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2025年3月10日月曜日

コロナ以上の観光業不況はもう来ない

 前にも書いていたかもしれませんが1月に九州地方を旅行している最中、外国人観光客が明らかに増えているのを見て何気なく旅館の女将に「外国人増えてますが景気はどうですか?」と尋ねたところ、「あのコロナの頃に比べたら……」と、今でもはっきり記憶に残っているくらい悲しそうな顔を浮かべました。コロナ流行期に観光業が大きな打撃を被ったことは報道でもちろん知ってはいましたが、やはり当事者たちからすれば報道以上に苦労を受けていたことは間違いなく、その一端を見たような気がしました。

 もちろん青の頃には政府も対策に動いており、雇用助成金をはじめ多くの支援が行われていました。私は当時、確かにこうした支援は必要ではあるもののやや観光業に偏り過ぎていないか、もっと他の産業にも分配したらどうかという印象を覚えており、確かこのブログにも当時書いていました。しかしこうして当事者の声を聴いてみると、ややちょろいと感じますがやはりあの時に観光業を支えて正解だったのかもと考え直すようになっています。
 少なくともあのコロナ期を日本の観光業が生き残ったおかげで今日の観光産業発展があるわけであり、あの頃の支援というか投資は無駄にはならなかったといえるでしょう。

 その上で今後に関してですが、私はかねてからアトキンソン氏のように日本の観光立国化を進めるべきだと考えており、観光業の強化は今後も必要だと考えています。前回記事でも触れましたが観光業への投資であればマネーの海外流出は起こらない上に、製造業と比べても雇用吸収力が観光業の方が高く、極端なことを言えば技術的素養も必要なくすぐ雇用可能という点でも製造業以上じゃないかとみています。

 ただ製造業と比べると観光業は景気の変動を受けやすいと指摘されます。この点に関しては私も同感で、ちょっと不況や何かしらの事件による風評被害が起こると観光業は確かにダメージを受けやすいです。もっともこの点に関しては製造業にもなくはなく、極端なオンリーワン技術とかなら別ですが、製造業も為替の影響を受けやすく、景気変動の影響を受けないわけじゃないです。
 その上で観光業についてもう少し述べると、少なくともいえることとしては、あのコロナ期以上の不況はよほどのことがない限り今後数十年間は起きないと思います。あのコロナ流行はまさに未曽有の大災害と言ってもいい時期で、あの時期を乗り越えた今の日本の観光業関係者は進撃の巨人で言えばシガンシナ区住民のようだといっても過言ではないでしょう。

 おそらくコロナ期には旅行会社をはじめ多くの観光業関係者が淘汰されたかと思います。ただ結果的には非常に力のある観光業企業のみが生き残っており、だからこそ今現在の観光業の盛り上がりを支えていられるんだと思います。前述の通りコロナみたいな自体はそれこそ戦争でも起きない限り自分の生きている間はもうないと思え、あの時期を乗り越えたんだから景気の変動くらいへっちゃらとまではいかずとも、日本の観光業関係者はきっとまた乗り越えられると信じています。

 その上で今後についていえば、もはや日本国内で観光業の競争が始まっているような状態じゃないかと思います。おみやげ品の開発や流通、宿泊施設のキャパ、誘致できる観光資源など、日本の地域ごとに観光客を奪い合う時代がもはや始まっており、下手に国際競争するより国内競争を通して日本の観光業の実力をさらにスリム化、強化していく必要があるでしょう。

 個人的な経験で述べると、今回回った九州はどこも地元名産はいい具合にお土産製品化しており、そのあと関西に行ってお土産屋を見てもこれはと思うパッケージや製品をあまり見ませんでした。地味に九州の人たちはお土産開発能力が高いように見え、ほかの地域も九州の人のように創意工夫して商品開発力をつけていくべきじゃないかと思います。
 っていうか熊本が何でもかんでもくまモンつけてお土産作るのはずるいと思った(´・ω・)

2025年3月9日日曜日

観光産業勃興によって初めて活きるゼロ金利政策

 自分でも思うところありますがほぼ常に何かしら考えていて、歩いている最中も本当にどうでもいいことを何か考えてたりします。先日もそんな感じでエスカレーター乗ってる最中に、「そうだ、観光産業が盛り上がってきたからこそ今日本でゼロ金利が効くようになったんだ」と思いつきました。

 かつてこのブログで私は、平成期にゼロ金利政策が行われながら実質的に日本国内の経済循環というか投資促成にはあまり効果を果たさなかったと主張しました。というのも平成中期から日系企業、特に製造業は中国をはじめとする国々への海外進出を重視するようになった、というより日本国内市場が成長しないので日本国内には投資せず、ゼロ金利で得た融資の大半を海外に投資していました。
 そのためゼロ金利で企業は確かに融資を受けるものの、受けた融資は国内には流れず、ほかの国に投資されて現地での雇用拡大にしかつながらなかったという見方です。まぁその投資で得たリターンこと配当金は日本本社に回ってくるので全くのマイナスというわけではないですが、そうして得た配当金も大体ほかの国の投資に使われてたでしょうが。

 以上の分析からゼロ金利政策はグローバル化された現代においては景気浮揚に対しあまり効果がないのではと考えていたのですが、これは日本経済が製造業中心だったからこそ起こった話で、そうじゃなければ効果あるのかなと最近思うようになってきまいた。何が言いたいのかというと現在、日本の主力産業はマジで転換しつつあり、観光産業がかなり大きなウェイトを占めるようになってきています。
 さすがに自動車産業にはまだ追いついていませんが、エレキと比べるならあっちは全く成長性がないのに対し、観光産業はまだ成長性もあるうえ、雇用吸収力も絶対的に高いことから、もはやエレキ以上に観光産業は日本にとって重要だと考えます。

 その上で先ほどの話に戻りますが、製造業と違い、観光産業の投資対象は日本国内にほぼ限定されます。海外への投資に使うとしたら現地旅行代理店などの拠点くらいなもので、9割以上は宿泊施設や運送手段などの整備に使われ、それがそのまま雇用拡大にもつながります。その点で言えば、投資を促すためのゼロ金利政策が日本国内へダイレクトに使われる意味でも、観光産業が盛り上がってきた今になって初めて効くようになったように感じます。
 これは逆を言えば、景気拡大をする上ではやはり国内にどれだけ投資を起こすかが重要で、先ほども書いたように海外進出というか海外に投資が使われる産業を応援してもあまり意味がないのかもしれません。先ほど書いたように確かに配当金収入は手に入りますが、少なくとも海外投資では雇用拡大にはつながらず、失業者対策には効果がないどころか、今の自動車産業のように国内産業の空洞化を招くかもしれません。

 言いたいことをまとめると、金利優遇政策は国内投資に限定させること、または観光業のように国内にしか投資できない産業に限定させる方がいいかもしれません。観光業以外だとインフラなど建設産業もありますが、こっちは外貨獲得には貢献しないため、優先度で言えばやっぱここでも観光業となるかもしれません。
 もっとも観光業は景気の影響を受けやすいというデメリットがあるという人もいるかもしれませんが、この点についても思うところがあるのでまた次回にでも。

2025年3月6日木曜日

トランプ関税で今年も世界的にインフレか?


 セールだったので地球防衛軍5を買ってしまい、めちゃくちゃ時間を取られてしまっています。上の画像はタイヤが宙に浮き始めたため無駄にキャプチャーしました。
 ちなみにプレイヤー名は「コシノ泥田坊」で、なぜこうなったのか、それは誰にもわからない……。

 話は本題ですが結論から書くと今年も日本では物価上昇が続く、というより世界的インフレが再び加速され、かなりの物価上昇になるのではと考えています。それもこれもトランプ関税です。

 決してこの方面に造詣が深いというわけじゃないですが、米国のトランプ政権はのべつまくなく関税引き上げを表明しており、すでに一部品目で米国内の物価上昇が始まっていると聞きます。仮に中国のみをターゲットにした関税引き上げとかだったら話は別ですが、米国に入ってくるあらゆる品目に関税を引き上げるとしたら、引き上げた関税の分だけ価格が上乗せされることとなり、それがそのまま物価上昇へとつながるのではないかと思います。
 仮に米国が関税を引き上げた品目を自国内で生産できるようになるなら話は別ですが、実際にそんなの短期間でできるわけないし、そもそも自国で安価に調達できないからこそ輸入するわけであり、自国内で調達できるようになったとしても輸入していた頃よりは確実に価格は上昇するでしょう。

 またこうしたトランプ関税に対し、すでに中国がやっているように報復関税を採る国もこれからどんどん出てくるでしょう。二つの国の間で双方ともに関税を引き上げるとしたら、両国で流通する商品の価格が互いに上昇することとなるわけで、これはそのまんま物価上昇となるわけです。得するのは関税を徴収する税関こと政府くらいでしょう。

