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2021年5月31日月曜日

中国のワクチン接種状況について


 上の写真は先週末に上海の街中に設けられた臨時ワクチン接種場です。写真の中のバスで実際にワクチン打つようですが、こうした場所はこのところ毎週末に各地で設けられており、あらかじめ現地に貼り紙されている予約用QRコードなどで予約しておけば、中国人なら誰でも、接種が一回目でも二回目でも受けられます。ただ外国人は受けられないようで、外国人専用のサイト経由で指定診療場などで接種する必要があります。

 なおこの臨時接種場ですが家の近くでも開かれてて、ちょうど昨日に家出たところ廊下であった同じアパートのおっさんに「おいお前もう接種したか?近くで接種会開くから行って来いよ」とか言われました。前述の通り自分は外国人で臨時接種場では無理と伝え、一回目は既に受けてると話したら、「最近インドとかやべーだろ。ちゃんと打っといた方がいいぞ」と言われました。こういう中国人のお節介なところは大好きです。

 話を戻すと、コメント欄で質問が来たのでその辺について答えると、少なくとも私の周りで感染したという人は全くいません。流行の激しかった頃もいませんでしたが、知人の知人範囲であっても観戦した人はおらず、重症患者なども未だ見たことがありません。ただ緊張感は抜けてないというか、今年3月あたりに上海市内で感染者が出た際にはすぐマスクの着用が促され、ショッピングモールなどでの検温も再開されました。この辺は当局がかなり真剣に動いている印象があります。
 また最近だと広東省などでインド株と見られる感染者が出て、再び警戒が強まってきています。なお去年の今頃はタイなど東南アジアではそれほど流行は広まらなかったのに対し、今年は広がりを見せているのはインド株や英国株の感染力が当初より強い証拠である気がします。逆を言えば、東京五輪は去年よりも開催リスクが高くなっていると見えますが。

 次に話題を変えると、中国でのワクチン接種状況については、希望者であれば割とすんなり受けられます。上の臨時接種場が飛び入りもありなのかはわかりませんが(多分あり)、予約すれば1ヶ月内にはほぼ確実に接種が受けられる状況にはなっています。実際、私の周りでも中国人の同僚はほぼみんな2回目の接種を終えており、3月くらいに済ませたという人も珍しくありません。
 なお一人の同僚は接種後三日間ほど下痢したと言いますが、ワクチンのせいなのかはわかりません。ついでに書くとその同僚は風呂場で転んで頭打って、会社休んで病院行って検査受けて来たけど「なんでもないと医者に言われた(´・ω・`)」という具合で帰ってきたこともあります。この同僚に限るわけじゃないですが、中国人はちょっとしたことで病院行き過ぎな気がする。

 ただ希望者はすぐに接種が受けられる状況とは言うものの、こうした臨時接種場が設けられるなど、大半の人が接種済みというわけじゃありません。私が思うに恐らく中国はまず主にスマホの健康管理アプリを通して予約を受け付け、そうしたスマホ経由の予約者に一通りワクチン打った後、残敵掃討とばかりにこうした現地での接種の呼びかけ&実施を投入してきたのではないかと思います。まぁこの方が効率良いし。
 また未だにワクチンの副作用を怖がる中国人も少なからずいます。友人の上海人もそうなのですが、私に向かって「健康のためにも早くワクチンを打った方がいい」などとしつこく勧めてくるのですが自分はどうなんだと聞いたら「まだ打ってない。副作用が怖いから君が先に試して(*‘ω‘ *)」などと言って、未だに予約すらしていません。

 今後の問題としては、この中国製ワクチンがインド株の抑制にも効果があるかになってくるでしょう。前述の通り当初のコロナウイルスとは本当に桁違いの感染力のようなので、これに抗するかが大きな試金石になってくると思います。接種自体は今のペースなら秋口くらいには中国は全国民に打ち終えるのではないかと思いますが、その時期の他国との感染者数比較が重要になってくる気がします。

Officeのイルカに尋ねた質問

「お前を消す方法」でお馴染み!? Windows懐かしのOfficeイルカの現在(文春オンライン)

 OfficeのイルカといったらかつてのWindowsのオフィスソフトウェアに常駐していたうざくてたまらないイルカのヘルプアシスタントキャラ以外の何物でもありません。そのうざさは耐え難く、当時PCに触っていたものなら誰もが「お前を消す方法」を彼に尋ねたかと思います。
 しかしオフィスソフトウェアの更新に伴い消え去ると今度は「あいつどこいった?」と逆に探されるようになり、上記のようにそのかつての雄姿を懐かしむ記事が定期的に出てきます。中には、最新のオフィスで奴を召喚するという強者までいるようです

 さてそのイルカことカイルですが、実は私にもちょっと思い出があります。確か大学生だった頃だと思いますが、いつも通りこいつが現れて「何か聞きたいことありますか?」と言ってきたので、哲学的な質問をしてみようと何故だか思いつきました。具体的には以下の通りです。

「人は何故生きなければならないの?」
「僕は誰?」
「戦争に正義はあるの?」
「死んでいい人っているの?」

 どの質問に対しても、「質問の意味が分かりません」と答えられ続けましたが、なんか上記質問を考えている間はめちゃくちゃ楽しくて爆笑しながら打ち込み続けました。この時の体験をきっかけに、「意外と捨てた奴じゃないな」などと変に評価するようになったのですが、Windows7辺りで出てこなくなり、突然の別れにいたたまれない気持ちになったこともあります。
 うざいキャラというのは大抵いなくなると逆に寂しくなることが多いです。そういう意味ではウザキャラというのはいなくなってからが本領発揮で、真に注目されるのは「あの人は今?」的な企画なのかもしれません。

2021年5月30日日曜日

朝日新聞社の赤字報道における不可解な決算短信

朝日新聞、赤字441億円 過去最大「コロナ影響」(時事通信)

 上記リンク先の記事の通り朝日新聞社は2021年3月期決算(短信)で441億円の赤字が発生したと報じられています。赤字となるのは11年ぶりで、原因について朝日は自分で「コロナのせい」と書いていますが、率直に言ってこの説明には強い疑問を覚えました。
 ひとつは、コロナ流行をきっかけに新聞購読をやめる人がいるかって話です。普通そんなのいるはずもなく、コロナで収入がなくなって購読やめる人なら確かにいるかもしれませんが、恐らくそういう収入が細い人は元から新聞取ってないと思われます。敢えて深読みすると、コロナで広告単価が落ちたことで新聞事業の売り上げが落ちたという説明ならまだ理解できるのですが、朝日はそんな風には説明していません。

 そうした全部コロナのせいという理由のほか、「『繰り延べ税金資産』を取り崩したため」ということも赤字の理由としていますが、これに関しても一見して意味が分かりませんでいた。これが今回のこの記事の最大のトピックで、多分ネットで分析してるの私だけでしょう。

 「繰延税金資産」の専門的な説明は他サイトに任せますが、通常は赤字(損失)が発生した年度に発生(増加)し、黒字の年度に解消(減少)する資産です。具体的には、前年度が100万円の純損失だったら各国の繰延期間や繰延額上限の制度にもよりますが100万円の損失分が繰延税金資産となります。でもって翌年度が200万円の黒字だとした場合、100万円の繰延税金資産(繰越欠損金)を税額計算時に差し引くことができます。
 200万-100万=100万円という計算となり、その年の年度は200万円の純利益を上げているとしても、税額計算では繰延税金資産を差し引いた100万円(課税基準額)に法人税率を乗算して実際の納税額を出すこととなります。このように繰延税金資産というのは、「過去に発生した損失の先送り」みたいなものと理解してくれればいいです。

 話を戻すと朝日の説明で意味が分からなかったのは、何故赤字が発生した2021年度に繰延税金資産を取り崩したのかという点です。先ほどにも述べた通り、繰延税金資産というのは基本的には赤字年度に増加し、黒字年度に減少します。それが今回の朝日の発表だと逆です。

 あまりにも意味が分からない説明のためもうこうなりゃ財務諸表を見るしかないと思って朝日新聞社のホームページを見たところ、なんとIRニュースに関するページがなく、過去の決算情報を含めて一切公開していませんでした。っていういいのか、この暴挙?もし朝日が自分のところに取材きたら、「財務諸表すら後悔していない連中にとやかく聞かれる覚えはない!」って言うぞこれから。

 幸いというか、Yahooニュースにコメントを寄せている不破雷蔵氏のコメント内容から朝日新聞社の決算単身は何故かテレビ朝日のサイトで公開されているという情報を得たので探したところ、確かにありました。でも何故こっちで公開しているのか、謎は深まるばかりです。

親会社等の決算に関するお知らせ(テレビ朝日ホールディングス)

 結論から言うと、財務諸表を確認したところ報道内容と大きく乖離しているという印象を受けました。連結ベースの数値で見ていくと、まず本業の事業損益を指す営業損益は70億円の赤字で、配当金などの投資収益を含む本業以外の収益をを指す営業外収益は70億円の黒字でした。そのほかを含め主要科目を抜粋すると以下の通りです。

売上高;2937億円
売上原価:2141億円
売上総利益:796億円
販売費及び管理費:866億円
営業損益:-70億円

営業外収益:70億円
営業外費用:5億円
(差し引き65億円の黒字)

特別利益:12億円
特別損失:77億円
(差し引き65億円の赤字)

税引前純損益:-70億円

 計算わかりやすくするために科目名を整理しましたが、最終的な税引前純損益に至るまでの計算過程は「-70+65-65=-70億円」です。財務諸表見慣れてないととっつきずらそうですが、必要な項目だけ見れば案外わかりやすいものです。

 以上の通り、主要事業と非主要事業の経営成績は実際にはほぼトントン、そこに特別損失が加わって初めて70億円の赤字となるわけですが、報道されている441億円の赤字とは乖離があります。両金額の差の371億円の赤字は何なのかって話になります。

