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2015年11月30日月曜日

そこにゲゲゲがあった日々

 今日昼ごろ、ネットニュースに表示された見出しを見て文字通り身体がビクッと一瞬跳ね上がり、いずれ来るとは分かっていながらもとうとうその日が来てしまったのかと深くため息をつかされました。皆さんも知っての通り本日、「ゲゲゲの鬼太郎」に代表される数多くの人気漫画を生み出しながら妖怪分野の研究において第一人者でもあった水木しげる氏が亡くなりました。

 このブログでも私は常々水木氏のファンであるということを書き綴っており、またかつて読んだことのある彼の作品を何度か紹介しております。現時点においても一番好きな本はと聞かれたら「水木しげる伝」と即答するほどで、先日も高校生になったという知り合いの娘さんへ、「これ読んでいい大人になれよ」といって上中下の三巻をプレゼントしており、ガチな水木フリークに比べればまだまだですが私個人としてはかなり熱狂的だといえるほどのファンだと自負しております。

 私が何故水木氏とその作品に対してこれほどまで愛好するようになったのかというと話せば長くなりますが、子供の頃にアニメが放映されていた「ゲゲゲの鬼太郎」や「悪魔くん」を見ていたことはもとより、成人してから京都大丸でやっていた水木氏の作品展(大・水木しげる展)を訪れ、改めて水木氏が生み出したキャラクターの造形や性格、そして水木氏自身の数奇な人生を単純に「すごい!」と感じたことが大きかったです。ちなみに今でも後悔してるけど、その作品展で売られていた一反木綿の携帯カバーを買っとけばよかった……。

 知られている通りに水木氏は少年時代からのんびりし過ぎというか特徴的な子供で、そして成人後に出征して片腕を失くしながらも日本への帰還を果たします。しかし帰還後も苦しい生活は続き、食うや食わずの中で漫画を描き続け40歳を超えて初めてヒット作(「テレビくん」)に恵まれ、その後も本人が子供の頃から好んでいた妖怪をモチーフとした作品群でヒットを続け漫画界のみならず民俗学の分野においても多大な功績と数多くのフォロワーを生み出しました。事実、水木氏と柳田國男なければ妖怪という言葉は現代ほど定着はしなかったと思え、もしそうなっていれば「妖怪ウォッチ」もなければ「トイレの花子さん」もなく、下手すれば「ポケットモンスター」も生まれてなかったかもしれません。

 話は戻りますがどうして私が他の漫画家とは一線を画すほどまでに水木氏へ入れ込んだのかというと、単純に作品が面白かったことに加え、水木氏の人生観と死生観に強く惹かれたことが大きかったと思います。元々が特徴的な思考をしているだけに水木氏の価値観は際立っていたというか常人からは見ることのできない視点からの意見が多かったのと、それ以上に激戦地で死線を潜り抜けながら目の前で何人もの戦友を失うという壮絶な体験に根差した死生観にはえもいわぬ迫力がありました。
 生前のインタビューでも若者の自殺が近年増えていることについて、「彼らにとってそれが楽だというのであれば死なせてあげなさい」と述べた上で、「戦争の時代、若者は生きたくても生きられなかった」と付け加えていましたが、一見すると前後の文脈が噛み合っていないようであるものの、水木氏の人生を知るにつけて強烈なインパクトを持つ言葉の様に感じられてきました。ただ単に「自殺はよくない」と言う訳ではなく、どのような生が正しいのか悪いのか、そもそも生が正しくて、死は正しくないのかと問い直すような生死の比較対立構造すら揺さぶりかねない視点のようにも思え、自分には辿り着けない領域をこの人は見ているのだなとも覚えました。

 確か荒俣宏氏だったと思いますが、「水木氏の最高傑作は水木氏自身だ」と述べており、まさにその通りで水木氏が生み出してきた作品以上に水木氏という人物がとんでもなく凄かったと私にも思えます。この人の作品に出会えたこと、そして同時代を過ごせたことは紛れもなく幸福だと思いますし、この尊敬の念は今後一生変わり続けることもないでしょう。この偉大な水木サンに対して、この場にて改めて哀悼の意を表したいと思います。

2015年11月29日日曜日

真のブラック企業大賞

「ブラック企業大賞」、2015年はセブン-イレブン・ジャパンに(ねとらぼ)

 毎年続けてきた甲斐もあってか段々知名度も高くなってきたこのブラック企業大賞ですが、今年の栄えある大賞にはセブンイレブンが見事入賞されたそうです。私自身はセブンイレブンにそんな思い入れもなく、どっちかっていうと特別賞に入ったアリさんマークの引越社が今年は来るんじゃないかと思ってただけにちょっと意外に感じると共に、そもそも真に糾弾されるべきなのはこうしたブラック企業を放置しながら何も働こうとしない労働基準監督署じゃないのかと思った次第です。そもそも労基は企業じゃないかとツッコまれそうですが、ブラック企業を生み出している真の黒幕って考えならアリじゃないかと個人的に考えています。アリさんマークなだけに(*´∀`)

 ついでに書くと、労働者的には別にブラックではないですが今年一番黒かった会社となると私の中では不正経理がばれた東芝と、その監査法人である新日本監査法人が挙がってきます。正しく公開すべきIR情報を意図的に粉飾して投資家をだました両法人ですが、米国であれば責任者は確実に懲役となっていたでしょうが経済犯罪には甘い日本だったため証券市場での上場廃止すら免れています。あとこの事件の内幕は大手マスコミが東芝に対して確実に及び腰となっているためあまり議論されませんが、東芝と新日本監査法人の関係を追っていくといろいろと見えてくるものがあるだけに根は案外深いように感じます。

 前提から整理すると、新日本監査法人は東芝という会社から依頼されて一部の部署や役員が実態とは異なる不正な経理を報告していないかをチェックするという仕事を担当したわけです。しかし彼らのチェックが甘く杜撰だったために不正な経理報告書が市場に出てしまったわけですが、東芝は何故か新日本監査法人に対して、

「お前らのチェックがいい加減だったせいでえらい目にあったぞ(# ゚Д゚)カス!!」

 などと怒ったりクレームを言うこともなく、改めて仕切り直しとなった財務監査を再び新日本監査法人に依頼しており、恐らく来年以降の監査もここに依頼することでしょう。急いで正しい報告書をまとめるために同じ監査法人を使わざるを得ないという理由はまだ理解できないまでも、普通の感覚なら東芝は新日本監査法人に何かしらクレーム入れてきちっとチェックしきれなかったんだから約10億円(報道によって9億8000万円~11億円と別れている)もの監査報酬の一部返還を求めるのが筋であるような気がしますが、そういうことは一切行わないどころかむしろ同法人をかばうかのように「巧妙な隠蔽」などといった言葉の発言を繰り返しました。

 おまけに事件を調査した第三者委員会の報告では全くと言っていいほど同監査法人への批判はなされず、控え目に言っても東芝側の意向が強く働いた委員会だったのではないかと思わざるを得ない内容でした。これは何も私がおかしな感覚で物を言っているわけではなく、この委員会の法告訴を見た弁護士らも、「ふざけてんじゃねぇよてめぇ……(#・∀・)」とばかりに第三者委員会を強く批判しています。まぁ一般の感覚したらこう思うのが普通でしょうが。

「東芝のためだけに作成」 格付け委、第三者委報告書を低評価(SankeiBiz)

 何故東芝はこれほどまでして新日本監査法人を庇うのか。結論を言えば今回の不正経理は両法人が結託して生まれたコラボレーションであって、初めから新日本監査法人は知ってて不正を見逃そうとしていたからとしか思えません。しかも最初に不正が発覚してからもなおばれていない他の不正は隠そうとしていたようで、東芝子会社の米ウェスチングハウスの巨額損失を報告せず見逃しており、ここまでズブズブの関係でよく監査法人を名乗れるなと見ていて呆れるし同法人に対して一切捜査、処分を行わない経産省にも呆れてきます。
 逆に、今回ウェスチングハウスの巨額損失の事実を暴いた日経BPの記者は実に見事な仕事を果たしたと思えます。経済部門においてであれば間違いなく今年最大のスクープと言っていいほどの功績でしょう。

 話をまとめますがこれらの事実から何が言えるのか。東芝はまだ隠し玉というか報告していないマイナス材料を持っている可能性があるということと、新日本監査法人はほかのクライアントの企業に対しても同様の不正見逃しを行っている可能性があるということです。っていうかそう思わない方がおかしいと思える事件内容ですし。
 おっかなびっくりきわどい予想をまたここで書くと、二年か三年後には同法人のクライアントの中から今回と同様の粉飾事件がまた出るんじゃないかというのが私の見方です。マスコミもこれくらい書いたっていいと思うのですが、それくらい同法人の今回の失態は目に余るものがあり投資家は今後の投資に当たっては頭に入れておいた方がいいような気がします。

 ついでにと思って書き始めた内容の方が本題になっちゃいました。当初は本気で労基の事だけ触れようと思ってたのですが……(ヽ´ω`)

危機を切り抜けた名パイロットたち その二

 昨日に引き続きまた航空事故もののネタです。微妙に反応ないからどう思われながら読まれているのか気になりますが、昼飯に牛丼食べたしあまり考えないようにしましょう。

4、USエアウェイズ1549便不時着水事故(2009年)
事故内容:ハドソン川の奇跡  乗客乗員数:155人

 この事故は有名なので知っている人も多いかと思います。
 ニューヨークを飛び立ちシャーロットへ向かった同便は離陸直後に空を飛んでいた鳥がエンジンに吸い込まれ(バードストライク)、一瞬で左右両方のエンジンが停止するという事態に陥りました。突然の事態に機長は元の空港へ戻ろうと即決断しますが何分離陸直後の事ゆえ、戻ろうにも高度も速度も足りない状態でした。そこで機長はどのような行動を取ったのかというと、なんと陸上ではなく近くを流れるハドソン川に緊急着陸をしようと決断し、管制などへ状況や目的を伝えてすぐその着陸を実行しました。

 軽く書いていますが水上に、しかもエンジン噴射の調整なしで飛び込むなんて普通なら有り得ない行為ですし、成功させるには超高難度な技です。しかし機長はこの着陸を見事に成功させ、着陸時の衝撃で乗客数人が怪我を負ったものの結果的には誰ひとり死ぬことなく生還を果たしました。しかも着陸時、マイナス数℃という川の水が機内に浸水する中、機長は何度も機内を見て残っている人間がいないか確認するという冷静な周到さを見せています。


5、タカ航空110便緊急着陸事故(1988年)
事故内容:フレームアウトによるエンジン完全停止  乗客乗員数:45人

 中央アメリカのベリーズという国から米国のニュー尾綸子へ向けて飛び立ち順調に飛行していた同便は途中、雨雲の中へ入った際にエンジンが雨水や雹を吸いこんだことによってフレームアウトと呼ばれるエンジン停止状態に陥ることとなりました。このフレームアウトは今日ではほとんど発生しないよう対策が施されていますが当時はまだそうでもなかったようで、同便も警戒こそしていたもののこの突然の発生によってすべてのエンジンが完全に停止するという事態に見舞われました。
 機長はエンジンの再始動を何度も試みるも上手くいかなかったため、到達できる範囲内にあったNASA組立工場敷地内の草地へと飛行し、なんとそのまま滑走路のない草地へ向けて不時着を敢行してしまいました。でもって、無事に着陸してのけた上に火災も発生させず、乗客乗員を誰一人危険にさらすことなくミッションを達成してのけてしまい、地味にすごい腕を持ったパイロットだったと思える事故例です。

6、アロハ航空243便事故(1988年)
事故内容:金属疲労による機体外壁損傷  乗客乗員数:94人(1人死亡)

事故機写真(Wikipediaから引用)

 ハワイ島内の空港を結ぶ定期便を飛んでいた同機はその日もいつも通りに離陸して安定飛行へと入ろうとしたその時、突然轟音と共に前方部の機体外壁がめくれ上がり、引きはがしたかのように大きな穴が開きました。乗客はシートベルトを締めていたため吸い込まれることはなかったものの、たまたま穴周辺に立っていた乗務員一人が一瞬で空へと放り出され、そのまま行方不明となる事態となりました。
 原因は高温多湿という厳しい環境下での金属疲労で、ハワイの海上を飛び続けたこの機体には目にははっきりと見えなかったもののダメージが蓄積されており、金属内部で亀裂が走りまわり、それがこの時の飛行で限界に達して機体が破れ、またそのまま与圧洩れに伴う強力な衝撃が続けて襲ったことによって一挙に剥がれたのだと考えられています。

 先ほど述べた通りに乗客は座席でシートベルトを締めていたため飛ばされなかったとは書きましたが、開いた穴からは気流によって生まれる豪風が吹きすさび、いつ吹き飛んでもおかしくない状況だったそうです。また吸い込まれなかった一部の乗務員はたまたま体が機内設備に引っかかり命をつなぎとめましたが、飛行中ずっと強烈な風を受け続け重傷を負いました。
 機体も穴が空いた影響でバランスを崩したもののすぐに墜落するほどの物でなかったため、姿勢を復元すると機長はすぐに最寄りの空港へと運び、そのまま無事に着陸を成功させました。

 この事故は現地のテレビ番組で再現ドラマが作られ、日本でも放送されたことがあります。たまたまですが私が子供だった頃にその番組を見ており、機内から雲が見える状態のまま飛び続け、乗客は物凄い風を受け続け息も絶え絶え、機長もすぐ後ろでぽっかりと大きな穴が飛ぶ中で必死で操縦し続けるという壮絶な状況を再現しており、見終わった後はしばらく飛行機がトラウマになりました。今は全然平気だけど。

2015年11月28日土曜日

危機を切り抜けた名パイロットたち その一

 先日、ネットのまとめ掲示板にて過去に起きた様々な航空事故を取り上げた記事があり、興味深く読む機会がありました。日本で航空事故というと御巣鷹山墜落事故がよく取り上げられますが世界中にはこれに負けず劣らず十分注目に値する大きな事故例がたくさんあり、それらの事故例から何を学び次への教訓へと生かすかというのがこの業界においてどれだけ大事なのかと読んでてつくづく学ばせられる記事でした。
 その記事に影響されたこともあり読後に自分でも調べ始めたのですが、航空事故というのはどれもほんの些細な不具合、ミス、整備不良から大きなトラブルへと発展し、乗り合わせたパイロットたちはそれらの原因を突き止める手段すらないまま事故機の操縦を迫られるケースが多いです。状況的には圧倒的逆境ともいえ、後に判明した事故原因を見るだに事故死した乗客、並びにパイロットたちにはその不憫さをつくづく思い知らされます。

