人が多いです。
 上海では前述の肺炎になった同僚のほか、先週末に熱が出て仕事を休んだ同僚がもう一人おり、ほかの同僚との間でも周りでもまた病気が流行ってるねと噂するくらいにはなっています。なもんだからある同僚なんかは知り合いの病院でワクチンを打っとかないかと周りに提案して回っており、「こいつその病院の回し者なんじゃないか(。´・ω・)?」と無駄に疑ってたりします。

 私自身は今のところ特に体調は悪くない、というより11月くらいに何しても体がだるくやる気の出ない状態が2週間くらい続いており、感覚的に恐らくコロナの無症状感染していたように思え、それで免疫作ったのか現在は影響ないです。とはいえ明後日には飛行機乗る予定のため、明日は自宅作業にして家に引きこもる予定です。まぁ夜には友人と会食あるんだけど、家から近くだから大丈夫だろううん。

2024年12月10日火曜日

老人に席を譲らなくなってきた中国

目立った材料はないのにこの1年で「劇的悪化」した中国人の対日感情、背後にあるものの“正体”(JBpress)

 自分の古巣のJBpressの記事ですが、毎度ながら近藤さんの意見は自分も同感です。

 先日の国際調査によると、中国人の対日感情は何故かこの1年で劇的に悪化しています。しかし福島原発処理水の海洋放水直後ならまだしも、この1年間はむしろ目立った日本関連イシューがなかったにもかかわらず去年より悪感情を持つ中国人が劇的に増えました。
 この点についてこの記事のヤフコメを見ると、「調査がおかしい」、「元から日本嫌いの中国人が多かったのだろう」などという意見をよく見ましたが、私としては前述の通り近藤さんの意見と同じくし、「特に根拠はないけど、社会不安からくるイライラを日本批判にぶつけている」というのが真相だと考えています。なんか自分で言ってて後だし孔明っぽいけど

 この辺、今の中国を実際に見ているかどうかでその実感は変わってくるのではないかと思います。度々このブログでも書いていますが中国の現在の不況ぶりは日本の報道では全く伝えきれておらず、また去年の今頃と比べても暗い雰囲気が一層増してきているという感じがします。マジで生活しているだけでもストレスを感じるくらいで、あの開放的だった空気はどこへ行ったのやらと思うほどなんか社会がギスギスしています。

 そんな中国の変化というか気になる点として、あくまで個人の見解ですが、なんか依然と比べて電車やバスの中で老人に席を譲る人が減ったというかいなくなったような感じがします。かつてはそれこそ一番槍を争う猛将らのように、老人が乗り込むや我先に「お席をどうぞ!」と席を譲る人で溢れかえっていましたが、なんかこの1年を振り返るとたまたまその場面に出くわさないだけかもしれませんが、そうした席を譲る行為を全く見た覚えがありません。
 また少子高齢化のせいか、席を譲る若者の数自体も減ってきている様にすら感じます。

 無論私の勘違いかもしれませんが、なんか中国は依然と比べて互助の精神が急速に消失しつつある気がします。なんか電車とか乗っていても周りを気にせず一人で座席スペースを大きく占領する人も増えているし、やたら近くの人と服とかが擦れ合うのを極端に避けようとするなど、対人接触を変な風に避ける人が増えてきたとも感じます。当然、見ていてあまり気分はよくなく自分もストレスがもりもり溜まってきてます。

 もっとも中国のことを日本が言える立場でもなく、何か事件報道が出ると「実名や住所、会社名を出せ!」と、お前が知ったところでどうなるんだよと言いたくなるようなコメントをまき散らす人が依然多いです。なんか自分とは無関係だけど社会的に制裁しないと気が済まない、というより自分のストレスの捌け口に叩いても許されそうな人間を制裁しようとする人が多く、集団メンタルヘルスを日本ももうちょっと強化した方がいいと常に感じています。

 ただ中国に戻すと、現在楚の捌け口に日本が使われ中国政府もそうしたヘイトが向かうことについて何も対策採っていないわけですが、多分このまま放っておけばどんどんヘイトがたまり、ある一点に達したところで中国共産党批判に転換すると確信しています。何故なら失業がなく安定した地位と報酬を得続けているからです。
 それを踏まえて言うと日本にヘイトを向けさせるよりそのヘイトを解消する方向に中国政府も努力すべきでしょうが、なんかその辺の自覚がなく無駄にヘイトを高め続けているように見えます。ただ早けりゃ来年くらいにも大きな事件とか頻発しそうで、あんまり与したくはないけど中国への渡航は危険だと叫ぶ一部日本人の意見には若干同感だったりします。