 その後連結損益計算書を見て行ったところ、税金費用が列記されている箇所に「法人税など調整額」という科目があり、その科目金額がまさに371億円でピタリ賞獲得でした。恐らくこれが朝日新聞の言う「繰り延べ税金資産の取り崩し」だと思われるのですが、これだ441億円の赤字の大半は当年度業績とは無関係の税額調整額だったということになります。

 っていうか何故繰延税金資産で税額がこれほどまで増加するのか。注記がないため具体的な会計処理は分かりませんが、「繰延税金資産」というよりかはむしろこれ「繰延税金負債」なのではないかと一見して思います。貸借対照表の資産の部にある「繰延税金資産」も2020年3月期から2021年3月期で307億円減少していますが、本当にここの会計処理はどうなってるのだろうか。税額計算表くらい出せよとか思います。

 また朝日新聞は自社の記事で「繰税金資産」と書いてますが、財務諸表上では「繰延税金資産」で単語が一致してません。会計業界だと「繰延税金資産」が一般的ですが。
 同じく朝日の記事でもう一つ記述で明確に不自然に感じる点があり「純損益は441億9400万円の赤字」と書かれてありますが、この金額は「親会社帰属の当期純損益」に対応しています。一方、「当期純損益」は451.59億円となっています。

 少なくとも中国では純損益と言ったら一般的に「当期純損益」を指し、「親会社帰属の当期純損益」の場合は必ず「親会社帰属の当期純損益」と言って区別します。日本会計基準にはあんま詳しくないのですが、こういう言い方するのと結構戸惑っています。

 以上のように、朝日新聞社の決算短信に関する報道は不自然な点が多いです。特に純損益に関する部分は「親会社帰属の当期純損益」が連結損益決算書の末尾にあるもんだから記者が間違えて書いてしまったのではないかと疑っています。日本会計基準だとそうなのかもしれないけど。
 赤字に関しても、会社業務関連の金額は実際には約70億円だけで、残りの371億円は実際には税額処理関連費用であり、報道記事内容と照らすと「朝日の業績が振るわず大赤字」というイメージとはかけ離れています。

 もっともこの税額処理についてはきちんと説明しない朝日自身の方に問題があります。当初より疑っていますが、過去の計上を見送ってきた損失をコロナにかこつけて一気に計上したのが実態であるような気がします。だとすれば朝日の説明は、元よりミスリードさせる目的の下で出された可能性もあるでしょう。

 それにしても本当に意味の分からない監査報告書で読むのに苦労しました。担当はあずさ監査法人のようですが、これでいいのとかちょっと思います。朝日グループはどこもあずさが担当ですが、ぶっちゃけ1回変えてみたら東芝とかの報道できなくなったりして。


  追記
 あとから考え直したところ、過去に形成された繰延税金資産が制度で認められた繰越期間を超過して、実質的に消失(目減り)した場合に、上記のような会計処理はありうるということに気が付きました。っていうか本当にこの辺は「期限きれ」などとちゃんと注記書けよ。

2021年5月27日木曜日

メンボー

 前略、中国製ワクチンの一発目を決めてきました。予約自体は先月でしたが、先月末の時点で摂取できる日がほぼ1ヶ月後の今日しかなく、結構時間たってようやく摂取することが出来ました。なお予約取ったことを友人に話したらワクチンはシノバックなのかシノファームなのかと聞かれましたが、どちらの社名もその時初めて聞きました。


 何故か接種後に「写真撮る?」とか聞かれたので、念のため写真撮っておきましたが、箱に書かれた企業名からどうやら自分に打たれたのは中国医薬集団(シノファーム)系の北京生物製品研究所有限公司のワクチンだったようです。
 なおこの社名と系列はこの記事から拾ってみましたが、これ誰かいたんやろな。

 接種後はそのままタイマー渡されて病院の待合室で30分間待つように指示されました。突発的な副作用のチェックのためでしょうが、待合室が狭く、且つ予約制とはいえ結構やってくる人多かったのでかなり窮屈でした。しかも待ってる最中に何故か警察が来て、受診者をどのように配置しているのかとか聞いてました。病院側は、この診療所は外国人接種を受け付けており、外国人だと接種前後で時間がかかるから込み合いやすいなどと話してました。

 それで肝心の副作用についてですが、少なくとも自分に関してはこれまでに一切出ていません。接種してから5分程度経った時、打ち込んだ左肩付近にじんわりと熱を帯びるのを感じて、このまま全身に回るのかなと思いましたが数分したらその熱も引き、それからは自覚するような症状は何一つありません。
 病院、っていうか看護婦からは3~8週間後に二発目を打つよう言われ、明日からまた予約できるそうです。

 そんな感じでつつがなく終了しましたが、一つ気になるというかインパクトのでかいことが1件ありました。ワクチンを打った直後、医師が打ち込んだ左肩に何かを押し当てて自分にも抑えるよう言われたので抑えたのですが、なにやら細長い計上していて、最初は医療テープか何かかと思いました。しかしよくよく見るとそれは綿棒で、「なんでここで綿棒?ガーゼ足りてないの?」などと激しく混乱しました。


 マジわけわかんなかったからこうして写真にも取ってきています。なお刺し方が上手かったのかほとんど出血しなかったので綿棒も白いまんまです。
 中国にいる間、何故だか私は病気一つせず病院に行くことはこれまで実際に皆無でした。健康診断で日系クリニックに行くことはありますが、もしかして中国の病院では私が知らないだけでガーゼの代わりに綿棒使う文化があるのかもしれませんが、仮にそうだとしたらワクチン以上のカルチャーショックです。

2021年5月26日水曜日

五輪中止の発信源はどこ?

(社説)夏の東京五輪 中止の決断を首相に求める(朝日新聞)

 上は朝日の社説ですが、これを見て見出しに掲げたようにどこが発信源なのか強い疑いを持つように至りました。

 東京五輪中止は先週のバッハ会長の発言を契機に急激に広がってきましたが、なんとなくその広がり方が急激すぎるような気がしないでもありませんでした。はっきり言ってしまえば、どこか特定の勢力が明確な意図をもって発信している、というよりメディアに発信を許可しているような印象を覚え、憶測にすぎませんが作為的なものではないかという気がしています。
 そこへきてこの朝日の社説です。こういっちゃなんだけど、割と勝馬に乗ろうとする傾向の強い朝日がこうした社説を出してきたことでその疑いが自分の中で強まりました。仮に私が朝日の人格でこの手の主張をするとしたら、「国民は五輪開催を望んでいない」などと、自分が言い出したのではなく国民がそう言ってるのだから政府は従うべきという風にして致命的な責任は回避する書き方をしてくると思います。なのでやたら押せ押せムードのこの社説は、私からしたら違和感ありありです。

 ではなんで朝日はこんな社説にしたのかというと、やはり何らかの勢力が動いてて五輪中止がほぼ確定的となった背景があるのではないかとこれまた勝手に推察しています。仮にこの私の憶測が正しいとしたら一体どこが五輪中止を流布させているのかという話になりますが、まず真っ先に小池知事率いる東京都は容疑者から外れます。流布させる理由もなければメディアも東京都のいうことなんか聞きません。

 となるとやはり政府中枢ということになりますが、まず大きく分かれるのは与党政治家と官僚のどちらかですが、やはり官僚側がそうしたムードを醸成させているのではないかという疑いが強いです。ただ一部省庁が五輪開催を妨害するように動く動機はいくつかあるものの、単独でやるかと言ったらちょっと怪しいです。可能性としては五輪開催に否定的な複数の省庁、上げるとしたら厚生労働省とか外務省、経済産業省辺りですが、ここら辺になるともう官邸が指示していると見た方がいいかもしれません。
 率直に言って、菅首相を含む内閣中枢が五輪中止を内々で決めて、いきなり中止宣言せずにムード作りに動いているのではないかという風に勝手に見ています。何の根拠もありませんが、ここまで考えた時に一応菅政権なら逃げられるかなとは思いました。

 逃げられるとはどういうことかというと、「悪いのは去年中止を決めなかった安倍政権」みたいな感じで、見通しの甘かった前政権に責任を擦り付ける逃げ方が一応できなくもないという意味です。まぁぶっちゃけ、去年の時点で中止決定していたらどれだけよかったのだろうかという状況を現在呈しているから筋として間違ってない気がしますけど。
 マジな話をすると、例え五輪を開催しても大会中に選手や関係者の中でクラスター発生したらえらいこっちゃです。損害は大きいものの、中止にする方が確かに楽だし損切りとして最終的な比較結果でもマシなのではと私も思ってます。

 結果論ではありますが、本当に2013年に五輪招致なんて成功しなければどれだけよかったのか。この際全部電通のせいにして捌け口がてらあそこを叩いていたいです。

2021年5月25日火曜日

相手に負い目を意識させる価値

 1回間に記事を挟みましたが、この前書いた漫画のブラックラグーンにおける主人公とヒロインの関係に続く記事を書きます。前回の記事で自分は、この漫画の主人公とヒロインの関係はやや特殊で、ヒロインが主人公に贖罪意識を持ってるせいで割とホイホイいうこと聞くと書きましたが、この贖罪意識とは単純に負い目で、あまり言及されることはないけど一般の人間関係において圧倒的な強みを持つ要素だと個人的に考えています。

 贖罪意識こと負い目、または借りといった意識ですが、これは相手に何かを強要する際においてこれ以上ないくらいの心理的プレッシャーを与える要素と言って間違いないでしょう。個人間の信頼関係においては他には愛や友情、男気や恩義などいろいろありますが、例えば愛とかだとその感情が深すぎると他の人との関係で軋轢を生むこともあるし、また対等な関係にも用いられるので意外と関係性の強固さで言えば実は緩い方だと思います。むしろ男気の方が強かったりして。
 一方、恩義もいくらか負い目と被るところありますが、こうした負い目方面の意識を相手に植え付けさせれば、前述の通り強制力において最強のカードとなります。人間、どれだけ傲慢な性格してても、特定個人に対し何らかの負い目を持っているとちょうど脅迫されているような感じで、少なからず無茶な要求されても従ってしまう、また完全に従わないまでも動揺して何らかの協力をしてしまいます。