 しかしそうした圧倒的逆境下において、パイロットの見事な判断や操縦によって奇跡的に死傷者の発生を食い止めた事例も少なからず存在します。折角調べたこともあるので、ちょっとしばらくはこうした危機を切り抜けた名パイロットたちが登場する航空事故例を紹介していこうと思います。


1、リーブ・アリューシャン航空8便緊急着陸事故(1983年)
事故内容:プロペラのぶっ飛び  乗客乗員数:15人

 アラスカ州とワシントン州の定期路線を結ぶ同便はその日もいつものように離陸していつものように空路を飛んでいましたが、離陸から間もなくどこから異音が聞こえたため機長は機関士に客室の窓からエンジンの様子を確かめるよう指示しました。機関士と客室乗務員がエンジンを見ようとしたまさにその時、第四エンジンのプロペラが吹っ飛び、あろうことかそのまま飛行機本体に直撃して客室通路に50cmもの穴が空くという事態に陥りました。機内に穴が空いたことによって機内では空気が洩れると共にあっという間に霧が立ち込め、また機体も受けたダメージによって操作系統に障害が起こり、機体が右に傾きだすも操縦桿が反応せず姿勢すら維持できない状態に陥りました。

 この際、機長は咄嗟に自動操縦へと切り替えたことによって姿勢はなんとか復元し、エンジン制御すらままならない中で管制と連絡を取り合って近くの空港へと飛行し、着陸アプローチまでどうにか持っていきました。着陸に入る際、それまで反応しなかった操縦桿が奇跡的に復元し、一度目は降下角度が作れず断念したものの、二度目の着陸は非常ブレーキなどを活用して見事に着地してのけ乗員乗客全員が無事に生還することとなりました。

 事故原因はわからずじまいだったものの最後に操縦桿が復元した理由については判明しており、プロペラ直撃によってひしゃげたフレームが操縦桿とつながるケーブルを挟み込んだため反応しなくなったものの、飛行中にパイロットらが押したり引いたりしているうちにケーブルが隙間に動いたことによって復元したとのことです。


2、アメリカン航空96便貨物ドア破損事故(1972年)
事故内容:貨物ドアぶっ飛び  乗客乗員数:67人

 デトロイトからバッファローへ向かって飛び立った同便も離陸からしばらくはいつも通り特に問題なく飛行していたものの、突然機体後方で大きな音が鳴ったかと思うや着座していたパイロットたちも大きな衝撃を感じるほど機体は大きく揺れました。客室では後方に設けられた床が陥没して穴が空き、数人の客室乗務員がその穴に落ちたものの救出されましたが、この際に通常なら見えるはずのない夕焼けの光を目撃しています。

 原因は貨物ドアが空中で吹っ飛んだことにありました。この機体の貨物ドアには欠陥があり完全にロックされていないにもかかわらずロックされたように見えてしまう要因があり、半ドア状態のまま離陸してしまっため空中での衝撃に耐えられなくなり吹っ飛んだわけでした。なおメーカーのマグドネル・ダグラスは事故後もこの欠陥に対する対策を怠り、二年後にロッキード事件で購入がキャンセルされた機体でトルコ航空DC-10パリ墜落事故を起こしております。

 話は戻しますが事故発生によって機体は右に大きく傾き、また操作系統にも異常が発生して方向、エンジン制御もままならない状態となりました。このような状況下で機長は補助翼とエンジン推力を駆使して機体を維持し、出発したデトロイト空港へと戻ると滑走路から少しはみ出したものの無事着陸にも成功して乗員乗客全員が無事に生還を果たしました。


3、ブリティッシュ・エアウェイズ5390便不時着事故(1990年)
事故内容:窓ガラスぶっ飛び、機長頭出し  乗客乗員数:81人

 イギリスからスペインへ向かうため飛び立った同便ですが離陸から十数分後、飛行も安定してきてやれ一安心と思ったその瞬間、突然の爆発音とともにコックピットの窓ガラスが吹き飛びました。高空での空気が機内へ一気に入り込み一瞬で深い霧が発生するとともにコックピットでは激しい風が吹き込みだすのですが、なんとこの際にティム・ランカスター機長が空いた穴に吸い込まれ機体の外へと引っ張り出されてしまいました
 幸いというかなんというか膝が操縦桿に引っかかって上半身が飛び出たところで踏ん張ったものの、機体の外はマイナス何十度もの低温かつ機体の飛行に伴う凄まじい風圧が襲う上、呼吸すらままならないほど薄い空気という最悪の条件でした。このコックピットの異変に対し客室乗務員のナイジェル・オクデンは咄嗟にランカスター機長のベルトを掴んで彼の全身が吸い出されないよう抑え、その間に副機長が操縦を自動操縦に切り替え姿勢を復元し、風によって管制との通信がほとんど聞き取れない中で緊急着陸先のサウサンプトン空港へと目指しました。

 機体は不安定ながらもなんとか操縦はできたものの、窓の外へと吸い出されたランカスター機長を引っ張り込むことはできずにいました。しかも吸い出す力が強い上に凍傷になるほど極寒の風が吹きすさぶため機長を掴んでいたオクデンの負担も大きく、途中でとうとうその手を放してしまいました。そのまま全身が吸い出されるかと思われたランカスター機長でしたが窓を挟み込むように体をくの字に曲げたことによって何とか持ちこたえ、その間に別の客室乗務員二人が再びその体を抑えつけました。もちろんこの間も機長の上半身はずっと外に出たままで、しかも気流を受けて窓ガラスにバンバンと音を鳴らしながら何度も頭を打ち就けづ受け、生きてるのか死んでるのかもよくわからない状態だったそうです。

 このような壮絶な状況下にも拘らず副機長は空港へと機体を持っていき、事故発生から約20分後にサウサンプトン空港滑走路へ無事に着陸を果たしました。着陸完了後、乗客らが空港へ降ろされる中でランカスター機長もレスキュー隊に救出され、凍傷や複数個所の骨折をしていたもの命はあり、彼も奇跡的な生還を果たしました。

 事故の原因はコックピット内の窓ガラスを締めるボルトにあり、事故直前に交換された窓ガラスに対して規格とは異なるボルトが多数使われていたことで強度不足となり、吹っ飛んだそうです。しかも整備の際にこのボルト種類などがきちんと確認されておらず、不適切な状態のまま飛んだことによって大きな事故となりました。

 この事故で何がすごいかって、言うまでもないですがランカスター機長でしょう。物凄い高空をこれまた物凄い速度で飛ぶ飛行機の上で上半身を晒したまま約20分間飛び続けて生還するなんて、なんかのギネスレコードになるんじゃないかとすら思える水準です。しかも更にすごいのがこの機長、この事故から半年も経たないうちに職場復帰し、そのまま定年まで空を飛び続けたって言う点です。ダイハードもびっくりなタフネスぶりですが、その辺の過程は以下の記事にも書かれているので興味ある方は是非一読ください。

コックピットの窓が吹き飛び、機長の半身は機体の外に...でも、全員生還!(ギズモード・ジャパン)

2015年11月25日水曜日

トルコのロシア軍機撃墜について

 他にも書きたいネタがあるという時に限ってなんでこういう事件起きるんだろうと思いつつ取り上げますが、昨日トルコ軍は再三の警告にもかかわらず領空侵犯を続けたロシア軍機を撃墜したと発表しました。

 現時点の報道によると領空侵犯をしていたのは二機で、このうち一機は警告を受けて離脱したものの1機はなおも侵犯を続けたため撃墜されたとされます。ロシア側はあくまでシリアの領空を飛んでいたと主張しているものの米国をはじめとする周辺各国はそれぞれの観測結果を見る限りトルコ側の主張の通りだと述べており、私も恐らくその通りだと思います。
 撃墜されたロシア軍機のパイロットは機体から脱出したものの、シリア領内の武装勢力によって射殺され(空中でとの報道も)、また救出に向かったロシア軍のヘリコプターも襲われこの際にも一人殺害されたとされます。

 ロシアのプーチン大統領はこの事件についてトルコに対し厳重な抗議を行い、対するトルコ側も領空侵犯とトルコ・シリア国境近くへの空爆に強く抗議し返しています。既に報復も検討していると明らかにするロシアに対して米国などの第三国は両国に対して落ち着いた対応を取るよう求めているものの、現時点ではなお非難合戦が続いています。

 この事件について昨日早速上海人から電話でコメントを求められたのですがコメントとしましては「ロシアはやはり危険な国で、日本や中国もおちおち安心していられない。むしろ対ロシアについてはもっと協力すべきじゃないか」と、述べました。ロシアは昨年クリミアに侵攻したことは記憶に新しく、また過去の歴史をさかのぼっても条約なんてなんのそのとばかりに平気で破って侵攻してくるわ、抑留するわで、中国には「虎狼之国」という表現がありますがまさにロシアがこれにぴったりだと私は考えています。
 特にプーチン政権になって以降は経済力の高まりと共に強引な行動に出ることが増えており、ロシア国内での高い支持率に支えられていることもあってかその権力は絶大で、こうした外交問題が起きたところで国内で引き摺り下ろされたりすることはほぼないでしょう。私自身はロシア人とそれほど絡んだ経験は多くはないですが、いろいろ話に聞く限りだと非常に刹那的というか自分の命を大事にしない分、他人の命も大事にみないような部分があるように感じられ、だからこそ突然恐ろしい行動を平気で実行してくるのかなと考えています。

 そんな分析してるもんだからロシアに対する警戒感は多分、日本人の中でも私は相当高いと思います。このブログでも何度も書いていますがよく中国は何する変わらないため危険だと多くの日本人は言いますが、ロシアの方がもっと何するかわからなくないかと声を大にして言いたいです。日本なんかはまだ海挟んでるからいいけど、中国なんか陸続きからロシアに対しては本気で怖がっているように見えるし。

 それだけに今回の撃墜事件を受け、シリアでのロシアの軍事行動に歯止めをかけるきっかけにすべきではないかと密かに考えています。ロシアはアサド政権に対して支援しており反政府軍へ空爆を行っているようですが、それに対してNATOや米国は反アサド政権派を支援していてなんか昔の冷戦みたいな構造となっており、それ故にシリアの内戦も長引きISISが跋扈する余地も生まれています。それこそシリア領内でISIS以外への空爆は完全禁止という形に持っていかないと収拾がつきません。まぁそれができればとっくに……ってところなんですが。

 それにしてもシリアで内戦が始まった際、これほどまでに周辺各国、並びに先進国まで巻き込む事態になるとはだれも予想しなかったでしょう。アラブの春によってイスラム世界各国では政権崩壊が続きましたが、最初に焼身自殺した若者からここまで発展していくとはだれも予想していなかった当たり国際政治の複雑さをかみしめられます。

2015年11月24日火曜日

大阪ダブル選挙の選評

 ちょっと日が空いたけど先週末に行われた大阪ダブル選挙について私なりの選評を書いてきます。結論から述べると予定調和の選挙でどなたにとってもハッピーな結果だったんじゃないでしょうか。

 最初にお断りというか言い訳を書いておくと政治好きだと標榜しながら今回の選挙は事前にあまりチェックしてきませんでした。なんでチェックしなかったのかというと単純に興味が持てなかったのと、どこもそれほど真面目に選挙戦やっているように見えなかったからです。選挙結果は報道されている通り橋下代表が率いる方の維新の会メンバーこと前職の松井知事が再選を果たし、いくつかのニュース記事には名前も出て来ない方が市長に受かりましたが、この選挙で一番肝心なのは案外ここじゃないかという気がします。
 この名前の出てこない受かった市長といい、自民党候補も全く知名度のない人物が立候補しており、維新の会はまだともかくとして自民党の方は初めから真面目にこの選挙をやる気がなかったのではと言いたいわけです。

 報道では自民党の選挙対策部は選挙協力に応じなかった公明党に対して非常に怒っているなどと書かれていますが、率直に言って私はこれらの報道を疑っております。というのも安倍首相を中心とした自民党執行部はこのところ橋下代表率いる維新の会を応援しているかのような節があり、彼らが現在進めている民主党を解党した上での合流を望んでいるかのような態度が見られるからです。
 何故自民執行部が橋下市長を応援するのかその理由を推察すると、一番大きいのは衛星野党を作ることと見て間違いないでしょう。衛星野党というのは私の造語ですが、要するに与党と対決する姿勢を示しながら裏では政策協力、投票協力に応じるような野党の事で、安全保障や憲法改正などの点で選挙協力をやらせる代わりにそこそこ彼らの意見も取り上げる、場合によっては連立に組み入れることなども視野に入っているかもしれません。そうした野党を橋下代表を中心にしてつくらせようっていうのは真の腹ではないかと思ってるわけです。

 そのような方針であることからこの大阪ダブル選挙も、元々が維新の地盤でもあるということだし本気でやる気は最初からなかったでしょう。世間の注目も初めから薄かったですがそれは自民党自身が選挙活動を熱心にしてなかったこともあるように思えますし、とりあえず候補だけ立てて選挙しているように見せればよかったのかもしれません。
 メディアの方はどういう風に見ていたかは計りかねますが、どこも得票率を大きく取り扱わず「維新圧勝」という文字ばかり書いてた点に奇妙さを感じました。もっとも投票率は前回選挙時と比べると明らかに落ちてて、いくら受かったとはいえ維新の会への支持は以前に比べると確実に落ちているように見え、今回の選挙も維新を応援してというよりほかにまともな候補がいないからという消極的な投票結果だったと見るべきでしょう。

 あと維新の会が掲げる大阪都構想ですが、前回の住民投票の結果といい現段階でもこの政策については府民の支持は低いままなのではないかと見えます。今回の選挙でも詳細な説明は省いていたようですし、この選挙結果を受けて見直されていると考えるのはちょっと大袈裟でしょう。何がいいたのかというと、国政選挙に出ても今の維新の会では予想以上に議席は取れないと思うって言いたいわけです。民主党を吸収したとしても、です。
 ましてや地元大阪ですら地盤沈下が進んでるわけですし、全国での維新の会への支持はますます下がっているように思え、橋下代表はその辺をどう考えているのかメディアは単刀直入に聞かないのかなぁって思えてなりません。もっともほかにまともな野党もないし、自民党が安倍首相の後継でミス人事をしない限りはこのまま自民一興が続くのかなと思えます。

2015年11月22日日曜日

野田聖子議員の問題ある見識

呆れた不見識…野田聖子氏の「南シナ海は関係ない」発言に批判の嵐(産経新聞)