 またこうした関税の報復合戦によって物価が上昇するとなると、恐らく多くの国でインフレ抑制策を取らざるを得なくなります。去年前半のように世界各国でインフレ抑制のために政策金利を引き上げることとなり、投資意欲の低下のみならず株式市場も株価低迷へと至るかもしれません。同時に為替も大きく変動することとなり、円安となるか円高となるかはまだ未知数ですが、政府の対応によっては大きく振れるかもしれません。
 それだけに、最高値を更新し続けている金の価格はさらに上昇する確率が高いとみています。

 あえてプラスな点について言及すると、トランプ政権は日本に対し為替誘導という非難をもうやってきたそうですが、今後世界的インフレを迎えた後なら、「為替がおかしいのはあんたの国の関税政策のせい」と言い返す余地が出てくると思います。少なくとも米国は今後激しいインフレになり、ドル安に至る可能性も高いと思うので、日本円ではなくドルの問題で米国に是正をするようむしろ日本が追及できる立場になるんじゃないかと楽観的に見ています。

 以上を踏まえた上で述べると、今年いっぱいは住宅など高額な買い物は控えたほうがいいんじゃないかなというのが自分の意見です。まぁ勝手な予想なので外れる可能性も高いっちゃ高いですが。

2025年2月13日木曜日

日産、ホンダの統合破談について

 特に書くこともないのでこちらの話題に触れますが、まぁ結果的に良かったかと思いますホンダにとって。末期症状を呈している日産に比べ、経営がやや迷走気味ではあるもののホンダはまだ売れる車もあれば経営も維持しており、溺れる日産を拾う理由はほとんどありません。

 そもそも今回の統合話はホンダも嫌がっていれば日産も「対等なら考えてやる( ・´ー・`)」などと無駄に上から目線で、双方ともに率先してという態度はありませんでした。一部でも言われている通り、苦境にあえぐ日産を救済してやれと経産省あたりがホンダに働きかけたのが背景だと私も思います。

 今現在で問題なのはやはり今後の日産でしょう。日本国内はもとよりこれまでの収益の柱だった中国市場も、EV普及によって日産のシェアはこのところ激落ちくんとなっています。またEVや水素自動車などの次世代車はもとより、ハイブリッド車や従来燃料車ですらさしたる技術力がなく、むしろ子会社同然な三菱の方が軽自動車の開発力に分があるような状態です。こんな自動車会社ともなると買おうとするところがあるのかと言いたくなる状態です。

 実際に先日うちの親父とも仮に車種単位で切り売りできる分野があるか話したのですが、現行のR35GTRですら陳腐化が激しく、フェアレディZに至っては詐欺的な売り方をしており、敢えて言えば20年以上前に発売したR34GTRの意匠権とかならまだ買いたいというありさまでした。一部でも言われていますがかつてはキューブのような、それこそ今のN-BOXがコンセプトを受け継いでいるようないい車もありましたが、この10年くらいで日産でほしい車はマジで見当たりません。

 では今後日産はどうなるのか。正直言って日本国内はホンダ、三菱を除けばすでにトヨタの息がかかっているというかトヨタ陣営と言ってよく、今回のホンダの破断で提携先は日本国内にはもはやありません。では海外はどうかというとまだ5年くらい前なら中国自動車メーカーも動いたかもと思う節がありますが、現状に至っては中国も大半の自動車メーカーは息切れしており、新興EVメーカーも今更日産を買おうという酔狂なところは現れないでしょう。

 欧米メーカーに至ってはさらに状況が深刻で、VWのように下手すりゃ日産以上に厳しい状態にある会社ばかりで、今更日産と手を組みたがるところは見当たりません。現提携相手のルノーですら、内心日産の株を売りたがっているのではと思う節すらあるし。
 以上を踏まえると、なんだかんだ言いつつゴーンはいいタイミングで日産を脱出したなという感すらあります。あのままCEOを続けていれば彼の経歴に傷がついたでしょうし、退職金も得られなかったかもしれません。

2025年2月8日土曜日

完全に逆転した日中のデパート人出

 前回記事で書きそびれましたが先週訪れた大阪梅田の阪急デパートですが、平日にもかかわらず大賑わいな人出で密かに驚いていました。ここに限らず大阪周辺ではドコモ人でごった返していて傍目にも景気が良く、万博準備の影響かもしれませんが東京以上に景気がいいように感じました。

 話は阪急デパートになりますが、ここに限らずこの1ヶ月デパートやショッピングモールなどの商業施設ではどこも人で溢れていて、密かに驚いていました。平日昼間でも喫茶店では主婦層らしき女性らによって満席でなかなか座れず、販売店の方でも多くの人で賑わい、一体何故これほど客が来ているのに日本人は好景気だといわないのかが余計不思議に感じました。
 それと同時に十年前と完全に逆転したというか、日中で商業施設、特にデパートの人の入りようが現在また正反対になっているということも痛感しました。具体的には、現在中国のデパートではあまりにも客が来ず、閑古鳥が鳴いて閉鎖するところも少なくありません。

 十年前であればこの状況は逆で、日本はまだ中国人の爆買いブームが起こる前でどこのデパートも売上の落ち込みが続いており、「消えゆく業界」などと語られていました。反対に中国は経済成長を追い風にデパート、ショッピングモールともにどこも大賑わいで、私も十年前に日本のデパートを訪れた際はこんなにも人がいないものかと中国とのギャップに驚いていました。

 しかし現在はその状況は完全に逆転しています。外国人観光客も多いとはいえ前述の阪急デパートでは日本人客も少なくない、というより大半を占めており、下手な観光地よりは中国語などの外国語はあまり耳にしませんでした。
 ちなみにその前々日に訪れた奈良で利用したタクシーの運転手は、「今日の奈良公園は絶対日本人より外国人のが多かった」と話していました。

 話を戻すと、以上のように活況を呈す日本と違って中国では、比較的建設から日が浅いショッピングモールはまだ別ながら、古くなったショッピングモールやデパートではマジで人が来なくなり、テナントが入らず空いたスペースがあちこちにあって目立ち続けています。こうした状況は中国の近年における不景気も大きいでしょうが、それ以上に要因としてでかいように思うものとして、異常に発達してしまったネット通販ことECショッピングの影響があると睨んでいます。

 日本でもECはもはや一般的で、二十年前と比べるなら利用したことない人はもはやほとんどいないといっても過言ではありません。しかし中国では日本以上にECが発達しており、送料も消費者負担はほぼゼロという手軽さもあり、マッチ一本買うのにもネットを使って自分でお店に買いに行かないという人も珍しくありません。
 ちなみに私がネットで買うのはUSBハブなどPC周辺機器が一番多いです。日本だと2000円以上はするUSBハブが中国だと500円くらいで気軽に買えるのと、あんまり場所取らず収集できることから同じ機能の周辺機器を何故かやたらと買い込んでいます。

 また話を戻すと、何となくこの以上に発達したEC社会によって、中国の実体小売はもはや成り立たないくらいにまで苦境に追いやられているのではないかというように見えます。商品だけでなく食材や調理済み料理まで中国はスマホ一本で注文でき、お店へ行って買い物するという人がマジで日本と比べると少ないです。それこそ、いろんなお店を回って商品を吟味するような人となるとレアキャラとなってくるでしょう。

 日本のデパートが現在のように今後も活況を呈するかはまだわかりませんが、中国に関しては今後もずっとデパートには人が戻ってこないような気すらします。そう考えると、中国政府は個人消費を促すため現在あれこれと手を打っていますが、それらの政策はECの異常発達によってあまり奏功しない可能性があります。それ以前に、個人消費がネットに集中し過ぎて外出→電車→商品購入→外食などといった外出によって連鎖的に生まれる消費も発生しづらくなっているかもしれません。まぁ昔の日本もデパートに人いなかったんだから、あまり人のこと言えませんが。

2025年2月6日木曜日

統計情報を報じようとしない日系メディア

名目賃金は28年ぶり高水準、所得環境の改善続き日銀正常化を後押し(ブルームバーグ)

 昨日何気なく、中国の検索エンジンの百度で「日本」というワードでニュース検索したところ出てきたのが、上の記事でした。記事内容を引用すると、2024年12月単月の名目賃金上昇率は1997年以来28年ぶりとなる4.8%増という高水準を記録したとのことで、市場予想(3.8%)を上回っただけでなく、実質上昇率も0.6%増を記録し、着実にデフレから脱却しつつある傾向が報告されています。ただこれはブルームバーグの記事であり、日系メディアはほとんど報じていません。
 近い報道としては、下の読売の記事だと思います。もっともこっちは年率データに重きを置いているけど。ちなみに賃金上昇率に関しては、年単位の前年比データより月単位の前年同月比データの方が重要であることは常識だと、私は思うのですが……。