 一体何故負い目がそこまで人の心を動かしてしまうのかついては自分もあんま研究してないのでわかりませんが、この負い目に着目、というか付け込むという意識を持つと人間関係においてかなり有利に立ち回れることでしょう。むしろあまりにも有利過ぎるが故に犯罪行為に使われていることの方が多く、尼崎事件などはまさにこうした心理に付け込んで多くの家族の乗っ取りに成功しています。

 この尼崎事件ほどではないにしろ、一般人の日常生活においても負い目を意識させるという思考は私自身はある程度持っていた方がいいという風に考えています。具体的には相手に「借りを作ってしまった」と思わせる程度の行為で十分なのですが、例えば何か困難な作業を頼まれて完了した際に、「なんでもなかったですよ」という風に強がるのではなく、「大変だったけど頑張って何とか仕上げたよ」的に言う方が、後々のためにはやはり有利でしょう。極端な場合、簡単な作業であってもめちゃ苦労させられた風に装うのも手かもしれません。
 ただあまりにも苦労アピールし過ぎると、ぶりっ子ちゃん疑惑立つので加減は大事です。

 こうした苦労アピールは初歩の初歩ですが、少し複雑な目線で立つならば、事後に相手に借りを作ってしまったと思わせるという戦術もかなり強力だと考えています。具体例を出すと、その相手のあずかり知らぬところでその相手のためになる活動なり行為を行い、すべて完了し終わった後で、「ああ、あれ俺がやっといたよ」的にさりげなく言うと、結構これが相手に響くことが多い気がします。もっと回りくどい手を使うなら、自分ではなく第三者に「あの人が凄い頑張ってくれたよ」的に言わせるとさらにさらに有効です。
 言うまでもないですが、この際にあまり見返りを求めるのは厳禁です。仮に見返りを求めるとそれが相手にとってその借りに対する補償行為と認識され負い目を感じさせられなくなります。ヤクザもよく使う手段ですが、ヘマした時にすぐにお詫びなりなんなりを一切行わせない、そういう隙すら作らせないというのは相手を追い込む上ではめちゃくちゃ有効だと自分も思います。

 ではこうして相手に負い目を意識させたらどうするか。ぶっちゃけそのまま意識させ続ける、継続することが何よりいいと考えています。少なくとも負い目を持っている相手はこちらとの対立を知らず知らずに回避しようとしがちで抗争に発展し辛くなるし、何かトラブった際に援助を期待することもできます。
 それ以上に、ここぞというところで「鉄砲玉になってくれ」みたいな無茶な要求を通す時に威力を発揮するので、忘れない程度に負い目を時たま意識させることが周囲の人間関係で有利に立つ上で重要な気がします。

 ただこの負い目を意識させる行為を無意識にやっている人、なんとなく女性に多い気がしますが、この手のタイプは相手が負い目をなかなか意識してくれない、または負い目を感じさせる隙がなかったりすると猛烈にその人間に憎悪を向ける、下手すりゃ排除しようとしてくる傾向がある気がします。そうしたことを考えると、何が何でも負い目を意識させようとするとこちらも知らず知らずに敵を作ってしまうことにもなりかねないので、やはりほどほどがいいでしょう。

 さらにその上でいうと、自分が誰かに負い目を感じてしまったらどうするかというのがディフエンス面での議論となってきます。単純な解決手段としては補償行為を行う、つまり相手にお礼なり逆支援したりして、「借りは返した」的な状態に持って行くというお決まりパターンです。自分もそうですが、やはり負い目をどっかで覚えていると単純にその相手に対する判断が物凄く鈍る傾向があり、何が何でも負い目を感じないようにするのもどうかと思いますが、やはり一定のラインを越えたら解消するように動いた方がいい気がします。
 また負い目を感じている相手から、ブラック企業的なかなり無茶な要求が出始めてきたら、その相手との関係をどうするかある程度は真剣に考えた方がいいでしょう。負い目を持っているということからその相手には何らかの借りが過去にあったとは思うものの、それまでの親切な対応から手のひらを反すように苛烈な要求を仕向けてきた場合、確実に負い目を梃子に強制力を及ぼそうとする意識を持っていると判断した方がいいです。そのような相手だとどれだけ補償行為をしても過去の借りを何度も持ち出してくるだろうし、またその要求も苛烈さをどんどん増していく可能性すらあります。

 はっきり言ってしまえば、負い目を過度に利用する相手だとわかった場合は距離を置く、場合によっては関係を断つ決断も必要になってくると思います。自分もこうした考えから、基本的には相手に与える借りが収支でプラスになるよう維持するものの、向こう側にその意識があったら相手の補償行為をなるべく受けるようにしています。あまりにも借りを一方的に作り過ぎると相手に警戒されることはもとより、自分自身がそれを利用する側の人間に変わってしまうのではないかという懸念があり、そうならないよう借りの精算を意図的に行うことでバランスを保つよう意識しています。

 以上を踏まえて言うと、ヒロインに負い目を持たせてあれこれ無茶な要求するブラックラグーンの主人公のロックはジゴロだということになります。まぁヒロインに対しあまり気にすんなとは言ってはいますが、それを推しても平気で鉄火場こと撃ち合いの場面にガンガン放り込むのは結構苛烈な要求である気がする。

2021年5月24日月曜日

阿波踊り記事

阿波踊り恐るべし、座敷牢を抜け出して踊りまくる家老がいた!(JBpress)

 明日配信と聞いてたけどもう出てたのでこちらでも紹介します。

 内容はもう10年も前にこのブログで取り上げた、阿波踊り踊って改易食らった徳島藩の家老の話で、特に付け足すような内容はありません。しいて言えばドラフト提出時の見出しは「阿波踊りでプリズンブレイク」でしたが、さすがにまずかったのか変更されました。

 ただ文章はプリズンブレイクに沿って「セカンドシーズン」など横文字を意図的に多く入れています。個人的に気に入っているのは江戸時代の藩政に対し「コンプライアンス的に」という表現を使ったという点で、こんな言葉を時代劇的な話に入れたのは自分が初めてじゃないかという気がします。

 もう一点だけ付け加えると、阿波踊りは一昨年までその主催や収益配分を巡って内輪揉めが続くなどやや不穏な状態が続いていました。そしたら昨年はコロナで中止となり争っているどころの場合じゃなくなったのですが、今年に関しても開催するという発表はまだ聞かれず、個人的にもかなり心配しています。
 そういう時だからこそ内輪もめなどの争いとは関係なく素直に阿波踊りの歴史とエピソードが楽しめたらいいな、とばかりにこの記事を出そうと思いました。決してネタに苦しんでたわけじゃないです(ヾノ・∀・`)ナイナイ

2021年5月23日日曜日

ブラックラグーンのロックとレヴィの関係

 作者の休止による未完という「ベルセルクショック」の余波でガラスの仮面やヒストリエなど、連載がなかなか進まない作品の完結を懸念する声が各所で広まっていますが、自分がこの方面で真っ先に気になったのは他でもなく「ブラックラグーン」でした。
 2001年に連載を開始してから今や20年経つこの作品ですが、2010年まではコンスタントに連載されていたもののそこで話が一区切りして以降、掲載回数が極端に減り、2009年に9巻が発行された後、10巻は2014年、11巻は2018年の発売と大きく間隔を空けており、作者の広江礼威氏も気にしているようですがかなりの牛歩ペースとなっています。

 どうでいいが「ぎゅうほ」と入力していきなり「牛輔」と出て来たけど、こんな変換使う三国志マニアはそんないないと思う。

 話を戻すと、そんな掲載ペースが遅いながらも完結が懸念される辺りはやはり人気作というべきで、実際こちらのページのようにこれまでの作品展開についてかなり激しく議論されるなど未だその人気に衰えは見られません。私自身も最初に中国行く前に読んでハマっており、時たま古本でまとめ買いした当時のブックオフとか懐かしく感じます。ちなみに当時一緒に買ってたのは「でろでろ」。

 そんなこの作品の主人公は岡島緑郎ことロックで、名前からしてわかる通り日本人です。作品を知らない人向けに説明すると、彼は元は大手商社のサラリーマンで、仕事で重要書類とともにタイ近海を船で航行していたところヒロインらに書類を強奪された上、身代金目的で誘拐されました。その後、彼の勤務先の大手商社は書類自体を「なかったこと」にするため、ヒロインの所属する運び屋グループを主人公もろとも殺害殲滅しようとし、主人公は見殺しに遭います。
 最終的には主人公の機転で殺害に来た武装勢力を撃退し、勤務先もやれやれとばかりに金払って書類を取り戻すのですが、この一件で見切りが付いた主人公はやってきた上司に決別を叩きつけ、そのままヒロインのいる運び屋グループに所属しアウトローへの道を歩むこととなります。

 その主人公をアウトローの道に引き込んだのは前述の通りヒロインのレベッカ・リーことレヴィなのですが、このロックとレヴィの関係がやっぱ特殊だと何故かこの前同僚と話していました。どうして特殊なのかというと、一般的な漫画においてお決まりの恋愛関係ではなく、若干共依存的なものがあるからです。
 ロックとレヴィは作中でも名コンビぶりを発揮しており、主に作戦や方針をロックが立て、腕っぷしで圧倒的なレヴィがそれに応じる形でロシアや香港のガチ怖いマフィアのもめ事を次々と処理していきます。両者ともに相手の力量を認めていることから信頼関係は高く、たまにレヴィがロックの甘さぶりに苦言を呈すことはありますが、基本は無茶な要求であってもロックの頼みならとばかりに何でも引き受けてくれます。