 もう少し大きく扱われるのかと思っていたら上記の産経以外あまり取り上げようとしないこのニュース。内容はリンク先を見てもらえばわかりますが、現在中国が出張って埋め立てやり始めて緊張が高まっている南シナ海問題について自民党の野田聖子議員は、「日本には関係ないのだから関わらない方がいい」というとんでもない見識を披露してくれました。
 この見識が如何に問題があるかについては記事中でも指摘されている通りに、南シナ海は日本にとって石油などの重要物資のシーレーンでもありひとたび事が起これば大きな影響を受けかねない地域です。また尖閣諸島での問題と合わせて近年における中国のむやみやたらな拡張主義を抑えるためにも、近隣諸国が一致団結して領土線の変更を認めないという姿勢を見せることこそ日本の利益にも叶いうるだけに、何をどういう理屈でこんなことを突然言い始めたのか本気で理解に苦しみます。まぁ単純に頭の中すっからかんだというのが実際の所でしょうけど。

 前からもこのブログで主張していますが、私はこの野田議員が大嫌いです。
 そもそもこの人は親のコネで帝国ホテルに入り、親の地盤を引き継いで議員になるなど何一つ自分の力で達成しておらず、議員となった後も何かこれという功績を遺したことはおろか独自の政策論を作ったことすらありません。どれだけこの人に中身がないのかについては、郵政選挙後に郵政民営化法案に選挙中の公約とは真逆に賛成票を投じた点を一つとっても保身しか頭にないということが伺えます。
 もっとも保身ともう一つ、無駄に功名心があるというからなおさら始末に置けません。上記のように政治家としてというか一市民としても同化と思える人物ながらもマスコミなどから、「初の女性首相候補」などと書かれて本人も浮かれてか先の自民党総裁選に立候補しようなどと身の程知らずも大概といったところでしょう。しかもその総裁選に向けて独自の政策論は何も全く作れておらず、「政治家として果たしたい政策はないけど総理になりたい」などという理解不能な行動を取っています。

 先ほどから非常に激しい言葉で罵り続けていますが、これだけ私が罵るのもこの人を総理はおろか議員にしては絶対にいけない人物だからだと思うからです。これまでの経歴や発言一つとっても政治家として致命的な欠陥を抱えていることは明白ですが、何故だか日本のマスコミは先ほども書いた「日本初の女性首相候補」などと持ち上げてて「一体何故なんだ!?」と中国からでも怒鳴りたくなるような紹介の仕方をしています。最初の南シナ海に対する発言も2週間以上経過したにもかかわらずまともにツッコんでいるのは産経新聞位で、普通に考えれば議員辞職要求が出てもおかしくないような失言なのにマスコミも野党もやけにダンマリ決め込みます。仮にほかの男性議員だったらこうもいかなかったと思うだけに日本のマスコミ、特にさっきの女性首相候補云々を書いた記者はもうこの世界には関わるなと言いたいです。

 更にこう言っては悪いですが、この野田議員といい小渕優子議員といい明らかに欠陥を抱えた人間が親の力とかで間違って議員になったりするもんだから女性の社会進出は遅れるのではとすら思います。以前にも書きましたが、本当にやる気があって実力のある女性ではなく無駄に目立ちたがり屋な無能な女性が変な力で目立つ地位に立っちゃうもんだから男性の側も「これだから女性は」と感じてしまうような気がします。女性を応援するのと、おかしな女性を応援するのは全く以って真逆のベクトルなだけにメディアもこの辺しっかり叩けよと、いいたいことだけ書いて筆をおきます。

正直者は何を見る

 このブログには度々私の友人である上海人が出てきますが今日はその彼のお話し。

 彼は私と同じ大学のゼミ同期生で、正確には元々学年は一つ違っていましたが私が中国留学のため一年間休学したので復学後に同学年となり、ゼミも一緒となりました。同じ学年なもんだから卒業ももちろん一緒で、就職活動の時期も同じだったのですがこの時のことについて後年、度々彼と話すある話題がありました。

 私はお世辞にも就活上手とは言えず、決して景気が悪くない時期であったものの書類選考を含めて百社は落ちておりそこそこ苦労はしたのですが、上海人も順風満帆にとはいかず、大手企業とされるところには全部お断りされてしまいました。その中でもある大手電機メーカーには最終面接までこぎつけたもののそこで落とされてしまったのですが、この原因について面接時のある質問に対する回答が原因だろうと彼は分析しております。

 それはどんな質問だったのかというと、「将来、中国に帰りたいですか?」というものでした。この質問に上海人は、「出来れば、中国の赴任地で働かせてもらえるとありがたいです」と答えたのですが恐らくこれが命取りとなったと分析しており、私も彼の考えに同感です。
 基本的に日系企業の面接は服従と肯定しか許されないのは言わずもがなで、さっきの質問時には「日本に骨をうずめる気持ちで働きます」とか、「仕事がある限りは日本でずっと頑張るつもりです」などと答えていればOKだったことでしょう。上海人自身もそういう日本の価値観を理解していながらもこの時は敢えて正直な気持ちを出したところ落とされてしまったわけです。

 本人もこの時の体験は相当衝撃が大きかったのかお互い社会人になって昼間から上海のバーで飲み合ったりする際、大体年に一回はこの話題を持ちだしていました。数ヶ月前に会った際も話題になり上海人は、「あの時、もし別の言い方をして受かっていれば僕の人生はどうなっていたんだろうか」という風に洩らし、それに対して私はこう応じました。

花園「そうだよね。なんせあの、シャープだしな( ・∀・)」
上海「せやでほんま。きっと今頃僕はリストラされてるか転職迫られてるかで安定なんてしてられへんかった。危なかったわ(;><)」

 念のため言っておきますが別に作っているわけでなくこれら全部事実です。友人が最終面接までこぎつけたシャープは現在経営再建中、というよりマグロの解体中で大量のリストラはもとより若手社員の流出も続き今後の先行きもよっぽどの名経営者かスーパーな発明が出ない限りはある程度見えてきているでしょう。
 少なくとも自分が直接見聞きした中ではりこれほど見事な「塞翁が馬」ともいうべきエピソードは見当たらず、なんというかやっぱ人生は正直でいる方が日が当たるんだなと思えてきます。言い方変えて意地悪な言い方すると、正直な気持ちを吐露する人間より心にもないこと言う人間ばかり採ってたからこうなったんじゃないかな。

2015年11月21日土曜日

朝青龍の北の湖理事長への追悼コメント

元朝青龍 北の湖理事長を悼む「悲し涙が止まらない」(スポニチアネックス)

 さっきまでスカイプで話してたので短い記事を一言いれますが、本日元横綱で相撲協会の理事長であった北の湖理事長が亡くなりました。この突然の訃報に各所からコメントが出される中、こちらも元横綱で現役中は北の湖理事長といろいろとやり取りのあった朝青龍ことドルゴルスレン・ダグワドルジ氏のコメントがなかなかに目を引きます。
 現役中は北の湖理事長と対立している、仲が良くないなどというようなことも言われてましたが、この突然の訃報に対してリンク先記事の見出しにある「悲し涙が止まらない」とその死を強く悔やむコメントが書かれてあり、見ているこちらもその悲しみが伝わってきそうな言葉で表現されています。

 朝青龍はツイッターなどで日本語文書をこれまでも書いて発信しておりますが、彼の日本語会話は外国人でありながらほぼ完璧だと思う水準にあるものの、ツイッターにて出される文書はちょっと拙いというかきちっとした日本語文書になっていないことが多いです。とはいえ外国人でこうやって文書書くだけでも大したものというべきか、そもそも自分も中国語できちんと文書を書く自信がないだけに「下手でもいいから発信するのが大事なんだ」と常々感じさせられるのですが、こと今回の追悼コメントに関してはかえっていい表現になっているような気がします。

 追悼コメント中には「悲し涙」という言葉が使われていますがこの言葉はあまり一般的ではなく、こういった場面で使う日本人は多分いないと思います。恐らく音からして「悔し涙」という言葉から感情を表す漢字を置き換えて使ったのではないかと思いますが、あまり見ないだけに新鮮であり斬新で、なおかつ「かなしなみだ」という音も聞いてて悪くありません。
 一般的ではない表現、さらに文書の拙さもあってストレートな表現ですが、悲しみを表現する上でこの拙さはかえって伝わりやすい表現ではないかと思います。それだけに今回のコメントからにじみ出る朝青龍の気持ちは見ているこっちも感じやすく、素晴らしいコメントを残してくれたと彼には感謝と共に高く評価する気持ちを送りたいです。

  おまけ
 朝青龍の現役時代のライバルといったら「青白時代」と一時期言われたように現在も横綱を張っている白鵬関が普通は上がってきますが、実際は横綱審議委員会の内館牧子氏との土俵外のバトルの方が見ていて一番熱かったし、彼の真のライバルだった気がします。またいつかやってくれないかなぁ。

2015年11月19日木曜日

中国のファーストフード市場 その2、大手チェーントップテン

 ようやく風邪が直りつつあるのか昨夜に比べれば大分体のだるさも取れて記事執筆に迎えます。何というか抵抗力が落ちてたのか昨日は左耳が中耳炎になったのかずっと痛かったし、あと早朝髪の毛を櫛でといていたら何故か根本からバキッて折れるし。櫛を折るなんて人生で初めてだよ……。

2014年中国快餐连锁十大品牌企业排行榜(中商情報網)

 そういうわけで昨日に引き続き中国のファーストフード市場について紹介していきます。今日引用する元記事は上記のリンク先ですが、こちらはビジネス関連情報の記事を発信している「中商情報網」というサイトの記事で、2014年8月に出されたやや古い記事であるものの中国におけるファーストフードチェンのトップテンを独自に選びランクづけています。なお中国の経済メディアは何故だかこういうトップテンとか100強、500強といったランク特集をしょっちゅう組んでおり、ランクをつけるのが明らかに好きであるように感じます。共産党が序列主義だからかな。
 などとどうでもいいことはほんとどうでもいいので、早速そのトップテンにランクされたチェーンを下記に列記します。

<中国ファーストフードチェーンのトップテン>
1位  ケンタッキーフライドチキン(肯德基KFC)
2位  マクドナルド(麦当劳)
3位  真功夫
4位  Dico's(ディコス、德克士)
5位  ピザハット(必勝客)
6位  永和大王
7位  麗華
8位  味千拉面
9位  馬蘭拉面
10位 大娘水餃

 上記の順位を見た私の感想を述べるならば、恐らくこの順位で大きな間違いはないだろうと行ったところです。中国で生活している私の肌実感でも大体こういう順位というか思い当たるファーストフードチェーンがしっかりと入っているように感じます。

<ケンタッキーのがマクドナルドより多い>
 個別解説に移りますが、日本でファーストフードチェーンの王者と言ったらマクドナルド以外の何物でもなく、これに誰も異論を挟む余地がないでしょう。しかし中国ではなんとケンタッキーの方が人気で、実際街歩いていてもケンタッキーとマクドナルドの店舗数で言えば3:1くらいの割合で断然ケンタッキーの方が多いです。
 そのケンタッキーですが売っている代物は日本とはこれまで異なっており、日本でお馴染みのフライドチキンが去年まで全く売られずにバーガー系メニューを中心に、手羽先っぽい奴とかフライドチキンとはまた別な唐揚げで、最近だとご飯にお惣菜が付いた定食メニューみたいなのも用意してます。去年の夏ごろからお馴染みのフライドチキンを中国でも売るようになったのですが、なんで今までなかったんだろうかと不安に思いつつこのところはそのフライドチキンを毎週一回は食べに行ってたりします。

 マクドナルドのメニューに関しては基本的に日本とも共通していますが、日本オリジナルの「てりやきチキンバーガー」がないかわり、中国オリジナルの「ピリ辛チキンバーガー」みたいなのが用意されています。ケンタッキーでもそうですが売れ筋のメニューはどちらかというとこういった鶏肉を辛めに揚げた具材をバンズ挟んだバーガーで、これは間違いなく中国人の嗜好に合わせたメニューでしょう。また同時に、中国人自体が牛肉を食べ慣れていないことからビーフハンバーグを具材に使ったバーガーがほかの国と比べると勢いが低いのではと推測しています。まぁもちろんビッグマックとか中国人も食べますけどね。

<中国オリジナルのファーストフードチェーン>
 3位に入っている「真功夫」は日本人には馴染みが薄いものの、中国ではどこ行っても見かけられるファーストフードチェーンです。ここでは丼物っぽい料理を始めとした中華料理のファーストフードを出しており、スープやおかずがついた定食形式で頼んでからチンして出すのか、マクドナルドのようなカウンターで支払いと受け取りをやって店内で食べたり、持ち帰ったりすることもできます。私自身も何度も利用しており、トラックスーツを着たブルース・リーのロゴは嫌でも目立ち、中国らしいファーストフードとして上手く成立している印象を覚えます。

 そして4位の「Dico's(ディコス、德克士)」ですが、実はここには前から注目しています。というのもここはマクドナルドと同じようなハンバーガーを中心としたファーストフードチェーンですがケンタやマクドと違って欧米からのフランチャイズではなく、先の「真功夫」同様に完全中国資本、中国オリジナルのファーストフードチェーンだからです。このディコスも何度か利用しましたが味的にはマクドナルドに大きく劣るようなものではなく、メニューにも工夫が見られ決して悪くない印象です。更にディコスの店舗はこのところ明らかに増えており、上海市内でも気が付いたらここにもディコスがと思くらい拡大を続けていて、中国オリジナルのハンバーガーチェーンなだけにどこまで成長するのか実は楽しみに見ているところがあります。
 ちなみにディコスは西安に上海人と旅行に行き、現地にいる後輩と合流して3人で何度も入りました。三日間の西安旅行で休憩の度に入っていたからどれくらい行ったのかわからないくらい入りました。

<味千拉面が日系で唯一のランクイン>
 中国には今後の成長を見込んで数多くの飲食チェーンが進出しておりますが、その中で最も大きな勢力を持っているのは間違いなく8位の味千拉面です。中国経済を多少なりとも触れた人間なら誰もが知っているであろう熊本発のラーメンチェーンで、大都市はもとより地方都市でもしょっちゅう見かけるくらいにその店舗数は圧倒的で、日系としては唯一このランキングに入るのもうなずける話です。
 ただつい今さっき大学の先輩にもスカイプで解説しましたが、味千がなんでこれほど多く店舗数を広げられたのかというとフランチャイズの条件が緩いためだとされ、日本国内でも「餃子の王将」がまさに当てはまりますが、店舗によって料理の味の差が大きいところがあります。同じ市内の店でも食べてておいしい店もあればなんじゃこりゃというくらい不味い店もあり、私もこのところは昆山市内でおいしいと思う店にしか足を運びません。スープ自体は工場で粉末状にして各店舗に配ってるそうなんだから普通は差が出ないはずなんだろうけど、なんだろう、店によって薄められてるのだろうか。