 この賃金上昇率のデータは少なくとも、テレビメディアでは全く取り上げられていなかったような気がします。寒波のニュースがトップに来るのはまだわかりますが、それでも二番目くらいにこの賃金データも取り上げられるべき重要度だと私は思うし、中国では実際それくらいの扱いなのですが、何故だか日本では取り上げられません。
 もっともこれに限らず、統計に関するニュースは何故だかほとんど日本では報じられません。冒頭に書いているように私は今回のニュースを中国の報道で初めて目にしており、なぜこんな重要な情報を日系メディアが大きく報じようとしないのか、いろいろ暗澹たる気持ちにさせられます。


 ただ統計データの中でも、上のリンク記事のように倒産件数だけはほぼ毎月目にします。上の記事のようにこの半年くらいの倒産件数は毎月「大幅増」という見出しとともに報じられているのですが、私は逆に何故このデータしか報じないのかといつも疑問に思っています。
 それは何故かというと、企業の倒産件数は増えているのに失業者は減っているからです。


 上は統計局の雇用・失業率データですが、このところ失業率は右肩下がりに減っており、2024年12月も前月比0.1ポイント減の2.4%と好調な数字を見せています。
 当然ながら企業が倒産すれば一人社長企業を除き失業者が発生します。なので企業倒産件数が増えていれば失業者が世にあふれるはずなのにさにあらず、是は如何にという話になってくるのですが、私が見る限り日系メディアでこの両データを組み合わせて言及している人はまだ見たことがありません。

 結論から言えば、「倒産によって発生する失業者数<既存企業の新規採用数」という構図が今の状況です。言うまでもなくこれは好景気であることを示すサイクルで、効率の悪い企業が市場から淘汰され、より効率のいい企業へ労働者が移っているともいえるかと思います。このサイクルが続けば経済的にも非常にプラスであるだけに、倒産件数が増えているということは別に何の懸念でもないでしょう。

 しかし倒産件数のニュースはほぼ毎月見るものの、失業率というか雇用統計については自分がこうして統計局行かないと見ることができませんでした。以前からも同じようなことを話していますが、何故日本のメディアはこれほどまでに重要な経済統計をあまり報じようとしないのか、また複数のデータを組み合わせて分析しようとしないのか、10年前から何も変わっていません。
 経済というのは市井の声も大事ですがそれ以上に統計の方が先を見るうえでもっと重要です。にもかかわらず適当な街角の反応で「物価が高くて辛い」などと念仏のようなインタビューばかり報じ続け、今回私が日本にいる間に「日本は今好景気だ」と言っている人は誰もおらず、私一人でさながら狂人のごとく唱え続けるばかりでした。先の失業率のデータを前にして、何故日本が今好景気だと誰も言わないのかと話しててこっちが気が狂いそうです。

 愚痴っていてもしょうがないですが、もう少し日本人は科学的、客観的に世の中を見るというか考える人間が増えてほしいです。印象論だけで議論しても意味なぞないのだし。

2025年1月22日水曜日

日本と中国の外食物価

 先日、うちのソ連人民の敵である親父が急に「揚州商人に行きたい」と言い出したのでそこに食べに行きましたが、二人でラーメンと餃子諸々を頼んでお会計は3000円強でした。私のかつての感覚だと、このクラスの飲食店で二人で食べた場合は大体1600円程度で済み、このところ物価が上がっているというのを考慮しても2000円台くらいで終わるだろうと見込んでいたのですがそれをあっさり超えて、確かに日本の物価は上がっているなと感じます。

 この揚州商人に限らずとも、やや古い私の日本での金銭感覚における想定を、どの外食店でも上回ってきています。石油だけじゃなくお米やキャベツの値段も上がっているというのだから当然ですが、改めて日本の物価高騰を実感します。

 ちなみに中国では一人当たりのランチセット金額は大体50元(約1000円)前後が多く、それにシェアするおかずを頼むとしたら20~25元(約400~500円)位追加となり、二人で以上を合算すると125元(約2500円)位というのが相場です。そのためなんとなく今の日本は上海よりも外食費用が大きいと感じるほどで、これは過去10年間にはなかった感覚です。むしろ日本は外食費用が安く、スーパーやコンビニでお弁当買ったら比較にならないくらい安いとすらかつては思えただけに、ようやくこの手の価格が上海を追い抜いたのではとも見ています。

 なお外食費用以外についても少し触れると、去年も似たようなこと買いた気がしますが電化製品、特にPC周辺機器の値段が日本は異常に高い気がします。電子レンジとかだと中国では500元(約10000円)超えるのはあんま見ないのですが日本はそんなのがたくさんあります。また私も大好きなUSBハブとかが5000円とかで売られていますが、中国では同等の製品が大体150元(約3000円)位で売られています。

 恐らくですがUSBハブなんかはバッファローやエレコムは自社で生産せず、OEMメーカーに委託した作ってもらった製品を自社ブランドつけて売ってるはずです。生産元は中国のUGREE(绿联)とかじゃないと思え、実際にパッケージ見ても生産元とか原産地は書いてありませんでした。
 ぶっちゃけこの手のUSBハブの原価なんてたかが知れてて、それらを踏まえるとなんで日系企業はこんな大したことのない製品にこれほどまでの高い金額で売れるのかが疑問に思えてなりません。マジで中国から輸入したほうが運送費込みでも安くつくと思えるような値段設定で、自分がこの手の輸入販売業者やろうかなとすら思えるほどです。

 買う人あんまいないからかもしれないけど、なんか日本はPCサプライパーツ市場がゆがんでいるように思えてなりません。中国企業とかもっと直販してくれないだろうか。

2025年1月13日月曜日

日本製品の敗因は突き詰めると中抜き?

 人知れずまた日本に滞在していますが、昨日行った唐沢山城は城跡というより猫カフェでした。知ってる人には早いけどあそこは名うての猫スポットで、神主さん家族に育てられている猫がたくさん放し飼いされてて、売店でチュールを売るなど特化されています。実際、知っちゃ子連れで猫と戯れている家族が多かった。

 話は本題ですがこれまで何度もこのブログで私は主に家電を中心に、中国製品に日本製品が負けて言った理由について語ってきました。主な敗因としては消費者目線のマーケティング視点が欠けていたことや、「所詮は中国製品」と相手を舐めてかかった日本人の傲りなどを挙げてきましたが、ここに来てもう一点、というか突き詰めた場合は単純に中抜きが大きいせいで価格競争力がなかったのではないかと思うように至りました。

 何故このように思うのかというと非常にシンプルに言えば、同じ種類の製品を同じ中国、場合によってはOEMメーカーまで同じでありながら、価格は日本製品の方が中国製品より高かったからです。この価格差はブランド力と表現することも可能っちゃ可能ですが、その後市場から日本製品が淘汰されたことを考えるとある程度ブランド力は無視していい気がします。
 その上で述べると、パソコンや携帯電話などのハイテク家電品は2000年代後半は自社工場で作る日系メーカーはもはや少なくなっており、鴻海を中心とするOEMメーカーに生産を委託していました。鴻海は中国の深圳で主に製品を作っており、彼らは別の中国メーカーからも注文を受けて作っていましたが、にもかかわらず前述の通り日本製品は中国製品より値段が高かったです。

 それでも日本製品が売れるのなら話は別ですが実際にはその後売れなくなっていったにもかかわらず、この価格差は続きました。一体何故売れない製品の値段を下げれなかったのか、これを突き詰めると主に流通プロセスにおける中抜き、具体的には系列代理店などに利益を持たせるいわゆる中抜きをするために価格が上ずれていったように思えます。また流通過程と言わずとも、メーカー企業の中で不要な管理職などの人件費が存在しており、その人件費が最終的に乗っかる形でこちらでもまた価格が上昇していったのではないかと思うわけです。

 仮にその乗っかる人件費を発生される人員がその製品やサービスに貢献しているのならまだ話は別ですが、私が見る限り実際にはそうではなく、もはや会社に対し価値をもたらしていない、または人件費に対して貢献価値が低い人の人件費がかなり乗っていたのではないかという風に思えます。それらも広義での中抜きというならば、中国製品に対する日本製品の価格競争のなさは中抜きに集約されるのではないかというのが自分の見方です。

 なおこの中抜き構造の弊害は多分現在も続いているでしょう。会社への貢献価値で見て重荷となっている人間や関係会社の数が日本は異様に多い気がします。企業単位ではなく商品の流通フローというかサプライチェーン全体で、それこそ業界を挙げて中抜きを排除する姿勢を出さなければどんどん経済も悪くなっていくのではないかと密かに危惧しています。

2025年1月5日日曜日

日本の恐ろしくいい加減な個人信用管理

 先月にも記事を書きましたが、このところ一般電子書籍の購入ですらVISA、MASTERカードが手を引くようになってきたためJCBカードを作ろうとしたところ、決済滞納とか一度もしたことないのに海外在住で海外企業に勤めていることから一切カードが作れない状態となっています。何故海外勤務だとカードが作れないのかと言えば、単純に彼らの信用管理データベースに海外企業が含まれていないためで、それこそAppleとかNVIDEAとかの超優良な米国法人に勤めている人も恐らく私と同じような状態になるかと思います。