 ただ、レヴィがロックの無茶な頼みを毎回聞く背景には、明らかに贖罪意識が作用していることが作中でも明確に書かれています。どういうことかというと、元々日の当たる世界で生きていたロックを、前述の通り身代金目的で誘拐したのはレヴィで、それがきっかけでロックがアウトローに身を置く羽目となってしまいました。
 レヴィ自身は米国のスラム街で育ったことから元から日の当たらない世界の住人ですが、それだけに日の当たる世界への憧憬が強く、自分は仕方ないにしても元からその世界にいたロックをこちらへ引きずり込んだことに対し、何度も後悔している素振りを見せています。

 そうした後悔もあって、ガチ怖いロシアマフィアの姉さん(声優がガチハマり過ぎ)の仕事でロックと一緒に日本に行った際、レヴィはロックに残してきた家族に顔を出せに行けと後押しします。顔を出しにと言うものの、本音ではそのまま日本に残り自分たちアウトローと袂を分かつよう仕向けたのですが、レヴィの思惑とは逆に、ロックは家の前まで行ったものの家族とは合わずにレヴィの元に帰ってきてしまいます。でもってレヴィに怒られる羽目にも。

 上記のようなレヴィの配慮を受けてきたロックですが、彼自身はむしろみかけ倒しの日本人としての生活よりも、現在のアウトローとしての生活の方が生を実感できるとして実は歓迎しています。ついでに言えば他のマフィアの大物にも「元から悪党向き」だなどと評価されています。
 そのような心境から、ロックの方はむしろレヴィに対してくだらない日常から救い出してくれたという感謝のような気持ちを持っているのですが、前述の通りレヴィは逆にロックに対し申し訳なさを覚えており、若干すれ違った共依存のような関係を持っています。だからといってロックも完全にアウトローに染まり切っているわけではなく、その辺の右左にぶれる姿勢もこの作品の見所ですがその点についてはここでは無視します。

 ロックとしてはレヴィの贖罪意識、そして自分自身への配慮をしっかり気づいており、それだけにレヴィに対しては気にするなと何度も伝えているものの、レヴィの側では未だに割り切れない心境のままとなっています。逆にそうした贖罪意識を捨てきれていないのを見てロックもレヴィに寄り添っている感があり、他の漫画では見られない妙な主人公とヒロインの関係が出来上がっているように見えます。

 この関係ですが、あまりはっきりと言及されたり意識されたりするわけじゃないですが、現実の人間関係においてもかなり重要な一端を担うとかねてから考えています。その辺についてはまた次回で解説しますが、改めて自分はやっぱこのブラクラ好きなんだなと書いてて思います。

2021年5月22日土曜日

松戸の誤った情報

「松戸」在住の40代会社員…賞与減で「ローン破綻」の危機(幻冬舎)

 全く評価していない幻冬舎の記事ですが、やっぱり全く評価できません。というのも冒頭で、

「(松戸は)東京に隣接するという立地から、ベッドタウンとして人気の街です。」

 と書いていますが現実には、

「(松戸は)東京に隣接するという立地なのに、ベッドタウンとして不人気の街です。」

 と書くべきでしょう。

 都内への通勤などにおいて松戸の交通の便の良さは際立っており、また京成線も松戸駅に乗り入れているので羽田、成田空港のどっちに行くにしてもスムーズに移動できます、にもかかわらず不人気極まりなく、確か一昨年辺りの地価下落率とかでも上位は言ってた気がします。

 このほか幻冬舎の記事には「少々ごちゃごちゃした印象の駅周辺ですが」と書かれていますが、少々どころじゃなくカオスの極みと言っていいくらいごちゃごちゃしてます。なお東口の歩道橋下にあるごちゃごちゃしたところに狭いけどおいしい回転寿司屋があります。

 上記記述に続いて「松戸から出る必要はほとんどない」と書かれていますが、これに関しては非常に同意できます。自分が松戸住むでた時の休日は駅前の漫画喫茶行って、ヨーカドーで買い物してで全部用が済み、松戸から移動することはほとんどありませんでした。外食も馴染みのカレー屋と洋食屋が駅前にあり、自宅と駅前の往復くらいしか動く理由がなく自転車に乗る機会も当時減っていました。
 逆を言えばこれがさっきの点にも関わってくるのですが、都内への交通の便は抜群にいい一方、松戸駅前との往復で大抵の用が足りてしまうことから、休日に都内に出る理由がほとんどありませんでした。秋葉原とかに行く機会も、松戸以外に住んでた時の方が多かったくらいだし。この点が、いまいち交通の便の良さが認識し辛いところになっているのではと思う節があります。

 それにしても幻冬舎の記事、創作でしょうが「松戸駅から徒歩30分の一戸建て購入」なんてんな話あるわけねーだろと言いたいです。というのも松戸駅から徒歩30分離れてりゃ必ず東松戸や北松戸などの別の駅が最寄り駅になってくるはず……と言いたいですが、江戸川沿いの国道近くの物件なら徒歩30分で松戸駅が最寄となりうる場所があるかも、っていうかそこくらいしかないということに今気が付きました。この点は疑って(m´・ω・`)m ゴメン…

 もっともそんなところに家買うこの人は結構やばい気がします。あのあたりだと小学校とかはあるけど買い物行く場所が結構離れてるし、もうチョイ駅近くに買えばいいのにと思えてなりません。どうせ松戸だから高くないんだし。
 なお松戸に住むなら、少し利便性が下がるでしょうが一駅ずれた北松戸周辺とかの方がいいと個人的に思います。意外と北松戸周辺も便利、っていうかよくあそこのルートイン泊まるけど、必要潤文にインフラも整ってるし、相撲部屋も近くにあって力士とかたまに見られます。

2021年5月20日木曜日

夏の歴史特集

 リンクは貼りませんが漫画「ベルセルク」の作者の三浦建太郎氏が亡くなったとのことで、予想されていた通りこの作品は未完となりました。連載中の漫画家が逝去することはこれまでにもありましたが、連載中の漫画のインパクトで言えば恐らくこれが史上最大ではないのかと思います。手塚治虫もいくつか未完作品がありましたが、他の晩年の作品ともどもあんま知名度がない気がします。「ルードヴィッヒ」は見たことあるけど。

 話は本題ですがまた今年もJBpressで来月あたりから3週連続の歴史コラムをやる予定で、既に日本からも題材の資料も取り寄せて今急いで読んでる最中です。大まかな構成とインパクトあるポイントはすでに用意してあるので執筆にはそんな困らないと予想していますが、かれこれもう5年くらい毎年夏に同じことやってて、このペースでいけば普通にこの特集記事だけで1冊本ができるなという気がします。
 ぶっちゃけ各題材をわかりやすくまとめている自負があり、そこそこ出来は良いと考えています。唯一、長州閥の連載だけはあんまアクセス取れなくてあの時はもうやめようかとかちょっとよぎりました。

 そもそもこの夏の歴史特集ですが、2017年に忙しくてどうしても記事出せないという時用にため記事として書き始めたのがきっかけです。ある程度書き溜めたところで編集部に「こんなんあるよ(´・ω・)」的に出して、内容は戦国初期の関東でしたが試しに1回載せてみたらかなり反応が良く、そのまま3週連続のコラムとなりました。
 元々、夏のシーズンは別の仕事が忙しくなるのでため記事作っておくと楽ということもあり翌年の2018年も同じように今度は一向一揆を取り上げて書きましたが、これは初めからかなり計算した上でアクセスも相当数稼ぐことを前提に書いただけあって、華々しい成功を収めました。その後の2年間はややネタ切れというか最近あんま勉強してないのと、「誰もが知るけど真相は実は」的な歴史ネタを上手く見つけられなかったため、去年の明末ネタは中国史ネタでありながらそこそこ検討したというものの、2017年や2018年ほどのヒットは飛ばすことはできませんでした。

 逆に今年のネタはまた日本史で行く予定ですが、ちょうど今歴史マニアの間では盛り上がっている話題であり、知名度も抜群であるのと、中国に住んでいるからこそ知りえるある事実を偶然ながら入手したことから、かなりアクセスが期待できると踏んでいます。まぁこう言う風に調子乗ってると大体予想外すのですが。
 それにしても前述の通り偶然から例年の風物詩的な習慣となったのはなかなか奇妙さを覚えます。本音を言えばもっと中国経済ネタで同じようなコラムとかやれればいいのですが、一風堂で熱上がっているのもあり、中国外食チェーンとかまたやってみようかな。

 あと来週火曜の5/25にもまた別の歴史ネタを出しますが、これも結構アクセス期待できます。インパクトだけなら自分の歴史記事の中でもトップクラスだし。

2021年5月19日水曜日

書評:「一風堂」ドラゴンに挑む!