<その他短評>
 そのほかランクインしたチェーンについて短評を加えると、ピザハットは日本同様安いピザを高値で吹っかけている、もといやや高級路線でやってます。「永和大王」は中国ラーメンを中心としたチェーンで、何気に上海来て最初に食べた料理がここの牛肉麺だったのをやけに覚えてます。7位の「麗華」は自分は使ったことがなく、調べてみたらケータリングのお弁当配達がメインのお店のようです。9位の「馬蘭ラーメン」も街中で見かけるものの使ったことはありませんが、10位の「大娘水餃」は餃子のチェーンで、鉄道部と組んでるんじゃないかと思うくらいどの鉄道駅構内にもお店があります。街中にも多くあって、前は「大娘(おばちゃん)」ってことからデフォルメしたメガネのおばちゃんがロゴデザインでしたが、最近変わってマダムっぽい女性の後ろ姿になりました。

 ファーストフード、というよりは飲食チェーンの解説となりましたが、どうも中国では飲食チェーンとファーストフードチェーンの区別があいまいで、有名レストランのチェーン以外は全部ファーストフードチェーンのカテゴリに入れてしまっているように見えます。といっても日本でもこの辺のカテゴリ分けは案外独特で、同じチェーンでも「ファミレス」、「バーガー&チキン」、「牛丼」という感じに分けられ、ファーストフードとされるのは真ん中の「バーガー&チキン」だけです。冷静に考えたら「牛丼」もファーストフードに入れるべきではと思えてくるのですが。

 これはあくまで私の持論ですが、中国と日本の飲食チェーンで決定的に異なっているのは「ファミレスチェーン」というカテゴリが中国にはないということです。今日のランキング内ではピザハットが一番これに近いと思うものの、日本のガストやココスといった要職を提供するファミレスの形式はまだ主流ではなくむしろマイナーな部類に入ります。
 しかし需要は全くないわけではなく、むしろ家族間のつながりが強い中国なだけに逆に求められているのではと思う節があります。そう思うのも日本の「サイゼリヤ」がこのところ中国で躍進しており、中国でファミレス市場を開拓するかのように店舗を増やしていっているからです。時期はまだはっきりと言えませんが、この記事の続きとして今度は中国における日系飲食チェーンの調査記事を準備ができ次第にアップします。

2015年11月18日水曜日

中国のファーストフード市場 その1、概要

 先日、潮風大使さんより「中国のファーストフード業界について紹介してほしい」というリクエストを受けたのですが、このリクエストには素直に魂が震えました。というのもこれまであまり中国のフラーストフード業界をテーマにした記事を見ておらず、成長が見込める市場なのにやけに解説が少ないので自分が手掛けてみたら意外と面白いかもしれないという妙なジャーナリズム魂が動きました。
 そんなわけで密かに下調べを進めておりましたがなんにせよこのところほかにも書きたい記事ネタがやたら集中しており、先週土曜もなるべく消化するため一挙に4本も記事をアップしましたがそれでも他に優先する記事が多かったため、今回のこのテーマでの出稿が遅れに遅れました。当初は先々週にもアップしようと思ってたのに。

 そうした事情は置いといて、このテーマは分野別に攻めていった方が面白いのでしばらく連載形式で取り上げていきます。一発目の今日は見出しにもある通りに概要で、中国のファーストフード業界を取り巻く各種のマクロデータを紹介します。

1、飲食業界の市場規模
盘点:2015年快餐行业发展现状和趋势(天財商龍)

 データの引用元は上記リンク先の記事です。と言っても中国語ですので、閲覧する際は中国語使いをつけて読んでください。

 まず中国のファーストフード業界を含む総合的な飲食業界の市場規模の解説から入りますが、率直に言って大幅な成長を続けています。同業界は2008年の年間市場規模が1兆2650億元だったのに対し2014年は2兆7860億元と、6年間で倍以上の成長を見せ、この間の複合年成長率も15.1%に達しています。今年2015年の中国経済は製造業がどこもガタ落ちしていますがサービス業は全体的に好調を維持しており、ファーストフード業界も1~9月の市場規模が前年同期比11.7%増の2兆3071億元となって二桁の高成長を保ちました。
 雇用面でも飲食業界は経済に対して非常に大きな貢献をしており、関連企業は300万社以上にも上り従事者数も1億人を超えるとされ、この雇用数は不動産、自動車業界に次ぐ水準とされています。仮に中国の人口を13億人と見積もるならば、8%前後が飲食関連業界で働いているってことになるのかな。

2、ファーストフード業界の各種データ
 成長著しい飲食業界の中でも、ファーストフード業界の成長は特に著しいと上記記事では指摘しており、ここ数年の複合年成長率は17.5%に達したと紹介されています。成長が著しいだけでなく潜在的な成長性はまだまだ高いと見られ、その根拠として中国における一人当たりのファーストフードへの年間消費額は63.7米ドルで、欧米が600米ドル以上であることを考えるとまだまだ低い水準としています。もっとも年間消費額についてはほかの項目でも欧米と比べて大幅に低いだろうから、ファーストフード業界に限るわけじゃないけど。

3、中華系ファーストフード
 日本でファーストフードと言ったらマクドナルドやケンタッキーに代表される洋食系のチェーンが思い浮かび、和食のファーストフードと言っても牛丼がギリギリ入るくらいでしょう。もっとも市場的に前者がファーストフード業界、後者は牛丼業界って感じで分けられることのが多いですが。
 中国では事情が日本とは異なっており、中華料理を中心としたチェーン店もファーストフード業界に加えられております。こうした中華系ファーストフード店は私もたまに利用しますがお店はマクドナルドみたいにカウンターで注文して料理が出される形式で、メニューは餃子や点心、丼物などそこそこバラエティに富んでいます。

 では中華系と洋食系ではどっちが多いのかですが、これは中華系の方が軒数で言って圧倒的に多いのではないかと示唆するデータがあります。中国はマクドナルドもケンタッキーも電話一本でどこでも配達してくれるほど何故だかケータリングがやけに普及しており、中華系ファーストフード店も洩れなく電話一本出前一丁で持ってきてくれるのですが、中華系シンクタンクの調査によるとこのケータリング件数を比較すると中華系が63.4%、洋食系は17.5%だったとのことです。売上げ比較ではないので一概にこのデータだけで判断できませんが、街中を歩いていても店舗数、特に地方を含めると洋食系よりは中華系の方が多いという気がします。まぁ運営企業別の売上げなら洋食系チェーンの方が圧倒的に大きくはなりますが。

 以上が元記事データを丸々引用した内容となります。もう少し続けたいけど昨日から風邪気味でめっちゃ体だるいので続きはまた次回に回します。次回では中国の各飲食チェーンブランド別の人気度というかファーストフードトップテンを取り上げる予定です。まだ今日よりはオリジナリティが含められる記事になると信じてます。

2015年11月16日月曜日

上海蟹レポート


 昨日は自分の所属しているサイクリング部のメンバーと共に、上海蟹を食べるため昆山市内にある陽澄湖へ行ってきました。この一文を読んで、「なんで上海蟹なのに昆山に行くの?」と思った方もおられると思いますが、元々上海蟹というのは昆山市内にある陽澄湖という湖から陸揚げされる蟹を指しており、昆山が上海の隣であることからネームバリュー的に「上海蟹」という名称が定着して今に至るわけです。なんとなく、千葉県にあるのに「東京ディズニーランド」的なノリを感じます。

 上海蟹のシーズンは9月の秋口からで、これは質の悪い蟹が先を争って市場に出るのを防ぐために毎年販売解禁日が設けられています。とはいえ9月だとまだ走りであるため味はそれほどよくなく、おいしいとされる旬の時期となるのは11月から12月の初旬くらいで、1月にもなるともうほとんど食べられなくなります。
 ちなみに今年は市場に出回る量が多い、もといぜいたく禁止令で共産党幹部への付け届けが減ったせいなのか値段は例年に比べて安いと言われています。

お土産用に箱詰めするおじさん

 陽澄湖は昆山市内中心部から西へ約20km行った蘇州市との境にあ広い湖でかなり広いです。なお湖のほとりには公園とリゾートホテルがありますが、このリゾートホテルは昆山市内で一番高いと言われ一泊どんだけ安くても1000元は下回りません(約2万円)。逆に安いとこだったら130元(約2600円)くらいで泊まれたりしますが。

 話は戻りますが、今回訪れたのは陽澄湖近くにある上海蟹専門店が軒を連ねるレストラン街の一店です。食事に入る前に蟹を見せてくれと言ったらすぐに案内してくれて上記写真の様に生きた蟹を一匹ずつ縛っては箱に詰め込んでいる様子などが見られました。っていうかこの写真、いい感じに腕がぼやけてるな。


 そんなこんだで出てきた料理がこれです。
 上海蟹は基本的に縛ったまま茹でて、雄蟹と雌蟹の二匹を同時に食べます。上の写真だと上に乗っかっているのが雄蟹で、下が雌蟹です。両者の違いは雄蟹は体がやや大きく蟹肉が多いのに対し、雌蟹は卵を持っているので蟹味噌おいしいというところで異なっており、どちらかと言えば雌蟹の方がおいしいとされるので先に雄蟹から食べるのが一般的だそうです。

 さてここまで話を進めてきてなんですが、知ってる人は知ってるでしょうけど実は私は蟹を始めとした甲殻類、そして貝類といったいわゆるシーフード系の食べ物はあまり好きじゃなかったりします。別に食べられないというわけではなく単に食べるのが七面倒くさい割には食べられる量が少なく、しかも値段がやや高いというのであまり率先して食べたいとは思いません。そんな施行しているもんだから今まで上海蟹をそのまま食べるということは一回もなく、以前に香港でスープなど料理にされた物しか口にしたことがありませんでした。

 なもんだから何気に今回が初めて口にする上海蟹だったので、あまり好きじゃないという素振りはほかのメンバーに対して微塵も見せずに面倒だと思いながら殻割って食べてみました。食べてみた感想として最初に思ったのは、生臭い臭いというかいわゆる蟹臭さがほとんどなく、手づかみにも拘らずそれほど手もかゆくなったりはしませんでした。ここら辺は海水と淡水の差なのかもしれません。
 そして肝心の味については定説通りに雌蟹の方がおいしく、雄蟹もまずくはないですがどっちかっていうとといったところです。こう思うのも上海蟹はそれほど大きな蟹ではないため蟹肉も食べれるところはそれほど多くなく、必然的に蟹味噌の部分を一番多く口にするからです。
 なお蟹肉、特に足部分は上手い人はさっと糸通しみたいに蟹肉だけ抜いて食べてましたが、私はそんなに器用ではないので片っ端から奥歯で殻を噛み砕いてから食べてました。最近固い物かじってないけど、その気になれば多分今でも胡桃の殻くらいなら歯で割れるほど無駄に丈夫です。

 そんなこんだでいろいろ食べて、ほかの料理と合わせて最後の清算時に支払った一人当たりの金額は160元(約3200円)でした。サイクリング部のメンバーがお土産用に雄雌一対を帰り際に買ってましたがその値段は120元(2400円)で、上海で買うよりずっと安いと話していました。蟹に興味ないから安いか高いかと言われて正直わからないのが本音です。

 あとどうでもいいですがこの日は9時半に昆山市内で合流して自転車乗ってレストラン行きましたが、前日の晩は何故だかこの時期にもかかわらず蚊が室内を飛んでおり、時折耳元で羽音を鳴らすもんだから夜中2時に起こされたりとやや睡眠不足気味でした。翌朝、準備を整えて出発する間際に窓ガラスに蚊が一匹張りついているのを見て速攻ではたき、地面に落ちたところをスリッパの裏でグリグリと踏み潰してから出ていきました。
 最近休日は一切昼寝せず睡眠不足だというのに。

2015年11月14日土曜日

昆山市のアウトレットモール


 今日はこれで四本目の記事ですがそれは置いといて、昼食を馴染みの日本料理屋で食べた後で自転車を走らせ最近出来たばかりという昆山市内のアウトレットモール「首創奥特莱斯」へ行ってきました。

 アウトレットの定義に関しては省略してなんでここへ来ようと思ったのかというと、自分が参加している自転車クラブのメンバーが先日の会合の際、ここでいいGジャンを安くで買えたと教えてくれたからです。その人が言うには品質は悪くないし金額は明らかに安く、それまで日本国内でもあまりアウトレットモールを利用したことなかったが今回行ってみてまた通いたいというほどという大絶賛ぶりで、昆山のローカル情報取り上げる人なんてそうそういないんだし自分も行って取材してくるかと思ったのがきっかけでした。

 また地味に気になった点として、「中国でGジャン買えるの?」とも反応しました。というのもGパンはどこでも売ってますが意外とGジャンは中国だと取り扱っている店が少なく、前も上海で必死こいて捜したものの見つからず泣く泣く日本帰国時に上野で買ったこともありましたが、本当に昆山で買えるのならどんな店かと見てみたいという興味を持ちました。元々、真冬でもGジャン一枚でどこへでも行くことから大学時代は「ダブルデニムの花園」という異名が陰でリアルで付けられていた私ということもあってGジャンにはこだわりがあり、一昨年の年末もマジでGジャン一枚で北京へ乗り込み万里の長城へ行って凍死しかけました。

 話はアウトレットモールに戻りますが、場所は市内中心部から東へやや離れた郊外にあり、歩行者の少ない道路を昨日パンクしてすぐ修理した自転車すっ飛ばして乗り込みました。到着したモール内は駐車場こそそこそこ埋まっていたものの、よく晴れた週末の昼過ぎにもかかわらずちょっと人はまばらだったような気がします。イベントスペースには人がそこそこ集まっていたけど、各店舗内はほぼ無人だったし。
 入っている店舗はほとんど海外ブランドで、ナイキやJeep、Diplomatとかとかとか。施設は新しいだけあってどこもきれいでまだテナントの入っていないスペースもそこそこありましたが、一見すれば日本にあるアウトレットモールと区別がつかないくらい立派な施設でした。飲食店のコーナー(3F)はまだテナントが決まってないのか工事が終わってないのかまだ入ることすらできなかったものの1Fにもいくつか飲食店はあり、私は今日買い物を済ませてから一軒入ってバナナジュース飲んできました。意外とこのバナナジュースも中国だと飲める所少ないからマジでうれしかった。



 そんなわけで、今回購入したのが上のスニーカーです。なんでGジャンじゃないのかと肩すかしくらったかと思いますが、実は先週急に寒くなったので近くのスーパーで薄手のデニムジャケットを買ってしまい、Gジャンは日本の潜伏拠点にもあるし今回はいっかと見送ったわけです。一応はLevisの店で売っていることを確認しており、気が変わったら買いに行こうかと思います。
 なお先週買ったそのデニムジャケットは室内で着ており、外出する際には必ず脱いでいます。意味わかんないだろうけど私は動くとすぐ発熱するから外いる時は着てて熱く、逆にあんま動かない室内にいる時のが寒さを感じる妙な体質してるからです。