 このように、日本の個人信用管理においては基本的に過去の決済滞納記録と勤務先情報が核、というかそれしか考慮されません。日常での決済や年収、保有資産額などは高級カードを作る場合を除き省みられず、上記のようにデータベースに情報がなければ即失格扱いです。なんやねんと言いたいです。
 その一方で大学生なんかは囲い込むため、ほぼ無条件でカードが作れます。生計手段もないのに学生にはカードを作るというあたりでダブスタ的な疑問を覚えたりします。また勤務先情報に関しても、カードを作った直後に退職してもその後のカード使用には滞納とか起こさなければ全く問題なく、またその確認手段も名刺やホームページとかで、ぶっちゃけ名刺偽造したらどうにでもなるんじゃないのと言いたくなります。極端な話、過去に勤めた職場の名刺でも行けそうだし、知り合いの会社に口裏合わせるという手段だって行けるでしょう。

 以上を踏まえると日本の個人信用管理はかなりいい加減というか自分からすれば意味不明です。これなら納税証憑とか、預貯金残高証憑を見せたりする方がずっと健全です。というより、勤務先に全信用管理を傾けるというのもかなり時代遅れな気がします。
 そもそも貸し倒れリスクを懸念するというのなら、限度額をもっと制限すればいいだけの話です。具体的には与信額を月10万円程度にすれば、3ヶ月滞納してもわずか30万円のロスで損切りすることができます。むしろそうやって少額の与信枠でカードを作り、その後の決済記録の安定度や契約期間の長さを見ながら徐々に与信枠を上げるような制度にする、言い換えると、カード決済に使えば使うほど与信枠が広がるという方が、カードの使用率や使用回数も高まってクレジットカード会社にとってもメリットがあるように思えてなりません。何故やらない(´・ω・)

 というか私はクレジットカードの与信枠が欲しいわけではなく、決済機能が欲しいだけです。極端なこと言えば与信枠なんてゼロでも構わず、預金残高が決済限度枠となるデビットカードでもいいのでオンライン決済に使えるカードなりシステムをくれと正月なので黒部の太陽に向かって言いたいです。
 この点、中国では現在クレジットカードの新規発行が難しくはなっているのですが、オンライン決済においてはWeChatやAlipayなどのアプリを使ったQRコード決済ができる、というよりむしろこれらが主流なため、何も困りません。

 つまり何が言いたいのかというと、日本はもっとオンラインショッピングサイトで気軽にQRコード決済ができるような体制を作れと言いたいです。この体制さえ作れば日本の資金が海外のクレジットカード会社に流通することなく、日本国内で循環するようになります。国策的にシステム構築をしてもいいと思える内容だし、ナカヌキ限度額も作ったら商工業者も大助かりでしょう。何故やらない(´・ω・)
 もっともこれが仮に普及したら、海外のクレジットカード会社はおろか、JCBも打撃を受けることになるかもしれません。でもまぁあいつら日本語通じないし、まぁいいか(੭ु´・ω・`)੭ु⁾⁾

2024年12月27日金曜日

自動車業界の巨星こと鈴木修の逝去

 リンクは貼りませんが各種報道でも大きく扱われているように、自動車大手スズキの元会長で相談役であった鈴木修が亡くなられたそうです。彼についてはこれまでもこのブログで何度も取り上げてきましたが、経営において重要な場面において悉く成功に至る決断を下しており、あまり認知されていませんが日本自動車市場においてトヨタに次ぐ第2位のシェアを持つに至るまでスズキを大きくさせた立役者です。文字通り日本自動車業界の最長老とも言うべき人間で、また一つの時代が終わったことを強く感じさせられます。

 鈴木修の好決断を挙げれば切りがないですが、まず第一にあげられるのは現在も納車2年待ちはざらと言われるジムニーの買取でしょう。知ってる人には早いですがジムニーの設計ははスズキではなくホープ自動車で、この会社が自動車事業を撤退する際にジムニーの権利売却を図ったところ、車内全員が大反対する中で鈴木修が「婿養子の分際で」などと言われながら買取を決断したと言われます。それが半世紀近くも世界中で売れ続けるベストセラー車となりスズキの顔となるのだからまたすごいものです。

 また会社経営においてはやはりVWとの提携解消でしょう。対等な提携という約束だったのにスズキに対する支配を強めようとし、挙句には自慢のクリーンディーゼルエンジン技術も一切共有しようとしない態度を見て、会社規模では大きく劣るにもかかわらず提携解消を申し出たところ、VWのディーゼル不正が明るみとなり、提携解消手続きが遅れれば巻き添えで株価下落に遭うところでした。
 多くの人が指摘している通り、鈴木修はVWにディーゼルエンジン技術はないと見抜いてこの提携解消に動いたとされています。その眼力もさることながらこれだけ自動車技術に精通した経営者はこれまでいなかったともいわれます。

 そんな鈴木修の一般的ではないエピソードとして過去にこのブログでも書きましたが、静岡県内の自動車サプライヤーに勤める知り合いがある年の年初の挨拶にスズキへ伺い、その時に初めて鈴木修とあったそうです。その翌年も機会があったところから訪問したところ、顔を合わすなり知り合いの名前をいい当てたそうで、たった一回の顔合わせで相手の顔と名前を完璧に覚える人物だったそうです。
 実際この知り合いも、今まで見てきた経営者の中で図抜けた存在だったと恐懼していました。

 そんなカリスマが亡くなったことでこれからのスズキはどうなるのか、と言いたいところですが、恐らく今後もスズキが大きく揺らぐことはないでしょう。というのも事業継承はすでに果たされており、またこれからの時代にスズキが一人でやっていくことは難しいと考えていたのか、すでにトヨタとの提携を深めその経営においてトヨタの支えをしっかり備えさせています。
 トヨタ側も元から創業家同士で仲が良かったこともあり、スズキに対する信頼は人一倍強いように見え、急に身代が傾くことはまずもってないでしょう。


 最後に上の記事において

「また、アルトの名前の由来は、イタリア語の『秀でた』という意味だった。これを鈴木氏は発表会見で『あるときはレジャーに、あるときは通勤に、またあるときは買い物に使える、〝あると〟便利なくるま』とアドリブで説明。一連の鈴木氏のひらめきがアルトのヒットにつながったとみる向きもある。」

 という話が載せられていますがこれを見て、初代スイフトのテレビCMのキャッチコピーの「泣く子も黙る79万円」は、もしかしてこの人が考えたんじゃないのかという疑いがもたげてきました。だとしたら相当な親父ギャグ使いだったことになるな(;´・ω・)

2024年12月24日火曜日

日本語が通じないJCB社員

 知ってる人には早いでしょうが、DMMなどアダルト商品を取り扱うオンラインショッピングサイトにおいて、VISAやMASTERといった外資系カード会社のクレジットカード決済が行えなくなりました。私は別にアダルト商品を買ってるわけではないですが、電子書籍はDMMで普段から購入しているだけに、この決済妨害によって難儀する羽目となっています。
 っていうかDMMはアダルト部門にFANZAという別のブランド作ってサイトページも分けたりしましたが、全く無意味な行為として終わってます。

 一応、直接決済するのではなくDMMポイントをクレジットカードで購入してからポイントで決済するやり方なら今でも通じて、私もこれで書籍を購入して読んでいますが、やはり以前のようにクレジットでワンクリック決済する方が手軽で楽なだけに、今後完全に決済サービスを打ち切ってくる可能性もあると思い、尚も決済サービスを提供してくれているJCBのカードを作ってこれからこっちで決済しようかなと検討していました。
 ただJCBのカードを作るにあたって問題となるのが、地味に審査です。というのも私は現在上海に居住していて、勤務先も中国企業です。規模で言えばJCBなんかとは比べ物にならないくらいでかい組織だしブランド力もJCBより上ですが、基本的にクレジットカードの審査では国外企業は一切信用できない対象として扱われ、審査ではねられるということを聞いています。今私がいる組織よりも、日本国内のブラック企業で働いている人の方がクレジットカード会社的には信用が高いそうです。

 ぶっちゃけこの辺、カード会社の信用調査は全く裏付けがないし、カード作った後にすぐ会社辞めても作られたカードはそのまま使える点とか色々おかしいという気がしてなりません。

 話を戻すと、以上のようなかなりハンディのある状況ですがネットで調べたらJCBに直接問い合わせて、海外居住でもカードが作れるという確認をした人の記事が見当たりました。ちょうど来月からまた日本に行くのでワンチャンでチャレンジにかけてみようと思い、まずJCBのサイト上でカード申請をしてみることとしました。
 結論から言えばこの方法ではやはりだめでした。入力画面で勤務先はとやかく聞かれなかったものの、連動する銀行口座の登録住所が海外住所になっているため銀行側のシステムで「未対応です」的に弾かれました。何年この口座使ってて、数百万単位の預金額入れてんだよという気がしますが。

 ならば直接ウェブサイト上からではなく別の書類提出などの手続きで、JCBカードを作ることはできないものか。この点を確かめるため問い合わせフォームに下記質問を入れてみました。

<質問>
現在海外に居住していますが日本に拠点、銀行口座などがあり、JCBカードの新規申し込みを検討していますが、オンラインでの入会申し込みだと銀行側のシステム確認において海外居住がネックとなり弾かれてしまいます。
近々日本に行く予定があるのですが、店頭などでカードの発行手続きを行うことはできないでしょうか? 