 先日、夏の歴史特集に使う資料が電子書籍でなかったため、日本の親父からハードコピー本を取り寄せて中国に送ってもらうことにしました。その際、以前に取材したラーメン屋「富川」の富川社長から、「 先日、夏の歴史特集に使う資料が電子書籍でなかったため、日本の親父からハードコピー本を取り寄せて中国に送ってもらうことにしました。その際、以前に取材したラーメン屋「富川」の富川社長から、「中国での事業を始める前に一風堂の本を読んだが、あれが一番役に立った」と言われたことを思い出しました。なのでついでとばかりに「この本も」と送ってもらいました。

 
 そうして送ってもらったのが上記リンクの本ですが、内容はラーメンの一風堂の社長が中国、っていうか上海市に進出した時の苦労話をまとめた内容となっています。この本は発行されたのが2007年と既に14年前で、敢えてゲームで例えるならPS3の全盛期にスーパーファミコンのことを語るようになってしまいますが、それでも面白かったので紹介することとします。

 初めに一風堂の中国事業について少し触れると、現在一風堂は上海や北京などの中国の大都市にチェーン店を展開しており、日系ラーメンとしては最初にブレイクした味千ラーメンに並びその代表格として高い認知を得ています。ただ中国で「一風堂」の屋号が使われるようになったのは2012年からで、この本に書かれている進出当初は「享食78」という屋号でラーメン店を運営していました。その理由は何故かというと、材料はスタッフの質の差からいきなり日本の一風堂と同じ味を中国で展開することは不可能だったからと考えたためと書かれてあり、その論で行くならば、2012年になって初めて一定の味の水準をクリアしたと判断したのかもしれません。

 本の内容について触れると、やはり現在と比べると時間が経っていてやや古い情報であるということは否めませんが、富川の社長が言っていたように、中国で起こりがちなトラブル事例は非常によくまとめられていました。具体的には、「試作品のみまともなものを出して取引開始後は質の悪い素材を送ってくる」、「金ざるなどちょっとしたものがない、現地で作らせてもなかなかまともなものを作ってこない」、「それがお前たち上海人の実力かなどとプライドに訴えかけると中国人はやる気だしてくる」など、これらは現代中国にも通用する一般概念です。
 また苦労話の中で目を引いたものとして、麺を練り上げる際に使う「かん水」が中国にはなかったというエピソードは非常に驚きました。中華麺は別の水媒体を使ってるのかもしれませんが日本風のかん水がなく、しかも法律で食品への使用が認められてなかったから「食塩を混ぜて食塩水というk達にして乗り切った」という裏技的攻略法まで書かれていました。

 そのほか個人的に一風堂の河原社長が大した人だと感じさせられるエピソードとして、中国側出資者がどこかからよくわからない女性経営者を引っ張ってきて改革プランを出してきた際、失敗することをわかっていながら丸呑みしたという話も載せられていました。河原社長によると、「分析は鋭いが判断が誤っており相半ば」というプランだったそうですが敢えて丸呑みし、中国側の思うがままにやらせたところ案の定大失敗こいて、その女性経営者も9ヶ月で去ったそうです。
 ただこのおかげで「やっぱ俺のが正しいでしょ( ・´ー・`)」的に一気に経営の主導権を握ったそうで、文字通り肉を切って骨を断つ戦略的判断で成功したことが書かれています。

 こうした中国での苦労話に加え、この本の後半では既に中国に進出済みの日系飲食店の状況や戦略、同じく苦労話がまとめられています。この後半部分を読んで驚いたのは、サイゼリヤ、吉野家、ココイチという、現在も中国事業が比較的成功した日系飲食チェーンが真っ先に取り上げられており、よく2007年の段階でこの三つを選出したもんだと非常に驚きました。でもってサイゼリヤが日系飲食チェーンとしては初めて独資での進出が認められ、当初苦労したけどいきなりやばいくらいの値下げ攻勢かけて生き残ったという私も知らなかったエピソードなどは、古い本だからこそ初めて知れる内容で新鮮でした。

 前述の通りこの本は電子書籍はなく古本でしか手に入らなくなっていますが、その分値段もニトリ以上にお手頃になっているので、興味がある方には是非お勧めします。
 それにしてもこうしたエピソードみるとほんと見方変わるというか、一風堂に対しリスペクトが増しました。

2021年5月17日月曜日

京都タワーの大浴場閉鎖について

泰三子「ハコヅメ」7月にドラマ化!戸田恵梨香と永野芽郁が交番女子に(コミックナタリー)

 前から紹介しているリアル警察漫画の「ハコヅメ」ですがやはり実写化決まったようです。っていうかこれが実写化されなかったら他何を実写化すんのって話だからそんな驚きはないです。いくつかのオファーを作者は断っていたと聞きましたが、今回決まったのはプロデューサーが同じ女性の肩だったからかなと少し思います。


 で話は本題ですがいつも文章読みにくいなと思ってあまり評価してないねとらぼの記事ですが、京都タワー内に設置されている大浴場がコロナのせいで6月末に閉店するとのことです。京都タワーと言ったら札幌市の時計塔に並ぶ来て見てガッカリ観光地代表の一つですが、京都関係者からすると視界に入ると邪魔くさいと思いつつ、遠隔地から京都に戻って京都タワーを見るたびに妙な安心感を感じさせられる建物です。その京都タワーには前述の通り何故か銭湯があり、「誰が利用すんの?(;゚Д゚)」と突っ込まずにはいられない施設の一つでした。

 かくいう私もその一人で、地味に京都タワー地下は修学旅行生向けに安い食堂とかあって学生時代によく使ってましたが、その際にこの謎の銭湯の存在を知り、確か1回だけうちのソ連人民の敵である親父と一緒に入りに行ったことがありました。ねとらぼの記事には中の写真がありますが、一目見て「上手く撮ってんなー」と思う出来です。というのもこの銭湯、中がめっちゃ狭かったのを覚えており、入ってみてますますその存在意義に疑問を感じたことだけ印象に残っています。

 とはいえそんなツッコミどころ満載ながらこの銭湯がなくなるのは私も残念です。もっとも京都は未だに風呂場がない町屋住宅がたくさんあるだけに銭湯も数限りなくあるので、銭湯好きなら無理して京都タワー来なくても大丈夫です。っていうか「テルマエ・ロマエ」じゃないけど、京都市も銭湯スタンプラリーとかやってみればいいのにとか思ってたら、もうやってた
 ただこれ、本気で全制覇とか狙ったらめちゃくちゃ軒数あるからやばいような気がする。それでも数年かけてやってみたい気もしますが。


 最後に自分が持っているファイルで京都タワーの画像探したら上の画像が出てきました。確か「安価で架空の雑誌表紙を作る」という掲示板で、安価で背景とか内容が決まってできた画像です。このほかにも、




 画像の日付みると2008年9月となっていますが、よくこんな昔の画像を後生大事に取っているなと自分でも思います。

2021年5月16日日曜日

日本の義務教育の良いところと悪いところ

 さっき夕食の準備していてお椀に味噌汁の素入れようとしたらちょうどおなかの前にあるダイニングの引き出しが勝手に出てきて(ストッパーが緩くしょっちゅう出てくる)、入れなおそうとしてもまた出てきて、味噌汁の素の投入先がずれて、挙句にお椀を床に転がして、「くっそなんだこの野郎!」とまた一人で怒鳴ってました。よく見たら近くの窓開いてたけど中国ならこの手の怒声は珍しくないので周りはみんな何ともなさそうとしているあたりはほんと中国いいとか思います。
 マジな話、日本人、特に住宅周りはちょっと音に敏感過ぎて、軽いノイローゼ入っているではと疑っています。

日本の義務教育がダメって言われる理由って何だ?←これ(ぶる速)

 話は本題ですが上のリンクは結構前に見た記事ですが、何年も前から何度も繰り返し議論されているにもかかわらず未だに一致を見ない論点で、根深いなと思ってリンクを残しておきました。義務教育ということで、大学教育を除く小学校から高校の範囲で少しこの論点に触れると、まず悪いところじゃなくて良いところ、維持すべきところをもっと明確に意識すべきじゃないかと思います。

 地味に日本の義務教育で最も優れていると私が感じるのは、掃除教育です。小学校の段階から外部の業者や用務員を使わずに生徒自らその使用する教室や設備を掃除させることで、自分が掃除するのだから必要以上に汚さないよう意識させ、尚且つ清掃外注費用も浮くという最強のコンボが成立します。
 この辺、中国だと生徒に一切掃除させないため、やはり共用の備品などに対する扱いが非常に粗雑で、自分が壊しても平気なふりする人も珍しくないです。またトイレ掃除はやったことがないのか物凄い拒否感を見せる人間も多く、トイレの使い方も汚い人が多くてこの辺は自分も辟易します。具体的に言うと、男性用立小便用便器があるにもかかわらず、個室の洋式便器に向かって立小便する人とかざらにいます。こうした比較例が身近にあるだけに、日本の教育の最も優れた点は掃除教育だと私は思っています。

 もう一つ日本の義務教育でいい点を挙げると、私学があるというところじゃないかと思います。私自身も私学出身ということもありますが、生憎通った私立中高一貫校はなんも楽しくなくカスだったと思うものの、やはり私学という存在があるから公立校も対抗意識を持ち、自分らの教育手法の改善に取り組む競争関係が働いていると思います。また私学は私学同士で競争し、尚且つ公立校の枠にとらわれない余地もあり、こうした選択の幅は割とプラスであると思います。
 中国は基本公立校で、私学に当たるものとしては外国人らが通う国際学校があります。中国戸籍者でも希望すれば確か国際学校に通えましたがその分学費はかなりお高いんでしょうになり、日本の私学と比べると一般的ではありません。まぁ中国の場合、社会のいたるところで競争激しいから公立校だけでも競争意識働いているかもしれませんが。

 逆に日本の義務教育の悪いところとして、上記リンクの記事にもありますが「進路指導が悪すぎる」点はまさにその通りだと思います。私の場合は上述の通り私学出身で通う生徒は基本全員が大学進学を希望しており、教師もその前提で動きます。それ自体は悪くないものの大学進学が手段ではなく明らかに目的と化しており、大学に行って何をやるのか、どんな職業や研究のためどの学部を目指すのかと言った視点なり指導はほぼ皆無でした。基本、得意な科目と偏差値のマッチングでしたし。
 この辺は多少偉そうな言い方をすると教師の社会人経験のなさが影響している気がします。どの学部がどんな職業につながるのか、実際の一般企業ではどんな知識が求められるのかという感覚が全く持っていない教師も珍しくありません。そういう意味では、人材会社の社員を各校に一人ずつジョブカウンセラー的においてみるのも案外ありな気がします。

 もう一つあまりよそで見ない悪いところとして、これは昨今の傾向なのかもしれませんが、少人数教育はあんまよくないのではと密かに睨んでいます。というのも50人くらいいれば仲の悪い奴もいるだろうけど気の合う奴も一人や二人はでてくるでしょうが、半分の25人学級とかだとあぶれる人間が出やすい、率直に言うといじめが発生する人間が出てくるのではないかと思っています。
 もちろん教師の負担を考えたら少人数の方が管理面ではプラスと思うものの、その辺は二人担任制などにするなどしてカバーして、可能な限り大人数学級を維持すべきじゃないかと密かに考えています。


 そうした私の方針とは真逆に、世の中は少人数学級制へと移行しつつあります。自分としてはもっといろんなタイプの人間と若い頃から接しておいた方がいいと思うのですが、どうもそんな価値観は少数派のようです。

2021年5月15日土曜日

その企業合併は正解だったのか?