 それで今回どうしてスニーカーを買ったのかというと、単純に靴がなかったからです。今年の2月に一足スニーカーを買いましたが、今年はやたら大雨降ることが多くその靴履いて何度もザブザブ水に浸かったもんだから先月に靴底がべろっとめくれるわ側面に割と大きな穴が開くわで、ガチで破損させてしてしまいました。中国製だからやわとかそういうもんじゃなく、過酷な扱いをしてしまってその靴には本当に申し訳なかったです。
 ひとまず今日までは前に履いていた別のスニーカーを履いてました、このスニーカー、デザインは悪くないものの靴底がやたら薄く、歩いていると地味に足裏がジンジン来るので出来ればほかの靴底厚いスニーカーが前から欲しかったりしました。
 なおその靴は普通に履く分には全く問題ありませんが、私の場合だと知ってる人には早いですが歩く速度と距離が尋常じゃありません。友人曰く、まるで軍人のように走るように歩く上、その距離も絶対おかしいというくらい数キロ単位で移動します。だから今回は山靴みたいに靴底厚くて丈夫そうなのを選びましたが、お値段はアウトレット価格323元(約6400円)でケチな自分にしてはよく払ったなという気がします。

駐車場近くから撮影した写真。手前は自分の自転車

気高き医師たち

 ひとつ前の記事でちょこっとだけ出てきますが、人気作でドラマ化された「Dr.コトー診療所」という漫画を連載中は購読していました。最初に読んだのは高校二年生の時でそれから最新刊が出る度に買ってはクラスメートの間で回し読みさせるくらい熱中し、現在においても文句なしに素晴らしい漫画だったという評価に変わりありません。やや残念な点としては、本人もブログで書いていますが作者の体調不良によって2010年以降は連載が中断しており、このまま未完の作品として終わりそうであるということです。
 なんでまた急にこの漫画の話をするのかというと、主人公のモデルとなった鹿児島県の下甑島で長年離島医をされていた瀬戸上研二郎医師がこのほど退任されるというニュースを見たからです。

「Dr.コトー」のモデルが退任へ…離島医療37年(読売新聞)

 上記リンク先の記事によると瀬戸上医師は74後歳となる今年まで37年間も下甑島で離島医をされていたとのことで、離島医療の現状を伝える活動など様々な方面で活躍されてきたとのことです。漫画の中でもまともな医療設備もなければ輸血用の血液にすら事欠く有様が描かれていましたが、都市部で暮らす人間からは想像もつかないような苦労が数多くあったと思われるだけに瀬戸上医師の長年の勤務については本当に頭が下がります。

 このニュースについて友人と話したところ、「そうは言っても地方の医師は漫画ほどうまく地域に受け入れられないんじゃないのか?」と切り返してきました。私はこの返答でぱっと思いついたのですが、以前に限界集落ともいうようなとある村に外部から医師が赴任してきたところ、なんと村八分にあってせっかく来てもらったのに辞めざるを得なくなったというニュースがありました。村名を出すのはなんか忍びないので、興味ある方は自分で検索して調べてみてください。

 恐らくこの友人のいう通りに、どの医者も村の人間たちとの関係も築けて上手くやってけるというわけではないでしょう。しかし現実問題として日本の各地では無医療無医村ともいうべき限界集落は増えており、該当する自治体では赴任してもらう医師の確保に苦しんでいるとも聞きます。村八分の恐ろしさはもとより、都会と比べて不便な地方での生活、給与面での問題など様々な障害はあり、普通に考えればなんでもってそんなところへ働きに行かなきゃならないんだと傍観者的な価値観からすると思えてしまいます。

 しかし、以前というかかなり昔に読んだコラムで、ある人(名前や団体は失念)こうした無医村に医師を斡旋する活動を始めたところ本人が思っていた以上に多くの医師が応募してきたと書いてありました。応募してきたどの医師も自分が地方の医療を支えるんだという強い意志を持っており、また都会の大病院では大量の患者を診るため文字通り「患者を捌く」ように診療しなければならないため、もっと患者とじっくり向き合って診療をしたいという希望を持つ方もいたそうです。
 仮にこの話が本当であるならばなかなか世の中も捨てたもんじゃないと思えると同時に、気高い医師というのは存外に多いのではとも思えてきます。実際、医療現場の方々は看護師にしろ医者にしろ全体的に高いモラルを保っているとされ、彼らの献身あって予算も人員も減らされるなかギリギリのラインで医療現場は水準が保たれているという話をよく聞きます。

 しかし、残念ながらというか彼ら気高い医師たちよりもメディアはどちらかというと不祥事を起こした医者の方をより多く取り上げようとします。かなり昔ですが「ポケット解説 崩壊する日本の医療」鈴木厚医師の講演を聞いたことがありますが、彼曰くテレビに出てくるようなゴッドハンドとか呼ばれ名医とされる医師たちはテレビに出る時間だけ診療をサボっている医師で、もっと毎日現場を底辺で支えている「ゴッドハート」のような医師たちこそ取り上げるべきだと強く主張されていました。もっともそのすぐ後、「ならお前もこんなところ講演してる場合かと言われるのですが」と、自分でツッコミを入れていましたが本当に漫才師かっていうくらい話のうまい医者でした。

 しかし鈴木医師の言わんとしていること、現場を支えている日の当たらない医師たちこそもっと注目すべきであるというのは同感です。離島医をされていた瀬戸上医師もそうですがこういった医療の最前線ともいうべき場所にいる医師というのはなかなか知る機会がなく、彼らが日々どれほど診療し、どんな勉強をして、どんな治療を行っているのか、普通は目に入ることはありません。
 これは前にテレビで見たある獣医師の例ですが、朝から夕方まで診療し、一時帰宅して食事を取ると夜間の急患対応に出て、夜寝る前に外国の医療論文を睡眠時間を削ってまで読むなどして勉強をするという、本当に頭の下がる生活をされていました。このような生活リズムはこの獣医師に限らないことでしょう。

 少子高齢化が進み医療問題が紛糾する中、ついつい医療費の制度とかばかりに目が行きがちですが医療の根本ともいうべき医療従事者にももっと目を向けるべきではないか、その上で現場を支える気高い医師たちをもっと知るべきだと友人と会話していて思ったわけです。

漫画レビュー「健康で文化的な最低限度の生活」

 あんまりやっちゃいけないと思いつつもこのところ紹介はしておきたい漫画が多いので続いている漫画レビューですが、今日は柏木ハルコ氏の「健康で文化的な最低限度の生活」という漫画を紹介します。書いてて思ったけど「今日は」っていうより「今日も」だな。

健康で文化的な最低限度の生活(Wikipedia)

 タイトルがなかなか凝ってありますが、この漫画は生活保護をテーマにした作品です。主人公は東京都の区役所に入った新人ケースワーカーの女性で、彼女と彼女の同期を中心に生活保護を受給している人たちとその支援の姿を追った作品であります。テーマがテーマなだけに連載開始当初から各方面から注目されて朝日新聞などにも取り上げられたそうなのですが、確かにこの「生活保護」というのは嫌が応にも普段生活していて気になるというか目に入るキーワードでもあり、また某売れっ子お笑い芸人の家族が受給していた事件が取り沙汰された時も大きな話題となっただけに、「年金」と並んで日本国民の関心事でトップ3には入るんじゃないかと思います。もう一つは今だったら「くい打ち」かな。

 作品の展開は基本的に主人公たちが担当する生活保護受給者とその家族が中心で、彼らへの就業支援や生活状況確認を通してトラブルを発見し、解決への道筋を探っていくような流れになっています。巻末には取材協力者、団体の一覧が載せてありますが、確かにこの作者は作品を読んでて生活保護というかケースワーカーについてよく取材しており、その仕事描写などは非常によく描けている印象があります。生活保護と言ってもそのシステムや受給に至るまでの過程、受給後の支援などはどうなのかは案外知る機会が少ないのですが、そうした部分へのとっかかりの様に生活保護とはどんなシステムなのかを知る上ではよく出来た構成になっていると太鼓判を押せます。
 あとこれは私の主観ですが、よく取材しているなぁと感じた点として主人公たちの着ている服に注目しました。一体どんな服かというと男性キャラは基本Yシャツにネクタイ姿ですが女性陣はブラウスにスカートやズボンが多く、しかもその組み合わせが程よくダサいというかババ臭かったりします。偏見かもしれませんがなんか役所の人たちってこういう服着ている人多いなぁというかパシッとした格好の人が少ないと前から思ってただけに、よくそういう情景見ていると変な所ですが共感しました。

 と、ここまで解説しておきながらですが現在この作品は連載が中断しております。公式発表では作者の体調不良だそうで、現在単行本は2巻まで出ておりますが連載は現在も再開されておらずその目途も経ってない状態なので続刊がでるかとなるとやや微妙な状態になっております。
 しかし、敢えて言わせてもらうとこのまま続きは出さない方がいいのではないかと私は考えています。あくまで私の評価ですが、今後連載が続いたとしてもこの作品は面白い展開が広がっていくとは思えないからです。

 先程にも書いたようにこの漫画は決して面白くないわけではなく人に全く薦められない作品ではありません。にもかかわらず何故このような評価をするのかというと、読んでていくつか気になった点があって連載を続けていくにはちょっと厳しいのではないかと感じたからです。

 気になった一つ目のポイントは、展開される話が取材で聞きかじった内容そのままなのではないかと思えた点です。各話で個別の生活保護受給者の状況と彼らへの支援の姿が描かれてはいるのですが、そのどれもがどこかで「生活保護者の実態」などのような特集で見たり聞いたりしたかのような内容で、「えっ、こういうケースとかあったんだ」と思うような意外性がほとんど感じられませんでした。
 私の想像ですが、取材で聞いた内容をほんの少し弄ってストーリーが作られているのではと思う節があり、取材内容を元に換骨奪胎させて自分の作品として仕上げるために付け加えるオリジナリティが余りにも欠けているような気がします。生活保護の実態をありのままに描くという目的で書かれているのかもしれませんが、結局それでは制度紹介漫画に終始してしまうこととなりかねず、「漫画家の作品」としてみるならばこれは大きなマイナス点になるのではと私は見ます。実際、回を重ねるごとに面白味が薄れていったし。
 なお、この取材内容にオリジナリティを付け加えるという点では「Dr.コトー診療所」が非常に優れていたと考えています。離島医という普段の生活ではなかなかお目にかかれない存在をテーマにしつつ、普通じゃあり得ない難手術を次々と成功させるというあのストーリー展開は今読み返しても見事だったと思える作品でした。

 もう一つの気になったポイントは、これは作者に対して過剰な要求であるということを承知した上で述べると、生活保護を選ぶというテーマ設定は抜群に良かったものの、そのテーマで漫画の舞台を東京都の区役所にしてしまったのは最大の失敗だったと思います。わかる人にはもう私が何を言いたいのかを想像していると思いますが、生活保護制度の問題というのは東京都内とそれ以外の自治体とでは本質が大きく変わってくるからです。具体的に言えば金というか予算の問題で、東京都は比較的予算が潤沢であるのに対してそれ以外の自治体はどこもカツカツの状態の上で税収は右肩下がり、なのに受給世帯は増えていて膨れ上がる支給費に対して限られた予算をどう使うのか、下手すれば生活保護申請をどこまで受け入れるのかというのが深刻な問題として横たわっております。
 実際にこの漫画の中ではそうした予算の話はほとんど出て来ず、生活保護者に対しても支援するのが当たり前のように描かれていて予算の面で切羽詰った場面は出てきません。ひどく汚い話ですが読者としてはそうした金にまつわるドロドロしたグロテスクな部分こそ一番見たがっているように思え、そうした場面を描けない、描き辛い東京都の区役所を舞台(恐らく取材先でもある)にしてしまったのはテーマはいいだけにとても勿体なかったという気がしてなりません。いい子向けの漫画じゃないんだからさ。
 理想を言えば最も多くの生活保護世帯を抱える大阪府、または人口減で限界集落すらも抱える自治体がこのテーマの舞台としてはうってつけだったでしょう。さすがに「闇金ウシジマくん」ほど激しい描写はいりませんが、やっぱり私も「一体どういう人が生活保護を受給するのか、できるのか」が一番見たかったです。

 以上のような評価から、決してつまらなくはないけど連載再開したとしても劇的に面白くなっていく可能性が低いというのが私の見方です。我ながら厳しい評価の仕方だと思いますが、生活保護ってどんなもんなんだろうと知りたい方にはまだ薦められる作品であることだけは述べておきます。


 

パリ同時多発テロについて

 各種の報道で皆さんも知っておられるかと思いますが、このほどパリ市内の複数の公共施設でテロと思われる事件が同時に発生しました。特に市内劇場では銃の乱射も行われ死傷者が百人を超すほどの大惨事となり、仏オランド大統領が国内で非常事態宣言を発したほか各国のフランス関連施設では警備が増すなどその影響は計り知れないほど広がっております。

 この事件を私は今朝のネットニュースで知りましたが、恐らくほかの人もそうでしょうが真っ先に思い浮かんだのは2001年のNY同時多発テロで、影響で言えばこの事件に次ぐ規模と見て間違いないでしょう。そして今後についても同様で、これ以前からもフランスではテロ事件への警戒は強かったですがこれからはますます強まり、具体的に言えば移民や難民、そして国内のイスラム教徒に対する審査や監視が強まることが予想されます。
 その上でまだ犯人グループの正体についてははっきりしていないものの、各種報道や事件現場にいた方たちの話からフランスによるシリア空爆への参加を快く思わない連中が引き起こしたものなどと見られ、仮にそうだとすればフランスやヨーロッパ各国はシリアへの更に強めるのではないかと思います。この過程は言うまでもなく、9.11以後の過程と同じです。

 では今後日本はどうするべきか。私としてはかつてから主張してきたように日本が欧米に肩入れしようがしまいがただ「貿易をしている」という一点でもってテロリストは日本も標的に入れると思われることから、目立たない形でもいいからISISを始めとしたイスラムテログループの撲滅活動を支援すべきだと考えます。今度の事件を受けてフランス政府は犯人らを、「人類の敵」と呼んだそうですが、無関係の人間を標的にして自分たちに都合のいい主張をする様を見るだに私もまさにその通りだと思え、日本は無関係だからと無視していいものかと言ったらやはり違うような気がします。既に述べている通り、日本がどのような態度を取ろうが彼らは日本人も狙ってくるだろうと思うからです。