 上記の質問に返ってきた答えがこちらです。

<回答>
このたびはお問い合わせいただきありがとうございます。

JCBカードのお申し込みについてご案内します。

ご希望のカードを特定できないため、一般的なご案内となりますが、弊社ではJCBカードを申し込みできる店舗をご用意していません。ご了承ください。

 この回答見て思ったこととしては、「海外在住者だけどカード発行できるかと聞いてんのに、なんでこいつは店頭手続きができるかどうかにしか回答してないんだ?」という疑問でした。店頭手続きはあくまで手段の一つとして聞いてるのに、肝心要の質問には答えないあたり、日本語が通じていないという隔たりをはっきり感じました。

 でもって、こんな回答よこすあたりJCBはよっぽどまともな人材いないんだなと思うと同時に、以前にも最近の日本人の国語力低下を嘆く記事書きましたが、真面目に日本人の能力低下ぶりは笑えないように思え、ちょっとその将来を不安に感じてきました。

 今回の話はまだまだかけるというか決済機能問題は根が深いのでまた次回にまとめます。

2024年12月23日月曜日

日系車とは比較にならないドイツ車の中国販売落ち込み

 日産とホンダの経営統合について今日会見が行われ、自分が思って退場に話が進んでいることに色々驚きました。自分が最も障害になると思ってたルノーも意外と乗り気で、マジでこのまま統合が成就するのかもしれません。
 もっとも今日ゴーンも言っていましたが、統合の効果はそこまで大きいとは思えず、せいぜい日産がホンダのハイブリッドエンジンを手に入れられるということくらいじゃないかと思います、EVはホンダも日産もあんま上手くいってないし、三菱は余計なお荷物にしかならないだろうし。

 っていうか三菱はランエボをSUVで出すと言ってもうかなり年数経っており、彼ら自身も自らの発言を覚えているかも定かではありません。

 さてこの日産とホンダの統合ですが、背景としてはこれまで稼ぎ頭であった中国市場における急激なシェア低下、不振も一つの理由として挙げられています。この辺自分も以前までは細かく追っていましたが、両社ともに中華系のEV、というよりBYD1社に中国市場では食われ続けており、今後以前ほどの販売台数に到達することはおろか、右肩下がりでシェアを落とし続ける気配を見せています。
 トヨタもシェアは落ちてはいますが、それでもこの二社に比べれば中国市場においてはまだマシというか、ブランド力を感じます。

 ただこの日産とホンダ以上に中国市場の不振が目立つのは、独VWと米GMです。どちらもかつてはその合弁会社が中国市場販売台数で不動の1位、2位を、恐らくまともな統計開始以来ずっと維持してきましたが、2年前にBYDに首位の座を明け渡してからはどんどんとシェアを落としまくっています。
 特にVWは満を持して投入したEVがBYD以外のメーカーにも歯が立たず、勢力挽回の起爆剤になるどころか売れないお荷物として足を引っ張る有様です。マジで街中で見れたら今日はラッキーと思うくらいVWのEVは上海でもレアです。

 その上で、日系二社と比べるとこのドイツ系の中国市場落ち込みの打撃は段違いに大きいです。というのもVW、あとGMも中国ではこれまでそこそこ大きなシェアを持ち続けていましたが、それだけにシェア喪失の打撃は大きく、遊休生産能力の幅も大きければぶら下がっている部品サプライヤーも相当な打撃を被っているように見えます。ぶっちゃけ今の状況、日系勢はまだマシだと言えるくらいです。
 そうした状況を見ているだけに数年くらい前から私はドイツの経済がやばいと唱え続けていましたが、今現在を見ても日本の報道では足りないくらいに深刻さを増しているように見えます。場合によってはVWは傘下ブランドを売りに出す可能性もあるように思え、市場の構成もリーマンショック以来の再編期を迎えるかもしれません。

 でもってGMに関して言えば、これからトランプ政権になって中国での風当たりはますます強くなるだけに、下手すりゃ市場撤退もあるかもしれません。お世辞にも、今でも売れてるように見えないし。
 最後に日系に関しては、トヨタは恐らく中国で今後も事業を続けられると思います。ただその部品サプライヤーは中国事業は維持できず、今後は撤退などして日本から部品を供給していくことになるかもしれません。トヨタも下手すら輸出車を中国でメインに売ることになるかもしれません。

 冒頭の日産、ホンダ連合に関しては、現在においても主力車がない、というかそもそもこの二社はまともな新車をこの数年あまり出していないだけに、中国市場以前に日本市場でもフェードアウトが続くような気がします。

2024年12月18日水曜日

日産とホンダの経営統合報道について

 会社で無茶な業務を回される旅に心の中のボビー・オロゴン氏が「おめぇふざけんなよ」と言いますが、このところボビーはすっと言い続けているような気がしてなりません。

 話は本題ですが今朝からずっと日本を騒がせている日産とホンダの経営統合ニュースについて言いたいことを勝手に書くと、これは成立しない可能性の方が高いのではとみています。その理由というのも日産のアライアンスパートナーのルノーはかねてより日産に対する支配を強めようという意向が強く、第三者の資本算入について否定的だからです。
 今回の報道を見ていると誰もルノーの立場や姿勢について言及していませんが、逆を言えばルノー側はこのホンダとの提携について把握していない可能性が高いように思え、そうであればルノーはこんなの以ての外だと止める、または妨害すると私は考えています。どっちにしろルノーが賛同しない限りは、現在の資本構造から言ってこの話は成立しないでしょう。

 なお中国では日産もホンダもアライアンスパートナーは東風自動車なので、東風グループ内の再編という形で逆に丸く収めやすいと予想します。コンサルなんかは今頃もうすでに、中国での事業統合、資本再編コンサルの提案資料を作っていることでしょう。

 ここで話を変えてこの経営統合についての所感を述べると、さっき見た掲示板で野球に例えると「中日と横浜が合併するようなもの」というたとえがありましたが、非常に言い得て妙な感じがしました。その上で、仮に統合したところで得られるメリットはあまり多くないというか、すごく強い会社が生まれるわけでもないと私は見ています。

 販売面に関しては、ファミリー層に強いホンダと法人や男性層に強い日産という風に私は見ており、顧客層が被っていないためある程度の相乗効果は得られるようには思えます。ただ製造面というか商品開発に関して言うとこのところ両者ともにまともな新車を出しておらず、ホンダはNボックス依存症が非常に強く、日産はそもそも新車すらまともに作れない状態で、この二つがくっついたところでどうなんのと思う有様です。
 まだマツダやスバルの方が、新車開発では力持っている気すらします。

 一応、軽自動車で言えば日産傘下の三菱とホンダで相乗効果あるかもしれませんが、その三菱もサクラ全然売れてないと聞くし、そもそも三菱の存在価値なんてないので統合する意味なんてもはやないでしょう。その点で言えば日産はホンダのハイブリッド技術が使えるようになるならましかもしれせんが、技術があっても自動車商品が作れない現状だと宝の持ち腐れになるかもしれません。
 まぁ「GTR typeR」は作れるようになるかもしれないけど。

 でもってこの報道が出た直後、「うちも買いたいんだけど……」と横やり刺してきたのが鴻海です。EV事業やりたいなどと言っていますが中国本土のEVベンチャーではなく日産買収に名乗りを上げる辺り、本当に金持ち余してんだなという風に思いました。その上で、私個人的にはホンダより鴻海に日産は買収されてほしいという気持ちがあります。
 何故かというと今後日本の自動車産業はもはや主力産業としては続かないと見越しているからです。恐らくトヨタという会社は残り続けるでしょうが、日本全体で自動車産業が主力産業として残っていくかと言えばそうはならず、どんどんと縮小し続けると早くもあきらめています。であればまだ買いたいと言ってくれる人がいるうちに、なるべく外国資本に売ってそのお金で日本は新たな産業の育成にチャレンジした方がいいとすら考えています。