三菱自動車、3123億円の赤字 3月期、コロナで販売低迷(共同通信)

 ちょっと古いニュースですが上のニュース見て、何コロナを言い訳にしてんだとちょっと思いました。コロナのせいで売り上げ減ったと三菱自動車は言っていますが、実際に日本や中国の2020年販売台数は前年比減となったものの、当初予想されていたほど落ち込みは激しくなく、トヨタやホンダに至っては中国での販売台数はむしろ前年比で増加しました。
 日本国内も全体でマイナスであるものの全体としては比較的悪くない水準だという観測がされており、少なくとも3000億円超の赤字を喫する理由としてはどうかと思います。主力市場の東南アジア諸国が駄目だったからと言っていますが、それ以前から三菱は駄目だったのに今更何がという感じです。

 一方、その三菱を事実上買収した日産自動車に至っては4000億円超の赤字でこちらもかなり笑えない事態となっています。日産、三菱共にコロナ以前から巨額の赤字が続いており、おまけにこれというヒット車もなく従来から売れている車でなんとか命脈保っている状態ですが、今の状態みていると提携(アライアンス)組んだことに意味があるのかと言いたくなるような状況です。
 なお最初勤めた会社で外部企業との提携を打ち切る準備を進めていた上司は、「結婚するのは簡単だけど、離婚するのは大変なんだぞ」とぼやいてました。

 日産と三菱だけでなく、世の中にはその合併に意味はあるのと問いたくなるような事例が結構あります。同じ日産に関してはルノーとの提携は少なくとも00年代には大いに機能しましたが最近は倦怠期に入っており、マツダとフォードじゃないですが熟年離婚も視野に入れた方がいいのではと個人的に思っています。

 また自動車会社以外だとゲーム業界で合併は多いですが、例えばスクウェア・エニックスなどは当初は二大ゲーム巨頭の合併ということで大いに話題になったものの、その提携効果というのは今に至るまでほとんど見られません。むしろ合併してから従来人気のあったIPを打ち切ってFF、ドラクエの量産に走るなど、事業としての広がりはむしろ狭まった感すらあります。FFとドラクエのコラボもいただきストリートくらいしかあんま見ないし、むしろあのまま別れてやってた方が切磋琢磨し合えたんじゃないのと密かに見ています。

 同じくゲーム業界だとセガとサミーの合併も未だにピンときません。まだ仲良くやってんじゃないのと思うのはこの前の少し話題に出したバンダイナムコで、こちらは元々IPを商売の旗頭にしているバンダイがナムコのIPをうまく活用するようになったように見え、一緒になった甲斐はあったのではと思う節があります。まぁ馬場プロデューサーに関する質疑回答は見ていて痛かったけど。

 そういう意味ではまた自動車業界に戻りますが、トヨタの日野、ダイハツ、スバル、スズキの資本参入は上手い感じに各社の独立性を保ちつつ、緩い提携という形で成功してるんじゃないかという気がします。やっぱり提携と言ってもいきなり異なった会社を一つにまとめようっていうのは企業文化的にも難しいと思え、各社の独立性を保ちつつ管理など共用する部門だけ共用して(ついでにリストラして)というのが企業合併でいい感じになりやすいのかもしれません。

 最後に一つ書くと、今一つの試金石となるのはやはりシャープと鴻海でしょう。恐らく今後外国企業に買収される日系企業はどんどん増えていき、そうした外資がどのように日本企業をさばくのか、またどういう支配の仕方が上手くいくのかといういいサンプルケースになると思います。日産もある意味その嚆矢例でしたが、あそこの場合はルノーというかゴーンによる支配だったなという印象で、ゴーン流という手法としてみることはできても外資流としてはあまりいいサンプルケースにはならなさそうです。

2021年5月13日木曜日

寿司忍者

 前からこのブログで何度も書いていますが、中国の求人で最も給与が高いのは大抵寿司職人です。真面目に日本初のスキルとしては最高級の汎用性と給与を稼げる技能のように思え、海外で活躍したいとかいう人はまず寿司を握るべきなのではとこのところ本気で思っています。
 などと考えていたある日、同じく日本初のスキルで海外で人気のあるものとして「忍者」が浮かんできたところ、「寿司と忍者が組み合わさったら最強じゃね?」などと思うに至りました。それこそFF5で言ったら「まほうけん+みだれうち」、いや忍者だから「にとうりゅう+みだれうち」に相当するような最強のスキルセットのように思えます。ちなみになんで侍じゃなく忍者のアビリティが「にとうりゅう」だったのか今気になりました。

 そういうわけで先行事例はないかと「寿司忍者」で検索したところ「スシニンジャ」というWebアニメがヒットしたのですが、一目見るなり花澤香菜ばりに「そんなんじゃないよ」という言葉が出てきました。自分が求めている寿司忍者はガチな忍者が握る寿司であって、寿司が忍者になるというのは間違っている気がします。
 では忍者が寿司を握ることはあるのか。実は先行事例として一つあり、それは「忍道」というゲームでありました。

 このゲームは忍者となって大名からの依頼に応えていくお使いゲーなのですが、ゲーム中に「武士騙し」といって見かけまんま寿司なアイテムを作ってお使いに持って行くことができます。この武士騙しにはいろいろな効果を混ぜ合わせることができ、「混乱」とか「毒」とか入れれ路上に巻いておくと何も知らぬ敵の武士や忍者がそれを食べて、いろいろえらいことになります。
 中でも「爆発」の効果はすさまじく、自分はよく吊り橋の上にまいておき、実際に敵キャラがそれを食べるや、何故か食べた奴の周辺を含め爆発が起こり、吊り橋から谷底へとみんな一気に落ちるのが見ていてめちゃくちゃ楽しかったです。あと「拡大」って効果もあり、これを入れると各効果が高まるとともに、寿司の見た目もやたらでかくなり、人間よりもでかい寿司になったります。でもってそれを普通に投げられ、見つけた敵キャラも一口で食べるし。

 実はこのゲームに出てくるある敵キャラがこの武士騙しが非常に効果的で、戦闘中であろうと武士騙しを見つけるや口に入れてダメージを負わせた後、また武士騙しを投げつけると反省なく食べるということからついたあだ名が「寿司忍者」でした。もっとも寿司を握るのではなく食べるのでこっちも「違う、そうじゃない」的なところがありますが。

 ただまじめな話、寿司と忍者の組み合わせはかなり強いと思え、寿司職人も割烹着ではなく忍者衣装来て寿司握った方が絶対受けるような気がします。何気にコロナ流行のこの時期も、忍者衣装ならマスクも目立たないし。
 でもって握りながら「ニンニン」と言ったりすればさらに良く、誰かやってくんないかなとか思ってます。最近寿司料理メインの日本食屋の人と仲良くなってきたら、本気で提案してみようかな。

2021年5月12日水曜日

アエラの記事誤報じゃねーか(# ゚Д゚)


 昨日珍しくアエラの記事を誉めたら、我らがJBpressで山本一郎氏が誤報と断ずる記事を出してきました。記事内容を比較確認してみましたが、あくまで自分が読んだ範囲で理解するなら今回は山本氏の論説の方が筋が通っているように思え、こっちの肩を持ちたいと思います。決してJBpress贔屓じゃないですよ(;´・ω・)
 ただ過去記事を検索すると、割とJBpressは前からアエラと因縁あった模様です。


 こっちは伊東乾氏の執筆ですが私も配信時に読んでおり、今回の騒動で検索して出てきて読み返して思い出した次第です。こちらの記事に「昔のアエラはちゃんとしてたのに……」と書かれていますが、若干自分も同じく様に感じるところがあります。かつては中学受験情報など学術系の記事が多かったのですが近年のアエラはなんかゴシップ系記事が増え、また記事の書き方も単純に軽くなっている印象を覚えます。そういう意味で、記事も内容より目を引くかどうかの方が追及されているように思え、言ってしまえば誤報を生みやすい編集体制にあるのかもしれません。

 もっともこう言うの他山の石としなければならず、私も気をつけなきゃいけないのですが、もし今回の一件が意図的にアエラが書いてたら、親類に若干関係者いるけどマジ許せねぇことになります。無知から書いてしまった記事なら、ただ馬鹿がいただけと笑って許せますが。

 なお今回アエラの方が誤報だと判断したもう一つの理由として、アエラ側が何のアクションも取ってないという点があります。割と記者って誤報を指摘するとやばいくらい発狂するものなのですが、ざっと見たところアエラ側は何の反応も示しておらず、この時点で暗に誤報だったことを認めているなと感じました。
 ついでに書くとAERA dot.のツイッターも確認しましたが、やはりこちらも何も反応していません。それどころか毎日複数件のツイートを行っているのに、今日(5月12日)に限っては何故か1件たりともツイートしていません。大谷選手だって大活躍してるのに、なんやねんこの沈黙は。

 っていうかこんなことになるなら昨日アエラの記事引用してブログ書かなきゃよかった。やっぱり寿司忍者について書くべきでした( ´Д`)=3

2021年5月11日火曜日

日中のワクチン接種状況の比較

【独自】防衛省を直撃!大規模ワクチン接種センター運営を不可解な随意契約30億円で民間に丸投げ(AELA)