 その上でテロが起きる度に攻撃をするという、米国がアルカイダに対して行った行動を再び繰り返せばいいのかという点についてはやや疑問があります。それについてはちょうどこの前に「中心無きイスラム世界」の記事で述べた通り、如何にしてイスラム教圏でまとめさせるかについてもっと具体的で効果のある施策を取る必要がある気がします。こう言っては何ですが、思想無き連中を片っ端から叩き続けても結局はいたちごっこに陥りかねないからです。彼らテロリストグループはイスラム教の教義を唱えてはいますがそれを真に受ける人間ははっきりいって馬鹿でしかないし、その馬鹿どもを如何に別方向へ誘導させればいいのか、汚い言葉で言いましたが結局はこの点こそが真剣に議論すべき個所だというのが私の意見です。

  追記
 なお中国でこの事件はどう報じられているのか少し調べてみたところ、基本的には日本と同じくトップニュース扱いで被害情報といった現地の事実報道を報じております。また習近平総書記がオランド大統領に見舞い電を出し、テロリズムには断固として反対の立場を取ると言う声明を出したことを新華社が報じています。
 ついでに見つけた記事で、何故か日刊ゲンダイのどうでもいい記事を引用して「安倍首相の次は女性首相就任か?」というくだらない記事ものっけてました。


2015年11月12日木曜日

今年の流行語大賞の候補

 本題と関係ありませんがAmazonでの段ボール箱に関するレビューが本来の用途と全く違った用途で話されてて面白いです。

 それで本題ですが今年の流行語大賞の候補が各メディアで発表されたものの、正直言ってどれを見てもピンとこないものばかりで、もう今年は該当なしでいいんじゃないかと思う低調ぶりでした。まだ流行したなと感じられるのは「爆買い」で、それ以外だとそもそも聞いたことない単語ばかりです、「刀剣女子」ってなんやねん。

 逆に自分の中で今年熱いと持った単語をあげるとすれば、やっぱ「佐野デザイン」と「トートバッグ」の二つです。去年は小保方氏、佐村河内氏、野々村元議員を始めとして大物が多数で田中今年はなかなかニュースな人物が現れなかったところ、佐野研二郎氏が彗星の如く現れて話題をかっさらってきたことからやっぱこの人に関連したキーワードを候補に入れるべきだったんじゃないかと思います。一応、「エンブレム」って単語は入ってるけどこれじゃないような。

 なお今年の自分にあったマイブームを述べると、漫画なら近々レビュー書こうと思っている「ちおちゃんの通学路」、ゲームならPSPの「メタルギアソリッド ピースウォーカー」です。

 ちなみに関連するかやや微妙ですが、先週から左側頭部から左首にかけてやけに鋭い痛みが頻繁に走るようになり、9月に中国人からスチール棒で殴られた箇所とちょうど重なっていたことから後から悪いの来たのかな、治療できるのかななんて思いながら痛みに耐えていました。しかし首を回しても痛みはなく、その一方でことある毎に痛みが走り、左耳の奥もジンジンと痛むので筋肉ではなく神経的な痛みではないかと推測して、何か左半身の神経を痛めるようなことはなかったかと反芻してみたところ、「もしかして、パズドラが原因では?」という結論に至りました。

 というのもパズドラを私は左手でタブレットPCを持ちながら遊んでいますが、この際に左手首を自分に向けて返したままタブレットを支える形になり、なおかつ同じ姿勢を長時間維持することから腕から首にかけて左側の神経に負担を抱え、その結果悼むようになったのではと分析しました。以前にもデータ収録作業でCtrl+CとVを交互に押す作業を続けた際も同じ症状があり、ひとまず対策として机に置いてパズドラをやり始めたらあら不思議、痛みがどんどん緩和していきほぼなくなってきました。
 最近になってパズドラは中国でも遊べるようになり、私もこっちで毎日楽しく遊んでいるわけですが、ちょっとはまりすぎだぞ俺と反省しきりです。でも4日前、覚醒イシス取れてマジ嬉しかった。

2015年11月11日水曜日

ヘイトスピーチは規制すべきか

 結論から言えば「Exactly(その通りでございます)」で、何だったら規制法なんかも用意して逮捕も辞さないくらいの態度を取るべきだと私は考えています。

日本のヘイトスピーチ(Wikipedia)

 昨日は久々に電池切れたのか帰宅から元気なくてブログの更新をサボりましたが、私は一昨日の記事でスポーツ界における過激・差別表現に対する取り組みについて最近話題になった事件を取り上げながら比較的どのチームも真摯に対応しているのではと評しました。その一方で日本社会全体ではどうかというとやや対応が遅れているのではないかと思え、その最たる例と思われるヘイトスピーチに対する法的規制などもこう言ってはなんだが緩すぎる気がすると最後に書きました。

ヘイトスピーチに対する私の所感

 上記リンク先は去年私が書いたヘイトしピーチに対する所見ですが、こうして改めて振り返ってみると、最近「ヘイトスピーチ」という単語を全く聞かなくなったような気がして、なんていうか時代が過ぎるの早すぎじゃねって呟きたくなります。個人的な実感としては「ヘイトスピーチ」に対して「シールズ」が取って代わったような感じじゃないかと思いますが、なんでこういうの毎回横文字なんだろう、三国志っぽく「罵詈雑言」じゃダメなのなどなど考えてしまいます。

 話は本題に戻りますが、ヘイトスピーチに代表される過激・差別表現に対して日本社会はちょっと規制が緩すぎるのではないかという気がしてなりません。以前にフランス帰りの知人から聞いた話だと、特定の民族や団体をターゲットにしたヘイトスピーチなどはフランスでやろうものならすぐ逮捕されるとのことで、フランスに限らずああした発言に対して大概の国は厳しい処置で臨んでいるでしょう。
 日本の場合は一応はマスコミなどでヘイトスピーチ団体への批判は起こってましたが逮捕にまで至ったことは私の知る限りなく、一部が名誉棄損の民事裁判で訴えられた末に賠償判決が下りたくらいです。また現在に至ってもこうした発言を法などによって規制するような議論は出ておらず、恐らく今後も出ないままでしょう。

 こうしたヘイトスピーチに対する法規制の話が出るとヘイトスピーチ団体からは、法規制を行えば表現や政治活動の自由を侵害するなどといった反論が毎回出てきます。しかしこうした反論は私に言わせれば論外であって、自由というのは他者の自由を侵害しない範囲で認められる概念であって、そうした前提を無視した反論は一顧だにする必要はないでしょう。
 このほかヘイトスピーチとそうでない発言を区別する基準が曖昧だから法規制はすべきではないという意見もありました。特に政治絡みだとわかり辛いなどという人が当時結構いましたが、これに関してもそれほど悩む必要はなく、明確な基準はあるのだからそれに従えばいいだけです。その基準というのも前回の記事でも書きましたが、発言目的が社会の改善を目指すのか、特定の団体や人物への憎悪を煽るものなのかという基準です。

 言うまでもなくヘイトスピーチは制度の改革や改善を目的としたものではなく特定の団体や人物への憎悪を煽ることが主目的であって、本人らがいくら政治目的だと主張したとしてもそんなの嘘っぱちだということは明白です。逆にどれだけ強い言葉の主張であっても、政治改革を目的とした発言は政治発言だとしてとらえて規制すべきではないというのが私の立場です。
 ちょっと方向性違うかもしれませんが、そういう意味では2011年に起こったフジテレビ抗議デモはアリだったと考えています。このデモは韓流偏向を批判するもので一部で韓国に対する民族差別的要素があって問題だという声もありましたが、主旨としては偏向報道の是正が第一であるように感じられたし、実際に当時のフジテレビがそう思われても仕方ない報道をしていたとも思います。

 繰り返しになりますが日本社会は未だにこういった差別発言への規制なりが緩いように感じられ、また議論のレベルも低いように感じられます。2020年に東京五輪を控えているだけにもっとこの辺というか政治発言と差別発言の区別が社会全体で明確になるよう対策を取っておくべきではないかと、この前の記事を書きながら思った次第です。

2015年11月9日月曜日

スポーツ界の過激・差別表現に対する取り組み

<日本ハム・空港広告>「アイヌ民族に配慮欠きすべて撤去」(毎日新聞)

 先日、プロ野球の日本ハムファイターズが新千歳空港に「北海道は、開拓者の大地だ。」というコピーを書いた広告を出したところ、北海道アイヌ協会から先住民の歴史を無視したかのような内容だとして抗議を受けました。最初のニュースを見た時点で私としては、北海道自体が明治以降は紛れもなく開拓者がたくさん来た土地でもあるから大きな間違いではないし、日ハム自身もここに球団本拠地を置いて野球ファンを「開拓」したのだからそこまで目くじら立てなくてもいいのではと思いつつ、かといって何が何でも出さなければとこだわるようなコピーでもないが日ハムはどう対応するだろうかと気になっていました。
 最終的に日ハムはこの抗議を聞き入れ、ポスターを撤去して新たにデザインし直すことを決めたのが上記リンク先のニュースです。日ハムは以前にもアイヌ語を広告に取り入れるなどアイヌ民族への配慮を行っていたことも影響したのかもしれませんが、なかなかに素早い決断と対応で、東京五輪の佐野ロゴ問題が無駄に長引いた後だけにこの落とし方は傍から見ていて実に見事だったと思います。なんていうか、すぐ対応したわけで見ていてなんか気持ちいいし。

「ぶちくらせ」応援、14人を無期限入場禁止に(読売新聞)

 この日ハムのポスター問題に限らず、このところスポーツ界において表現の仕方が大きく取り上げられるケースが増えてきているように思います。日ハムとは少し方向性が違いますが、上記のサッカーJ2チームのギラヴァンツ北九州を舞台にしたいわゆる「ぶちくらせ」表現問題も密かに注目していました。
 この問題は一部サポーターが横断幕に地元方言の「ぶちくらせ」という言葉を使うことに対してチームが懸念を示して横断幕の撤去を要請したもののサポーターは拒絶したことから、今回チームは件のサポーター14人を撤去に応じるまで無期限入場禁止にしたのが上記ニュースです。

 こちらの「ぶちくらせ」という言葉は地元の言葉で「倒せ」とか「殴れ」という意味の言葉だそうでサッカーの応援に使うには過激すぎるとチームは考えたそうですが、サポーター側の言い分を報じた記事では地元の方言を使って応援したい、そこまで過激な表現ではないというようなことが書かれていました。
 あくまで私個人の所見ですが、特段違和感を感じなかった先程の日ハムのコピーと違ってやっぱり「ぶちくらせ」って言葉は言われたりするとちょっとドキッとするというか、聞いてて少し怖さを感じます。音的に「ぶっころせ」に近くて同じようなイメージを想起してしまいますし、「打ち倒せ」とかと比べるとどうも過激に聞こえるだけになるべくなら使ってもらいたくないと思えこの件でもギラヴァンツ北九州の対応は間違っていないのではと支持します。

 以上、スポーツ界における過激・差別表現に対する取り組みとして二チームの例を取り上げましたが、やはりスポーツというのはエキサイトしやすいものなだけに表現に対して万全な注意を払う行為が必要だと感じると共に、どちらのチームも比較的熱心かつ真摯に対応してよくやっているなと感心します。恐らくと言っては何ですがこうした対応の背景には昨年J1の浦和レッズで起きた差別横断幕事件も担当者の念頭にあったのではないかと思え、スポーツは日本国内だけではなく世界中のファンが見つめる(可能性のある)舞台で、様々な人種や文化を持つ選手が参加するだけにそのリスク意識も高く持っておく必要があるのでしょう。
 なお浦和レッズの事件に関して述べると、当のサポーターはあれこれ言い訳を述べていましたが、「JANANESE ONLY」なんて差別に使う以外ほかに使いようのない表現で全く以って問題外な行為だったと私には思います。レッズもその試合で初めて掲げられたことから果断に対応出来なかったようで少し同情する気持ちもありますが、さすがにこの件に関しては無観客試合という制裁を受けることになるのも無理ない気がします。

 まとめとして述べると、日本のスポーツ界は一般社会よりもこうした過激・差別表現に対して比較的注意深く対応していると見ていて感じます。逆を言うなら日本社会はこうした問題に対してちょっと対応が鈍いのかなと思える節があるので、続きは次回の記事にて最近あまり聞かなくなったヘイトスピーチについて取り上げます。

2015年11月8日日曜日

漫画レビュー「飯田橋のふたばちゃん」

 先日、冷凍たこ焼き好きの友人から、「これは是非読んだ方がいい」と、イーロン・マスクの本に続いてある漫画を紹介されました。

飯田橋のふたばちゃん(Wikipedia)

 この漫画はどんな漫画家というと、ごくありふれた女子高を舞台にした女子高生四コマ漫画です。ただ一つ他のゆるふわ系四コマと違うのは、登場人物全てが漫画出版社を擬人化したキャラクターであるということです。
 具体的にいうと、主人公のふたばちゃんは双葉社がモチーフになっており良くも悪くも全く特徴のないキャラで、そのほか集英社、講談社、小学館、秋田書店など有名漫画出版社がモチーフで、それぞれが発行する雑誌の性格や連載漫画の特徴をもっているという設定です。こう説明していてもピンとこないでしょうからいくつか特徴をあげると、集英ちゃんは万能でなんでもそつなくこなすがビジネスライクな性格で芽がないと思ったら10回で打ち切ろうとしたり、講談ちゃんはスポ魂な性格で他人の作文課題にもやたら介入しようとし、小学ちゃんは書類や配布物をしょっちゅう紛失するラブコメ体質ののんびり屋さんで、わかる人にはわかるツボを確実に抑えられて作られています。あ、あと秋田書店はヤンキー。

 そうした各キャラの特徴が一番うまく比較できてるネタとして「鳴かぬなら」で始まるホトトギスの俳句をどう読むかというお題があって各キャラがセリフ言うのですが、折角なので下記に引用します。

「根性で鳴かせろホトトギス」(講談ちゃん)
「ゆるりと待とうホトトギス」(小学ちゃん)
「一年半待とう冨が…いやホトトギス」(集英ちゃん)
「タイマンはろうぜホトトギス」(画報ちゃん←少年画報社)
「喰らってしまえホトトギス」(秋田ちゃん)
「平和(ピンフ)狙いだホトトギス」(竹書ちゃん←竹書房、麻雀漫画多いから)

 わからない人にはちょっと厳しいネタですが、よくもまぁ見事に各出版社の特徴を掴んだネタだと読んでて唸らされました。特に麻雀ネタだと竹書房のキャラがスクウェア・エニックスのキャラに対して、「てめぇのファンタジー麻雀に今日は勝つ」というセリフもあったりして、よく無事に出版できたなぁと思えるくらいきわどいネタが飛び交ったりします。
 もっともきわどいネタ関連で言うと各キャラクターの姉妹関連の方がいろいろとヤバかったです。姉妹誌を妹キャラとして出してくるのですが、スクウェア・エニックスに関してはお家騒動で一部編集者と作家が独立したことから「生き別れの姉妹がいる」と描くのはまだいいとしても、秋田書店に至っては「赤い核実験場」と呼ばれる「チャンピオンREDいちご」をモチーフとした「いちごちゃん」という妹キャラが出てきて、都条例関連でしょっちゅう問題起こしているが大丈夫かという問いかけに、「大丈夫ですよ、本番はNGですから」という、わかる人からしたら本当に恐ろしいセリフを吐かせたりしています。