 さらにいうと、別に日本に限らずドイツもVWが苦境にあるなど世界中で自動車、というより大手完成車メーカーはトヨタを除いて苦しい状態が続いており、自動車産業が世界中で花形だった時代は意外ともう越しているのかもという気がします。もちろん自動車は今後もなくならないだろうし産業も続くでしょうが、かつての家電のようにコモディティ化して、ビジネスとして大きな存在であり続ける未来はそんな長くないような気もします。続くとしても前述の通り、トヨタなどの有力メーカーが残ってほかはどんどん淘汰されることになるでしょう。

 特に日産もホンダもこのところの経営は芳しくないというか、ホンダはまだジェット機など別事業も育ちつつありますが、日産に至っては前にも書きましたが売れる車ないのにどうしてまだ存在しているのか疑問に感じるレベルです。それだけに淘汰の可能性も高いと感じており、どうせ消え去るなら高値で売り抜ける今のうちじゃないですが、日本市場をトヨタが独占することになるのは望ましくはないものの、中途半端に日産ホンダ連合ができるよりかは外資に買ってもらって、この際産業として整理された方が日本の未来にとってはいいんじゃないのかなというのが本音です。

2024年11月24日日曜日

最近の日本経済に対する私見

 最近の政治経済のニュースは103万円の壁ばかりです。もちろんこれは悪いことではなく、むしろ長らく行われてこなかった制度改革について文字通り国民全体で議論しており、このネタに火をつけた玉木氏には自分も陰ながら評価しています。

 そんな政治状況とはお構いなしにあまり話題に挙がってこない日本経済について話すと、なんだかんだ言いつつ賃金は上昇傾向が続き、業績も悪いという話はあんまり出てこないなど見た目だけなら日本経済は若干好調なように見えます。
 ただ知人によると、このところの企業の業績改善はほぼすべて円安に伴う為替差益によるもので、実質的な成長を遂げている企業はほとんど少ないそうです。自分もこの見方に同感で、何故かというとこっちの中国にいる日系企業の業績の悪化ぶりがかなり大きいからです。

 昨日書いた記事でEV化に伴って自動車部品の多くが使われなくなることに触れましたが、内装部品をはじめ、EV転換しようがしまいが影響を受けずに使われ続ける自動車部品を作る日系メーカーにおいても、業績が悪化している会社を多く見ます。背景理由としては中国のEV化は既存の内燃車のパイを奪う形で進行しており、なおかつEVメーカーの多くは中国資本で、サプライヤーも日系よりも中国系が優先される傾向にあります。そのため日系部品メーカーにとってはEVでも使われる部品を作っていたとしても、中国市場におけるシェアは落ち、業績が悪化しているというわけです。

 中国市場が異常の通りだとしてほかの市場はどうかというと、東南アジアの成長市場ではここ数年、中国系EVが多く進出するようになり、こっち方面でも日系が勢いを持つという話を聞きません。これらを総合すると自動車業界に関しては、日本国内を含めどっかの市場で成長しているという話はあまり聞かず、このところの連結業績もやはり上記の通り為替差益によるものではないかという風に考えているわけです。

 自動車以外の産業に関してもほぼほぼ同じようなものですが、唯一観光業だけは来日客数の増加でプラス成長を実際に遂げているとみています。もっともその分だけ観光公害も起きているわけですが、製造業の成長に伴う電力不足などのように、産業の成長にインフラが追い付いていないが故の問題だと思え、成長産業なだけに観光インフラの拡充にやはり日本は努めるべきでしょう。
 それ以外の産業に関してはエレキはシャープの悪決算をはじめもはやほぼ死んでおり、自動車もドイツよりはマシだけど落ちてはいないものの成長が難しくなっているだけに、ほかに日本が頼れる産業ときたら素材くらいになってきています。

 ただ半導体に関してはグローバル再編にうまく乗りつつあり、韓国や台湾とうまくすみ分ければ新たな雇用を創出する可能性があるとみています。それ以外の産業だと、成長というよりギャップを埋めるような形で、IT赤字の圧縮、即ちGoogleなどに頼っているITサービスを国産で補う対策を進めるだけで、海外に流出する現金をかなり持ち返せるのではないかと思います。
 波も来ているというか欧州もGAFA規制にノリノリだし、日本でも「Amazonは止めて楽天やヨドバシを」みたいなムードを作れば、それだけで日本経済には大きなプラスになると思います。少なくとも、FacebookとXはそろそろ規制し、中国ほどじゃないけど犯罪対策としてちゃんと履歴の終えるSNSをもっと普及させるべきでしょう。まぁSNSはLINEがあるだけ日本はまだマシか。

2024年11月23日土曜日

EVシフトの雇用への影響

 また仕事が忙しく神経がやられて買い物途中にふらふらしていたため、帰り際に前から気になっていたマッサージ屋によって頭部マッサージをしてもらいました。施術自体は満足してるし若干楽にはなったものの、右耳上にあるメガネのツケ外しでできたできものを何度もゴリゴリと圧迫されて途中で涙出そうになりました( ;∀;)

 話は本題ですがあんまり触れられていないなと思うトピックとして、見出しに掲げたEVシフトによる雇用への影響があります。端的に言えば、EVにシフトするかしないかで言えば、しない方が雇用の維持にはプラスじゃないかと思います。
 これは何故かというと、従来の内燃機関車の方が部品点数が多いためです。部品点数が多い分、実際製造したり品質管理する作業員が必要となり、その分だけ雇用が増えます。逆にEVは部品点数が少ない分、完成車一台作るのに必要な作業者の数で言えば燃料車に比べ低くなるのではないかとみています。

 そうはいってもEVの方が販売価格は高いのだから、価格ベースで見たらその分だけ雇用吸収力もあるのではないかとも考えることができます。ただEVの場合、その付加価値の多くが電池やシステムといった中核構成部品が占め、これら中核部品に携わる人間に人件費が集中することとなって、結局雇用吸収力はやはり内燃車に負けるのではないかという気がします。

 その電池やシステムのように、EVシフトによって新たに生まれる雇用は確かに存在するものの、EVシフトによってそれまで内燃車に存在していた雇用、具体的にはエンジン回りや燃料供給システム部品に携わる人の雇用の方がより多く失われ、自動車業界全体の雇用維持能力が低下するのではないかというのが自分の見方です。

 仮に既存自動車産業が全く存在しない国や地域でEV事業を立ち上げるのならあまり影響はないですが、すでに内燃車のサプライチェーンが完備されている日本や中国でEVが台頭した場合、それ以前と比べて自動車業界の雇用数が減ることになるというわけです。もちろん世界的に内燃車が廃れてすべてEVに切り替えるような時代であれば内燃車の雇用もクソも何もなく、EV産業を育成して保持する方が雇用的にもプラスですが、内燃車とEVが併存する今の時代においては、EVシフトによって単純にそれ以前と比べ自動車業界の雇用が減り、経済的にもどうなのかなと思うわけです。

 でもって今まさに、上記のような状況が中国で起こっているように私は思っています。それ以前と比べて自動車業界の雇用が減り、失業者が増えているように見え、中国自身も近年は労働力不足が起きつつありますが、果たしてこの方針はどう転ぶのかと興味深くみています。
 そうした点を踏まえてみると、トヨタのハイブリッド戦略は雇用維持的にはすごくプラスだなと改めて評価しています。従来の雇用を維持しつつモーターなどを含むハイブリッドシステムの雇用も生み出しており、企業単体として見るより社会全体で見れば見るほどこの形態が如何に優れているかがわかってきます。

 反対にどっちつかずで今えらいことになっているのがVWで、中途半端にEVシフトして世界中でリストラを展開する羽目になっているように見えます。まぁここはそれ以前にクリーンディーゼルでこけてるけど。

2024年11月12日火曜日

日産の90%超減益報道はおかしいヽ(`Д´)ノプンプン


 さっき友人にも紹介したけど、ハイスピードな展開に妙に読ませられてしまう(;´・ω・)


 そんで本題ですが先週から今に至るまで後追い記事が続く上の日産の90%減益報道ですが、自分はこの記事を初めて見た際に疑問を覚えました。同時に、一体何故こんな報道をしたのか、記者もそうだし編集者も何故これを通したのかと、報道者のあまりのレベル低下ぶりに呆れました。
 では一体どういう点がおかしいのかというと、今回の日産の業績でニュースな点は90%の減益ではなく、何故日産がいまだに黒字なのかって点しかないでしょ、マジで。

 ほかの後追い記事でも触れられていますが、マジでこの10年間くらい、日産はニューモデルの新車はおろか、既存車種のマイナーチェンジすらほとんどやっていません。ディーラーの人からすれば弾を持たせずに戦場へ投入されるようなもので、これほど新車出さずにどうやって売上保っているのかそっとの方が前から不思議でしょうがありませんでした。
 またネットで自分が秀逸だと思ったものとして、「本来販売台数で稼ぐスポーツカーという位置づけのフェアレディZをほとんど作らず受注を打ち切っている」というコメントもありましたが、まさにその通りというか、作った分だけ確実に売れる見込みのあるフェアレディZを何故か日産はあまり作ろうとしません。先ほどの新車を出さない点といい、ゴーンが去って以降、というかそれ以前からも日産は自動車メーカーとしてかなりおかしな経営を繰り返しています。