2024年12月1日日曜日

中国のお茶の温度

 先日、前に買った中国茶の茶葉が切れたので割と高い(100元=2000円/100グラム)のウーロン茶の茶葉を買って今さっき飲んでいますが、高かっただけあっておいしいです。せっかくの中国茶葉だからと同僚にもらった中国風みなマグカップを使って飲んでいますが、何が中国風味なのかというと茶こしがそのままついている点です。

 中国のマグカップにはカップの口にかぶせる茶こしが付いたものが多く、その茶こしに茶葉を入れて直接マグカップにお湯を注いで飲むというスタイルがあります。これだと急須入らなくなるのですが、急須を介さず直接お湯を注ぐため湯音はめちゃ高く、飲み始めるまでにはいったん間を置く必要があります。

 このカップに直接お湯を注ぐスタイルは最近の中国だと中高年ほど好むそうで、これより下の層になると急須を用いる、特にちゃんとしたスタイルで飲む場合は急須で茶葉につけた後、間にもう一回熱さまし用の急須を挟んでから茶碗に入れるというスタイルが好まれるそうです。このスタイルだと初めから湯音は適温となっているためすぐ飲めます。
 これよりさらに下の年齢層になると、もはや急須などを介さず、コンビニでペットボトルのお茶を買ってきて直接飲む……という風に、年代別に茶飲スタイルの違いを紹介する動画をこの前見たのですが、あながち間違っていないというか、お茶の湯音に関しては若い層ほど低くなる傾向は確かにあります。

 それこそ一昔前の中国では、そもそもお茶以外でも冷たい飲み物を飲む習慣はなく、ペットボトル飲料も冷蔵庫に入れられていないのが普通でした。ビールも今でもお店では常温の分が取り置きされています。
 そんな中国でしたが時代とともに清涼飲料を消費するようになり、以前と比べても冷たい飲み物に抵抗を示す人はほとんどいなくなりました。自分は日本で生まれ育っているだけに夏場を含め飲み物、特にコーラなどは冷たい方がもちろんいいと思っていますが、健康的には中国のオールドスタイルこと常温で液体は摂取した方がいいというのもわかります。多少感化されたのか、冬場はペットボトル飲料は冷蔵庫に入れず、開封前は常温で保存するように私もなっています。

 今後はどうなるかはまだわかりませんが、多分このままいくと常温で飲み物を飲む人自体が中国でもさらに減っていくように思います。お茶に関してもどんどん温度が下がり、最初に紹介した茶こし付きマグカップもさらに減っていくかもしれません。

2024年11月30日土曜日

上海からダイソーが撤退(;゚Д゚)

突発閉店通告!上海再無門店(魯中晨報)

 上の記事は中国語ですが、見出しを翻訳すると「突然の閉店通告、上海で再び店舗ゼロに」と書かれているのですが、書かれている対象は100円ショップでおなじみのダイソーです。

 現在、上海には日系スーパーのアピタも入っている金虹橋というショッピングモールと上海高島屋にそれぞれダイソーが入っているのですが、何気に先週に高島屋に行った際に「この店は11月までで閉店です」という看板が出ていました。でもって金虹橋の店はまだ続くよと書いてあったのでまぁ距離的にも近いし店舗の統合化と思っていたら、昨日ごろから金虹橋の店も閉店するといううわさが流れました。

 そこで今日さっそく金虹橋の店に行ったところ、案の定というか12月24日でこの店も閉店するという看板が出されていました。うわさを聞き付けたのか今日店内にいる客はいつもより明らかに多く、今のうちに買っとく物は買っとこうと多くの客が殺到したように見えました。商品も一部欠品が見られたし。

 以上からダイソーの上海2店舗の閉店は事実であるようですが、これは本当に上海だけなのかとやはりみんな思っているようです。中国のほかの地域の展開状況とかあまり把握していませんが、最も購買力が高く日本人も多い上海で閉店するくらいなのだからこのまま中国から完全撤退するのではないかと噂が出ており、ネットでもそのような見方が強くなされています。
 背景理由としてはやはり中国ではネットショップが強すぎて実体店舗は成り立たない、ダイソーの商品は単価が低いから厳しいなどという意見が見られます。もっとも単価に関しては、中国のダイソーの最低価格は10元、今の為替で200円以上するので、実質的に中国のダイソーは「200円ショップ」で日本よりも価格は実質倍だったりするんだけど。

 私自身もダイソーで小物とかそこそこ購入していただけに、今回の閉店は割とショックです。今後はニトリにより頼ることになりそうです。

中国の通信業界はどんな感じ?