 書評に戻ると、非常に各キャラクターと出版社の特徴をうまく組み合わせてあり正直に面白い漫画だと太鼓判を押せます。難点としては漫画業界の事件やネタに詳しくないとややわかり辛い所があり大衆向けかというとそうではないですが、なるべくネタ元がわかりやすいようにして作者も描いており、ネットで調べるなどすればまだわかる範囲なのでまだ許容できるレベルだとは思います。
 あとコンセプトだけでなく単純に四コマ漫画としてみても良質で、地味にギャグのテンポが素晴らしかったりします。ボケやツッコミの切れが鋭く、なおかつ三コマ目にボケとツッコみのセリフを入れた上で、四コマ目でさらにボケを入れる畳み掛けのような手法がいくつか見受けられ、作者のギャグセンスとコマ回しには文字通り脱帽しました。仮に出版社を擬人化しただけではこれほどの面白さは得られなかったと思うだけに、コンセプトの発想といいこのテンポの良さ一つとっても大した作家だと思えます。

 なお上記にも書いてる通り読んでて大丈夫かと思うくらいきわどい業界ネタが多いのですが、あとがきによるとこれは作者も気にしたものの、普通に出版してくれた双葉社はすげぇと思ったそうです。また作者は双葉社の担当者(「うち妻に出てくる人だ」と作者は言及)から、「体力ないから一発当てたいんだけど」と言われた上で女子高生四コマを提示され、出版社を擬人化することで了解を得たものの、女の子を書くのは苦手で作画は別の人に任せようと捜したところ、「アタシが描く」と言って同じく漫画家の嫁さんが手をあげてくれ、何気に漫画か夫婦の合作だったりします。


  

2015年11月7日土曜日

日本で働く外国人留学生

 先月、横浜の映画館ですいかさんと落ち合った際、映画を見終わり外に出てすいかさんが出てくるのを先に待っていたところなかなか出て来ず、「もう入口におりまっせ」とメールも打ちましたが反応はなく、ほぼすべての観客が出終わっても姿が見えず長い時間経ってやっとこさ出てきたのをちょっと不思議に思ってました。そしたら今日アップされたすいかさんのブログにてその時に何が起こっていたのか、具体的に言えば財布失くしかけて慌てていたという内幕が書かれてありましたが、本人もよっぽど恥ずかしかったのか当日は一切この事実を教えてもらえなかったなぁ( ・ω・)

 そんな財布ネタにかけるわけじゃないですが、この前の記事にも書きましたが以前に日本語を教えていた中国人の男の子が先月、日本への留学に旅立ったところ、着いて早々財布を無くすというポカをやらかしました。メールでその事実を聞くや、「お前海外なめてんじゃねぇぞ!前から遅刻も多いし、注意力をもっとつけろ!」って感じで叱咤する返信を送り、警察などにちゃんと届出するようにと伝えました。その後また聞いてみるとどうやらまだ財布は戻ってきていないようです。

 かといって落ち込んでいられるわけもなく日本での留学生活に向けていろいろと活動しているようで、最近はアルバイトの面接で忙しいと言ってきています(ってか細かいメールを乱発してくるからたまに相手するのに疲れる)。一応中国にいる間も学費や生活費などをある程度貯めてきてはいたものの、日本で留学していくにあたっては現地でアルバイトをしなければ到底お金は足りないため、文字通り死活問題として動いてるようです。
 アルバイト先は工場あたりがいいんじゃないのか、日本語もまだ不十分だしと入ったもののあまり口はなく、結局のところ飲食店が多く、なんか松屋の夜間時間帯になりそうだとさっき書いてきました。一瞬、「それってワンオペ?」って少し頭をよぎりましたが夜間ならそれほど日本語が流暢でなくても務まるのと、時給がいいというメリットがある一方、昼間の授業には影響が出ることは必定です。とはいえ他に選択肢もないだけに、このまま無事決まってほしいと陰ながら祈っております。

 なにもこの中国人元労働者に限らず、アジア諸国からくる留学生はみんな同じ問題を抱えており、同時に日本のサービス業も彼ら留学生という労働力なしではもはや経営は成り立たないでしょう。確かに彼ら外国人留学生に就業の機会を与えることで彼らの費用負担は軽くなりますが、その一方で深夜働きながら勉強もしなければならないという、厳しい環境に置いているのも事実でしょう。
 もっともそんなことを言ったら日本人学生も最近は似たようなものかもしれません。先日日本で会って話をしてきた学生(日本人)によると最近の学生はみんな生活が苦しいのか深夜のアルバイトを率先して選ぶ傾向があるとのことで、そのような学生は授業もやっぱり来ることが少なくなっているそうです。金さえあれば万事解決、となるかもしれませんが、労働力は日本の構造問題だから果たしてそううまくいくのかなんて自分でも疑問に思えてきました。

 またいつもながらまとまりのない記事ですが最後にもう一つだけ付け加えると、上記の中国人労働者とのメールのやり取りの最中、「飲食店に中国人留学生がアルバイトかぁ」って考えたら何故か「アームロック」という単語と、「それ以上いけない」ってセリフが頭をよぎりました。こんなことを思い浮かべる当たり、あの「孤独のグルメ」って漫画は凄い作品だなとつくづく思います。

2015年11月5日木曜日

漫画レビュー「DEATHTOPIA」(一巻のみ)

 最近めっきり書いてませんでしたけど久々に漫画のレビューします。今日書くのは「DEATHTOPIA(デストピア)」という漫画です。

DEATHTOPIA(Wikipedia)

 なんでこの漫画を手に取ったのかというと、なんか刑事物の漫画が読みたいなぁって思ってたのと、この漫画の作者が「エデンの檻」という漫画を書いてた山田恵庸氏だったからです。
 ここだけの話、「エデンの檻」は一度も読んだことはないのですが連載開始当初に起こった、「何がクニだよ、○○○しろオラァァァ」という女性キャラのセリフが大いに世間を騒がせたという事だけは知ってて、てっきりこの騒動の余波受けてすぐ連載切られるのかと思いきや意外や意外に四年以上も続いた人気作となり、あの作者どうしてるんだろう、といっても「エデンの檻」を今から一から読むのもなぁと思っていたところでした。

 そう思っていた矢先に今回取り上げる「デストピア」という新しい漫画を連載していると聞いて、新進の漫画家チェックにもなるしいい機会だからとりあえず一巻だけ買って読んでみようとKindleで購入してみました。読んでみた感想はというと、「二巻以降はもういいや」でした。

 ひとまず簡単にあらすじを紹介すると、ある日事故で一時的に目が見えなくなった主人公は怪我が治るや外見は普通の格好してても、サイコパス的に犯罪係数高そうな人は異様な姿に見えてしまい、まぁ要するに変な人を見分けられるようになりました。そんな主人公を何故だか襲い掛かってくる犯罪係数高そうな人もいて、そしたら公安に所属するという若い女性三人が助けてくれて、今後は主人公も捜査に協力するようにとそのヒロイン三人と何故か共同生活を開始するというのがこの一巻のあらすじです。

 そんなわけで早速感想を述べていきますがこの漫画、絵は小奇麗なのですが作者本人も認めているくらいにストーリーの破綻ぶりというかつまらなさがとにもかくにも目につきます。この一巻単体でとっても二~三話が仮に無くても話が成立してしまうというか、二~三話はなくてもいいじゃんと思うくらいダラダラしたストーリー展開ぶりで、なんでこんなにページはあるのに話が進まないのだろうと読んでてリアルに感じました。
 またストーリー展開の遅さに加え各キャラクターが薄いというか感情移入できないというか、まるでキャラクター性がないのも見ていていろいろとアレでした。特に致命的なのは主人公をハーレム状態にするためヒロインを三人にしたという点で、キャラが三つに分かれてることから個性も見事に三分割になってしまい、誰ひとり印象に残らないほどキャラが異常に薄いです。言い方キツイですが主人公を含めて一巻に出てくるキャラはすべて、少年ジャンプで連載している「銀魂」に一話限りで出てくる脇役よりもキャラが薄いです。

 もちろんまだ始まったばかりの一巻なんだからと擁護すべき点も確かにありますが、それにしたってこれほどペラペラなキャラクターは私の中では近年稀にみるレベルです。濃いキャラクターであればいいわけではないですが、単行本一冊使っておきながら誰一人感情移入できなければ名前すら覚えられないというのは一読者の視点からして問題点に挙げざるを得ません。

 などときついことを書きましたが、個人的にはテコ入れすれば良くなる要素も少なくない作品だとは思っています。上記の指摘も素人の意見であることはわかっていますが、こうしてほしいという改善点として敢えて書くことにしました。
 光っているポイントとしては刑事物に必要なグロ要素を惜しみなく入れている所です。刑事物というのはドンパチやって、重要人物死んでなんぼなところありますし、この辺を意識すればグッとよくなるのではという期待があります。もっとも、グロ要素に作者お得意のエロ要素を入れてエログロ作品を目指している趣向も見えますが、一巻時点ではエロもグロも中途半端で見ていて逆にうんざりさせられることのが多かったけど。なおエログロで言えば私の中だと「GANTZ」が白眉です。

 結論を言うと私が読んでて決して面白いと思う漫画作品ではありません。ならなんで紹介すんねんと言われるかも知れませんが、同じ感想持った人はほかにいないのかなぁという、つまらない映画を見て「あの映画クソだったよなぁ」、「わかるわかる」みたいな掛け合いというか共感をしたいなと少し感じたからで、もし他にこの作品を読んでいる人がおられたら是非コメント欄に書いて行ってください。


2015年11月4日水曜日

タカタはこれからどうなるか

 結論から言えば倒産するリスクもはっきり出て来たのでは、というのが私の見方です。

ホンダ、新モデルでタカタ製エアバッグ使用停止(読売新聞)
タカタ取締役「ホンダの意向は確認していない」 ホンダ開発車種の取引中止で (日経新聞)

 かねてからエアバッグの不良問題で騒がせていた自動車部品メーカー大手のタカタについて今日、タカタの最大顧客で一部出資も受けているホンダが「今後一切タカタ製のエアバッグを使用しない」と発表しました。この発表理由についてホンダは、詳細こそ報じられていませんが報告されたデータに不自然な点というか故意に弄られていた点があったとして、強い不信感をのぞかせるような書かれ方がされています。
 一方、当事者であるタカタはこのホンダの発表を事前に聞かされていなかったようで、日経新聞の記事ではちょうど今日米国政府との和解金について記者会見を開いていており、その席で通知のなかったことを認めています。この点をとっても、ホンダ側のタカタに対する不信感を強く感じます。

日産、8車種を再リコール=エアバッグ異常破裂で(時事通信)

 このホンダの動きにいち早く追随したのが上記の日産です。最初に発覚した運転席側のエアバッグの不具合に続いて助手席側でも日本国内で異常破裂が起こり、乗っていた人が怪我をしたという事故が起こりましたが、これへの対策として既に一度改修が済んでいる車両も含めてもう一度リコールを実施すると発表しました。もちろんこれの一部費用もタカタへ請求が行くでしょうし、ホンダや日産以外も続いていくことでしょう。

 最初に発覚したエアバッグの不具合や米国の制裁金などの経緯についてはこの記事では省略しますが、私見ながらこれまでのタカタの対応というか態度は見ていて疑問を感じずにはいられないものでした。いくつか具体的に述べると、一つには米政府への報告書に数百ページものとんでもなく分厚い報告書を出して委員からは、「報告するつもりというか読ませようという気が感じられない」と駄目だしを喰らいました。多少経験ありますが、いくら何でも不具合対策書で数百ページはいかないだろうなぁと個人的に思います。
 二つに、この不具合に対するタカタの言い分です。言ってはなんですが「米国政府との認識の違い」という言葉が何度も繰り返されており、製品に欠陥があったとは何故か素直に認めようとしてなかったように見え、どこか他人事のように言うなと感じました。でもって米政府唐の再三のリコール実施要求についても、「それは自動車メーカーが決めること」として突っぱね続け、反省する態度は微塵も感じられませんでした。
 最後三つ目ですが、今年の株主総会でこのリコール問題について説明する、報道陣に対しても外部モニターで中継して公開すると事前に発表していましたが、何故か当日になって急遽中止して非公開でやってのけており、普通に「なんで?」と思うような妙な対応を見せています。それにしても、我ながらいやらしく覚えてるなこんなことも。

 総じて述べるとタカタの対応はどれも誠意、危機感に欠けると感じるところが多く、それだけに最近杭打ちでも多いですがデータの偽造が行われていたというホンダの発表を見ても正直、「やってるかもしれない」と思わざるを得ません。
 今回のホンダの発表を受けてタカタの株価は今日、郵政三社の新規上場で市場が盛り上がる中で13.4%もの大幅下落を記録しました。むしろこれまでのタカタの株価は巨大な不具合発覚にも関わらず思ったよりは落ちていなくて友人と共にすごい奇妙に感じており、主要顧客のホンダあたりが買い支えているんじゃないかなどと余計な邪推をしておりましたが、その後ろ盾であるホンダが今回このような行動を取ったことからさすがに今度は落ちるところまで落ちるのではという気がします。

 今後の先行きについても、報道で見ている限りですとタカタのエアバッグインフレーターは他社と比べても独特で、すぐ不具合に対応した製品を作れるかと言ったら難しく、また安全用具であるだけにこれだけのイメージダウンはもはや致命的でシャープと共に「次はあそこか」と見られるには舞台が整ってきたのではと思います。

 最後に余談ですが、これで再びタカタ製エアバッグを搭載した車種の大量リコールが起こると予想されますが、一部の記事で一連のリコールに対応した補修作業で現場はへとへとだという記事が見受けられます。労力的には確かにへとへとでしょうがうちのどうでもいいことをよく知っている親父によると、リコール補修を対応するディーラー点としては作業費を請求することが出来るため、経営的には逆に助かっているという話を聞き、私もそれが事実だと思います。風が吹けば何とやら、不具合が起こればディーラーは助かるといったところでしょうか。

週間ダイヤモンド記事に対する疑問

 先日友人に日本の株価について聞かれた際、「近く郵政株上場があるから確実に今よりは上がるよ」と答えました。そしてやってきた今日この日、続に言う郵政三社が揃って上場を果たし、久々の大型上場ということもあって終値は三社とも売り出し価格を大きく上回りメディアも上々の滑り出しと評しております。
 ただこの郵政上場の前に、少し読んでて気になる記事を見かけておりました。