 最近政治スクープ記事は文春にやられっぱなしだったけどアエラさんも意地を見せたのかいい記事出してきました。

 上の記事に書かれている通り、全然進まないワクチン接種の一般接種に関してどうも国が人材派遣会社に30億円で丸投げしていたそうです。トリチウムちゃんといい本当にこんなよくわからない契約がこれほどまで横行していることに財務省も歯止めをかけないのかが内心不思議です。
 真面目に最近のコロナ対策を見ていて感じるのは、万事につけての日本の仕切りの悪さです。強権をいくらでも振るえる中国ならまだしも、日本のワクチン接種状況は他の各国と比べても非常に遅れていると報じられており、一時は感染がやばく「英国型」なども登場した英国に至ってはワクチン接種とともに流行も収まってきたという報道が見られます。さすがに現地行って確認出来てはいないものの、医療従事者ですら未だ接種率は20%程度という日本の情報を見ると、言葉が出てきません。

 そもそもの問題は日本の仕切りの悪さで、今回の接種丸投げに関しても官邸が土台無理なスケジュールを自衛隊に強要してきたためと報じられています。実はこれに関連してもう一つ気になる記事があり、それはこちらです。

 最初見出し読んだ感想としては「来年の7月?」でした。
 地味だけどこの発言を見て官邸というか政治家や官僚は現場や現況についてなにも知らないのではと寒気を覚えています。上述の通り優先接種者はおろか医療従事者ですら接種がままなってない状況でいきなり7月には一般接種開始などとどうして発言するのか、やはり前述の通り現場を無視した「スケジュールありき」の魂胆で動いているのではと思えてなりません。

 なおこのスケジュールは言うまでもなく東京五輪を意識したものでしょう。せめて五輪開催までに一般接種が始まっているという口実を作りたいのが本音で、実施率や実際の予防効果などは完全に度外視しているように見えます。

 現況から考えて日本で一般接種が一部の上級国民以外にもまともに開始されると思うのは私は早くて9月、下手すりゃ11月くらいと踏んでいます。ただ前述の通り、日本政府は「一般接種が開始された」という事実のみしか求めないため、「予定通り7月に開始された」ということにして、実際の接種状況とかは無視するでしょう。逆を言えばその間はコロナは流行し続けるんじゃないかな。

 ちなみに中国ではすでに一般接種が開始されており、自分も今月末に一発打ってくる予定というか予約入れました。注射するのマジ久しぶりでドキドキします:(;゙゚''ω゚''):
 いくつか状況を紹介すると、街のあちこちに臨時接種所が設けられ、その場所に貼られたり会場となるビルや会社が配信するQRコードを読み込んで予約するような形式を取り、当日には接種用バスが来たりしてその中でバスバス打つような感じのようです。そうした臨時接種所は試してはないけど恐らく外国人は受け付けてくれないと思われ、外国人専用のQRコードアプリを使って私は月末の接種を予約しました。

 何が言いたいのかというと、未だ電話とFAXでしか予約取れない日本はある意味凄いなぁってことです。しかも予約電話で回線パンクするとかマジで私の想像越えた事態広がってます。

  追記
 アエラの記事は誤報だったようです(´;ω;`)ウッ…

2021年5月10日月曜日

ガンプラ記事の裏側

 昨日は朝起きて洗濯したら眠くなり、昼ごはん食べて買い物してきたら眠くなり、お米洗ったら眠くなり、夕食食べたら眠くなりで計16時間寝てました。誰かにラリホーかけられたとしか思えない。

中国に実物大ガンダム登場、ガンプラ求めて客が殺到!(JBpress)

 そういうわけでまた自分の記事の紹介ですが、先日にもこのブログで取り上げた上海ららぽーとの実物大ガンダムにかけて中国のガンプラ市場について軽く触れました。見出しだけでアクセスは確実に稼げると考えていましたがそこそこ伸びが良く、1日のデータは明日わかりますが恐らくトップ3にはまず入っているでしょう。

 記事内容に関しては取り立てて解説するものはないですが、敢えて言えばガンプラというかプラモの製造業としての性格を読者に意識させるように書きました。昔同じようなことを書いていますが、海洋堂の人に「俺たちも製造業だ」と言われたことがあり、車や家電だけじゃなくおもちゃ業界も中国の人件費高騰は非常に大きな障害であると教えてもらいました。
 では好投した分だけ値段をあればいいのかと言えばそうでもなく、主要購買層はやはり子供であることから価格をおいそれと引き上げるわけにはならず、文字通りコストとの戦いをおもちゃ業界も背負わされています。

 しかし記事中にも書いている通り、かつては真面目に中国人の月給の半額くらいまであったガンプラは今や、中国の所得増大に伴い気軽に買える値段になっています。いわば市場が製品価格に追いついたようなもので、本格的に中国市場で伸びてくるのはこれからであるような期待を含ませる紹介をしています。実際その通りだと私も考えていますが。
 ただガンプラの場合、既に初代を見ていた世代は購買力をの高い立派な大人世代になっており、そうした「大きなお友達」向けに高価格帯の巨大プラモも販売できることは大きなアドバンテージです。一方でそうした大人は子供の頃からガンプラを作っていたから今も買うわけですから、将来の種まきとして現代の子供も手に取れるキットも作り続ける重要性はあるのですが。

 最後に裏話を一つすると、このガンダムを見に行ったときは日本人の友人と一緒に訪れています。その際に友人が「ガンダムの版権は誰が持ってるの?」と聞いてきたので「創通とサンライズだけどどちらもバンダイに買収されたからバンダイ、ってかバンダイナムコ」と教え、バンダイとナムコが合併してバンダイナムコとなったきっかけは「機動戦士ガンダム 一年戦争」という速攻でワゴン行ったゲームの共同開発からだと教えてあげました。
 そしたら「ナムコはどんなIPを持ってるの?」と聞いてきたので、「かつてはパックマンとかたくさんあったけど今はもうほとんどない。というのもダメな成果主義を取り入れて、どの開発チームもタイトルだけで売れる『テイルズ』シリーズしか作らなくなったからだ」と教えたら、「『テイルズ』は冒険するゲームなのに、作ってる人たちは冒険しなくなったんだね(´・ω・`)」とめちゃくちゃうまいこと言ってきました。

2021年5月8日土曜日

茨城県境町家族殺傷事件の犯人逮捕と十年前の記事について

 昨日地下鉄で真面目そうな女性がやたら分厚い本を読んでるので何読んでんだろうと思って背表紙を見たら「第三帝国的到来」と書かれてました。フォッケウルフといい、なんか最近ナチっぽい日々が続くなと思いました。

「また何か起こすと思った」茨城一家殺傷の岡庭容疑者(26)が「金属製ワイヤー」を隠し持っていた理由(文春オンライン)

 最近JBpressの編集長と「如何にしてYahooサイトからJBpress本サイトへのアクセスを誘導するか」と真面目に検討しているので上記リンクはきちんと文春さんに繋げました。
 それはさておきこのニュースですが、事件発生からしばらく経って音沙汰がなく犯人逮捕は難しいのかと思っていた茨城県境町の華族殺傷事件で、突然の容疑者逮捕報道が出てびっくりしました。そしてこの逮捕報道を見て、「あの現象はこれが理由だったんだな」と合点がいきました。


 上の記事は今から十年も前に自分がこのブログで書いた記事ですが、この記事で取り上げた三郷と松戸で起きた通り魔事件の犯人が今回の境町事件の容疑者と同一人物だったそうです。

 実は上の自分の記事ですが、数ヶ月前に何故か突然アクセスが挙がっていました。一体何故この記事が急にアクセス上がったのかが当時はわからず、何か昔の少年犯罪を見直す系の記事がブレイクしているのかななどと思っていました。
 結論から言えば私の推測は外れており、原因はやはりこの境町の事件だったようです。今回の逮捕報道によると、この容疑者自身は数ヶ月前に既に別件逮捕されており、その時から境町事件にも関与しているとの観測が広がっていたようで、「十年前の通り魔事件の犯人と同一人物」という情報も出ていたようです。そうした噂から私の記事のアクセスが上がってきていたようで、今日も100PV程度ですが単日のアクセス数としてはトップに来てました。

 それにしてもこの記事を見返すと十年前の時点で私はこの犯人に対し「更生の見込みは恐らくないから死刑にしておけ」と書いていて、あながちこの判断は間違っていなかったのだなと思う結果となりつつあります。にしても引用している友人の、「未成年だからこそ成人以上に厳しい処分をすべきだ」という発言は本当に刺々しい苛烈な意見だなと思います。まぁ賛成だけど。
 ただ重大犯罪に対しては、未成年であろうと遠慮なく死刑を下すのもある意味手なのかもというのは今でも持っています。未成年だから死刑にならないと、市川一家四人殺害事件の犯人などアホな悪ガキほどなんか主張したりすることが多く、そうした連中の勘違いをやめさせてあげるためにも、18歳以下とはいえ許しがたい殺人事件などを起こした犯人にはこういう選択肢も用意すべきじゃないかと今回の事件を見ていて思えてきます。

 最後に蛇足ですが、上の十年前の記事書いた当時は杭州のハーネス工場で激しいアルハラに遭い、二桁吐いてるのにその後も延々と一気飲みを強制され続けていた頃です。本気で自分の全人生を放り投げてでも当時の関係者は皆殺しにしてやりたいと今でも思っています。

2021年5月6日木曜日

ハーケンクロイツのシールについて

 昨日の記事で作ったばっかのフォッケウルフについて触れましたが、写真アップするのに夢中で大事なことを書くのを忘れてました。その大事なことっていうのも、尾翼のハーケンクロイツマークです。

 いうまでもなくハーケンクロイツこと逆十字は那智のシンボルで公にアピールすると今でもいろいろ齟齬がある代物です。もっとも今回制作したフォッケウルフはナチ時代のドイツの戦闘機でこのマークがついた状態で飛んでるのが普通であり、その歴史的事実を踏まえると別に思想に関係なく当時の塗装を再現ということで自分も何の気なしに貼りつけたのですが、実は貼り付け直前に「(;´・ω・)」って顔してました。なんでかっていうと、説明書の絵柄が全く異なっていたからです。