 真面目に今、日産を支えているのはどの車種なのかがマジで聞きたくなるほど日産の車には魅力がありません。また新車も出てこず、こういっちゃひどいけど開発部門は何故給料をもらえるのかが不思議です。
 新車が出ない点について日産の開発力が落ちたという指摘も見えますが、上記のフェアレディZを注文数に対しあまり生産していない点も鑑みると、生産供給体制すらまともに維持できない状態に日産は陥っているのではという風にも見えます。っていうか多分、中の人も現状についてもあまり理解できていないのではない可能性すらあります。

 開発費高騰からほかのメーカーでも確かにニューモデルが最近あまりで亡くなってはいるものの、それを推しても日産のこの10年間は少なすぎます。ぶっちゃけもう自分で開発せず、他社の車を生産するだけのOEMメーカーにでもなり下がった方がこの会社にとってはいいのではないかと密かに見ています。

2024年11月6日水曜日

ターゲット層をどんどん狭める現代のマーケティング


 先日書いたこちらの記事へのコメントで、アニメ監督の押井守氏の「100万人が観るより、1万人が100回観る」という言葉が引用され、今後の映画はターゲット層がますますニッチ化されていくのではという指摘を受けました。この指摘ですが私も感ずるところがあり、改めて考えてみると映画に限らず近年のマーケティングはあらゆるものがニッチ化、つまりターゲット層をどんどん狭めている傾向があるのではと思うに至りました。

 一例を挙げると映画のトム・ホランド版スパイダーマンの「ノーウェイホーム」なんか、確かに大ヒットした映画ではあったものの、過去のトビー版、アンドリュー版のスパイダーマンを見ていないとアンドリューが何度も「You are amazing!」と連呼される意味が分からないなど、楽しみが半減するような構成となっていました。いわば過去作を見ていない人はお断り的な内容となっており、この一手だけでもターゲット層はかなり狭められています。
 まぁ過去作見ている人はめちゃ楽しめるんだけど。

 この「新規お断り」的な映画はスパイダーマンに限らず、アベンジャーズを筆頭にマーブル映画で非常に顕著です。ただマーブル映画以外でもターゲット層が狭められている、というか極端に狭いと感じる作品は他にも多く、例えば日本でも時代劇を一つとってみても、かつてであればそこまでターゲット層は狭くなく、「時代劇ファン」向けに作られていたように思えます。
 しかし現在、あくまで私の目から見てですが時代劇作品でも男性向けか女性向けか、若者向けか高齢者向けか、歴史ガチ勢かニワカ勢向けかなど、かなり細かくターゲッティングが施され、対象外の層だとあまり楽しめない内容の作品が増えている気がします。これは大河ドラマでも顕著で、男性向けか女性向けかで作品のターゲット層をバッサリ分ける傾向がここ数年はっきりしているように思えます。

 アニメに関してはもはや言うまでもありません。オリジナル作品ならまだしも、原作付き作品ならこのところは原作ファン向けに作られることが多く、原作未読勢を振り落とすかのような作品も出てきている気がします。まぁ原作クラッシャー作品で、原作ファンも未読ファンも振り落とす厄介な作品もあるっちゃあリますが。

 工業製品においても、一例を挙げるとトヨタの「C-HR」という車がいい例だと思います。この車はかなり尖ったデザインしていて発売当初は売れ行きも良かったものの、3年目くらいでパタッと販売が停滞したそうです。背景原因としては「刺さる人には刺さる」デザインなため、欲しがる人は初年度にみんな買うものの、それ以外の人は一向に欲しがることもなく、販売が一巡したらそれで仕舞いになってしまったと言われていました。
 この「C-HR」に限らず近年のトヨタ車は尖ったデザインが増えており、かつての「誰からも好かれないが誰からも嫌われない」といった、ターゲットレンジを幅広くとる戦略の車を逆に見なくなりました。もっとも私自身、当時の無個性なトヨタ車のデザインを批判しており、もっとターゲッティングを狭めるべきだと車に限らず主張していた側なので、偉そうなことは言えません。

 話を本題に戻すとやはり各人の嗜好が多様化していることもあり、ビジネスにおけるターゲッティングも「100人に100円払わせるより1人に10000円を払わせる」といった方針が採用されやすくなっている気がします。その結果として、老若男女を問わず万人に受け入れられる商品やサービスが減ってきて、以前の「コミュ障は何故増えているのか?」の記事で書いたように、余計に共有体験を互いに持つことがなくなり、エンタメの孤独化というか孤立化、そして嗜好の多様化をさらに促進させているのではないかとも思えてきました。

 こうした動きはそれぞれにより突き刺さる作品やサービスの発掘にもつながるため一概に悪いと言い切れるものではないでしょうが、その一方で万人受け(マス)を目指す思考がどんどん薄れ、長い目で見るとエンタメなんかだと市場規模を縮小させる可能性もあるような気がします。工業製品においても、一応iPhoneなどアップル製品がまさに万人向け製品でしょうが、こうしたものが一つ二つあることで規格というものができ、社会全体の原価低減にもつながるため、分化し過ぎるとやっぱマイナスが大きくなる気がします。

 またマス向け作品だからといって「刺さる人がいない」とは限らず、マス向けでありながらすぐれた作品もある、というか本当に優れた作品はマスに受け容れられるものだと思います。漫画の「スパイファミリー」なんか、最初読んだ時にはっきりと「今時こんな老若男女問わず読める作品があるのか」と感心しましたが、ターゲット層が広いことで得られる優位もあるだけに、マーケティングでターゲット層を狭め続けるというのは若干間違いではないかと思うようになってきています。まぁ私はマーケティングをやる仕事には一切就いていないですが。

 言いたいことをまとめると、現代の日本社会は知らず知らずのうちに企画段階でターゲット層をどんどん狭めようとするようになっており、結果的に虻蜂取らずというかビジネスチャンスを失っているのではないかというのが私の意見です。そういう意味ではもう少し、ターゲット層を広げる意識をみんなで持った方がいいかもと思うわけです。共有体験にもつながって、コミュニケーションも高まるかもしれないし。

2024年10月15日火曜日

外国人も驚く日本人のサービス低下ぶり


 上のニュース見て原価はどれだけか知らないけど、このフィルム貼り付けるだけでステルス機できるんじゃねとか思いました。そのステルス機を売り込む場合、「ステルスマーケティング」と呼ぶのか、悩ましくて夜も寝られません(昼寝したから)。

 話は本題ですが先日、友人の中国人が仕事で日本に二週間ほど行っていたそうです。その友人はコロナ前はよく日本へ旅行しに行っており、特にUSJが好きで訪日のたびに毎回行くほどは待っていたのですが、今回の日本訪問後に自分を直々に指名して、「話がしたい」と言ってきました。
 言われてホイホイついていくと、友人はグループ会社の内部監査のために日本へ今回訪問したのですが訪問前、「日本人は中国人を見下していて、なんでお前らにいちいち指摘されなきゃならないんだ」と思う奴もいるかもしれないから気を付けてという、私のアドバイスがまさにその通りだったため、「なんであんな合理的に考えられない奴いるの(# ゚Д゚)」と愚痴ってきました。

 話のトピックはこうした日本人の内部統制意識に関するものともう一つあり、それが見出しにも掲げた日本人のサービス低下ぶりです。

 先にも書いた通り、友人はコロナ前には何度も日本に行っていて今回約5年ぶりに日本を訪れたわけですが、5年前と比べて社会のあちこちで日本人のサービス態度が劇的に悪くなっていると感じたそうです。
 とりわけ強く感じたのは飲食店で、なんでもその友人が日本にいる友人らと合流して3人で飲食店に入ったそうです。友人2人が食事を頼む中、友人のみ先に食事していたため飲み物のカクテルだけを頼んだところ、「申し訳ありませんが飲み物だけの注文はご遠慮ください」と、暗に退店を促されたそうです。

 自分もこの話は聞いてて非常に呆れたというか、そこまで日本の飲食店のサービスは落ちたのかと感じさせられました。仮に3人とも食事メニューを頼まないならまだしも、1人だけ頼まなかったものの飲み物はちゃんと頼んでいるのに席を空けろと、まるで乗車拒否するタクシーのようで聞いてるだけで腹立ちました。
 これ以外でも所かしこで前ほど態度が恭しくなくなっていたりしたと感じたらしく、友人は私に対し、「なんでこんなに日本人のサービスが悪くなったの?」と聞いてきたわけです。