日本郵政、熱狂なき大型上場の前途多難(週刊ダイヤモンド)

 この記事は郵政三社が上場する前の昨日に配信された記事ですが、読んでもらえばわかるようにどちらかと言えば今回の郵政三社の上場というか先行きに対して不安視するようなトーンで書かれており、上場した所で株価も安定するのかと暗にディスっているようにみえます。もちろん初値はよくても今後株価は安定するかはまだ未知数なのでこういう予想を書くこと自体は問題ありませんが、問題はその記事の書き方で、私個人の視点で言えば随分と恣意的に悪く書いているように感じました。

 具体的にそれはどんな箇所かというと今後の事業の成長性について書かれた部分で、郵便事業は赤字で今後成長するのかと書いてある部分です。確かにこの記述は間違いではないと思うのですが、何故それを三社ひっくるめてここで書くのか、圧倒的な資金力と国のお墨付きを背景にしているゆうちょ銀行とかんぽ生命保険は逆に先行きが明るいのではと思うのですがそれについては一切触れられておらず、ただ景気の良くない郵便事業のみしか取り上げていません。
 言い方は悪いですが上場による完全なる郵政民営化を批判したい目的でもって、結論ありきでこの記事は書かれたのではないかと思う節があります。

 私の考え過ぎならそれでいいのですが、何もこの記事に限らずこのところのダイヤモンドの記事は読んでて疑問符が付くというか、「それはお前の主観でしかないだろう」と思うような記事が非常に多く目立ち、このところネットで見出しを見てもダイヤモンドだとわかると読まないことが増えています。同じ経済誌でも日経BP、東洋経済なんかはどれも読んでてなるほどと思わせるほどいい記事が揃っており、特に東洋経済に至っては、「これが知りたかったんだ!」と、興味に対してベストストライクな記事を数多く見かけ非常に高く評価しています。

 単純に私の好みの差かもしれませんが、ダイヤモンドの記事には強い疑問を持っております。偉そうなことを言える立場ではないですが、もう少し読者を唸らせる記事を見せてもらいたいものです。

2015年11月3日火曜日

B、C級戦犯

 先日、名古屋に左遷された親父に進められて角田房子著の「責任 ラバウルの将軍今村均」という本を読みました。なんでこんな本を進められたのかというとブログで何度も今村均について書いてたのを親父が読んだためですが、自分もこれまで彼のまともな評伝を読んだことがなく、読んでみて今まで知らなかった点や有名なエピソードの背景などについて知ることが出来てそんなに悪くなかったです。

 ただ、この本は作者による入念な取材の上で今村均の人生を描き切っていてそのどれもが見ていて惚れ惚れするほどの見事な取材ぶりなのですが、その中でも特に前半部に描かれているB、C級戦犯について書かれた下りは読んでいて強い衝撃を受けました。
 説明するまでもないかもしれませんがB、C級戦犯とは二次大戦中の日本軍人の中で、捕虜や現地住民に対して虐殺、虐待などの戦争犯罪を犯したとして裁かれた人を指します。日本で戦犯というと基本的には「侵略戦争を拡大させた」という政治的理由で裁かれたA級戦犯のことを指しますが、そのA級戦犯の陰に隠れてこのB、C級戦犯は日本だけでなく東南アジア諸国に設けられた収容所、そして裁判所で刑が執行されており、死刑となった者は千人を超すとまで言われております。

 今村均もこの時に戦犯指定を受けてインドネシアなどの収容所に送られた時期があり、その当時についてもこの本では詳しく開設されているのですが、収容所を管理するオランダ軍の無用な虐待が過剰な労働は日常茶飯事で、また収容所設備もひどいものだったと環境的には最悪だったそうです。ただ今村均はこうした虐待に対して現地責任者に対し毅然と抗議をし続けたので、彼のいた収容所はどこも統率がとれており、逆に彼がいなくなるや再び虐待が始まったなどいうことは多くの証言者の間で一致しております。

 しかしそんな今村均でも死刑判決を受けた旧軍の士官ら戦犯に対しては救う手立てはなく、またそのような死刑判決者は日本に残す遺族らへ遺書を書くことすら許されずに悉く処刑されていったそうです。また死刑とされる判断理由も戦犯裁判であるが故というべきか過分にオランダ軍の報復的要素を含んでおり、出所のわからない情報でありながら捕虜虐殺をしたと訴えられ、実際には無実であったかも知れない死刑判決者も多数いたとされます。有名なものだと、自分たちの食糧すらままならない中で捕虜へなけなしのごぼうを食べさせたところ、「木の根を無理やり食べさせられた」と虐待と見られてしまい、その士官は死刑判決を受けたという話もあります。

 裁判過程も非常に偏ったもので、通訳すら満足に用意してもらえなかったほか有利な証言は悉く否定されたり、また元兵士や日本軍が雇った民間業者といった相手証言の矛盾を突こうにも証言者は最初だけ出廷して後の裁判には出て来ず、無実であるという証明はほとんど通用しなかったとされます。誰かが犠牲にならざるを得ない事態も多く、かの仲間を助けようと複数いる被告の中から自分が行ったと自ら自白することによってほただ一人で刑に服すといった行為も多く見られたそうです。

 このような目で見ると同情に余りあることこの上ないのですが、その一方で作者は、弾劾されるのも仕方のない事例もあったとこの本の中で指摘しています。
 それはどんな事例かというと、日本軍が占領した離島で戦時中、墜落した飛行機に乗っていた米国人兵士二人を駐留していた日本軍の部隊が捕虜とせず、殺害したことがあったそうです。その後、終戦を迎えた後で捕虜殺害がばれるのを恐れたその部隊は何をしたのかというと、民兵の様に日本軍が訓練していた現地住民四百人(二百人だったかもしれない)を口封じのためすべて殺害したそうです。

 元々その島には現地住民がいたのですが戦争が進むにつれて女子供老人はほかの島へ避難させた上で、若い男性たちは島の防衛に使おうとして残した上で訓練を施していました。彼ら島の男性らは米国人殺害を知っていましたが、かといって直前まで日本軍と敵対していたわけでもなく、むしろ互いに協力し合う関係でもあったのに戦犯になることを恐れた日本軍によって全て抹殺されてしまいました。無論こんな人数を殺しておきながらばれないなんてことはなく、戦争が終わったにも関わらず一向に戻ってこないことを不審に思った家族らによって事が明るみとなり、この虐殺を指揮した士官らは懸念した通りに戦犯となってそのまま死刑を受けることとなりました。
 作者はこの事件を取材の過程で伝聞形式で知り、なんとか詳細を確認できないかと思っていたところたまたま知り合った元軍人の人物がこの時の虐殺に関わったと自ら切り出す場面に遭遇します。その場面について作者は文字通りに体が震えたと同時に、本当に事実であったことを確認できたと書き記しております。

 自分もこの辺の下りは読んでいて体の震えを感じましたが、二人殺害したことを隠蔽するため四百人を殺害するという、何故こんな本末転倒なことをと思うと同時に、ここ数年で久々に「狂ってる」という印象をまざまざと感じました。先程も書いた通りにいくつかの戦犯は無実でありながら懲役や死刑に服すなどして同情に余りある一方、本当に処刑されても仕方のない戦犯もいたのだと思え、そして日本はこういった者たちに自ら裁くべきだったのでは、それがないから責任が未だに曖昧なのではと複雑な気持ちにさせられました。

 まとめとなりますが日本では戦犯というとA級戦犯ばかり取り上げられるものの、もっとB、C級戦犯にも目を向け、あの戦争の中で何が起きていたのか、またどのように処分されたのかをもっと検証すべきじゃないかという気がします。戦争というのはマクロではなくミクロな視点が求められると大学で口を酸っぱくして教えられましたが、この本を読んだことによってその点が前以上に強く意識するようなった気がするし、まだまだ勉強が足りないと反省する次第です。


2015年11月2日月曜日

誰のためのハロウィンなのか

 昨夜、友人からスカイプでの文字チャットにて、こんな一言を突き付けられました。

「なにこれ?ハロウィンだからデーモン?」

 この発言の背景を一から説明すると、これまで私はスカイプでのプロフィール画像に漫画「ハンター×ハンター」に出てくるゴレイヌというキャラのイラストを使っていました。顔アップの。なんでこんなの使っていたのかというとこのキャラはお笑いコンビ「ガレッジセール」のゴリがモデル、というかまんまゴリなキャラクターで、見た目にインパクトあるからプロフィール画像に使うと面白いかもと思ったからでした。
 ただそんなゴリ、じゃなくてゴレイヌの画像をこの度使うのをやめ、代わりのプロフィール画像に選んだのはなんとデーモン閣下の顔アップ写真でした。何故こんなのを使おうとしたのかというともちろんハロウィンだからではなく、元々がインパクトある風貌だし百人が百人とも一目見て、「あ、デーモンだ」とわかるからプロフィール画像として使うのにうってつけじゃないかとふと三日くらい前に思いついたからです。反応は上々で、「なんか右下に緊急気象情報らしき映像が映っているんだが」というツッコミと共に歓迎されています。まぁネットで検索して適当に引っ張ってきた画像使ってるしな。

 このままデーモン閣下について細々としたことを語り続けてもいいのですが本題に映ると、先週末はハロウィンということでなんか渋谷で大騒ぎだったと日本のニュースで報じられています。こちら上海でももちろん盛り上がっていたと言いたいところですが日本ほどこのイベントが普及してないこともあってか、一部の西洋風のバーでハロウィンの特別メニューが作られたり、コスプレした人たちがそのバーでくつろいでいる以外は路上で唾吐くおっさんたむろういつもの中国でした。なお上海人といちゃいちゃしながら歩いている最中に見かけた中だと、かなり本格的にマリオとルイージのコスプレしてた人が一番印象的でした。っていうかハロウィンと何も関係ねぇし。

 このハロウィンについてですが、正直に申し上げるとそんなに興味もないし参加したこともないので本場はどうなのか、どんなお祭りなのかについては詳しくありません。そんなどうでもいい告白をした上で一言言わせてもらえば、「これって子供のためのお祭りじゃないの?」ってところです。
 自分が知るハロウィンは子供が仮装して家々を回りながらお菓子をもらうお祭りだと思うのですが、日本のニュースを見ている限りだと子供というよりは大人がコスプレして街へ繰り出すのがメインであるかのように報じられて、私の知ってるハロウィンとなんか違うようなと感じて違和感満杯でした。でもってそんな変な格好した大人が大量に来るもんだから繁華街は交通整理で大変だし、去った後は大量のゴミが残されてえらいこっちゃで、これは誰のためのお祭りなのかという疑問が湧いてしょうがありませんでした。

 元々、このハロウィン自体が商工業関係者が消費を増やすために流行らせたイベントであって間違いないのですが、それにしたって本旨に戻ってもうちょい子供をメインにすべきじゃないのかと思えてなりません。少なくとも、コスプレすることがメインなお祭りになっては本末転倒でしょう。
 それと同時に、やはり日本社会はもうちょっと子供を大事にした方がいい気がします。以前にも書きましたが日本は他国と比べてびっくりするくらい家族関係が希薄で、特に最近は少子化ということもあって子供向けのイベントがなんか減ってきているような気がします。そういう時期だからこそもっと子供を中心においてイベントは盛り上げなければと思うのですが、そんなのってやっぱり自分だけなのかな。

 最後に私の仮装というかコスプレ遍歴を述べると、大学一回生の頃にバイト仲間に誘われてコスプレイベントに参加した際は麦わら帽子かぶるだけでいいからと「ワンピース」のルフィをやりましたが、「意外と筋肉質だから似合っている」と言われてつくづく自分は着やせするタイプだと思いました。
 これともう一つコスプレ経験があり、知ってる人には有名ですが成人式に新撰組の羽織袴着た上に鉢巻撒いて出陣してきました。自分でやりながら、「成人式とコスプレイベントを間違えてるんじゃないのか?」と思いつつ周りから写真撮られたりして、友人からは「マジてやってきたんだ……」と言われたりしてましたが、そんな経験があるからこそ今年のハロウィンに疑問を感じたのでしょう。

2015年11月1日日曜日

上海の新世界大丸百貨店に行ってきた



 昨日は上海に遊びに行って、一泊して、今日昼間に昆山潜伏地へと帰ってきました。上海を訪れたのは友人の上海人に日本で買ってきたお土産(太田胃酸)を渡すためでしたが、待ち合わせ場所に指定された上海体育館(上海スタジアム)で地元上海のサッカーチームである上海上港集団足球俱楽部の監督で前にイギリス代表も率いていたスヴェン・ゴラン・エリクソン氏を見かけたので写真をパチリしてきました。正直サッカーはあまり詳しくないのでこの人がどういう人かわからなかったら、「いいから写真撮っておけ」と上海人に言われて取ったので記念にはっつけておきます。

 エリクソン氏のパパラッチに成功した後は日系ラーメン屋で食事して繁華街の南京路へ行ったのですが、その際に今年5月から正式オープンしている「新世界大丸百貨店」を訪れてみました。ここは日本の大丸百貨店が出資は一切せず、中華系デベロッパーに運営業務などを指導する形で作られた百貨店なのですが、上海一の目抜き通りというか一番人間がごった返す交差点にあるだけあってなかなかもって大きなお店でした。
 でもってその中身も凄かったというか、香港を含む中国のホテルや百貨店は風水を気にする関係から必ずと言っていいほど吹き抜けを設けるのですが、この新世界大丸百貨店では一階から最上階に至るまでとんでもなく幅広い吹き抜けを設けており、よくもまぁ床面積を犠牲にしてまでこれほどの吹き抜けを作ったものだと度肝を抜かされました。しかもその吹き抜けをつなぐエスカレーターも趣向を凝らしており、生憎写真は取ってきていませんがなんと螺旋式の自動エスカレーターとなっており、普通に見ていて「あれ乗ってみたい」と思う設備でした。

 訪れたのは夜遅くだったので既にほとんどのお店が締まっており、ゆっくりお茶することも出来ず結局その晩はホテルで上海人と裂きイカを食べる羽目となったのですが、控え目に言ってもなかなかよくできたデパートで、今後も客入りがかなり期待できるのではないかと思います。テナントも日系ではパッと目についたのがJINSくらいだし、いい感じにコラボ出来ている気がします。

 ちなみに螺旋式エスカレーターで登っている最中、中央にある透明なエレベーターの中でカップルがキスしている所を目撃したので、「なんやあいつら、エレベーターの中でちゅっちゅしとるで」と言ったら上海人が、「僕たちもエレベーターに乗るかい?」と妙な誘いをかけてきました。もちろん乗りませんでしたが、アルコール入ってなかったのにやけにこの晩はテンション高かったな。