 プラモデルのシール貼りつけ位置は説明書にシール番号と貼りつけ図で表示されており、基本的には完成後の姿がそのまま描かれています。なのですが、このハーケンクロイツの部分に関しては絵柄とは異なってて、妙な菱型の絵しか描かれておらず、「あれ、指定のシール番号と絵柄が合わないじゃん?」などと最初戸惑いました。しばらく見比べてみて、「そうか、ハーケンクロイツだからあかんのか」とようやく合点がいきました。

 こうして考えると結構この問題は根深い気がします。私自身は存在したという事実は丸ごと消すことなんてできず、そんなことしても無駄だろうという考えからあまりこうした妙な工作は好まないのですが、タミヤのプラモだと日本以外の各国にも販売されることから、この手の配慮が必要になったのだと思います。ぶっちゃけナチのマークを忌避して覚したところで、ナチの犯罪とかそういう過去がなくなるわけでもないと思うのですが。

2021年5月5日水曜日

フォッケウルフFw190

 昨日頭痛起こしたのを天気のせいにしたけど、真犯人は遊んでいたダンジョンRPGでした。このゲーム、ダンジョン探索画面が2D画像での3Dマップであり、しかも後半の面の配色が異常に暗くて目を凝らさなくてはならない上、罠とか目視で確認しないといけないせいか激しく3D酔いすることに今朝気が付きました。そのせいで今朝も吐きそうになるほど頭痛起こしたし。


 そういうわけで今日作ったプラモですが、ドイツのフォッケウルフFw190です。なんとなく発音していて「ほっけうるふ」と聞こえてきます。


 大戦期のドイツの戦闘機ときたらメッサーシュミットが有名ですが、その陰に隠れてこっちのフォッケウルフも非常に活躍しており、特にこのタミヤ製キットのD型はそれまでの空冷エンジンから液冷エンジンに切り替えられたモデルで、連合軍からは「最強の敵」と恐れられたモデルです。


 ジェット機ばかり作ってるのに何でレシプロのフォッケウルフを作ろうと思ったのかというと、通ってるプラモ屋でこのキットが店頭で残り一個となっておいてあったことも理由ですが、デザインがいいなと正直思ったのがきっかけです。


 レシプロ機というと割とずんぐりむっくりなデザインが多いかと思っていましたが、このフォッケウルフは割と直線的で角ばったデザインをしており、非常にスマートな印象を受けました。


 上の写真なんかわかりやすいですがすらっとした外観となっており、キャノピーのでっぱりも非常に小さくなっています。


 また安全安心のタミヤブランドということもあり簡単手軽に組み上げられ(2時間費消)、前回のストレス満杯なハセガワのF-15イーグルと比べて作ってて非常に楽しかったです。

四式疾風

ほっけうるふ

 写真見ていて自分もやや驚くくらいいい比較写真になってましたが、上の写真が日本製の疾風という飛行機で、下が今回作ったフォッケウルフです。胴体部分の膨らみ方ではっきり差があり、やはりフォッケウルフの方が見た目的にも格好よく見えます。逆を言えば、日本の飛行機はずんぐりむっくりな寸胴形が多いなと今回わかりました。

斜め上から見るとなおさら

 こうして比較してみると、言い方悪いですが欧米のセクシーなモデルと日本の背の低いモデルを比較しているような気分になります。あとできた写真をソ連人民の敵、っていうかドイツ狂いのうちの親父に見せたら、明らかにいつもと反応が違いました。ドイツ好きにもほどがあるだろ。

2021年5月4日火曜日

上海のフリーダムガンダム


 上海にオープンしたららぽーとにフリーダムガンダムの立像あると聞いて、昨日友人と一緒に行ってきました。


 場所は市内中心部から外れた地域で、関東風に言えば成田空港近くみたいな場所にあります。選定されたのは土地が安かったからでしょう。


 何気にフリーダムガンダムは自分もその造形は見事だと感じており、小さいサイズながらプラモをかつて作ったことあります。からパターンがシンプルな割には細かい武装で他の機体と差別化が出来ており、デザイン的にも傑作だと考えています。
 数あるガンダムの中でフリーダムガンダムが今回上海で作られたのは、この機体が中国でも人気だからです。その辺については来週配信予定のJBpress記事で解説しています。

 なおこの上海ららぽーと(ららぽーと金橋)の中については、子供向けの施設が非常に多く、家族連れをターゲットにしているというのが見て取れました。ガンプラ販売コーナーも今だけかもしれませんが、1箇所だけでなく複数個所に設けられるなどの大盤振る舞いであったものの、どのコーナーも人でごった返し、整理券配って長蛇の列ができるほどだったので自分は商品を何も見ることができませんでした。


 なおガンプラ組立コーナーではコスプレイヤーもいました。写真同様に後ろからしか見ていませんが、前に回って顔まで見ようって気には何故かなりませんでした。

 ガンダム見に行った昨日は真面目にこれ以上ないくらいの晴天で、写真も非常に映えるなどこの日に行ってガチ正解でした。一方で今日は天気が大荒れで、多分てんかんによる影響かもしれませんが夕方から激しい頭痛と右腕に軽い痺れを感じ、少し休めば治るだろうと思って横になったら2時間も経過してました。今もやや右手が妙に温い(;´・ω・)

2021年5月2日日曜日

書評「後期日中戦争」

 折角のGWだし4月までクソ忙しくて休日作業も当たり前だったので、ひたすら寝たり遊んだりして妖怪的な毎日を送りたいのに、また6月からは仕事忙しくなるのが見えているので、今のうちにため記事作っておかないといけないのがハートに来ます(´;ω;`)ウッ…

 それで話は本題ですが先日、自分の主戦場であるJBpressで広中一成氏の「後期日中戦争 太平洋戦争下の中国戦線」という本の紹介記事が出ており、中身に興味があったことから購入して読んでみました。この本の内容はタイトルの通り、第二次大戦後半期における日中戦争について、同期間において一貫して中国に駐屯していた第三師団を主軸に解説しています。

 作者の広中氏も言及していますが、第二次大戦における日中戦争は基本、真珠湾攻撃の行われた1941年12月までの期間しか紹介されません。何故かというとそれ以降は米軍との太平洋戦争が始まるからで、日本人にとって第二次世界大戦=太平洋戦争であり、そこに日中戦争を含まないのが一般的です。
 しかしこの間も実際には1936年の盧溝橋事件に始まる日中戦争は継続しており、それは1945年のポツダム宣言受諾まで続きます。しかし1941~1945年における日中戦争は少なくとも高校レベルの日本史教育では事実上、全く教えられず、また私自身も興味を持って過去に調べようとしたものの、同時期の日中戦争を解説する本などがほとんどなく、真面目に攻めあぐねたことをはっきり覚えています。

 そうした背景だけに、今回この本を知った時はまさに自分が求めていた本だと単純に喜び、また前書き部分でまさに上記のような問題意識から調査、執筆を行ったという広中氏の言及があり、無駄に仲間意識というかシンパシーを感じました( ・∀・)人(・∀・ )ナカーマ
 内容も非常に申し分なく、非常に読みやすく整理されている印象を覚えました。前述の通り、この本では太平洋戦争勃発以降の陸軍第三師団の戦闘を主軸に、第三師団が参加した第二次長沙攻撃や一号作戦などが解説されています。ただこれは広中氏も言及していますが、今回取り上げたのは第三師団の中国における行跡であり、同期間におけるあらゆる日本軍の作戦行動を解説しているわけではありません。

 その結果として、この本の中では長沙をはじめとする江南(上海より南半分のから重慶手前までの地域)における戦闘しか収録しておらず、中国の北半分こと華北の戦闘に関してはほぼ完全にノータッチになっています。この点に関しては仕方がないという面があるとともに、仮に一緒くたにやっていたら読み手への負担が増すことは確実で、バッサリ切って正解だったと私は思います。
 なお広中氏は現在華北の戦闘についても調査中とのことですから、次回作を期待したいです。

 それでこの本で紹介されている江南の戦いについて少し触れると、いくつか気になる点が見えました。一つは731部隊が制作したガス・細菌兵器が実際に戦場で使用され、中国軍部隊だけでなく現地住民にも被害を及ぼしただけでなく、味方である日本軍兵士にも罹患者が出ていたという事実です。そもそもガス・細菌兵器の使用は完全たる国際法違反であり許されざる行為ですが、当時の日本軍では現場指揮官の判断でこの手の禁止兵器を使用していたという事実についてはなかなかに驚きでした。同時に、米軍相手だと問題になるから、中国軍相手ならいいだろうと使われたのではないかという憶測も持ちました。

 もう一点、制空圏に関する記述が非常に気になりました。この本の中で、行軍中の日本軍は一貫して中国大陸において全く制空圏がなく、敵偵察機にずっと補足され続けていたという記述がありました。太平洋戦争の舞台である各島嶼地域ならともかく、比較的日本本土から戦場が近く、尚且つ航空機生産能力でも中国より高かったと思われる日本軍が、中国でほぼ全く制空圏がなかったという事実はこれまた驚きでした。
 なんとなく見ていて、制空圏に対する意識が日本軍には低かったのではと伺える記述もあります。実際には制空権がなければ行軍中の部隊が機銃や爆弾で攻撃されるし、前述の通り進軍先も偵察機に補足されます。一体何故中国大陸で制空圏を取れなかったのか、恐らくは米軍との戦闘に航空機を集中させたからではないかと思うものの、それにしたっていい加減が過ぎやしないかという気にさせられます。

 このほかこれは中国での戦闘に限るわけではないですが、相変わらず日本軍は補給を度外視した作戦を立てており、折角攻め込んで攻略が進んでいるのに、すぐ弾切れ起こして反撃食らうってパターンが非常に多いです。また弾薬ならまだしも食料に関しては初めからないとわかっているのにそのまま突っ込ませていたという記述があり、インパールと違って中国大陸の場合は現地調達が行われたためインパールほどはひどくなかったと書かれてありました。
 補給を考えずに作戦立てて見事失敗する辺り、本当に日本の上級士官は無能にもほどがあるという気がしてなりません。物資ないなら無理して攻める必要もないというのに。