 私自身もずっと中国にいるため必ずしも正しい答えとは限らないと踏まえた上で、一つの要因としては景気が良くなり雇用流動性が高まり、前ほど雇用者側にサービス態度を強制されなくなっているのかもというのを、原因の一つとして挙げました。もう一つの理由としては、サービス態度を高めても売り上げに直結しないし、要求の多い客をつけ上がらせるだけだと悟り、なんでも顧客に対し下手には出ず距離を置いた態度を取るようになったのかもと挙げました。

 私個人の意見としては、上記のように日本人のサービス態度が悪くなっていることについてはあまり問題視していません。むしろ以前まで態度が異常に下手に出過ぎており、モンスタークレーマーを増やしていたとすら考えていたため、若干印象が悪くなったとしてもこうした流れ、特に2番目の理由からくる客との距離感を空けることはむしろプラスだとすら考えています。

 その一方、日本人は以前から「サービス=態度」と考える人間がマジ多いですが、本当のサービスというのは顧客ニーズの汲み取りと充足にあります。その点で言えば日本人は杓子定規な対応ばかりでちょっとした、簡単な顧客のエクストラオーダーすら叶えられない融通の悪さが前から目立っていましたが(逆に中国はその辺が得意)、最初の飲食店の例を見るに、その杓子定規な対応がさらに悪化しているかのように思えてきます。
 先の態度方面の悪化はそれほど気にしないものの、融通の悪さがさらに悪化しているという点には私も眉を潜める思いがします。

 それ以上に最大の問題ともいえるのが、日本人自身がこうした全方面のサービスレベルの低下を意識してないというか気づいていない点でしょう。以前にも日系メディアで外国人が「コロナ前後で日本人のサービスの質が落ちている」と言及する記事を見ましたが、久しぶりに来た外国人からはすぐわかるレベルで落ちているのに、当の日本人は報道を見る限り、まるで気づいていないように思えます。つまり今後もさらに日本人のサービス水準は落ちていく可能性があるとみています。

 繰り返しますが態度方面のサービスの低下は別にどうでもいいですが、融通の利かなさの悪化は観光立国においてはかなりマイナスに働きます。その点を踏まえ、そもそも本当にいいサービス、従業員にとっても雇用者にとっても顧客にとっても売り上げにとってもいいサービスとは何かを、もう少し日本人は考えるべきだと上から目線で思ったりします。

2024年8月18日日曜日

日本は次どの産業を育成すべきなのか

 候補者が乱立する気配を見せている自民党総裁選ですが、敢えて各候補者に何か一つ質問できるとしたら、日本は今後、どの産業を国家として育成していくつもりなのかを聞きたいです。というのも、国際競争力という観点では日本が持つ中でコンビニ業界こそが最強だと信じて止みませんが、外貨を稼ぐ輸出産業という観点ではもはや自動車と化学品など素材産業しかなく、自動車が倒れたら一気に傾きかねない状況になっていると思うからです。

 かつての日本であれば繊維、家電、鉄鋼、半導体、ゲームなど数多くの強力な輸出産業が存在しましたが現在においてはもはや見る影もなく、ほぼ自動車一本足打法のような状態になってきています。もちろんまだ自動車が力を持っているだけマシなのですが、EVを含む転覆的技術が自動車業界では現れてきており、過去の積み重ねが文字通りひっくりかえされる状況も今後発生する可能性もあるだけに、自動車偏重で行くのはかなり危険だと考えています。
 であれば国家としてどの産業を今後育成し、日本の主力とするのかを政治レベルで決めていかなければなりません。その点について書く政治家に聞いてみたいのですが、ぶっちゃけどれを推していくかは私の中でもいまだ確としたものはありません。

 アプローチ方法は主に二つあると思え、一つは全く未知の産業に挑むという方法です。現在であれば、いまだ技術や規格が確立されていない3DプリンタやAIといった類で、ある程度知られていればいるほど競争も激しくなるだけに、誰も手を付けていない分野ほど成功確率も高いものの、そのまま市場が成立せず失敗に終わる可能性もあります。
 もう一つは、既存技術の水平再利用みたいなもので、いくつか例を出すとPHSの電波を使った全く新たな通信網とか、すでに確立された技術に対して新たな応用分野を作るというものです。自分の中ではドローン対策で効果を発揮しているゲパルトがいの一番に来るけど。

 どちらにしろ日本が世界で戦える、なるべくなら製品まで日本国内で作って輸出して外貨を稼げるような産業を、急ぎ日本は育成する必要があるでしょう。こうした新規産業に対する意識はまだ20年前、それこそ森元総理ですら「IT革命」などというなど当時の政治家は意識していましたが、近年においては口にする者すらいなくなり、密かに憂えています。最近唯一こうした危機感を持っていると感じたのは神田元財務官で、そういう点からも彼が今後日本の経済政策で主要な地位につくのをこれまた密かに期待しています。

2024年8月7日水曜日

このところの株価の乱高下について

 友人に、中国人のガンダム00のファンにもっていくガンプラ土産は何がいいかと聞かれ、何食わぬ顔で「アッシマーしかないですね(´・ω・)」と言いそうになりました。まぁ正直にダブルオーライザーを推薦しましたが、何気に00は一度も見たことがなく、今度映画版でも見てみようかな。

 話は本題ですがここで描くまでもなく日本の株価が先週末から乱高下を繰り返しています。現在特に株を保有していないのでまだ笑ってみていられますが、もし持ってたらリアルタイムで株価を追うくらい不安に駆られてたことでしょう。個人的には歴史的な値動きをリアルタイムで見られたこともあり得をしたなと思っていますが、この件について友人とかにもコメントを求められましたが、現在進行形なため応えづらいというのが本音です。

 そもそも今回の株価の激変は日銀の利上げ発表を受けたものと言われていますが、これも一つの要因でしょうが米国の経済指標の予想未達、また中東での新たな地政学的衝突懸念という要素が一度に重なってしまったものとみています。それ以上に、この半年間での日本の株価の劇的上昇ぶりに潜在的に利益確定を狙っていた層が膨れ上がっており、それが下落し始めた瞬間に一気に売り注文を出したことで拍車をかけたのかもしれません。
 それらを踏まえて言うと何か一つのミスとかそういうのではなく、タイミングが色々重なっただけの結果であり、少なくとも日本の経済がだめになったとかそういう風には捉えるべきじゃないかということだけは断言できます。まぁそもそも、日本にほとんど産業はなくなっているんですが。

 それらを踏まえて一部メディアに対する批判を述べると、週刊誌やタブロイド紙を中心に今回の乱高下を受け日銀や岸田総理を批判する声が見られますが、若干これは的外れである気がします。確かに日銀の利上げ方針発表が一つの契機になったでしょうが、前述の通りこれだけが要因ではなく、またそもそもこれまでのゼロ金利政策自体が異常であり、ここから脱却を図らなければならないことを考えると、あのタイミングでの利上げ発表自体は決しておかしなタイミングではなかった気がします。
 そもそも0.10%から0.25%への引き上げ自体が絶対値的に小さく、実体経済に与える影響も非常に限定的なだけに、これで大騒ぎするのもどうかと思います。さすがに、いきなり1%に引き上げるとかだったら批判が出るのもわかるけど。

 それどころか日銀の金利引き上げ発表以前は、円安の進行による生活費の高騰がやたら問題視されており、「円安を放置する岸田と植田は無能だ」、「輸出する大企業ばかり贔屓にしやがって」といった批判でも溢れていました。それが今回円安を誘導したらこっちはこっちで「株価を下げやがって」、「景気に水を差す」などと批判するしで、どっちに転んだって批判しかしない、お前は蓮舫かよと日本の報道や反応見ていて感じました。
 かねてから書いていますが、私としては今の岸田総理や植田総裁の経済政策は理に適っているように思え、さすがに意図的に株価の乱高下を狙ってやったならどうかと思いますが、そうでないなら要所要所の発言や行動はしっかりしているように思えます。さすがに今回の乱高下を受けて「金利調整には株価も考慮する」という発言が出ましたが、状況を鎮静化させるうえではこの発言を出すのも仕方ないと思うし、何もしないのと比べれば全然マシで、やはり植田総裁はまとまだと感じました。

 なお米国でも株価が大きく下がるやトランプ元大統領が「ハリスのせいだ」と言ってましたが、この人は悪いことがあると全部バイデン大統領かハリス氏のせいにして、いいことあれば「俺のおかげだ!」と言う、ジャイアニズムの権化みたいな気がしてきました。そのうち大谷選手が活躍しても「ワシが育てた」とか言いそうです。

 ただ残念なことに、前述の通り円高でも円安でも見境なく批判する勢力がいることを考えると、日本もあまりトランプのことを笑えない気がします。にしても「もしトラ」から「もしハリ」という言葉まで生まれてきましたが、自分としても予見性というか何するかまだ予想しやすい意味でハリス氏の方に頑張ってもらいたいと思ってます。