 前の記事で質問が来たので、中国の通信業界についてここで簡単に解説します。

 まず大まかな点から話すと、現在中国には中国電信、中国聯通、中国移動の三つの通信会社というか通信キャリアが存在し、実質的にこの三社が市場をほぼ独占しています。三社ともに国有中央企業で国の影響を受けるものの、普段の活動やサービスでそうした国の影を見せることはほぼなく、サービス態度も偉そうなものではなく、むしろ余計なサービスをつけて料金を吊り上げようとする日本のキャリアよりも良心的です。

 かつては華北は中国電信、華南は中国聯通という感じで棲み分けがなされていたそうですが、現在においてはこうした地域による棲み分けの壁はほぼなく、大都市においてはこの二社に携帯電話通信を中心とする中国移動も加わり、ほぼ自由競争状態にあります。
 敢えてたとえを用いるとNTTが三社あるような状態で、どれも国有企業ではありますがきちんと競争原理が働いていて、外資や民間資本の参入こそ制限されてはいるものの、料金もお手頃で消費者にとっては中国の通信市場はかなり正常であるように思います。日本に比べれば。

 固定回線のインターネット契約に関しては、昨日の記事にも書きましたが現在私が契約しているのは中国電信の回線で、料金は年間約1300元(約26,000円)で、以前昆山に住んでいた頃も大体これくらいの値段でした。現在の中国のインターネットは都市部だと光ファイバーが中心で、逆にADSLとか探す方が難しいし、サービスも廃止していることも多いです。
 このインターネット契約は上記の三代通信キャリアとの契約が基本ですが、ごく一部でほかの企業もサービスを提供しています。具体的にはケーブルテレビ会社などで、これら若干の通信に携わる企業もネット回線サービスを提供しています。また僻地などインフラ整備の難しい地域に限っても、三大キャリア以外の回線サービス参入を認めることがあると聞きます。

 次に携帯電話などのモバイル通信に関してですが、シェアで言えば携帯電話通信のために立ち上げられた中国移動が全国で最もシェアが高くなってはいるものの、中国電信や中国聯通もモバイル通信サービスを提供していて、問題なく契約することができます。
 現在私は中国移動の携帯電話サービスというかSIMカードを使っていますが、料金は月間約60元(約1200円)で、これで規定通信料、確か10GBくらいだったと思いますがこの範囲を超えることなく使用し続けています。日本と比べるとかなりお手頃な価格に見えるでしょうが、それでもほかの水道電気光熱費などのインフラと比べると、これらの通信料は私には高めに見えたりします。

 具体的には、水道電気光熱費は毎月大家が自分の部屋の分も一括で支払い、毎年11月に年間分を一括で試算しているのですが、先日自分が支払った水道、電気、ガス代の年間合計額は880元(約1760円)でした。確か電気代が450元くらいで一番比率が高かった気がします。
 中国は建前上は社会主義なためこの手のインフラ料金は非常に安く、電気代に関しては工場などで使用する産業用よりも個人用の方が安いという、諸外国とは逆の料金設定にもなっています。

 もっとも上記の私の金額はあまり参考にならないというか、一人暮らしで日中は会社で働いていることもあり極端に電機などの使用量が少なかったりします。特に冬場は意地でもエアコンは使わず、実際夏場のエアコン代が多分年間電気代の半分を占めているように思えるため、ほかの人はもうちょっと高い料金を支払っていると思います。

 最後に中国の通信業界についてもう少し触れると、真面目に国土がバカでかい分、中国の通信インフラ計画によって光ファイバーの世界需要が大きく変わると言われています。
 日本を含め多くの外資系企業が光ファイバーケーブルの生産加工、そして供給を中国で行っていますが、国有企業とあってその調達は完全な競争入札となっています。でもって調達量も馬鹿でかく、地域ごとに行われるとはいえその入札を取れるか取れないかはマジで光ファイバー系企業にとって死活問題らしいです。